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(本多忠籌)越中守様➡
人は「正しく生きたい」とは 思わぬのでございます。
「楽しく生きたい」のでございます!
(松平信明)倹約令を取りやめ➡
風紀の取締りを 緩めていただけませぬか?
(松平定信) 世が乱れ 悪党が蔓延るのは➡
武士の「義気」が衰えておるからだ。
武士が 「義気」に満ち満ちれば➡
民は それに倣い 正しい行いをしようとする。
「欲」に流されず 「分」を まっとうしようとするはずである!
率先垂範!
これよりは ますます倹約につとめ➡
「義気」を高めるべく 文武に励むべし!
あくまで 改革路線を緩めなかった 越中守様は➡
黒ごまむすびの会以来の「信友」らを 政の中心から遠ざけ➡
イエスマンばかりを重用。
更なる独裁へと 突き進んでいったのでございます。
(一橋治済)その方ら 派手に やり合ったらしいではないか。➡
面を上げよ。
♬~
まじめなる口上ねぇ…。
(みの吉)へえ。 主人の蔦屋重三郎が 京伝先生に頭を下げて➡
再び 筆をとってもらいまして。
いいや。 行くかい?ああ 行こう。
(みの吉)また どうぞ。 また お越しくださいませ。
身上半減を売りにした蔦屋でしたが➡
ブームは あっという間に去りました。
(蔦屋重三郎) 「身上半減」の物珍しさも息切れで。
家内に 煙草も倹約しろって言われまして。
(鶴屋喜右衛門) 蔦屋さんが倹約とは 皮肉なもんですね。
ふんどしの苦労が分かっちまうようで 面白くねえですよ。
ふんどしが 倹約倹約 言ってんのは➡
お上の金蔵を 立て直すってのもあんでしょ?
田沼様も それで苦労してましたし。
どうぞ。 ああ ありがた山で。
だから 「身上半減」だったんですかね。 え?
商いを取り上げてしまっては 倹約していこうというふうにはならない。
半減ならば 店を潰すには惜しい➡
となると おのず 「倹約」していくことになる。
俺の苦労を知れ お前もやってみるがよいと。
ついでに 江戸の名物本屋が 自ら「倹約」を示してくれると。
しゃらくせえ!
とはいえ 何か稼ぐ手だては お考えで?
この際 再印本を どんどん出してみようかと。
売りもんがなくなって 蔵出ししたでしょう?
あれが 案外 受けよくて。
面白えけど 古いから摺ってねえ 黄表紙の板木を 安く売ってもらって➡
どんどん 仕入れる。
そうすりゃ 名作黄表紙の 揃いものってなふうに できるかなって。
いいですね。 へえ。
うちも やってみようかなぁ それ。
鶴屋さん どうか 今は お情けを。
冗談ですよ。
昔のでよければ お譲りしますよ 京伝本の板。
鶴屋さ~ん!
まぁ うちが 京伝先生の新作をとれれば… ですけどね。
合点承知です。
♬~
♬~
(北尾政演) 親父の手伝いで手いっぱいでさ。
真人間になると お白洲で誓いましたので。
んなもん 誓っちゃいねえだろ?
(政演)あいにく 手鎖で手首をやられ もう 筆も持てませんので。
(鶴屋) 随分と滑らかに動いておいでですけど。
もう ほんと勘弁してくださいよぉ。
うち 親父まで引っ張り出されて…。
触れに触らねえようなもんでいいからよ。
「心学」みてえなさ。
いちゃもんなんて いくらでも つけられるじゃねえですか。
分かりました。
では お抱えでお渡ししていた30両 お返しいただけますか?
え… それは…。
では 書いていただくしかありませんねぇ。
(菊)この方 どうです?
(政演)そうだ…。
俺の代わりに➡
この人 書けます。➡
お書きになれますよ! ヘヘヘヘ!
(鶴屋)どなたなんですか?
一応 門人といいますか…。 門人ではない! 友人だ!
俺が 門をたたいたにもかかわらず➡
お前が「弟子は取れぬ 友人で頼む」と 申したではないか。
どうも すみません。
深川の大水で 家をやられてな➡
友人宅で厄介になっとるというわけだ。 ハハハハハハハハ!
困っておるのなら 書いてやってもよいぞ 本屋ども。
(笑い声)
よかったじゃないですか 蔦屋さん 作者が見つかって。
…え? ああ 私➡
近くの伯母に会う約束がありました。
では 京伝先生 また。➡
ハハハハハ! 鶴屋さん ちょっと!
蔦重は 瑣吉さんを 作家見習い兼手代として➡
店に置くことにしたのですが…。
瑣吉 これ 持ってって。
持ってってって!
俺は お前の店のために 案思を練っておるのだ。
はっ! 手代のくせに損得勘定もできぬのか。
このオロカモノめが!
働け! 老け顔!
まぁ そう妬むな。
童顔。 はあ!?
(北尾重政)何か すげえ向きだけど どうなの? 筆の方は。
あんなんですから まぁ…。
うん?
「人もとんと そんなもので➡
むげいのくせに おまんまをたんとたべ」。
フフフ! まぁ 随分な独りよがりだねぇ。ええ。
けど 細かく読んでくと 面白えとこもあんですよ。
(重政)フフフフ!
(勝川春章)お~い 連れてきたぞ。 (重政)おっ 来た 来た。
(春章)こいつが噂の 春朗だ。
こちらへ。
先だっては ありがとうございました。
富本本の時は 会えずじまいで。
たら~り たら~り➡
たりらりら~ん。
たらたらしてやがんな 旦那!
…え?
ちょいと言葉が変わってるんだよ。
水も滴る男前って言いたいんだよ。
ああ…。 なっ。
そりゃ どうも。
今度は 黄表紙の挿絵を お願いしてえんです。
中身は変える予定です。
♬~
勝川の春朗さんだ。
滝沢瑣吉だ。
まぁ 俺の滝沢は 勝川とは違って 雅号ではないがな。
脇差しの手代かぁ。 新しいねぇ!
文字が読めるのか? こいつは。
ふん! (屁の音)おっと!
(せきこみ) くっせ!
ぶ~!おお…。 ぶ~!
(一同)ああ ああ…。
ぶ~! ぶ~!
屁? ああ。
クソ以下だって言いてえのか?
ぷっ ぷ~! (笑い声)
おい! やんなら 表でやれ!
おおっ! よっ!
手は 気を付けろよ!
ああ~!
♬~
ほんとに この2人に組ますのかい? へえ。
大丈夫か? 瑣吉。
(笑い声)
春章先生。
まぁ 仲が悪けりゃ 競い合うじゃねえですか。
ちなみに 滝沢瑣吉 後の曲亭馬琴 この時 25。
勝川春朗 後の葛飾北斎 32。
数々の名作を残すことになる2人は こうして出会いまして…。
こちらが 2人がタッグを組んだ初作。
(須原屋市兵衛)やっぱり こりゃ 京伝じゃなかったんだな。
須原屋さんには 分かっちまいますか。
かなり 京伝に寄せさせたんですが。
ああ… いや でもよ➡
その鼻の高えのが 京伝の名で出すってこと よく のんだな。
まぁ 負けず嫌いなもんで。
こりゃ 「京伝の名で 京伝より いいもん出して➡
一気に抜いてやろうぜ」ってことなんだ。
俺ゃ お前さんなら できると思ってんだ。
任せろ! おう!
ハッ ハハハハハ!
(須原屋)それで 何なんだ?
ああ 書物の流れに 黄表紙をのせて よそのお国にも売りてえんです。ああ。
再印本の調子もよいので。
なんで 地方の書物問屋 教えていただけねえかと。
そうか。 へえ。おう。
お~い あの 蔦屋の旦那様にな➡
そこらにある そら 面白いもの こっちへ持ってきな 一揃い。 うん?
⚟はい! ただいま!
かたじけ茄子にごぜえます。
ハハハハ!
で どうしたんだ 今年は。 え?
あの 狂歌絵本を出さなかったのか?
何だ? どうしたんだ?
いや… 歌麿が➡
栃木のご贔屓のところに行きまして。 おう。
飯盛さんも あれで…。
(須原屋)ああ… 飯盛さんな。
飯盛さんは 本業の宿屋の方で➡
役人に 賂を渡したと 言いがかりをつけられ➡
江戸払いとなってしまったのでした。
本業に かこつけて 人気の狂歌師 潰したってことですか?
(須原屋)噂だけどな。
だが でもよ お上の力って すげえよ。
黄表紙も狂歌も すっかり勢いが落ちてるじゃねえか。
いや…。 錦絵もよぉ。
へえ…。
(水野為長)新作の点数は ぐっと減りましてございます。
中身も 黄表紙は教訓的に➡
狂歌は 格調高いものが多くなりましたかな。
錦絵は 相撲絵 武者絵などが流行り➡
殿の望みどおりの流れに なってきておりますよ。
まこと よい流れではあるが…。
…が?
よい流れである。
(てい)それ 歌さんの絵ですか?
ああ。
今 女絵を出せば 間違いなく目を引く。
それに この大きさ。
女の大首絵なんて見たことがねえだろ?
大首絵…。
ですが 役者ならまだしも 女絵で成り立つのでしょうか?
うん…。
女の顔は 皆 同じに描くし 表情もねえ。
それを大きくしたって 面白くねえ。
だから 誰もやんなかったんだろうが➡
今の歌麿なら 表情も出せる 女の描き分けができる。
つまり 女の大首絵が描ける。
喜多川歌麿は 当代一の絵師になる。
歌さん やってくださるでしょうか?
まぁ 案思だな。
こういう時は 案思しかねえんだよ。
あれやこれやを吹き飛ばしちまうぐれえ➡
やりてえって思うような。
(喜兵衛)こりゃあ まるで➡
御絵師の探幽斎のごとき 筆遣いでございますなぁ!
(釜屋伊兵衛)あの東照宮の➡
彫り物みてえなやつが欲しいって➡
あの お願いしたんですよねぇ!
こりゃ 家宝になっかもしんねえぞ! そうだ!
先生 次は ぜひ うちの寺に なまめかしい弁財天でも。
(喜多川歌麿)いいんですか? 私は なかなかの罰当たりですが。
大きいものがいいですな。
(笑い声) うちが先に描いてもらうんだから 後 後!
♬~
(足音)
(つよ)お帰り。
ああ。 (つよ)宴は うまくいったかい?
うん。 なまめかしい弁財天を 描くことになったよ。
ありがてえ話さ。
(つよ)ねえ もう 前みたいな絵は描かないのかい?
おきよちゃん 描いてたみたいな。
立派な絵もいいけど 私は あっちの方が好きさ。
何だか 生き生きしてて 見てて飽きないしさ。
ああいうの描くと 何だか 思い出しちまいそうで。
じゃあ もう描かないってことかい?
多分…。
そんなこととは つゆ知らず。
蔦重は 歌さんにぶつける案思を探しに 市中の美人詣でをしておりました。
その団子は こちらだよ。
おきたちゃん こっち こっち!
おきたちゃん また来るよ。 (きた)また どうぞ!
目当ては あの子か?
うむ。 おきたといってな➡
見守りたい男どもが こうして集まっておる。
まぁ モテない男たちだがな。 ハハハハハハハ!
おう おきた! 来てやったぞ。
…いらっしゃい。
(瑣吉)うん? 愛いやつめ!➡
まぁ 俺への気持ちがバレたら まずいからのう!
(ひさ)はい。 おひさちゃん。
6枚 もらえるかい?
6枚だね。 36文ね。
高島屋のおひさだ! おお~。
煎餅は大したことないのに この客だ!
よう おひさ!
いいかげんにしないと その面に醤油塗って焼いちまうよ!
買いたいなら きちんと並びな!
おひさは 心やすい男には きつく当たるタチでな。
な!
(ひさ)バカ言ってんじゃないよ まったく!
ほかに 白池屋のおつねなども いいぞ。➡
おう 戻ったぞ!
お帰りなさいませ。おう。 いかがでした?
今は 巷の美人に男が群がんだな。
不景気で皆 吉原など高くて行けぬ。
その点 巷の美人は タダで見られる。
巷の美人を揃いものにして出せば 大受け間違いなしだ!
歌さん 呼び戻せそうですか?
そこなんだよ。 呼び戻すには 単に 美人を描けってだけじゃなぁ。
⚟(次郎兵衛) おお これだ これだ! ハハッ!
あっ 奥にいらしてます。 おう。
(次郎兵衛)おていさんは… 執念深き相ってやつだね。
執念?
当たっておるやもしれませぬ。
義兄上様は?
俺はね 天下人の相だって言われたよ。
なんと! ハハッ!
(足音)
義兄さん いらっしゃい。 おう 重三。
何やってんです?
ん? 相法…。
これ 今 吉原で流行ってきてんだよ。
へえ…。
近頃じゃ 「学問」流行りに乗っかって 相学ともいうようだけどさ。
顔貌で 人の性分が分かるってやつで お座敷にゃ うってつけでさ。
ふ~ん。 ヘヘッ。
今でいうところの「手相 見てあげよっか」 って感じですかね。
これだ!
どうかしたのかい?
ああ… こいつ 何て虫だろうと思って。
歌は 生きもんが好きだねぇ。
虫 鳥 貝も描いてたっけ。
うん。 昔 石燕先生に➡
そこら辺にあるもん 描けって言われて…。➡
よくよく見ていると 同じ虫でも 色が違うなとか➡
こいつ 足が少ないとか➡
動きにも癖があって➡
俺らにゃ 分からねえけど➡
それぞれの性格や半生があんだなって。
まぁ 絵師さんの目ってのは たまげたもんだ。
絵師は 三つ目の目に見えるもんを描くんだって。
そういや言ってたね 先生 三つ目 三つ目って。
俺に見えるもんは これかなって思って➡
絵に 命を写し取りてえって…。
やめろ! お前は 鬼の子なんだ!
生き残って 命 描くんだ。
あの~ 蔦屋さんがいらしたんですけど。
あん時は すまなかった。
鬼の子に 何の用です?
んな つきたての餅みてえなこと言うなよ。
ねばっこいぞ お前。
いや~ どうも どうも 蔦屋さん!
ご無沙汰でございます。 どうも ご無沙汰しております。
うちのババアまで お世話になりまして。 いえ。
そこは「母」だろ! 品のない!
そっちに品がねえから呼べねえんだよ。
その口 この あんころ餅で塞いどきな。
おう。 (釜屋)どうぞ どうぞ。頂きます。
先生も。 つきたてで。
私は 共食いになっちまいますんで。 あ…!
まぁ 餅は つきたてが うめえですもんね。
お~!
あ。 だから お前の絵も うめえのか!
フフッ! うん うめえ。 (つよ)ちょっと あんた何しに来たんだよ。
ああ。
歌。 うちから 錦絵を出してほしい!
今 江戸の錦絵は パッとしねえ。
ここで 目をみはらせるもんを出せば 必ず 当代一の絵師になれる!
お前にとっても またとない時節なんだよ!
(歌麿)私のためのように言いますけど つまるとこ➡
金繰りに行き詰まってる蔦屋を 助ける当たりが欲しいってだけですよね。
あわよくば 私を売り出すことで➡
もう一度 蔦重ここにありって 見せつけたいってのも。
…まぁ。
けど… お前だって おきよさんのために ちゃんとしてえって言ってただろ?
おきよのために そうなりたいってのは ありました。
けど おきよが亡くなった今 もう その気持ちはねえです。
当代一の絵師を出したいっていう➡
蔦重さんの夢を叶えてえ気持ちも もう ねえんで➡
関わる理由が ねえです。
ああ…。
そうか。
…うん。 んじゃ それは なしとして➡
一本屋として話させてもらうわ。
俺ゃ 喜多川歌麿先生に…。
こんなもんを描いてもらいてえんです。
(釜屋)相学って…。
今 江戸じゃ 相学ってのが 大流行りの兆しを見せていまして。
これに引っ掛けて いろんな相の女を描く➡
そんな揃いもんを考えてんです。
けど これが成り立つには➡
女のタチが伝わる絵を描ける絵師がいる。
女らしい一瞬を捕まえられる絵師がいる。
それができんのは 喜多川歌麿しかいねえ。
どうか お願いします!
もう 女は描かねえって決めてんで。
え?
おきよが喜ばねえと思うんで。
おきよは…➡
ずっと 自分だけを見ていてほしいと 願ってたから…。
そりゃ 生きてる間はってことだけだよ。
何で… 何で そんなこと言えんだよ?
蔦重は おきよのことなんて 何も知らねえだろ!
知らねえよ?
けど この世で いっちゃん好きな絵師は 同じだからよ。
お前の絵が好きなやつは➡
お前が描けなくなることは 決して望まねえ。
これは 間違いなく言い切れる。
贔屓筋ってなぁ そういうもんだ。
おきよさんは 幸せだったと思うぜ。
何十枚 何百枚 何千枚って➡
大好きな絵師に 亭主に➡
こんなふうに描いてもらってよ…。
俺が おきよさんだったら➡
草葉の陰で自慢しまくるぜ。
俺の夢だ何だも なしでいい。
だから ここは お前の心一つで➡
お前が 俺と これを やりてえか やりたくねえか➡
それだけで決めてくれ。
♬~
歌さんが 江戸に帰ってきたんですか?
ええ。 で 蔦屋さん➡
歌麿さんが描くための女を 集めてるようですよ。
こちらで お待ちください。
(歌麿)ちょいと 立ってくれるかい?
(政演)え… 描くための女って➡
わざわざ見て描いた女絵を 出すってことですかい?
そりゃ 一体 どんな絵…。
(鶴屋)まだ分かりません。
でも 蔦屋さんが 市中の話題をかっさらうべく➡
仕掛けていることは 間違いないでしょうね。
(鶴屋) でも よかったんじゃないですか?➡
ねえ? へ?
歌麿さんが ど~んと出てくれれば➡
山東京伝のいない寂しさは 埋まるでしょうし。
ああ… いなくなったことにすら気付かれず➡
静かに 身を引くことが できるかもしれませんよ。
心おきなく 真人間になれるね あんた。
ヘヘヘヘヘ…。
そうですね。 ヘヘッ!
歌さんに 礼でも言わねえと。 ヘヘヘヘ!
♬~
あ~… これは これでいいんだけど➡
ここまで 真に迫ってほしいわけじゃなくて➡
あくまで 女絵として 綺麗であってほしいんだ。
(歌麿)そんなこと言ってなかったろ…。
♬~
う~ん…。
よいしょ。
よいしょ…。
おっ あった。
俺は この おきよさんは➡
何かがあって 振り返ったと思ったのよ。
何か 鳥でも 飛んでたのか➡
見知った人でも 見かけたのか。
そう考えると じ~っと見ちまうわけだ。
この じ~っと見ちまうってのが➡
買うことに繋がると思うんだよ。
んなこと言ってたっけ?
♬~
こいつ 浮気相手と 軽口たたいてやがんのか?
いや 俺のつもりとしちゃ 浮気相手と一緒にいるとこ見られて➡
知り合いに 平気の平左で嘘ついてる場面。
ハハッ いいなぁ。
けど もっと その相らしさ 足せねえか?
あのよぉ ちょいと わがままが過ぎねえか?
歌麿先生なら できると思ってんですよ。
♬~
あ… 小道具 使うってなぁ どう?
うん?
煙管 手鏡 手拭い 提灯 ポッピン。
小道具を扱う仕草には 人柄 出やすいだろ?
ああ…。
いい。
いいな 小道具!
入銀も取れるかもしんねえし。
そこ?
よし! じゃあ 誰が何使うか 考えようぜ。
ん? あ…。
ちょいと 肩凝っててさ。
本屋が 無茶言うもんでさ。
そりゃ いけねえ。
いいよ。 いや 大事な先生の肩だしよ。
もう そういうの よしてくれよ!
いや…。
あんまり なれなれしいのもよ。
ああ… 悪い。
もう 歌麿先生だしな。
(鶴屋)よろしいですか?
鶴屋さん。
どうしたんです?
ええ 実は 京伝先生が➡
煙草入の店を始めたいって 言いだしてんですよ。
え? で 金を集めるために➡
書画会を開こうって 話してるんですが。
そうですか。 ええ。
(笑い声)
あの ちょいと派手じゃありませんか?
俺ゃ もう真人間になったのに。
ハハッ! まぁまぁ 今日一日は 山東京伝。
皆 山東京伝に会いに来てるんですから。
これが終わりゃ 煙草入屋だ。
山東京伝 北尾政演の 最後の日ってこったな。
そうですね。
皆様 山東京伝先生の お出ましにございます!
よっ!きゃ~! 京伝先生!京伝!
そこで 政演さんを待っていたのは モテのスコールにございました。
色男!京伝先生! 日本一! よっ!京伝!
京伝先生~!色男! 日本一!
よっ! 京伝!京伝! 待ってました!よっ 色男!
京伝! 京伝! 日本一!
ヘヘヘヘヘ!
ん?
ん? ヘヘ…。 はっ。
♬~
「すがほ」だ! ♬~
「すがほ」は 政演さんが作った唄です。
♬ 文のさきめの口紅も
待ってました! ヘヘヘ!
♬ 外へ移さぬ心とは
よっ! 名調子!たっぷり!
♬ 神々さんも
よっ 京伝! いい声ねぇ!
♬ どこやらも とふに せうちで
♬ え え え
♬ え え え え (一同)よっ! よっ! よっ! よっ!
♬ え え え え え (一同)よっ! よっ! よっ! よっ!
よっ 色男!
♬ あろけれど
京伝!ハハハハ!よっ! 京伝~!ヘヘヘ! ハハハ!
これに! これに 太輔へって!
先生 どうぞ。
ヘヘッ!
♬~
はい。
おお~! ハハハ!
♬~
(歌麿)で 煙草入屋と 二足のわらじで いくことにしたのかい?
(政演)フフッ 本屋ってなぁ くすぐるのがうまくて嫌んなるよ。➡
けど それ やられちまうのは➡
てめえの中に 欲があるからなんだよなぁ。
モテてえ欲 描きてえ欲。➡
やめるって 何度 思っても➡
いっつも そいつに やられちまうよ。➡
なぁ 歌さんは どうだい?
欲なんて とうに消えたと思ってたんだけどなぁ…。
男色の相? 歌さんがですか?
(瑣吉)うむ。 男色の相だ。➡
あれは まず間違いない。
俺は 随分 そういう輩を見てきたからな。
あだだだ! 何をする オババ!
(村田屋治郎兵衛)蔦重! 蔦重!
村田屋さん。
どうしました?
須原屋さんが…。
もっと 冷や飯を食わされたいというのか!
「書をもって 世を耕す」。
無理です。 女子に?
無理です 無理です 無理です 無理です! 任せろ!
無理です。 怖くない!
駿河屋さんから まだ聞かされてないのかい?まだ?
俺の今の望みは 綺麗な抜け殻だけが 残ることさ。
柯理。
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