All language subtitles for musashi_-_the_dream_of_the_last_samurai_2009_vo_1080p_1920x1080
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1
00:01:24,040 --> 00:01:29,580
誰 し も 一 度 は その 名 を 聞 いた こと が ある 剣 豪 宮 本
武 蔵。
2
00:01:30,360 --> 00:01:37,320
彼 の 存 在 を 最 も 有 名 に した 岩 流 寺 まで の 佐 々 木
小 次 郎 と の この 一 戦 に
3
00:01:37,320 --> 00:01:42,220
つ いて、 当 の 武 蔵 は 終 生 語 ろう と は し ません でした。
4
00:01:59,690 --> 00:02:06,370
誰 も が 知 り、 誰 も が 語 る 宮 本 武 蔵 の 生 涯、 腐 敗
の 牽 制 に して
5
00:02:06,370 --> 00:02:09,970
精 神 の 収 容 者、 愚 道 者。
6
00:02:11,250 --> 00:02:17,310
が、 しか し、 それは 後 世 に 描 か れた 武 蔵 の 巨 像 に 過
ぎ ません でした。
7
00:02:29,640 --> 00:02:36,500
野 生 の 少 年 時 代 という 虚 構 前 衛 の 海 岸
8
00:02:36,500 --> 00:02:43,460
という 虚 構 芸 術 愛 好 家 という 虚 構
9
00:02:43,460 --> 00:02:49,840
そして 武 蔵 と 対 決 した 虚 構 の
10
00:02:49,840 --> 00:02:51,240
剣 豪 た ち
11
00:03:08,720 --> 00:03:09,720
今 が ある。
12
00:03:11,720 --> 00:03:18,720
21 歳 に して 都 へ 登 り、 天 下 の 兵 法 者 に 会 い、 数
度 の 勝 負 を
13
00:03:18,720 --> 00:03:25,500
決 す と い え ども、 勝 利 を 得 ざ る ということ な し。 その
後、 国 々 諸 所 に 至 り、
14
00:03:25,520 --> 00:03:32,420
諸 流 の 兵 法 者 に 行 き 合 い、 64 度 まで 勝 負 を 成 す
と い え ども、 一
15
00:03:32,420 --> 00:03:39,340
度 も その 利 を 失 わ ず。 歴 史 上 の 人 物 で 誰 も が その
名 を 知 り な が ら しか し
16
00:03:39,340 --> 00:03:46,080
彼 が どう いう 生 涯 を 送 った か その 詳 細 が ほ と ん ど
不 明 で ある そう い った 人 物 は 数 多 く
17
00:03:46,080 --> 00:03:52,940
宮 本 武 蔵 も その 一 人 で あ った こと は 確 か でしょう 新
面 武 蔵 の
18
00:03:52,940 --> 00:03:59,940
神 藤 原 の 原 神 こと 宮 本 武 蔵 なる 人 物 の 実 在 を 証
明 する 文 書 秘 文
19
00:03:59,940 --> 00:04:06,680
の 類 は 数 多 く あり な が ら その 一 方 で 武 蔵 という 人
物 の 周 辺 には 常 に 様 々
20
00:04:06,680 --> 00:04:13,680
な 虚 構 が 存 在 して います。 それは その ま ま 宮 本 武 蔵
という 一 見 客、 武 芸 者 に 寄 せ る
21
00:04:13,680 --> 00:04:20,640
日本 人 の 心 象 の 複 雑 さ を 表 彰 して いる の か もし れ
ません。 武 蔵 を め ぐ る 虚 構 を
22
00:04:20,640 --> 00:04:25,400
背 し、 その 背 後 に 存 在 する で あ ろう 真 実 の 姿 を 描
き 出 す こと。
23
00:04:26,260 --> 00:04:31,280
それ こ そ が 私 の 研 究 テ ー マ で あり、 そして この 映 画
の 主 題 です。
24
00:05:28,749 --> 00:05:35,670
精 神 の 収 容 者 武 道 の 武 道 者 と して 神 仏 を た っ 飛
び な が ら これ を
25
00:05:35,670 --> 00:05:42,590
頼 まず そして その 一 方 に お いて 勝 利 する ため には 押 さ
ない もの す ら 躊 躇 なく 手
26
00:05:42,590 --> 00:05:44,750
に か ける 冷 徹 な 戦 略 か
27
00:05:46,770 --> 00:05:50,650
この 矛 盾 した キ ャ ラ ク ター を 説 明 する 鍵 と は 何
でしょう か。
28
00:05:52,450 --> 00:05:56,710
それ を 探 る 上 で 避 けて 通 れない の が 関 ヶ 原 の 駅
でしょう。
29
00:06:26,380 --> 00:06:33,100
天 下 握 る は 東 軍 の 地 上 徳 川 家 康 か それ と も 西 の
三
30
00:06:33,100 --> 00:06:39,880
成 か 大 地 揺 る が す 大 戦 火 花 飛 び 交
31
00:06:39,880 --> 00:06:46,840
う 戦 い に 家 康 勝 手 晴
32
00:06:46,840 --> 00:06:52,200
れ 晴 れ と 江 戸 に 爆 風
33
00:07:17,770 --> 00:07:22,910
この 時 17 歳、 石 田 三 成 軍 の 先 陣 を 下 走 る。
34
00:07:23,750 --> 00:07:28,170
対 する は 福 島 正 則 率 いる 徳 川 家 康 の 主 力。
35
00:07:41,590 --> 00:07:46,410
目 立 つ は 戦 場 の 手 柄、 狙 う は 馬 上 の 勝 負。
36
00:07:51,980 --> 00:07:58,800
武 蔵 の 脇 に 一 人 の 男 共 に 出 手 を 誓 い 合 い 宮 本
村 を 飛 び 出 した 筑 波 の 友 彦
37
00:07:58,800 --> 00:08:01,920
や ここ
38
00:08:01,920 --> 00:08:08,920
か し こ に 黒 炎 立 ち 上 り
39
00:08:08,920 --> 00:08:15,900
昼 も 夜 と 変 身 普 通 に う め く 神 波 の 声 この 世 に 満
ち 満 ち る
40
00:08:22,380 --> 00:08:29,300
鉄 砲、 弾 音、 天 を と ど ろ か し、 炭 火 の き ら め き 地
を 動 か す。 敵 味
41
00:08:29,300 --> 00:08:33,600
方 入 り 乱 れ、 本 国 の 友 も た ち ま ち 無 垢 と な り 果
て る。
42
00:10:23,880 --> 00:10:30,640
八 戦 終 えて 雨 上 が る 戦
43
00:10:30,640 --> 00:10:37,060
敗 れた 同 胞 の 死 骸 の 山 を 呆
44
00:10:37,060 --> 00:10:43,940
然 と 眺 め る 武 蔵 は 何 思 う
45
00:11:26,530 --> 00:11:33,110
関 ヶ 原 を 含 め、 生 涯 に 6 度 の 合 戦 に 参 加 した と
武 蔵 は 口 に して います。
46
00:11:33,630 --> 00:11:40,290
剣 士 と して の 評 価 が 揺 る ぎ ない もの にな って から も
な お、 武 蔵 は し つ こ く 合 戦 に 参 加 しました。
47
00:11:41,230 --> 00:11:48,150
しか し、 い ず れ の 場 合 も 武 蔵 の 扱 わ れ 方 は 低 く、
天 下 無 双 の 名 を 欲 しい ま ま
48
00:11:48,150 --> 00:11:54,330
に した 兵 法 者 も、 戦 場 では 一 兵 卒 と して 走 り 回 る
ほ か な かった ので した。
49
00:11:57,260 --> 00:12:04,140
武 蔵 の 心 は 生 涯 に わ た り、 この 合 戦 の 亡 霊、 起 乗
した 武 将 へ の
50
00:12:04,140 --> 00:12:08,120
愛 憎 を 入 り 乱 れた 執 着 に 支 配 さ れ ました。
51
00:12:10,240 --> 00:12:16,500
いや、 よ り 正 確 に 言 えば、 馬 その もの へ の こ だ わ り
に 取 り 憑 か れた と 言 う べ き か もし れ ません。
52
00:12:16,880 --> 00:12:23,540
しか し、 その 異 様 な まで の 馬 へ の フ ェ テ シ ズ ム こ
そ が、 か の 二 刀 流 を 生 んだ と 言 えば、
53
00:12:23,660 --> 00:12:25,920
い わか には 信 じ が たい でしょう か。
54
00:12:33,360 --> 00:12:39,360
そ も そ も この 時 代 に お ける 日本 の 武 士 と はい かな る
存 在 だ った ので しょう か。
55
00:12:40,140 --> 00:12:46,280
それ を 知 る ため に 我 々 は まず 西 欧 に お ける 騎 士 に
つ いて 知 って お く 必 要 が ある でしょう。
56
00:12:47,560 --> 00:12:54,540
騎 士 と は その 名 前 から 押 して も 容易 に 知 れる こと です
が、 その 存 在 の 鍵 は 後
57
00:12:54,540 --> 00:12:57,840
に 語 る べ き 武 士 と 同 じ く 埋 ま る の だ。
58
00:13:00,369 --> 00:13:07,330
労 働 から 切 り 離 さ れた 貴 族 に よ る 戦 力、 す な わ ち
エ リ ート 特 化 部 隊 と して の 騎 兵
59
00:13:07,330 --> 00:13:11,490
が 誕 生 した のは ア ケ メ ネ ス 朝 ペ ル シ ャ に お いて
でした。
60
00:13:12,370 --> 00:13:18,670
そして 農 耕 国 家 サ サ ン 朝 ペ ル シ ャ に 至 り、 騎 兵 は
大 き な 局 面 を 迎 え ます。
61
00:13:18,970 --> 00:13:25,010
それは 誰 でも 馬 を 乗 り こ な せ る ように する ため の 画 期
的 な 発 明 品、
62
00:13:25,150 --> 00:13:28,790
す な わ ち ク ラ と ア ブ ミ でした。
63
00:13:29,710 --> 00:13:36,470
特 に 近 接 戦 闘 に お いて 落 馬 の 危 険 を 防 止 する あ
ぶ み の 存 在 は 騎 兵 に と って は
64
00:13:36,470 --> 00:13:43,330
極 めて 重要 で あり、 同 時 に 馬 上 に お ける 各 種 武 器 の
取 り 扱 い、 と り わ け 弓 の 照 準
65
00:13:43,330 --> 00:13:44,850
には 欠 か せ ない も ので した。
66
00:13:46,270 --> 00:13:49,410
お、 私 の 助 手 ミ ス イ オ リ です。
67
00:14:06,640 --> 00:14:13,340
や が て 十 字 軍 の 時 代 に 騎 士 の イ メ ージ と して 定
着 する 三 つ の 要 素。 装 甲
68
00:14:13,340 --> 00:14:20,120
と 馬 と 紋 章。 これ ら は 一 体 何
69
00:14:20,120 --> 00:14:21,960
を 意 味 して いた ので しょう か。
70
00:14:23,780 --> 00:14:30,700
これは 騎 士 は 死 な ない という 特 権 に 他 な り ません
でした。 十 字 軍 の 時 代、 騎 士 の
71
00:14:30,700 --> 00:14:35,720
多 く は 捕 虜 と な り、 身 の 白 金 と 引 き 換 え に 兵 官
を 果 た して います。
72
00:14:37,250 --> 00:14:44,230
文 章 は 自 分 が 身 の 代 金 を 支 払 う 能 力 を 持 つ 領
主 で ある こと の 戦 場 に お
73
00:14:44,230 --> 00:14:50,910
ける サ イ ン で ある 反 対 に 装 甲 も せ ず 起 乗 し ない 一
般 の 兵 士 や 子 卒 た ちは
74
00:14:50,910 --> 00:14:57,850
捕 ま れ ば 容 赦 なく 殺 さ れて いました そして 彼 ら 騎 士 た
ち が
75
00:14:57,850 --> 00:15:04,630
弓 や ク ロ ス ボ ウ を 武 器 の 兵 た ち には 使 用 さ せ な
が ら 自 ら は 決 して 用 い な
76
00:15:04,630 --> 00:15:11,450
かった た 理 由 と は それ ら の 盗 茶 兵 器 は 命 中 す れ ば
77
00:15:11,450 --> 00:15:17,490
騎 士 も 兵 士 も 差 別 なく 殺 して しま う 手 加 減 の 効 か
ない 兵 器 だ った から に 他 な り ません
78
00:15:17,870 --> 00:15:24,750
騎 士 同 士 は あ く まで 殺 して も 殺 さ れて も なら ず その
ため に 彼 ら
79
00:15:24,750 --> 00:15:28,550
は メ イ ス や フ レ イ ル と い った 打 撃 武 器 を 用 いた
の です
80
00:15:36,330 --> 00:15:43,290
装 甲 の 上 から で あれ ば、 それ ら の 武 器 は 相 手 を 殺
す こと なく 脳 震 盪 な ど の ダ メ ージ を 与 える に と ど
81
00:15:43,290 --> 00:15:50,030
め、 相 手 が 非 装 甲 の 兵 士 で あれ ば、 それは 恐 る べ き
殺 傷 力 を 発 揮 しました。 した が
82
00:15:50,030 --> 00:15:56,890
って、 西 欧 騎 士 の 訓 練 は 日本 の 武 士 の よう な や ぶ
さ め や 早 掛 け な ど では なく、 装 甲 の
83
00:15:56,890 --> 00:16:03,770
重 量 に 耐 えて 大 剣 や 斧、 コ ンボ を 振 り 回 し 続 ける
マ ッ チ ョ な 筋 力 ト レ ーニ ング で あ った の
84
00:16:03,770 --> 00:16:10,440
です。 そして 馬 に 起 乗 して いる こと は 戦 場 に お ける 圧
倒 的 な サ バイ バ ビ リ テ ィ を 意 味 し
85
00:16:10,440 --> 00:16:16,060
それ が 騎 士 イ コ ール 貴 族 と して の 特 権 的 地 位 に も
直 結 した ので した
86
00:16:16,060 --> 00:16:23,020
余 談 では
87
00:16:23,020 --> 00:16:29,800
あります が 近 代 オ リ ンピ ック が 復 活 した 19 世 紀 末 そ
こ に フ ェ ン シ ング や レ ス リ
88
00:16:29,800 --> 00:16:36,730
ング ウ エ イ ト リ フ テ ィ ング な ど は あ って も 忠 実 に
ま つ わ る 競 技 が 含 ま れて い な かった こと は
89
00:16:36,730 --> 00:16:43,730
こう した 一 面 の 騎 士 道 精 神 が 西 欧 上 流 社 会 に お
ける ア ス レ テ ィ シ ズ ム に 連 綿 と
90
00:16:43,730 --> 00:16:48,390
継 承 さ れて きた 事 実 を 有 名 に 物 語 って いる と 言 え
ます さ
91
00:16:48,390 --> 00:16:55,390
ら に 余 談 では あります が 英 国
92
00:16:55,390 --> 00:17:02,010
の パ ブ リ ック ス ク ール は 近 代 風 の 騎 士 道 精 神 と
も い える ジ ェ ント ル マ ン リ ー の 普 及 を 試 み
93
00:17:02,010 --> 00:17:08,990
それ が 皮 肉 に も 第一 次 大 戦 の 残 暴 戦 に お ける ル
ール に 至 る 若 き 士 官 の 死 骸
94
00:17:08,990 --> 00:17:15,990
の 山 を 築 く 結果 と も な りました 高 速 ライ フ ル 弾 の 取
り 替 う 現 代 の 戦 場 では 素 敵 な 振 る
95
00:17:15,990 --> 00:17:22,680
舞 い は と こ も なく ミ ッ キ ー で あ った の です その こと
が 自 覚 反 省 さ れ、 その 問題 意 識 から、
96
00:17:22,780 --> 00:17:29,680
か つ て 戦 場 では 不 死 身 の 存 在 に 近 かった 中 世 騎 士
を 再 現 し よう と する 合 理 的 な 努 力
97
00:17:29,680 --> 00:17:36,620
が 重 ね ら れた 結果、 登 場 した もの こ そ、 あの 重 装 甲 を
ま と った 戦 車 という 兵 器 に 他 なら
98
00:17:36,620 --> 00:17:37,620
な かった もの です。
99
00:17:40,760 --> 00:17:47,570
さ て、 西 洋 に お ける 騎 士 の 成 立 の 概 略 を 理 解 して
いただ いた ところ で、 西 から
100
00:17:47,570 --> 00:17:50,210
東 へ 目 を 転 じ て み る こと に し ましょう。
101
00:17:53,890 --> 00:18:00,610
中国 に お ける 最 初 の 騎 兵 は、 朝 という 国 で 生 ま れ、
これ を 機 に 春 秋 時 代 に 主
102
00:18:00,610 --> 00:18:02,670
力 で あ った 戦 車 は 廃 れ ました。
103
00:18:03,870 --> 00:18:10,780
しか し、 中国 に お ける 統 一 帝 国 の 騎 兵 で ある、 軽 装
級 機 兵 は 財 源 が 豊 か で
104
00:18:10,780 --> 00:18:17,740
あ った 艦 長 に お いて も、 北 方 の 強 度 を 圧 縮 する に
十 分 な 数 が 整 備 さ れる には 至 り
105
00:18:17,740 --> 00:18:18,740
ません でした。
106
00:18:19,160 --> 00:18:26,060
機 兵 部 隊 を 整 備 する こと は、 それ だけ の 穀 物 を 馬 の
領 末 と して 日 々 納 費 し 続 ける
107
00:18:26,060 --> 00:18:32,540
こと を 意 味 し、 さ ら に その 部 隊 が 返 協 に お いて 軍
閥 化 する リ ス ク も 犯 さ ね ば な り ません でした。
108
00:18:33,140 --> 00:18:39,910
中 央 政府 と して は、 騎 兵 は 首 都 近 郊 に 放 置 して お
き たい が、 それでは 遊 牧
109
00:18:39,910 --> 00:18:46,730
民 に 攻 撃 の イ ニ シ ア チ ブ を 握 ら れて しま います。
この ジ レ ン マ を 解 決 して く れた の が 大 弓
110
00:18:46,730 --> 00:18:47,730
でした。
111
00:18:48,850 --> 00:18:54,930
大 弓 の 最 大 の 長 所 は、 訓 練 の コ スト が ほ と ん ど
か から ない こと に あり ました。
112
00:18:55,650 --> 00:19:02,630
槍 や 指 と い った 武 器 の 扱 いや、 常 馬 技 術 は 訓 練 を
中 断 す れ ば た ち ま ち ス キ ル が 低 下
113
00:19:02,630 --> 00:19:09,010
して しま い、 それ ゆ え に それ ら を 扱 う 兵 士 は 常 備 軍
と して 養 わ ざ る を 得 ません でした。
114
00:19:11,250 --> 00:19:18,090
対 して 大 弓 を 扱 う ド ト 兵 は 遠 征 が 済 め ば 直 ち に
工作 地 に 戻 す こと が でき、
115
00:19:18,270 --> 00:19:25,110
常 に ド ト 兵 を 部 隊 に 混 ぜ る こと で 軍 事 的 コ スト
パ フ ォ ー マ ン ス を 上 げ る こと が 可能 だ った の
116
00:19:25,110 --> 00:19:26,110
です。
117
00:19:36,880 --> 00:19:43,820
か く して 中国 に お いて は ヨ ーロ ッ パ 式 の 特 権 的 な
騎 士 階 級 は 誕 生 せ ず こと さ ら
118
00:19:43,820 --> 00:19:50,780
に 高 い 身 分 と は 結 び つ か ない 騎 兵 の み が 存 在
する こと にな った の です そして 西 洋
119
00:19:50,780 --> 00:19:57,520
の よう な 分 厚 い 装 甲 は ま と わ ず に 比較 的 軽 装 な
武 具 で 起 乗 し 弓 を 主 な 武 器 と する
120
00:19:57,520 --> 00:20:04,440
戦 闘 ス タ イ ル は 中国 経 由 で 日本 に も た ら さ れ 武
士 の 存 在 様 式 に 決 定 的 な
121
00:20:04,440 --> 00:20:05,620
影 響 を 及 ぼ しました
122
00:20:06,640 --> 00:20:13,300
その 一 方 で 中国 式 の 大 弓 は な ぜ 日本 に お いて 継 承
さ れ な かった の か。
123
00:20:15,120 --> 00:20:21,200
実 は 大 和 朝 廷 でも 欧 州 の 恵 比 寿 に 対 する 抑 止 と
して 大 弓 を 採 用 して いました。
124
00:20:22,780 --> 00:20:29,640
しか し 高 温 多 湿 の 日本 の 気 候 では 複 数 の 素 材 を 煮
革 や 剣 で 接 着 した 合 成 金 は
125
00:20:29,640 --> 00:20:35,700
急 速 に 性 能 が 劣 化 し、 卓 越 した パ フ ォ ー マ ン ス
を 発 揮 する こと が でき な かった の です。
126
00:20:36,460 --> 00:20:43,440
また、 戦 場 と なる 土 地 その もの も 山 勝 ち で 高 低 差 が
多 く、 また 樹 木 が 複 雑 に 入 り 組 んで 生 えて いた
127
00:20:43,440 --> 00:20:49,480
り と、 そ も そ も 軍 隊 の 密 集 行 動 には 不 向 き な 地
形 ば か り だ った 点 も 指 摘 でき ましょう。
128
00:20:50,840 --> 00:20:57,810
か く して 日本 の 武 士 た ちは、 中国 古 代 王 朝 に 見 ら
れた 馬 に 乗 り 弓 を 携 える 汽 車 の
129
00:20:57,810 --> 00:21:04,810
ス タ イ ル を 継 承 し な が ら も、 首 脳 交 渉 の 名 が 示
す 通 り、 西 欧 騎 士 に も 通 じ る 特 権 的
130
00:21:04,810 --> 00:21:07,370
な 支 配 層 を 形 成 する に 至 りました。
131
00:21:11,150 --> 00:21:17,950
そして、 先 に も 述 べ た ように、 我 ら が 宮 本 武 蔵 の 憲
法 の 本 質 に あ った の も また、 牙
132
00:21:17,950 --> 00:21:19,330
という 存 在 でした。
133
00:21:22,060 --> 00:21:28,440
さ て 本 題 に 入 る 前 に リ ス イ オ リ も い なく な った
ので ここ ら で 一 休 み し ましょう
134
00:21:28,440 --> 00:21:33,940
皆さん には 武 蔵 の 対 戦 相 手 の 中 でも よ く 知 ら れた 人
物 を 知 って た よ
135
00:21:50,700 --> 00:21:55,260
男 の 名 は シ シ ド ナ ニ ガ シ 針 釜 の 使 い 手 な り
136
00:23:32,310 --> 00:23:39,190
む さ し と っ さ に わ き ざ し を は な ち ひ る んだ し し
ど の め の い ろ み き わ め い っ き に ふ ところ
137
00:23:39,190 --> 00:23:40,190
へ と び こ む
138
00:24:08,200 --> 00:24:15,040
サ リ ガ マ の 使 い 手、 獅 子 の 何 が し なる 人 物 が、 歴
史 上 実 在 した か 否 か は 定 か
139
00:24:15,040 --> 00:24:16,040
では あり ません。
140
00:24:17,260 --> 00:24:24,000
しか し、 む し ろ ここ で 興 味 深 い のは、 武 蔵 の 二 刀 流
の 合 理 性 を 強 調 せ ん が ため に、
141
00:24:24,060 --> 00:24:30,280
この 機 械 な 武 器 を 操 る 兵 法 者 が、 好 んで 人 々 の 口
に 昇 って きた という 点 でしょう。
142
00:24:31,959 --> 00:24:38,840
両 手 に 刀 を 持 つ 一 見 無 謀 な 二 刀 流 という ス タ イ
ル の 合 理 性 は ど こ に 見 出 せ る の か それは
143
00:24:38,840 --> 00:24:45,740
ある 書 物 を 紐 解 く こと で お の ず と 明 ら か にな ります
お、 五 輪
144
00:24:45,740 --> 00:24:46,740
の 書 です
145
00:25:03,050 --> 00:25:09,950
宮 本 武 蔵 曰 く、 我 が 兵 法 の 道 を 二 天 一 流 と 名 付
け、 これ まで 鍛 錬 して
146
00:25:09,950 --> 00:25:16,890
きた こと を、 初 めて 書 物 に 書 き 表 そう と思 う。 時 に 寛
永 二 十 年 十 月 上 旬、
147
00:25:17,010 --> 00:25:23,830
九 州 肥 後 の 岩 戸 の 山 に 上 り、 天 を 仰 ぎ 観 音 を 拝
して 仏 前 に 向 か う。
148
00:25:25,580 --> 00:25:32,560
五 輪 の 書 は 宮 本 武 蔵 が 書 いた 兵 法 です が、 しか し
な が ら 江 戸 時 代 ま では おお む ね この 著 作 は
149
00:25:32,560 --> 00:25:39,460
兵 書 五 巻 兵 法 特 動 書 と 呼 ば れて お り、 五 輪 の 書
なる 通 称 が 一 般 化 した のは 明 治 以
150
00:25:39,460 --> 00:25:46,440
後 の こと に す ぎ ません。 さ ら に その 後、 この 五 輪 という
言 葉 が 某 新聞 社 の 記 者 に よ り オ リ ンピ ック
151
00:25:46,440 --> 00:25:53,300
を 意 味 する 訳 語 と して 転 用 さ れ、 さ ら なる 一 般 性
を 獲 得 した こと は 今 さ ら 説 明 を 要 し ない でしょう。
152
00:25:57,680 --> 00:26:04,480
さ ら に 言 えば 五 輪 の 書 は 単 なる 草 稿 で あり 従 って
武 蔵 が 五 輪 の 書 を 書
153
00:26:04,480 --> 00:26:11,440
き 上 げ て 死 んだ という 近 代 の 伝 説 は 根 拠 な き 美 誘
説 以 外 の 何 物 でも
154
00:26:11,440 --> 00:26:18,040
あり ません そ も そ も 五 輪 の 書 には 実 質 原 本 が 存 在
せ ず
155
00:26:18,040 --> 00:26:25,040
私 た ち が 現在 目 に し 得 る テ ク スト はい ず れ も 写 本
で あ って しか も その 写 本 も 数 多 く
156
00:26:25,260 --> 00:26:32,060
実 は 全 国 に 散 在 また は 始 造 さ れて いる 五 輪 の 書 写
本 は それ こ そ 数 え 切 れない
157
00:26:32,060 --> 00:26:38,940
ほど 存 在 して います こう した 事情 は 武 蔵 が 表 した 文 章
の 意 図
158
00:26:38,940 --> 00:26:45,680
の 多 義 的 な 解 釈 を 可能 に する という 複 雑 な 事 態 を
招 いて いる わ け です が ここ で 私 た ちは
159
00:26:45,680 --> 00:26:52,600
武 蔵 という 兵 法 者 の 憲 法 の 本 質 と は 何 か という その
一点 に 興 味 を 絞 って この
160
00:26:52,600 --> 00:26:54,320
章 を 開 く こと に した い と思います
161
00:26:57,039 --> 00:27:04,020
一 人 の 敵 を 相 手 に 自 在 に 勝 つ と き は 世 人 の す
べ て に 勝 つ こと も でき る 人 に 勝 つ
162
00:27:04,020 --> 00:27:10,760
ということ では 一 人 の 敵 で あ ろう と 千 万 人 の 敵 で あ
ろう と 同 じ こと で ある 小 た る もの の 兵 法
163
00:27:10,760 --> 00:27:17,480
では 小 さい こと を 大 き く する こと は 一 尺 の 方 に よ
って 大 仏 を 混 流 する の と 同 じ で ある
164
00:27:17,480 --> 00:27:24,140
個人 と 個人 の 戦 い も 集 団 の 戦 い も 同 じ で ある さ て
165
00:27:24,650 --> 00:27:31,450
この 五 輪 の 書 成 立 の 必 然 性 は、 武 蔵 が 一 生 を 昇
進 なる も ので 終 わ る 気 が な かった ところ に
166
00:27:31,450 --> 00:27:32,450
あります。
167
00:27:32,690 --> 00:27:39,630
彼 が この 類 の 言 葉 を 他 の 箇 所 でも 何 度 も 口 に して
いる のは、 決 して 己 の 剣 術 に 薄 を つ け よう と
168
00:27:39,630 --> 00:27:45,590
した ため では なく、 万 と 万 の 戦 いく ぞ、 彼 の 夢 見 た
もの だ った から に ほ かな り ません。
169
00:27:46,430 --> 00:27:52,510
彼 の 生 涯 の 夢 は、 戦 場 の 巧 妙 に よ って 大 名 か、
それ に 準 ず る 大 臣。
170
00:27:57,860 --> 00:28:04,800
ここ で 一 つ 強 調 して お か ね ば なら ない のは、 武 蔵 が
目 指 した 立 心 出 世 が 決 して 金 銭 欲 に 基 づ く
171
00:28:04,800 --> 00:28:11,620
もの では な かった ということ でしょう。 彼 は 五 百 国 ク ラ ス
の 士 官 の 口 を いく つ も 断 って お り、 三 千
172
00:28:11,620 --> 00:28:13,520
国 以上 を 理 想 と して いました。
173
00:28:21,930 --> 00:28:28,590
戦 場 で 意 味 の ある 働 き を する 騎 馬 部 隊 を 率 いる
ため の 最 低 限 の 身 分 だ った と 捉 える こと も で きます
174
00:28:28,590 --> 00:28:35,550
万 年 細 小 明 司 官 に せ んだ って 差 し 出 した 所 条 に お
いて 武 蔵 は 住 居 は どう でも
175
00:28:35,550 --> 00:28:42,550
構 わ ない が 出 陣 時 の 塗 り 替 え 分 を 含 め た 馬 だけ
は と 念 を 起 こ して 頼 んで います さ
176
00:28:42,550 --> 00:28:49,470
ら に 実 際 に 司 会 した 鬼 は 自 ら の 国 座 感 を 決 め ず
脚 本 という 曖 昧 な 立 場 には ま ん じ る こと を 良 し と
177
00:28:49,470 --> 00:28:56,440
し ただ し 本 来 可能 に しか 許 さ れない は ず の 鷹 狩 り は
認 めて も ら って いました ここ に お いて
178
00:28:56,440 --> 00:29:03,340
も 身 分 や 食 力 の 安 定 は 犠 牲 に して ま でも 鷹 狩 り
と 称 して 馬 を 狩 り 三 夜 を 駆 け 巡 る
179
00:29:03,340 --> 00:29:09,680
エ ク ス キ ュ ー ズ を 得 る こと に 不 信 した 武 蔵 の 心
境 が 伺 え ましょう 武 蔵 はい
180
00:29:09,680 --> 00:29:15,860
ざ 合 戦 にな った 時 の 馬 上 訓 練 を どう して も 諦 め き
れ な かった に そう や り ません
181
00:29:16,690 --> 00:29:23,590
徹 底 した 武 蔵 の 意思 は 彼 の 総 統 法 を も 支 配 し 常
に 自 ら が 馬 上 に ある こと を 念
182
00:29:23,590 --> 00:29:30,330
頭 に 置 か せ た ので した その よう な 男 の 統 法 の 本 質
が 常 馬 憲 法 で あ った のは む し ろ 必
183
00:29:30,330 --> 00:29:37,170
然 と も 言 える でしょう 武 蔵 は 別 の 箇 所 に お いて こう
も 書
184
00:29:37,170 --> 00:29:38,170
いて います
185
00:29:38,410 --> 00:29:45,210
太 刀 の 持 ち 方 は 親 指 と 人 差 し 指 を 浮 か す よう な
心 持 ち で 持 ち 中 指 は 締 め ず 緩 め ず
186
00:29:45,210 --> 00:29:52,170
薬 指 と 小 指 を 締 め る 気 持 ち で 持 つ ので ある 手 の
締 め 方 に 緩 み が ある のは 良 く ない 敵 を 斬 る こと
187
00:29:52,170 --> 00:29:58,950
を 念 頭 に お いて 太 刀 を 持 た な けれ ば なら ない ここ で
説 明 さ れて いる こと は 江 戸 時 代 から
188
00:29:58,950 --> 00:30:05,790
今日 に 至 る まで 連 綿 と 同 情 で 教 え ら れて いる 基 礎
でも あります が 実 は この よう な 着 衣
189
00:30:05,790 --> 00:30:12,420
は 太 刀 の 柄 を 両 手 で 握 って 扱 う 場 合 には 無 用 で
あり む し ろ 片 手 で 扱 う もの つ
190
00:30:12,420 --> 00:30:19,340
まり 起 乗 者 に と って の み 姿 勢 に 関 わ る 重 大 着 衣
と なる は ず です なん と な れ ば 刀 の
191
00:30:19,340 --> 00:30:25,840
切 先 を 任 意 に 制 動 でき な けれ ば 部分 の 上 馬 の 首 を
切 り つ ける こと で 特 落 馬 を 招 く だけ で なく
192
00:30:25,840 --> 00:30:32,660
馬 上 を 乱 戦 中 に 万 が 一 に も 手 の 疲 労 に よ って 太
刀 を 取 り 落 と す こと にな れ ば 左右 の 攻 撃
193
00:30:32,660 --> 00:30:39,430
から 自 分 の 身 を 守 る 術 は なく な ります 騎 馬 出 世 を
夢 見 た 少 年 武 蔵 は、 右 手 が 疲 労 した 時 は
194
00:30:39,430 --> 00:30:46,310
左 手 に 持 ち 替 えて 戦 う、 左右 ど ちら の 手 でも 戦 闘 が
可能 な ように 所 持 訓 練 して いた に 違 い あり ません。
195
00:30:47,870 --> 00:30:54,730
無 論 少 年 時 代 の 武 蔵 に 本 物 の 馬 の あ ろう は ず も
あり ません から、 馬 場 に ある 状 況 を
196
00:30:54,730 --> 00:31:01,610
想 定 した イ メ ージ ト レ ーニ ング でしょう が、 そう で ある
が ゆ え に それは 後 年 の 歩 く 馬 場 憲 法 と な
197
00:31:01,610 --> 00:31:08,500
り、 二 刀 流 の 起 源 と も な った の です。 足 の 運 び は
普 通 に 歩 いて いる ように 使 う
198
00:31:08,500 --> 00:31:15,500
こと、 片 足 ば か り を 動 か す の では なく、 切 る 時 も 引
く 時 も 受 ける 時 ま でも 右 左 右
199
00:31:15,500 --> 00:31:21,120
左 と 交 互 に 足 を 運 ぶ ので ある。 く れ ぐ れ も 片 足
だけ で 踏 み 込 ん では なら ない。
200
00:31:22,280 --> 00:31:29,140
一 般 的 な 送 り 足 や 継 ぎ 足 では なく、 武 蔵 は 普 通 に
歩 く ように、 つ まり 左右 交 互 に ゆ っ く
201
00:31:29,140 --> 00:31:35,900
り と 足 を 出 す べ き だ と 主 張 して います。 これ も、 ま
っ す ぐ に 進 む 馬 上 の 動 き を 模 した 柔 軟 な 発 想 だ
202
00:31:35,900 --> 00:31:37,320
った と も 考 え ら れ ます。
203
00:31:38,280 --> 00:31:43,160
兵 法 の 極 意 に 言 う、 最 善 の 構 え は 中 断 に ある と
心 得 よ。
204
00:31:44,380 --> 00:31:51,220
と 記 述 して お き な が ら、 実 際 の 武 蔵 は 片 手 で 持
った 太 刀 を 後 方 に 構 える こと を 自 然 と して いた ら
205
00:31:51,220 --> 00:31:58,190
しく、 これは、 敵 の 左 側 面 を 通 過 し な けれ ば 成 立 し
ない 周 歩 斬 撃 や 左 手 で 引 き 寄
206
00:31:58,190 --> 00:32:05,150
せて 右 手 の 刀 で 突 く な り か く な り する 馬 上 組 打
ち に 由 来 する と も 考 え ら れ ます さ ら に
207
00:32:05,150 --> 00:32:11,830
ど の よう な 場 合 も 大 き く 肘 を 伸 ば し 強 く 振 る
こと が 立 ち の
208
00:32:11,830 --> 00:32:18,730
道 で ある と 死 ぬ した 武 蔵 の 間 合 い は 片 手 で 相 当
する が ゆ え に 両 手 で 太 刀
209
00:32:18,730 --> 00:32:25,550
を 握 った 場 合 よ り 間 合 い が 幾 分 長 く しか も 両 手
で 太 刀 を 操 る 者 は 斬 撃 の
210
00:32:25,550 --> 00:32:32,450
ため に 太 刀 を 振 り か ぶ ら ね ば なら ない が 対 して 武
蔵 は 敵 が 打 ち か けて
211
00:32:32,450 --> 00:32:36,330
きた ところ を 下 から す く い 上 げ る ように 打 つ
212
00:32:38,190 --> 00:32:45,070
と も 記 して います。 常 に 相 手 の 手 を 狙 う こと は 真 剣
で 戦 う もの の 当然 の 着 意 でも
213
00:32:45,070 --> 00:32:52,050
あり ました が、 彼 の 剣 が 防 具 を つ けて 戦 う こと を 前
提 と した 解 釈 憲 法 を 本 質 と
214
00:32:52,050 --> 00:32:59,000
して いた こと の 表 れ でも あります。 さ ら に 重要 な のは 馬
上 等 は、 歩 型 に 対 して
215
00:32:59,000 --> 00:33:05,960
は 下 から 振 り 上 げ る ように して 切 り か かった 方 が 馬
の 前 進 ベ ク ト ル も 加 わ って 目 標
216
00:33:05,960 --> 00:33:08,700
の 捕 捉 率 が 増 す という 事 実 でしょう
217
00:33:15,260 --> 00:33:22,180
若 い 時 から これ を も っぱ ら に 練 習 して きた で あ ろう
武 蔵 に と って 両 手 で しか も 大 抵 は 上 から 下 へ
218
00:33:22,180 --> 00:33:29,160
しか 切 る こと ので き ない 相 手 の 手 を 下 から す く い 入
り に する こと は 容易 だ った に 相 違 なく しか も 左右 の
219
00:33:29,160 --> 00:33:36,020
刀 を 頭 部 に 用 いて 敵 の 半 分 の 間 隔 で 襲 い か か る
東 方 は 多 く の 憲 法 者 に 対 して
220
00:33:36,020 --> 00:33:38,840
対 抗 を 不能 性 を 秘 めて いた は ず です
221
00:33:40,020 --> 00:33:44,480
武 蔵 の 悪 な き 探 究 心 は、 総 統 法 ば か り では なく、
222
00:33:45,380 --> 00:33:50,880
刀 の 唾 と い った 文、 あ ぶ み や 蔵 と い った バ グ の 開
発 に も 向 け ら れ ました。
223
00:33:51,600 --> 00:33:58,520
それは 決 して ただ の 手 慰 み や 推 教 では なく、 来 る べ き
合 戦 で 役 立 た せ る ため の 実 践 的 な ト
224
00:33:58,520 --> 00:34:01,900
ライ ア ンド エ ラ ー に ほ かな ら な かった の です。 い わ
く、
225
00:34:02,880 --> 00:34:09,800
武 器 の 功 用 を 考 えて み る に ど んな 武 器 も その 時 々
の 状 況 に 応 じ て 利 用 す べ き も ので
226
00:34:09,800 --> 00:34:10,800
ある。
227
00:34:11,580 --> 00:34:16,620
無 論 刀 剣 と も な れ ば 武 蔵 の こ だ わ り た り や 尋
常 では あり ません。
228
00:34:17,580 --> 00:34:24,239
大 き な 合 戦 が なく な った 慶 長 以 降 の 太 刀 が 次 第
に 有 名 無 実 化 して いき な が ら も
229
00:34:24,239 --> 00:34:30,980
武 士 の 魂 と して 台 頭 さ れ 続 けて いた 当 時 の 風 潮 と
は 対 照 的 に 武 蔵 は
230
00:34:30,980 --> 00:34:37,790
刀 の 武 器 と して の 有 用 性 を 絶 対 視 し ません でした 武
蔵 が 好 んで 使
231
00:34:37,790 --> 00:34:44,750
った と 言 わ れて いる 木 刀 は 武 蔵 が 様 々 に 工 夫 を 凝
ら した こと で 知 ら れる 代 表 的 な 武 器
232
00:34:44,750 --> 00:34:51,630
でしょう 木 刀 は ほ と ん ど 無 反 り です から 重 さ の 割 に
リ ーチ が 長 く しか も 折 れ に
233
00:34:51,630 --> 00:34:58,620
く い もの も 自 在 に 作 れ ます 一 説 に よ れ ば、 佐 々 木
小 次 郎 を 倒 した 木 刀 には、 刃
234
00:34:58,620 --> 00:35:05,600
の 部分 に 二 寸 君 が 隙 間 なく 打 ち 込 ま れて いた と も
言 います。 この 構 造 が、 西 欧 騎 士 が
235
00:35:05,600 --> 00:35:10,500
好 んで 使 用 した メ イ ス に 酷 似 して いる こと は 特 筆 に
値 する でしょう。
236
00:35:13,240 --> 00:35:19,500
武 蔵 が 常 に 肝 に 飢 え じ 続 け た のは、 敵 の 立 場 にな
って 考 える ということで した。
237
00:35:20,400 --> 00:35:27,400
同 時 に 武 蔵 は 状 況 に 応 じ て、 自 分 が 得 意 と する
木 刀 に こ だ わ ら ず、 す ぐ に 己 の
238
00:35:27,400 --> 00:35:31,680
獲 物 を 持 ち 帰 る という 柔 軟 性 も 持 ち 合 わ せて
いました。
239
00:35:43,340 --> 00:35:46,960
総 第一 の 票 へ、 吉 岡 一 文
240
00:35:56,750 --> 00:36:03,210
その 家 の 跡 継 ぎ 清 十 郎、 落 雷 連 大 の に お いて 勝 敗
を 決 する、
241
00:36:03,350 --> 00:36:06,470
木 刀 の 一 撃 に 倒 れ 生 き 絶 や す。
242
00:36:23,730 --> 00:36:30,670
清 十 郎 の 弟 伝 七 郎、 兄 の 敵 と 落 雷 に て 武 蔵 と
243
00:36:30,670 --> 00:36:32,250
の 試 合 に 臨 む。
244
00:36:39,230 --> 00:36:46,090
約 束 の 時 を 過 ぎ て も 武 蔵 は 現 れ ず、 伝 七 郎、 込
み 上 げ る 怒 り を 抑
245
00:36:46,090 --> 00:36:48,770
え、 ただ その 地 に 待 つ ば か り。
246
00:37:27,120 --> 00:37:28,120
待 ち か ね た ぞ!
247
00:37:28,320 --> 00:37:29,320
武 蔵!
248
00:37:29,600 --> 00:37:34,020
武 蔵 微 動 だ に せ ず、 ただ 眼 下 を 静 か に 見 下 ろ す
の み!
249
00:37:34,460 --> 00:37:35,460
ん ん っ!
250
00:37:52,960 --> 00:37:54,380
い ざ、 起 法!
251
00:37:55,660 --> 00:38:00,980
大 立 を 抜 き 放 つ 伝 七 郎 に、 な お も 動 か ぬ 武 蔵 の
不 思 議。
252
00:38:55,000 --> 00:39:00,160
む さ し で ん し ち ろう の き っ さ き を か いく ぐ り こ
だ ち を ぬ き う て り
253
00:39:00,160 --> 00:39:07,140
で ん し ち ろう
254
00:39:07,140 --> 00:39:14,140
も ん て い ら
255
00:39:14,140 --> 00:39:21,060
ひ っ し に む さ し の す が た も と む れ ど い ず こ に
も み え ず む さ し け む り の ご と く こ つ ぜ んと き
256
00:39:21,060 --> 00:39:22,060
える
257
00:39:27,920 --> 00:39:34,880
この 日 の 今日は 一 段 と 冷 え 込 んだ と い います。 雪 の 降
り し き る 中、 し ば し 待 た さ れた 伝 七
258
00:39:34,880 --> 00:39:37,380
郎 の 立 ち さ ば き は 鈍 く な った こと でしょう。
259
00:39:38,800 --> 00:39:45,700
対 する 武 蔵 は 雪 の 中、 軽 快 な 動 き の こ だ ち で、 素
早 く 伝 七 郎 の 懐 に 飛 び 込 み、
260
00:39:45,700 --> 00:39:47,100
勝 利 を 手 に しました。
261
00:39:48,870 --> 00:39:55,730
この こと は 使 用 する 武 器 を 固 定 する こと の 多 かった 当
時 の 兵 法 家 の 間 では 稀 有 な 態
262
00:39:55,730 --> 00:40:02,690
度 だ った と 評 して いい でしょう そして また 武 蔵 の 大 臣 と
なる ため の 不 責 は 剣 の 道 に と
263
00:40:02,690 --> 00:40:09,410
ど まり ません でした 兵 法 の 利 点 を も って 他 の 芸 能 の
道 に も 応 用 して いる ので
264
00:40:09,410 --> 00:40:16,310
万 事 に お いて 私 には 師 匠 は 必 要 ない 一 回 の 剣 士 に
数 多 の 家 臣 を ま と
265
00:40:16,310 --> 00:40:23,240
め 上 げ 民 を 治 めて 祭 り ご と を な す 大 名 な ど 努 ま
る わ け が ない。 そう した 世 間 の
266
00:40:23,240 --> 00:40:29,800
常 識 と 戦 う ため の 兵 法 に つ いて も、 武 蔵 は 徹 底 的
に 研 究 して いた ので した。
267
00:40:30,560 --> 00:40:36,700
章、 絵 画、 彫 刻、 詩 歌、 茶 道、 語、
268
00:40:36,940 --> 00:40:38,020
将 棋。
269
00:40:39,000 --> 00:40:45,740
武 蔵 は 当 時 の 兵 法 者 には ま った く、 全 く と 言 って
いい ほど 重 視 さ れて い な かった それ ら の
270
00:40:45,740 --> 00:40:52,620
教 養 を 身 に つ ける こと に も 多 大 な 熱 意 を 傾 け その
い ず れ に お いて も 素 人 離 れ
271
00:40:52,620 --> 00:40:59,480
した 卓 越 した 腕 前 を 見 せ つ けて います 人 の
272
00:40:59,480 --> 00:41:06,120
世 を 渡 る に も この よう な 心 が け に よ って 全 力 を 尽
く して こと に 当 た る という 気 持 ち で
273
00:41:06,120 --> 00:41:08,100
望 ま な けれ ば なら ない
274
00:41:15,920 --> 00:41:22,200
五 輪 の 章 は その 極 めて 平 易 な 文 章 に も 着 目 する 必
要 が あります
275
00:41:22,200 --> 00:41:28,980
そ も そ も ど の よう な 言 語 で あれ 中 小 語 は 時 の 推
移 と と も に 多 義 化 する もの
276
00:41:28,980 --> 00:41:35,690
です 日本 語 文 化 圏 に お いて は レ ト リ ック よ り も 単
語 が 連 想 さ せ る 漠
277
00:41:35,690 --> 00:41:42,670
然 と した イ メ ージ を 多 用 する 方 が 高 揚 が 大 き く
その 傾 向 は 禅 に お ける い
278
00:41:42,670 --> 00:41:49,470
わ ゆ る 不 流 文 字 の 思 想 に よ って 一 層 強 化 さ れ
ました 加 えて 江 戸 時
279
00:41:49,470 --> 00:41:56,350
代 の 鎖 国 の 慣 性 は 多 言 語 の 接 触 を 極 端 に 制 限
し 対 応 関 係 に ある 外
280
00:41:56,350 --> 00:42:03,290
国 語 単 語 が 言 語 使 用 者 の 意 識 の 上 でしょう さ れ
なく なる という 状 況 を 生 み 出 しました
281
00:42:03,290 --> 00:42:10,210
結果 と して 一 つ の 単 語 が 無 限 定 の 連 想 を 排 解 せ
し め る こと と な
282
00:42:10,210 --> 00:42:17,050
った の です 五 輪 の 書 と は 禅 の 思 想 が い また それ ほど
強 く な かった 江 戸 初 期
283
00:42:17,050 --> 00:42:24,030
の 公 語 的 国 語 教 養 に よ って 成 立 した と思 わ れる ほ
と ん ど 唯 一 の 軍 事 的
284
00:42:24,030 --> 00:42:30,710
著 作 で あり とか く 非 合 理 的 で ある と思 わ れ が ち な
日本 語 が 実 は、 合
285
00:42:30,710 --> 00:42:35,730
理 的 足 り 得 る こと を 証 明 する 著 作 でも あ った の
です。
286
00:42:42,870 --> 00:42:49,290
仏 教、 儒 教、 道 教 の 古 い 言 葉 を 借 り ず、 軍 記 や 軍
法 の 小 字 も 使 わ ず、
287
00:42:50,280 --> 00:42:57,280
同 時 代 の 兵 法 者 が 外 来 語 に 助 け ら れ、 ある い は
説 人 等 活 人 権、 大 物 殺 物 な
288
00:42:57,280 --> 00:43:04,260
ど の 前 所 期 限 の ボ キ ャ ブ ラ リ ー を 用 いて いた の
に 比 べ、 武 蔵 は 五 輪 の 書 の 執 筆 に あ た って 事
289
00:43:04,260 --> 00:43:11,210
故 の 体 験、 見 聞 と その 分 析 以 外 を 用 いて い ません。
得 得 した ところ を 彼 自 身 の 平 明 な
290
00:43:11,210 --> 00:43:18,030
口 語 を 用 いて 表 した 態 度 は、 不 流 文 字 と 称 し な が
ら、 その 実、 文 字 を も て 遊 ぶ が 如 き 善 気
291
00:43:18,030 --> 00:43:24,970
流 の 態 度 と は 相 入 れ ぬ もの が あります。 好 感、 武 蔵
を も って 善 の 達 人 と み な 従 る 風 潮 が
292
00:43:24,970 --> 00:43:31,970
あります が、 これ な ど は 根 拠 な き 脳 内 妄 想 その も ので
あり、 事 実 は 善 の 影 響 が 最 小 限 に と ど め
293
00:43:31,970 --> 00:43:38,660
ら れた が ゆ え に、 五 輪 の 書 の 合 理 精 神 は 長 く 誰
に も 超 え ら れる こと が な かった の です。 同 時 代 から
294
00:43:38,660 --> 00:43:44,760
して す で に 理 解 者 が 稀 で あ った 武 蔵 の 合 理 主 義
その 無 理 解 が 江 戸 期 以 来 の 日本 人 に も た ら した 必
295
00:43:44,760 --> 00:43:51,760
要 な 素 質 は 明 治 維 新 という 近 代 化 と その 過 程 に お
ける 精 神 的 錯 誤 誤 る 武 士 道 の 流
296
00:43:51,760 --> 00:43:54,020
勢 という 形 で 後 に 発 言 します
297
00:44:18,030 --> 00:44:24,870
き っ か け は 19 04 年 の 日 露 戦 争、 旅 順 要 塞 攻 略
戦 に お ける ロ シ ア 兵
298
00:44:24,870 --> 00:44:31,810
と の 白 兵 戦 闘 でした。 明 治 の 日本 陸 軍 は 不 服 戦 争
に お ける 無 煙 火 薬 の 威
299
00:44:31,810 --> 00:44:38,410
力 に 厳 惑 さ れ、 白 兵 戦 闘 を 非 文 明 的 戦 法 と して
捨 て 去 ろう と して いました。
300
00:44:39,810 --> 00:44:46,710
ところ が 実 を 言 えば、 ロ シ ア 軍 に 限 ら ず、 当 時 の ヨ
ーロ ッ パ の 軍 隊 は、 白 兵 戦 闘 を 18 番
301
00:44:46,710 --> 00:44:53,710
と して お り、 旅 順 では 火 力 を 頼 み に 山 頂 に 緊 迫
した 日本 兵 に 対 して、 銃 剣 の 矛 先 を 揃 え
302
00:44:53,710 --> 00:44:58,410
た ロ シ ア 兵 が、 山 王 を 飛 び 出 し、 逆 襲 突 撃 を 敢
行 しました。
303
00:45:10,460 --> 00:45:17,200
武 士 家 系 の 将 校 だけ は、 か ろう じ て サ ーベ ル を 敵
に 踏 み と ど ま った もの の、 平 民 持 ち を 持 つ た カ ス
304
00:45:17,200 --> 00:45:24,200
カ ン 兵 士 は、 突 撃 して く る ロ シ ア 系 に 恐 れ も な
し、 背 中 を 見 せて 逃 亡 する という 周 回 を 演 じ
305
00:45:24,200 --> 00:45:31,000
た ので した。 これは ひ と え に、 明 治 政府 が 二 十 世 紀 に
も な って、 ま さ か 大 男 の 白 人 兵
306
00:45:31,000 --> 00:45:37,020
と 槍 や 刀 で 特 組 合 を する よう な 戦 争 が ある と は、
想 像 して い な かった こと に よ る もの です。
307
00:45:39,600 --> 00:45:46,220
そ も そ も 政府 は、 西 洋 から は 日本 刀 が 野 蛮 に 見 える
と 信 じ て、 真 っ 先 に 廃 止 して いました
308
00:45:46,220 --> 00:45:52,440
し、 明 治 十 年 の 西 南 戦 争 では、 官 軍 が 日本 刀 を 携
帯 する こと す ら 禁 じ て いました。
309
00:45:53,320 --> 00:46:00,100
また、 条 約 改 正 運 動 の 障 害 にな る と して、 伝 統 の 剣
術 も 柔 術 も、 全 道 場
310
00:46:00,100 --> 00:46:07,060
廃 止 の 方 向 へ 誘 導 して いた こと も、 庶 民 から 戦 場 度
胸 を 奪 う 結果 と な って いました。 そんな
311
00:46:07,060 --> 00:46:14,040
有 様 でした から 明 治 38 年 を 境 に 日本 国 民 は 重 層 白
人 恐 怖 症 の 深
312
00:46:14,040 --> 00:46:21,020
刻 な ト ラ ウ マ を 抱 える こと にな った の です 日本 政府 と
して は 早 急 に この 国 民 の 精 神 的 な 不 安 を 取 り
313
00:46:21,020 --> 00:46:27,920
除 かな けれ ば な り ません でした どう す べ き か 何 か 参 考
にな る もの が 創 作 さ れ そして 見 出 さ
314
00:46:27,920 --> 00:46:30,560
れた ス ロ ー ガ ン が 武 士 道 だ った の です
315
00:46:42,890 --> 00:46:49,890
実 は この 武 士 道 なる 言 葉 は 日 露 戦 争 前 後 に 日本 語
にな った も ので した。 意 外 に 思
316
00:46:49,890 --> 00:46:55,490
える か もし れ ません が、 明 治 末 まで 武 士 道 な ど 普 通
の 日本 人 は 知 り ません でした。
317
00:46:56,290 --> 00:47:02,530
文 献 の 上 では と も か く、 日本 人 の 意 識 の 上 では 少
し も 一 般 名 詞 では な かった の です。
318
00:47:04,290 --> 00:47:11,250
二 戸 稲 造 の 武 士 道 は 明 治 32 年 に ア メ リ カ で 英
文 で 書 か れ、 ア メ リ カ
319
00:47:11,250 --> 00:47:18,170
国 内 の 知 識 層 に だけ 知 ら れて いました その ニ ト ベ の
仕 事 が お そ ま き
320
00:47:18,170 --> 00:47:25,070
な が ら 和 訳 さ れて 逆 輸 入 さ れ 日本 国 内 で 刊 行 さ
れた の が 明 治 41 年 で あり この
321
00:47:25,070 --> 00:47:31,970
出 版 事 業 は 日 露 戦 争 後 の 政府 の 要 望 に 沿 う も
ので した そして 宮 本 武 蔵 の ま と も な 伝 記
322
00:47:31,970 --> 00:47:38,970
が 書 か れて 印 刷 さ れた の も 明 治 44 年 で 紛 れ も
なく この 国 策 の 延 長 上 に あ った の
323
00:47:38,970 --> 00:47:45,840
です その 伝 記 を も と に 武 蔵 は 講 談 の 主 人 公 に 採
用 さ れ、 折 し も シ リ ー ズ が 始 ま った
324
00:47:45,840 --> 00:47:52,620
ば か り の 立 川 文 庫 から 武 士 道 聖 歌 宮 本 武 蔵 が 発
売 さ れ、 宮 本 武 蔵 の 名 が
325
00:47:52,620 --> 00:47:59,340
固 有 名 詞 と して 庶 民 に 知 ら れる こと にな ります。 この
講 談 ブ ーム は 昭 和 に 入 って 吉
326
00:47:59,340 --> 00:48:06,160
川 英 二 が 大 衆 小 説 宮 本 武 蔵 を 書 く ため の 下 地 を
形 成 した ので した。 日 中 戦
327
00:48:06,160 --> 00:48:13,060
争 の 進 展 に 合 わ せて 書 き 綴 ら れた 吉 川 版 宮 本 武
蔵 に よ って 武 士 道 は 合 理 主 義 から 精 神
328
00:48:13,060 --> 00:48:20,000
主 義 へ と 読 み 換 え ら れて 現在 に 至 ります さ て 後 世
に お ける 政治 的 事情 から 意
329
00:48:20,000 --> 00:48:26,880
識 的 に 作 り 上 げ ら れた 巨 像 を 離 れ 今 一 度 時 代 を
遡 り 宮 本 武 蔵 なる 人 物 の
330
00:48:26,880 --> 00:48:28,640
実 像 に 迫 って み ましょう
331
00:48:31,240 --> 00:48:38,240
武 蔵 は、 選 挙 区 を 左右 する のは、 指 揮 官 と して の 己
の 地 略 で あり、 その 能 力 を
332
00:48:38,240 --> 00:48:45,160
来 る べ き 合 戦 に お いて、 い か んな く 発 揮 する ため に
も、 鍛 えて お か ね ば なら ない と 考 えて いた に
333
00:48:45,160 --> 00:48:46,180
違 い あり ません。
334
00:48:47,140 --> 00:48:54,120
その こと を 象 徴 的 に 表 して いる の が、 一 条 寺 下 松 で
行 わ れた と 言 わ れて いる 吉
335
00:48:54,120 --> 00:48:57,160
岡 一 門 と の 三 度 目 の 果 た し 合 い です。
336
00:49:01,320 --> 00:49:08,200
五 輪 の 書 に 以 下 の 言 葉 あり 敵 を 見 下 ろ す と いい
て 少 し も 高 き ところ に か ま ゆ る
337
00:49:08,200 --> 00:49:15,120
ように 心 う べ し と な れ ば この 場 に お いて も と る べ
き 不 尽 お の
338
00:49:15,120 --> 00:49:16,120
ず と け っ す
339
00:49:19,760 --> 00:49:26,660
吉 岡 兄 弟 い ず れ も 下 し 明 日 この 場 に 対 する は 兄
340
00:49:26,660 --> 00:49:33,080
弟 の 叔 父 玄 左 衛 門 そして 石 原 二 郎
341
00:49:33,080 --> 00:49:38,260
又 の 名 前 を 又 七 郎
342
00:50:02,250 --> 00:50:09,190
明 日 の 戦 い 前 に して 空 を 見 つ め る 宮 本 武 蔵 思 案
に ふ ける
343
00:50:09,190 --> 00:50:13,090
孤 独 の 上 を 風 の 音 ば か り が 吹 き 抜 ける
344
00:50:34,350 --> 00:50:41,110
む さ し ここ ろ に お もう た は、 この ご に お よ んで か み
だ の み、 い か に た
345
00:50:41,110 --> 00:50:47,910
の んで み た と こ で、 そんな つ た ない ここ ろ を ば、 どう
して か
346
00:50:47,910 --> 00:50:50,930
み が き き い れ よ。
347
00:50:56,070 --> 00:51:02,970
五 輪 の 書 ひ の ま き 敵 の 流 れ を わ き ま え、 相 手 の
人 が ら を み う け、 人
348
00:51:02,970 --> 00:51:08,330
の 強 き 弱 き ところ を 見 つ け 先 を しか く る ところ 寛 容
な り
349
00:51:37,859 --> 00:51:44,840
幼 き 総 大 将 を 守 る のは 吉 岡 門 邸 七
350
00:51:44,840 --> 00:51:51,460
十 四 名 松 明 の 明 か り 高 校 と 槍 を 携
351
00:51:51,460 --> 00:51:57,160
え 弓 を 持 ち 吉 岡 勢 に ぬ か り な し
352
00:51:57,160 --> 00:52:02,160
ところ は 一 条 寺 下 松
353
00:52:07,280 --> 00:52:14,160
この 時 武 蔵 の 心 中 何 あ ろう 関 ヶ 原 で の 河
354
00:52:14,160 --> 00:52:20,820
川 の 無 念 の 思 い 込 み 上 げ る
355
00:52:20,820 --> 00:52:26,440
これは 戦 だ
356
00:52:26,440 --> 00:52:29,360
これは 戦 だ
357
00:52:47,150 --> 00:52:50,150
ロ シ オ カ 軍 の 総 大 将、 眼 前 な り!
358
00:52:57,490 --> 00:53:00,410
薬 状 に よ り 宮 本 武 蔵、 これ に 参 った!
359
00:53:02,530 --> 00:53:09,510
ロ シ オ カ 軍 総
360
00:53:09,510 --> 00:53:12,810
大 将、 ロ シ オ カ ケ ン ジ ロ ウ 打 ち 立 った り!
361
00:53:22,680 --> 00:53:29,560
ご 視 聴
362
00:53:29,560 --> 00:53:30,560
ありがとうございました。
363
00:54:07,280 --> 00:54:14,280
に お いて 顕 著 に 見て 取 れる のは 武 蔵 の 緻 密 な 軍 略
家 と して の 顔 でしょう 武
364
00:54:14,280 --> 00:54:21,240
蔵 は この 吉 岡 一 門 と の 戦 い に つ いて 晩 年 に 至 る
まで 何 度 も 繰 り 返 して 口
365
00:54:21,240 --> 00:54:22,780
に した と 言 わ れて います
366
00:54:34,650 --> 00:54:41,110
佐 々 木 小 次 郎 と の 伝 説 的 な 果 た し 合 い に つ いて
は ほ と ん ど 語 る こと が あり ません でした。
367
00:54:42,310 --> 00:54:49,210
それは な ぜ だ った の か。 い よ い よ その 謎 に 一 つ の 回
答 を 見 出 す 時 が
368
00:54:49,210 --> 00:54:50,210
来 た よう です。
369
00:54:58,720 --> 00:55:05,700
宮 本 武 蔵 潮 の 流 れ を 見 計 らい 小
370
00:55:05,700 --> 00:55:12,700
舟 揺 ら れて 船 島 へ 手 には 自 ら の 削 り
371
00:55:12,700 --> 00:55:19,360
古 屋 の 樽 木 刀 そ して 頭 に 手 縫 い を
372
00:55:19,360 --> 00:55:24,300
巻 いて 人 へ の 鉢 巻 き へ と な つ
373
00:55:58,549 --> 00:56:05,370
県 に 行 き 県 に か け た る この 男 これ ぞ 元
374
00:56:05,370 --> 00:56:11,410
龍 佐 々 木 小 次 郎 三
375
00:56:11,410 --> 00:56:18,410
尺 余 り の 長 剣 を 帯 び て 武 蔵 を
376
00:56:18,410 --> 00:56:20,090
迎 え
377
00:57:03,400 --> 00:57:10,320
何 時 な ぜ 役 に た が え 遅 れた か 小 次 郎 を 負 け た り
何 故
378
00:57:10,320 --> 00:57:15,120
さ ら ば な ぜ その 鞘 を 投 げ て む
379
00:57:45,640 --> 00:57:52,120
な こ そ お し め もの の ふ の、 心 の う ち を た れ が し
る。 り ゅ う こ あ いう つ その と き は、
380
00:57:52,220 --> 00:57:55,360
いつ は き ず つ き、 いつ は し ず。
381
00:58:40,360 --> 00:58:41,360
ん ん ん
382
00:59:28,110 --> 00:59:35,070
小 次 郎 の 目 には 笑 み 浮 か べ ど、 武 蔵 の 顔 色 は よう
と して 知 れ ず、 武 蔵
383
00:59:35,070 --> 00:59:38,690
は 小 次 郎 の 亡 骸 に 恵 を な し。
384
00:59:41,030 --> 00:59:47,670
天 地 を 結 ぶ 木 差 し に、 何 憂 い なく 飛
385
00:59:47,670 --> 00:59:53,750
び が 舞 う、 う つ も 果 て も さ さ た の、
386
00:59:54,490 --> 01:00:00,990
か つ き え か つ む つ み た る あ だ め が お
387
01:00:00,990 --> 01:00:04,630
と し
388
01:00:26,360 --> 01:00:33,020
また の 名 を 岩 流 島 と して 知 ら れる この 船 島 で の 伝
説 的 な 果 た し 合 い に つ いて、
389
01:00:33,200 --> 01:00:36,540
な ぜ 武 蔵 は 語 ろう と し な かった の か。
390
01:00:37,540 --> 01:00:44,540
それは 武 蔵 が 自 ら を 剣 の 技 に 引 い 出 た 一 回 の 職
人 剣 士 では なく、 そう
391
01:00:44,540 --> 01:00:50,240
した 剣 士 の 集 団 を 馬 上 に て 指 揮 する 将 と み な して
いた から に ほ かな り ません。
392
01:00:52,340 --> 01:00:59,290
いく ら 相 手 が 強 か ろう が、 一 対 一 の 戦 い なら ば
それは 武 蔵 の 軍 略 家 と して の 能 力
393
01:00:59,290 --> 01:01:06,030
を い さ さ かな り と も 証 明 する こと には なら ず ま して
大 心 た る 夢 の 伏 せ き と なる もの
394
01:01:06,030 --> 01:01:12,550
でも あり ません でした 彼 の 心 を つ い ぞ 支 配 した もの
395
01:01:12,550 --> 01:01:19,370
それは 最 初 から 最後 まで 一 貫 して 合 戦 だ った の です 極
論 する なら
396
01:01:19,370 --> 01:01:26,200
ば 武 蔵 の 戦 い は その す べ て が 関 ヶ 原 の 雪 辱 戦 で
あ った と 言 って も 過 言
397
01:01:26,200 --> 01:01:27,200
では ない でしょう
398
01:02:34,640 --> 01:02:41,400
馬 上 の 合 戦 を 夢 見 続 け た 男 が、 小 次 郎 を 打 ち 倒
した 時、 その
399
01:02:41,400 --> 01:02:45,020
心 に 巨 大 した も のは 何 だ った ので しょう か。
400
01:02:56,420 --> 01:03:03,400
武 蔵 は 自 ら の 死 に 際 し、 葬 儀 の 折 に、 自 分 の 遺
体 に 甲 冑 を 身 に つ
401
01:03:03,400 --> 01:03:04,580
ける よう 命 じ ました。
402
01:03:05,280 --> 01:03:11,180
そ こ には、 死 して な お、 合 戦 に 臨 ま んと する 強 靭 な
意 志 を 読 み 取 る こと が で きます。
403
01:03:14,220 --> 01:03:21,180
な ぜ 武 蔵 は そ こ まで 合 戦 に こ だ わ った ので しょう。
それは、 現 代 の 私 た ち から する と、 キ ー に
404
01:03:21,180 --> 01:03:22,180
す ら 移 ります。
405
01:03:23,140 --> 01:03:30,140
数 十 年 早 く 生 ま れて い れ ば、 いく た の 合 戦 で 死 期
を と る。 天 才 軍 師 と して その 生 涯 を
406
01:03:30,140 --> 01:03:37,120
全 う した こと でしょう ある い は 数 十 年 遅 く 生 ま れて い
れ ば 文 部 に 通 じ た 万 能 剣 士
407
01:03:37,120 --> 01:03:41,500
と して 己 の 技 を 極 め る こと に 理 想 を 燃 や せ た か
もし れ ません
408
01:03:57,480 --> 01:04:04,340
武 蔵 が 起 こ し、 そして 極 め た 流 派、 二 天 一 流。 しか
し それは、 武 蔵
409
01:04:04,340 --> 01:04:11,120
の 死 後、 実 質 的 には 分 裂 し、 無 参 して しま いました。 面
白 い こと に、 五 輪 の 書 には、
410
01:04:11,360 --> 01:04:18,280
二 頭 一 流 と 二 天 一 流 の 二 つ の 故 障 が 混 在 して 使
用 さ れて います。 しか
411
01:04:18,280 --> 01:04:23,220
し 最 終 的 には、 武 蔵 は 二 天 一 流 の 名 を 採 択
しました。
412
01:04:24,680 --> 01:04:31,180
そう、 それは、 二 党 を 扱 う が ゆ え の 命 名 では な かった
から に ほ かな り ません
413
01:04:31,180 --> 01:04:38,020
武 蔵 の 理 想 それは 天 下 分 け 目 の 合 戦 が 再 び 起 きた
際 に 二 つ に 分 か れた
414
01:04:38,020 --> 01:04:41,180
天 を 一 に する ため の 流 派 だ った ので
415
01:05:02,190 --> 01:05:07,990
時 代 と 時 代 の 端 境 地 に 生 ま れる という 数 奇 な 運 命
の 持 ち 主 でした
416
01:05:07,990 --> 01:05:14,930
時 代 錯 誤 と 分 か り つ つ も その こ だ わ り を 夢 を
どう して も 捨 て ら
417
01:05:14,930 --> 01:05:21,750
れ な かった という 点 は 他 の す べ て に お いて 徹 底 して
合 理 的 だ った 武 蔵 も た った 一 つ の
418
01:05:21,750 --> 01:05:26,010
しか し 最 大 の 非 合 理 だ った と 言 える か もし れ ません
419
01:05:48,140 --> 01:05:55,120
宮 本 武 蔵 究 極 の 非 合 理 を 胸 に 宿 した 究 極 の 合 理
主 義 者 が
420
01:05:55,120 --> 01:05:59,560
自己 鍛 錬 を 突 き 詰 めて 至 った 究 極 の 境 地
421
01:06:35,340 --> 01:06:42,020
誰 も 愛 さ ず 生 き て 死
422
01:06:42,020 --> 01:06:48,640
ね る か 惑 わ す もの
423
01:06:48,640 --> 01:06:54,540
す べ て 断 ち 切 れる か
424
01:06:54,540 --> 01:07:01,080
誰 か を 愛 せ ば
425
01:07:01,080 --> 01:07:02,840
心 を
426
01:07:20,859 --> 01:07:24,660
ご 視 聴 ありがとうございました。
427
01:08:58,729 --> 01:09:04,830
何 を 愛 せ ば 心 は
428
01:09:04,830 --> 01:09:11,510
強 く なる 紛 ら わ す
429
01:09:11,510 --> 01:09:18,050
もの す べ て 受 け 入 れる か
430
01:09:18,050 --> 01:09:24,410
誰 か に 愛 さ れ
431
01:09:24,410 --> 01:09:26,330
答 える か
432
01:09:41,899 --> 01:09:48,060
振 り 切 れない 弱 さ と 情 け ない
433
01:09:48,060 --> 01:09:53,520
涙 恐 れて る
434
01:09:53,520 --> 01:10:00,380
時間 な ど 突 き 破 る
435
01:10:00,380 --> 01:10:02,040
力 を
436
01:11:11,920 --> 01:11:18,760
果 て し ない この 夢 の 続 き を 見
437
01:11:18,760 --> 01:11:25,360
よう あ えて 挑 む 一 人
438
01:11:25,360 --> 01:11:27,460
だけ の 道 を
60253