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(誠一) 妻には申し訳ないことを したと思っています。
(岡田) 1つ伺ってもいいですか?
(誠一) はい。
(岡田) 最初から愛がないのに 愛子さんと結婚したんですか?
(誠一) それは…。
(足音)
(愛子) あの すみません。 (店員) はい。
(愛子) 少しだけ温度を 上げていただけますか?
(店員) 分かりました。
よろしければ こちら お使いください。
(愛子) あっ じゃあ 彼女に。
(店員) どうぞ。
(愛子) 顔色 悪いですよ。
体調 まだ良くないでしょ?
堕胎手術したばっかりで。
(岡田) 大丈夫ですか!?
(彩香) 最低!
(愛子) 先生 私は1円も慰謝料を 下げるつもりはありません。
会社にバレたくなければ 早急な判断を。
そう先方にお伝えください。
(誠一) 《目の前にいるのは→
ホントに あの愛子なのだろうか?》
(コップを置く音)
(誠一) 《いつも穏やかな笑顔の愛子が→
別人のように冷たい目で 俺を見ている》
失礼します。
>> もう疲れて動けない。
(誠一) タクシー 拾うよ。 >> うん。
(誠一) 《愛子を変えたのは 俺だ》
♪~
(彩香) 不倫の慰謝料が 1000万なんて あり得ない!
法外でしょ。
(誠一) 体調 悪いんだから 酒なんか やめとけよ。
>> わざと絶食して 顔色悪くして行ったの。
全然 平気。
(ビールを飲む音) (誠一) 芝居だったのか?
>> サレ妻ばかり同情されるのも むかつくし→
元々 形だけの妻でしょ。 (プシュ)
あんな地味な女が 誠一レベルの男から→
本気で愛されるわけがないじゃん。 (誠一) んっ…。
>> 気付かない方がバカ過ぎ。
♪~
あ~ それ 婦人科でもらったやつ。
いいって!
(誠一) 弁護士に相談したら→
俺たちの方が全面的に悪いから 慰謝料は払うべきだって。
>> でしょうね。
(誠一) それでも交渉して→
500万くらいまでは 減額できるだろうって。
俺は自分の慰謝料と→
彩香の分も半分払うよ。
>> うん…。
ってか 離婚成立したらさ→
このマンション売って 誠一のマンションで暮らす?
どう?
(誠一) 会社にバレたら どうすんだよ。
一緒に住むとか あり得ないだろ。
出世も台無しだぞ。
>> あぁ…。
(秒を刻む音)
(誠一) 《どこで いつから→
俺は間違えたんだろう》
(誠一) 〔元気出してもらいたくて〕
(愛子) 〔ありがとう〕
(誠一) 〔俺 愛子さんの支えになりたい〕
(誠一) 〔結婚… してくれませんか?〕
(愛子) 〔はい〕
(誠一の声) ずっと介護してきた 祖母を亡くして→
気持ちが弱ってる愛子に→
俺は プロポーズした。
(彩香) 〔よかったじゃない おめでとう〕
(誠一) 〔うん…〕
>> 〔やっぱり簡単だったね〕
〔あの子 男に免疫なさそうだし〕
(誠一) 〔なぁ 彩香〕
〔やっぱり俺たち 結婚しないか?〕
〔結婚したって 彩香の実力なら いずれ出世できると思うんだ〕
〔俺も家事はやるし 協力してさ…〕
>> 〔無理〕
〔私は海外事業部に行きたいの〕
〔そのためには 今の部署で 出世することが大事なの〕
〔これは お互いのためでしょ?〕 (誠一) 〔そうだけど…〕
>> 〔大丈夫〕
〔あの子なら 5年くらいで 後腐れなく別れてくれそうだし→
その頃には 誠一は部長になって→
私の出世を後押ししてよ〕
(誠一) 〔ん~…〕
>> 〔とにかく 乾杯しよ〕
〔乾杯〕
(誠一の声) こうして俺と愛子の 結婚生活が始まった。
(愛子) 〔はい どうぞ〕
〔熱いから気を付けてね〕 (誠一) 〔うん〕
(愛子) 〔よし…〕
(誠一) 〔いただきます〕 (愛子) 〔いただきます〕
(誠一) 〔えっ うま!〕
(愛子) 〔ハハハハ! よかった〕
(愛子) 〔あのね あの~…〕 (誠一) 〔うん?〕
(愛子) 〔お弁当 作ってみたの〕
〔あっ でも もし迷惑だったら言ってね〕
〔お付き合いとかも あるだろうし〕
(誠一) 〔えっ 見ていい?〕 (愛子) 〔うん もちろん〕
〔あっ でも 普通のお弁当だよ〕 (誠一) 〔うん〕
(誠一) 〔うまそう〕 (愛子) 〔フフフ…〕
(誠一) 〔ありがとう 食べるよ〕 (愛子) 〔うん〕
〔包み直すよ〕 (誠一) 〔うん ありがとう〕
(誠一の声) 愛子は毎日 三食 手作りの食事を作り→
家事も完璧にこなしてくれた。
>> 〔水を入れる音〕
(誠一) 〔愛子…〕 (愛子) 〔あっ ごめん〕
〔起こしちゃった? 具合 どう?〕
(誠一) 〔少し良くなった〕 (愛子) 〔あぁ よかった〕
(誠一) 〔愛子〕 (愛子) 〔ん?〕
(誠一) 〔ん〕
(愛子) 〔ハハ… え~? もう… うつっちゃうよ~〕
(誠一) 〔ん~…〕 (愛子) 〔はぁ~〕
(誠一) 〔お腹が鳴る音〕
(愛子) 〔フフフ ハハハ…!〕 (誠一) 〔フフフ…〕
(愛子) 〔何か体が温まるもの 作ってくるね〕
(誠一) 〔うん ありがと〕
(愛子) 〔よいしょ〕
(誠一の声) ウソから始まった 愛子との結婚生活は→
居心地が良かった。
それを彩香に悟られて→
俺たちは よく ケンカするようになった。
(彩香) 〔どういうこと!?〕
〔どうしてセックスまで しなきゃなんないの?〕
〔しかも週1って あり得ない!〕 (誠一) 〔夫婦なんだから当然だろ〕
>> 〔じゃあ セックスした後 すぐに電話して!〕
(誠一) 〔バカ言うな…〕 >> 〔本気だから!〕
〔あなたが愛してるの 私でしょ?〕
〔だったら言うこと聞いて 絶対に電話して〕
〔約束!〕
(誠一の声) 彩香の要求は 徐々にエスカレートしていった。
>> 〔遠雷〕
(愛子) 〔うわぁ え~ カメさんいる!〕
〔すごい! カメさんいるんだね ここ…〕
(誠一) 〔あっ えっ? ごめん 何か言った?〕
(愛子) 〔ううん 何でもない〕
>> 〔遠雷〕
📱〔振動音〕
(誠一の声) 最初の結婚記念の旅行にも→
彩香は現れた。
それからは 愛子と旅行もできなくなった。
(誠一の声) 俺は愛子を 本気で好きにならないように→
感情を殺した。
最低の夫だった。
(秒を刻む音)
(誠一) 俺の好物ばっかり。
(愛子) うん 今日が最後の日だから 頑張った。
(誠一) うまそうだよ。
(愛子) よかった。
一緒に食べてくれて ありがとう。
(誠一) いや こっちこそ ありがとう。
(愛子) どうしても 最後まで 妻の仕事をやり切りたかったの。
いただきます。
(誠一) いただきます。
(誠一) うん おいしい。
炊き込みご飯の香りもいいし→
この茶碗蒸しも 味が染みて→
サバも煮物も染みてるし…。 (愛子) ハハハハ…。
(誠一) えっ 俺 何か おかしなこと言ってる?
(愛子) だって 感想言ってくれたことなんて→
新婚の時以来だから。
毎日作ってたのに。
(誠一) 愛子…。
こんなこと言う権利はないのは 分かってるんだけど→
一つだけ分かってほしくて。
(誠一) 結婚相手に愛子を選んだのは→
彩香じゃない。
俺が 愛子と結婚したいと 思ったんだよ。
(愛子) 私 初めて彼氏ができて→
デートして 楽しくて→
プロポーズされた時も ホントにうれしくて→
全部 昨日のことみたいに 思い出せる。
初めて愛した人が誠一さんだった。
本当に あなたのことが好きだった。
浮気を知ってからも→
いつか戻ってきてくれるんじゃ ないかって。
だから 結婚する前から→
ずっと裏切られてたってことを 知った時は→
傷ついたし あなたを憎んだ。
(愛子) 殺してやりたいって思った。
(愛子) けど… もう 明日で終わりにする。
あなたは 私が初めて愛した人だから→
恨みながら生きたくない。
それに→
最初から 全部 ウソだったのかもしれないけど→
私は あなたと結婚して 家族になれて→
幸せを感じたことは 本当なの。
最後に目を見て話してくれて よかった。
プロポーズしてくれた時も→
そうやって 真っすぐ見てくれたよね。
(愛子) 今のあなたなら→
私がどんな顔をしてるか 分かるでしょ?
誠一さん。
(愛子) 笑顔でしょ?
(愛子) 誠一さん。
(愛子) 今まで本当に ありがとうございました。
♪~
(岡田) 笹嶋さんには 結婚の破綻と精神的苦痛→
愛子さんが 妻として尽くしてきた分を含め→
1200万を要求します。
(誠一) 分かりました。
一括は難しいので 毎月100万→
1年で完済します。
(岡田) 安藤彩香さん。
これは あなたへの 慰謝料請求の書類です。
>> 不倫の慰謝料で1000万は 高いんじゃないですか?
(弁護士) 慰謝料の相場は 200~300万です。
それでも安藤さんの 申し訳ないという気持ちから→
こちらは相場より高い500万を 事前に提示しています。
(岡田) 悪いと思って ですか?
>> もちろんですよ。
(岡田) では これを…。
>> 何ですか? これ。
(岡田) 謝罪文です 声に出して読んでいただければ→
謝罪として受け入れ 慰謝料を600万円とします。
>> こんな… 500万で十分に 謝罪の意思は伝わりますよね?
(岡田) 前回の話し合いでも 安藤さんは愛子さんに対して→
一言も謝罪の言葉を 口にしていません。
読めないというなら 1000万→
それで 裁判です。
あなた方が 愛子さんを苦しめてきた→
この6年間を考えれば 安過ぎるぐらいです。
これ以上 こちらは譲歩しません。
>> 裁判すれば もっと 低い金額になる可能性の方が→
はるかに高いですよ それでも戦いますか?
(岡田) ええ 仮に裁判をして 300万になったとしても→
我々は裁判をします。
そうなれば→
勤め先への影響も ないとは言えませんよね。
>> 読めばいいんですよね? (弁護士) 安藤さん!
(岡田) ええ 大きく はっきりと。
その上で→
謝罪をしたという署名を お願いします。
愛子さんに 申し訳ないと認めた証しです。
>> 読みます。
「私 安藤彩香は→
笹嶋誠一さんと恋人同士であった にもかかわらず→
前途ある女性を 結婚相手としてすすめ→
結婚後も変わらず 6年間 付き合いを続けました」。
(彩香) 「妻である笹嶋愛子さんには→
6年間にわたり→
多大なご迷惑と 心労をおかけしたことを→
おわび申し上げます」。
「私が堕胎手術を受けたことと 愛子さんは無関係です。
笹嶋愛子さん→
申し訳ありませんでした」。
♪~
(愛子) あの!
私 幸せになります 絶対に。
だから お二人も どうか→
お幸せに。
>> 誠一が選んだのは 私よ。
あなたではなくてね。
(彩香) 行こう。
(誠一) ふぅ…。
(愛子の声) 「ゴミ出しは毎日!」。
(誠一) フフ… できるよ。
♪~
(愛子の声) 「忙しくても 朝ごはんは抜かない!
お味噌汁だけでも!」。
♪~
♪~
(愛子) 〔さよなら… 誠一さん〕
♪~
(誠一) ごめん!
♪~
(誠一) ごめん… 愛子。
(泣き声)
(産声) (泣き声)
♪~
(愛子) ありがとう。
《離婚から8か月後→
私は母になった》
(はなをすする音)
(泣き声)
⟨これは 殺したいほど愛した夫と私の→
再生の物語である⟩
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