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Original subtitles

(安武信吾) 千恵。

今日も いい天気だね。

(安武はな) ねぇ… ママ 寂しがってないかな?

うん?

こうやって はなが会いに来てくれたから➡

ママ 寂しくないよ。

♬~

トマトは… これかな。

じゃ ナスとトマトで400円ね。 はな 払って。

はい。

≪はなちゃん トウモロコシ おいしいよ≫

ホント? はい パパ 持ってて。 おぉ。

あぁ 大きいほうがおいしいかな?

≪どれも おいしいけどね≫ ホント?

じゃあ これ 2本でいいよね? うん いいよ。

ほい よいしょ。

あっ カボチャは? カボチャも おいしいよ!

ホント? じゃあ この大きいので。 は~い。

あっ あ~ 重い! アハハ…!

そんな重い? 重いよ。

<はなは よく笑う>

♪~ 夢は 今も めぐりて

<はなは よく歌う>

パパ どうかな? うん?

うん おいしい。 フフっ。

どれどれ?

うん。 うん。

フフフ…。

こら! トマト!

<はなは よく食べる> ダメ!

じゃじゃ~ん。

あっ トマト ぬか漬けにしちゃダメ!

ダメダメダメダメ…! あ~!

じゃあ はなをぬか漬けにしてやる~!

イヤ~ やめて! アハハハ…! あ~ 臭い 臭い 臭い。

<千恵の命を受け継ぐ この子がいるから➡

僕は生きて行ける>

♬~

≪おはようございます≫ ≪おはようございます≫

<僕が千恵と出会ったのは 13年前>

<僕の新聞社に➡

あっ 「僕の」というか➡

僕が勤める新聞社に 彼女がやって来た>

あの…。

何か?

(松永千恵) あっ はい。

あの…。 あああ… あっ あっ!

あ~ ごめんなさい! すいません。

ごめんなさい すいません。

<音楽大学で 彼女が所属している➡

声楽サークルのコンサートを 取材してほしいとのことだった>

ベルカント? はい。

これ 何した人なんですか? えっ?

あっ… ベルカントは 人の名前じゃないんですよ。

あ… 違うんですか。

歌い方です。

ベル・カント唱法っていって➡

う~ん…。

♪~ 兎 追いし かの山

♪~ 小鮒釣りし かの川

♪~ 夢は 今も めぐりて

♪~ 忘れがたき故郷

アッハハ… こういうの。

<こんな出会いをきっかけに➡

僕らの交際は スタートした>

<ちなみに➡

どちらかというと アプローチは彼女から>

<気弱そうな僕の態度が かわいかったらしい>

まず 笑うことでしょ あと 歌うこと。

それから 食べること。

その3つがあれば 私は幸せだな。

安さんは? えっ?

う~ん…。

腹が膨れればいいかな。

歌も下手だし 笑うことも あんまりないし。

じゃあ 私が安さんを笑わせる。

フフっ…。

<真面目だけが取りえだった 僕の毎日は変わって行った>

♬~

えっ!?

<クリスマスには コスプレで>

メリー クリスマス!

ハハハ…!

はい。 えっ?

バレンタインデー。

もらっていいの? うん 開けて 開けて。

うわ~‼ びっくりした~。

<バレンタインには びっくり箱>

ねぇねぇ 見て。

≪アハハ… 看板持ってる かわいいよ≫

≪ハハハ…≫

<誕生日には プラカード>

≪おめでとうございます≫

<何度 彼女に 笑わせてもらっただろう>

(遠藤) こんなの お前 使えるか!

さっさと書き直せ。

すいません。

<付き合って1年半が過ぎ➡

千恵が念願だった 音楽教師としての生活を➡

スタートさせた頃だった> [TEL](着信音)

おい 安 電話 電話。 [TEL](着信音)

あっ はい。 [TEL](着信音)

[TEL](着信音)

すいません。 [TEL](着信音)

[TEL](着信音)

もしもし。

仕事中 ごめんね。

[TEL] ううん どうした?

あのね…➡

今日 病院行って来たんだけど➡

私…。

乳がんだって。

えっ?

<「えっ?」と音を発して以降➡

僕は 何の言葉も出せなかった>

(安武美登里) あんた それで どうすんの? 何が?

(美登里) 何がって これから先のことよ。

俺は…➡

ずっと 千恵と一緒にいたい と思ってる。

ちょっと ホント それでいいの?

乳がんってね 本当に大変な病気なの。

ねぇ おとうさん。

(安武信義) 生半可な気持ちだったら➡

別れたほうが お互いのためだぞ。

(松永喜美子) ≪まぁ 心配しなくたって大丈夫よ 手術すりゃ治んだから≫

(喜美子) 不安そうな顔しないで 大丈夫だから ねっ。

(松永和則) 何か食うか?

いい。

[TEL](着信音)

キレ~イ!

僕が知ってる 景色が一番キレイなとこ。

フフっ。

ホントは こういうの➡

夜景が見える所とかが いいんだろうけど…。

え~ 松永千恵さん。

僕と… 結婚してください。

えっ?

急だから こんなんだけど…。

僕は➡

これからも 千恵ちゃんと ずっと一緒に笑ってたい。

真面目過ぎて 面白くない僕だけど➡

でも➡

千恵ちゃんが元気ない時は➡

頑張って笑わせるから。

だから お願いします。

何言ってんの?

無理しないでいいって。

いや 無理なんかしてないって。 だって 私 ガンなんだよ。

おっぱいだって 切らなきゃいけないんだよ。

分かってる。

薬のせいで 子供だって 産めないかもしれないんだよ。

別に 子供と結婚するわけじゃないし。

ホントに私でいいの?

私でいいんじゃなくて➡

私がいいの。

ありがとう。

<ガン告知から20日後 千恵は手術を受けた>

(長谷川) うん 現時点でのガンは 全て取り除くことができました。

(喜美子) ありがとうございます。

(長谷川) しかし ガンにはね 優しい顔と➡

ヤクザみたいな顔つきのものが あってね。

千恵さんの場合は 後者。

悪性度が高く 再発する可能性があります。

今後は 強めの抗がん剤で 叩いて行きましょう。

よろしくお願いします。

(看護師) 失礼します。

<抗がん剤治療は 1クール3回の点滴を➡

8クールにわたり行うもので➡

その後 5年間の定期検診中に➡

腫瘍マーカーの数値や 画像診断に 異常が見られなければ➡

ガンに打ち勝ったといえると 医師は説明した>

じゃあ また明日。 うん。

あっ。

持って来てほしいものある?

信吾君。 はい。

ありがとう。

あいつに 生きる希望を与えてくれて。

あっ いや 僕は何も…。

(喜美子) 信吾さん。 はい。

あの子のこと よろしくお願いします。

はい。

<その後も 千恵は➡

僕の前では 辛そうなそぶりは 見せなかった>

<でも…>

<抗がん剤の副作用は➡

吐き気 倦怠感 食欲不振➡

さまざまな角度から 千恵を苦しめた>

あ…。

あっ!

千恵!

千恵?

<病気のせいで 彼女は 教師を辞めざるを得なかったが➡

8か月に及ぶ 抗がん剤治療を 見事に乗り切った>

<そして 僕達は…>

≪安 頑張ったね≫ 遠いところ ありがとうな。

あっ そうだ バタバタするから その前に撮っちゃおうか 写真ね。

こんな日まで仕事なんて どうにかなんなかったの?

仕方ないよ 急な取材だもん。

(足音)

まだか? うん。

(松永) 何?

ごめん ごめん…! ごめん。 遅い~。

すいません 取材 長引いちゃって。 もう…。

ハァ… 着替えないと。

あっ! どうしたの?

指輪 忘れちゃった。

え~! え~!

もう~!

う~ん… もう! 痛っ。

♬~

♬~ (誓いの言葉)

(鐘の音)

♬~

<千恵の体のこともあり➡

新居は 自然豊かな場所に 借りることにした>

う~ん 何か いい感じ~ ハハっ。

え~ これから➡

どうぞよろしくお願いします。

どうぞよろしく… お~ お~ お~!

家に挨拶する人 初めて見た。 えっ しない?

うん しない。 したほうがいいよ。

じゃ しよっか。

よろしくお願いします。 よろしくお願いします。

<それまで以上に笑うこと>

よろしくお願いします。 よろしくお願いします。

あっ 焼けた。

はい。 ん~ ちょっと!

もう1枚。 ちょっと この上やめてよ。

ハハハ… 肉そば フフフ。 もう。

これ つけて食べたら おいしいんじゃない?

あっ おいしい。 フフフ…。

<食べること>

♪~ 夢は 今も

<歌うこと➡

…が増えた気がする>

♪~ 忘れがたき故郷

はい 次 信ちゃん。 えっ!?

無理 無理 無理…。

俺 人前で歌うのとか 絶対 無理だから。

人前って 私だけだよ。 歌いません。

ふ~ん…。

皆さ~ん! 安武千恵と申します。 ちょっと何してんの?

これから わが夫 安武信吾が➡

皆さんに歌声を…。 やめて やめて やめて…。

お届けしま~す! 分かったよ! 分かった分かった!

千恵ちゃんの前だけで歌います。 フフン フフフン。

よろしい ハハっ。 もう びっくりした。

はい 行くよ? ちょっと大丈夫…?

♪~

♪~ サン はい。

♪~ 兎

小っちゃ。

<翌年 アジサイの花が 色づき始めた頃➡

千恵から 突然のカミングアウトを受けた>

ねぇ 信ちゃん。 ん?

私ね 幸せだな~と思ってるんだ。

どうしたの? 急に。

何か➡

ず~っと このまま 生きて行けたらいいな~って。

うん。

ず~っと2人で。 うん。

2人でも大丈夫だよね?

大丈夫だよ。

ねぇ 千恵ちゃん 何かあった?

うん…。

私 お腹にいるみたい。 何が?

何がって…。

赤ちゃん。

えっ!? ホントに?

うん。

やったじゃん アハっ。

よかったじゃん! ウフフ。 うん。

お腹…。 あっ そっか。

ごめんごめん。

先生にね➡

先生に言われたんだけど…。 うん。

妊娠すると エストロゲンって 女性ホルモンが➡

活発に出始めるから➡

ガンが再発する可能性が 高くなるんだって。

諦めるしかないよね。

えっ?

だって 私 死ぬかもしれないんだよ?

抗がん剤が 子供に影響するかもしれないし。

そっか…。

そうだよね。

<千恵の告白を聞いて以降➡

仕事も 手に付かない状態が続いた>

すいません。

あの…。

今日 上がらせていただいても よろしいでしょうか?

何で? えっ?

あぁ ちょっと…。

フッ…。

すいません。

♬~

♬~

≪ただいま≫

おかえり。

今日 産婦人科 行って来た。

今週いっぱいだって リミット。

そっか…。

やっぱりさ…。

諦めよう 赤ちゃん。

千恵の体が一番大事だよ。

もし 赤ちゃん生まれても➡

千恵が元気じゃなきゃ意味ないし。

僕は 千恵と2人で 十分 幸せだから。

本気で そう思ってる? 思ってるよ。

じゃあ 何で?

何で この前 私が諦めようって言った時➡

「えっ?」って驚いた顔したの?

それは…。

あの時の顔 頭に こびりついて離れないの。

信ちゃん ホントは産んでほしいんでしょ?

いや だから あん時は…。

ずっと 2人で生きて行こうって 言ったじゃん!

なのに何で?

そんなに産まなきゃいけない?

私 死ぬかもしれないんだよ?

ガンが再発するかも しれないんだよ?

だから もういいって。

「もういい」って 何?

その言い方。

やっぱり 子供が欲しいから そんな言い方するんだよね?

ひどいよ!

私が のんでた抗がん剤➡

毒って書いてる 医学書があったんだよ?

ガンが再発したら また それ のむんだよ?

分かってんの?

それでも産めって? ひど過ぎるよ!

勝手に決め付けんなよ 俺が いつ産めって言った?

言ってないよ!

でも 分かんの!

やめよう。

ごめん。

でも怖いの。

怖くて仕方ないの。

もう どうしていいか 分かんないんだよ。

(泣き声)

[TEL](ベル)

はい。

(喜美子) 千恵。

おかあさんだけど。

うん 何?

さっきね 信吾さんが来てくれたの。

お母さんに言ったの?

何で勝手なこと…。 [TEL](喜美子) 違うの。

[TEL] 事後報告は 申し訳ないからって。

2人で悩んだ末に決めたって 報告に来てくれただけなの。

おかあさんは 2人で出した 答えなら応援するよ。

[TEL] あなたが いっぱい悩んだのも➡

分かるもん ね?

あぁ!

(松永) あのなぁ…。

何?

とうさんは 産んでほしい。

[TEL](松永) もし お前に➡

産みたいって気持ちが 少しでもあるなら➡

その時は死ぬ気で産め。

せっかく授かった命じゃないか。

(泣き声)

<電話を切った後 千恵は 産みたいと言った>

<死ぬ気で産む決意をしたと>

(息む声)

頑張れ 千恵。 ≪そうそう…≫

(医師) 安武さん もうすぐだからね。

≪もうちょっと頑張ろうか はい!≫

(息む声) ≪そうそう…≫

血液検査 回して。 はい。

千恵…。

<予定日より1週間遅い 2003年2月20日>

<分娩室に入り 5時間が経った頃…>

(産声)

<千恵は 元気な女の子を命懸けで 産み落とした>

(喜美子) かわいい。

千恵さん よく頑張ったね。

ありがとうございます ウフフ…。

名前は付けたのか?

うん。

「はな」にしました。

(美登里) はなだって。

そう 平仮名で「はな」。

へぇ~。

お花って 好きな人に贈るでしょ?

誰からも愛されて 人の心を癒やすような➡

優しい女性になりますようにって。

「はな」か いい名前だな。

<こうして 僕らの元に➡

はなが やって来た>

<僕と千恵とはな>

<3人での暮らしは➡

悩み続けていた日々が ウソのように➡

とても穏やかで 満ち足りたものだった>

(美登里) はなちゃ~ん はなちゃ~ん 笑って。

こっち見て ほら 笑ってごらん? まだ無理だって。

(カメラのシャッター音)

♪~ 兎 追いし かの山

<はなを産んでからの千恵は➡

前にも増して 前向きになった気がする>

<そして 昔のように また歌を歌うようになった>

♪~ めぐりて

♪~ 忘れがたき故郷

<そこにいるだけで➡

はなは 僕らに幸せを与えてくれる>

あ~! 冷たい 冷たい…!

ほら 冷たい。 アハハ…。

<この小さな命が➡

僕らを暗闇から 救い出してくれた気がした>

親父が また写真 撮りに来いって。

千恵ちゃん?

はな おっぱい飲まないの。

(泣き声) え?

<千恵が母親になり 9か月が過ぎた頃>

どうしてだろう? (泣き声)

肺に転移しています。

これ 決して 小さいもんじゃないんでね➡

また 抗がん剤治療を 始めるべきですね。

<千恵のガンが再発した>

あら おかえりなさい。 こんにちは。

(泣き声) 何で 分かんないのよ?

(泣き声) 頼むから 泣きやんでよ‼

千恵? ねぇ‼

何やってんだよ!? だから!

ちょっと…。 もう!

何やってんの? はな!

ちょっと おい やめろって!

<自宅治療に変わった頃➡

千恵に変化が出始めた>

やめろよ! やめろって‼

何やってんの? ハァ ハァ…。

(泣き声)

ごめん… ごめん。 (泣き声)

何か… 何か自分でも よく分からなくなって…。

ハァ… 感情的にバ~ってなって。

(泣き声)

ごめんね はな ごめん。 分かったから。

ごめん はな ごめん…。 千恵 千恵!

ごめん ハァ ハァ…。 大丈夫。

ハァ ハァ…。

大丈夫だから。 ハァ ハァ…。

ハァ ハァ…。

千恵 悪くないから。 ハァ ハァ…。

ハァ ハァ…。

病気だから ねっ? ハァ ハァ…。

治そう。 ハァ ハァ…。

ハァ ハァ…。

(泣き声) あっ…。

(泣き声)

(泣き声)

<それからは 少しでも時間を見つけると…>

すいません ちょっと出て来ます。

おい!

すいません。

<すぐに家に戻った>

すいません。 こんにちは。

(泣き声)

千恵? (泣き声)

(泣き声)

大丈夫 大丈夫。 (泣き声)

(泣き声)

千恵? (泣き声)

(泣き声)

おかえり。 ただいま。

(泣き声)

信ちゃん…。 ん?

もう 無理…。

抗がん剤 こんな苦しいなら もうやめたい…。

そんなこと言わないでよ。

頑張ろう。

<精神的に 不安定になって行く彼女は➡

いつの間にか 笑顔を失って行った>

<それに比例するように➡

僕の睡眠時間は減り➡

疲弊して行った>

(美登里) おかえり。 ああ。

(美登里) 帰って来たわよ。 ありがとう 今日も。

はなは ちょうど 寝かし付けたとこだから。

千恵さんね 薬のあれで調子悪いのか➡

夕方から寝ちゃってんのよ。 そっか。

あっ 明日の昼間って お願いできないかな?

明日の昼… ねぇ 明日の昼間って 写真館 予約入ってたよね?

ああ。 あ そっか。

千恵さんのお母さん お願いできない?

いや 今週 だいぶ 手伝ってもらっちゃったし。

はぁ… じゃあ 俺 帰って来るしかないか。

はぁ…。

もうさ…。

正直 しんどい 俺。

不安で千恵1人にしておけないし。

おかげで仕事もさ…。

(安武) 自分で選んだ道だろ。

結婚する時 お前 覚悟あるって言ったよな?

信吾の覚悟っていうのは そんなもんなのか。

千恵さんがいて はながいて それが お前の幸せなんだろ?

だったら その幸せ ちゃんと守ってみせろ。

あっ すいません…。 すいません あの➡

次の料理 お願いします。

用意して。 はい。

シェフ 下げてもよろしいですか? あの…。

はい。 あの…➡

余計なことかも しれないんですけど。

この前 隠れた名店の取材で 小料理屋に行ったんですよ。

したら そこの女将さん 前に ガンだったっていうんですけど➡

今 すごいピンピンしてて。

何か自力でガン治したって。

あぁ で もしよかったら➡

話だけでも 聞いてみないかなぁと思って。

これ そこのです。

ありがとう。

あっ すいません ありがとうございます。

あっ。

あっ…!

(信吾の声) 腎臓?

(赤羽) ああ。

尿検査も血液検査の結果も➡

良くないね。

でも すぐ治りますよね?

一応 薬は出しとくけど。

不摂生な生活続けてたら 治んないよ。

(看護師) 先生 待合室の患者さん 診てください。

はいはい。 (看護師) お願いします。

一番の原因は 不規則な生活と食事だからね。

<何をやってるんだ 僕は>

<千恵を 支えなきゃいけないのに…>

あ… 痛っ!

≪お疲れさまです≫ (遠藤) お疲れ。

あっ すいません。

企画書出来たんで お願いします。

「偉人への手紙」って 企画なんだけどさ➡

いろんな分野の有名人が➡

自分に影響を与えた 今は亡き偉人に➡

感謝の手紙を書く っていう企画なんだけどね。

不定期なんだけどさ➡

自分の企画が通って…。 ねぇ!

うん? 何? これ。

それは…。

何で黙ってたの?

余計な心配かけたくなくて。 もっと ちゃんと考えてよ!

私と信ちゃんの問題だけなら いいけど!

2人ともこんなんじゃ はなが かわいそうだよ!

ごめん…。

あのさ➡

一緒に行ってほしいとこが あるんだけど。

え?

こんにちは。

(山岡) ホントに私なんかでいいの?

はい ガンを克服した方の 意見として ぜひ。

無理言って すいません。

(山岡) いや それはいいの。

だけど ガンなんて 人によって違うから。

治るかどうか分からないわよ。

それでも お願いします。

じゃあ 私の場合はってことでね。

はい。 はい。

まず お医者さんの 受け売りなんだけど➡

人の体には そもそも➡

病気を治す力ってのが あるらしいの。

体に悪いものを追い出すとか➡

自分自身の力で 治せちゃうみたいなのね。

はい…。

つまり➡

健康っていうのは その力が 働いている状態なんですって。

いってしまえば 健康であれば 病気はしない。

病気の原因は 生活にあるってことみたい。

私の場合 その自然治癒力が 高くなったのが➡

食事療法なの。

食事療法…。

うん。

あの頃 抗がん剤の治療が 辛くて辛くて➡

思い切って 抗がん剤やめますって やめちゃったのね。

へぇ~ すごいですね。

だって 食欲もなくなって 食べられないから➡

体 弱っちゃってさ。

このままじゃ 私 死んじゃうなって思ってさ。

(山岡) で 自己流で➡

食事に こだわってみようと思って。

体にいいものとか 食べて行ったら➡

自然と体が元気になってって。

随分 手が冷たいけど 平熱は?

いつも 35度台です。

ダメよ ダメ。

ガンは熱に弱いんだから。

まずは 免疫力を上げるつもりで➡

36度5分以上にしないと。

はぁ…。

あの 具体的には 何すればいいんですかね?

朝食をしっかり作るところから 始めたらどう?

生活も改善されるし。

あと ごはんは みそ汁と玄米が中心の和食ね。

玄米?

好きなものを 好きな時間に食べてて➡

健康になれるはずないでしょ。

あぁ…。

当たり前なんだけど 良い食材を選んで それを➡

体にいい時間に ちゃんと食べるの。

それだけ。

旦那さんも一緒にやったら?

えっ?

あなたも どこか体悪そうだし。

バレた。

<それから 千恵は10時就寝➡

6時起床を心掛けた>

おっ 危ない。

どう? どう?

削れたかな?

お~! お~!

出来てる。 キレイ。

あっ おいしい。 おいしい。

あっ 痛い 痛ぇ!

大丈夫? 切った? うん。

あ~ 鍋! 鍋! あぁ!

熱っ! 熱い 熱い…。 弱めて。

いただきます。 いただきます。

<みそ汁は 昆布とカツオ節でダシを取り➡

ゴボウ ニンジン サトイモなどの➡

体を温める作用のある根菜を➡

根っこごと たっぷりと入れた>

<主菜は 塩いわし>

<副菜は 納豆と ぬか漬け>

<発酵食品は 腸の中を整えて➡

便通を良くしてくれるそうだ>

<正直 こんなに食材を考えて 料理を作ったのは➡

初めてだった>

おいしい? うん。

ホントですか? うん。

いや 顔色もいいし 今後は ホルモン療法が有効かな。

(長谷川) 少し専門的なことを言うとね 月に1回 注射で➡

卵巣から出る エストロゲン というものを抑制するんだけど…。

<千恵の体の中で 何かが変わったらしい>

(ピアノ)♪~

<食事療法とホルモン療法を 2年続けた頃には➡

腫瘍マーカーの数値は安定し➡

千恵の体から がん細胞が消え去っていた>

わ~ 上手 上手!

<ここから5年 数値に変化がなければ➡

千恵のガンは完治したといえる>

<一日も早く その日が来ることを➡

僕は毎日 願っていた>

♪~ ファ ファ ミ レ ド

わ~ 上手~! すご~い!

すごいね~ フフフ。

(泣き声)

ねぇ ご飯 捨てていいって ママ 教えた?

玄米も食べるんだよ!

じゃなきゃ 他のも 食べちゃダメだからね!

分かってんの?

何? どうしたの?

はなが「玄米 イヤ」って➡

わざと お茶わん ひっくり返したの。

泣いたってダメだよ! はなが悪いんだからね!

ねぇ そこまで厳しくなくて いいよ。

ちょっと 千恵ちゃん!

何? 厳しいって。

だって まだ小さいんだしさ。

だから何? 食べ物 粗末にしてんだよ?

ほっとけって言うの? 別に そんなこと言ってないだろ。

大体 信ちゃんが甘いから はなが こういうことするんでしょ。

何で 俺のせいなんだよ。

はなの将来のこと 真剣に考えたら➡

優しいだけじゃダメなの!

俺だって ちゃんと考えてるよ! 考えてないよ!

考えてる! 考えてない!

(ピアノ)♪~

さっきは ごめん➡

大っきな声 出しちゃって。

ううん 私のほうこそ。

でもさ➡

何も あそこまで 厳しくなくても…。

ねぇ まだ子供なんだし➡

ゆっくり時間かけてさ…。 それじゃダメなの。

ホントはさ しつけって➡

娘が お嫁に行くまでに 教えればいいことなんだろうけど。

私…。

どうなるか分かんないから。

大丈夫だよ。

ガン 消えたんだから。

まだ 5年経ってないし。

もしもの時…。

母親がいないせいで➡

この子が 何もできない子だなんて 思われたくないから。

私がいなくても困らないように。

今のうち できるだけのことを 教えたいの。

たとえ 「怖い」って➡

この子に嫌われてでも。

♬~

お肉とか お魚とか 全部の食べ物ってね➡

私達に栄養を与えるために 犠牲になって死んでくれてるの。

だから 私達は➡

その栄養を ちゃんと いただかなくちゃいけないの。

「いただきます」って言うでしょ?

あれは そういう意味なの。

はなが これから生きて行く上で➡

知っておかなきゃならない ことなの。

辛いかもしれないけど➡

頑張って ママの言うこと 聞いてくれるかな?

でも おいしくない。

うん。

玄米ってね 生きる力が強いの。

お米は 土の中に入れたら 腐っちゃうけど➡

玄米は 芽が出て来るの。

だから ママは強くなるために 玄米を食べるし➡

はなにも食べてほしいんだ。

じゃあ はなは 玄米 食べないでいいよ。

食べたいと思う時が来るまで ママ 待つから。

でも おみそ汁は ちゃんと飲んでね。

うん。

「いただきます」は?

はい。

(3人) いただきます。

<それから 1週間後のことだった>

何で? 何で急に?

(喜美子) 3日前から肺炎で入院してたの。

それが 今日になって…。

(医師) 抗生剤を点滴に入れてますが ほとんど効果が見られません。

膠原病で ステロイドや 免疫抑制剤を常用したのが➡

影響してると思われます。

(心電計のアラーム音)

膠原病って?

おとうさん 実は…。

でも 千恵達には言うなって 言われてたの。

「絶対に治してみせるから 心配かけるな」って。

(心電計のアラーム音) おとうさん!? おとうさん!

(心電計のアラーム音) 起きて! おとうさん!

(心電計のアラーム音) おとうさん!

はなを妊娠した時➡

ママ ガンで死ぬのが怖くて➡

はなを産むか迷ってたんだ。

けど おじいちゃんがね ママに言ったの。

はなを死ぬ気で産めって。

フフ… おいで。

ガンってね すごく強いから➡

自分が生きて行くんだって 信じてないと➡

勝てない相手なのね。

おじいちゃんに言われて 気付いたの。

どちらにしろ 私は生きるんだ➡

だったら 死ぬ気で この子を産めるんだって。

おじいちゃんが いなかったら はなは生まれて来なかったの?

そうだよ。

そもそも おじいちゃんが いなかったら➡

ママも生まれてないからね。

そうやって 命をつないでもらって➡

あなたは生きてるの。

フフっ。

うん。

♬~

はな~ ごはん出来たよ。

は~い。

座れる? うん。

はい。 は~い。

はい。 はい ありがとう。

はい いいよ~。

はい。 (3人) いただきます。

♬~

フフフ。

ちゃんとパンパンしなきゃ ダメだよ。

ほら パンパンって。

しっかり。

<千恵は毎日 少しずつ 生きて行くすべを教え➡

はなも素直に受け入れた>

よいしょ。

はい はなもやってみて。

ちゃんと かかと そろえるんだよ。

できた。

はい 両方のお袖をパタン。

半分にパタン。

うん もう1回やってごらん はい。

両方のお袖をパタン。

半分にパタン。

もっと 力入れて キュッキュ キュッキュ…!

いいかな?

は~い 流すよ~。

あ~! あ~!

あ~! あ~! フフフ…。

はなちゃん! 行こう!

≪はなちゃん!≫ うん!

ちょっと待って!

はな これ。

あれ?

信ちゃん! んっ?

信ちゃん 信ちゃん…。

(信吾と千恵の声) ハッピー バースデー はなちゃん!

はい どうぞ。

フゥ~ フゥ~。 (信吾:千恵) 頑張れ!

フゥ~。 頑張れ!

フゥ~!

うぅ~! おめでとう! うわ~ おめでとう!

何歳になりましたか? 5歳。

はい おめでとう イェイ イェイ!

イェイ イェイ…! イェイ イェイ…!

それからね これが 松永のおばあちゃんから。

いっぱい お絵描きしてねって。

すごい こんなにいっぱい! ねぇ いっぱいだね。

で これが パパとママからのプレゼント。

かわいい~。

う~ん おめでとう。 おめでとう。

もう1回。

もっと力入れて。 うん!

よいしょ もっと…。

もうちょっと ここ… 痛っ!

お野菜はね 全部食べられるんだからね。

皮も むかなくても大丈夫だし➡

根っこなんてね キレイに洗えばいいの。

どこもムダにしないで 食べてあげる。

そういうのを 一物全体っていうの。

いちぶつぜんたい。

いちぶつぜんたい いちぶつぜんたい…。

頑張れ。 いちぶつぜんたい…。

はい もう終わり 今日は。

ハハハ…! はい 終わり。

パパは 心配性だね ねぇ?

保育園で はなが描いたの。

ふ~ん。 私達3人だって。

へぇ~ で これは芽?

うん 多分 そうだと思う。

みんなの生きてく力 感じてんじゃない?

フフフ。 フフフ。

んっ? んっ?

んっ? んっ?

んっ? フフっ。

≪ママ! お風呂 沸いたよ!≫

はいは~い! 今すぐ行きま~す!

はなちゃん きょうだい いらないの…?

<千恵のがん細胞が消えた日から 4年が経とうとしていた頃…>

ネコ。 クマだよ。

クマ? う~ん。

分かった これ ウサギだ。

カピバラ!

カピバラ?

ごめん ごめん はな 怒んないでよ。

ごめん カピバラに 何か見えて来た パパ。

いつものさ 「おはよう」って…。 ≪ねぇ 信ちゃん!≫

んっ? ≪はな 見て!≫

何?

目マン 参上!

ハハハ…! ハハハ…!

何だよ それ。

今 あれで… ほらほらほら!

ホントだ! これか。

はなも やる! いいね これ。 はなも やるの?

じゃ はな 行くよ。 行け行け行け。

行くよ はな! OK!

とぉ! 目マン1号 参上!

とぉ! 目マン1号 参上!

いやいや 1号 2人になっちゃったよ それ。

はな 2号って言わなきゃ。 もう1回。

行くよ。

とぉ! 目マン1号 参上!

とぉ! 目マン2号 参上!

ハハハ…!

もう 顔 見えてないよ それ はな。

シャキ~ンってなってる。

目マン ビーム! あ~!

[TV] さぁ 八百長力士達の心も スッキリ晴れたところで➡

今日の全国のお天気です!

学校 間に合うかな? 速足で行けば 平気だよ。

そっか。

はな さっきのママ 面白かったよね。

何だっけ? 目マンってやつ?

どうした?

最近 ママ はなのこと 抱っこしてくれないの。

そっか。

はな 大っきくなったもんな。 そうじゃ ない。

何か 苦しそうな顔してたり するもん。

どっか痛いのかもしれない。

(長谷川) 残念ですが➡

ガンが全身に転移しています。

対処法は 抗がん剤ぐらいしか もう…。

(喜美子) そんな…。

一度 治ったんですよね? どうして いきなり…。

私にも よく分からないというのが 正直なところです。

ホルモン治療だけでは 抑えきれなくなったとしか。

(長谷川) 千恵さん このままだと半年後には➡

肝臓が機能しなくなる 可能性がある。

抗がん剤治療をやるなら 今しかないと思うよ。

ずっと痛かったんだ?

うん。

ねぇ いつから我慢してたの?

1か月前ぐらい。

何で言わなかったんだよ。

はなが 教えてくれなかったらさ…!

一番 冷静なのは➡

はなかもしれないね。

♬~

<こうして 抗がん剤治療が 再び始まった>

<でも千恵は 今度は一切 弱音を吐かなかった>

あ~ あぁ~。

(戸が開く音) ママ!

<穏やかに治療を受け入れる その姿に➡

彼女の強さを感じた>

おかえり。

ただいま。

♬~

♬~

♬~

<自宅療養になって 数日が経った頃…>

「早寝 早起き 玄米生活」。

「がんとムスメと 時々 旦那」。

何? これ ブログ? うん 見たい?

う~ん… 別に。

ひっど~い じゃあ いいもん。

ママ。 んっ?

髪の毛やって。

うん じゃあ ここ おいで。 うん。

はい。

よいしょ。

2つにしよっか。 うん。

<きっと 千恵は➡

自分の中に たまった苦しみを 吐き出したかったんだと思う>

<でも➡

だからこそ僕は➡

どうしても 見ることができなかった>

(先輩社員) 愛されてんねぇ 安武選手。

えっ? どういうことですか?

おいおい 何も知らねえの?

ちょっと… ちょっといい?

う~んとね…。

早寝 早起き 玄米生活…。

ちょっと読んでみろ ヘヘヘ。

≪ハハハ…≫

≪痛いって ちょっと…≫

(千恵の声) 「大きな心で➡

私の病気を受け止めてくれている 旦那に感謝です。

旦那と結婚して本当に良かった」。

(千恵の声) 「日々 醜くなって来る 母親の姿を見て➡

娘の小さな心は どんな思いを しているのだろう?」。

(信吾の声) えっ? 歌うの?

まさか!

無理に決まってんじゃん。

(千恵の声) 「もっと普通のお母さんだったら よかったのにって➡

思ったりしてるのかな?

あ~あ 病気になると 気持ちまで弱くなる。

いかん いかん 気を強く持たなくては。

治る病気も治らないぞ」。

はぁ…。

(ドアの開閉音)

ただいま~。 おかえり。

寝ちゃった。 んっ?

千恵。 んっ?

これ。 え~?

何?

んっ?

わぁ…。

七夕ライブ 歌ってみれば?

でも…。

俺は➡

千恵が歌ってる姿 すっごく好き。

だから その姿 はなにも見せてあげて。

じゃあ 一緒に出て。

えっ? シ~。

はなと3人で。

信ちゃんが出ないなら私も出ない。

え~…。 フフフ…。

♪~

♪~ 兎 追いし かの山

♪~ 小鮒釣りし かの川

(千恵)[スピーカ]♪~ 夢は 今も わざわざ録ってくれたの?

だって 全然うまく [スピーカ]♪~ なんないんだもん。

そんなに 簡単に [スピーカ]♪~ うまくなんないよ。

何とかなる [スピーカ]♪~ これ聴いて 自主練して。

[スピーカ]♪~ は~い。

お風呂で歌うとね [スピーカ]♪~ 自信つくから。

ホントに? [スピーカ]♪~ うん。

「あ」って言って。 [スピーカ]♪~ あ。

ほら 響くでしょ? [スピーカ]♪~ うん。

♪~ 如何にいます 父母

♪~ 恙なしや 友がき

(千恵)♪~ 『ふるさと』

♪~

ママ? ♪~ ん~?

♪~ ちょっと これ飲んでみて。

♪~ 味見。

♪~

どう? ♪~ うん おいしい。

♪~

じゃあ おわんに入れるね。 ♪~ うん。

気を付けてね。 ♪~ うん。

火 消した? ♪~ うん。

♪~

<七夕ライブまで 2日に迫った その日➡

千恵は 緊急入院することになった>

(長谷川) 腹部の膨らみは➡

肝臓が腫れ上がってるからでね。

肝臓の9割が➡

ガンの状態です。

今後は 意識障害も 出て来る可能性があります。

場所や人の名前が 分からなくなったり➡

同じことを 何度も繰り返し言ったり。

あの…➡

どうすれば…?

これが…➡

これが千恵さんの 寿命と考えてください。

今後は 自宅で過ごしますか?

残りわずかな時間➡

悔いのないように…。 何だよ 残りわずかな時間って。

ねぇ…➡

先生 医者でしょ?

千恵 助けてくださいよ。

申し訳ない。

医者にできることは もう何も…。

お願いします!

見捨てないでください。

僕の肝臓 使ってください だったら千恵 助かりますよね?

お願いします。

助けてください。

(戸が開く音)

何だって?

あのね➡

腹水は抜くほど たまってなかったから➡

明日には 家に帰れるって。

うん。

よかった…。

はなに会えるんだ。

(泣き声)

(泣き声)

(ドアが開く音)

ママ おかえり!

フフっ うん。

あっ キレイに片付いてるね。

お洗濯もだよ。

うん?

フフっ 偉いね はな。

フ~ン フフっ。 フフフ。

じゃあねぇ…。

はい これ あげちゃう。

んっ? んっ。

うわっ!

かわいい!

最近 ママね 手 しびれちゃうから。

はな 自分でできるかな?

うん。

できるよ。

はな 千恵が帰って来てくれたのが➡

よっぽど嬉しかったんだろうな。

あの子 明日 歌うって 分かってんのかなぁ?

フフフ 全然 緊張してないみたい。

俺は 寝られそうにないわ。

大丈夫 何とかなる。

うん だといいんだけど。

んっ。 フフフ。

フフっ。 フフっ。

♪~

♪~ Amazing grace how sweet the sound

♪~ That saved a wretch like me

♪~ I once was lost but now am found

♪~ みんな うまいね パパ。

ちょっと ♪~ プレッシャーかけないでよ。

♪~ ハハハ…。

♪~

♪~ Amazing grace

やっぱり ♪~ 一緒に歌いたかったな。

♪~ That saved a wretch like me

♪~ I once was lost but now am found

♪~ Was blind but now I see

♪~ Hallelujah!

(拍手)

ハハハ。 ハハハ。

頑張ってね ここで見てるから ハハハ…。

あのさ 歌わなくていいから➡

せめて一緒にステージに上がって。 んっ?

もう 不安で。

あぁ… ハハハ…。

しょうがないね。

(司会) 次は 安武信吾さん 千恵さん はなちゃんによる➡

『ふるさと』です。

(拍手)

♪~

♪~ 兎 追いし かの山

(はな:信吾) ♪~ 小鮒釣りし かの川

♪~ 夢は 今も

♪~ めぐりて (テープ:千恵)♪~ めぐりて

(はな:信吾)♪~ 忘れがたき 故郷 (テープ:千恵)♪~ 忘れがたき 故郷

信ちゃん ♪~ 信ちゃん これ…。

自主練用にもらったテープ ♪~ 流してもらった。

3人 一緒に歌わないと ♪~ 意味ないから。

♪~ 母 (テープ:千恵)♪~ 母

♪~ 恙なしや 友がき (テープ:千恵)♪~ 恙なしや 友がき

(はな:信吾)♪~ 雨に風に (テープ:千恵)♪~ 雨に風に

(はな:信吾)♪~ つけても (テープ:千恵)♪~ つけても

(はな:信吾)♪~ 思いいずる故郷 (テープ:千恵)♪~ 思いいずる故郷

(はな:信吾)♪~ 忘れがたき (テープ:千恵)♪~ 忘れがたき

(はな:信吾)♪~ 故郷 (テープ:千恵)♪~ 故郷

♪~

♬~

どう? 書けた? うん いっぱい書けた。

私は 1枚しか書けなかったな。

そっか。

パパも書いて。 うん。

何色がいい? よ~し 黄色。

黄色 こっち? うん ありがとう。

♬~

♬~

食べるの遅くて ごめんね。

そんなんで見たんじゃないよ。

うん。

お花に お水あげて来る。

うん。

子供の成長って すごいね。

アサガオみたいに ぐんぐん成長して行く。

はぁ…。

あっ!

あぁ…。 千恵。

大丈夫? ケガしてない?

ごめんね。

もう使えないね。

捨ててもらっていい?

<千恵が ずっと使っていた茶わんを➡

僕は 捨てることはできなかった>

<捨ててしまったら➡

千恵まで 失ってしまうような気がして…>

♪~

♪~ 上手 上手。

♪~

♪~ 上手 上手。

♪~

パパ ママが。

上手 上手。

千恵?

千恵!

上手 上手。

ママ? 千恵?

(喜美子) 千恵。

安武さん。

痙攣を止めるためには 強い薬が必要です。

ただ 呼吸停止を引き起こす可能性が。

どうされますか?

はな。

パパ。

ママ 治るよね?

ダメかもしれないね。

ママの所にいるね。

(喜美子) もう… 解放されてもいいんじゃないの?

千恵も 信吾さんも。

(喜美子) 千恵が ガンだって知った時ね➡

「何で千恵が こんな目に!」って 神様を恨んだの。

「どうして こんなに不幸なんだ」 って。

でも 千恵は不幸なんかじゃ なかったんだね。

信吾さんがいて➡

はながいて…。

千恵は とても幸せな子だって➡

今は心から思ってます。

ありがとう。

十分…。

もう… 十分よ。

千恵 今 薬入れてもらったから➡

すぐ 楽になるからね。

千恵… よく頑張ったね。

おかあさん 誇りに思うよ。

ホントに よく頑張った。

ホントに…。

痛かったね。

辛かったよね。

でも もう大丈夫だから。

すぐ 喋れるようになるからね。

(美登里) はなちゃん 声 掛けてあげて。

うん。

さぁ。

(心電計のアラーム)

千恵? (心電計のアラーム)

千恵。 (心電計のアラーム)

(心電計のアラーム)

千恵。 (心電計のアラーム)

(心電計のアラーム)

千恵。 (心電計のアラーム)

(心電計のアラーム)

目マン2号 参上! (心電計のアラーム)

(心電計のアラーム)

目マン2号 参上! (心電計のアラーム)

(心電計のアラーム)

見て 千恵 目マンだよ。 (心電計のアラーム)

(心電計のアラーム)

でもさ 2号だけじゃ…。 (心電計のアラーム)

1号も登場しなきゃ… 千恵。 (心電計のアラーム)

(心電計のアラーム)

♬~

(心電計の停止音)

千恵?

ウソだろ?

千恵。

千恵!

千恵…。

千恵!

安武さん。 千恵。

千恵。

千恵…。

(せき込み)

<それからの僕は➡

身も心も 完全に止まってしまった>

ごちそうさまでした。

お風呂 入れて来るね。 うん。

うぅっ…。

うあ…。

うぅ…。

パパ!

はな どうしたの?

あれ?

あ~ 気が付いたか。

大変だったんだよ。

胆のう炎だね。

娘さん ずっと ついていてくれたんだよ。

パパ 倒れてて 返事なくて➡

友達にね 電話して➡

おかあさんに 救急車 呼んでもらって。

はな 助けてくれたのか。

パパまで死んじゃったら はな どうすんの!

ヤダよ~! はな 独りぼっちになっちゃうよ!

(泣き声)

ごめんね。 (泣き声)

(泣き声)

<僕を立ち直らせてくれたのは➡

はなだった>

(目覚まし時計のベル)

(物音)

♬~

おはよう パパ。 おはよう。

♬~

♬~

♬~ よいしょ。

♬~

♬~

♬~

いただきます。 ♬~ いただきます。

♬~

♬~ おいしい。

♬~ 千恵と同じ味。

フフ。 ♬~ フフフ。

♬~

♬~

♬~

ありがとう。 ♬~ いいえ。

♬~

♬~ 玄米 玄米。

♬~

いただきます。 いただきます。

≪お~し 打ち合わせするぞ≫ ≪はい≫

≪おい 安!≫ はい。

あっ すぐ行きます。

評判いいじゃねえか。 えっ?

今回の… あの… 誰だっけ?

若手のミュージシャンが ジョン・レノンに書いた手紙。

面白いよ。

ホントですか?

安。

はい。

奥さんのこと いろいろ大変だったな。

これからも頼むぞ。

ママ ただいま。

パパ。 んっ?

寝られない? ううん。

あのさ➡

パパって 死んじゃった人に お手紙 渡せるの?

えっ?

お仕事で死んじゃった人に お手紙 届けてるんでしょ?

あ~。

フッ う~ん そんな感じかな。

これも お願い。

分かった。

おやすみ。 おやすみ。

(はなの声) 「ママへ はなはね➡

ママに伝えたいことがあるんだよ。

それはね お弁当が 全部作れるようになったこと。

びっくりしたでしょ?

ママに もっと 教えてもらいたかったこと➡

それはね ピアノなんだよ。

ママは厳しかったけど 教え方が分かりやすかったよ。

厳しいほうが はなが上手になるからね。

ママのおかげで はなは 学校の勉強の中では➡

音楽が 一番得意だよ。

はなも ママみたいに➡

大人になったら 歌を歌う人になりたいな。

応援してね。

お風呂の掃除と洗濯は 少しサボっているので➡

新学期になったら頑張る。

約束するから 天国で見ててね。

はな」。

♬~

千恵。

今日も いい天気だね。

ねぇ… ママ 寂しがってないかな?

うん?

こうやって はなが会いに来てくれたから➡

ママ 寂しくないよ。

♬~

♬~

よいしょ。 帰ろう。

パパ お仕事でしょ?

ブッブ~ パパ 今日 仕事 休みなんだ。

そうなの? うん だから➡

今日は 好きなとこ 連れてってあげる。

ホント? うん。

はな。

何?

何で ここ来たかったの?

ママが行きたかった場所だから。

えっ?

ママの手紙書くのに 便箋 探してたら見つけたの。

これ ママの字でしょ?

「はなとパパと三人で➡

向日葵畑に行きたい」。

「はなとパパと三人で➡

旅行に行きたい」。

「はなの卒業式が見たい」。

「はなの成人式が見たい」。

ママ 一つもできなかったんだよ。

(泣き声)

かわいそう。

ママが かわいそうだよ!

(泣き声)

はな! ちょっと待って! (泣き声)

はな! はな…。 (泣き声)

はな 聞いて。 (泣き声)

ねぇ パパの話 聞いて。 (泣き声)

(泣き声)

ママは かわいそうなんかじゃ ない。

はなが行くところには ママもいるから。

ママに教わった いろんなこと 覚えてる?

それはね はなの中に➡

ママがいるってことなんだよ。

パパの中にもいる。

だから➡

これからも➡

家族3人 一緒だよ。

(泣き声)

(泣き声)

♪~ 兎 追いし かの山

♪~ 小鮒釣りし かの川

♪~ 夢は 今も

(信吾:はな)♪~ めぐりて

♪~ 忘れがたき故郷

♬~

♬~

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