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(亜希子)次に持つのは あなたの奥さま。
(進)結婚が 嫌なんじゃなくて 玲子さんが 嫌なだけじゃないの?
(進)お誕生日 おめでとう。➡
俺が 28回目の誕生日を 今までに 見たことも➡
経験したこともない 素晴らしいものにするよ。
(沙織)ゆきは 物とかじゃないですよ。➡
心が こもってるか どうかだと 思いますよ。
♬~
♬~
(守)んっ。 うーん。
(守)いただきます。
≪(ドアの開く音) ≪(進)ただいま。 ハァ。
おはよう。
(進)あれ? スーツ。 何で? 会社に行くから。
(進)えっ? 休みなのに? 仕事したい気分なんだ。
いいだろ? (進)うん。 いいよ。➡
あー。 酒臭いぞ。
(進)ホント? 自分じゃ 分かんねえや。
(進)兄貴。 パーティー 来て 途中で 帰ったんだって? 何で?
うん。 急な打ち合わせが 入ったんだ。
(進)ふーん。 誰と? いいだろ。 誰だって。
(進)あー。 ああ…。
(進)どうして 朝帰りなのか 知りたい?
ゆきちゃんと ホテルに行ってさ。
ゆきちゃん? ああ。 春野ゆきのことか。
おめでとう。 よかったじゃないか。 念願が かなって。
本気で 言ってんの? 何が?
兄貴さ ホントのとこ どうなのよ?
ゆきちゃんのこと どう思ってんのさ?
構成力は ないな。 キャラもテーマも 弱いし。
まあ せりふは いいって 言ったけど それも➡
勢いで 書いてる感じがあって 日によって むらがある。
直しにも 結構 時間が かかると思うよ。
まあ そもそも 脚本というものは 直して何ぼの世界だから➡
彼女が 特に くせ者と いうわけでも ないけどね。
フッ。 ハァ。
まったくもって 恥ずかしい話なんだけどさ。
この年になって ちょっと マジかも。
兄貴には 悪いけど 遠慮なく いかせてもらうわ。
もう 遠慮なく いくとこまで いったんだろ?
えっ? ホテル。
ああ。 それね 嘘。 ゆきちゃんさ➡
脚本の直しが あるとかで 先に 帰っちゃってさ。
その後 みんなで ムール貝 食べに行こうって 話になって➡
ほぼ全員で 朝までコース。
ホントに ホテル 行ったと思った?
俺から見ても お前と 春野ゆきは お似合いだよ。
なぜ お似合いだと思うか 分かるか?
春野ゆきは お前の相手らしくないからだよ。
お前の相手にしては 真面目で 清潔で➡
バカじゃないし 意志が強い。
お前が 今まで 連れ込んだ どの相手とも 違う。 そこが いい。
ごちそうさまでした。 じゃあ そろそろ 俺 行くわ。
うん。
進。 何?
頑張れよ。
♬~
守です。 今から 時間 ありますか?
はい。 30分で 行きます。
(ゆき)うわぁ! (沙織)何? どうしたの?
(ゆき)いや。 思い出した。 (沙織)何を?
えっ? いや。 何でもないよ。 (沙織)何? 何よ?
いや。 昨日のパーティーの後。 うん。
専務と チュウしちゃった。
えー!? あーっ。 声 大きいよ。
で? エッチは? どうだった? よかった?
はあ? してないよ。 してないの?
うん。 してない。 ヤマタノオロチが チュウだけ?
うん。
ゆき。 それってさ 本気ってことだよ。
本気? 本気っていったって ヤマタノオロチが➡
キングギドラに なったぐらいの ことなんじゃないの?
何 それ? 首が3本ある 怪獣だよ。
3本? いやいや いやいや いや。 きっと 1本に なってるはずだね。
だって 最近 女の人と 会わないもん。
マンションで。 そうなの?
ちゃんと 付き合っちゃえば? 専務と。
えっ? 何の問題があるの?
お金持ちだし カッコイイし。
(亜希子)私が 間違っていたのね。
(亜希子)正直 ここまで あなたが 結婚が嫌だなんて➡
想像もしていなかったわ。
確かに いろんな考えの人がいて 当たり前だし➡
いろんなライフスタイルが あって いいですものね。
だから もう 無理しなくていいのよ 守。
ただし 約束は 約束ですからね。
あなたが 自分の やり方を 守るように➡
私も 自分の やり方を 守らせていただくわ。
それは あの会社を 売ること。 そういう約束だったわね。
だから もう 心配しなくていいのよ。
二度と あなたに 結婚しろなんて 言いませんから。 それじゃあ。
叔母さん。 決めました。
今まで 色々と ご心配かけて すいませんでした。
僕は 現王園 玲子さんと 結婚します。
えっ?
ただ その前に お互いのことを 知っといた方がいいと思うんです。
ですから 玲子さんと一緒に 住んでみようと思います。
あっ。 あっ。
あっ。 ごめんなさい。 うん。 大丈夫 大丈夫。
あっ。 社長。 おはようございます。 ああ。 おはよう。
うん。 あれ? どうしたの? 今日 休みの日なのに。
えっ? えっ? いや。 今日 休みでしょ?
あっ。 は… はい。 あのう。 ああ。 ありがとう。
『8月のボレロ』の直しを やろうかなと 思いまして。
あっ。 すいません。 うん。
あのう。 最近 イベント続きで 全然 できてなかったので。
あっ。 家で やるより 会社で やる方が➡
はかどるかなと 思ったんですけど 駄目でしたか?
いや。 全然。 頑張って いいもの 書いてください。
♬~
どうぞ。 失礼します。
こないだの 打ち合わせまでの 直しが できたので➡
見ていただきたいのですが。 ああ。 ありがとうございます。
じゃあ そちらの方に 置いといてください。
ああ。 はい。
あのう。 直した 箇所のことなんですけれども。
あっ。 そうそう。 ひとつ お願いしたいことが➡
あるんですけど。 打ち上げ会場を 探していただけますか?
12月頭あたりで 120人。 予算は 100万円。
お任せして いいですか? あっ。 はい。
どうしましたか? いえ。
あのう。 コーヒーでも 入れましょうか?
ああ。 お構いなく。 大丈夫です。
そうですか。 失礼します。
ああ そうだ。 えっ?
すみません。 あのう。 例の あれなんですけど。
何ですか? ネックレス。 お預かりした。
今日 持ってくるの 忘れてしまいまして。
いや。 いつでも 構いませんよ。
今度 思い出したときに 持ってきてください。
分かりました。
[TEL]
もしもし。 [TEL]もしもし。 ゆきちゃん? 元気?
あっ。 はい。 元気です。
俺はね ちょっと 二日酔い気味。 [TEL]あのう。
昨日の お祝い ありがとうございました。
どういたしまして。
あのさ 昨日のことで 話が あるんだけど➡
今から 会えないかな? えっ?
ああ…。 分かりました。
[TEL]じゃあさ 会社の近くの ロイヤルガーデンで いい?
はい。 今 会社にいるので。 会社に?
[TEL]はい。 じゃあ 30分後に。
じゃあ 30分後に。 うん。
≪(ノック) どうぞ。
失礼します。 社長。 私 ちょっと 出てきます。
いちいち 報告しなくて 大丈夫ですよ。
今日は 休日なんですから。 あっ。 いえ。
あのう。 今日中に 脚本の話が したいんです。
戻ってきますから それまでに 読んでいただけませんか?
ちょっと 厳しいかもしれないな。 今日は 忙しいから。
でも 戻ってきます。
♬~
♬~
(須美花)あっ。
(せきばらい)
待った? あっ。 いえ。 今 来たところです。
(従業員)いらっしゃいませ。
あっと。 カプチーノ。 (従業員)かしこまりました。
休日出勤? はい。
社長も いただろ? います。
ああ。 あのう。 社長 何か ちょっと 変じゃないですか?
変? 何が? 不自然に 明るいっていうか。
『8月のボレロ』の脚本 直しても すぐに 読んでくれないんです。
今までは 何よりも優先して 読んでくれていたのに。
変ですよね?
興味なくなっちゃったのかな? ゆきちゃんに?
いえ。 脚本に。 だとしたら すごいショックです。
何か 私 存在価値 なくなっちゃったような気がして。
そんな気にすること ないんじゃない?
でも…。 私 あの脚本があるから➡
キネマ・エトワールに いられるんですよね?
あの脚本が いつの間にか➡
社長の机の 引き出しの奥に 他の脚本と一緒に➡
しまわれちゃうんじゃないかと 思うと。
そのときは やっぱり 田舎に 帰るときなのかなって。
(従業員)お待たせしました。 ありがとう。
何 それ? あっ。 フフフ。
女は笑顔って 育ったもので。 どんなときでも笑ってなさいって。
春野家の教えです。 それは いい教えだね。
あの脚本もさ 信じてれば 映画化されるよ きっと。
そうだと いいんですけど。
あっ。 そうだ。
はい これ。 わぁ。 奇麗。
ありがとうございます。
でも もう 誕生日 終わっちゃいましたけど。
だって デートでしょ? デート?
俺たち 付き合ってるわけでしょ?
えっ? 私たちって 付き合ってるんですか?
♬~
♬~
《俺たち 付き合ってるわけでしょ?》
(沙織)《ちゃんと 付き合っちゃえば? 専務と》
♬~
♬~
♬~
失礼します。
♬~
やっぱり 今日 持っていけば よかったな。
(沙織)うん? 何 それ? うん…。
うおっ! ネックレス? 社長から たまたま➡
預かることになったんだけど 返さなきゃと思って。
でも なかなか 返すタイミングが ないんだよね。
このまま ゆきのものに なっちゃったりして。
もらっちゃえば? ちょっと。 何 言ってんの?
脚本は? はかどった?
うん。 あんまり。
社長と 本打ち できなかったし➡
今日 社長 何か 変だったんだよね。
何かって? うん。
今までは 優先順位の 1番は いつも 脚本だったのに➡
急に 「打ち上げ会場 探してください」なんて➡
おかしいよね。
おかしくない? いや。 考え過ぎじゃないの?
それにさ 社長が 直すようにって 言ってたとこは➡
取りあえず 直したんでしょ? それで OKなんじゃないの?
取りあえずだからね。
あの社長が あれでいいって 思ってるはずなんか ないんだよ。
それなのに 何にも言ってこない。 何なの? 何なの いったい?
うわー。 もう。 だんだん 腹 立ってきた。
ゆきってさ 社長には 怒ってばっかだよね?
えっ? そうだっけ? そうだよ。
最初っから 怒ってた気がするけど。
「脚本 けなされた」とか 「ひどい言い草だ」とか➡
「男尊女卑だ」とか 「人を 見下してる!」とか。
やっぱり 電話する。
人の都合も考えずに 自分は いつだって 電話しておきながら➡
その後 なしのつぶてって どういうことよ? ねえ?
[TEL]
[TEL]
もしもし?
[TEL]社長。 あっ。 春野ゆき。
どうして 私の携帯に 出ないんですか?
おかしいですよ。 どういうことですか?
本打ち したいんですけれど。 今から お時間 ありますか?
今日は もう 遅いから。
まだ 7時ですよ? ちょっと待ってください。
[TEL]今まで時間なんか お構いなしに 本打ち してきましたよね?
あした 話 しましょう。
[TEL](不通音) えっ? ちょっと 社長。
(須美花)あっ。 こっち こっち こっち こっち。
(川越)何よ? どうしたの? (須美花)えっ? エヘヘ。
(川越)ってか 何 酔っぱらってんだよ?
(須美花)酔っぱらってるよ。 悪い?
(川越)いや。 悪かないけどさ。➡
あっ。 すいません。 オレンジジュース 1つ。
オレンジジュースって 何? 何なの?
(川越)「何なの?」ってさ こっちの せりふだよ。➡
何で 俺がさ 貴重な休日 呼び出されてるわけ?
(須美花)結局さ 私は 意気地がない女なんだと思うの。➡
あのタイミングで➡
声 掛ける勇気が ないってことはさ➡
今 気持ちが こっちに来てないから➡
そもそも 負け戦だって 認めてるってことだと思うの。
(須美花)ああー。 すいません。 テキーラ もう1杯。
(川越)えっ? テ…。 ちょっ…。 待った 待った。➡
ねえ? 俺 何? 酔っぱらいの 愚痴を 聞きに来たってこと?
(須美花)えっ? (川越)ふざけんな。➡
すいません。 やっぱ オレンジジュース キャンセル。 俺 帰るわ。
(須美花)駄目。 ちょっ。 違う違う…。 (川越)痛い 痛い。
(須美花)違う 違う 違う。 (川越)何?
(須美花)専務の話だから。 (川越)えっ? せ… 専務の話?
(須美花)うん。 (川越)何 どうしたの?
専務さ…。 (川越)うん。
春野さんに 告ってたよ。 (川越)えー!
びっくりだよね。 (川越)ホテル 行った後に➡
告るって 新しいな。 あっ。 ちょっと それ メモっとくわ。
(須美花)ホテル まだだって 言ってたよ。
(川越)えっ。 誰が? (須美花)春野さん。
(従業員)テキーラ お待たせしました。
(川越)専務 まだ ホテル 行ってないってことか。
(須美花)ハァー。 何で あの女なの?➡
私でしょ?
もしもし。 夜分に すいません。 星野ですが。
実は 折り入って 相談がありまして。
おはようございます。 (一同)おはようございます。
おはよう。 ゆきちゃん。 ゆき? おはようございます。
(川越)春野ゆきって いい名前だよね。
冬の雪より いいと思う。 はあ。 ありがとうございます。
(川越)うん。 あー。 ごめん ごめん。 やるやる。➡
どうぞ どうぞ。
(川越)今度 さりげなく 言っといてもらえないですかね?
何ですか? あっ。 「そろそろ➡
プロデューサーとして 一本立ちさせてあげても➡
いいんじゃないでしょうか」とか。 ああ。 誰をですか?
俺だよ。 川越。 あっ。 誰にですか?
(川越)専務に 決まってるでしょ。 頼むよ ゆきちゃん。
川越。 チッ。 そっちに 寝返ったか。
(細井)何 何? 何があったの?
失礼します。
社長。 今 よろしいでしょうか?
うん。 どうぞ。
あのう。
あの脚本は もう 直しても 駄目だということが➡
分かったのであれば 言っていただけませんか?
一番 つらいのは 何も 言われないことなんです。
いえ。 そんなこと ありませんよ。
たまたま 忙しくて できないだけで。
あっ。 忙しいって どういうことですか?
うん。 急に やることが 増えちゃってね。
今までは どんなに 忙しいときでも➡
本打ちが 優先されてきましたよね?
そうでしたか? そうですよ。
今まで 散々 自分が 好きなときだけ➡
ここが 気になるだの あそこが 気になるだのって➡
場所も時間も 無視して 呼び出しておいて。
やる気がなくなっちゃった ってことですか?
脚本に 興味が なくなっちゃった ってことですか?
ううん。 いいえ。 全然 そんなこと ありませんよ。
社長。 この間から 何か ちょっと 変ですよね?
何か しましたか? 私。 いいえ。 何も してませんよ。
単純に 時間が取れないだけです。
時間が できたら すぐ 読みますから。
分かりました。
ただいま。
た… ただいま。
(玲子)おかえりなさい。
あっ。 すいません。 部屋 間違えました。
すいません。
ただい…。 (玲子)おかえりなさい。
帰りました。
あれ?
≪おかえり。 あっ。 ただいま。
進。 彼女が 今日 作った ブイヤベース。 これ おいしいぞ。
お前も 食べてみろよ。 気に入るから。
いやぁ。 おいしいなぁ。 こんなに おいしい ブイヤベース。
ここ 10年…。 いや。 ここ 20年 食べたことが ないですよ。
まあ。 守さんったら。 あっ。 ご飯粒。
あっ。 すいません。 (笑い声)
進さん。 お風呂になさいます? それとも お食事?
あっ。 じゃあ その➡
おいしい ブイヤベースを 頂きます。
はい。 ちょっと待っててくださいね。
彼女が作った お手製のパン。
これも おいしいぞ。 ふかふかで。 ほら。
さあ 召し上がれ。
現王園家に 代々 伝わる 秘伝の ブイヤベースですよ。
どうも。 はい。
守さん。 おいしいですか?
玲子さん。 玲子さんの作る料理は 世界一です。
まあ! 守さんったら。 あら。 また ご飯粒。
あら。
(笑い声)
(玲子)守さん。 どうしました? 玲子さん。
これを どこかに 置きたいのですが➡
こちらに 入れさせていただけませんか?
そうしますと 靴は どうなりますか?
どこかに まとめておいては いかがでしょう?
それは 駄目ですね。
これは 僕にとって 大切なものですし➡
靴は ここにあるのが ふさわしいんですよ。
すいません。 変な趣味で。 あら。 そうでしたの?
うーん。
(玲子)ああ。 楽しい一日でしたわ。 帰られますか?
僕としては 泊まっていただいても 構いませんが。
結婚前の男女が 同棲だなんて。
私は こうしていられるだけで 幸せです。
そうですか。 それでは ごきげんよう。
また あしたの朝。
楽しい時間を ありがとう。
どうしたの? 何 これ?
僕から 亜希子叔母さんに お願いしたんだよ。
これで 会社は 売られずに済む。 何 それ? どういうこと?
何が?
何 無理して 芝居してさ。 自己犠牲 アピールしてんだよ?
俺 そういうの ムカつくんだけど。 いや。 無理なんか してないよ。
案ずるより産むがやすしで➡
やってみると 意外と これが そんなに 嫌じゃないんだよ。
嘘つけ。 あのさ 俺 思ったんだけど。
結局のところ 一緒に暮らすとか 結婚するっていうのは➡
相手のことを 好きだとか 嫌いだとかは➡
そんなのは 関係ないんじゃないかな?
運命的な恋だとか 身を焦がすような恋だとか➡
自分を失うほどの恋をした相手と 結婚したところで➡
うまくいく保証なんかないし。 実際 そういう恋をしてるときは➡
40度の熱がある状態と 同じなんだから。
何か 忘れようとして やけになってんじゃないの?
恋とは無縁の状態で 結婚した方が➡
より冷静に 判断してるってことになるんだ。
あのさ。 あのさ。
どうぞ。 いやいや。 どうぞ。
ことしの アーセナル 強いな。
ああ。 そうだね。
あっ。 おはようございます。
あなたって ホント 口だけよね。
うん? 何のことですか?
口では 「はい はい」って 言って 心ん中で べろ 出してるタイプ。
そういうの 大嫌いなんだけど。
だから 何のこと 言ってるんですか?
専務。 今後 一切 誘われても 断るって 約束したじゃない。
ああ。 でも それは 緒方さんが そう言ってるだけで。
はっ!? はっ? えっ? じゃあ 何?
私が 勝手に言って 暴走してる 痛い子だって そう言いたいの?
いえ。 そんなことは言ってません。 だって 今 そういうことでしょ。
言ってませんよ。 (川越)何 何? どうした…?
どうしたの…? もめてんのか? (須美花)引っ込んでてください。
おい。 仲良く やってこうぜ。
俺らさ 一緒に 映画 作ってる 仲間なんだからさ。
何? 原因は 何なの? どうした?
いや。 でも 俺はね 春野は 悪くないような気がするなぁ。
でも 原因 分かんないけどね。 分かんないけど。
でもさ ほら こういうの 言った 言わないに なっちゃうからさ。
とにかく 覚えといてよ!
あれ? もう 終わり? はい。 川越さんの おかげで。
おっ。 マジか。 [TEL](バイブレーターの音)
俺ね すぐ 問題 解決しちゃうんだよな。
[TEL](バイブレーターの音) すいません。 電話。
やっぱ ちょっと 俺 違うみたいだな。 [TEL](バイブレーターの音)
もしもし。
[TEL](水島)もしもし。 日本映画の 水島です。
えっ? あっ はい。
(水島)今日 お呼び立てしたのは あなたが お書きになった脚本の。
(水島)えー。 『8月のボレロ』でしたっけ?
それの映画化を もう一度 検討したいと 思いましてね。
えっ? どういうことですか? いや。 今 言ったとおりですよ。
脚本が 格段に よくなったって 聞きましたからね。
ああ。 決定じゃないですよ。 あくまでも 検討ということで。
何で 急に?
あっ。 あのう。 社長ですか? いいえ。 違いますよ。
じゃあ どうして? 星野専務ですよ。
専務が? 星野専務が➡
どうしても あの脚本を 映画化してくれって➡
土下座して 頼むもんですから。 《お願いします》
(水島)《やめてくださいよ》 《お願いします》
(水島)《頭を上げてくださいよ》 《いえいえ。 お願いします》
土下座? (水島)驚きましたよ。
会社のロビーの ど真ん中ですよ。
さすがに むげに断ることが できなくなりました。
どうぞ。 失礼します。
専務。 どういうことですか? 何?
今 日本映画の 水島部長に 会ってきたんですけど➡
『8月のボレロ』 映画化するって 本当ですか?
どういうことですか? そうなんだよ。
水島部長が 乗ってくれてね。
ゆきちゃん。 よかったね。 夢が かなうよ。
あっ。 はい。
あれ? もう少し 喜んでくれると 思ったんだけどな。
きちんと 説明してください。 どういうことですか?
報告が遅れて すいません。
春野ゆきさんの脚本の 『8月のボレロ』の製作を➡
検討してほしいと 日本映画の 水島部長に お願いしたところ➡
製作してもいいという 答えを 頂きました。
ことし中に インで 来年の春 公開です。
ことしは あと 1カ月ちょっとで 終わりですよね?
つまり あと2週間で 決定稿まで 作るということですか?
集中して 本打ちすれば できるんじゃないですか?
どう? ゆきちゃん。 えっ? 2週間でですか?
この脚本は まだ 直しが 必要なんです。
ハァ。 そんなこと 言ってたら➡
いつまで たっても 映画になりませんよ。
この脚本じゃ 映画の クオリティーが 保てません。
そんなの やってみなきゃ 分からないじゃないですか。
これは 春野ゆきを メジャーデビューさせる チャンスなんですよ。
本打ちも ずいぶん やってるようだし➡
もうそろそろ 動きだしても いいでしょ。
確かに。 最新稿は 以前に比べて 格段に よくなっています。
特に ラストの➡
ハルカと ユウヤの会話はね。 ここは 僕の指示ではなく➡
彼女が 自分で考えて 書き直した部分です。
でも まだ 世に出す段階では ありません。
社長。 ホントは 映画化する気なんて➡
ないんじゃないですか?
何を バカなことを。 最良の状態で➡
彼女が デビューした方がいいと 言ってるだけです。
デビュー作が 成功すれば 次に つながるのは すぐでしょう。
しかし 失敗すれば 次に つながるのは➡
デビューするより 難しいかもしれません。
そんなことも 分からないんですか?
このままの脚本で 映画化するということは➡
彼女の才能を つぶす可能性が あるということです。
そんな 社長みたいに 慎重にやってて➡
いつまでも 結局 本直ししてるよりは➡
たとえ 失敗したとしても デビューした方が いいじゃないですか。
それの 何が いけないんですか?
まずは デビューする。 そっちの方が 大切ですよ。
たくさん 仕事すれば いいじゃないですか。
とにかく 書けば いいんですよ。 そんな人 たくさん いますよ。
ゆきちゃん。 ゆきちゃんは どうしたい?
私は 以前は とにかく どんな形でもいいから➡
自分の脚本が 映画になって➡
世に出ていくのを 夢 見ていました。
でも 今は 違います。 社長と 本打ちをして➡
何度も 何度も 駄目出しをされて。 最初は 頭にきてましたけど➡
書き直していくうちに だんだん 分かってきたんです。
悔しいけど 社長の言ってることは 全て 正しいって。
もし 直す前の 最初の脚本で 映画を作っていたら➡
ホントに ひどいことに なっていたっていうか➡
きっと 一生 恥ずかしい思いを するものに なってたっていうのが➡
今なら 分かるんです。
星野専務。 すみません。
私も 社長の意見に賛成です。
だから もう少し 時間を下さい。 どうか お願いします。
♬~
ハッ。 何だよ これ? 何で こうなんだよ?
訳 分かんねえよ。
♬~
あれは いい男です。
彼が 仕事で あんなに 一生懸命になってるのを➡
初めて 見ました。
結果 やり方は 間違っていましたが。
純粋に 彼の善意からの 行動だったと 思います。
それは 分かってやってください。
はい。 あのう。
♬~
(沙織)《ちゃんと 付き合っちゃえば? 専務と》➡
《何の問題があるの?》
《あれは いい男です》
《純粋に 彼の善意からの 行動だったと 思います》
♬~
待ってください。
♬~
ごめん。 浅はかだったよ。
ゆきちゃんの才能を つぶすなんてこと➡
考えてなかった。
映画が成立すれば いいやって それしか考えてない バカだった。
そんなこと ないです。
怒ってないの? どうしてですか?
ゆきちゃんの才能を つぶすかも しれなかったのに。
専務が言ってたように やってみなきゃ分かんないですよ。
もしかしたら 大成功するかも しれないですし。
いや。 そんなことより➡
ホントに 今の脚本のままじゃ 嫌だっていうだけなんです。
やっぱり もっと いい脚本に していきたいですし。
前より ずっと。 ずっと よくなってるんです ホントに。
このまま 直していけば 傑作になりますよ。 絶対!
前に 絶対なんてないって 言ってなかった?
あっ。
でも やっぱり 俺って バカだよ。
ゆきちゃんに 最初に聞けば よかったんだよな。
ホント 単純に いいことだって 思っちゃったんだ。
ゆきちゃんの脚本が 映画になるって。
ゆきちゃんが 脚本家として 正式に デビューできるって。
俺 見たかったし ゆきちゃんの映画。
それから ゆきちゃんの 喜んでるところも。
ホントは そっちが メーンかな。
ゆきちゃんに 喜んでもらいたかった だけだったんだ。
でも クリエーターの 気持ちなんて➡
兄貴みたいには 分からないから。
結局 傷つけてしまったんだ。
私 人に こんな うれしいこと してもらったの 初めてです。
えっ?
専務 この間 こんなこと 言ってましたよね?
「俺たちって 付き合ってるよね?」 みたいなこと。
♬~
私は 今 あなたと 付き合っています。
♬~
♬~
♬~
ただいま。 (玲子)おかえりなさい。
お風呂になさいます? それとも お食事?
食事で お願いします。 はい。
♬~
♬~
もう 何もいりませんよ。
全て あいつの言う条件を のみます。
あいつが 欲しいものは 全て 差し出しますよ。
何を失ってもいいんです。
(小林)何か いいことが あったようですね。
いいこと? 冗談じゃない。
人生で 一番 大切なものを 見つけたんです。
≪(チャイム)
はい。 [インターホン](亜希子)亜希子です。
(玲子)はーい。
(亜希子)ごめんなさい 突然に。 ちょっと 気になったものですから。
(玲子)構いませんよ。 (亜希子)まあ まあ この子ったら。
(玲子)お疲れみたいなんですよ。 寝かせておいてあげてくださいね。
(亜希子)それで 順調なんですか?
さっきまで 式場の お話なんかも していたんですよ。
でも お式は コモ湖の湖畔で 挙げるのが すてきだなって。➡
守さんも そこが いいんじゃないかって。
そう。 順調そうね。 (玲子)はい。
順調過ぎるわ。
はい? (亜希子)いえ。
玲子さん。 (玲子)どうなさいました?
(亜希子)守の お部屋にあった靴 どうなさいました?
(玲子)ああ。 あれですか? 守さんが 捨てたみたいですよ。
(亜希子)守が? (玲子)ええ。
♬~
♬~
♬~
♬~
♬~
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