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Original subtitles

♪♪~

(高松 肇)まるで ゆりかごだな。

(栗田加寿実)ゆりかご…?

(高松)俺たちの赤ん坊だ。

任せたぞ 子育ては。

(無線)「高松肇 53歳 男性 城南大学 理学部教授」

「現在 検視官による検視中」

(検視官)現場の状況からして 事件性は薄いな。

(検視官)搬送しよう。 (米沢 守)じゃ 私はこれで。

♪♪~

(杉下右京)高松教授が お亡くなりになったそうですねぇ。

これはまた 恐ろしくお耳が早い。

あっ お知り合いですか?

いえ。 しかし 教授の研究には 興味がありました。

米沢さん。 はい。

本部からは 鑑識と機捜だけのようですねぇ。

ええ おそらく 所轄ベースで 終わりだと思います。

つまり 事件性は薄い。 はい。

あっ うちの検視官です。 存じ上げております。

検視官 教授の死因は なんでしょう?

不明だが 心臓に持病があったようだし→

心不全かな。 解剖は?

外傷なし 現場に異常なし。 特に必要ないでしょう。

所轄に寄ってから戻る。 (米沢)お疲れさまでした。

≫すいません 出ます。

ちょっと よろしいですか? 失礼。

検視官! 死亡推定時刻は?

死後8時間前後だ。

だとすれば まだ腐敗は 始まっていないはずですねぇ。

ああ… ん? 米沢さん。

遺体には あまり近づかないほうが よろしいかと。

…は?

♪♪~

(神戸 尊)お待たせしました。 おはようございます。

待ってはいません。 おはようございます。

君からかかってきた電話に出たら 君が勝手に来たんですよ。

そりゃ 朝からいなければ 電話もしますよ。

さて どんな事件なんでしょう?

まだ事件と決まったわけでは ありません。

え… なのに 捜査はしていると。 捜査はしていません。

ちょっと気になる事が あるだけです。

あっ これです。 これが気になる事?

ええ この研究に 注目していました。

「明日の石油になる技術」

「城南大学の高松教授らの 研究により→

光合成細菌『バクテクロリス』は→

水中の有機物を摂取し 光合成すると→

重油とほぼ同じ成分の炭化水素を 作ることが分かった」

へぇ~ 細菌から 油を作るって研究ですか。

これが実用化されれば→

化石燃料に頼らないエネルギーが 安全に かつ安定的に→

手に入れる事ができるように なるんですよ。

夢のような話ですね。

しかし その夢が 頓挫するかもしれません。

えっ? あっ… 殺された?

殺されたとは限りませんがね。

でも 捜査はすると。 ええ。

わずかでも 可能性があるのならば。

(早乙女 茜) ここに 頭をこちら側にして→

倒れてました。 発見した時は 君1人だった?

はい。 すぐに救急車 呼んだんですけど。

ちょっと失礼。 (井上翔太)はい。

こちらの名刺 ロシアの エネルギー企業のようですが。

ああ 資金提供したいと言ってきた 会社の1つです。

つまり そういう会社が いくつかある。

ええ バクテクロリスを 学会で発表してからは。

ちなみに 高松教授が お亡くなりになったとすると→

その研究を続けていくのは 難しくなるのでしょうかねぇ。

まあ 研究自体は 大丈夫だと思いますが。

おや 大丈夫なんですか?

バクテクロリスを発見したのは 高松先生ですが→

研究は 光合成細菌を専門とする 栗田先生がしてるんで。

栗田先生…? 高松先生の共同研究者です。

こちらの教授でしょうか? 客員教授です。

この研究のために 5年前に招かれて。

その栗田教授ですが 今 どちらに?

それが…。 電話は?

一応 留守電には残しました。

いつもなら 1番に来て 高松ルームに直行するんですが。

高松ルーム? はい。

隣の実験棟です。 バクテクロリスを培養しています。

その高松ルーム 拝見できますか?

ええ いいですよ。 どうぞ こちらです。

(足音)

(茜)栗田先生!

(井上)先生…。

高松先生が死んだって… どうして?

それが 警察の話だと たぶん病死だろうと。

病死… 先生のご遺体は?

監察医務院に運ばれました。

監察医務院… 解剖するのか?

解剖するかどうかは 監察医の判断ですが→

少なくとも 遺体の検案はするはずです。

警視庁特命係 杉下と申します。 同じく神戸です。

(栗田)これがバクテクロリスです。

油の生産効率が とてもいいそうですねぇ?

同じバイオ燃料としては トウモロコシの5万倍です。

おお これはすごい。 トウモロコシは 確か→

1ヘクタールあたり とれる油は0.2トンほどでしたね。

ええ 大豆なら0.5トン アブラヤシなら6トン。

藻の一種である ボトリオコッカスなら100トン。

でも この子たちなら 1000トンは作り出せる計算です。

あ… それは その すごい量なんですか?

例えば 日本中の田んぼや畑などの 休耕地で作れば→

日本は 世界有数の産油国に なれるはずです。

えっ… なんか世界情勢を 変えそうな研究ですね。

そのとおりです。

すでに油をとり出す技術も確立し 燃焼実験も済んでいます。

特許を取るには 生産コストなど→

乗り越えなきゃいけない課題が まだありますが。

という事は まだ研究はお続けになる。

もちろんです。 なるほど。

研究自体は 高松教授ではなく→

栗田先生が されていたそうですからね。

えっ? …と お聞きしましたが。

あっ ええ…。 あっ…。

(携帯電話の振動音)

ああ ちょっと失礼。

杉下です。

血中硫化水素濃度の検査を してもらいました。

結果は 警部のご推察どおりでした。

硫化水素の吸引による窒息死。

ええ。 硫化水素に汚染された死体は→

危険なので 解剖はまだですが→

すでに 所轄と一課には伝えたそうです。

どうもありがとう。

♪♪~

(中園照生)つまり 病死ではなく 中毒死です。

(内村完爾)それが 監察医務院で わかったのか。

あっ…。 うちの検視官の見落としです。

見落としで済むか。

事故か 自殺か 他殺か…。

それは まだ不明です。

うちの刑事を動かせ。

…は?

(米沢)上にあるところも お願いします。 あのあたり…。

いかがでしょう? いえ なんの痕跡も。

戻って 詳しく分析してみなければ なりませんが→

残るは あれですね。

えっ でも 確か 硫化水素で死亡すると→

体の表面が 変色したりするはずでは?

さすがに よくご存じです。

緑色に皮膚が変色し 水死体のように膨れ→

かなり無残な姿に なるようですが→

高松教授は そうではなかった。 ええ。

おや 教授の遺体を ご覧になったのですか?

あ いえ… 遺体を発見した助手から聞いて。

なるほど。 しかし 急激な中毒の場合→

そのような症状が出ない事も あるそうですよ。

急激な中毒…。

例えば 高濃度の硫化水素を 一瞬で吸い込むとか。

いやいやいや あの…→

吸い込んだ途端に 昏倒するような代物は→

普通の市販品の調合では まず無理です。

いえ 作れると思います。

えっ? はい?

高松先生なら。

なるほど。 しかし となると 疑問が1つ。

それほど高濃度の硫化水素が どこで発生したのか。

ええ 遺体発見現場に そのような痕跡は→

ありませんでしたね。 痕跡があったのは死体だけですね。

その手の遺体には 硫黄のような 腐敗臭が残りますね。

高濃度の硫化水素なら かなり臭うはずですな。

しかし 高松教授の遺体の臭いは ほんのわずかでした。

うーん… その場合 考えられる可能性ですが…。

例えば 袋に入れた 高濃度の硫化水素を一気に吸った。

いや 現場には そんな袋は ありませんでしたが。

だとするならば 高濃度の硫化水素を→

どこかで吸い込んで 死亡したあと 遺体発見現場まで運ばれた。

そして 遺体がほとんど臭わないよう→

毛髪や着衣に残った硫化水素は 可能な限り除去されて…。

その場合 犯人がいたって事ですよね。

待ってください。 もう1つ可能性があります。

興味深いですねぇ。 どのような?

高濃度の硫化水素を 固形物にして飲み込んだ。

えっ そんな事 可能なんですか?

専門知識が必要ですが 高松先生なら可能です。

だとすれば 自殺ですな。

自殺 もしくは他殺です。 えっ?

固形物にできるなら 飲ませる事も可能ですからね。

なるほど。

(ノック)

(伊丹憲一)失礼します。 はぁ…。

(三浦信輔)あっ 警部殿。 また困りますね 勝手に。

私が 高松先生を殺した…。

はい?

(芹沢慶二)栗田教授ですね? あの 今の話 一体…。

バクテクロリスの研究は 日常的に資金難でした。

えっ こんなにすごい研究なのに?

日本の企業には 今 特許前の基礎研究に→

資金を出す余裕は ほとんどありません。

なのに 私は 資金集めの仕事を 高松先生に押しつけて…。

その苦労は 並大抵ではなかったはずです。

実際 先生は 最近疲れたと…。

でも 私は 研究に没頭するあまり 見て見ぬふりをして…。

それは つまり 高松教授は自殺したという…。

彼を殺したのは 私かもしれません。

芹沢。 はい。 栗田教授!

どういうおつもりですか? はい?

どういうつもりで 我々の聴取を妨害するんです?

ああ これは失礼。 では 責任を取って→

聴取してまいりましょう。 うん。 …ん?

あのねぇ…。 ねぇ…。

じゃあ 僕も 責任を取って。

持ち場に戻らないとね…。 失礼。

(芹沢)資金がなかなか集まらずに 苦しんでいた。

それが自殺の動機じゃないかと。

(栗田)私に考えられるのは それくらいしか…。

その場合ですが…。

気になる事が1つ。

資金提供や共同開発の話が 相次いでいたと→

研究室の方から伺ったのですが。

(神戸の声)その手の会社の名刺を 何枚も見せてもらいました。

でも 断ってたみたいで。

断っていた… せっかくの申し入れを。

なぜでしょう?

さあ… その手の窓口は 高松先生が担当だったので。

ちょっと。 高松教授は 資金難だったのに→

資金提供の話を断っていた って事ですか?

不思議な話ですね。

不思議ですねぇ。

教授は自殺 捜査は終了。 所轄に そう伝えておけ。

はい。 では 失礼します。

自殺で処理するために 自分たちを動かしたんですか!

違う! うちの検視官のミスが 広がらんようにだ。

は?

まあまあ…。 では 失礼します。

(三浦)さあ…。 おい。

(三浦)おい…。

出資を断られた企業だ。

どの会社から調べる?

調べるんだろ?

調べるさ。

内緒だぞ。

しかし わかりませんねぇ。 はい。

なぜ 凶器に 硫化水素を選んだのでしょう?

なぜ…? ええ なぜ…。

高松教授が 今年の初めに 学会で発表した論文です。

「光合成細菌は 炭酸ガスや硫化水素という→

毒性の強い物質を無毒化するが→

バクテクロリスは 炭化水素を蓄積する過程で→

硫化水素も蓄積する」 気になりませんか?

バクテクロリスは 硫化水素も蓄積…。

栗田教授の研究に 硫化水素は無関係じゃない。

気になりますねぇ。

♪♪~(高松の声)「あすなろ あすなろ あすはなろう」

♪♪~「とうげを こえる ひとたちの」

♪♪~「なつは ひかげに なるような」

♪♪~「おおきな ひのきに あすはなろう」

先生 よく その歌を 歌ってらっしゃいますよね。

この子たちの子守唄だ。

「明日は 檜になろう」だ。

あすなろ…。

(栗田)へぇ そういう字を書くんですか。

世界中の人たちの エネルギーとなるような…。

(高松の声)明日は石油になろう! ハハハ…。

あっ 見えますね 青白くなってるところが。

(斎藤 満)それが青潮です。

海の汚染で大量発生した プランクトンが→

バクテリアに分解される時→

大量の酸素を消費する事が 原因です。

その時 大量の硫化水素が 発生するそうですね。

ええ。 それで 硫黄が海面に漂い→

日光に反射して 青白く変色するんです。

そして 魚介類を大量に殺す。

その対策を研究してたんですよね 栗田教授は。

ええ うちの大学にいた頃に。

栗田先生に お会いになったんだったら→

わかると思いますが とにかく真面目で 研究一筋。

今は バイオ燃料の研究を されてるんですよね。

ええ。 先生らしいです。

一生 人のためになる研究を 続けたいって言ってましたから。

ちなみに 栗田教授は 青潮の研究で→

どのような成果を 上げられたのでしょう?

(斎藤の声)青潮を発生させる プランクトンの中に→

硫化水素の発生を抑える細菌を 発見したんです。

なるほど。

という事は かなり 硫化水素の研究もされていた。

ええ それはもう熱心に。

そうして 青潮で青潮を退治した。

先生は 今も昔も 本当に 有意義な研究をされてますよね。

いや こっちは 高松先生の研究に 乗っかっただけですから。

ご謙遜を。 研究は 主に先生が→

そして 高松教授は 資金提供や共同開発の窓口。

昨日 先生が そうおっしゃいましたよ。

その手の窓口も 研究以上に 大切な仕事です。

(ノック) はい。

(茜)失礼します。

あの… 今 警察から連絡があって…。

えっ?

(茜)高松先生 やはり自殺だったそうです。

そうですか。

失礼します。

高松先生が自殺なんて 残念です。

ええ 自殺で 処理されてしまうなんて。

えっ? あっ そうそう→

このバクテクロリス 油を作る過程で→

硫化水素を蓄積するとか。

高松教授の死因も 硫化水素。

何やら因縁めいたものを 感じてしまいますねぇ。

あっ… 失礼。 また来ます。

♪♪~

(担当者) 確かに 出資は断られました。

この人に? (担当者)ええ。

でも そんな事で恨みませんよ。

I see. Is that enough?

Yes. Thank you.

はぁ… みんな同じ事を言うなぁ。

高松教授を殺したら 共同開発以前の話ですからね。

しかし 出資を断られたところって→

海外の企業ばっかりだな。

(米沢)電話でお尋ねの件ですが 調べました。

バクテクロリスから 硫化水素を取り出すのは→

その手の知識と技術があれば 可能だそうです。

えっ じゃあ 栗田教授なら…。 (米沢)可能です。

しかも バクテクロリスからは→

かなり高濃度の硫化水素が 抽出できるそうです。

例えば あのトイレの広さなら 一瞬で昏倒してしまうほどの…。

ええ。 高松教授の命を奪った硫化水素が→

バクテクロリスから 取り出したものかどうかは→

米沢さん…。 (米沢)はい 調べてみます。

≪どうもありがとう。

(伊丹)何かわかったか?

高松ルームのバクテクロリスから 取り出したんじゃないかって→

特命係は思ってるみたいです。

おい 芹沢。 はい。

(伊丹)残りの企業 聴取に行くぞ。

青潮で青潮を殺す。

教授は そういう発想をする方です。

だからって バクテクロリスで 高松教授を?

その可能性はありませんか?

君は 何を考えているのですか?

これが事故 いや せめて自殺だったらなって。

だって 栗田教授の研究は 本当に素晴らしいです。

その点に異論はありません。

これからの日本に 絶対必要な人です。

その点にも異論はありません。

栗田教授が犯人なら 動機は なんなんでしょうね?

♪♪~

(芹沢)彼との交渉は あなたが 担当だったそうですね?

(伊丹)聞いた話ですが→

バクテクロリスのオイルが 実用化されたら→

エネルギー資源を輸出する国には かなりの脅威になるとか。

例えば この研究所を作った あなたの国。

ちょっと 何が言いたいんです?

だから 共同開発を申し出た。

にもかかわらず 断られた。 それで…。

ちょっと… 断られてませんよ。 (芹沢)えっ?

断られてないんですか?

ドクター高松とは 共同開発の話が進んでいました。

うちの資金源は本国の政府だから 魅力的だったんでしょう。

でも 彼が死んだら この話も終わりでしょうけど。

話が終わる…。

それは どういう事でしょうか?

高松教授の共同開発者が 反対しているから。

…と この研究所の人が 言ってました。

えっ? いいんですか?

僕ら これ以上の捜査は 無理そうだし→

ギブ・アンド・テーク… って 伊丹先輩が。

僕たち 何か 向こうに ギブしましたっけ?

さあ…。 しかし おかげで 動機が→

わかりそうじゃありませんか。 失礼します。

おや こんなに遅くまで どうしました?

杉下警部に頼まれていた事を 調べてました。

おやおや これは失礼。 それで?

硫化水素の成分や 含まれている不純物を調べれば→

バクテクロリスから取り出した 硫化水素との照合は→

可能だそうです。

高松教授を殺した硫化水素ですが 当然 保存されてますよね?

もちろんです。

えっ…?

今日は 1番にご出勤ですね。 いつもどおりに。

先生の自殺で 捜査は終わったんですよね。

海外からの出資を 高松教授が断っていた。

そうおっしゃいましたね? (栗田)ええ。

高松教授 海外のこの研究所と→

共同開発の話を進めてましたよ。

何かの間違いじゃないですか?

おや ご存じありませんでしたか?

あの 今日は 一日を 研究に費やしたいので…。

すぐに済みます。

しつこくて すみませんねぇ。

あっ 栗田先生は 共同開発に反対だったとか。

それも こちらから伺いました。

その手の話を断っていたのは 先生だったんですね。

共同開発で技術を盗まれた。 資金提供で権利を取られた。

そういう研究を 何度も見てきました。

日本では 今 貴重な技術が 簡単に海外に流れます。

だから 海外からの話を断っていた。

しかし 日本では 資金提供の話がない。

…という事でしょうか。

バクテクロリスのオイルは 純日本製であるべきです!

日本の技術で世界を豊かにする… それが私の願いです。

しかし その願いが 高松教授には届かなかった。

だから 私が殺したと?

バクテクロリスを 少し採取させていただけませんか。

は?

成分と不純物を調べれば→

このバクテクロリスの 硫化水素と→

高松教授の命を奪った硫化水素が 同じものかどうか→

わかるそうです。

どうぞ ご自由に。 ご協力 感謝いたします。

神戸君。 はい。

にわか科学は目的を見失う。

はい? …という言葉をご存じですか?

いえ どのような意味でしょう?

科学が なんの目的で使われるのか→

科学者は 肝に銘じて 研究しなければならない。

そうでないと 誰もが→

ダイナマイトを作ってしまった ノーベルになりえる。

ノーベルは のちに それで苦悩したそうですね。

ええ。 でも 私の言いたい事は そうじゃない。

と おっしゃいますと? 高松先生の命を奪った硫化水素が→

たとえ バクテクロリスのそれと 一致しても→

私が殺した証拠にはならない!

つまり 高松教授が取り出して 自殺したと。

高松教授なら 可能です。

なるほど。

科学を扱う人間は 最終目的を忘れてはいけません。

先生が この研究を続けている目的は→

バクテオイルで 世界中を豊かにする… でしたね。

そうなれば 世界が抱える問題の かなりの部分を→

いえ もしかしたら 紛争や戦争も 解決できるかもしれない。

それも 日本のバイオ技術で… そう思ってます。

素晴らしい最終目的です。

誰にも邪魔はさせません。

また来ます。

ありがとうございました。

♪♪~

(武井久美子) 高松教授は残念でした。

はい。

(久美子)それで 資金の調達が難しくなった。

それが 正直なところじゃないですか?

結構ですよ。

私は その心境の変化を 歓迎します。

で その後 開発のほうは どうですか?

特許申請まで あと一息です。

では 開発がどこまで進んでるのか 詳しく…。

(栗田)ただ… 1つ困った事が。

トイレの外の植物から 硫化水素が検出されました。

トイレが死亡現場です。

つまり あのトイレから 遺体が運ばれた。

ええ 殺人ですな。 というわけで→

一応 これ あの 所轄に伝えてから 帰りますから。

おや もうお帰りですか? こんなに早く。

ええ。 昨日 夜勤を代わったので 今日はもう…。

では 今日は 時間がたっぷりある。

はい?

高松教授を殺した硫化水素ですが 保存されてるんですよね?

はい…。

それは 遺体から採取したものですよね?

ええ 硫化水素は 髪の毛や服に付着しますからね。

ええ ええ ええ ええ…。 それですが→

いつ付着したものか わかりませんかねぇ?

いつ付着したって あの… それで死んだんですから→

死ぬ直前では? いえ そうではなく→

何月何日というふうな 詳細な特定なんです。

例によって 難しい事 言いますな。

では 例によって よろしくお願いします。

あっ…! はい?

あとで 紅茶でも 差し入れましょう。

あ… そりゃどうも。 ええ。

そりゃどうも…。

「栗田教授の話では バクテオイル1リットル当たり→

実効価格100円なら 5年以内で実現できるそうです」

バクテオイル…。

この議員 その開発の予算を 訴えてるんですよ。

(久美子)「バクテオイルの特許を 本年度中に取り→

5年以内の 実用化を目指しています」

「政府としては 予算計上は もちろんですが→

バクテクロリスを→

特別生物に指定して→

国外への持ち出しを 禁止するべきです」

(角田六郎)いやあ こういう開発をしている→

偉い先生がいるんだねぇ。

ああ そういう先生がいる間は 心もとない今の日本も→

なんとか安泰だよな。 ね? 警部殿。

このタイミングで これは 作為的なものを感じますねぇ。

え? (電話)

(電話) (角田)はい。

はい 特命係。

あっ…。

すぐ 刑事部長室に来い。 中園参事官です。

このタイミングで これですか。 (ため息)

(内村)無駄に察しのいいお前なら なぜ呼ばれたか わかるな。

武井久美子議員は 元警察官僚でしたね。

そんな話はしてない。

おや そんなところから 抗議でもあったのかと。

城南大の栗田教授の研究を 邪魔してるらしいな。

いえ 我々に 教授の研究の邪魔を する意図はありません。

ええ 殺人事件の捜査を しているだけです。

お前たちに 殺人事件の捜査を する権限はない。

もちろん 日本の国益を 邪魔する権利もない。

栗田教授が どんな研究をしているか→

知ってるな? 知っています。

聞けば聞くほど 日本の宝とも言える人物だ。

同感です。

だったら なぜ その人を 困らせるような事をする?

大体 これは 自殺として処理された案件だ。

お言葉ですが 死亡現場が判明して 殺人の疑いが出たはずです。

そんな話は聞いてないし 聞く必要もない。

(携帯電話の振動音) 申し訳ありません。

謝るんだったら 最初から…。 いえ…。

(携帯電話の振動音) ちょっと 失礼いたします。

こらーっ!

ああ 続きは 僕が叱られますから。 どうぞ。

あ もしもし。

いつ硫化水素を 浴びたかというご質問ですが…。

いつ硫化水素を浴びたのか わかるそうですよ。

亡くなられた時ですよね 高松先生が。

いえ 高松教授ではなく 犯人が。 は?

高松教授の死亡現場は あちらでした。

しかし このトイレに→

硫化水素の痕跡は ありませんでした。

つまり 高松教授の死後→

何者かが このトイレの窓を開け 硫化水素を排出し→

ここを丹念に掃除した という事です。

その間 犯人は 硫化水素を浴びた可能性が高い。

もし 髪の毛に 浴びてしまっていたとしたら…。

髪の毛は 毎日 伸びるので 調べれば→

いつ浴びたのか わかるそうですよ。

もうおわかりかと思いますが→

先生の毛髪 任意提出していただけますか。

任意なら お断りします。

おや バクテクロリスの時は 快く提出してくださったのに。

毛髪は調べられると困りますか?

自殺で処理された件を 調べているのは→

あなた方だけのようですね。

元警察官僚の代議士に 確認されましたか。

提出していただけますよね?

一晩 考えさせていただけませんか。

染められたりすると 鑑定不能になってしまいますから。

栗田教授の毛髪です。

(米沢)お預かりします。

どのくらい かかりますか? お急ぎでしょうか?

できれば 朝までには。

という事は 必然的に また徹夜ですな。

本当にどうもありがとう。

♪♪~(栗田)「あすなろ あすなろ あすはなろう」

♪♪~「とうげを こえる ひとたちの」

♪♪~「なつは ひかげに なるような」

♪♪~「おおきな ひのきに あすはなろう」

石油になれなきゃ 意味がない。

そうだよな?

(携帯電話)

鑑定結果ですか? (携帯電話)

(携帯電話)

栗田教授です。 (携帯電話)

(携帯電話の操作音)

はい 杉下です。

(栗田)「城南大の栗田です」

おや こんな時間にどうしました?

「毛髪は もう… 毛髪は鑑定を…」

いえ 明日の朝 提出します。

ですから 結果は もう少しお待ちください。

栗田教授 神戸です。 教授 鑑定結果が出る前に→

僕たちに 何か話したい事が あるんじゃないですか?

栗田教授?

「話したい事があります」

どちらに伺えばいいでしょうか。

高松ルームへ。

では 伺います。

♪♪~

うあっ…!

(物が落ちる音)

≪(ドアを叩く音)

≪(何かが倒れる音)

♪♪~

神戸君!

♪♪~

(パトカーのサイレン)

近づかないで!

我々に近づかないでください!

♪♪~

室内捜索開始。 了解!

♪♪~

(伊丹)なぜ殺そうとした? 特命係の2人を。

それも 高松教授をやったのと 同じ手を使って。

大丈夫だったんでしょうか? えっ?

高松ルームのほうは 大丈夫だったんでしょうか?

自分でやっといて 何 言ってるんだよ。

(三浦)警察と消防の専門班が 処理しています。

部外者は近づけていません。

(専門班員)早く準備を急げ! (専門班員)はい!

急な話でしたけど ちゃんと手配してますから。

現場のほうは?

大丈夫。 処理は進んでいます。

どうして…。

どうして わかったんです?

先生から 高松ルームに呼び出された時に→

口封じをされる可能性を 考えました。

あなたは この事件を調べてるのが→

僕たち2人だけだと 思ってましたからね。

にわか科学は目的を見失う。

先生が殺そうとしたのは 我々だけだったはずです。

しかし もしあそこに 人が近づいてしまったら→

どんな事になっていたでしょう。

あなたは そんな事も わからなくなっていましたか?

科学者は 常に その科学が どんな結果をもたらすのか→

肝に銘じなければならない… でしたね?

すべて話してくれますよね?

(高松)世界中の人たちの エネルギーとなるような→

明日は石油になろう!

(栗田)先生 だいぶ 疲れてらっしゃるようですが…。

ここと共同研究の話を進める。

驚かないんだな。

今日 私にも連絡がありました。

お断りしたいと 言っておきました。

(高松)交渉の担当は私だ!

(栗田)先方も そう言ってました。

(高松) 純国産エネルギーにこだわる→

君の気持ちもわかる。 考え直してください!

(高松)石油にならなきゃ 意味がないんだよ!

この子たちが生まれてきた 意味がないんだ!

海外に売る気ですか? 我々の子供を。

日本の企業から これ以上 資金を出させるのは 不可能だよ。

だったら…。 お願いです 先生! 先生…。

今度は 私も資金集めの仕事を 一緒にしますから。

(高松)そんな簡単じゃない!

(栗田の声)それが 何度も話し合った結果でした。

この子たちのためでもあるんだ。

この国と手を組めば 資金的な心配はなくなる。

それに ここに拠点を置けば→

開発を潰そうとする エネルギー業界からも→

身を守る事ができるんだ。

悪いが… もう決めた事だ。

(栗田の声)私は トイレの水を流すと→

硫化水素ガスが発生する 仕掛けをして→

高松先生を…。

♪♪~

現在… 私以外に→

バクテクロリスの開発ができる 研究者はいません。

私が捕まれば→

同じような開発をしている 海外に抜かされ→

日本は 永久に エネルギー輸入国のままです。

栗田教授 あなたの研究は 本当に素晴らしい。

ですが 有意義な研究を続ける事と 人の命を奪った事は→

まったく別の問題ですよ。

警部殿 そろそろ 我々にも取り調べを…。

最後に もう1つだけ。

神戸君。 はい。

♪♪~

何をした…?

あの子たちに何を…!? おい!

枯れてる…! 死滅してる!

研究室の人も言っていました。 全滅してしまったって。

♪♪~

栗田教授。

素人考えですが→

あなたが部屋に充満させた バクテクロリスの硫化水素→

それが原因だったんじゃ ありませんかね。

私が…。

♪♪~

(嗚咽)

どうして…!

(栗田の号泣)

♪♪~

はい わかりました。

わざわざ どうもありがとうございました。

はい。

城南大で検査した結果→

バクテクロリスが死滅した原因は→

やはり 部屋に充満した 硫化水素だったそうです。

しかし バクテクロリスは→

硫化水素を蓄積するはずでしたね。

ええ 水中では。 でも それ以外の場所で触れると→

他の生物と同様 深刻な影響が出る…→

そういう事がわかったそうです。 そうですか…。

結局 自分で蓄積した毒が 命取りになったんですね。

何を考えてるんです?

以前 君が考えていたような事です。

えっ…?

♪♪~

それは おととい採取した…。 はい。

生き残りのバクテクロリス。

これ 大学に返そうと思います。

しかし バクテクロリスを 開発できるのは→

栗田教授だけだったはずです。

それでも ごくわずかでも 可能性があるのなら…。

神戸君…。

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