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(凛(りん))今更だけど 調子はどう?
(士郎(しろう))え? あ… ああ
大丈夫だ
正直 持て余してるくらいだ
これなら投影の十や二十は いけると思う
(凛)よかった うまくいって
よし 今がチャンスよ
行きましょう
私と士郎は 山の裏側から柳洞寺(りゅうどうじ)に侵入して
セイバーに合図を送る
その合図で セイバーは正面から柳洞寺に突入
あいつの注意を引いてちょうだい
(士郎) その隙に 俺たちは慎二(しんじ)と聖杯(せいはい)を見つけ出して
聖杯を止める
そうなれば あとはセイバーに 聖杯を壊してもらうだけだ
そのことだけど…
(セイバー)シロウ
話しておくことがあります
セイバー?
この先 私が聖剣を使えるのは 一度きりです
えっ!
魔力が足りないの
聖剣を使った時点で セイバーは この世から消滅する
そんな どうして
当然でしょ
2人分の魔力を 掛け持ちしてるんだから
あっ!
じゃあ セイバーは切り札を封じたまま
あいつの足止めをするのか!
(セイバー)シロウ
私が決めたことです
しかたがないでしょう
この方法が確実なんだから
セイバーは私のサーヴァントよ
無駄死になんて させるもんですか
ん…
あ…
フッ
♪〜
〜♪
(士郎)何だ? これは
(凛) 魔力が実体化している
この空気 10年前の…
てことは やっぱり あれが聖杯ってわけね
器が小さすぎたんでしょうね
中のものが器を壊して あふれ出ようとしている
(士郎)器を壊す?
(凛)慎二を壊すってこと
あいつ どこかに核として つなげられてるはずなんだけど
(士郎)あそこじゃないか?
かなり上の方に人影がある
(凛) 今回の聖杯は 人体を利用して動いているようね
けど このままだと 器が合わないために 壊れてしまう
あ…
(凛) そうなったら 聖杯も何もない
聖杯によって開けられた穴から
あの得体の知れない泥が あふれ出るだけ
だったら 慎二を早く引きずり出さないと
ちょ! そのままで行く気?
その泥は もう受肉した呪いなのよ!
やってみなくちゃ 分からないだろ
急がないと!
セイバーだって あいつと戦っているんだ
ここで ためらっている暇は…
(ギルガメッシュ)これは驚いた
よもや 三度(みたび)も その不出来な顔を見るとはな
雑種
なっ!
ギルガメッシュ?
ウソ! なら セイバーは誰と?
あ…
(アサシン)待っていたぞ
よくぞ間に合ってくれた セイバー
アサシン!
バカな
キャスターが消えた今
あなたが とどまっているはずがない
(アサシン)私は ちと特殊でな
この土地を依(よ)り代(しろ)にして呼ばれた まがい物のサーヴァントだ
故に 私はこの山門にのみ出現する 門番となった
もっとも 女狐(めぎつね)が亡き今
夜明けまで もたぬ身だ
ここまで持ちこたえたことこそ 僥倖(ぎょうこう)と言えよう
(ギルガメッシュ) セイバーともども
天運に見放されたな
山門には
消え損ないのサーヴァントが 残っていると
知らなかったか?
アサシン…
ウソ… まだ とどまっていたの?
さて ただ殺すだけでは芸がない
その生に 僅かばかりの猶予をやろう
(士郎)猶予だと?
(ギルガメッシュ) 慎二も 見届ける者が我(オレ)だけでは寂しかろう
この行く末を見届けるというのなら その生にも意味がある
あんた 人類の大量虐殺なんて 本気で考えてるわけ?
ん…
うっ!
(ギルガメッシュ) 殺される程度の覚悟で 我に問いを投げるとはな
恐ろしく 人間に優しい世界になったものよ
だが それが答えだ 娘
有象無象の無駄が跋扈(ばっこ)する 今の時代は
あまりにひどすぎる
何だって?
(ギルガメッシュ) 以前の我の世には 無駄なものなどなかった
奴隷であろうと役割はあり 何者であろうと意味はあった
だが 今の世はどうだ 役割も価値も席が埋まっている
お前たちも 本当は こう思っているのだろう?
自分たちは どうやら 数を増やし過ぎたとな
(士郎)う…
(凛)う…
そんな雑種どもを
我が手ずから 間引いてやろうというのだ
10年前は500人足らずだったが
此度(こたび)は この世の全てに 災厄が降りかかる
余分なものが淘汰(とうた)され
どれほどの人間が生き延びるか
楽しみではないか
(凛) それが楽しいのは あんたみたいな変態だけだっての!
真面目に聞いたこっちが バカだったわ
今すぐ あんたの聖杯を止めてやるわ
遠坂(とおさか)
慎二は私が引っ張り出してくる
あんなんでも 桜(さくら)の兄貴だし
それに 助けられるのなら 助けるのが
士郎の信条でしょう
(ギルガメッシュ)フハハハッ
呪いの中を進むだと?
人間風情が踏破できるとでも 思ったか
ふん! 甘く見ないで
この程度の呪い 耐えきってみせるわ
決死の覚悟か
魅(み)せるではないか
(ギルガメッシュ)だが (士郎)あ…
我の前から去ることを 誰が許した?
(士郎)くっ!
遠坂 慎二を頼む
任せて
う…
遠坂に手を出すな
お前の相手は俺がする
セイバーを迎える前の 余興だったが
ここまで つまらんとはな
薄汚い贋作者(がんさくしゃ)
その身をもって 真偽の違いを知るがいい
(セイバー)ハッ!
そこをどけ アサシン
もはや 門を守る意味などあるまい
フッ 意味か…
もとより 私に戦う意味などない
そう 英霊としての誇りも 望むべき願いもない
何しろ この身は 佐々木小次郎(ささきこじろう)ではないのだからな
あっ!
そう驚くな
確かに 佐々木小次郎という男は いただろう
物干しざおと呼ばれる 長刀(なががたな)を持つ武芸者もいたはずだ
だが それらは同じものではない
ある剣豪の 引き立て役として語られた—
佐々木小次郎という剣士は
実在しない架空の存在なのだ
架空の英霊
(アサシン) そう 佐々木小次郎という殻
それをかぶるに最も適した剣士が 私というだけだ
私に名などない
私は ただ
記録にある 佐々木小次郎の秘剣を披露できる
その 一点で呼び出された 亡霊にすぎない
そら 意味など初めからないだろう?
無である私にとって あらゆることは無意味だ
だが…
あ…
(アサシン) その私にも 唯一 意味があるとすれば
それは今だ
無名のまま死んでいった私に
もし 望みがあったとしたら
アサシン
フッ
(凛)ハア ハア…
この!
気持ち悪いにも程があるってのよ もう…
(士郎)うわ!
うっ!
くそ!
(ギルガメッシュ) 分をわきまえろ 雑種
せっかくの宴(うたげ)が台無しになろう
そろそろ頃合いか
あ…
ああ…
小僧 あれが何か分かるか?
あれは聖杯がくむ願い
貴様ら雑種どもの本性
人間の悪性だ
(ギルガメッシュ) あらゆる願いをかなえる
それは すなわち 生命の限界を超え
変革をもたらすことに帰結する
なぜ 願いは かなわないのか
それは人間には そも 限界があるからだ
平等も平和も幸福も同じこと
肉体にとらわれたお前たちでは
満たされることは永遠にない
だからこそ お前たちは あの聖杯を作り上げた
全ての苦しみから 解放されるのではなく
全ての苦しみを克服するために
ハハハハハッ だが その理想が この始末だ
世界を変革するほどの強い欲望なぞ 人間の悪性をおいて他にない
だが 人間の悪性であるがゆえに その手段は自滅となる
あれこそが お前たちの本性
この時代に即した願望機の在り方だ
10年前とは規模が違う
呪いは際限なく垂れ流されるぞ
さあ どうする 小僧!
(士郎)うっ!
く…
(ギルガメッシュ) そうだ それでこそ 余興も映えるというもの
フッ
(凛の荒い息)
慎二…
さっさと こんな所とは おさらばよ
何よ 出来損ないの核でも 手放したくないってわけ?
んっ!
(凛の荒い息)
そりゃ 心臓 取られちゃ 暴れるわよね
飛び降りるわよ 慎二
えい!
(士郎)うっ!
(ギルガメッシュ) 王というのも窮屈でな
雑種に本気になった時点で 我にとっては敗北よ
故に… 喜べ
我はお前などに本気は出さん
トレース
オン!
うう… ハア ハア ハア
トレース オン
どうした? 質が落ちているようだが
歯ごたえがあるのは口先だけか フェイカー
く…
(アーチャー)お前が倒せ
あの野郎 こんなんで どうやって…
(士郎) 俺の技量じゃ ヤツの宝具(ほうぐ)は切り払えない
俺にできることは ただ1つ
放たれる宝具と 全く同じものをぶつけて
相殺するしかない
だったら…
トレース
(士郎) その全てを
複製する!
オン
憑依(ひょうい)経験 共感終了!
工程完了
全投影 待機!
(ギルガメッシュ) ほう 今度は多いな
そうか 目に見える我の宝具を 全て複製したわけか
では 採点だ
もっとも いかに精巧であろうと 1本たりとも世には残さんが
(士郎)停止解凍!
全投影 連続層写!
ガラス細工にしては よく持つ
だが 急いでまねねば 八つ裂きだぞ
トレース オン!
(ギルガメッシュ) しかし ほとほと愚行よな
我に勝ちえないと考え 聖杯だけでも取り外す判断は正しい
だが それならば あの男を殺してしまえばよかろう
聖杯を止めたいのであれば 慎二を始末することこそが確実だ
だというのに まだ救おうという その偽善
まさに雑種の具現よな!
なに?
核を失い 代わりに我を求めるか
遠坂
(士郎) 何だ? あれは
読めない あの武器だけは
構造さえ 全く読み取れない!
(士郎)ああ… あ…
一掃せよ
エア
(士郎)うわ!
加減はしたつもりだったが…
これならば
アーチャーが残ったほうが 楽しめたぞ 小僧
(セイバー) 今の衝撃は…
(アサシン)ふっ!
く…
ん…
この位置…
アサシン 貴様
(セイバー) この男から離れれば あれが来る
あの魔剣が
よいのか? 力を弱めて
これならば 私からお前を弾き飛ばせるが
(セイバー) このために 自ら間合いに入ったのか
(アサシン) 無論 勝負をつけにきた
果たし合いの最中に 後のことなど考えるな
(セイバー) このまま間合いを離してしまえば
それこそ アサシンの術中
何を迷う
私がこの門を守るように お前にも守るものがある
ならば 迷う隙などあるまい
それにな セイバー
時間がないのは お前に限った話ではない
ん…
失礼をした
確かに お互い時間はない
(アサシン)うっ!
フフッ
秘剣 燕(つばめ)返し
ぐっ! う…
行け
美しい小鳥だと思ったのだが
その実 獅子の類いであった
女を見る目には自信があったのだが
どちらも修行不足ということか
ぐっ!
♪〜
〜♪
(ギルガメッシュ) あれは覇者にのみ許された剣だ
(セイバー) 召喚を間違えれば
サーヴァントは あそこまで変わるものなのか
(凛) でも もし間に合わなかったら
間に合うほうを取って
(士郎) いくぞ 英雄王
武器の貯蔵は十分か?
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