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(水越麻也子)〈結婚して5年〉
〈夫の航一は→
マザコンである事と 潔癖症に目をつぶれば→
収入も見た目も合格点〉
〈けれど 私たちには問題がある〉
(水越航一)勘弁してくれよ。 疲れてるんだ。
〈夫は 私に なんの関心も示さなくなった〉
〈3年も前から セックスレスが続いているのだ〉
〈私の毎日は 満たされる事が何一つない〉
〈大学時代からの友人 久美は→
夢だったワインバーを オープンして→
生き生きしている〉
〈玲子は 夫と子供がいながら 若い男と不倫を楽しんでいる〉
〈私だけが つまらない毎日を送っている〉
〈私は本当に損をしている〉
♬~
〈私は罪を犯した〉
〈あの時 私は…〉
〈夫に 全てを知られてしまうなんて→
これっぽっちも 予想していなかった〉
♬~
ど… どうしたの?
僕に隠してる事 あるよね?
何? 急に。 別に何も。
正直に話してほしい。
だから 何も隠してなんかないし…。
これ以上 僕を怒らせないでくれるか。
航ちゃん 何か勘違いして…。
何するの!? やめて!
僕が何も知らないと思ったら 大間違いだよ。
やめて! 航ちゃん お願いだから。
やめて! 航ちゃん お願いだから…!
許さない…。 絶対に許さない!
やめて…!
お願いだから… 航ちゃん!
やめて!
はあ… はあ…。
はあ…。
(ため息)
どうしたの?
ごめん。
痛っ!
うん 止まったよ。
体調でも悪いんじゃないの?
ううん 大丈夫。 ならいいけど。
うなされてたから。
あ… ついに割れちゃったね。
残念だ。 えっ?
〈新婚旅行で 記念に買ったペアグラス〉
〈意外だった〉
〈夫が このグラスに 思い入れがあったなんて…〉
〈夫を裏切った事を→
今さらながら後悔していた〉
ごめんね。
本当にごめんね。
珍しいね。 麻也子が 靴を磨いてくれるなんて。
おわびよ おわび。 グラス割っちゃったから。
ありがとう。
じゃあ 行ってくるね。 いってらっしゃい。
♬~
(遠山玲子) 今日もかわいいよ 遙斗。
(遠山 茂)お弁当 出来たよ!
(遠山遙斗)わ~! (茂)はーい。
(遙斗)すごーい! (玲子)またレパートリー増えたんだ。
すごいね シゲちゃん。
本当? よかった。
その目のところが ちょっと難しくてさ→
時間かかっちゃったんだけど。 パパ すごいよね? 遙斗。
うん パパ 天才!
そんな事 言われたら パパ もっと頑張っちゃうぞ~!
(玲子)〈10年前に独立して→
建築設計事務所を開いた 一級建築士の夫は→
ああ見えて 一流企業の取締役にも 負けないぐらいの稼ぎはある〉
〈自宅で仕事をしているから 割と時間も自由になり→
子供の世話も任せられるし→
本当に便利な夫だ〉
お待たせ~!
あっ! お口の周りが汚れてるぞ。
ちょちょちょちょ…。 はい きれい きれい。
(目覚まし時計のアラーム)
(竹田久美)〈離婚して そろそろ一年になるのに→
今でもまだ 朝起きると 隣を見てしまう〉
〈一生 隣にいると 思っていた存在が→
あんなに 簡単に消えてしまうなんて…〉
久美は? 再婚とか考えてないの?
〈再婚なんて必要ない〉
〈だって 私には→
便利で都合のいい相手が いるから〉
〈もう 野村とは会わない。 会っちゃいけない〉
≪(くしゃみ)
(くしゃみ)
やばっ…。
≪(くしゃみ)
♬~
どうして ここに?
(野村健吾) 麻也ちゃんに会いたくてね。
この辺で打ち合わせ?
打ち合わせは横浜で9時から。
えっ?
だって 今からじゃ 間に合わないんじゃないの?
うーん… 渋滞に はまった事にする。
♬~
〈たった1分 顔を合わせるためだけに…〉
〈たった1分のキスのためだけに 待っていてくれた〉
〈また 夫を 裏切ってしまったけれど→
野村とのキスだけで→
私は一週間 満たされた思いで 過ごせるのだ〉
倉田部長 おはようございます。 (部下たち)おはようございます。
(倉田部長)ああ おはよう。 先日 お話しした→
金属セパレータの見積書を お持ちしたので→
ご覧頂けますか? (部下)こちらが見積書になります。
倉田部長に ご納得して頂けるよう→
精いっぱいのご提案を させて頂いたつもりです。
この金額で…?
話にならないよ。
あっ 待ってください。
あのさ これは社運をかけた 一大プロジェクトなんだよ。
お宅はさ 大手だから 安心しきってるかもしれないけど→
よそは もっと必死だよ。
申し訳ございません。 もう一日だけ頂けますか?
明日改めて 見積もりをお持ち致しますので。
(舌打ち)
何とぞ 何とぞ もう一度だけ チャンスをください。
お願いします!
(山岸亮介)じゃあ 皆さん 引き続き頑張っていきますよ。
はい! お疲れさまでした。
お疲れさまです。
相変わらず モテモテね。
嫉妬するなんて かわいいね。
♬~
いつまで彼と 今みたいな事 続けるつもり?
新しいのが現れるまで… かな。
もし 彼が本気になったら どうするの?
大丈夫よ。
そこは うまくコントロールするし。
そんな簡単に言うけど…。
久美ってさ 本当 真面目だよね。
そういう人生って 楽しい?
私は 玲子の事が 心配で言ってるの。
もし 不倫がバレたらって…。
離婚する事になってもいいの?
離婚?
ハハハ… ない ない ない。 絶対ないから。
久美だって知ってるでしょ?
旦那が どれだけ私に惚れてるか。
(久美)〈この自信は 一体 どこから来るんだろう〉
〈変わらないものなんて この世に何一つないのに…〉
なんか 食欲ないみたいだね?
これさ 味がないよね。
母さん うまいからさ 今度 味付け 教わったら?
お義母様のは ちょっと味が 濃すぎると思うんだけど。
塩分の取り過ぎは 体によくないし。
でも 僕は それを食べて育ったわけだし→
十分 健康だけどね。
そうだ 母さんが作ってくれた 佃煮があったよね。
♬~
〈野村からメールが来たのは 一週間後だった〉
〈会ってはいけない もう会わない〉
〈そう決めたはずなのに…〉
♬~
〈ほんのわずかに残っている 理性が→
私を迷わせていた〉
〈引き返そうか…〉
〈でも…〉
♬~
〈この扉の向こうには 私を満たしてくれる野村がいる〉
〈この扉を開けさえすれば…〉
♬~
会いたかった。
♬~
〈これでいい〉
〈今さら 不倫なんて 許されないと言ったところで→
きれい事だ〉
〈私の不倫は 今朝→
そう 新しい下着を選んだ時から 始まっていたのだから…〉
今日 麻也子にもらった→
ミハエル・ノヴァックの 来日コンサートだから遅くなるね。
夕飯いらないから。 お義母様と食べてくるの?
うん そう。
神楽坂の羅漢草の 予約が取れたんだよ。
えっ! 薬膳料理の…? うん。
たまたま キャンセルが出たらしくてさ→
ラッキーだったよね。 ああ じゃあ 行ってきます。
うん いってらっしゃい。
(ドアの閉まる音)
私が行きたいって言った時は→
どうせ 予約取れないんだろって 電話もしてくれなかったくせに…。
(津久井哲也)お疲れ。 (関口真希)お疲れさまです。
(真希)どうでした? 裁判。 (津久井)楽勝だよ 楽勝。
証拠 突きつけたら 和解してくれって→
泣きついてきたよ。 (古川 徹)津久井先生→
余裕でしたね。 当然だろ。 いいか?
証拠っていうのは あればいいって もんじゃないんだよ。
大事なのはタイミングだよ。 覚えとけ。
(古川)はい。 (津久井)ああ 水越さん ちょっと。
はい。 実は 今日さ→
友達の息子と コンサート行く 予定だったんだけどさ→
急な打ち合わせが入って 行けなくなったんだよ。
悪いけど これ 会場に届けてくれない?
えっ… 私がですか…?
(真希)えっ… あっ すみません→
今日 ちょっと 私 風邪っぽくって…。
(真希のせき)
風邪? 無理しちゃ駄目だよ。 水越さん 頼むよ。
わかりました。
先方には 君の名前と服装 伝えておくから。
あっ… これ 2枚あるから よかったら 君。
ミハエル・ノヴァックの 来日コンサートなんだよ。
ミハエル好きなんだ。 君 どうせ行かないでしょ?
母さんと行ってくるよ。 今日 麻也子にもらった→
ミハエル・ノヴァックの 来日コンサートだから遅くなるね。
ああ… すいません。 私 こういうのは ちょっと…。
興味ない? クラシック。
ええ まあ あまり…。 だよな。
俺の友達も 全然 興味ないみたいなんだけどさ→
その息子のほうが 本当 変わった奴でさ。
まあ なかなかのイケメンでは あるんだけど…。
イケメン!? (津久井)慶應の経済出てんだけど→
突然 音楽の道に進みたいって 言い出して→
内定してた会社 蹴っちゃって。 私 行きます!
駄目 駄目! 真希ちゃんが→
あんな奴の毒牙にかかったら 大変だよ。
でも 水越さんが 毒牙にかかっちゃったら→
も~っと 大変じゃないですか。 人妻なんですし。
大丈夫 大丈夫。 あいつ 若い子が好きだから。
はっ? まっ 頼むわ。
わかりました…。
(工藤通彦)水越さんですか?
あっ…! (工藤)ああ…。
ごめんなさい!
まさか あなただったなんて…。
フフフッ… びっくりですね。 世間は狭いっていうか…。
お預かりしてきたチケットです。 ありがとうございます。
それじゃあ。
あの…。
あの もし よかったら 一緒にいかがですか?
津久井さんの分と2枚あるんで。 いえ 私は…。
プレミアムチケットだし 無駄にするのはもったいないから。
でも クラシックって あまり興味なくて…。
そんな事 言わないで。 ああ でも…。
〈よりによって なんで このタイミング?〉
〈どうしよう… こんなところを見られたら→
絶対 誤解される〉
行きましょう。 えっ… あっ あの… ちょっと…。
♬~(ピアノ)
(水越綾子) 航くん 素晴らしいわね。
♬~(ピアノ)
≫(いびき)
迷惑ね。
(いびき)
(遠山)これ どうぞ。
わあ 素敵!
もう少し 早くに来ようと 思ったんですけども→
こんなに遅くなってしまって 失礼しました。
お忙しいのに わざわざ ありがとうございます。
どうぞ。 はい。
いや… 玲子が 週に半分ぐらいは 家を空けるものですから→
子供の世話を しなくちゃいけないんで。
茂さん 本当に優しいんだから。
いえ それが 結婚する時の 約束の一つでしたから。
普通 男の人は→
結婚前の約束なんか 平気で破ると思ってたけど。
でも 僕は それでいいんです。
玲子が いつも笑顔で 輝いてくれていれば…。
愛してるんですね 玲子の事。
はい 愛してます。
殺したいほど。
えっ…?
あっ… いいえ。 よく 言うでしょ。
目の中に入れても痛くないとか→
食べちゃいたいほど かわいい とかって。
ハハッ… 本当に玲子は幸せですよね。
(アナウンス)「ただ今より 15分間の休憩とさせて頂きます」
ワインでいいですか? あっ はい。 なんでも…。
わかりました。 じゃあ ここで待っててください。
♬~
はっ…!
〈なんなんだろう? これ〉
〈別に 悪い事を してるわけじゃないのに…〉
≪水越さん!
シーッ! ちょっと…。
あっちに… あっちに行きましょう。
あの… 空いてるかなって。
すいません ちょっと 人に酔っちゃったっていうか…。
よっぽど退屈だったみたいですね。
気持ちよさそうに いびき かいてましたよ。
えっ!? やだ! どうしよう…。
でも きっと 次のラフマニノフは 眠気も吹き飛ぶと思います。
あの… 一つ 聞いてもいいですか?
いくつでも。
こういうコンサートって 何を楽しめばいいんですか?
どうすれば 周りの人たちみたいに じっと聴いていられるのか→
全然 わからなくて…。
何も考えず いい曲だな いい気持ちだなって→
聴いてればいいんです。
いい気持ちだなって思ったら 寝ちゃってましたけど。
ハハハハハッ…。 おもしろいな 水越さんって。
でも 二部は寝ないと思います。
その代わり おなかが鳴るかも…。
えっ? へへへへ…。
じゃあ ご飯 食べに行きましょうか。
えっ…?
急いで。
どうしたの?
ん? なんでもな~いの。
〈誘っといて これ?〉
行きましょうか。 いいところがあるんです。
えっ…?
えっ!? えっ…。 さあ 早く。
でも…。 いいから。
じゃあ…。
ああ…!
♬~
きれい…。
♬~
〈津久井が言ったとおり 本当に変わってる〉
〈こんな子供みたいな事を するなんて…〉
津久井さんのところでは 長いんですか?
もうすぐ2年かな。
前は 全然違う会社で 広報の仕事をしてたんですけど→
結婚して辞めたんです。
専業主婦やってたんですけど 子供もいないし 退屈だから。
ご主人 怒らないんですか? こんなに遅くなって。
今日は大丈夫。 主人も遅くなるって言ってたから。
ああ よかった…。
工藤さんは コンサートとか 予定ないんですか?
えっ…? ピアニストでしょ?
あっ いやいや 違いますよ。
えっ!? だって この前 久美のお店で…。
ああ… 目指してた頃もありましたけど→
本業は 一応 音楽評論家ってやつです。
音楽評論家?
そう。
はい。 どうも。
音楽雑誌に 文章 書いたり…。 そうなんだ。
水越さん 音楽は? 全然 興味ないんですか?
そんな事ないですよ。
少しピアノを習ってた事も ありますし…。
聴いてみたいな 水越さんのピアノ。
えっ? 無理! 無理!
だって 工藤さんのピアノ プロ並みだったじゃないですか。
聴かせてください。
お願いします。
こんな事して 本当に大丈夫?
いいから…。
笑わないでね。 笑うわけないでしょ。
♬~(ピアノ)
♬~(ピアノ)
♬~(ピアノ)
♬~
〈なんだか 自分が自分じゃない 気がしていた〉
〈まるで 中学生が イタズラでもしているようだ〉
〈なのに こんなに楽しいなんて…〉
♬~(ピアノ)
何やってるんだ! ごめんなさい!
ごめんなさい!
♬~
ああ…。
(2人の笑い声)
ああ…。
ああ… やばかったです。
むちゃくちゃすぎますよ。
でも 楽しかったな。
私も。
本当に? うん。
こんなに笑ったのって 久しぶり。
♬~
いらっしゃいませ。
久しぶり。 ご無沙汰してます。
案内状もらってたのに なかなか来れなくて ごめんね。
いえ… あんな豪華な胡蝶蘭→
わざわざ ありがとうございました。
いいお店だね。 ありがとうございます。
さあ どうぞ。 うん。
さて 何をもらおうかな?
♬~
(携帯電話の着信音)
もしもし?
今 久美ちゃんの店で 飲んでるんだけど 来ない?
久美の店で?
ねえ 久美には 余計な事 話さないでね。
うーん… どうしようかなあ?
えっ?
冗談だよ。
今日は無理。 もうすぐ 主人が帰ってくるし。
じゃあ 今度の土曜日 箱根でも行かない?
えっ? 「いい宿があってさ…」
奇跡的に予約が取れたんだよ。
無理よ 家を空けるなんて。
駄目?
うん…。
ごめん ちょっと無理。
そっか…。 「ごめんね」
わかった。 じゃあ また。
≪(ドアの開く音) ≪ただいま。
おかえり。
いや~ コンサート すごいよかったよ。
麻也子のおかげだよ。 ありがとう。
ううん 全然。 たまたま もらっただけだし。
母さんも喜んでた。 なら よかった。
そう 羅漢草の薬膳スープ お土産に買ってきたよ。
すごい美味しかったんだよ。 麻也子にも飲ませたいと思ってさ。
航ちゃん ありがとう。
明日の朝 一緒に飲もう。 うん。
お風呂 沸いてる? 沸いてるよ。
〈夫は 決して 悪い人ではないのだ〉
〈結婚前のように→
私を女として 見てくれさえすれば…〉
あっ そうだ。 今度の土曜日 出張だから。
一泊で大阪。
(野村の声)今度の土曜日 箱根でも行かない?
母さんちに行く 予定だったのにな…。
でも 仕事なら しょうがないわよ。
私も ビール飲もうかな。
♬~
駄目! 絶対に駄目!
どうしたの?
ううん… なんでもない。
♬~(レコード)
♬~
(チャイム) はーい。
こんばんは。 お義母様!
航くん 帰ってる?
いえ…。 もうすぐ 帰ってくると思いますけど。
あっ そう。
お友達とね 歌舞伎 見に行ってたの。
航くんの好きなお寿司 買ってきたからね。
えっ? でも あの…。
あら 美味しそうじゃない。 冷凍しておけばいいわよ。 ね?
…そうですね。
あっ お茶いれますね。 ありがとう。
麻也子さん…。 はい。
この前 麻也子さん→
ミハエルのコンサート 行ったでしょ?
一緒にいた方 どなた?
あの人は→
津久井先生のお知り合いの 息子さんで…。
弁護士の? はい。
本当は 先生とその人が 一緒に行く予定だったんですけど→
急な打ち合わせで 先生が行けなくなったんで。
あの… チケットを渡すだけの つもりだったんですけど→
もったいないからって言われて…→
なんていうか 断れなくて 仕方なく…。
もちろん 親密な関係だなんて 思わなかったわよ。
違います! 親密なんて 全然そんなんじゃ…。
大丈夫。 信じてるから。
でもね 出来るだけ 誤解されるような事はしないでね。
航くん かわいそうでしょ?
あの子 繊細で傷つきやすいの。
はい… 気をつけます。
≪(ドアの開く音) ≪ただいま。
おかえりなさい。 ああ 来てたんだ。
お寿司 買ってきたの。
航くんの大好きなね 茶わん蒸しもあるのよ。
わあ 美味しそう! さあ 早く着替えて。
手洗って うがいして。 ああ…。
あっ ちょっと… やだ 航くん 何? 何? このシミ。
脱いで 脱いで。
これ 落ちるかしらねえ。 大丈夫 大丈夫。
う~ん 熱い!
そりゃそうよ。 気をつけてよ。
猫舌だからねえ。 言わなくていいじゃん。
美味しそうだね。
うん! うん! ここのはさ ネタが違うよね。
でしょう? ねえ イクラ食べる? あっ いいね。
じゃあ 母さんも なんか選んでよ。 私? 本当?
なんだと思う? 卵でしょ?
いや~ 当たり~!
取っていい? うん。
美味しそう。
あれ ちゃんと使ってる? 基礎体温計。
どうなの?
あっ… まだ使ってないです。
あらら。
〈使う意味ないし〉
すみません。
夫婦の事に口出しするのも… と思って 控えていたけど→
いいチャンスだから 言っておくわね。
いい? 麻也子さん。
〈えっ? 私だけ?〉
あなたが働きに出てるのも 暇だからでしょう?
それって 本末転倒よ。
航くんは優しいから→
あなたが少しでも 自由な生活を楽しみたいならって→
それを 尊重しようとしてるんだろうけど→
それに甘えていいのかしら?
母さん もういいから。 麻也子だって わかってるよ。
航くんは黙ってて。
悪い事は言わない。 早く 子供作りなさい。
子供が出来たら 航くん もっと 仕事にやりがいが出て→
いい仕事が出来るはずよ。
こんな生活 ただ 男と女が同居してるだけじゃない。
こんなの 結婚してる意味ないでしょ。
〈今の私と夫は 男と女ですらないのに…〉
〈やっぱり 私は損をしている〉
♬~
(鼻をすする音)
♬~
(鼻をすする音)
(鼻をすする音)
(携帯電話の着信音)
♬~
(野村の声)「箱根 麻也ちゃんと 行きたかったな」
♬~
航ちゃん…。
寝ちゃった?
♬~
♬~
♬~
あのさ 土曜日 一泊で 箱根に行ってもいいかな?
あのね 高校時代の部活の仲間で→
久しぶりに温泉でもって 誘われてたの。
でも やっぱり 家を空けるのは申し訳ないし→
でも 航ちゃんが出張なら…。
行っておいでよ。
本当に? いいの? うん。
楽しんでおいで。
ありがとう。 じゃあ いってきます。
いってらっしゃい。
♬~
(携帯電話の着信音)
もしもし?
(玲子)もしもし 久美? 私。
悪いんだけど 今日の夜 久美のところで飲むって事で→
口裏 合わせといてくれる?
いい加減にしたほうがいいわよ。 不倫なんて…。
わかったから。
もう 今日だけよ。
殺したいって言ってたわよ ご主人。
(玲子)「はあ?」
刺されても知らないからね。
♬~
今日は お気に入りの赤か…。
〈そして 野村との約束の日〉
やあ。 お待たせ。
行こうか。 うん ありがとう。
よし 行こうか。 うん。
天気よくて よかったね。
ん? 本当だね。
気持ちいい。
うん いいにおいがする。
あっ おまんじゅうだって。 本当だ。
♬~
どうしたの?
ううん なんでもない。
(野村) じゃあ これから どこ行く?
ちょっと おなかすいちゃった。
ああ… じゃあ お蕎麦とか? うん。
(カメラのシャッター音)
(カメラのシャッター音)
♬~
(仲居)どうぞ ごゆっくり。
ありがとうございます。
♬~
待って…。 嫌だな。
(携帯電話の着信音)
出なくていいの? 構わない。
(携帯電話の着信音) 出たほうがいい。
(携帯電話の着信音)
ごめん。 ちょっと仕事の電話。
うん。
〈嘘に決まってる〉
〈恐らく 奥様だろう〉
誤解だって。
うん…。
〈仕事の話じゃないのは 確かだ〉
(野村)うん…。
〈夢の世界の住人みたいに 思っていたけれど→
野村も現実を生きる 一人の男にすぎないのだ〉
(携帯電話の着信音)
(携帯電話の着信音)
もしもし?
どう? 楽しめてる?
うん ありがとう。 航ちゃんのおかげだよ。
「たまに温泉行くぐらいさ 僕に遠慮しなくていいから」
仕事は順調?
うん 予定より早く終わったから 道頓堀 歩いてきた。
「昔 一緒に行っただろ。 覚えてる?」
ああ… 一緒に たこ焼き食べたとこ?
「そう。 商店街の奧の あのたこ焼き屋 まだあってさ→
懐かしくなって フラッと入って食べてきたよ」
そういえば あのあと… 私 迷子になったよね。
そうそう。 一人で買い物に行くって言って→
なかなか ホテルに戻ってこないからさ→
心配したよ。
泣きながら電話したの 覚えてる。
「フフ…。 航ちゃん 私 今 どこにいるの? って」
「それさ 聞きたいの 僕だから」
あの時 航ちゃん 必死に 私を捜してくれたね。
なかなか見つからなくて… 焦ったよ。
航ちゃん…。
でも 楽しかったな あの旅行。
♬~
航ちゃん…。
私…。
「ん?」
「また行きたいな 旅行」
うん…。
「よし じゃあ 旅行を目標として 仕事頑張るとしますか」
航ちゃん… ありがとう。
♬~
〈私は 何をしてるんだろう?〉
〈これから先 野村との人生が あるわけじゃないのに→
夫を裏切ってまで 一体 何を…〉
ごめんね… 航ちゃん…。
ごめんね。 仕事で ちょっとトラブルがあって。
麻也ちゃん?
♬~
♬~
♬~
なんか 怒ってる?
ごめんなさい。
えっ?
私たち もう会わないほうがいいと思う。
♬~
私… 帰ります。
♬~
〈今なら まだ 引き返せるはず〉
〈私は そう思っていた〉
きれいに後腐れなく 終わりにしよう。
(久美)お邪魔します。 なんのつもりだよ?
(久美)今すぐ抱いて。 ちょっ…。
妻が お世話になってます。 (野村)麻也ちゃんとご主人→
お似合いのカップルだね。 〈最悪〉
(工藤・水越・野村)大丈夫? 〈泥沼なんて ごめんだ〉
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