All language subtitles for My.Beautiful.Man.Eternal.2023

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Original subtitles

(平良(ひら)一成(かずなり))なるべく 心を平(たい)らかにすること

刺激に敏感にならないこと

汚(よご)れた人工の川を

クルンとした睫毛(まつげ)で流れていった アヒル隊長のようであれ

何度も 呪文のように 繰り返した言葉

けれど…

俺の世界は 変わってしまった

(男性)起きろ…

起きろ!

起きろ 時間だ!

(平良) お… おはようございます

(野口(のぐち))俺より遅くに起きる アシスタントがどこにいる!

でも まだ集合時間じゃ…

(野口)俺が起きた時間が 集合時間なんだよ

あ… すいません

(野口)さっさと準備しろ (平良)あ… はい

(香田(こうだ))ほんと俺様(おれさま)だよね 野口さん

(平良)な… 慣れてるんで

(香田)え?

(平良)キングには

(香田)キング?

(野口)おい

お前ら 聞こえてるぞ

(平良)あ…

(野口)でも悪くない キングか

(平良)あ いや 野口さんの ことじゃないです

(野口)は? (香田)えっ 友達?

あ いや と… 友達っていうか…

(平良・清居(きよい)奏(そう)) 恋人… です

(スタッフ)カット! オッケー!

(スタッフたち)はい オッケー!

(山形(やまがた))安奈(あんな) さすがぁ!

(安奈)社長 お疲れさまです

(山形)清居君も 今の顔よかったぁ

(安奈)そういえば 彼の話 聞かせてよ (清居)え?

(安奈)初めて 会った時のこととか

(清居)あぁ

(清居)こんなキモいやつ いるんだって ビビった

(平良)初めて見た時

こんな きれいな人が この世界に存在するんだって

クラス… いや 学校で 一番人気があって

いつも周りに人が集まる 生まれついてのスター

(はしゃぐ声)

(清居)暗くて キモくて

いつも一人で うつむいてる 救いようのないぼっち

マジで終わってる

(安奈)じゃ なんで 付き合ったの?

(清居)それは…

2人だけの時間

秘密が増えて

(平良)清居 (シャッター音)

うわぁ~!

(清居)まるで狂信者(きょうしんしゃ)

俺を守るためなら あいつは きっと なんでもする

でも こいつなら 信じてもいいかって思えた

(清居・平良)いつも俺は

あの瞳に

吸い寄せられてしまう

あの瞳に

見つめられると…

(安奈)清居君 (清居)ん?

(安奈) のろけにしか聞こえない

(清居)今の話 聞いて どうして そう思うんだよ

マジで やばいんだって

(安奈)はい

(清居)この前なんてさ…

(清居)うおっ!

(走ってくる足音)

(平良)あぁー! ちょっと 待って…

(清居)お前 なんで こんなの集めてんだ!

(平良)いや 清居のグッズだから そんな理由なんて

ちょっと やめて 見ないで…

神への信仰を否定しないで

(清居)本物なら ここにいんだろ お前

(平良)いるけど ダメなの… あぁー!

やっぱり のろけ

(清居)てか なんで こんな話

幸せな話 聞きたかったから

え?

(菅(すが))安奈さん 撮影 再開だって (安奈)はい

(菅)清居君 まだ大丈夫 (清居)はい

(安奈)菅さん これ (菅)はいはい

(菅)上着も もらっちゃおうか (安奈)はい お願いしまーす

(香田)で 今 一緒に住んでんだ?

(平良)あっ はい

その子が お前の 撮りたいものか

はい

(野口)なるほどな 今度 連れてこい

あ… 野口さんには 会わせたくないです

なんでだよ

いや だって からかわれたりするの嫌だし

(香田)ハハッ

チッ…

お前 仕事できなかったら

とっくに クビにしてるからなぁ

あ… す すみません

(香田)うまくいってて安心した

そ… そうですか?

(香田) だって野口さんが学生から

アシスタント採(と)るなんて 初めてだもん

大学との両立 大丈夫?

もう授業は ないんで

そっか もう卒業か

あ… はい

(平良)卒業

出会いの春が過ぎ 暑い夏を経て 秋が深まり

冷たい冬も乗り越えて 再び春が来る

俺たちは

また新しい季節に向かって 走り出す

俺と清居

最高のキング

いや 俺の

俺だけの…

(ファン)かっこいい

(ファン)ハァ… やっぱり かっこいい

(ファン)ドラマ 先週の話 よかったよね

(ファン)はい!

あの上から目線 たまらなかったです

(ファン)清居君 エターナル

(平良)清居…

(平良)あっ き… 清居君

(ファン)不審君だ (ファン)ですよね?

(ファン)えっ 不審…

え… えっ?

(平良)あっ あ… す すいません

(設楽(したら))あ… 来てたんだね

(平良)あ… はい

最近 見かけないなと思って

ちょ… ちょ… ちょっと 忙しくて

あっ でも あの 先週の放送を見て

(平良) 仕事をしている清居を

こうして 一定の距離をおいて見守る

これが 自分の原点的な活動だ

(設楽)分かるよ

(平良)え?

僕も 安奈に すごく会いたくなる

すごいよ 安奈は

清居君もインタビューで 褒めてくれてたよね

あっ はい

普通は どんどん気持ちって 小さくなるものだと思ってたけど

ほんとの気持ちは違うんだって 安奈が教えてくれた

これ 見てほしくって 持ってきたんだ

この安奈が忘れられなくって

ほんと きれいだった 無垢(むく)で

あの気持ちは 一生 忘れられない

エターナル

ん?

あっ… す す す… すいません

で… でも す すごく分かります

あのさ 名前 なんていうの?

え?

前も言ってくれたよね “分かる”って

あ… そ その…

僕は 設楽克己(かつみ)

あっ ひ ひ… 平良一成です

(スタッフたちの声)

(カチンコの音)

(平良)見るだけ 思うだけ

そこには 余計な物思いがない

設楽さんのは純粋な愛だ

俺も かつては そうだった

(平良)ただいま

(操作音)

(アナウンサー)不倫疑惑が週刊誌で 報じられた友民(ゆうみん)党の

大泉誠一(おおいずみせいいち) 衆議院議員が…

(平良)けれど 今は…

触(ふ)れ合う喜びを 知ってしまった自分は

きっと もう そこには戻れない

(平良)ただいま ただいま

ナス

ジャガイモ

ジンジャーエール

エターナル

(玄関チャイム)

あ… はーい!

え… 菜穂(なほ)ちゃん

(菜穂)ちょっと 相談があって

(平良)あ…

(清居)ただいま

(平良)おかえり 清居 撮影 お疲れさま

(清居)おい なんのお祝いだよ

(平良)お祝い?

(清居)量 多すぎんだろ

何があった?

(平良) 清居の好きなエビコロだよ

あと 春雨(はるさめ)スープ

ご飯はさ 炊き込みご飯にしてみた どうかな

(清居)何があった?

お前が変に 豪華なメシ作る時は

絶対なんか あんだよ

(平良)ほら 清居 エビコロだよ エビコロ

エビコロだよ エビコロ! (清居)おい!

言え

(平良)り…

離婚する

は?

いや だから離婚 離(はな)ればなれ

ふざけんな!

俺の了承も得ず 何 勝手に決めてんだ

俺の何が不満なんだよ!

清居に不満が あるわけないだろう

じゃあ なんでだ 理由を言え

理由は

浮気…

(清居)は? 殺す

あっ ちょっと待って待って… 待って!

あっ いや でも 清居に殺されるなら

それはそれで 本望かもしれない

平良のくせに てめぇ!

いや… 菜穂ちゃんが決めたんだよ

菜穂ちゃん? (平良)うん

お前のいとこの? (平良)うん

菜穂ちゃんが旦那さんと 離婚するかもしれないって

(清居)お前は 主語が足りねぇんだよ

(平良)痛っ

(清居)お前は 主語が足りねぇんだよ

(平良)あぁ ごめん

いや だから あの この家を その…

出なきゃいけないのか

(平良)うん

(清居)そっか

(平良)うん

うん うん…

んあぁ… 今月で 清居とお別れと思うと

生きる気力が尽きた…

で 大量のエビコロを

(平良)最後の思い出

なんで最後なんだよ

(平良)えっ?

新しく借りりゃあいいじゃん 部屋

新しい部屋?

俺とお前の新居

存分(ぞんぶん)に喜べ

そ… それ 本気で言ってる?

(清居)はあ?

清居 ちゃんと 考えたほうがいいよ

新しい部屋ってことは お金もかかるし

なんか こう 家具 変えたりとかさ…

大丈夫だよ

お前だって 新しい仕事 見つかったんだし

(平良)仕事っていったって アシスタントだし

それに いつデビューして

稼げるようになるかも 分かんないし

大丈夫

取るんだろ? 野村(のむら)伊兵衛(いへえ)賞

いや 清居 だから あれは言ったけどさ

こう… あれは ほんとに すごい賞で

写真界の芥川(あくたがわ)賞ともいわれる もう 名誉ある この すごい…

お前!

俺と一緒に 住みたくねぇの?

す す… 住みたい

住みたいです 住みたいです!

なら 細かいこと つべこべ言うな

これからも存分に 俺のためにエビコロを作れ

(平良)うん

はい

やっぱ うま

はい!

はい はい はい!

家 探すなら どこがいいかな

あー

俺は仕事によって 現場 変わるし

野口さんの家に近いとこが いいんじゃね?

そ… それは俺が合わせるよ 清居に絶対 無理はさせない

でも 静かな所がいいよね

あと 交通の便がいい所

なんか いいな

(平良)ん?

こういうの 一緒に考えられるの

(平良)うん

で… でも ちょっとだけ さみしい

この家で いろいろあったから

あと1か月ある まだ新しいことできるって

(平良)うん

そ… そろそろ お風呂いれようか

お風呂…

(平良)ん?

確かに…

清居と一緒に お風呂 入ったことなかったね

(清居)うん

顔 赤いよ

(清居)俺 いつもシャワーだから

そうなの?

じゃあ 無理しないでね

バカか

(平良)えっ だって 清居が苦しいのは嫌だ

お前 たまには男の本能が 勝ったりしねぇの?

何それ?

俺が泣こうが わめこうが

担(かつ)ぎ上げて 無理やり 押し倒してやりたいとか

むちゃくちゃに してやりたいとか

思わねぇのかよ

俺がそんなことをした時は

迷わず射殺してほしい

推(お)し量(はか)れよ

でも今 すごくドキドキしてる

キス… してもいいぞ

(平良)きれいだよ

鏡に映る清居も きれいだ

(清居)なんだ それ

ほら

きれい

(清居の荒い息づかい)

(清居)ハァ… 平良

(荒い息づかい)

(男性)こちらのお部屋です (清居)はい

(清居)おい (平良)あっ

(清居) ありがとうございます

結構 きれいだな

おー

(平良)おー!

(清居)結構 高いですね

(男性)そうなんですよね 窓も大きいんでね

日当たりもいいと思いますよ

(清居)おー

お前 持ってきたのかよ それ

(平良)一緒に見ないと

おぉー

(清居)ちょっ… 怖い 怖い

(平良)収納いっぱい あるよ

ここで こう…

(清居)何してんの? (平良)清居

(男性)どうぞー

(清居)ありがとうございます

螺旋(らせん)階段

(平良)ベッド ここかな? ここに こう…

(清居)んー サイズは?

(平良)え?

もちろん キングだよ

(清居)キモ

(平良)眺めも いいね (清居)うん

(平良)駅も すぐそこだし

(清居)近いな (平良)うん

(男性)どうですか? ここ よくなかったですか?

(清居)ああ でも いい感じでした (男性)そっすよね

めちゃくちゃ いいんすよ ここ (清居)ハハッ

平良 行くぞ

(平良)うん

(清居)さっきのベランダ よかったな

あそこは郵便受けに チラシが入りっぱなしの家が多かった

治安が… (清居)それぐらい いいだろ

ダメだよ! 清居が住むんだから

俺は 2軒目の家が…

風呂が狭い

シャワー派だって

変わったんだよ

バスタブは… 必要だ

じゃあ どこが…

(清居)あの 今 見た以外で…

なかなか厳しいんですよね ルームシェアって

大家さんが嫌がる人 多くて

ご結婚される予定とかなら いいんですけどぉ

なかなかねぇ そんなねぇ

(清居)ありがとう

にしても あの不動産屋はダメだ

(平良)うん

あと お前 条件 厳しすぎんだよ

ちっとは妥協しろ

清居は 俺たちの 気持ちが分かってないよ

(清居)まさか お前も書き込んでんの?

(平良)“清居 奏君の お芝居は どんどん…”

(清居)この“石ころ” ってのが お前か

(平良)みんな 清居を守りたいんだよ

エターナルだよ

そ そ… それに 清居だって…

なんだよ 俺も細かいって?

ごめん

“ごめん”つうのは “そうです”と同じなんだよ

あっ ごめん (清居)チッ… うざ

(平良)あ…

俺が間違ってたよ

本当に そう思ってんのか?

(平良)うん

俺は 清居と一緒にいれるなら それでいい

次の内見(ないけん) いつにする?

来週だと水曜なら

あー その日は 野口さんの所だ

あっ 安奈さんの

あー 写真集か

安奈 ずっと野口さんに 撮ってもらってるもんな

えっと… 土曜は?

撮影

あぁ そっか ごめん

うっ…

“ごめん”禁止

いや でも 予定 合わせられなかったから

頑張ってんのに なんで謝んだよ

だって…

(清居)なんだよ

いや な… なんでもない

(平良)前は見ているだけで 思うだけで幸せだった

けれど今は…

清居と同じ世界に とどまりたい

同じステージで

清居の写真を プロになって撮りたい

幸せを知ってしまったからこそ

絶対に失いたくない

あぁ… 俺は なんて傲慢(ごうまん)なんだろう

(堀井(ほりい))えっ!?

お前 別れちゃったの?

(沢崎(さわざき))うん (堀井)なんでぇ?

(堀井)佐紀(さき)ちゃん お前のこと 大好きだったじゃん

(沢崎)ほかに好きな人 できたから

ハァ~!

(小山(こやま))沢崎って 意外とドライだよね

(沢崎)いや

ほかの人に 気持ち移ってんのに

いつまでも 引っ張ってるほうが

やばくないっすか?

(堀井)んー まぁ そうだけどさぁ

平良さーん

あ… 俺も そう思う

(堀井)え?

契約書があるわけじゃないし 結婚してても別れるんだから

いや それは俺より 平良さんのほうが厳しいっすよ

(堀井)えー なんか恋愛するの 怖くなってきたんだけど!

別れない方法って なんか ないっすか?

野村伊兵衛賞

(堀井)え? (小山)野村伊兵衛賞?

平良さん…

狙ってるんすか?

いや だから その…

いずれはってことでしょ? もっと経験 積んで

(堀井)あぁ

いや なるべく早く

ネ… ネットとかで 検索してみます?

(平良)“プロのカメラマンに なりたい大学生です”

“野村伊兵衛賞を 狙ってるんですが”

“どうしたらいいですか?”

いや 書き込むほどの ことでもないと思うけど

まぁ こういうのに 必要なのは

客観的な意見なんで うん

無知って ある意味 強いですよね

え?

あっ いい意味で… す

うん…

えっ?

(平良)視覚化された客観的な ご意見の ほとんどは

案の定 多数の罵倒(ばとう)だった

よし 車 来たら積もうか

(平良)あっ はい

(ドアの開閉音)

(平良)しかし 1つだけ簡潔で明確で

有意義なものがあった

面白い大学生が いるもんだよなぁ

昨日 夜中に見つけて

腹筋(ふっきん)断裂(だんれつ)しそうなくらい 笑ったわ

えらい楽しい気持ちに させてもらったから

お礼に アドバイスしてやったんだよ

な… なんて?

“お前は直(ただ)ちに 病院に行くべき”

(平良)まさかの ベストアンサーの正体

(野口)いやはや 野村伊兵衛写真賞とは

恐れ入った

(ドアが開く音)

(香田)車 来ました

(香田)積むぞ (平良)はい

(水音や鳥のさえずり)

(安奈の鼻歌)

(鼻歌が続く)

やっぱ 一流のオーラ すごいよね

(平良)はい

(平良)若くして 演技派としてブレイクした

未来の大(だい)女優候補

その裏返しで 傲慢(ごうまん)だの わがまま女王様だのと

週刊誌で意地悪な記事も よく書かれている

(平良)す す… すいません

あの… まだ時間かかりそうです

全然 大丈夫 大丈夫

(平良)どうぞ

ありがとうございまーす いただきます

(平良)だけど 実際の安奈さんは全然違う

(シャッター音)

(シャッター音)

(野口)あぁ… 光が

(平良)あっ 明るさ 足しますか?

(野口)いや ここは いいや

(平良)はい

(香田)野口さん!

やっぱり ゲリラ豪雨 来ます

(香田)次の水辺やめて スタジオ切り替えますか?

(野口)んー それもな

(香田)うーん

安奈

びちょびちょに 濡(ぬ)れてもいい?

平気です

事務所の確認は?

(マネージャー) 社長に確認しまして オッケーです

大丈夫

どしゃ降りのほうが 安奈の強さが より輝く

写真の神様が

そっちのほうがいいって 用意してくれたんだな

はい

(野口)平良 ストロボ 時間勝負だから一気にいこうか

はい!

(野口)うつむいて

不機嫌そうなとこから 始めよう!

はい!

(野口)安奈!

笑って 思い切り

笑って!

(安奈)アハハハ!

アハハ!

(野口)もっと!

悲しくなるぐらい 楽しそうに!

(安奈)アハハハ!

(野口)もっと!

そう! 出して!

出して!

アハハハ!

(平良)雑で 荒っぽい撮り方

支離(しり)滅裂(めつれつ)な指示

だけど… まぶしい

奇妙な迫力

まぶしくて まぶしすぎて

まっすぐに見つめられない

オッケー!

最高

野口さんに 撮ってもらえてよかった

(平良)これが 写真家として生きるということ

灰色の雨雲(あまぐも)の重量感と ゲリラ豪雨の理不尽

その全てを味方につけて

安奈さんの魅力が 伝わってくる

暴力的なほどに

野口さんって不思議だよね

あんなに売れっ子なのに

“これぞ 野口カラー” ってのがなくて

とことんモデルの個性に 寄せてくんだよ

本人は“カオナシ”って 自虐(じぎゃく)するけど

そ… そうなんですか?

昔は風景 撮ってたらしい

でも全然 芽が出なくて 食(く)ってくために

ポートレートに 切り替えたんだって

方向転換して大正解

(ドアが開く音) (野口のあくび)

おぉ まだ残ってたのか

もう帰ります 明日 自分の撮影 入ってて

(野口)おー 頑張れよ

ありがとうございます お疲れさまです

(平良)お疲れさまでした (野口)お疲れ

どうよ? 俺の写真

あぁ い… いいと思います

めちゃくちゃ 棒読みじゃねぇか

あっ あ… ほ ほ… 本当です

あの ど… どうしたら こんなふうに撮れるのかなと思って

ネットで適当な作品見つけて パクればいい

え…

フッ 本気にすんな 冗談だよ

あっ す… すいません

こんなふうにとか あんなふうにとかじゃなくてさ

結局 お前が 何が撮りたいかじゃねぇの?

あるんだろ? 撮りたいもの

いや… ないです

なんだよ

撮りたくなくなっちゃった ってか

いや そうじゃなくて

俺なんかが撮りたいって 思ったら ダメだなと思って

(平良)モデルの個性に寄り添って 魅力を最大限に引き出す

あんな生命力に あふれた写真は

自分には撮れない

どれだけ撮りたいと 願っていても

願いだけじゃ…

(清居)おい! (平良)おぉ! ちょ… ちょっと

(清居)何してんだ?

(平良)あっ シーツつけてる

(清居)シーツ? (平良)うん

よいしょ

(清居)どうやんだ これ

(平良)えっとね そこの輪(わ)っかに これ

これをリボン結び

(清居)ん?

無理だろ これ

貸して

こうして…

お前 ほんと家事 得意だな

そ… そんなことないよ

親がいた時は 全然できなかったし

今は できんじゃん

メシだって うまいし 掃除も洗濯も

清居に 快適に過ごしてほしいから

よし できた

ありがと

あ… ありがとうは こっちだよ

なんでだよ

清居がいるから 頑張れる

あっ そういえば 俺

野口さんに 写真 撮ってもらうことになった

え?

一緒の現場だな

あ… そ… そう… だね

(平良) 気持ちがわき上がってくる

バカげてる こんなの

苦(にが)くて酸(す)っぱい嫉妬(しっと)の感情

分かってる かなわないって

あんな写真は俺には撮れない

きっと 俺より 清居をきれいに

でも 誰よりも 俺こそが 清居を一番 美しく…

(清居)痛い…

だ… 大丈夫?

大丈夫

ほんとに?

大丈夫だから

続き やれよ

俺

病院に行ったほうが いいかもしれない

は? 何 言ってんの?

(鳥のさえずり)

よし

(菅)今日は よろしく お願いいたします!

(清居)よろしくお願いします

(菅)お願いします

(野口)清居 奏君

(清居)はい

きれいな顔してんね

(清居)ありがとうございます

(野口)安奈と同じドラマ 出てるんだよね

(菅)そうなんです

あっ 安奈の写真 すごかったです

(スマホの着信音)

(スマホの着信音)

もう社長もね 感動しちゃって

(スマホの着信音)

(野口)そりゃ よかった (香田)電話…

(スマホの着信音が続く)

(スマホの着信音が続く)

(菅)あぁ… (野口)どうぞ どうぞ

(スマホの着信音が続く)

(スマホの着信音が続く)

(菅)すいません

(スマホの着信音が続く)

(菅)はいはい うん

(野口)始めよっか (清居)はい

(香田)準備 大丈夫です (野口)うん

(シャッター音) (野口)はい

(野口)うん はい いいね (シャッター音)

(シャッター音) (野口)はい

最後 こっち見て うん はい

(シャッター音) (野口)はい

オッケー お疲れさま

ありがとうございます (香田)お疲れさまです

もらいます

あの アシスタントの平良って…

(野口)え? (香田)今日は休みです

大学もあるんで

(清居)あ…

何? 平良と知り合いなの?

高校の同級生で

へぇ それで友達? なんか接点なさそうだけど

まぁ 接点は特に

(野口)まぁ 高校じゃ 特に そうだよなぁ

狭い箱の中に

科も属も種(しゅ)も違う動植物が いっぺんに詰め込まれるって

未発達な生きもんの 育成環境にしては

ヘビーだよな

まぁ でも平良は 羊の皮をかぶった王様だから

そうミスマッチでもないのか

(野口)んっ (清居)ありがとうございます

(野口)うん

ん?

いや 分かるんだなって

分かるよ

気弱そうに見えて 我(が)が強い

自分の中に 誰にも 触れられたくない場所があって

そこを荒らされると とたんに牙(きば)むくタイプ

誰にも触れられたくない場所…

まぁ 自分の中に聖域(せいいき)を 持ってるクリエイターは強い

それを 邪魔な足枷(あしかせ)にしちまうか

自分の売りにできるかは 本人次第だけど

あの

あいつ 野村伊兵衛賞 取れそうですか?

(野口)は? (香田)フフ…

(清居)え? (香田)いや…

その質問は “学生映画で アカデミー賞取れますか?”

って聞いてるのと同じです

じゃあ 可能性は 0(ゼロ)じゃないってことですよね

(野口たちの笑い声)

面白い 平良はいい友達 持ったわ

(香田)はい

友達じゃ… ないですけど

(野口)でも まぁ

撮りたいものがありません っていう状態じゃあな

え…

(野口)分かんなくなったって

まぁ よくあるよね

へぇ そうなんですか…

(菅)あぁ すいません すいません

清居君 ちょっと…

(野口)このあと ドラマの撮影 入ってるんでしたっけ?

(香田)あっ じゃあ そろそろバラしを

いや! その撮影が… ねっ

(雷鳴)

(スタッフ)いや 主役いないと… 今日 押したら間に合わないよ

(雷鳴)

(設楽)あれ? なんで始まんないんだろ

(ファン)えっ! え!?

待って待って 見て見て (ファンたち)え!

ネットニュース! ネットニュース!

(ファンたち)うーわ… 安奈が?

(ファン)よりによって なんで あの事務所のアイドルに⸺

手 出すかなぁ

てか 桐谷(きりや)君って 幼なじみの彼女いたよね?

(ファン)最悪じゃん

うーわ

(パン姐さん) 皆さん やめましょう

(ファン)パン姐さん

今 考えなくてはいけないのは

安奈さんと同じ事務所の 清居君のことです

清居君に 飛び火しないように

私たちも むやみに 騒ぎ立ててはいけません

でも 安奈さんのせいで

清居君の仕事にも 影響 出るんじゃ

撮影も始まらないし

それでも騒いではいけません

息を潜(ひそ)め 身を潜めるのです

静観し 見守る

清居君のために

これが今 ファンである 私たちに できることです

安奈さんへの言及も 避けましょう

カメラの前以外では 彼女も私たちと同じです

(ファン)そうですよね

私たちと同じ 普通の女の子ですもんね

(設楽)普通の女の子?

普通の女の子

あ あの み… 見ないほうが

なんで?

いや だって き… 傷つくから

僕のことは どうでもいいんだよ

し… 設楽さん

安奈 大丈夫かな

(スマホのバイブ音)

(菅)あぁ 菅でございます ええ すいません

明日の時間ですよね

ええ まっ 今日中に お伝えできるかと…

あ… お伝えします ええ ええ

すいません 事務所の回線 パンクしちゃってて

すいません 事務所の回線 パンクしちゃってて

(ドアの開閉音)

(ドアの開閉音)

すいません ええ

(ドアの開閉音)

(清居)なんか食べた?

食べたほうがいい ルームサービスとか

(安奈)ごめんね

せっかく来てくれたのに こんなんで

こんな時に 余計な気 遣うなよ

(安奈)事務所のみんなにまで 迷惑かけちゃって

迷惑なんかじゃない

みんな 安奈を心配してる

桐谷さんとは…

会えた?

今 向こう 24時間態勢で マネージャー張ってて

絶対に別れさせるって

桐谷君…

結婚雑誌とか

家電のCMやってるしね

いや 不倫じゃないんだし

付き合ったの…

前の彼女と 別れてからだしね

じゃあ 問題な…

ごめん

イメージが全てだから

これはもう

私と桐谷君の 問題じゃないと思う

(ドアが開く音) (菅)はい

失礼いたします ええ

ハァ…

じゃあ清居君 そろそろ

これ 安奈さんの好きな フルーツね

ちゃんと食べてね

じゃあ行くよ

ほら 行くよ

(ドアが閉まる音)

(菅)車 回すから 待ってて

(清居)はい

(玄関の引き戸の開閉音)

ただいま

おかえり

(平良)しばらく ドラマの撮影は中止?

安奈 人前に出れる状態じゃない

(平良)あ… そ… そんなに?

1本 広告 飛んだし

主演する映画の話も 止まってる

やっぱり そういうのあるんだ

想像してみろ

恋愛も仕事も いっぺんに 失いかけてんだぞ

お前でいうと 大学 退学になって

野口さんのとこも クビになって

俺と別れる瀬戸際(せとぎわ)って状況だ

騒ぎが落ち着いたら 仕事は戻るだろうけど

問題は恋愛のほうだ

(平良)え?

前から ずっと悩んでた

あのまま一人にしておいたら メンタルが…

しばらく うちに来てもらうのは?

は? 安奈と暮らすのか?

あ いや 俺たちは外に出て

ここに 一人にするんじゃ なんも変わんな…

菜穂ちゃん

は?

菜穂ちゃんに頼もう

いや 確かに いい人そうだったけど

もし万が一 漏(も)れたら…

菜穂ちゃん 口 堅(かた)いし マスコミ 大っ嫌いだから

(清居)え?

最近 不倫疑惑で週刊誌に 載った議員いるでしょ

(清居)うん

あの人 菜穂ちゃんの旦那さん

えっ?

(安奈)お邪魔します

よろしくお願いします

あっ はい

(菜穂) 安奈さん ゆっくりしてってね

智也(ともや) ご挨拶は?

(智也)ドラマ見たよ

(清居)なんだ 智也 安奈に ときめいてんのか?

(智也)もー うるさい 清居! んー!

(清居)こらっ

(安奈)ハァ…

清居君 ありがとね

別に こいつのアイデアだし

平良君

本当にありがとう

(平良)あ…

(安奈)私 あのまま ホテルにいたら

おかしくなってた

平良君みたいな 頼りがいのある彼氏がいて

羨ましいよ

だまされんな

普段のこいつは タチの悪いキモうざだ

(安奈)ちょっと…

あっ いや だ… 大丈夫です

あの 高校の時から ずっと言われてたので

(安奈)フフッ

えっ な… なんですか?

いや だって

すごいニコニコで話すから

あっ いや あの…

誰に言われてもいいとか そういうのじゃないですよ

あの 清居だけ

(清居)は?

清居は 特別だから

いいなぁ

私も桐谷君の特別に なりたかった

(清居)なんで過去形?

これ以上 迷惑はかけられない

でも もう状況的に…

こういう状況だからこそ… じゃないですか?

誰にも認められなくても

自分の中に 輝く星が1つあれば

生きていける

(安奈)星?

それが消えた時が 本当の終わりです

まぁ

俺は死に物狂いで それを守る

あ… 俺はですよ

あの その… あの… なんか

で で… 出しゃばって すいません

平良君の輝く星って何?

清居です

清居がいてくれたら

俺は世界中から 石を投げられてもいい

(菜穂)カズ君 智也! ちょっと 手 貸して

(智也)はーい! (平良)あ… うん!

すごい彼氏だね

キモいだろ

(安奈)うん (清居)おい

(安奈)ごめん ごめん

でも なんか

響いたな

“自分の中に 輝く星が1つあれば…”

(清居)もう出れそう?

(平良)うん もうちょっと

(清居)うん

ホテル どうすっかなぁ

撮影再開まで まだ ちょっと かかりそうだし

やっぱ野口さんのスタジオ 近いとこで

あっ 清居の 暮らしやすい所でいいよ

(清居)あのさ (平良)ん?

お前には 話し合いとか そういう意識ねぇのか

あぁ… 俺は しばらく 野口さんの所においてもらうよ

は?

(平良)うん

え… それは 仕事が忙しいから?

あぁ… まぁ それもあるんだけど

清居に迷惑をかけたくない

安奈さんのことがあってから

清居も気をつけなきゃいけないって パン姐さんが言ってた

あ… そうか

(平良)大事な時期に 清居の足を引っ張りたくないし

俺は 清居の 一番のファンだから

最悪

(平良)え?

なんで怒ってるの?

俺 なんか変なこと言った?

別に

お前の宇宙との交信による 発想の飛躍(ひやく)には怒ってねぇ

てか もう慣れた

じゃあ… なんで?

お前は俺のファンなのか?

(平良)うん

彼氏だろ?

そうだけど

さっきの言葉は なんだったんだ

俺がいてくれりゃ それだけでいいって

言ってたのはウソなのか!

ウソじゃない!

いてくれたらいい っていうのは そばにっていう意味じゃなくて

地球のどこかに存在して くれてたらいいっていう意味

そりゃ そばにいてくれたら 幸せだけど

でも いてくれなくたって

消えるわけじゃないから

確かにな

今は離れたほうが いいかもっていう

お前の理屈は 理解できなくはない

よかった

(清居)でも 1つ聞いていいか?

お前 本当に俺のこと好きなの?

好きだよ

でも 抑えられる“好き”なんだろ?

お前 変わった

えっ

俺のために

無我夢中で 城田(しろた)に殴りかかったお前は

もう いないのか?

ごめん

やっぱ俺 変だわ

(平良)清居!

撮りたいもん なくなったんだろ?

野口さんから聞いた

(遠ざかる足音)

(平良)ハァ…

本当に 清居が星だったらよかったのに

互いの釣り合いも 芸能界のしがらみも

野村伊兵衛賞も 関係ない超空間

そんな宇宙で 出会えていれば…

ハァ…

(野口)おい… おい!

おい! (平良)あ… はい

(野口)ラーメン食べたいっ!

(平良)あ… はい!

(野口)ん… フフフッ

んー

うん うまい

(平良)そ… そうですか

(野口)何 ふてくされてる

師匠を空腹から守るのも アシスタントの務めだぞ

(平良)いや… それは どちらかというと

親とかパートナーの 守備範囲だと思いますけど

アホか

親や恋人に ふんぞり返って “メシ”とか言ってたら

鍋が飛んでくるわ

だから 圧倒的権力差のある

アシスタントに 作ってもらうしかない

お前も食え

(平良)いただきます (野口)うん

あの書き込み 消えちゃったんだよなぁ

野村伊兵衛賞 取りたい大学生の

恥ずかしくて耐えられなく なったんだと思います

恥なんて 若い時に死ぬほど かいとくもんだと思うけどなぁ

お前も 全く 写真見てくれとは言わないね

さ… 最近 撮ってないんで

“撮りたいものは ありません” だからか

お… 俺より うまく撮れる人がいるから

なのに諦めきれないんです

抑えなきゃって分かってるのに

じ… 自分が浅はかで 傲慢で恥ずかしいです

それを 恋という

(平良)え?

とことん惚(ほ)れる対象に 出会うと

自分に うまく 写しきれるかどうか怖いよな

人でも 動物でも 風景でも

自信がないんだろ?

あ… いや

(野口)自信がついたら 撮りたいんだろ?

そ そんな… そんなんじゃなくて

そ そ… その お 俺は… あ あの…

撮りたい

撮りたいに決まってんだろ!

…って 目が言ってるけどね

そういう思い込みの激しさも

若いクリエイターには ありがちで まぶしいねぇ

かっ か… 勘弁してくださいよ

俺も昔は そうだった

やたら自信満々で

目に見えてるもん 全てが つまんなくて

“お前ら 全部 価値がない 消えちまえ”って

いつも怒ってた

全然 違うと思いますけどね

自信がありすぎるのと 自信がなさすぎるのは

肥大(ひだい)した自意識の表(あらわ)れ っていう意味で

同じ紙の裏表(うらおもて)なんだよ

何かのきっかけで 簡単に ひるがえる

野口さんも そういうこと あったんですか?

忘れた

ごちそうさん

あーあ… 野村伊兵衛大学生の書き込み

スクショ とっときゃよかったなぁ

若いって無敵だよな

ほんと バカですよね

(野口)あぁ

俺が失(な)くして 二度とは取り戻せないもんだ

えっ マジで?

ど… どうしたんですか?

(野口)あぁ こないだ撮った若手俳優

あっ お前の知り合いの

清居? (野口)うん

(菅)ハァ…

(山形)記事を止められなくて 本当にすまない

(清居)いや 俺が甘かったです

完全に 火消しに使われたんだと思う

こっちに目を向けさせて 桐谷君との関係は誤解だと

テレビでは 桐谷さんの名前 全く触れてないですもんね

(菅)これ ひどすぎますよ!

でも 僕も向こうの 事務所の立場なら

桐谷君を守るために 本気になる

いや そりゃそうですよ

でも それ 相手の立場の話 じゃないですか 僕ら…

桐谷さんは!

それでいいって 思ってるんですかね

(山形)ハァ… それは分からないけど

(平良)ハァ… (足音)

(野口)俺 お祓(はら)い 行ったほうがいいのか?

(平良)え?

(野口)ハァ…

安奈 清居 奏

で 明日は桐谷恵介(けいすけ)の撮影

ハァ…

なんか 三角関係の中心に 置かれてるみたいで嫌なんだけど

の… 野口さん

(野口)はあ?

お願いがあります

(平良)あっ あの…

(野口)やだ

(平良)ちょ… あっ ちょ… まだ何も言ってないです

なんか面倒くさそうだから 聞きたくない

それに 一方的に お願い聞くじゃ 俺が損だろ

あっ ラーメンは アシスタントの仕事だからな

(平良)野口さん…

じゃあ 俺を笑わせてみろ

(平良)え…

今 ここで 俺が爆笑するような 面白いこと言えたら

お前の願い 叶(かな)えてやる

無理だよな お前 平良だもんな

はい! この話 終わり

野村伊兵衛賞を狙ってる 面白い大学生

(野口)あ?

俺です

マジで?

(平良)はい

あれ お… お前?

はい

(野口)フッ… フフフ

ハハハハッ

ちょ… ハハハッ! ちょっと待って ちょっと待って

どんなに好きって言ってても 一瞬で嫌いになれる

まぁ

そんなもんか

(スマホのバイブ音)

ハァ…

(近づく足音)

(マネージャー) どうして撮影に立ち会っては

いけないんですか?

(野口)いや…

少しだけ 桐谷君と2人で 話がしたいんです

写真っていうのは 表面だけを撮るわけじゃない

内部 心の奥まで 写し出してこそ本物でしょ?

(マネージャー)そうですけど 今まで野口さん

そんなリクエスト なかったじゃないですか

(桐谷)野口さんの 言うとおりにしよう

俺がどうしても 今…

野口さんに撮ってほしいって 頼んだんだから

分かりました

(桐谷)今日は無理 言って 申し訳ありません

よろしくお願いします

いや 俺も 桐谷君 久しぶりに撮りたかったから

でも なんで 今の自分 撮ってほしかったの?

まぁ いいや 撮ったら分かるし

(鍵をかける音)

(桐谷)厳重ですね

(野口)絶対に 驚いた声 出さないで

いい?

(桐谷)はい

実は 君に会いたいって人が ここに来てる

君が一番会いたい人だったら いいんだけど

えっ?

は?

あっ… 違います 違います こっちです

(足音)

桐谷君

(桐谷)会いたかった

ごめん

ほんとに ごめん…

事務所と話し合いをしてる

俺は

絶対に別れるつもりないから

それが 許されないことだったら

俺は芸能界を辞める

そんな… ダメだよ

どうしても

諦めきれない

私もだよ

でも辞めるのは違う

桐谷君が好きだよ

でも お芝居も好き

わがままで ごめん

でも さっき 言ってくれた言葉で 私

生きていける

桐谷君は

私の星だから

(近づく足音)

なんか手伝うか?

(平良)ううん 大丈夫

そう

(平良)もらえた言葉だけで 生きていける

強がりだろ

お互いがお互いを 思い合うから 苦しい

でも 離れられない

清居

(清居)ん?

話したい

(清居) いつもの場所で待ってる

(男性)清居 奏君だよね?

(強打する音)

え… ちょっ…

(設楽)起きた?

無視しないでよ

スマホ借りたよ 安奈に電話したんだ

安奈とは そんなんじゃねぇ

ただの友達だよ

は?

ホテルの同じ部屋に 一緒にいたのに?

(清居)話してただけだ

お決まりの言い訳だ

(清居)言い訳じゃねぇよ

どっちにしても お前はダメ!

なんで お前みたいな 三流役者が安奈に近づく

安奈を信じてた 信じようと思ってた

桐谷までは許せたんだ

頭 空(から)っぽのアイドルが 相手ってことで

がっかりだったけど

安奈は 10代の頃から 仕事一筋(ひとすじ)で

息抜きも必要だと思った

僕たちファンが 支えてやらなきゃって思った

なのに!

(清居)うっ!

(設楽)今度は若い 顔だけの

チャラチャラした新人と 密会だ!

ファンの声なんて 届いちゃいない

だから 分からせなきゃダメなんだ

安奈に直接 伝えないと

狂ってんな

お前には 分かんないだろうな!

ほとんどのバカには 分かんない

いや

彼には分かるかもな

お前のファンだよ

不審君!

(清居)は?

彼は 僕と同じだから

(スマホのバイブ音)

(平良)もしもし

安奈さん?

清居は なんか あったんですか?

(地響きのような音)

(清居)お前と あいつを 一緒にすんな

どうしようもないぐらい まっすぐで

自分のことなんか

どうでもいいくらい 俺のことしか見てなくて

お前より あいつのほうが狂ってる!

なんだよ その目

バカにしてんのかよ!

だから その目やめろって!

(清居)平良…

うわぁぁぁっ!

(殴る音) (清居)平良!

(平良)うわぁぁ!

平良!

(清居)おい 平良! (平良)うわぁぁ! あぁ!

(清居)平良!

(平良)あぁ! あぁ!

(清居)平良!

平良ー!

(荒い息)

清居?

(設楽のうめき声)

(平良)だ… 大丈夫?

(清居)遅(おせ)ぇよ

(平良)あの… すぐ ほどくから

(設楽)平良君なら 分かってくれるだろ?

安奈だけが…

(せき)

僕の存在証明なんだ

相手を思いどおりに 動かしたいと思ったら

それは もうファンじゃない

俺は清居がこの世に存在してくれれば それでいい

証明なんか しなくていい

(設楽)もういい…

安奈も 清居 奏も

桐谷恵介も

みんな殺してやる

清居に手を出したら

俺がお前を殺してやるよ

行こう 清居

(清居)うん…

(平良)清居 早く

外に逃げて

(清居)お前も 一緒に (平良)いいから早く

(平良)清居 早く

(清居)ダメだって (平良)うるせぇ! 早く行けよ!

(設楽)あっ…

あぁぁ!

あっ…

(設楽)おぉー!

(殴る音)

清居

清居

(設楽)おぉー!

(平良)俺は 天国に いるのかもしれない

それくらい 幸せな夢を見た

清居…

清居

(平良)清居は

まるで子供みたいに 泣きじゃくっていて

その顔は ゆがんでいて ぐしゃぐしゃで

(清居)平良!

(平良)だけど…

平良! 平良!

(平良)だけど…

平良! 平良!

(平良)死ぬほど 美しかった

(泣き叫ぶ声)

(山形)救急車 来たから! (清居)放せよ!

(山形)大丈夫だから!

(清居)俺は…

お前がいないと…

放せって!

(平良)俺に 自分のそばにいろと 言ってくれていた

なんというご褒美だろう

(泣きじゃくる声)

(平良)このまま昇天(しょうてん)しても 構わない

(平良)が… 神は

“まだ お前はキングに 仕(つか)える責務がある”

…と 俺を現実に帰した

(菜穂)カズ君!

(平良)菜穂ちゃん

お… 俺

なんで…

突き飛ばされた時に 頭 打ったんだろうって

あっ き… 清居は?

大丈夫だから 安心して 安静に

清居君も さっきまで ずっと いてくれてたんだよ

あぁ…

相手の… 犯人も生きてるよ

(平良)え…

(菜穂)自分で自分 間違って刺してたんだって

まぬけだよね

そ… そっか

カズ君

あの家で 清居君と一緒に 住んでるんでしょ?

え?

私たちの住む家は ほかで探すから

清居君と一緒にいてあげて

菜穂ちゃん

清居君 泣いてた

一緒にいたいって

(智也)清居 言ってたよ

カズ君は清居のお友達か って聞いたら

違うって

それよりも ずっと大切なやつだって

(アヒル隊長)キュ!

(山形)皮肉なもんだねぇ

あの事件以降

安奈に対しても 清居君に対しても

バッシングは相当 沈静化(ちんせいか)

(菅)まぁ あれだけ毎日 ニュースで流れたら

(山形)熱愛騒動を発端(ほったん)に

狂信的(きょうしんてき)なファンが起こした 拉致(らち)監禁

無責任なマスコミも さすがに責任 感じるよねぇ

あの 安奈 大丈夫ですか?

(菅)落ち込んでるよ そりゃ 自分のファンだもん

復帰も まだ めど立たないんですよね

それが

桐谷君の事務所から 連絡がありましたぁ

手打ちの方向 考えましょうって

(清居)え…

まさか 写真で 発表するとは思わなかった

はい

でも これで 正解だと思います

(シャッター音)

(野口)あぁ いいね

(平良)これを見たら 何も言えない

(シャッター音)

(シャッター音)

(シャッター音)

(清居)おはようございます

(野口)おっ ちょうどよかった 清居君も入って

(清居)え? 俺は 社長に 見学に来いって言われて

(野口)いいから

誤解は すぐに解(と)けたほうが いいだろ ほら

(安奈)ほら 早く (清居)あっ はい

(清居)失礼します (桐谷)はい

(野口)はい いくよ (安奈)お願いします

(桐谷)お願いします (清居)お願いします

(シャッター音) (野口)はい

(野口)清居君 笑顔 笑顔 はい

(安奈)笑ってる?

(清居)笑ってますよ (安奈)きよ“いー”だよ

(桐谷)きよ“いー” (清居)きよ“いー”

(野口)1回 チェックさせて

(安奈たち)はい

(野口)なんで俺を にらむ?

あっ… す… すいません

お前

マジで 野村伊兵衛賞 狙ってんの?

忘れてください

だったら まずは写真集 出せ

それか個展だな

つうわけで モタモタしてる時間はない

今日 お前も 何枚か撮ってみろ

えっ!

よし 決まりな

大丈夫 俺はお前のベストアンサーだ

ちょ… い… 意味が分かんないです

ていうか 俺 む… 無理です!

お前

チャンスっていう言葉 知ってるか?

知ってますよ 知ってますけど

でも その… 俺は…

その…

俺は

(野口)桐谷君と安奈の 2ショットはオッケー

(安奈)オッケー ありがとうございます

(野口)お疲れさま (安奈・桐谷)お疲れさまです

(平良)お疲れさまでした (安奈)お疲れさまです

じゃあ 清居君 入って

(清居)はい

(野口)ほら

(平良)ご ご… ごめんなさい

やっぱり 俺 ちょっと む… 無理です

(清居)撮れよ!

早く

撮れ

(平良)あぁ ダメだ

逆(さか)らえない

野口さんより きれいに撮れよ

当たり前だよ

(シャッター音)

(シャッター音が続く)

(平良)こっち見て

(平良)そうか 答えは ここにあった

キングに かしずく臣下(しんか)の俺

レンズを通し

俺は別の世界から 清居を見つめる

(平良)今 何考えてる?

(清居)ナイショ

(シャッター音)

(平良)振り返って! (シャッター音)

(シャッター音が続く)

こっちは?

(平良) それ 口にくわえられる?

やばい…

(平良)孤立無援

絶体絶命の俺の原点

恍惚(こうこつ)の時間

(平良)うん きれいだ いいよ

(シャッター音が続く)

(平良)きれいだ

(菅)幸せな雰囲気が 伝わってくる

(山形)野口っちゃん さすが

(野口)どうも (菅)すごーい

(菅)えっ?

これ あの アシスタントの 彼が撮ったやつですかね?

えっ 全然 雰囲気 違う

(山形)うん

でも 清居君 こんな顔するんだ

(小山)なんか 振り返ってみると あっという間だった気がするな

(平良)うん

卒業式も あっけなかったしね

もう ここに 来ることないって思うと

変な感じ

(平良)うん

(小山)平良

平良に会えてよかった

俺も

小山に会えてよかったよ

じゃあね

うん

(息を吹く音)

(シャッター音)

来たな ストーカー

卒業 おめでとう

(平良)ありがとう

(シャッター音)

(清居)あん時さぁ

なんで桐谷さんと安奈の写真 撮らなかったの?

撮ればよかったのに

(平良)あぁ… 野口さんにお願いした

(清居)なんて?

(平良)俺は清居が撮りたいって

(清居)は? お前 バカか?

(平良)知ってる

でも…

俺は清居 奏だけが撮りたい

(シャッター音)

美しい清居を 俺が誰よりも美しく撮る

キモ

(平良)清居

(清居)ん?

行きたい所がある

(清居)ん? おい ちょ ちょ…

待て 平良!

待て!

どこ行くんだよ!

おい!

(清居)おい! (平良)ハァ… 早く

(清居)はあ?

(平良の荒い息)

(清居)お前 マジかよ

(平良)大丈夫だって 早く

(清居)変なとこで 度胸あるよな お前

ちょ… きっつ

(シャッター音)

(清居)おー

懐かしい

(シャッター音)

(鳴り響く鐘の音)

(清居)ここだっけ?

(平良)うん

(シャッター音) (清居)なんかなぁ

(平良)ん?

(清居)いや 制服じゃねぇし

それに ちょっと老けた気するし

いいのか? こんな写真

(平良)きれいだよ

どんな清居でも きれいだ 一番だ

(清居)後悔すんぞ

時間は 止めらんねぇんだからな

(カメラを置く音)

どんな姿になっても 何があっても

清居は俺にとって 誰よりも美しい

後悔なんかしない

だったら

そばにいろ

(平良)うん

絶対 離れんな

(平良)うん

ずっと一緒にいる

好きだ 清居

一生 そばに いさせてください

許す

(教師) おい! お前ら何やって…

平良? 清居?

ヤベ

行こう

(平良)すれ違い 追いかけて 逃げて

でも諦められなかった

そんな人と 今 手をつないで

同じ方向に走ってる

(平良)契約はない

将来 何があるか分からない

でも 絶対に離さない

(平良)何があっても

嵐に巻き込まれ 離ればなれになったとしても

何度だって俺は 清居を捜して

何度だって恋をする

それが俺の

永遠(えいえん)だ

(静かな水のせせらぎ)

(鳥のさえずり)

(清居)俺

すっげぇ お前のこと好きみたい

(平良)清居

(平良)春 夏 秋 冬

どれだけ 時が巡り

晴れの日があっても 雨の日があっても

俺は

一生 清居のそばにいる

最高のキング

いや

俺の 俺だけの…

美しい彼

♪~

~♪

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