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1
00:00:24,960 --> 00:00:28,880
今 お話しした事は
すべて 僕の推測です。
2
00:00:28,880 --> 00:00:32,000
証拠はありません。
3
00:00:32,000 --> 00:00:35,000
それで十分。
4
00:00:36,930 --> 00:00:40,880
謎を解いてくださって
ありがとう。
5
00:01:07,990 --> 00:01:11,940
真実を確かめたいのでは
ありませんか?
6
00:01:11,940 --> 00:01:15,930
いいえ。
42年も昔の事です。
7
00:01:46,930 --> 00:01:48,930
高塔先生。
8
00:01:48,930 --> 00:01:52,970
今日は どなたか お身内の方と
ご一緒にいらしてくださるよう→
9
00:01:52,970 --> 00:01:54,940
お願いしたはずですが…。
10
00:01:54,940 --> 00:01:59,960
あいにく
私には身寄りがありませんの。
11
00:01:59,960 --> 00:02:05,060
それに ここでは
先生は あなたのほうですよ。
12
00:02:05,060 --> 00:02:07,060
ああ…。
13
00:02:09,850 --> 00:02:15,020
はっきり
おっしゃってくださいな。
14
00:02:15,020 --> 00:02:19,020
私には あと
どれくらい時間がありますの?
15
00:02:31,970 --> 00:02:35,980
気が進みませんねぇ。
16
00:02:47,920 --> 00:02:49,910
あっ…。
17
00:03:03,000 --> 00:03:05,000
失礼ですが…。
18
00:03:06,980 --> 00:03:11,050
この日傘
あなたものではありませんか?
19
00:03:11,050 --> 00:03:13,050
あら…。
20
00:03:13,950 --> 00:03:16,940
どうして 私のものだと?
21
00:03:16,940 --> 00:03:20,960
柿染めの日傘なので
和装の女性のものではないかと。
22
00:03:20,960 --> 00:03:23,990
柿染めだなんて
お着物にお詳しいのね。
23
00:03:23,990 --> 00:03:26,950
知人に 着物の好きな女性が
いるものですからねぇ。
24
00:03:26,950 --> 00:03:29,060
ああ そう。
やはり そうでしたか。
25
00:03:29,060 --> 00:03:31,060
どうもありがとう。
26
00:03:37,920 --> 00:03:41,060
でも もう日傘はいらないわね。
27
00:03:41,060 --> 00:03:43,060
夏は また来ますよ。
28
00:03:45,060 --> 00:03:48,060
さっき 聞いたんですけどね…。
29
00:03:50,970 --> 00:03:56,970
来年の夏には
私 もう この世にいないのよ。
30
00:04:01,010 --> 00:04:03,010
…はい?
31
00:04:59,940 --> 00:05:02,960
早めに抜いたほうが
いいと思うよ。
32
00:05:02,960 --> 00:05:06,980
ねじ曲がった親知らず。
定期健診で言われたんだろ?
33
00:05:06,980 --> 00:05:09,830
でっかい病院で
歯茎切開して 引っこ抜けって。
34
00:05:09,830 --> 00:05:12,930
いいんです。 別に 今
痛んでるわけではありませんから。
35
00:05:12,930 --> 00:05:14,870
ヘッ… また強がって。
36
00:05:14,870 --> 00:05:18,870
大体 なんで わざわざ
この間 病院行ったのに→
37
00:05:18,870 --> 00:05:21,080
治療せずに帰って来たのよ?
38
00:05:21,080 --> 00:05:25,080
たまたま知り合った方を
車で送って差し上げたので。
39
00:05:36,930 --> 00:05:38,930
はい 特命係 神戸です。
40
00:05:38,930 --> 00:05:44,830
「高塔と申しますが
杉下右京さんをお願いします」
41
00:05:44,830 --> 00:05:47,050
はい 少々お待ちください。
42
00:05:47,050 --> 00:05:51,050
高塔さんとおっしゃる
女性の方です。
43
00:05:57,010 --> 00:06:02,010
お電話 代わりました 杉下です。
先日は どうも。
44
00:06:02,930 --> 00:06:10,080
ええ… ええ 構いませんよ。
45
00:06:10,080 --> 00:06:15,080
暇ですから すぐに伺いましょう。
では。
46
00:06:18,930 --> 00:06:21,940
勤務中でございますが どちらへ?
47
00:06:21,940 --> 00:06:26,020
もちろん 職務の一環ですよ。
はぁ~。
48
00:06:26,020 --> 00:06:29,020
という事は
僕も ついて行っていいわけだ。
49
00:06:32,960 --> 00:06:34,950
高塔織絵。
50
00:06:34,950 --> 00:06:36,900
女流歌人…。
51
00:06:36,900 --> 00:06:39,940
へぇ~ あの五七五七七の
短歌を詠む人なんですか。
52
00:06:39,940 --> 00:06:41,940
そうですよ。
53
00:06:41,940 --> 00:06:44,880
「10代で 器の会の主宰
浅沼幸人に師事」
54
00:06:44,880 --> 00:06:48,830
「23歳で 第一歌集を発表し
一躍 歌壇の脚光を浴びる」
55
00:06:48,830 --> 00:06:52,950
「その後 話題作を続々と発表して
受賞歴を重ねる一方→
56
00:06:52,950 --> 00:06:57,920
2003年 器の会の主宰を引き継ぎ
活躍を続けている」
57
00:06:57,920 --> 00:07:01,060
杉下さん
すごい人 知ってるんですね。
58
00:07:01,060 --> 00:07:03,060
偶然知り合っただけです。
59
00:07:03,930 --> 00:07:06,920
なるほど。 この二重底から→
60
00:07:06,920 --> 00:07:09,880
見た事のない青い小瓶が
出てきたわけですね?
61
00:07:09,880 --> 00:07:12,040
そう。 それで→
62
00:07:12,040 --> 00:07:15,870
大学の薬学部に勤めている知人に
調べてもらったら→
63
00:07:15,870 --> 00:07:19,840
小瓶の中身は 毒物だったの。
64
00:07:19,840 --> 00:07:22,950
毒…?
ええ。 それも→
65
00:07:22,950 --> 00:07:26,950
ごく少量で人が死んでしまう程の
猛毒。
66
00:07:26,950 --> 00:07:29,840
あっ そう えっと あなた…。
あっ 神戸です。
67
00:07:29,840 --> 00:07:31,960
そうそう 神戸さん。
68
00:07:31,960 --> 00:07:33,880
そこに かりんとう ありますから
どうぞ。
69
00:07:33,880 --> 00:07:36,090
どうも。
70
00:07:36,090 --> 00:07:40,090
ところで これは
どなたの文箱なのでしょう?
71
00:07:41,950 --> 00:07:46,870
これは 桐野孝雄という人の
文箱でした。
72
00:07:46,870 --> 00:07:50,990
桐野は
私が二十歳の学生の頃に→
73
00:07:50,990 --> 00:07:54,990
結婚を約束した人でした。
74
00:07:56,110 --> 00:07:59,110
この人よ。
失礼。
75
00:07:59,930 --> 00:08:03,960
桐野と私は
短歌の会で知り合ったの。
76
00:08:03,960 --> 00:08:09,940
桐野は 機械部品工場の工員で
頭の固い私の両親は…。
77
00:08:09,940 --> 00:08:12,930
桐野さんとの交際に反対した。
78
00:08:12,930 --> 00:08:18,020
そう。
それで 私は家を出て→
79
00:08:18,020 --> 00:08:21,860
桐野の下宿で
一緒に暮らし始めたの。
80
00:08:21,860 --> 00:08:25,930
ところが その年の夏→
81
00:08:25,930 --> 00:08:28,930
私が
大阪に嫁いでる姉のところに→
82
00:08:28,930 --> 00:08:32,930
今後の事を
相談しに行ってる間に→
83
00:08:32,930 --> 00:08:38,960
桐野は 毒を飲んで
死んでしまった。
84
00:08:38,960 --> 00:08:40,930
服毒自殺ですか…。
85
00:08:40,930 --> 00:08:43,960
遺書は あったのですか?
86
00:08:43,960 --> 00:08:45,830
いいえ。
87
00:08:45,830 --> 00:08:50,840
でも 桐野は元々
体が丈夫なほうではなくて。
88
00:08:50,840 --> 00:08:55,060
その頃も 過労で
時々 倒れたりしてましたから。
89
00:08:55,060 --> 00:09:00,060
警察では 将来を悲観して
衝動的に自殺したんだろうと。
90
00:09:00,830 --> 00:09:03,030
よろしければ→
91
00:09:03,030 --> 00:09:07,030
桐野さんが発見された時の様子を
教えていただけますか。
92
00:09:09,940 --> 00:09:12,940
発見したのは…。
93
00:09:12,940 --> 00:09:14,860
桐野 入るぞ。
94
00:09:14,860 --> 00:09:17,950
桐野の無断欠勤を不審に思って→
95
00:09:17,950 --> 00:09:21,980
様子を見に来た工場の人たち。
96
00:09:21,980 --> 00:09:26,000
桐野は 窓のすぐ横に倒れていて→
97
00:09:26,000 --> 00:09:30,940
毒の入ったコーヒーのカップは
窓の桟に置かれていたそうです。
98
00:09:30,940 --> 00:09:34,860
コーヒーカップの指紋は?
カップにも→
99
00:09:34,860 --> 00:09:37,980
インスタントコーヒーの瓶にも
スプーンにも→
100
00:09:37,980 --> 00:09:41,950
桐野の指紋しか
残っていなかったと聞いたわ。
101
00:09:41,950 --> 00:09:45,910
じゃあ この二重底から見つかった
青い毒の小瓶は…。
102
00:09:45,910 --> 00:09:48,830
桐野さんが
服毒に用いたものでしょうね。
103
00:09:48,830 --> 00:09:50,930
私も そう思うわ。
104
00:09:50,930 --> 00:09:53,900
でも おかしくありません?
はい?
105
00:09:53,900 --> 00:09:57,990
毒を飲んで
自殺しようとした人が→
106
00:09:57,990 --> 00:10:00,960
一体 なんのために
毒を隠したのか。
107
00:10:00,960 --> 00:10:03,860
確かに。 遺体が見つかれば
体内から毒が検出されて→
108
00:10:03,860 --> 00:10:06,930
毒を飲んだ事は
すぐにわかりますからね。
109
00:10:06,930 --> 00:10:10,950
で その肝心の小瓶なんですけど
どちらに?
110
00:10:10,950 --> 00:10:15,940
調べたあと ちゃんと 向こうで
廃棄していただきました。
111
00:10:15,940 --> 00:10:19,940
えっ?
だって 毒なんですよ。
112
00:10:19,940 --> 00:10:21,980
危ないじゃありませんか。
113
00:10:21,980 --> 00:10:23,880
いや しかし その小瓶があれば→
114
00:10:23,880 --> 00:10:27,020
指紋とかも
調べられたんですけど。
115
00:10:27,020 --> 00:10:31,940
桐野さんが発見された時
部屋の鍵は閉まっていましたか?
116
00:10:31,940 --> 00:10:33,860
いいえ。
117
00:10:33,860 --> 00:10:37,040
では その夜
あなたが部屋にいない事を→
118
00:10:37,040 --> 00:10:40,040
知っていた人物はいますか?
119
00:10:41,850 --> 00:10:45,830
短歌の会の人は
みんな知ってました。
120
00:10:45,830 --> 00:10:50,070
前の週の会に
私 週末には大阪に行くって→
121
00:10:50,070 --> 00:10:54,070
話しましたから。
なるほど。
122
00:10:59,930 --> 00:11:03,950
他殺の可能性を
考えてらっしゃるのね?
123
00:11:03,950 --> 00:11:07,840
おっしゃるとおり。
事件の夜 部屋には→
124
00:11:07,840 --> 00:11:10,840
もう1人の人物がいた。
ええ。
125
00:11:10,840 --> 00:11:13,930
その人物が
桐野さんの目を盗んで→
126
00:11:13,930 --> 00:11:16,950
コーヒーカップに毒を入れて
彼を殺害した。
127
00:11:16,950 --> 00:11:20,870
仮にそうだとしても その人物が
毒を隠したかったのであれば→
128
00:11:20,870 --> 00:11:23,840
単に持ち去れば済む話です。
なぜ その人物は→
129
00:11:23,840 --> 00:11:27,960
わざわざ 文箱の二重底に
隠したのでしょう?
130
00:11:27,960 --> 00:11:33,900
青い毒の小瓶の謎
解いていただけます?
131
00:11:33,900 --> 00:11:36,900
やってみましょう。
132
00:11:38,940 --> 00:11:42,960
それにしても 高塔織絵さんは
不思議な方ですねぇ。
133
00:11:42,960 --> 00:11:45,940
ええ まあ。 鋭いんだか
おっとりしてるんだか。
134
00:11:45,940 --> 00:11:48,850
いや 僕が不思議だと思うのは
彼女が→
135
00:11:48,850 --> 00:11:53,000
「毒の小瓶の謎を解いてほしい」と
言った事です。
136
00:11:53,000 --> 00:11:54,940
どうして それが不思議だと?
137
00:11:54,940 --> 00:11:58,840
彼女は ずっと自殺だと思っていた
かつての恋人が→
138
00:11:58,840 --> 00:12:03,030
他殺だったかもしれないと
初めて疑いを抱いたんですよ。
139
00:12:03,030 --> 00:12:04,860
本来だったらば
最も知りたいのは→
140
00:12:04,860 --> 00:12:07,070
毒の小瓶の謎ではなく→
141
00:12:07,070 --> 00:12:12,070
誰が恋人を殺したのか
という事だとは思いませんか?
142
00:12:14,010 --> 00:12:16,010
なるほど。
143
00:12:18,840 --> 00:12:22,960
そうですか…
今頃になって 毒の小瓶がね。
144
00:12:22,960 --> 00:12:25,850
確か 島津さんも
桐野さんと同じく→
145
00:12:25,850 --> 00:12:28,900
器の会の立ち上げメンバーの
お一人でしたよね?
146
00:12:28,900 --> 00:12:33,930
ええ。 まあ 桐野君と僕は
メンバーの中では→
147
00:12:33,930 --> 00:12:37,910
短歌の腕前が 今ひとつ
パッとしない部類でしてね。
148
00:12:37,910 --> 00:12:40,980
いわゆる凡手ってやつでしたよ。
149
00:12:40,980 --> 00:12:44,950
ところで 例えばなんですが
当時 桐野さんの周りに→
150
00:12:44,950 --> 00:12:47,910
彼を恨んでいたような人は
いませんでしたか?
151
00:12:47,910 --> 00:12:49,960
恨んでいた人…?
152
00:12:49,960 --> 00:12:53,950
いや 彼は素朴な人柄でしたからね
私の知る限り→
153
00:12:53,950 --> 00:12:56,930
彼を恨んでるような人は
いませんでしたよ。
154
00:12:56,930 --> 00:12:59,950
では 桐野さんの死後
高塔さんに言い寄った男性は→
155
00:12:59,950 --> 00:13:03,870
いませんでしたか?
ええ いましたよ。
156
00:13:03,870 --> 00:13:06,960
その方のお名前を
教えてもらえますか。
157
00:13:06,960 --> 00:13:10,960
当時 器の会にいた男
ほぼ全員です。
158
00:13:10,960 --> 00:13:13,050
えっ?
159
00:13:15,930 --> 00:13:18,850
いやぁ いまだに 彼女は
あれだけの美人だ。
160
00:13:18,850 --> 00:13:21,940
当時は もう みんなが
彼女に夢中でしてね。
161
00:13:21,940 --> 00:13:24,980
そうだったんですか。
162
00:13:24,980 --> 00:13:28,830
あの頃 下心抜きで
彼女に接していたのは→
163
00:13:28,830 --> 00:13:31,830
浅沼先生くらいでしたね。
164
00:13:31,830 --> 00:13:36,940
浅沼さんというのは 確か
器の会を旗揚げした人ですよね。
165
00:13:36,940 --> 00:13:40,940
ええ。
浅沼先生は人格者でしてね。
166
00:13:40,940 --> 00:13:42,940
厳しい人だが→
167
00:13:42,940 --> 00:13:46,930
本気で歌を志す者には
助力を惜しまなかった。
168
00:13:46,930 --> 00:13:51,850
先生と高塔さんは 歌の事になると
一切の妥協がないというか。
169
00:13:51,850 --> 00:13:55,040
まあ 横から見ていても→
170
00:13:55,040 --> 00:13:59,040
火花を散らすようなところが
ありましてね。
171
00:14:00,950 --> 00:14:02,850
彼女を指導し→
172
00:14:02,850 --> 00:14:06,980
歌人として成功する道筋を
つけたのも→
173
00:14:06,980 --> 00:14:11,060
浅沼先生でした。
なるほど。
174
00:14:11,060 --> 00:14:15,060
しかし もう42年ですか…。
175
00:14:17,930 --> 00:14:19,930
ところで 今日は→
176
00:14:19,930 --> 00:14:22,930
亡くなった桐野孝雄君の事で
いらしたそうですが。
177
00:14:22,930 --> 00:14:26,940
実は 当時見つからなかった
毒の容器が→
178
00:14:26,940 --> 00:14:30,980
つい最近 桐野さんの文箱の
二重底から見つかりまして。
179
00:14:30,980 --> 00:14:32,960
文箱の二重底…?
180
00:14:32,960 --> 00:14:37,830
ええ。 それで 当時の事などを
少しお聞かせ願えればと。
181
00:14:37,830 --> 00:14:40,940
私でお役に立つ事でしたら。
182
00:14:40,940 --> 00:14:43,910
早速ですが
当時 浅沼先生は→
183
00:14:43,910 --> 00:14:47,990
桐野さんが自殺したと聞いて
どう思われました?
184
00:14:47,990 --> 00:14:50,960
正直言って驚きました。
185
00:14:50,960 --> 00:14:54,920
仕事がきつくて 体がつらいとは
聞いていましたが→
186
00:14:54,920 --> 00:14:58,000
そこまで思い詰めているとは
思いませんでしたから。
187
00:14:58,000 --> 00:14:59,840
桐野さんは 普段から→
188
00:14:59,840 --> 00:15:02,940
気持ちを外に見せない方
だったのでしょうか?
189
00:15:02,940 --> 00:15:07,910
いや むしろ
飾らない純朴な青年でした。
190
00:15:07,910 --> 00:15:10,980
そうですか。
191
00:15:10,980 --> 00:15:13,950
そうだ 杉下さん。
192
00:15:13,950 --> 00:15:18,940
桐野君が作った歌を
ぜひ読んでみてください。
193
00:15:18,940 --> 00:15:23,930
歌には
人柄が そのまま出ますから。
194
00:15:23,930 --> 00:15:27,850
高塔君が 彼の短歌ノートを
持っていると思います。
195
00:15:27,850 --> 00:15:30,990
なるほど。
196
00:15:30,990 --> 00:15:36,020
時に 浅沼先生
先生からご覧になって→
197
00:15:36,020 --> 00:15:39,020
高塔織絵さんは
どんな方でしょう?
198
00:15:41,910 --> 00:15:45,930
高塔君ですか…。
199
00:15:45,930 --> 00:15:48,940
聡明で 情熱的で→
200
00:15:48,940 --> 00:15:52,860
とても才能のある歌人だと
思いますよ。
201
00:15:52,860 --> 00:15:55,930
この間も 電話で
次の歌会のテーマに→
202
00:15:55,930 --> 00:15:59,050
「背」はどうかと
言ってきましてね。
203
00:15:59,050 --> 00:16:02,050
背ですか…?
ええ。
204
00:16:08,040 --> 00:16:10,040
背中の「背」です。
205
00:16:12,980 --> 00:16:18,000
高塔君らしい
意欲的なテーマだと思いました。
206
00:16:18,000 --> 00:16:22,000
彼女は まだまだ
これからが楽しみな歌人ですよ。
207
00:16:50,850 --> 00:16:53,990
どうして
桐野の短歌ノートを?
208
00:16:53,990 --> 00:16:56,870
歌には 人柄がそのままに出る。
209
00:16:56,870 --> 00:16:59,860
浅沼先生に
そう伺ったものですから。
210
00:16:59,860 --> 00:17:03,960
先生のところに いらしたの?
ええ。
211
00:17:03,960 --> 00:17:10,000
浅沼先生には まだ ご病気の事を
話してらっしゃらないようですね。
212
00:17:10,000 --> 00:17:14,000
師弟として
40年以上の間柄なのに。
213
00:17:15,960 --> 00:17:21,950
話して治ります?
僕には話しましたよ。
214
00:17:21,950 --> 00:17:27,070
でも 赤の他人だからこそ
話せる事もあるでしょう。
215
00:17:27,070 --> 00:17:31,070
第一 あなたは
私の事 心配しないもの。
216
00:17:31,940 --> 00:17:35,960
何か わかりました?
217
00:17:35,960 --> 00:17:38,970
桐野さんは とても優しい方で→
218
00:17:38,970 --> 00:17:41,970
あなたは 意外に心配性だった…→
219
00:17:41,970 --> 00:17:44,860
というところでしょうかねぇ。
220
00:17:44,860 --> 00:17:49,960
「夜明けまで
われを案ずる妻ありて→
221
00:17:49,960 --> 00:17:54,950
飲める薬は苦く悲しき」
222
00:17:54,950 --> 00:17:59,870
「一杯の水飲みたしと目覚むれば→
223
00:17:59,870 --> 00:18:03,960
妻も目覚めて 水かと問ひき」
224
00:18:03,960 --> 00:18:06,940
桐野さんの歌には
彼を案ずるあなたの事が→
225
00:18:06,940 --> 00:18:08,900
多く歌われていますね。
226
00:18:08,900 --> 00:18:15,970
ええ。 桐野は本当に優しかった。
227
00:18:15,970 --> 00:18:17,870
高塔さん。
228
00:18:17,870 --> 00:18:21,930
昨日 あなたは
他殺の可能性に言及した上で→
229
00:18:21,930 --> 00:18:24,860
青い小瓶の謎を解いてほしいと
おっしゃいました。
230
00:18:24,860 --> 00:18:28,950
犯人を見つけてほしいではなく。
なぜでしょう?
231
00:18:28,950 --> 00:18:33,950
あなたが 青い小瓶の謎を
解いてくだされば→
232
00:18:33,950 --> 00:18:38,880
桐野の最期が
はっきりしますでしょう?
233
00:18:38,880 --> 00:18:41,960
つまり 自殺か他殺か…。
234
00:18:41,960 --> 00:18:43,930
杉下さん。
235
00:18:43,930 --> 00:18:50,860
私 自殺ではない可能性もある…
そう思った時→
236
00:18:50,860 --> 00:18:55,080
なんだか うれしかった。
237
00:18:55,080 --> 00:19:01,080
恐ろしい事かもしれませんけど
うれしかった。
238
00:19:01,870 --> 00:19:03,970
それは当然だと思いますよ。
239
00:19:03,970 --> 00:19:05,950
一緒に暮らしてた恋人に
自殺されたら→
240
00:19:05,950 --> 00:19:07,940
誰だって自分を責めますよ。
241
00:19:07,940 --> 00:19:11,010
どうして
助けられなかったのかって。
242
00:19:11,010 --> 00:19:12,980
しかし 他殺なら 話は別です。
243
00:19:12,980 --> 00:19:15,950
まあ 他殺は
恐ろしい事ですけど→
244
00:19:15,950 --> 00:19:20,030
それでも 長年の自責の念からは
解放されますからね。
245
00:19:20,030 --> 00:19:22,970
本当に
そういう事なんでしょうかねぇ。
246
00:19:22,970 --> 00:19:25,890
いずれにせよ 僕のほうは
どの同人に聞いても→
247
00:19:25,890 --> 00:19:27,990
島津さんと
同じような話でしたね。
248
00:19:27,990 --> 00:19:30,860
当時 桐野さんの周りには
トラブルはなく→
249
00:19:30,860 --> 00:19:33,880
高塔さんと桐野さんは
深く愛し合っていた。
250
00:19:33,880 --> 00:19:37,890
あっ 桐野さんが亡くなった時
高塔さんは ショックで倒れて→
251
00:19:37,890 --> 00:19:42,020
通夜にも葬儀にも
出られなかったそうです。
252
00:19:42,020 --> 00:19:44,960
それ 本当ですか?
ええ。
253
00:19:44,960 --> 00:19:47,860
だって 当時 高塔さんは
まだ二十歳だったんですよ。
254
00:19:47,860 --> 00:19:52,000
ショックで倒れても
不思議だと思いませんけど。
255
00:19:52,000 --> 00:19:53,980
とにかく 僕は明日→
256
00:19:53,980 --> 00:19:56,950
この件を担当した退職刑事に
会ってきます。
257
00:19:56,950 --> 00:20:00,930
君 42年前の担当刑事を
突き止めたのですか?
258
00:20:00,930 --> 00:20:02,960
はい。
半日 所轄で調べに調べて→
259
00:20:02,960 --> 00:20:04,950
突き止めました たった1人で。
260
00:20:04,950 --> 00:20:08,000
神戸君。
な… なんですか?
261
00:20:08,000 --> 00:20:10,000
君… 意外に根気強い。
262
00:20:10,950 --> 00:20:13,970
あと1キロか…。
263
00:20:13,970 --> 00:20:17,040
どうして 退職してから
山に住むかなぁ。
264
00:20:17,040 --> 00:20:19,040
あっ 痛っ…。
265
00:20:31,940 --> 00:20:33,940
少しお聞きしたい事が
ありまして。
266
00:20:33,940 --> 00:20:37,010
家政婦さんから
こちらだと伺いました。
267
00:20:37,010 --> 00:20:40,010
ここで勉強するのが
習慣なの。
268
00:20:42,020 --> 00:20:44,940
気持ちのいい場所ですねぇ。
269
00:20:44,940 --> 00:20:51,940
ええ。 心が落ち着いて
言葉がよく体に入ってくる。
270
00:20:57,970 --> 00:21:02,900
聞きたい事って なんですの?
271
00:21:02,900 --> 00:21:07,940
桐野さんが亡くなった時
あなたは ショックで倒れて→
272
00:21:07,940 --> 00:21:10,950
通夜にも葬儀にも
出られなかったと聞きました。
273
00:21:10,950 --> 00:21:14,010
それは本当ですか?
274
00:21:14,010 --> 00:21:18,010
ええ 本当です。
275
00:21:19,970 --> 00:21:23,920
どうして?
僕は 人の本質は→
276
00:21:23,920 --> 00:21:26,930
そう変わらないものだと
思っています。
277
00:21:26,930 --> 00:21:29,950
ご自分の死には 落ち着いて
向き合っていられる あなたが→
278
00:21:29,950 --> 00:21:32,950
恋人の通夜にも葬儀にも→
279
00:21:32,950 --> 00:21:35,990
ショックで出られなかった
という事に→
280
00:21:35,990 --> 00:21:39,960
少し違和感を感じました。
281
00:21:39,960 --> 00:21:44,960
では 正確に言うわ。
282
00:21:44,960 --> 00:21:49,900
私は ショックで
お腹にいた桐野の子を流産して→
283
00:21:49,900 --> 00:21:52,870
入院していたの。
284
00:21:52,870 --> 00:21:56,970
桐野さんは あなたの妊娠を
ご存じだったのですか?
285
00:21:56,970 --> 00:22:01,880
いいえ。
桐野が妊娠を知れば→
286
00:22:01,880 --> 00:22:06,950
また 無理を押して働いて
体を痛めるかもしれない。
287
00:22:06,950 --> 00:22:11,970
それが心配で
まだ話してはいなかったの。
288
00:22:11,970 --> 00:22:16,980
だから 私が流産するまで→
289
00:22:16,980 --> 00:22:19,980
妊娠の事は
誰も知らなかったのよ。
290
00:22:24,970 --> 00:22:31,980
あの朝 病院で目を覚まして
窓から見た空の色…→
291
00:22:31,980 --> 00:22:35,930
今も はっきり覚えてるわ。
292
00:22:35,930 --> 00:22:39,070
どこまでも青い→
293
00:22:39,070 --> 00:22:43,070
本当に 切れるような青空だった。
294
00:22:47,960 --> 00:22:54,050
それより 青い小瓶の謎
少しは解けました?
295
00:22:54,050 --> 00:22:55,920
今のところ 桐野さんに→
296
00:22:55,920 --> 00:22:57,850
殺されるような理由は
見当たりません。
297
00:22:57,850 --> 00:23:00,850
無論 周りの誰も
知らないような理由…→
298
00:23:00,850 --> 00:23:03,940
つまり 桐野さんと犯人しか
知りえない理由で→
299
00:23:03,940 --> 00:23:07,980
殺された可能性も否定できません。
ただ もう1つだけ→
300
00:23:07,980 --> 00:23:09,960
まったく別の理由も
考えられます。
301
00:23:09,960 --> 00:23:13,000
何かしら?
302
00:23:13,000 --> 00:23:16,870
あなたです。
私…?
303
00:23:16,870 --> 00:23:19,960
あなたの人生には
2人の男性がいます。
304
00:23:19,960 --> 00:23:23,960
1人は
あなたが二十歳の頃に愛した人。
305
00:23:23,960 --> 00:23:25,960
もう1人は その人の死後→
306
00:23:25,960 --> 00:23:31,870
40年余りかけて あなたを
一流の歌人に育て上げた人。
307
00:23:31,870 --> 00:23:37,940
浅沼先生が
なんのために桐野を殺すの?
308
00:23:37,940 --> 00:23:43,980
もし そうだとしたら
あなたの才能を開花させるため。
309
00:23:52,960 --> 00:23:56,060
杉下さん。
310
00:23:56,060 --> 00:24:02,060
先生は 歌の才能のために
人を殺すような人ではないわ。
311
00:24:04,920 --> 00:24:09,960
それに 私の人生に
男性が たった2人きりだなんて→
312
00:24:09,960 --> 00:24:12,960
寂しい事 言わないでちょうだい。
313
00:24:12,960 --> 00:24:17,980
私に言い寄ってきた男性は
若草山の鹿の数より多いわよ。
314
00:24:25,960 --> 00:24:27,980
神戸君。
なんでしょう?
315
00:24:27,980 --> 00:24:29,940
君 枝豆
採りに行ってたんですか?
316
00:24:29,940 --> 00:24:33,850
いいえ 違います。 これは
山上元巡査部長からのお土産です。
317
00:24:33,850 --> 00:24:37,050
それは どうもありがとう。
で 何かわかりましたか?
318
00:24:37,050 --> 00:24:40,050
ええ。 それも決定的な事が。
319
00:24:40,850 --> 00:24:44,060
桐野さんが亡くなったのは→
320
00:24:44,060 --> 00:24:47,060
蒸し暑い夜でしてな…。
321
00:24:47,930 --> 00:24:52,970
下宿屋の玄関脇の縁台で
たまたま近所の老人が2人で→
322
00:24:52,970 --> 00:24:56,970
夜通し 賭け将棋を
やっておったんです。
323
00:24:56,970 --> 00:25:01,990
その2人の証言で
桐野さんが亡くなった晩→
324
00:25:01,990 --> 00:25:06,990
下宿屋に出入りした人間は
いないと わかったんですな。
325
00:25:07,920 --> 00:25:11,950
杉下さん 僕 思うんですけど
桐野さんが1人だった以上→
326
00:25:11,950 --> 00:25:15,970
やっぱり 彼の死は
自殺だったんじゃないでしょうか。
327
00:25:27,850 --> 00:25:31,970
「うしろめたき
ほどに真白き薬包紙→
328
00:25:31,970 --> 00:25:38,000
そろへて並べ 妻は眠りぬ」
329
00:25:38,000 --> 00:25:42,980
「咳やまぬ我の背さする妻の手に→
330
00:25:42,980 --> 00:25:46,980
夕餉の菜のかすかににほふ」
331
00:25:47,970 --> 00:25:50,010
なるほど。
332
00:25:50,010 --> 00:25:54,010
毒の小瓶の謎が解けました。
333
00:25:58,950 --> 00:26:02,020
これは あくまで仮定の話です。
334
00:26:02,020 --> 00:26:04,990
聞かせてちょうだい。
335
00:26:04,990 --> 00:26:09,930
桐野さんが亡くなった夜
部屋を訪ねた人は いなかった。
336
00:26:09,930 --> 00:26:12,850
これには ご近所の老人の証言が
ありました。
337
00:26:12,850 --> 00:26:16,980
問題の夜 桐野さんは1人だった。
338
00:26:16,980 --> 00:26:20,960
つまり 毒は
彼が自分でコーヒーに入れ→
339
00:26:20,960 --> 00:26:26,330
そのあと
自分で文箱に隠した事になる。
340
00:26:26,330 --> 00:26:28,950
桐野は自殺だとおっしゃるの?
341
00:26:28,950 --> 00:26:32,930
いいえ。
僕の出した結論は違います。
342
00:26:32,930 --> 00:26:36,970
仮に 犯人をXだとしましょう。
343
00:26:36,970 --> 00:26:39,870
Xは 桐野さんと顔見知りで→
344
00:26:39,870 --> 00:26:45,980
あの日 あなたが部屋にいない事を
知っていた人物です。
345
00:26:45,980 --> 00:26:48,000
問題の日 Xは→
346
00:26:48,000 --> 00:26:51,970
桐野さんが工場から帰る途中で
声をかけた。
347
00:26:51,970 --> 00:26:56,870
そして 言葉巧みに毒物を渡し
飲むよう促した。
348
00:26:56,870 --> 00:26:58,960
例えば こんなふうに…→
349
00:26:58,960 --> 00:27:01,980
「コーヒーなんかに
少し入れて飲むと→
350
00:27:01,980 --> 00:27:03,960
疲れが取れるそうだよ」。
351
00:27:03,960 --> 00:27:05,930
もちろん Xは→
352
00:27:05,930 --> 00:27:08,040
自分から毒が渡ったと
知れないよう→
353
00:27:08,040 --> 00:27:10,970
桐野さんに口止めしたはずです。
354
00:27:10,970 --> 00:27:13,920
例えば 「もうこれしかないから→
355
00:27:13,920 --> 00:27:17,920
僕からもらった事は
誰にも言わないでほしい」と。
356
00:27:18,980 --> 00:27:20,950
帰宅した桐野さんは→
357
00:27:20,950 --> 00:27:25,040
Xに言われたとおり
コーヒーに それを少し入れ→
358
00:27:25,040 --> 00:27:28,960
それから 小瓶を
文箱の二重底に隠した。
359
00:27:28,960 --> 00:27:31,880
あなたに見つからないように。
360
00:27:43,970 --> 00:27:48,980
そして 毒入りと知らずに
コーヒーを飲んだ。
361
00:28:01,970 --> 00:28:05,010
なぜ 私に見つからないように?
362
00:28:05,010 --> 00:28:09,860
あなたが問題の小瓶を見たら
当然 これは何かと尋ねます。
363
00:28:09,860 --> 00:28:13,970
嘘のつけない桐野さんは
疲れに効くんだと答える。
364
00:28:13,970 --> 00:28:18,970
そう聞いたら 心配性のあなたは
なんと言いますか?
365
00:28:18,970 --> 00:28:22,030
疲れがたまっているのかと
尋ねるわ。
366
00:28:22,030 --> 00:28:23,940
また具合が悪いのか…。
367
00:28:23,940 --> 00:28:26,000
そうです。
368
00:28:26,000 --> 00:28:29,930
桐野さんは あなたに
心配かけたくなかったんです。
369
00:28:29,930 --> 00:28:33,020
それと もう1つ。
誰からもらったのかと聞かれても→
370
00:28:33,020 --> 00:28:35,940
Xに口止めされていますから
答える事ができない。
371
00:28:35,940 --> 00:28:37,890
それで
あなたに見つからないように→
372
00:28:37,890 --> 00:28:39,880
小瓶を隠したんです。
373
00:28:39,880 --> 00:28:43,030
おそらく
桐野さんが小瓶を隠した事は→
374
00:28:43,030 --> 00:28:46,930
Xにとっても
予想外の事だったと思いますよ。
375
00:28:46,930 --> 00:28:50,020
では…→
376
00:28:50,020 --> 00:28:56,020
杉下さんの考えでは 桐野は…。
377
00:28:56,980 --> 00:29:00,060
ええ。
殺された可能性が高い。
378
00:29:00,060 --> 00:29:04,060
Xが誰であるかは
まだ特定できませんが。
379
00:29:08,970 --> 00:29:12,880
今 お話しした事は
すべて 僕の推測です。
380
00:29:12,880 --> 00:29:17,000
証拠はありません。
381
00:29:17,000 --> 00:29:20,020
それで十分。
382
00:29:20,020 --> 00:29:26,020
謎を解いてくださって
ありがとう。
383
00:29:33,080 --> 00:29:35,080
高塔さん。
384
00:29:37,970 --> 00:29:42,910
真実を確かめたいのでは
ありませんか?
385
00:29:42,910 --> 00:29:47,960
いいえ。
42年も昔の事です。
386
00:29:47,960 --> 00:29:51,980
もう確かめる術もないでしょう?
387
00:29:51,980 --> 00:29:54,900
あっ 杉下さん。
388
00:29:54,900 --> 00:29:58,860
あの文箱 お礼に
あなたに差し上げるわ。
389
00:29:58,860 --> 00:30:01,980
いつか 取りにいらして。
390
00:30:18,990 --> 00:30:22,950
彼女の気が済んだのなら
もう いいんじゃないですか。
391
00:30:22,950 --> 00:30:25,070
40年以上前の事件なんですから→
392
00:30:25,070 --> 00:30:29,070
そのXが誰だかわかっても
逮捕できるわけでもなし。
393
00:30:32,960 --> 00:30:36,060
この辺で区切りをつけて
ねじ曲がった親知らず→
394
00:30:36,060 --> 00:30:39,060
抜きに行ったほうが
よろしいかと。
395
00:30:39,860 --> 00:30:41,880
あっ そういえば 高塔さんと→
396
00:30:41,880 --> 00:30:43,850
病院で知り合ったって
言ってましたけど→
397
00:30:43,850 --> 00:30:46,970
どんなきっかけで?
ああ…。
398
00:30:46,970 --> 00:30:51,990
傘を忘れましてね。
傘?
399
00:30:58,870 --> 00:31:01,090
神戸君
いい事を聞いてくれました。
400
00:31:01,090 --> 00:31:03,090
えっ?
401
00:31:04,970 --> 00:31:07,990
確かめたい事があります。
どこに行くんですか?
402
00:31:07,990 --> 00:31:09,990
浅沼さんのお宅です。
403
00:31:26,780 --> 00:31:29,780
お待ちしておりました。
ああ…。
404
00:31:33,570 --> 00:31:38,670
今日は 家政婦さんがお休みで。
どうぞ。
405
00:31:38,670 --> 00:31:42,660
ありがとう。
考えてみると→
406
00:31:42,660 --> 00:31:46,550
高塔君の家に来るのは
初めての事だね。
407
00:31:46,550 --> 00:31:49,650
すみません。
急に呼びつけたりして。
408
00:31:49,650 --> 00:31:51,590
構わないよ。
409
00:31:51,590 --> 00:31:55,620
歌会のテーマの事で
相談があるそうだね?
410
00:31:55,620 --> 00:31:57,760
ええ。 でも お話は→
411
00:31:57,760 --> 00:32:00,600
コーヒーをいただいてからに
いたしません?
412
00:32:00,600 --> 00:32:02,700
そうだね。
そうそう→
413
00:32:02,700 --> 00:32:06,700
お友達から とてもいいものを
いただいたんですよ。
414
00:32:13,660 --> 00:32:18,650
これ コーヒーなんかに
少し入れて飲むと→
415
00:32:18,650 --> 00:32:20,720
疲れが取れるそうなの。
416
00:32:20,720 --> 00:32:22,570
そう。
417
00:33:07,710 --> 00:33:10,710
さようなら…。
418
00:33:14,750 --> 00:33:17,750
失礼します。
419
00:33:18,640 --> 00:33:20,660
あれ? 先生!
420
00:33:20,660 --> 00:33:22,660
失礼。
421
00:33:29,770 --> 00:33:31,770
神戸君。
はい。
422
00:33:33,620 --> 00:33:36,680
遺書って…!?
遺書!?
423
00:33:43,700 --> 00:33:47,700
浅沼先生は 42年前の罪を告白し→
424
00:33:47,700 --> 00:33:50,700
自ら命を絶つと書いてあります。
425
00:33:54,640 --> 00:33:56,680
杉下さん…。
426
00:33:56,680 --> 00:33:58,680
行きましょう。
427
00:34:10,530 --> 00:34:12,610
神戸君。
あ はい。 あっ…!?
428
00:34:12,610 --> 00:34:15,530
毒を処分したなんて
嘘だったんだ。
429
00:34:15,530 --> 00:34:18,670
あれじゃ
どうしようもないっすね。
430
00:34:18,670 --> 00:34:23,660
うーん…。
茫然自失… ってやつだな。
431
00:34:23,660 --> 00:34:25,620
杉下警部たちが
なんで こんなところに?
432
00:34:25,620 --> 00:34:27,690
失礼。
433
00:34:27,690 --> 00:34:30,630
大丈夫ですか?
434
00:34:30,630 --> 00:34:33,630
落ち着いたら
お話 聞かせてください。
435
00:34:34,770 --> 00:34:36,770
まさか…。
436
00:34:38,700 --> 00:34:42,700
ちょ ちょ… ちょっと。
いい。 ほっとけ。
437
00:34:44,730 --> 00:34:46,730
あっ…!?
438
00:34:50,670 --> 00:34:53,670
どうして 高塔さんが…。
439
00:34:56,670 --> 00:34:58,540
杉下警部。
440
00:34:58,540 --> 00:35:03,560
米沢さん 少しよろしいですか。
ええ。
441
00:35:03,560 --> 00:35:05,530
発見時 高塔織絵さんは→
442
00:35:05,530 --> 00:35:08,670
右手に
何か握っていませんでしたか?
443
00:35:08,670 --> 00:35:11,650
お気づきになられましたか。
右手に これを…。
444
00:35:11,650 --> 00:35:13,620
失礼。
445
00:35:13,620 --> 00:35:16,640
中には 大変毒性の強い劇薬が
入ってました。
446
00:35:16,640 --> 00:35:20,630
彼女は この小瓶の毒を飲んで
自ら命を絶った…?
447
00:35:20,630 --> 00:35:23,550
ええ。
指紋の位置 付着頻度からみて→
448
00:35:23,550 --> 00:35:26,690
第三者が小瓶を握らせた可能性は
ないですね。
449
00:35:26,690 --> 00:35:28,520
まず自殺に間違いないかと。
450
00:35:28,520 --> 00:35:30,640
ちょっと待ってください。
451
00:35:30,640 --> 00:35:33,560
どうして高塔さんが
自殺しなければならないんです?
452
00:35:33,560 --> 00:35:36,660
それに… これは?
453
00:35:36,660 --> 00:35:40,530
ああ その青い瓶 私も気になって
先ほど調べてみたんですけども→
454
00:35:40,530 --> 00:35:42,640
中身は
まったく無害な液体でした。
455
00:35:42,640 --> 00:35:46,540
無害?
一体 どういう事でしょう?
456
00:35:46,540 --> 00:35:49,730
おそらく 高塔織絵さんは
この青い小瓶の毒を→
457
00:35:49,730 --> 00:35:52,580
あらかじめ 無害な液体に
入れ替えておいた。
458
00:35:52,580 --> 00:35:56,530
そして この透明の小瓶に
移しておいた毒を飲んで→
459
00:35:56,530 --> 00:36:00,770
自ら命を絶った。
もちろん 高塔織絵さんには→
460
00:36:00,770 --> 00:36:03,770
そうするだけの理由があった
という事です。
461
00:36:09,550 --> 00:36:12,650
教えてもらえませんか。
462
00:36:12,650 --> 00:36:16,670
なぜ彼女が 自ら命を絶ったのか。
463
00:36:16,670 --> 00:36:19,660
42年前
桐野孝雄さんを殺害したのは→
464
00:36:19,660 --> 00:36:21,540
あなたですね。
465
00:36:21,540 --> 00:36:23,540
そうです。
466
00:36:23,540 --> 00:36:26,530
この遺書に
書いてあるとおりです。
467
00:36:26,530 --> 00:36:30,670
しかし 動機はなんでしょう?
あなたの遺書には→
468
00:36:30,670 --> 00:36:35,640
桐野さん殺害の動機について
一切 書かれていません。
469
00:36:35,640 --> 00:36:39,540
それが 彼女の死と
関係があるのですか?
470
00:36:39,540 --> 00:36:41,790
ええ。 それが→
471
00:36:41,790 --> 00:36:46,790
高塔織絵さんの死の謎を解く
鍵なんです。
472
00:36:49,540 --> 00:36:53,620
私は 彼女の才能を→
473
00:36:53,620 --> 00:36:57,660
卑俗な結婚生活に
うずもらせないために→
474
00:36:57,660 --> 00:36:59,600
桐野君を殺した。
475
00:36:59,600 --> 00:37:01,600
しかし 彼女は かつて→
476
00:37:01,600 --> 00:37:05,680
確信を持って
僕に こう言いました。
477
00:37:05,680 --> 00:37:11,680
先生は 歌の才能のために
人を殺すような人ではないわ。
478
00:37:12,660 --> 00:37:16,660
あなたは ひょっとして
42年前から→
479
00:37:16,660 --> 00:37:20,730
高塔織絵さんを
愛していたのではありませんか?
480
00:37:20,730 --> 00:37:24,550
そうだ。
私は 彼女を愛していた。
481
00:37:24,550 --> 00:37:27,740
しかし あなたは
桐野さんが亡くなったあとも→
482
00:37:27,740 --> 00:37:32,740
彼女に近づこうとはしなかった。
それは なぜですか?
483
00:37:36,550 --> 00:37:41,640
怖かったんです。
彼女を失う事…。
484
00:37:41,640 --> 00:37:44,670
桐野君の死後→
485
00:37:44,670 --> 00:37:48,740
彼女は その苦しみを
すべて 歌に注ぎ込んで→
486
00:37:48,740 --> 00:37:54,740
圧倒的な才能を開花させた。
まさにミューズのように。
487
00:37:56,640 --> 00:37:59,640
私は恐れた…。
488
00:37:59,640 --> 00:38:06,530
男として彼女に近づき
もし軽蔑されたら→
489
00:38:06,530 --> 00:38:13,770
彼女は去り
私は 永久に彼女を失う事になる。
490
00:38:13,770 --> 00:38:16,660
あなたは そうなる事を恐れて→
491
00:38:16,660 --> 00:38:22,590
長い年月 師としての顔を
貫きとおしたんですね?
492
00:38:22,590 --> 00:38:28,630
杉下さん。
虫がいいと思うかもしれないが→
493
00:38:28,630 --> 00:38:33,640
いつか 彼女が
真実に気づいた時は→
494
00:38:33,640 --> 00:38:38,660
甘んじて復讐を受けると決めて
生きてきた。
495
00:38:38,660 --> 00:38:43,550
僕が突然現れて
桐野さんの事件の事を尋ねた日→
496
00:38:43,550 --> 00:38:47,540
あなたは ついに
その時が来るのだと思った。
497
00:38:47,540 --> 00:38:51,640
桐野君が作った歌を
ぜひ読んでみてください。
498
00:38:51,640 --> 00:38:54,660
あなたは 僕に
桐野さんの歌を読ませ→
499
00:38:54,660 --> 00:38:57,530
青い小瓶の謎を解かせようと
したんですね?
500
00:38:57,530 --> 00:38:59,630
ああ。
501
00:38:59,630 --> 00:39:02,550
あなたは 彼女の復讐を受けるべく
ここに来ました。
502
00:39:02,550 --> 00:39:05,670
あなたが 42年前の罪を告白し→
503
00:39:05,670 --> 00:39:09,640
自ら死を選ぶと書いた遺書を
残したのは 彼女を守るため。
504
00:39:09,640 --> 00:39:11,540
彼女に殺されたのちも→
505
00:39:11,540 --> 00:39:15,660
彼女に 殺人の罪が及ばないように
するためですね?
506
00:39:15,660 --> 00:39:17,680
そのとおりだ。
507
00:39:17,680 --> 00:39:21,520
彼女は 私に
復讐する権利があったんだ。
508
00:39:21,520 --> 00:39:25,640
なのに なぜ…?
509
00:39:25,640 --> 00:39:29,650
浅沼さん。 あの日
彼女がしようとしていたのは→
510
00:39:29,650 --> 00:39:31,680
復讐ではなかったんです。
511
00:39:31,680 --> 00:39:36,640
そう。 あの日 高塔織絵さんは→
512
00:39:36,640 --> 00:39:39,520
最後の賭けに出たんです。
賭け?
513
00:39:39,520 --> 00:39:43,730
彼女が あと半年の命だった事は
もうご存じですね?
514
00:39:43,730 --> 00:39:45,590
ああ。
515
00:39:45,590 --> 00:39:47,630
彼女が告知を受けた日→
516
00:39:47,630 --> 00:39:51,570
僕は 偶然
彼女の日傘を見つけました。
517
00:39:51,570 --> 00:39:56,670
日傘は 公衆電話の脇に
置き忘れられていました。
518
00:39:56,670 --> 00:40:00,660
自分の命が あと半年だと
知ってすぐに→
519
00:40:00,660 --> 00:40:03,550
彼女は電話をかけたんです。
520
00:40:03,550 --> 00:40:06,630
浅沼先生 あなたにです。
521
00:40:06,630 --> 00:40:09,620
ああ 確かに 電話はあった。
522
00:40:09,620 --> 00:40:13,710
しかし 次の歌会のテーマに→
523
00:40:13,710 --> 00:40:16,640
「背」はどうですか
という話だけで→
524
00:40:16,640 --> 00:40:19,560
病の事など 何も話さなかった。
525
00:40:19,560 --> 00:40:22,600
彼女は 話したかったのではなく→
526
00:40:22,600 --> 00:40:24,770
聞きたかったのでは
ないでしょうか。
527
00:40:24,770 --> 00:40:26,620
聞きたかった?
528
00:40:26,620 --> 00:40:32,660
ええ。 彼女は ただ
あなたの声が聞きたかった。
529
00:40:32,660 --> 00:40:35,710
「うん それは面白いテーマだね」
530
00:40:35,710 --> 00:40:37,550
「背は 万葉の昔から→
531
00:40:37,550 --> 00:40:40,530
歌に使われてきた言葉でも
あるし…」
532
00:40:40,530 --> 00:40:44,540
来年の今頃
自分は もうこの世にいない。
533
00:40:44,540 --> 00:40:46,570
初めて それを知った時→
534
00:40:46,570 --> 00:40:51,530
彼女は ただ あなたの声が
聞きたかったのだと思います。
535
00:40:51,530 --> 00:40:56,530
高塔織絵さんは
僕に こう言いました。
536
00:40:56,530 --> 00:41:01,570
自殺ではない可能性もある…
そう思った時→
537
00:41:01,570 --> 00:41:05,640
なんだか うれしかった。
538
00:41:05,640 --> 00:41:10,680
恐ろしい事かもしれませんけど
うれしかった。
539
00:41:10,680 --> 00:41:15,530
彼女は 自分の気持ちが
恐ろしいものだと わかっていた。
540
00:41:15,530 --> 00:41:19,620
それでも 桐野さんが
殺されたのだとしたら→
541
00:41:19,620 --> 00:41:22,620
犯人は あなたであってほしいと
願った。
542
00:41:22,620 --> 00:41:26,760
あなたが桐野さんを殺したのなら
それは あなたが→
543
00:41:26,760 --> 00:41:30,760
彼女を愛していたからに
違いないからです。
544
00:41:31,630 --> 00:41:33,640
まさか…。
545
00:41:33,640 --> 00:41:37,710
40年以上 歌の世界を
共に生きてきた あなたを→
546
00:41:37,710 --> 00:41:42,710
高塔織絵さんも いつの日からか
愛していたんです。
547
00:41:45,630 --> 00:41:48,550
彼女は
あなたに愛されているかどうか→
548
00:41:48,550 --> 00:41:50,690
確かめたかったんです。
549
00:41:50,690 --> 00:41:52,690
あの日 彼女は→
550
00:41:52,690 --> 00:41:57,540
あらかじめ 青い小瓶の毒を
無害なものに入れ替え→
551
00:41:57,540 --> 00:42:02,550
装いを凝らし
あなたを 家へ招いた。
552
00:42:02,550 --> 00:42:04,550
あなたが犯人なら→
553
00:42:04,550 --> 00:42:07,600
あれが毒の小瓶だと
知っているはずです。
554
00:42:07,600 --> 00:42:09,720
犯人なら 決して飲まない。
555
00:42:09,720 --> 00:42:14,540
しかし 犯人でなければ
知らずに飲むでしょう。
556
00:42:14,540 --> 00:42:18,630
彼女は
あなたが飲まない事に賭けた。
557
00:42:18,630 --> 00:42:22,650
ところが 彼女の復讐だと
思い込んでいた あなたは→
558
00:42:22,650 --> 00:42:27,520
罰を受けるべく
あえて黙って飲んでしまった。
559
00:42:27,520 --> 00:42:32,640
その瞬間 彼女の望みは絶たれた。
560
00:42:32,640 --> 00:42:34,550
あなたは 犯人ではなかった。
561
00:42:34,550 --> 00:42:39,620
自分は やはり
あなたに愛されてはいなかった。
562
00:42:39,620 --> 00:42:42,650
さようなら…。
563
00:42:42,650 --> 00:42:44,610
彼女は もう→
564
00:42:44,610 --> 00:42:49,610
半年 生き永らえる意味は
ないと思った。
565
00:42:49,610 --> 00:42:52,650
嘘だ。
566
00:42:52,650 --> 00:42:55,620
嘘だ…。
567
00:42:55,620 --> 00:42:57,590
浅沼さん。
568
00:42:57,590 --> 00:43:01,740
これは 青い小瓶が見つかった
文箱の二重底に→
569
00:43:01,740 --> 00:43:04,740
高塔さんがしまっていた歌です。
570
00:43:07,550 --> 00:43:11,750
罪びとを罪もろともに愛する。
571
00:43:11,750 --> 00:43:15,750
真っ青な空に背を向けても…。
そんな歌ですね。
572
00:43:17,640 --> 00:43:20,540
42年前に あなたが犯した罪は→
573
00:43:20,540 --> 00:43:22,680
決して
許されるものではありません。
574
00:43:22,680 --> 00:43:26,670
それでも あの日 あなたが
彼女に罪の告白をしていれば→
575
00:43:26,670 --> 00:43:30,650
彼女を死なせる事は
なかったでしょう。
576
00:43:30,650 --> 00:43:36,540
あなたは 軽蔑される事を恐れて
愛の告白ができなかった。
577
00:43:36,540 --> 00:43:41,550
命を捨てる覚悟をしてさえも…。
578
00:43:41,550 --> 00:43:46,650
愛は 時に
人に勇気を与えます。
579
00:43:46,650 --> 00:43:52,660
しかし 愛は 時に
人を臆病にもします。
580
00:43:52,660 --> 00:43:57,660
なんとも
やりきれない出来事ですね。
581
00:43:59,800 --> 00:44:01,800
私は…。
582
00:44:04,720 --> 00:44:06,720
私は…。
583
00:44:43,640 --> 00:44:47,750
「罪あらば 罪ふかくあれ→
584
00:44:47,750 --> 00:44:54,750
紺青の空に背きて 汝を愛さん」
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