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わあ…
きれいだろ~
この お雛さん じいちゃんたちが作ったんだぞ
スゲえだろ
うん… すごい
すごいきれい…
世界で 一番きれい
新菜も練習すりゃあ じいちゃんみてえになれらぁ
ヘヘ…
気持ち悪い!
えっ…
なんで わっちゃん 男の子のくせに
女の子のお人形 好きなのよ?
わっちゃんなんて大嫌い!
ハッ!
おはよう
はああ…
今日も きれいだね
燦々 キラリ色した 大切なもの
忘れないから そう この日を
水平線 遥か彼方
落としたため息は 波にさらわれて消えた
蓋した本音 見つけてくれた
キミに手を引かれ ゆっくり走り出す
くしゃくしゃに笑うキミを焼き付けて
波打ち際に はねる影ふたつ
鳴らす足音は 明日へと響いてる
燦々 裸足のキミを 追いかけていく
心ほどけて しぶきあげた
爛漫 揺れる水面が キラリ染まって
初めて出逢う この感情
真っ直ぐに 夢を見る 奇麗なその瞳
キミのそばで笑ってたいから
Be myself!
おはよう じいちゃん
あ~
おう おはよう 新菜
新菜 おめえ ゆうべも遅くまでやってただろ
ちゃんと寝てるのか?
ん~
なんか調子良かったから つい
筆が走って 何個も やっちゃったんだよね
けど… まだ じいちゃんみたいに うまくいかなくてさ
じいちゃん 何年やってると思ってんだ
ん~ 47?
48!
いただきます
顔は まだでも 衣装は作れんだから上等じゃねえか
それしかだよ まだまだ できないことばっか
んな焦んなくっても ぼちぼち やりゃあいい
まだ学生なんだから
うん…
それより おめえ
高校に上がって友達出来たのか?
ゴホゴホッ!
おい 大丈夫か?
大丈夫…
えっ? 何 急に…
いや おめえ 小学校んときも 中学校んときも
毎日 人形いじってばっかだろ?
友達いねえんじゃねえかと思ってよ
い… いるよ いるいる
今までも普通にいたし
みんな 部活やってるから 時間が合わないんだよ
ただ それだけ ホントに
あそっか なら じいちゃん 安心だわ
アハハハッ
ハハ… ハハハ そっか そっか うんうん
ハア…
いってきます
おう 気ぃつけて行けよ
うん
1限 マジ やなんだけど
もう マジ怒られるよ 大丈夫
うい~っす!
うっ!
す… すみません
人違いでした~!
ごめん じいちゃん
俺… 高校でも友達出来てない
だって しかたない 俺の夢は雛人形の頭師になること
だから 趣味が…
雛人形の製作と その練習
鑑賞
会話
これじゃ みんなと 話 合うわけない!
昨日 見た? 6話
「地裂」?
めっちゃ面白かったわ 作画も ホントに神!
この前の大会でさ 監督…
俺の好きなものと みんなの好きなものは違って…
うい~っす う~っす
だから 俺がいたら和を乱すし
嫌な気持ちにさせるって決まってる
俺が…
いないほうが…
うわっ ちょ…
いったあ~!
ごめん 海夢! あちゃ~
平気? ごめ~ん
大丈夫? つつ…
一応 平気
ごめんね
っと… ごじょー君
き… 喜多川さん!
あっ えっ あの…
大丈夫?
は… はい!
ん? それ…
いっ…
なんか付いてるよ?
なんだろ これ ケガ… じゃないっぽいけど
こっ… れは あの 平気なやつなんで
何が?
そっ?
なら いいけど
海夢 大丈夫?
バキバキに折れたわ
ウソつけ アハハハッ
墨… 付いたままだったんだ
びっくりした…
んっ…
初めて話してしまった
喜多川さん…
明るくて 友達も多くて いつも中心にいて
俺とは住む世界が違う人
ねえ 昨日の放課後さあ
うわっ その話すんの?
ってか 海夢が 放課後つきあうって珍しい
いつも消えるのに
サロモの バイトだっつうから ついてったの
ウチもカットしたかったし
バイトかい フフッ
したら 自分の髪 終わってんのに
海夢狙いで ずっと待ってる人いて
ハア…
スゲ~ 帰れよ
顔は? 割とイケメン
んで ウチらが帰るとき 絡んできたのよ
話すきっかけ 作ろうとしたんだろうね~
ねえねえ それ なんとかってアニメのやつ?
超オタクじゃん ないわ~
おめえがねえわ
つって 海夢 秒で帰った
マジで? 瞬殺じゃん
きっつ~
そいつ そのまま ポカーンって 超棒立ち!
っていうか イケメンだったんなら もったいなくない?
海夢って 声かけられても いつも塩対応だよね
顔とかどうでもいいよ ああいう男 無理
ってか ジャラ付けしてる時点で 好きだって分かんだしさ
人の好きなもの バカにすんなよ ってなるでしょ
それな 分かる
あと シオンたんを “なんとか”って雑にくくんなよ
出た! 海夢のシオンたん愛
だから それ系の話 ウチら分かんねえ…
同じ教室の中で
自分とは真逆の世界で 生きている人がいる
ありのままの自分を 受け入れてもらえる世界は
きっと 生きやすいんだろうな
マジで?
また やってくれんの?
うん いいよ
助かる~!
お前 さすがに今日は やれって
え~ でも 五条が いいって…
バイトも遅れたくねえし
じゃ 五条 あと頼むわ!
おい!
わりいな 五条 今度 ジュース おごらせっから
正直 一人で全部は大変なんだけど
でも 俺が会話に入れなくて 気まずくなってしまうよりは
全然いいし…
俺がいると話題にも困るだろうし
無言が続くのも しんどいだろうし
早く終わらせて俺も帰ろ
ん?
喜多川さん… 忘れ物かな?
ん…
何?
あっ! いえ…
あの えっと… 何してるんですか?
見たまんまなんだけど 掃除
トイレ行ってて遅れたけど あたし 今週 掃除当番だし
えっ あっ…
や… やってくれるんですか?
当たり前じゃん 普通にやるよ
ねえ ほかの人は?
あ… 帰りました バイトがあるみたいで
マジ? みんな?
はい…
ごじょー君… 押しつけられてない?
あ…
ですね
“ですね”?
分かってて やってるの? 嫌じゃないの?
あ… まあ 多少 嫌ですけど
だよね それ言った?
いえ…
でも 頼りになるって言われたし いいかなって
それ 頼られてるんじゃなくて
パシられてるだけだから
嫌なのに なんでも 言うこと聞くって違くない?
ってか 自分のために 絶対しちゃダメでしょ
自分の気持ちは 自分のために言わなきゃダメだよ
痛っ!
おい なんだ 大丈夫か?
あ… ごめん また 指 切っちゃって
気ぃつけろよ
えっと まだ 絆創膏あったかな? あ~ 少し待ってろ
ありがとう
あれから何日もたってるのに…
自分の気持ちは 自分のために言わなきゃダメだよ
喜多川さんの言葉が頭を離れない
図星だった
俺は いつでも 自分の気持ちを押し殺してきて
本当は…
あのときも…
ハア…
ん? あれ…
ほれ これ 貼っとけ
じいちゃん ミシンが動かない
え?
年代物だからなあ… 寿命だろ
新しいの買うか
切りのいいとこまで やりたかったんだけどな
あ… そうだ
おお~
すっごい楽だ
手芸部なくてよかったな
放課後になれば 誰も来ないから堂々とできるし
持ってこれるし
フフ…
今日 襲 縫ってくからね 待っててね
フフッ… フフフフ
き… 喜多川さん!
あっ…
ごめん! 大丈夫? 痛くなか…
ハッ!
しまった…
ハア ハア… 何それ…
お… 終わった
すっご~い!
ごじょー君 ミシンできる人なの?
は?
だから ミシン!
なんで できんの? 選択で家庭科ないじゃん!
あ… えっと…
俺の家 雛人形の店 やってて
なので 昔から教わって…
そっち系? だからか!
ねっ それ お雛様?
えっ… 見せて
あっ は…
どうぞ
わあ~
めっちゃきれいじゃん
目 キラキラしてる
初めて…
初めて褒めてもらえた
俺の好きなものを 初めて!
このお雛様 ごじょー君が作ったの?
あっ いえ 違います
これは じいちゃんが作ったもので
お… 俺は まだ
服作るぐらいしかできなくって
服… 作れんの?
あ… はい
マジ?
はい
でも ただ縫う程度なんで 大したことじゃ…
んっ…
あっ…
あの… 向こう向いててもらってい?
はい!
なっ なななな… なんだ これ
何が起こってるんだ? なんで急に服を?
はっ? 何?
ガサガサって何? なんの音?
ごじょー君 はい!
な… なんでしょうか?
こっち… 見て
えっ でも…
いいから 見て
ん?
まだ途中だよ? 途中なんだけど
これ あの… どうかな?
えっ “どう”とは…
なんの格好ですか?
え~っと…
そ… その服を作った… みたいな?
あたしが
冗談ですか? ふざけてます?
へっ? ふざけてないよ 真面目に作ったし
いや だって 全然違くないですか?
狙っても ここまで下手にできませんよ
ええっ! あ…
それ 裏地が必要な布ですよね?
裏? 裏って?
そこから分かってないんですか? 信じられない…
失礼します
やっぱり…
返し縫いも全然してないし シワになってる
あっ 下糸ないじゃないですか
これじゃ 縫ったことになりませんよ
縫い代は? 忘れてますよね?
うわっ もう~ どうして ここ ダイヤル変えてるんですか
それと… あっ
ちょ… 調子に乗って 申し訳ございませんでした
殺してください!
ちょっ… はあ~?
何してんの やめてよ!
あっ あああ… あと いくらほど支払えばよいでしょうか
いいよ いらないって!
全然怒ってない 怒ってないから!
っていうか ごじょー君 顔 上げてくんない?
えっと… これはね
あたしが コスしたくて作ったの!
コス?
そう コスプレ!
あたしね 漫画とかアニメとか ゲームのキャラと
同じ格好がしたいの
コスってね
自分の推しへの思いを 全力でアピれんのよ
すごくない? それって もう…
究極の愛じゃん!
うっ…
聞いてる? ごじょー君
はい! すいません 聞いてます すいません!
そんで…
うち ミシンないから 放課後 ここで作ってたんだけど
でも まあ こんな感じで かなりヤバめだし
周りに裁縫得意な人もいなくて…
ごじょー君
あたしに コス衣装 作ってくれないかな?
えっ?
無理なら
無理って言ってくれれば いいんだけど…
あのね あたし もう自分じゃ どうにもできなくて
でも どうしても 雫たんに…
大好きだから なりたいの!
お願い ごじょー君!
すっご~い!
ごじょー君 ミシンできる人なの?
わあ~
めっちゃきれいじゃん
人の好きなもの バカにすんなよ ってなるでしょ
自分の気持ちは 自分のために言わなきゃダメだよ
分かりました
人用は作ったことがないので うまくいくか分かりませんが
できるだけ やってみます
ってことは… いいの?
はい
マジ?
はい
わあ…
アハハ…
やった~!
やった やった やった! わあ~ やった~!
雫た~ん 雫た~ん
雫たんになれる~!
同じ教室の中で
自分とは真逆の世界で 生きている人がいる
その人と こんな約束をするなんて 思ってもみなかった
え~ん… ガチで涙出てきた
あっ でも あたしにもできることは するから
できることは少ないけど!
はい
そんなに その人になりたいんですね
うん! だって めちゃくちゃ尊いんだもん
「聖♡ヌルヌル女学園 お嬢様は恥辱倶楽部」⸺
「ハレンチミラクルライフ2」の 黒江 雫たん!
なんですって?
きゅんきゅんきゅん
ウフフフ
きゅんきゅんきゅん
気づいてしまった
私きっと 恋してるの
運命のいたずら
その一言 ズキュンときたの
あーこれ以上 期待しちゃダメ
今は
二人で夢追いかけて
ピュアピュア 一途な ハートが
フワフワ フワフワ
いけない うっかり みとれちゃう
好きすぎて どうしよう
自分自身に正直に
だから ねぇ お願い
キレイになってく私を 近くで見てて
ナナナ ナナナ
きゅんきゅんきゅん
ウフフフ
きゅんきゅんきゅん
次回…
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