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♬~
♬~
♬~
♬~
♬~
(一刀)大五郎 焼けたぞ
さあ 食べよう
柳生の犬か
(水音)
大五郎!
大五郎!
♬~
大五郎!
♬~
♬~
♬~
(男性)何だ おい さらし首かよ あれ
(男性)気持ち悪いなぁ
(男性)気持ち悪いねえ (男性)あっ
(男性)目が開いたよ
(男性たち)生きてるよ
(左近)さあ どうかな
この首 斬るもよし たたき潰すもよし
それで たったの50文じゃ➡
生きてる人間の首が 50文だぞ ええ?➡
得物 打ちものは より取り見取りじゃ ハハッ
わしは おだぶつ そっちは斬り得じゃ ハッ➡
さあ ないか ないか 人間の首が たったの50文じゃ
ハハッ どうした 誰もおらんのか ええ?
我と思わん者は 出てきたらどうじゃ
ええ? 僅かの50文
(山沢) 首が飛んでから後悔しても 遅いぞ
(左近)ああ 化けて出たりせんから 安心をしんせえ
こやつ (左近)斬るかな? 突くかな?➡
それとも? (山沢)斬る
それじゃ 50文 先に払うてもらおうかの
(山沢)そら さんずの川の渡り賃だ
いや 今夜の酒代じゃ
(山沢)この こじき侍 いくぞ
しっかりやらにゃ いけんよ
惜しいな
惜しかったな もうちょっとだったな ヘヘッ
ああ 待たれい 1振り多かったな 50文追加
(男性)ざまあねえなあ (山沢)ほれ
(男性)ざまあ見ろい
未熟だったな もうちょっと修行してこられい
ヘヘヘ…
さあ ないか ないか この首 たったの50文じゃ
さあ 誰かおらんか ほら
(男性)こりゃ強そうだぜ 今度は
待った (熊造)ハハハ…➡
おい 首売り お前 おじけづいたのかい
この台 壊したら 破損料 50文じゃ
(熊造)何? その前に てめえの首は ぺっちゃんこだい!
くそ!
《白刃取りの極意》
(左近)どいた 待たれい➡
いや 失礼をば 平に平に お許し願いたい
おわびのしるしに 一献 差し上げたいがのう
お気遣い無用 待たれい
急ぐ旅でもござるまいが 是非 一献 なっ?
ああ 今日はもう 店じまいじゃ 終わりじゃ
さあ 帰った帰った
ああ うまいな ハハッ どうじゃな 一杯
断っておる あ… そう
酒は百薬の長と申すではないか
先ほど なぜ わしへ向かって かけやを飛ばしたのだ
姉ちゃん お代わりじゃ ≪(小女)はい
答えていただこう
首代を払うて わしの首を斬ろうとする者も➡
それを見とる者も➡
どうすりゃ わしの首が斬れるじゃろうかと➡
一念に凝るんじゃ
見ている者 全ての凝念が➡
殺気となって わしの首に集まるんじゃが➡
お主には その殺気がなかったな
いや 殺気はないが 鬼気があったがな
殺気に勝る鬼気
めったに見ることのできない 恐ろしい鬼気がな
貴公 わしを知っているようじゃのう
わしから名乗ろう
備前浪人 刺野左近
元 公儀介しゃく人 拝一刀
やはりな
いや そうじゃないかと思うて かけやを飛ばしたんだが➡
非礼の段は 平にお許しくだされ
備前岡山の刺野左近といえば➡
微塵流を使って 並ぶ者なき 手だれの者という
それがなぜ なぜ こじき浪人に身を落として➡
神聖士魂の表芸たる武技を 大道に売るのかと➡
そう申されたいのかな? ハハッ
まあ あ… こりゃどうも
武技とは一体 何でござろうかのう
いろいろ理由付けられるが 所詮は人を殺す技じゃ
そこで わしはな 人を斬る以外に 武技を役立てる方法は➡
他にないものかと考えてな
そのあげくが さっき御覧に入れた 首売りの大道芸じゃ
それというのも 侍であるということが➡
むなしゅうなってのう
百姓だの 町人だの 侍だのと 身分に上下の隔てはあっても➡
飯を食らい くそをたれることに 変わりはないんじゃ
そうと分かったら 気楽なもんじゃ
さしずめ 人間こじき道に 入ったとでも申すかのう ハハハッ
そうと分かったら おかげで 人の心が よう分かってのう
さしずめ お主のその目が放つ 鬼気に妖しい狂いがあるんじゃ
まあ 凡俗の悲しみとでも申すかのう
失礼いたす うん… 待たれい
(左近)拝殿 待たれい 待てと言ったら 待ったらよかろう
これ以上の お引き止めは 無用でござる
その目じゃ
幼いながらも よう似た もう一つの目を わしゃ知っとるぞ
何? 滝の瀬に落ちたとみえて➡
岸辺に打ち上げられていたのを たまたま わしが通りかかってのう
♬~
(千恵)坊や 水怖くないの? 危なく溺れそうになったのに
フフッ
(大五郎)ちゃん!
大五郎 着物を着てまいれ うん
左近殿の お内儀でござるか (千恵)千恵と申します
拝一刀と申す (千恵)えっ?
聞いておろうが 子連れ狼とは この御仁じゃ
我が子 大五郎の危難を お救いくだされ➡
幾重にも 厚く御礼申し上げる (千恵)いいえ そんな
(左近)ほれ 土産を買うてきたぞ
ありがたく頂戴するのだ
おお ハハハ…
かわいい お子じゃのう ハハッ 再び会えることと 信じていました
今の気持ちを大事にされい
大事にとは?
お主は あの子が 強く優しい➡
もののあわれを知る立派な人間に 育てたいとは思わんのか
血生臭い修羅場から修羅場へ それでは あの子が救われぬぞ
再会の今を機会に きっぱりと 刺客道から足を洗われい
何じゃ 下手じゃな こらこら こうやってやるのじゃ
わしがやってやろう なあ? ほれ!
ハハッ やってみい
ちゃん!
大五郎 行くぞ
あくまでも 刺客道を貫くと申されるのか
親子で選びし道でござる
のう 拝殿 いかに 数多くの人を殺りくし➡
国をかすめ 金品を取り 地位を築き上げようとも➡
人間 寝るのは畳1枚の大きさじゃ 食らうものは 2合半の米じゃ
起きて半畳 寝て一畳 天下取っても 二合半じゃ
ならば 人間らしく世の中を見➡
子を思うて生きようとは 思わんのか
そりゃまあ お主の柳生への怨念は 分からんこともないが➡
人間 僅かに 50年 はかない一生だというのに➡
なぜ 冥府魔道に入り 殺りくを繰り返すのじゃ
捨てられい 刺客道を
五臓六ぷに染みついた血は どうにもならんのじゃ
これほどまで言うてもか
大五郎
渡さん この子は わしが助けたのじゃ
1人で 地獄の道をさまようがよい
だが この子は… この子は…➡
お… おい!
♬~
お前が ひと言 声を掛けてやれば あの子は行かなかったはずじゃ
なぜ 黙って見ておったのじゃ
私の力では どうにもなりません
いや 母親の情けに 飢えておったはずじゃ
でも あの子は優しさよりも 厳しさを選んだんです
私は 拝様のような生き方を 立派だと思います
なぜじゃ
敵 裏柳生への怨念を激しく燃やし ひた押しに刺客道を歩む姿を➡
あなたも見習うてくださいまし
くだらん
ちゃん
無礼者
こわっぱ
ひと言のわびもなく立ち去るとは 無礼だぞ➡
とぼけるな わびぬと言うなら 覚悟せい
(多々良)待て
(多々良)苗木藩 剣術指南役 多々良玄蕃だ
待て (多々良)捨て置け!
他に急ぎの用があるはず 案内せい (山沢)はっ…
(左近のいびき)
(山沢)やはり
♬~
あなた 起きてください
(左近)うん… うっ… (千恵)あなた
ああ…
たった今 多々良玄蕃が ここに
何じゃと (千恵)父の敵 多々良玄蕃が
まだ遠くへ行っていません すぐにも あだ討ちを
そんなものは やめたと言うておろうが
でも 今 目の前に (左近)ほっとけ
それでは 非業の死を遂げた 父の無念が晴れません
何と言うても わしは嫌じゃな (千恵)敵は討たぬのですか
人殺しは やめた
まあ あなたという人は
わしは 人は斬らん こじき道を貫くだけじゃ
(左近のいびき)
(山沢)たとえ 尾羽打ち枯らしても 武士は武士
あだ討ちの志を 捨てるわけが ございません (多々良)うむ
大道に芸を売ると見せかけて➡
ひそかに多々良様を 狙っているのではございますまいか
(多々良)あるいはな (山沢)そうだとすれば➡
進んで成敗いたした方が よろしいかと
うむ
さあさあ この首を斬るもよし 突くもよし
それで たったの50文じゃ
どうじゃ 人間の首が 50文じゃ どうかな
一度斬ったら それっきりじゃ➡
さあ 誰かおらんか 我と思う者は突いてみんかい➡
誰もおらんのか ええ? さあ どうじゃ 50文じゃ ハハッ
玄蕃殿 久しぶりじゃのう
首を売るに 相手を選ばんのだな?
(左近)そりゃ まあな ハハッ
相手が強いほど 芸の見せがいが あるというものじゃ
よーし
待った (多々良)臆したか
金を払うてもらおうかのう (多々良)何?
商売じゃからのう
(多々良)フフフ…
どうなるかな この勝負
相手は御指南役だ (男性)こいつは見ものだぜ
やっと取れた
斬れなかったな
(山沢)どけ どけどけ (左近)あっ➡
金もらうの忘れたわ おお… 50文 おい
代わりに払うてくれる… ああ すまん すまんな
いや すまん ハハッ
(左近)千恵 見てくれ 商売繁盛 このとおりじゃ ヘヘヘ…
何という ふがいない
おうおう 何をするのじゃ
私を離別してください
ばかなことを いとしい女房を
起きて半畳 寝て一畳 天下を取っても 二合半じゃ
何を くよくよ迷うことがある➡
ええ? ヘヘッ みょうと仲良う寄り添うてじゃ
のう 千恵 ヘッ➡
さあ 商売商売 さあ 誰かおらんか この首 僅かの50文じゃ
丑寅の方角に 山門あり
♬~
おばちゃん
その節は 失礼いたしました
なぜ ここへ
お願いの儀がござりまする
刺客料 1殺 500両とか
何とぞ 苗木藩 剣術指南役 多々良玄蕃の命を…
お聞きくださいまし 3年も前のことでございます
玄蕃が 私を妻にと申し出ましたが➡
当時 備前岡山藩 お納戸奉行を 務めておりました父は➡
かねてより 私を嫁がせたいと 思ってる他の男がございました
そこで 2人に剣術の試合をさせ 勝った方にということになり
(千恵)玄蕃は その日のことを恨みに思い➡
私と 左近の祝言の夜 邸内に忍び入り➡
父を斬ったのでございます
そこで 私と 夫 左近は あだ討ちの旅に出立いたしました
ところが 諸国を流浪するうちに➡
いつともなく 夫 左近は 侍が むなしゅうなったと申し➡
一向に 敵を討とうとはいたしませぬ
かよわい女の身では どうすることもできず➡
思い余った末の お願いでございます
断る えっ?
左近殿を説得なさるがよい
♬~
♬~
この首 50文じゃ…
(多々良)千恵
父の敵
忘れはせぬ 左近と立ち合うた際➡
不覚を取った 拙者の姿を見て せせら笑うた そなたの顔
名乗れ
何やつだ
刺客 子連れ狼
何!
手出しはせぬ どけ
女手一つで 立ち向かってゆかれたのか
見苦しい姿を お見せしまして
左近殿は? 一向に…
命を懸けねば 人の心は動かせぬ
命を…
拝様
腕は お借りいたしませぬ
代わりに 子を お貸しくださいまし
のぼりに 子を貸すと書いてございます
お貸しくださいましょうか
期限を切っていただきたい
七つ時の鐘が鳴るまでには きっと
返す場所は?
川っぷちの小屋で お待ちくださいまし
坊や
さあ 坊や
フフッ
捕まえた フフフ…
楽しかった?
もう一回 鬼ごっこを?
うん フフフッ
そろそろ帰らないと お父上が待ってらっしゃるわ
うん
まあ 寝心地良さそう
母様の背中だと思って 安心して眠ってちょうだい
♬~
坊や
私のおなかの中には 赤ちゃんがいるの
でも きっと この世には 生まれてこないでしょうよ
母親が死ねば 赤ん坊も一緒に 冷たくなってしまうからね
坊やの お父上に言われたわ 命を懸けろって
そのとおりだわ
首売りのおじさんに 思い直してもらうには➡
私が 死ぬしかないの
まあ 起きてたの?
♬~
3年たてば おなかの赤ん坊も こんなに大きくなるのね
でも そのときは 母親も子供も この世には…
坊や ありがとう
おかげで 私は母親の幸せを 知ったような気がするわ
(すすり泣き)
うん まあ ゆるりとされるがいいな
こじき暮らしの風流三昧 とくと味おうていかれい
なっ? ハハッ
おう 戻ってきたな
ちゃん!
(千恵)お子を お返しいたします
(左近)よう まあ よいではござらぬか
(千恵)拝様!➡
どうか この場に お立ち会いくださいませ
立ち会えとは?
夫 左近に 敵を討つよう いま一度 説得いたしますゆえ
フッ さらば わしも こじき道をもって応酬するかのう
(千恵)拝様!
(千恵)お願いでございます 微塵流の極意をもってすれば➡
敵 多々良玄蕃を討つのは いともたやすいはず➡
どうか 父の無念を
わしにとって 微塵流の極意とは➡
大道に人々を楽しませるもんじゃ
人を斬るためのものじゃ ありゃせん
(千恵)それでは 私の立つ瀬がございませぬ
フッ くよくよ 武士のおきてなどに惑うな
こじき浪人に なりは変わっても 刺野左近に変わりはないぞ
フフッ 祝言は交わした仲じゃ
共に人間らしゅう 生きようじゃないか のう
私にとって 人間らしくとは 敵を討つことでございます
違うな
志を たがえてしまった 私どもが➡
これでも めおとなのでございましょうか
みょうとじゃとも
誰に はばかることなく➡
好き合うて一緒になった みょうとじゃ
(千恵)では もう一度 女房の頼みを聞いてくださいまし
今更 節を翻すわけにはいかぬ
これほどまでにお願いしても
諦めるんじゃな
(千恵)うっ
何をするのじゃ 何という早まったことを 千恵!
奥方は 我が命を絶ってまで お主に…
返事をなされい そうでなくては 奥方も成仏できまい
しかし… こじき道を捨てられい
赤ん坊
なんと…
千恵! それは誠か
誠なのか! 千恵
なぜ わしと お前の ややこまで 道連れに
えっ? (千恵)拝様
命を懸けての説得も 無駄でございました
それ故 多々良玄蕃…➡
お… お願い
千恵… 千恵!
(多々良)聞くがよい!➡
首売りなどと 人心を惑わす ふらちな浪人者は➡
即刻 御城下より立ち退くよう 御家老より 厳しいお達しじゃ
立ち退かぬとあれば 成敗いたす
(役人)おっ… おのれ! 控えい! (役人)控えい!
(役人)どけー!
待たれい
お主とは 関わりのない赤の他人
だが 今は違う なぜ!
依頼されれば 刺殺あるのみ
誰に頼まれた
言うは無用
おのれ!
♬~
♬~
大五郎
赤ん坊か
拝殿
士道を捨て こじき道に入りし➡
拙者の とどのつまりは このありさまでござる
妻を自害に追いやり いまわの際の望みも果たさず➡
一人 おめおめ生きており申す
この期に及んで 拙者のなすべきことは➡
何でござろうかのう
あくまで 節を屈さず➡
こじき道を 貫くことではござるまいか
この後も 大道に芸を売りつつ 生き延びるつもりか
いいや 改めて お主に 刺客道を捨てろと言いたいのじゃ
こじき道は 我が悲願
刺客道もまた 我が悲願
あくまで 刺客道を進むならば➡
わしが お主の前に立ちはだかるであろう
やむをえぬ
参られい
刺客道を進むならば この首を斬ってからになされい
だが 抜かるな
わしとても このむしろの こっち側には➡
剣を握っておる
♬~
♬~
微塵流の飛翔剣
下から切り上げれば 斬れたであろうに
なぜ 斬らなんだ
ヘヘッ
起きて半畳 寝て一畳 天下を取っても 二合半じゃ
しかして死ねば 一握りの骨舎利
所詮 はかなき人間の一生じゃ
刺客道を捨てろ! 拝一刀!
その子の行き先を思い➡
人間として 俗界に生きられい
首売り左近 いまわの際…
いまわの際… 頼む
♬~
刺野左近の 人間こじき道は➡
一刀の心を 強く打たずにはおかなかった>
刺客道を歩むは 切なる悲願>
惑うことを許されぬ 苛烈な明日を 生きてゆかねばならなかった>
いっときとして 休むことは許されない>
あるいは 襲い来る敵の幻か>
乳房を求めた大五郎>
70両の刺客依頼>
孔明軍学 「八門遁甲の陣」>
敵の息の根を止める>
8匹の ちょうが舞う>
御期待ください>
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