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Original subtitles

(かおり) 朝陽!

久しぶり! 元気にしてた?

(朝陽) うおっ! (かおり) ク~! フフフ…!

ウ~! (朝陽) わっ…!

かおり やめろ! >> いつ帰ってきたのよ!

連絡ぐらいしなさいよ この! (朝陽) 近い 離れろ!

何 その口の利き方。

あれ やるよ。 (朝陽) やめろ。

(玲緒) あの!

どちらさまですか?

あっ 失礼しました。

(玲緒)「音楽雑誌“フェルマータ” 副編集長」?

後藤かおりと申します 雑誌の編集をしています。

彼とは 15年来の付き合い…。

いた! 谷岡初音!

(初音) えっ? >> これ…。

拝見しました 復帰されてたんですね。

これを見たら 居ても立っても いられなくなって。

(初音) はあ…。 (かおり) あなたのカムバックは→

必ず 日本クラシック界の 活性化につながります。

朝陽と一緒に盛り上げて!

ねっ! (初音) えっ… あっ はい。

(穂刈) あぁ おはようございます。

(朝陽) 小野田 どうした?

(みどり) 対決!? 高階フィルと?

(小野田) どちらがシンフォニーホールと フランチャイズ契約するか→

こけら落としで コンペをして決めるそうです。

(蒼) 何で高階…。 (朝陽) 動き出したか。

(藤谷) オーケストラの コンペなんて聞いたことねえぞ。

(土井) プロオケには コンクールすらないですからね。

(穂刈) 勝敗は どうやって決めるんですか?

(小野田) 審査員票と観客投票で 競うそうです。

しかも…。

何ですか?

市長が…。

(常葉) 〔負けたら 玉響は解散する!〕

(団員たち) え~! (初音) 解散?

\困る~/ \困るよ/

(朝陽) ふざけんなよ。 (土井) あの高階フィルですよ?

結果は 火を見るより 明らかじゃないですか。

すごいネタつかんじゃった。

(朝陽) どういうことだよ! (常葉) どういうことって…。

財政のことを突き付けられると→

さすがに玉響一本じゃ 押し通せなくてさ。

何しろ 万年 赤字楽団…。 (朝陽) 音楽を政治に利用すんな!

(常葉) だよね。

でもさ 朝陽が そこまで怒るってことは→

玉響への愛が芽生えちゃったと こう理解していいのかな?

さすがに解散は嫌だよね。

(朝陽) ハァ… そもそも負けると思ってない。

(常葉) えっ そうなの? (朝陽) 負けると思ってんのかよ。

(常葉) いや 何が何でも 勝ってもらわなきゃ困るんだけど。

とにかく どんな協力も 惜しまないから 頑張って。

(みどり) 解散って… 本気なのかな?

(弓香) 無職になるの 困るんですけど。

(初音) ほら コメント また増えてますよ。

(みどり) あぁ…。 (穂刈) あぁ ホントだ。

すごいですね こんなにたくさん。

(初音) あっ 待って みどりさん これ。

📱(亜美) 受験 頑張ります!

(エリ) 玉響も…。 📱 (エリ:萌) ファイト~!

知らなかった~。

(初音) ここで解散するわけには いきませんね。

(藤谷) こんだけ 応援してもらってんだもんな。

(蒼) 観客票が取れれば 勝てるかもしれないっすもんね。

(土井) それまでに いかに玉響ファンを増やせるか。

(穂刈) となると 次の定期演奏会が勝負ですね。

頑張りましょう。 (ヨーゼフ) 頑張ろう!

あった! >> 何?

(玲緒) 高い化粧水 使ってんな~。

まぁ 確かに 肌キレイだったけど。

ライバルのリサーチね。

年 いくつだろう? 朝陽さんよりは上だよね。

頭の中 色恋のことしかねえのかよ。

はぁ?

あんた 首席だろ。

だから何?

ってか クラシック 一度捨ててる人に→

言われたくないんですけど! >> あ?

あ? (ヨーゼフ) ケンカはダメ! ダメ!

エステ行ってくるわ! 負けてらんないし。

ウフフ…。 >> チッ。

お疲れ~!

面白いことになってきたね。

春売りの号で特集組むから→

「王者とポンコツの プライドを懸けた戦い」。

何してんの?

(朝陽) こけら落としでやる曲を 検討してる。

そんなの全部 頭の中 入ってるくせに。

今 何曲ぐらい暗譜してんの? (朝陽) 450。

玉響でやったら どんな音楽になるか→

シミュレーションしてる。

この中 どうなってんのか 見てみたいわ。

📱(着信音)

アントニオ・バルディの エージェントから。

ねぇ 提案があるんだけど。

♪~

(朝陽)〔チャイコフスキーの “ヴァイオリンコンチェルト”〕

〔ソリストはもちろん 谷岡さん あなたです〕

〔ざわめき〕

♪~

♪~

(初音) フゥ…。

(奏奈) お姉ちゃん ちょっと休憩しない?

(モニタ)♪~

(初音) 懐かしい。

行き詰まったら 初心に戻れっていうじゃん?

(蒼) ただいま~。 (奏奈:初音) おかえり~。

えっ 何これ。 (奏奈) お姉ちゃんが小学生の時。

かわいいよね~! (蒼) かわいい!

ってか すげぇな…。

これ 何歳の時ですか? (初音) 12歳。

12歳…。

(モニタ)♪~

(モニタ)♪~ (蒼) お~!

うお~! すげぇ! (モニタ)♪~ (拍手)

かわいい~。 (モニタ)♪~ う~わ!

(初音) うわ~! ますます自信なくした。

あの時 できたことが どうして できないんだ!

定期演奏会 もうすぐなのに~! >> あぁ ごめん ごめん…!

元気出してください アイス買ってきたんで。

(初音) えっ! (蒼) ジャ~ン!

冬季限定 クラッシュアーモンド ラスイチでした。

(奏奈) お姉ちゃん ナッツ苦手だよ。

えっ…。 >> 蒼井君 まだまだだな。

初音偏差値 40。 >> 低っ。

(初音) あっ チョコあった! これ もらってもいい?

>> どうぞ。 (初音) やった~!

うわっ… 降ってる やむまで どっかで飲む?

(朝陽) いや まだ仕事が残ってる。

言うと思った じゃあ 例の件 よろしくね。

(朝陽) ああ。

タクシー すぐ来るかな? あぁ 車で来ればよかった。

(団員たちの話し声)

(初音) おはようございます。 (蒼) おはようございます。

(みどり) おはよう。 (玲緒) おはよう~。

(小野田) おはようございます。

(初音) えっ? (小野田) どうしました?

えっ!?

公民館が雨漏りで 1週間の補修工事に入るため→

代わりに ここを使うそうです。

本宮先生から いい所があるって言われてね。

あぁ… あのですね この場所は 玉響の練習場なんですよ。

ほら ここにも書いてある…。

あっ。

(本宮) はぁ? 予定は空いてたと思いますが。

いやいや うちがレギュラーで 使用してることは→

ご存じですよね? >> つまり 囲碁将棋クラブに→

出ていけと? >> いえ ですから それは…。

📱(本宮) 年寄りいじめは よくないですよ 玉響さん。

今は人気が第一でしょう? コンペだって控えてますし。

観客投票に響いたら大変だぁ~。

(玲緒) え~ どうするんですか?

別の場所を探すしか… ただ急なんで 取れるかどうか。

(小野田) 朝陽さん。 (朝陽) ハァ…。

練習場所を確保しました。

(蒼) えっ?

常葉酒造…。

(初音) ここって…。

♪~

(穂刈) 本当に ここを使わせてもらって いいんですか?

(朝陽) 温度と湿度は保たれているので 外よりはマシでしょう。

何より無料です。

(小野田) ここなら 音漏れの心配もいりませんね。

朝陽様の実家…。

(康子) まぁまぁまぁ ようこそ。

隼君 久しぶり! >> お久しぶりです。

あっ 朝陽さんのお母様です。

(小野田) このたびは ありがとうございます。

(康子) いいのよ~。

どうせ ここはもう 使ってないんだから。

朝陽が お世話になってます。

\こちらこそ お世話になります/

皆さん 大変でしょう? この子。 >> いえ。

子供の頃は いつも お姉ちゃんたちに→

泣かされてたんだけど 今じゃ…。 (朝陽) 母さん もう大丈夫だから。

ごゆっくり~。

(朝陽) 高階に勝てないと思っている人は 辞めてもらって構いません。

負けたら解散です 無理だと思うのなら→

他のオケのオーディションを 受けた方が賢明です。

(朝陽) 僕は負けるとは思っていません。

観客投票はもちろん→

向こうの息のかかった審査員も→

寝返らせるつもりでやります。

(足踏みの音)

(朝陽) 次の公演が決まりました。

(初音) 次って 来月の定期演奏会じゃ…。

(朝陽) いえ 10日後に 横浜で開催される→

バレンタイン・ガラ・コンサートに 出演します。

音楽評論家の アントニオ・バルディの要望で→

急きょ 参加が決まりました。 >> えっ!

バルディの前でやるってこと? >> 怖い…。

あちこちのオケに 断られたんじゃないの?

(弓香) 星 つけられたくないもんね。

(初音) バルディって?

世界一辛口で有名な イタリアの音楽評論家です。

(初音) 評論家…。

世界中のオケに 星をつけるのですが→

過去に5がついたのは ベルリンフィルと→

ロイヤル・コンセルトヘボウの 2つだけ。

東ヨーロッパでは星0.1を つけられた→

小さなオケが バタバタ潰れています。

ちなみにですが 高階フィルは→

2018年に 星3.5を獲得してます。

高階でも3.5…。

日本最高峰のオケにも容赦がない 辛口採点です。

(朝陽) 出るからには3.5以上。

高階超えを目指します。

曲は→

“カルメン組曲”をやります。

小野田。 >> はい。

えっ… “チャイコン”じゃないんですか?

10日後ですよね? (朝陽) ええ。

(弓香) 今から新しい曲やるんだ…。

(奏奈)\朝陽君家で合宿かぁ/

うん 練習場が 使えるようになるまで→

バレンタイン・ガラに向けて 集中リハするって。

あぁ…。

あっ ねぇねぇ 蒼君 ちょっといい?

ん? >> スケジュールさ これで合ってる?

「2月12日 バレンタイン・ガラ 曲は“カルメン組曲”」。

うん。 >> 「3月5日 定期演奏会→

チャイコフスキーの “ヴァイオリンコンチェルト”と→

交響曲を何か1曲」。

はい。 >> 「4月8日 こけら落としコンペ→

曲目は未定」。

合ってる。 OK!

SNSでも 告知していかないとね~。

(蒼) あっ それ “チャイコン”の。

(初音) うん 空いてる時間に 個人練習しておかないと。

俺も“カルメン” 気合入れないとなぁ。

(初音) ソロあるもんね。 >> へぇ~ 楽しみ!

そうなんだ? >> はい。

(初音)\穂刈さん 泊まり組ですか?/

はい 妻に 許可をもらってきました。

(玲緒) みどりさんは通いだよね。

入試の直前だし さすがにね。

え~ 皆さん 食事は各自 近所の飲食店でお願いします。

で 入浴も 近くに銭湯がありますんで。

これ 周辺地図ですね。

コンビニ 遠くない? >> おっ! おそば屋さんがあるよ!

今日は ここで懇親会ね うちの人が ごちそうしたいって。

(玲緒) ありがとうございます~!

お手伝いすることありますか? 何でもやります~!

あら ありがとう。 >> 分っかりやすいな。

外堀埋める作戦ね。 \ごめんください/

(康子) は~い!

あら かおりちゃん! >> おばさん お久しぶりです。

(康子) まぁ~ どうぞ どうぞ 入って 入って!

アハハ…。

(かおり) お~ すごい!

酒蔵 映えるね。 (カメラマン) めちゃめちゃいいっすね。

(初音) おっ 早速やってる。

見せ場がある人は 気合入ってますね。

(常葉) さぁ! 遠慮をしないで どんどん食べてくださいね!

ハハハハ~! (玲緒) ありがとうございま~す!

朝陽さんが お寿司食べてる。

あの人も ごはん食べるんですね。

おじさん ご無沙汰してます。

(常葉) お~! ハハハ… 久しぶりだね。

あぁ… 副編集長になったんだ。

大したもんだな!

これから 玉響のこと どんどん宣伝してね!

はい あしたから早速 密着取材させてもらいます。

だったら かおりちゃんも 泊まっていけばいいのに。

(かおり) ううん 部外者ですから 近くのホテルに部屋も取ったんで。

(チャイム) (康子) は~い!

(常葉) 玉響はね 朝陽が来てから もう どんどんレベルが上がってんの。

まさにライジングサンだね ハハっ!

ヨーロッパで もまれてきただけのことはあるよ。

>> そうですね。 (常葉) まぁ 日本にいる時から→

才能はあふれ出ちゃってたけどね なっ! ハハハ…!

朝陽さん よろしかったら…。

(朝陽) 結構です。 >> 失礼しました!

アハハ…。

手ごわいですね。

まぁ 見てらっしゃい。

この合宿中に必ず朝陽さんの 部屋に入ってみせるから!

(弓香) 部屋? (土井) 何言ってるんですか。

(初音) おしょうゆ 足りてますか~? (穂刈) 初音さん。

すいません。

(初音) はい!

蒼君 食べてる? >> はい うまいっす!

(せき込み) (初音) えっ 大丈夫?

飲み物 飲んで…。 (康子)\さぁさぁさぁ→

どうぞどうぞ 入って!/ (奏奈)\失礼します/

あっ こんばんは! (初音) 奏奈!?

(奏奈) いや~ 来ちゃった 一人じゃ寂しくてさ。

(初音) あっ! ねぇ もしかして それって…。

(奏奈) さぁ どんどん 食べてくださいね~!

持ってきたよ~! (初音) ありがとう!

(朝陽) じゃあ 俺は行くわ。

あっ 朝陽君もどうぞ。

(朝陽) あっ じゃあ…。

>> あの顔は…。 >> うん。

「おいしい」の顔だね。 \フフフ…/

(朝陽) ごちそうさま。 (奏奈) もう行っちゃうの?

(ヨーゼフ) マエストロ 全然 飲まなかったね。

(常葉) あいつはね 造り酒屋の息子のくせに→

一滴も飲めないんだよ。 (初音) そうなんですか。

杜氏さんでもね 意外と下戸は多いのよ。

あの子 幼稚園の頃 酒蔵で隠れんぼして→

倒れたぐらいだから。

後継がせなくて正解! (常葉) だな ハハハ…。

かおりちゃんが背中を 押してくれたから よかったわ。

フフっ。

(土井) マエストロ殿と 交際されていたんですか?

(かおり) アハハ! まさか。

朝陽と会った頃は もう今の旦那と付き合ってたし。

ご結婚されてるんですか? >> うん 息子も2人いる。

でも 昔も今も 朝陽のことは大好き。

私は朝陽の一番のファンだから。

(小声で) それならそうと先に言ってよ。

僕も かわいこちゃんの 一番のファンなんだ。

かわいこちゃんというのは 交際されてる方ですか?

レイちゃんだっけ?

ヨーゼフはレイちゃん追いかけて 日本に来たんでしょ?

そう! パリに旅行 行った時に 知り合ったの。

レイちゃんは絵の勉強に来ててね。

出会った瞬間 ビビっ!ときた。

(奏奈) わ~! ステキ~!

(穂刈) パリで恋に落ちるなんて ロマンチックですね。

(初音) ホント 映画みたい。 >> そういえば 日地谷更紗→

バレンタイン・ガラ 出るんだね。 (蒼) あっ はい。

(初音) えっ! ってことは 久しぶりの再会ってこと?

はい ソロがうまくいったら→

話しかけようかなって。 (初音) いいね いいね!

それをきっかけに うまくいっちゃったりしてね。

>> うまく? (初音) 10年憧れてた人と ついに…。

フゥ~! >> いやいや…→

そういうんじゃないんで…。 (初音) アハハ! いいよ 照れないで。

頑張って!

そういうんじゃないんだけどな…。

初音は鈍いよね 何にも分かってないよね。

(奏奈) 昔の少女漫画みたいじゃない?

「私 ちっとも知らなかった~!」 みたいなさ。

(土井) でも そういうタイプも 一定の層には→

根強い人気がありますね。 >> 一定の層だ!

えっ… あっ…。

ほ… 穂刈さんは奥さんと どこで出会ったんですか?

僕? もう昔のこと過ぎて 忘れちゃったよ。

(奏奈) え~ またまた~! (ヨーゼフ) 聞きたいよ!

♪~

(藤谷) 2・3 2・2・3 3・2・3。

♪~

2・3 2…。

(初音) あっ お疲れさまです。

>> おう。 (初音) ごめんなさい 続けてください。

あぁ いや… そろそろ 上がろうと思ってたから。

ブランクあるから 迷惑かけねえようにしねぇとな。

(初音) 分かります 私も同じ。

>> まぁ 頑張ろうや。 (初音) はい。

(朝陽) ハァ…。

♪~

(初音) あっ…。

(康子)\お父さん! こんなとこで寝ないで もう!/

\起きて! 起きて起きて ほら!/

(朝陽) あっ…! (常葉) うぅ…。

ハハハ… サンキュー。 (朝陽) おい!

(朝陽) ハァ…。

(康子) ありがとうね お茶飲む?

(朝陽) いや 走ってくる。

ストイックなのよね~。

誰に似たのかしら。

(初音) ハハハ。

まぁ 指揮者は 体力勝負っていうしね。

一度のステージで3kg 痩せることもあるっていうし。

(初音) 3kgも そんなに…。 (寝言で) 朝陽~。

お前は天才だぁ。

もうカラヤン 超えたな。

フフっ ヒィ~…。

朝陽のことが かわいくて仕方ないのね~。

さっきも自慢話ばっかりして うるさかったでしょう?

(初音) いえ。

これ 見て。

(初音) あ~!

お姉さん 2人いらっしゃるんですね。

かわいい~!

>> こっちが長女で こっちが次女。 (初音) へぇ~。

(康子) 酒蔵は長女の旦那さんが 継いでくれたの。

親戚からは 長男に継がせるべきだ って言われたけど→

お父さんは 「朝陽の好きなようにしていい→

俺は応援する」って。

(康子の声) 朝陽も きっと 立派な音楽家になるのが→

一番の親孝行って 思ってんじゃないかしらね。

(寝言で) 朝陽… 天才だ。

天才だよ ハハハ…。

(三島) 父さん おかえり。 (光太郎) お~ 久しぶりだな。

(サチ) 旦那様とお坊ちゃまが おうちで顔を合わせるなんて→

久々じゃないですか。 (三島) 8年ぶりかな。

ん? もうそんなになるか。

(サチ) お2人とも公演で お忙しいですから。

お夜食 すぐ お持ちしますね。

(光太郎) ありがとう。

お前さ この間 高階フィルとやったんだって?

会長から電話があった。

俺 父さんに 「やる」ってメールしたよね?

そうだっけ?

母さんは来てくれたよ。 >> 相変わらず暇だね あの人は。

あっ 高階からオファーがあった。

何でも 西さいたまに 新しいホールが出来るらしいな。

受けることにしたぞ。

えっ?

父さん 高階とは もう10年やってないよね?

(光太郎) 玉響とコンペするらしいぞ。

コンペ?

向こうのコンマスは谷岡初音だ。

どんな演奏するか興味があってな。

彼女 復帰したか。

知ってたか?

まぁ…。

父さん 俺 来週さ→

S響とバーンスタインの “セレナード”やるんだ。

よかったら…。 📱(着信音)

(みどり) おはよう! (初音) おはようございます!

>> えっ 常葉さんが? >> ええ 先ほど→

トマトを残して お母様に叱られていました。

(弓香) アハハ! かわいいかよ!

ハァ…!

(小声で) そこか…。

(朝陽) 始めます。

(カメラのシャッター音)

(朝陽) フルート 冒頭のフレーズ もっと音のエッジを立てて。

Cのオーボエは スタッカートをもっと鋭く。

もう一度。

♪~

(朝陽) フルート Cの後半 歌って 拍を前に食って。

♪~ ラ~ ラカラ~ ラカラ~ ラカラ~ ラカラ~

刻みに ついていくんじゃなくて そっちが引っ張って。

はい。

♪~

(朝陽) トランペット 146小節目から2小節→

音をもっと 遠くに飛ばして。

ためるとこ もっとためて。 >> OK。

ソロのある人たちは大変だね。

ねぇ。

(朝陽) では Lから もう一度。

(かおり) よさそうね いい感じ。

(かおり) 谷岡さん お疲れさま。

この後 インタビュー させてもらえないかな?

(初音) えっ? >> それって 雑誌に出るんですよね?

(かおり) もちろん そのための取材だからね。

(初音) 分かりました。 >> えっ いいんすか?

(初音) 玉響のためなら喜んで。

写真 撮られるなら これぐらいしとかないとね。

うん いい感じ~!

(玲緒) 蒼 どう? はつねっち かわいいでしょ?

えっ… あっ はい。

も~う 照れちゃって~!

練習 いってきます。

もっと気の利いたこと 言やいいのにね。 >> ねぇ。

支度できました? (初音) はい。

>> こちら 音楽ライターの小森さん。 (小森) どうも お邪魔します。

(初音) よろしくお願いします はじめまして。

いや それが はじめましてじゃないんですよ。

(初音) えっ? (小森) 谷岡さんが8歳の時に→

取材させてもらってるんですよ。

いや~ お変わりないですね。

ひと目見て すぐに分かりましたよ。

(初音) よく覚えてらっしゃいますね 20年も前のこと。

才能がある人のことは 忘れませんよ。

ずっと追いかけ続けてますから。

小森廉太郎と申します よろしくお願いいたします。

(初音) ありがとうございます。

親が音楽好きで 「廉太郎」というのは→

滝 廉太郎から取ったんです。

名前負け しちゃってるんですけどね。

フフフ…。

それじゃあ 始めましょうか。 (かおり) はい では こちらに。

(初音) はい。 (小森) お願いします。

(かおり) 谷岡さん こちらに 座っていただいていいですか?

(小森) じゃあ 市役所に お勤めなんですか?

(初音) はい 今は役所から出向という形で 玉響に参加しています。

(かおり) 50年 いや 100年に一度の天才が→

ようやく音楽の世界に 戻ってきてくれたってわけね。

(小森) 復帰するまで ヴァイオリンの方は?

(初音) ずっと弾いてました 楽器に触らない日はなかったです。

選ばれた人は やっぱ違うよね。

キラキラしてる。

うん…。 (小森) 次の定期演奏会は→

チャイコフスキーの “コンチェルト” やるそうで→

いよいよ ソロが聴けるんですね。

(かおり) 谷岡さんのおはこですよね。

(小森) 2008年に ニューヨークフィルと→

共演した時の“チャイコン”は 特に素晴らしかった。

(初音) あっ でも 久しぶりなので…。 >> 谷岡さんなら大丈夫でしょう。

(初音) そんなことないんです。

正直言うと なかなか うまく弾けなくて。

>> そうなの? (初音) ブランクもありますし。

玉響も今が大事な時期なので→

もっともっと 努力しなくちゃって思ってます。

(高階) 高階フィルは現在 西さいたまシンフォニーホールとの→

フランチャイズ契約獲得に向けて 準備を進めているところです。

コンペをするとのことですが→

地元のオーケストラを 押しのけてまで→

田舎の中規模ホールと契約する メリットは何なんでしょう?

(高階) コンペに勝って 児玉交響楽団が解散すれば→

あちらのオケに 2億の補助金を出してる→

埼玉県にも 恩を売ることができます。

つまり 県の公共事業の受注が 見込める可能性があると?

その通りです。

\なるほど/

(誠也の声) 母さん。

もういいかげん オケは手放しても いいんじゃないの?

役員たちも内心では そう思ってるよ。

(誠也) 創業者一族の道楽に いつまで無駄金 使うんだって。

社長のくせに よくそんなことが言えるわね。

文化振興に 貢献しているからこそ→

うちは政財界から 一目置かれているの。

高階が今の地位を 確立できたのは→

ひいおじい様の代から続いている オケのおかげなのよ。

いや 前にも 大きいトラブルあったじゃない。

若いヴァイオリニストが ステージから逃げ出した。

あの時だって 散々 役員たちから→

たたかれたじゃないか。

もう10年も前の話よ。

(誠也) 何だったっけ? あのヴァイオリニスト…。

あ~ そうだ。

谷岡初音。

(かおり) よく撮れてるでしょ いい記事になりそう。

で 朝陽の取材は いつさせてくれんの?

(朝陽) そんな時間ないから。

📱(カメラのシャッター音)

(朝陽) 何だよ。 📱(カメラのシャッター音)

「3つの公演を控えて 多忙を極める常葉マエストロ」。

これ 載せていい? (朝陽) どうぞ ご勝手に。

やること多いのは分かるけど あんま根詰めないでよ。

♪~

(モニタ)♪~

(弓香) ソロ 十分いい感じですけどね。

要求レベルが エベレスト並みですからね。

でも 常葉さんが 「高階に勝つ」って言った時→

もしかしたら いけるかもって 思っちゃったんだよね。

常葉さんと初音ちゃんがいれば 夢じゃないかもって。

(初音) いやいや 私は まだまだ… もっと頑張らないと。

(カメラマン) すいません あの うちの副編集長は…。

(初音) あっ 常葉さんの部屋に いると思います。

呼んできますね。

(かおり)\けど さっきの取材で 謎が解けたよ/

今回 “カルメン”にしたのは→

谷岡さんが スランプだったからなんだね。

本番まで10日しかないのに→

わざわざ新しい曲やるのは 何でだろうって思ってたの。

団員の負担も大きいでしょうに。

♪~

♪~

>> 初音さん。 (初音) あっ…。

飯 食ってないっすよね? これ。

(初音) えっ もう そんな時間? >> もう10時 回ってますよ。

(初音) 全然気付かなかった ありがとう あっ お金…。

あっ いや 大丈夫っす たまには おごらせてください。

でも 初音偏差値 低いんで 好きなやつか分かんないっすけど。

(初音) ハハハ… ありがとう。

(蒼) フゥ…。

(階段を下りる音)

(朝陽) どいてもらえますか?

どこ行くんですか? こんな時間に。

(朝陽) ランニングです 日課なので。

マイペースですね 初音さんは あんなに追い込まれてるのに。

(蒼) あなたのせいじゃないですか。

俺や 藤谷さんや みどりさんのこと→

全部 彼女に責任負わせて 足かせにしてる。

天才ヴァイオリニスト 潰す気ですか?

(朝陽) 潰れるかどうかは 彼女次第です。

フゥ…。

(蒼) 力になりたいのに 全然ダメで。

空回りばっかしちゃうんですよね。

(穂刈) 好きなんですね 初音さんのこと。

でも 難しいっすよね。

同じオケで→

同じ家に住んでて→

こっちの気持ち 知ったら 迷惑なんじゃないかなとか→

いろいろ考えちゃって。

僕も最初はそんな感じだったな。

奥さんとですか?

同じ音大の後輩で 彼女はピアノ科でね。

いつも 伴奏をお願いしていたんです。

へぇ~。

いい関係を壊したくなくて→

ずっと気持ちを隠してました。

でも ある時 どうしても伝えたくなって→

思い切って告白したら→

あっさりフラれました。

えっ…。

でも 伴奏はずっと 引き受けてくれてたんです。

それで結局→

8回 告白しました。

8回!?

これでダメなら諦めようって 毎回思いながら 8回。

うわ…! 粘り勝ちだ。

ですね フフっ。

人生 何が起きるか 分からないからね。

蒼君も伝えたいと思う時がきたら 伝えてみてもいいかもしれない。

きますかね? そんな時。

来ると思うな 僕は。

♪~

(朝陽) コンマス どうしました?

(初音) すいません。

(朝陽) 今日は ここまで。

♪~

こうしてクラブが続けられるのも 先生のおかげです!

(男性) 本当にありがとうございます!

何か困ったことがあれば 何でも言ってください。

ありがとうございます!

あっ…。 (本宮) お~ どうもどうも。

お疲れさまです。 >> どうも。

(本宮) いや 申し訳ないです 行き違いとはいえ→

こんなことになってしまって ご不便 おかけしております。

いえいえ 全く問題ありませんよ。

今日も朝から みんなで練習 頑張ってますよ。

えっ?

朝陽さんのおかげです 彼がいる限り 玉響は大丈夫です。

では 失礼します。

あぁ どうも。

どういうこと?

📱(本宮) 雇われ指揮者だと 思ってましたが→

常葉朝陽は玉響のキーパーソンに なりつつあるようですね。

対策を考えます。

キーパーソンは 谷岡初音じゃないかしら。

えっ? 📱(高階) 玉響に関しては→

本宮さんにお任せします それじゃ。

谷岡初音…。

♪~

(初音) ハァ…。

フゥ…。

(足音)

(初音) どうしたんですか?

(朝陽)“チャイコン”の練習は やめてください。

(初音) えっ?

(朝陽) あしたの練習にも 出なくて結構です。

(初音) 私はコンマスです 休んだら みんなに迷惑をかけます。

(朝陽) そんな状態で練習に出る方が 迷惑です。

(初音) 腕なら大丈夫です。

私のせいで 新しい曲をやるはめになって→

みんなが苦労してるのに 休むことなんてできません。

正直 今の私は→

コンマスとして みんなをまとめるどころか→

足を引っ張ってる状態です。

このまま“チャイコン”が うまく弾けなければ→

この先 もっと迷惑をかける。

でも 小っちゃい頃から 弾けてたんだから→

できないはずがないんです。

だから…。 (朝陽) 無理ですね。

そんな顔をして弾いてる限り 壁は乗り越えられない。

今のあなたには無理です。

(初音) ハァ…。

どうして そういう言い方しか できないのかな。

玉響のために 頑張りたいだけなのに→

何で否定するようなこと… だったら最初から→

コンマスになんて 誘わないでくださいよ!

(朝陽) やみくもに頑張ればいい ってもんじゃ ない。

このまま続けたところで 悪循環に…。

(初音) はいはい そうですね! 常葉さんは いつでも正しいです。

でも… 正論だけじゃ→

整理つかないことだって あるんです!

頭で分かってても どうにもなんない。

期待に応えたくても 全然できてない。

ダメな自分に落ち込んで 毎日毎日 焦るばかりで→

抜け出したくても抜け出せない それでも弾くしかない。

少しは…→

こっちの身にもなってみろ! この…→

冷血漢! 鉄仮面! バ~カ!

(朝陽) ハァ…。

(朝陽) ハァ ハァ ハァ…。

ん?

(朝陽) ハァ ハァ…。

ハァ ハァ ハァ…。

ハァ ハァ ハァ ハァ…。

(初音) ハァ~。

やっちまった 寒い…。

(初音) うわっ! えっ? (朝陽) ハァ ハァ…。

バカはどっちだよ。

ハァ ハァ ハァ…。

誤解をしているようだから 言っておく。

“カルメン”をやるのは あなたのせいじゃ ない。

あなたのためです。

(初音) えっ…。

(朝陽) まぁ 正確には 「あなたのためでもある」ですが。

谷岡さんのコンディションが どうであれ→

バレンタイン・ガラでは最初から “カルメン”をやるつもりでした。

なぜなら 今の玉響に 必要な曲だからです。

彼らは謙虚で→

牧歌的で→

響きは美しいのに→

どこか 殻に閉じこもったところがある。

だから コンペに勝つためにも→

ソロが立つ曲で 前に出る気持ちを 培ってほしかった。

フルート オーボエ トランペット クラリネット。

“カルメン組曲”は それぞれに優秀な首席たちが→

ソロで その力を発揮できる曲なんです。

(朝陽) 彼らが自信をつけて 前に出られるようになれば→

あなた一人が全てを 背負い込む必要もなくなります。

ハァ ハァ…。

前にも言いましたよね。

僕たちはオーケストラです。

今より仲間を 信じることができれば→

あなたは もっと自由になれる。

(朝陽) あぁ… ハァ…。

次のステージでは→

谷岡初音一強ではない というところを→

見せてやりましょう。

(初音) えっ!? えっ 常葉さん?

えっ ウソでしょ?

常葉さん! えっ?

(初音) 遅くに すみません。

(初音) 大丈夫かな…。

無理してたからね。

こけら落としの曲選び→

リハの修正点の洗い出し→

何の曲をやって どんな練習をすれば→

みんなが最速で成長できるか→

いろんなこと同時に考え続けて→

ほとんど 寝てなかったんじゃないかな。

(初音) 疲れてるそぶりなんて 全然…。

指揮者は 人に弱みを見せない 生き物だからね。

♪~

(初音) どうですか?

解熱剤も飲んだし しっかり寝れば大丈夫でしょ。

(かおり) これ 指揮者コンクールで 優勝した時のやつ。

(初音) へぇ~。

(かおり) 朝陽とは この時の取材で 知り合ったの。

朝陽は まだ学生で 私は駆け出しの記者だった。

(初音) 在学中に優勝したんですね。

(かおり) そう その波に乗って→

21歳で高階フィルと 共演することになったんだけど→

まぁ とにかく 生意気だったもんだから→

高階の団員から 嫌がらせに遭ってね。

(初音) 嫌がらせって?

みんな 本番で 朝陽を無視して→

コンマスの指示に従ったの。

第2の指揮者に 指揮を乗っ取られちゃった。

それで すっかり自信なくして→

音楽の道に進むのを 迷い始めちゃったんだよね。

(かおりの声) 一度は 家を継ぐことも考えたみたい。

とはいえ 下戸の自分が ホントに酒蔵をやれるのかって→

また悩んで。

でも 私は 朝陽のファンだったから→

どうしても 音楽を捨ててほしくなくて→

あるコンサートに 朝陽を連れてった。

(朝陽) ペラペラしゃべんな。

それはね まだ小学生だった 谷岡初音のコンサート。

(初音) えっ?

♪~

(かおりの声) 素晴らしかった。

あなたが心の底から 音を楽しんでる姿を見て→

朝陽は音楽と生きていくことを 決めたの。

〔拍手〕

あなたを見つけた時 うれしかったと思う。

(初音)〔なっ…!〕 (朝陽)〔うちのオケに入ってください〕

〔よろしく〕

〔一人じゃ ない 僕たちはオーケストラです〕

〔拍手〕

(朝陽)〔おかえり〕 〔拍手〕

〔拍手〕

(かおり) 面倒なヤツだけど よろしくね コンマス。

♪~

(初音) 見つけてくれて→

ありがとう。

📱♪~

♪~

(初音) おはようございます。 (朝陽) おはようございます。

(初音) 個人練習は しばらく控えようと思います。

でも 合同練習は 続けさせてください。

決して無理はしないので。

(朝陽) 練習が終わったら ここに行ってください。

腕のいい先生がいます。

(初音) はい ありがとうございます。

(朝陽) では 始めます。

あの~ 玲緒ちゃんが まだ来てません。

(朝陽) 佐々木さんは帰りました。

えっ?

(三島) 西さいたまシンフォニーホールの公演→

僕をゲストコンマスに していただけませんか?

えっ?

面白くなりそうじゃないですか。

(初音) 帰ったって どういうことですか?

(朝陽) 次の公演には出ないそうです。

♪~

どういうこと?

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