All language subtitles for べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~(45)その名は写楽 - [1440-1920@KFMVFR.NV7-hevc10_q 230_u P7][字]

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Original subtitles

(蔦屋重三郎)はあ…。

(足音)

(てい)お帰りなさいませ。 おう。

いかがにございました? 源内先生は。

うん…。

私の見込み違いでしたよ。

では どなたが あれを お書きになったので?

…狐です。

狐? ええ。

行ったら 誰もいなくて➡

あの草稿も はらはらって 葉っぱになっちまって。

それは 狐ではなく 狸の化かし方にございますね。

一体 何があったのでございますか?

(松平定信)どうだ 蔦屋重三郎。➡

我らと共に 仇を討たぬか?

♬~

これは…➡

源内先生が書いたんじゃねえんですね。

(定信)それは 三浦の話をもとに 私が書き起こしたものだ。

然様にございますか。

では ここにて お暇いたします。

私は… 源内先生に会いに参りましたもので。

ああ このことは 聞かなかったことといたします。

(定信) そなた 源内の遺志を継ぐ気はないのか?

源内は生きておれば そこにある源内軒のように➡

傀儡好きの大名を成敗し 仇を討ちたいと思ったはずじゃ。

越中守様は 源内先生に会ったことねえでしょう!

「どうしたいか」は➡

源内先生に会った時に 直にお聞きしますんで。

そなた 源内が本気で生きておると 思うておるのか?

へえ。 では。

(柴野栗山)そなたは 世のために 悪党を成敗したいとは思わぬのか?➡

この先 同じことが繰り返されぬように。

(長谷川平蔵宣以)そうだ! 世のために➡

悪党は捕らえねばならぬであろう!

(三浦庄司)そなた 前に 悪党を 野放しにするのは間違いであったと➡

殿に申したではないか!

(高岳)然様。 我々は 天誅を下すのだ。

はあ…。

けど そいつが悪党だって証しは ねえわけですよね?

もし 間違いなら とんでもなく間抜けな話ですし➡

こんな話に関わりゃ 私も 身内の身も危うくなります。

吹けば飛ぶような本屋にございますゆえ 何卒 ご勘弁を。

(定信)確かに 関われば身は危うい。

残念ながら お前は もう関わっておるのだ。

随分 野暮なお仕打ちで…。

(定信)あいにく こちらは 野暮だ粋だで生きておらぬのでな。➡

なに 吹けば飛ぶような本屋に頼むのは 大したことではない。

「源内が生きているのではないか」と➡

世の中を大騒ぎさせてほしいだけだ。➡

お前ほど この役目にふさわしい者も おらぬであろう?

(てい)つまり 世を騒がせねば➡

旦那様も私たちも どうなるか分からぬ➡

ということにございますか?

ああ。

ほんと すまねえ! こんなことになるたぁ…。

すまねえ…。

…仇討ち。

「忠臣蔵」の大星由良助は➡

茶屋遊びで世を欺きましたかと。

やらぬという道が塞がれておる上は➡

やるしかございませんでしょう。

よろしいのではございませんか?

悪党を討つのは 世のためにもなることでしょうし。

この際 蔦屋重三郎らしい➡

うんと ふざけた騒ぎになさっては いかがでしょう?

しみったれの ふんどしの守様から かかりを ふんだくり➡

かつてないほど 贅沢でふざけた騒ぎを起こすのです。

そして それをもって➡

春町先生への供養となすのは いかがでしょう?

…春町先生の?

はい。 きっと お喜びになられるかと。

(恋川春町) 皆様には せめて お笑いいただきたく!

おていさん。 はい。

極上々吉。

極々上々々々々々…。

お褒めにあずかり恐悦至極にございます。

では いかに ふざけましょうか?

まぁ… 手っとり早いのは読売なんだけど➡

それじゃ つまんねえな。

持ち込まれた あの草稿を 本にして出す➡

…のは 難しうございますね。

うん。 そりゃ 俺も店も あっという間に お縄でさ。

では 危ういことには触れぬ筋で➡

源内先生が書いたとしか思えぬ 黄表紙。

黄表紙➡

洒落本➡

浄瑠璃…。

市九さん! 確か 市九さんは…。 あいつは 浄瑠璃が書ける!

しかも 源内先生が 生きておるかもしれぬと➡

お告げを持ってこられたお方です!

こりゃ 天の導きとしか思えねえな!

では 源内先生が書いたとしか思えぬ 新作の浄瑠璃を➡

市九さんに書いてもらい…。 小屋にかけてもらいましょう!

はい!

♬~

♬~

(柝の音) 寛政五年十月。

風紀粛正 倹約奨励によって➡

江戸三座と呼ばれた歌舞伎小屋は 経営困難に。

三座全ての経営が控えの座に委託される 異常事態でした。

芝居町全体が 大きな打撃を受けていたのです。

いらっしゃいまし!

休みか…。

ありがとな。 また頼むよ。 ええ 毎度。

仙太さん? (仙太)おお~!

じゃあ お二方は 長谷川様の命で 大崎様とやらの行方を追ってんですか?

(仙太)どうにも 影も形もねえんですけどね。

けど 何で 芝居町にいるとお考えに?

葵小僧を覚えておるか?

ああ… 葵の御紋の提灯を持った 悪党にございますよね。

実は あの者らの装束一式➡

芝居町の衣装屋に頼んだものだったのだ。 え?

(平蔵)衣装屋に話を聞いたところ➡

姿は見せぬものの 裏で あれこれ指図していたのは➡

お武家様のことに やたら詳しい女だったそうだ。

それが 大崎様ってことですか?

(平蔵)いや まだ分からぬがな。

世間を煽り立てて 事を大きくするのは あやつの やり口だ。

葵小僧も ただ食うに困っただけの 小悪党だったものが➡

傀儡とされたのかもしれぬ。

そして その葵小僧という傀儡により 大勢の者が襲われ 命を落とした。

ひでえな…。

だんだんと 「悪党 討つべし」とは思ってこぬか?

…いや。

腹が北野のご神木。 (磯八)おう いらっしゃい!

そば くれ。 おう!

門之助様。

(市川門之助)おお 蔦重! へえ。

ここであったが何年目?

さすが! ヘヘッ!

さあさあ どうぞ!

三座全て 立ち行かなくなったんですか?

(門之助) まぁ 悪いことばかりじゃねえけどな。➡

鼻息も荒いし。 鼻息も荒い?

控櫓にとっちゃ 三座に取って代われる またとない折でもあんだろ?

で そいつらが 「曽我祭」をやろうって言いだしてんのさ。

「曽我祭」ってなぁ 何でしたっけ?

曽我ものが当たった時に楽屋で内々にやる まぁ お祝いだね。

それをひとつ 町中で 派手にやっちまおうって話さ。

通りで役者を総踊りさせるってんだよ。

そりゃ 菊之丞や宗十郎 鬼次 鰕蔵も 踊り出てくるってことですか?

おお そう! しかも 役者の素の顔を お天道さんの下で拝めるってなりゃ➡

こりゃ もう お祭り騒ぎ中のお祭り騒ぎってもんだろ。

役者の素の顔…。

何だ こりゃ? こんなの初めて見たぞ!

こんな店 初めてだ!

(八五郎)おお~! 熊さん これ! (熊吉)な… 何だい? こりゃ!

今 評判の役者の似絵でよ。

これを片手に 役者の顔を拝むってのが通よ!

けど 誰なんだい? こんな ふざけたもん描いたやつは。

それがよ 「平賀源内」じゃねえかって 噂なんだよ!平賀源内?

これだ…。

(北尾重政)源内先生が描いたと 思われるような役者絵を出す?

ふんどしも いなくなったことだし➡

思いっきり ふざけたくねえですか?

(大田南畝)大事というから来てみれば… 俺は忙しいのだ!

(宿屋飯盛) 次の学問吟味 年明け二月だそうで。

(朋誠堂喜三二) まぁ ふざけたきゃ乗ってくるだろう。

けど ふざけるにしても 何で役者絵で 何で源内先生なんだい?

(唐来三和)芝居は 今 落ち目➡

役者絵も 春章先生が亡くなられちまって ひでえもんだって聞いてるよ。

けど 逆手にとりゃ 何やっても目立つわけでしょ?

そこに➡

こんな役者絵を➡

ど~んと ぶつけんでさ。

何だ? 何だ?

その絵…。

こりゃ 源内先生が描いた絵にございます。

(北尾政演)こんな役者絵って…。

いやぁ 無茶だろう これは。

(重田貞一) こりゃ 蘭画ってやつでごぜえますかい?

(北尾政美)確か 蘭画ってのは➡

見たまんまを描くのを よしとすんでしたっけ?

ああ。 勝川派の役者絵は似絵の向きだったし➡

役者絵と蘭画は 相性がいいと思うんだ。

しかも 今年は 芝居町の通りで 「曽我祭」をやるってんだ。

通りで 曽我祭?

(三和)…ってこたぁ 何かい?

役者が 通りに 踊り出てくるってわけかい?

役者の素の顔 お天道様の下で 拝めるっていう寸法で。

そこに 役者の素の顔を写した 役者絵がありゃあ どうなります?

それを片手に…。 それを片手に繰り出すね!

受けに 受けるねぇ そりゃあ。 ええ!

芝居にも 客が戻ってきますよ。

芝居に客が戻り 絵も売れる。

しかも それを描いた絵師が 死んだとされてる➡

平賀源内なんじゃねえかってなりゃあ…。

江戸中が…。 江戸中 祭りだ!

もう 上から下まで大騒ぎ!

乗った! ひとつ あっしもやってみますぜ!

おう!俺もやってみてえ! 蘭画風の役者絵!

じゃあ 手伝うかね。

なっ。 けど… 俺➡

今更 役に立ちますかね? (笑い声)

先生方 絵の方 お願いします。 おう。

…で➡

先生方は…。 画号だな!

源内先生じゃないかと思わせる 画号がいるな!

へえ。 絵師の画号や➡

騒ぎが どんどん派手になる仕掛けを 考えてもらいてえんです。

戯作の筋を考えるみてえな。

あの… 俺 この場合 どっちに入るべき?

(滝沢瑣吉)何をやっておるのだ 蔦重! (戸が開く音)

(瑣吉)何だ 何だ? みんな 集まって! ええ~?

ちょっとな 源内先生の思い出を語る会を。

思い出?

ということは 平賀源内は➡

やはり 亡くなっておるのか?まぁ…。

(みの吉)ああ~! 瑣吉先生。 ん?

少々 よろしいでしょうか? む。

実は 書物の方で 仕入れるものを選びかねておりまして。

おう。 あちらへ。おう。

みの吉 ありがた山。

あいつは 入れねえんですかい?

あいつ つい 漏らしちまいそうじゃねえか?

「しゃらくさい」ってのは どうかねぇ?

しゃらくせえの もじりということにございますか?

しゃらくさいってのは いかにも 源内先生が言いそうな言葉でもあるし➡

どうだろう まぁ。

(笑い声)

(飯盛)ひとつ 並べてみましょうか。 源内先生の号。

福内鬼外。

鳩渓。

風来山人。

天竺浪人。

悟道軒ってのもあったぜ。

戯作中に出てくる➡

貧家銭内ってのも ありましたね。

いいんじゃねえですか? しゃらくさい。

面憎い 出しゃばり 小癪 洒落者。

源内先生に ぴったりでさぁ。

俺も そう思う。

じゃ 字は どうします?

そのまま書くと 洒落臭い 洒落斎ってとこかね?

♬~

(南畝)楽を写すか…。

この世の楽を写す➡

または ありのままを写すことが楽しい。

(一同)写楽!

(笑い声)

悪くはないが➡

役者絵と源内は うまく結び付くのか?

源内先生の浄瑠璃は 芝居にもなってますし➡

二代目 瀬川菊之丞との仲➡

役者好きだったことは 江戸っ子に知れた話ですので➡

大事ないかと。

まぁ 源内は蘭画もやっておったしな。

おや ご存じで。

(定信)絵は 武家の嗜みの一つだからな。

写したような役者絵ということは 勝川の流れか。

源内と言わせたいのなら 勝川のものに寄り過ぎぬようにせよ。➡

策は認めたゆえ 進めるがよい。

しかしながら…➡

なかなか こちらが かかることにございまして。

然様なもの お前の方で工面せよ。

あいにく 質素倹約の煽りを受け 身上も半減されまして。

商人のくせに 商いもできぬのか。

江戸一の利者と言われたのも 今は昔か。

では…➡

商いのうまい本屋に お頼みになっては いかがですか?

脅しのつもりか? 滅相もない。

ただ 吹けば飛ぶような本屋は 金繰りの厳しさに耐えかね➡

つい 愚痴の一つ 漏らしちまうかもしれません。

ああ… そういえば この仇討ち➡

奉行所にお届けは お出しに?

⚟(鳥の鳴き声)

⚟(いななき)

ありがた山にございます!

おお…。

(菊麿)私に 良し悪しを聞かれましても…。

(喜多川歌麿) 本屋は 何も言わねえからよ。

何 出しても いい いいって…。

歌麿の名が入ってりゃあ それでいいんでしょうね。

ここまで 真に迫ってほしいわけじゃなくて➡

あくまで 女絵として 綺麗であってほしいんだ。

この おきよさんは 何かがあって振り返ったと思ったんだよ。

そうそう。 蔦重は くどかったですもんね。

そして そのくどさは今➡

この方たちが味わっておりました。

蔦重さん。

こういうことじゃねえんだよ。

けど 蘭画って言いませんでしたっけ? まぁな。

もう一回!

もう一回!

(重政)ほい。

これじゃあ 春章先生が生きてるって話に なっちまいまさぁ。

役者の似顔っていやぁ こうなっちまうだろ!

もう一回 お願いします。 ああっ!

お前 腕 落ちてねえか?

だから もう何年も描いてねえって 言ったじゃねえですかぁ…。

もう一回!

どこがどう 源内風なんだよ!

(政美)思い切って 好きにやってみろって…。

好きにやりすぎだ! やってられっか!

こっちは てめえの言ったとおり 知恵 絞ってんだ!

これじゃねえ あれじゃねえなら ガキでも言えらぁ べらぼうめ!

大体 源内風だ 似顔だって言うけどよ➡

おい てめえの胸の内にゃ➡

そりゃ こんな絵だってもん 浮かんでんのかよ?

あたりが出るまで 闇雲に描き散らせってなぁ➡

さすがに つきあいきれねえぜ!

重政先生!

お待ちくだせえ!

⚟先生!

けど 画風を言葉で指図するのは 至難の業でございまさねぇ。

なぁ 歌さんは呼んでこれねえの?

歌さんなら なんとかできんじゃないかい?

♬~

頭に浮かぶ絵…。

♬~

写楽の絵…。

(鈴の音)

(徳川家斉)女を更に入れろと?

(一橋治済) 上様の世となって 早6年。

その間に生まれたお子は たったの4人➡

そのうち2人は まともに育たず。

これは 畑が ようないということゆえな。

(家斉)敏次郎は 健やかに育っておりますし➡

お梅をはじめ 3人ほどが みごもっております。

上様。

将軍のつとめとは何か 仰せになってみられよ。

…将軍家の血筋を絶やさぬため 健やかな男子を作り➡

かつ 血脈を 日の本に広げていくことにございます。

清水の家が そろそろ空きそうじゃ。

上様には 急ぎ お励みいただきたく。➡

そなたらも 上様のお気に入りとならねばのう。

お伝えになった方が よろしいのではございませぬか?

例の噂…。

(松平信明)大奥に もっと金を入れよと? (本多忠籌)恐れながら➡

異国に向けての備えを 始めたばかりですし…。

そなたらのう➡

上様のお子こそ 日の本を強くする一番の薬ぞ。

日の本の諸国を 「一橋」の血脈で染め上げてこそ➡

謀反のおそれもない 心一つの真に安寧の世となるではないか。

しかし 日の本中とは…。

然様なこと まこと できますものでしょうか?

天は 健やかなる体を持つ 一橋の血を選ばれた。

知に長けた田安でもなく➡

情に厚い先代の公方様の血筋でもない。

これは 血脈をもって染め上げよという➡

天のご意志。

案ずるな。

(定信)あの者の扱いに周囲が困っておる?

(水野為長)老中たちは ようやく あの者の気味の悪さに気が付いたようで。

(定信)今更 遅いわ。

上様は 相変わらず 喜んでお励みか?

それが ここのところ 親子の間に 溝が うっすら 出来始めておるようです。

よろしうございますな。

溝とは いかような?

今 大奥で 上様のお子が思うように育たぬのは➡

亡き家基様の祟りではないかとの噂が 立っておるようにございまして。

⚟ご無礼仕る!

長谷川様より 火急の知らせにて。

大崎が…。

(戸が開く音)

(足音)

そなた 出家しておったのか!

(大崎)葵小僧の一件から こちら➡

大事をとって 尼寺に身を潜めておりました。

それが再び こちらで奉公したいとは 何故じゃ?

どうも 何者かが 私を探っておる気配がございまして。

何者か?

(大崎)しかとは分かりかねまするが➡

高岳 および田沼の残党 御三家➡

葵小僧の毒牙にかかった商家 越中守…。

これまでのことを考えれば その辺りかと。

恐ろしいことじゃ。

そやつらから 身を守らねばのう。

(戸の開閉音)

(足音)

何をなさってるんです?

ああ…。

源内風は 一旦 置いといて➡

役者の似絵を作るところから 始めようと思って。

人の顔ってなぁ 目鼻口 それに形だろ?

それを まず書き出してんだ。

旦那様の胸の内には 絵は浮かびましたので?

ああ…。

「十躰」の折に 歌が描いてきて➡

よかったんだけど そん時は「違う」って よした絵があってさ➡

あんなふうに 役者 描けりゃ➡

面白えんじゃねえかって。

♬~

よい出来。

何か申せ… とは?

(歌麿)何かしら あるだろう。

もっと こうしてほしいだの ここが違うだの。

あ… 手前どもは これで十分にございます。

俺ゃ 納得がいかねえんで➡

納得がいくまで 描き直します!

⚟たかが浮世絵一枚に どうかしちゃいないかね…。

♬~

(風の音)

(足音)

⚟(菊麿)入ります。

先生 お客様が…。

こりゃ 蔦屋の女将さん。

ご無沙汰しております。

こんな有様ですけど いいですか?

押しかけましたのは こちらでございますので。

「歌撰恋之部」 五図 全て出来上がりましたので➡

お納めいただきたく。

差し上げたもんなので。

これは➡

蔦屋重三郎からの恋文にございます。➡

正しくは 恋文への返事にございます。

どうか➡

一目でも見てやってくださいませ。

♬~

あの人は その毛割を➡

何度も何度も何度も やり直させました。

歌さんは こういうところを気にするからと。

色みも 深く柔らかいものを好むのだ➡

着物の柄も きっと こういうものを 考えていたのではないかと➡

それは しつこく。

摺師と大喧嘩しておりました。

板元印と名の位置には 終いまで悩んでおりました。

(てい)歌さんを立たせるべきだが➡

自分と歌さんの仲に➡

上下をつけたくはない。➡

肩を並べ➡

共に作りたいと思っていることを 伝えたいと。

歌さんの名が上のものが三図➡

蔦屋の印が上のものが二図と➡

落ち着きました。

歌さん。

よそにも 素晴らしい本屋はおりましょう。

けれど➡

かように 歌さんのことを考え抜く本屋は 二度とは現れぬのではございませんか?

歌さん。

どうか 戻ってやってはいただけませんか?

今 あの人は 何よりも 歌さんを望んでいます!

…悪いけど➡

もう こういうの こりごりなんで。

私は出家いたします!

産んでやれなかった子➡

義母上様 父➡

新之助さん おふくさん とよ坊➡

石燕先生 春章先生 春町先生➡

田沼様 雲助様 土山様 東作さんも。

あの人には➡

関わった方々の 菩提を弔う暇もございません。

代わりに 寄り添う者が入り用です。

決して 身を引くのではございません。

もう男と女というのでもございませんし➡

私は今後 そのような形で➡

あの人と共に生きていきたいと存じます。

嘘だね。

見抜かれましたか。

然様にございますね➡

私の本音を申せば…➡

見たい。

二人の男の業と情➡

因果の果てに 生み出される絵というものを➡

見てみたく存じます。

私も 本屋の端くれ。

サガというものでございましょうか。

♬~

先日は 至らぬことで➡

申し訳ございませんでした。

俺こそ 言い過ぎた。

すまねえ。

とんでもねえ。

あれから もう一度 考え…。

かようなものを作りました。

(戸が開く音)

♬~

歌…。

歌麿なら できる!

何だい こりゃあ!

画号は 東洲斎写楽とせよ。

ド~ン! キュッ キュッ?

お許しくださいませ。 写楽というのは まこと 源内なのか?

かかったか。 バカな…。

まこと 生きておったのだな!

そう きたか!

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