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黒猫 あの頃俺は幼馴染みの女の子そう呼んでいた
なあ 本当に宇宙人を見たのか
うん
そして10年前のあの日 俺は取り返しのつかない間違いを
2つ犯したんだ
1つ目の間違いは あそこで引き返さなかったこと
うわっ 龍太!
そして2つ目の間違い
あの時どうして俺はあいつの 黒猫の手を握ってしまったんだろう
あの日以来俺は一人で 毎日夜空を見上げている
黒猫 もう一度お前に会いたい
高校2年になった俺の目標は NASAの研究員になることだ
宇宙に一番近い場所で 黒猫の代わりに宇宙人の存在を証明する
それが俺なりの黒猫への罪滅ぼしだった
なあ なんでそんなに宇宙人を信じてるの
信じないから言わない
信じるよ 黒猫の言うことなら
だって私会ったことがあるから 宇宙人に
えっ
宇宙人のいる場所だって知ってるし
だったらそこに連れてってよ
わかった
えっ
その場所のこと絶対に誰にも言わないなら
俺は黒猫といつも一緒に遊んでいた
俺は黒猫のことが大好きで
彼女のことなら何でも知ってるつもりだった
でも宇宙人の話は初めてで 信じることができなかったんだ
この先よ 宇宙人がいるのは
見たら絶対に信じて
そしてあの事故が起きてしまった
えっ
龍太
気が付いた時には病院にいた
俺は奇跡的に助かったのだ
黒猫も他の病院で無事だと聞かされた
一体黒猫に何て言って謝れば 許してもらえるのか
一緒に宇宙人の存在を証明すれば
少しは機嫌を直してくれるだろうか
入院している間 そんなことばかり考えていた
そして退院の日 本当のことを聞かされたんだ
黒猫はダムから落ちて すぐに死んでいたってことを
おかしな話だが 俺はあの子の名前を知らない
覚えているのは脇の下にあったホクロと
そしてあいつを黒猫と呼んでいたことだけ
おはよう
おはよう
おい 見たか 村上
何を
こないだの全国模試の結果
2年生の中じゃお前がトップだったんだぞ
でも高校生全体じゃ3位だ まだまだだよ
そんなことないって
学年トップなんだから 村上君はすごいよ
ありがとう
こじわけさん
ぞっけないのね
相変わらず村上は女子に冷たいな
まったく
別に冷たいわけじゃない ただ苦手なだけだ
おーい ホームルーム始めるぞ 早く席につけ
今日は転入生を紹介する
転入生 珍しいな
編入には相当難しい試験があるのに
黒歯猫さんだ
黒歯猫
みんな仲良く
どうしたんだ 村上
似てる 少し雰囲気は変わったけど
こいつ黒猫じゃないのか
そうだ 俺は彼女の死体を見たわけじゃない
死んだという話を聞かされただけだ
まさか
生きていたのか
あなたとは今初めて会ったはずだけど
違う 小さい頃の話で覚えていないかもしれないが
お前は俺と昔会っていたんだ
昔
俺にはそれを証明することができる
何を言っているか分からない
いいから 詰め込め言わずに脇の下を見せろ
脇の下って
おいおい マジかよ
村上君 勉強のしすぎでおかしくなったのかしら
あんな人じゃないと思ってたのに
ねえねえ黒歯さん その制服かわいいね
前の学校の?
オリジナル
オリジナル?
やっぱり人違いなのか
今日のプールの授業は 清水の練習をするわよ
遊びじゃないから気をつけてね
はい
おい見ろよ
ああめちゃめちゃスタイルいいな
本当にこの世にいたんだな
あんなに美しい高校生が
この学校は勉強しか興味がない女ばっかりだったからな
しっかり黒歯さん 足は届くわよ
おい見ろよ
ああなんていいアングルだ
こうなったらうっかりおよそ追い
女子側に潜水しておっぱいを触るべきか
まんま犯罪者じゃないか
次の班準備はできた?
はい
それじゃあ潜水開始
キャー 柏木さん
どうしたの
先生柏木さんの足が水口に吸い込まれて抜けなくて
息ができません
ポンプを止めるように行ってきて
はい
わかってた
今日この学校の生徒が二人
だめ間に合わない
死ぬこと
中に
赤柏木さんしっかり
先生
よかった柏木さん大丈夫しっかりして
もうだめかと思ったよ
運が良かったんだな
プールサイドが壊れたせいで
吸水管が塞がったんだから
確かにこんなことは滅多に起こるもんじゃない
しかもこのタイミングで
本当に運が良かったとしか言えないな
こんな日は星でも見て
気分を落ち着かせるのが一番だな
やっぱり頭から離れない
黒歯が黒猫のはずないのに
あいつはもう死んだんだ
それなのに
諦めても諦めても
まだ息苦しい
10年も経っているのに
認めたくないんだ
いっそ黒猫との思い出なんか
全部消えてしまえばいいのに
お前どうしてここに
ここは星を見る場所なの
ああ
昔アポロとかが月に行った頃
天文ブームがあったらしくてさ
その時の流行で建てられた
古い天文台なんだ
けど今はもう天文部の部員は俺一人
去年までは先輩もいたんだけど
来年も新入部員が入らなければ
敗部だろうな
あ
すまなかった
お前が幼馴染にそっくりだったんだ
それでホームルームで
変なことを言ってしまった
幼馴染?
ああ
宇宙人の存在を信じている
変わった子だった
だけど
俺のせいで死んでしまったんだ
それで俺は
その子の代わりに宇宙人を探すため
こうして毎日望遠鏡を覗いているんだ
一つだけはっきりさせておくわ
私はあなたの幼馴染じゃないし
あなたのことも一切知らない
初めて会ったのよ
そんなことはわかってる
だけど
だったら何しにここへ来たんだ
あなたに伝えておくことがあったから
今日この学校で生徒が二人死ぬの
は?
一人はプールで死ぬことになっていたけど
助かった
おい
お前何を言ってるんだ
そしてもう一人死ぬことになっているのは
あなたよ
俺が死ぬって
どういうことなんだよ
次の最終バスが出るのが
20時20分
ああ
いつも乗ってる時間のバスだ
絶対そのバスに乗り遅れないで
もしバスに乗れなかったら
あなたは死ぬことになる
そんな予言みたいなことを信じろっていうのか
何でもいいから乗り遅れないで
まあお前に言われなくても最終バスには乗るさ
乗らなきゃうちに帰れないからな
そう
よかった
それじゃあ私を
星座って全部でいくつあるの
ああ
それは古い時代の星座で
リストが下にあるだろう
これね
1、2、3
そんな数え方しなくても
6列が8段で48個だ
すごいね
めちゃくちゃ計算早い
お前バカにしてんのか
九九ですぐにわかるだろうが
九九って何
は?
え?
お前九九を知らないわけないだろう
習うの承認だぞ
当然知ってるわよ
九九でしょ九九
私はあの苦味がちょっと嫌いなだけで
二人が
え?
九九知ってるなら当然答えられるだろう
二人が
え?えっと
二人が
桃が
蜂に
刺される
葉っぱ
青臭い
なんで九九もわからない奴が
この学校に変入できたんだ
うるさいうるさいうるさい
いろいろと方法があるのよ方法が
方法?
まあいいわ
ここは100歩譲って
あなたの方が少し賢いとしても
腕力だったら
私の方が圧倒的に上よ
は?
何かスポーツでもやっていたのか
え?別に
ったく
なんなんだこいつ
適当なことばっかり言って
俺が何も鍛えていない女に負けるわけがない
来い
腕相撲してやる
いいわよ
いくぞ
いち
にーの
さっ
なっ
いったー
ごめんなさい
力の調節うまくできなくて
ちょっと腕見せてみろ
特に筋肉がついているわけじゃない
むしろ華奢だ
何赤くなってんだ
こんな風に誰かに触られたことないからよ
ドキドキするでしょ
は?
変なこと考えるなよ
こいつよく見てみると
結構可愛いんじゃないのか
そりゃそうか
黒猫にそっくりだし
俺の好みど真ん中なんだ
もういいでしょ
いや良くない
お前ちょっと力コブ作ってみろ
え?
力コブ?
ああやってみてくれ
それで限界か
何で俺がこんなプニプニのやつに負けるんだ
知らないわよ
あんたが弱いだけでしょ
CQCQ
あ、私どうぞ
何でアマチュア無線
予知は変わったけど今度はもっとダメ
どうぞ
バスに乗っても乗り遅れてもダメなら
やっぱりこの人には死んでもらうしかないってこと?
どうぞ
ああそういうこと
分かった伝えておくオーバー
やっぱりあなたバスに乗り遅れていいわ
おい今のは何の話だ
乗り遅れてって言うよりここから外に出ないで
は?
最終バスに乗らなければどうせ帰れないんだから
今日はここに泊まりなさい
いいわね
忠告したから絶対に信じて
見たら絶対に信じて
あいつの話が全部本当だと仮定してみるか
バスの乗り降りで
俺が死んだり助かったりするということは
なるほどね
もし予知が本当なら
そろそろこの辺りに雨が降るってわけだ
なんてな
今日の天気予報は春
といっ
雨が降るってわけだ
本当に雨かよ
これで二人目も助けられたわ
しっかりして!
朱音さん!朱音さん!
私はもうだめだ
ねこ
これを持って
早く逃げろ
他のことは忘れてもいい
でもこれだけは
忘れるな
この世を破滅から救えるのは
お前しかいないんだ
朱音さん!朱音さん!
正直
この世を破滅から救うなんて
何のことかわからない
でも
死ぬのがわかっている人を助けることなら
私にもできる
CQCQ
えっ
そんな
言われた通りにバスには乗れなかったけど
天文台の外には出ちまった
あいつの言葉通りなら
これで俺は死ぬってわけか
俺は信じているのか
いや
信じたいんだ
たとえ命を懸けても
この目であいつの言葉を確かめたいんだ
もし本当に
バスの乗り降り程度の時間差で
生死が分かれるのなら
こんな人気のない場所で
犯罪に巻き込まれるのは考えにくい
地震みたいな広範囲の災害だと
俺以外にも死ぬ人が出そうだ
となると
もっと狭い範囲で
大雨の時に起こる災害は
突石流だ
もうすでに来た
くそ
動けない
あいつ
本当に未来を
知っていたんだ
ああ
だから帰るなんて言ったでしょ
馬鹿
なんだこいつ
岩を割った
ったく
あなたがバスに乗り遅れて
ここで死ぬことは予知で分かっていたの
だから忠告したんだけど
あなたがバスに乗り遅れない決心をした途端
予知が変わってしまった
俺がバスに乗ろうとすると
停車した分のタイムロスで
バスと一緒に
岩の下敷きになるんだろう
そのくらいは
お前の言動で想像がついた
バスが岩で潰されたら
もっとたくさんの人が死ぬ
だから今度は俺に
天文台から出るなと言った
そこまで分かってたなら
どうしてここに来たの
そんなことより
お前は一体
何者なんだ
私
私は
魔法使いよ
馬鹿言うな
あら
信じられないな
宇宙人は信じるくせに
宇宙人の存在は科学と矛盾しない
だけど魔法は
非科学的そのものじゃないか
いや
信じたくないが
魔法使いでもなければ
納得できないのも事実だ
岩が真っ二つに割れたことも
プニプニの二の腕に
腕相撲で負けたことも
しつこい
なあ
お前が本当に
魔法使いだって言うのなら
一体どうやって
その力を手に入れたんだ
手術よ
それと薬
なっ
お前それ
魔法じゃねえよ
本当は
こんな力なんて
使わずに起きたかった
研究所の人たちから逃げてきたから
魔法使いだってことは
絶対に知られたくなかったの
もう俺には
彼女が何を言っているのか
全く聞こえていなかった
本当は
心のどこかで
まだ期待していたんだ
クロハは
黒猫なんじゃないかって
でも彼女には
黒猫にあるはずの
ホクロがなかった
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