All language subtitles for べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~(37)地獄に京伝 - [1440-1920@KFMVFR.NV7-hevc10_q 230_u P7][字]

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Original subtitles

(虫の声)

(蔦屋重三郎)はあ…。

(足音)

おっ… おていさん どうした?

(てい)「鸚鵡返」を出すと決めたのは 旦那様ですが➡

私も 止めることをやめました。

私もまた 止めなかったことを 申し上げとうございます。

ありがとな。

ふんどしの守も 何かしら お考えくれませんかね…➡

春町先生を追い詰めたことに。

なあ。

(恋川春町)ああ…!

(松平信義)豆腐の角に頭をぶつけて…。➡

死してなお➡

世を笑わすべきと考えたのではないかと。

♬~

お待たせしました。おう じゃあな。 ありがとうございます。

⚟ありがとうございました! いらっしゃいませ!

これこれ この人。 自害したんだっけ?

ほんとのとこ どうなの?

(みの吉)麻疹だって聞いてますよ。 ほんとに?

本屋なら 何か知ってんじゃないのかい?

麻疹だって聞いてますから…。

何か知ってるね これ。これ 知ってるね。 分かるよな 俺ら。

俺ら そういうの分かっちゃう。 騙されないから。

著作の絶版 それによる 戯作者 恋川春町の死は➡

しばし 江戸っ子の話のタネとなり。

ほらほら!

いらっしゃいませ。 ああ!どうも 旦那。

春町先生を偲んで この辺りなんか どうですか?

その影響は 地本業界を 悩ませることにもなりました。

(鶴屋喜右衛門) 南畝先生も筆をおかれるんですか…。

ええ。 前に一度 お咎めを受けておられますし➡

このまま続ければ 次は間違いなく ご自分と。

喜三二先生は 国元に戻されたのでしたっけ。ええ…。

すっかり 気落ちされちまって。

(松村屋弥兵衛)うちで書いてもらってた 先生も 戯作やめるって。

(奥村屋源六)そうかい。

いや こうなると お武家さんは そりゃ 縮み上がっちまうよなぁ。

ここが やめ時ってことなんですかねぇ 黄表紙は。

(村田屋治郎兵衛)倹約倹約で ただでさえ 景気が悪いもんなぁ。

そうですね。

いやぁ 大事ねえですよ。

お武家様が難しいなら➡

次は 町方の先生たちに ふんばってもらいましょう!

ねっ! はあ…。

…ってことで これからの黄表紙は お前の肩に かかってっから。

頼んだぞ。

(北尾政演)あの でも…。 あ?

三和さんとかもいますよね?

あ~ それが逃げちまってよ。 逃げた!?

その辺 捜させてはいんだけど。

(みの吉)旦那様。 おう。 どうだった?

(みの吉)いやぁ どうにも…。

そうか。 (みの吉)はい。

お~ 政演。 ちょっと どいて どいて…。

もう 勘弁してくだせえよ…。 戻れ。

すいません。

俺も お咎めあったの知ってんでしょ?

そう 政演先生が よそで絵をつけた黄表紙も➡

ご政道を風刺したとして お咎めを受けていたのです。

そういや 扇屋の親父様が 過料 払ってくれたらしいな。

俺も 目ぇつけられてんですよぉ…。

もう 嫌ですよ 黄表紙。

お前さぁ…。

このまま 黄表紙の灯が 消えちまってもいいのか!?

な?

♬~

♬~

(喜多川歌麿)で どうなったの?

まぁ 進めてたのはやるけど➡

ご政道を からかわない形でってなってよ。

そうすっと どうも 腑抜けみてえな話になっちまうんだよ。

こっちも そのうち やられっかなぁ。

来年から 贅沢なもんは 作ったり売ったりすんなって➡

触れが出てんだろ? まぁな。

⚟(駿河屋市右衛門)重三郎 いらしたぞ。

いや いや どうも どうも!

いや~ お初徳兵衛!

…って 江戸では言うんでしたっけ? ハハハ! いや~!

いや 初めまして!

私 栃木で小間物屋をやっております➡

釜屋伊兵衛と申します!

歌麿先生! この度は お会いできて➡

うれしいの実が 一袋! ハハハ!

あの 喜多川歌麿先生は こちらで。

私ゃ 蔦屋の重三郎と申します。

ああっ こりゃ ご無礼仕りの三郎!

いやぁ 近頃 黄表紙をよく読むように。➡

遅まきながらの唐辛子なんですけど。

そりゃあ ありがた山のとんびがらす!

こちら…。

歌麿先生が描いた絵本にございます。

(釜屋)これ これ!

これ… これだ!

ぱたぱた ぱたぱたぱた➡

ぱたぱた ぱたぱた~!

歌麿先生の絵本を拝見しまして➡

あまりの美しさに 私 涙しっちゃいまして!

ひとつ うちの屋敷に飾る絵を お願いできねえかと!

肉筆で!

肉筆で?

(釜屋)これだよ これ! ハハハハハ!

肉筆の絵とは 絵師が描いた一点物。

版画と違い 高い値がつくだけでなく➡

絵師としての名も 高まるものでありました。

つまりは こういうことを 頼まれたってことなんだけどさ➡

分かるかい?

あの… 摺物じゃなくて 俺が直で描いた絵が➡

こういう でかい襖に ど~んと!

うん! うん!

そう! めでてえってこと!

よかった。

おきよがいたら 俺 何でも できる気がするよ。

(つよ)へえ まだ そんな お大尽もいるんだねぇ。

ああ… 江戸のお人じゃねえからかねぇ。

ふんどしの言うことなんか どこ吹く風でさ。

けど いいかげん 江戸っ子も クサクサきてると思うぜ。

遊ぶな 働け 働けって。

遊ぶってなぁ 生きる楽しみだ。

楽しみを捨てろってなぁ 欲を捨てろってこった。

けど 欲を捨てることなんか そう簡単にはできねえんだよ。

たやすく捨てられちゃ➡

坊さんになるための修行なんて いらないもんねぇ。

おお いいな ババア!

ほら。 黄表紙でも書いてみっか?

皆の捨てた欲が ふんどしの守に取り憑いて➡

毎夜の吉原通いってのは?

お前も書いてみっか! (みの吉)はい!

それで どうなんだよ? (みの吉)いや まぁ… はい!

しかし 越中守様は 我が道を突き進んでいかれました。

(松平定信)続いては 棄捐令についてだ。

(松平信明)「棄捐令」とは いかなる?

(定信) 要するに 昔の徳政令のようなものだ。➡

札差に 武家が借りた金を帳消しにさせ 武家の借金を救うのだ。

武家が 金目当てに動くのは そもそも金に窮しておるからだ。

ならば 借金さえ なくせば➡

本来の正しき心持ちで 奉公ができるということだ。

(牧野貞長)しかし… しかし 借金を帳消しになどすれば➡

貸し方の札差が倒れます。

札差が倒れれば いざという時の借り先が…。

いざという時など起こらぬように倹約 財を蓄えるのが第一であろう。

で ですが…。

安堵せよ。

あやつらが倒れたり 貸し渋りを 起こさぬための仕組みも考えておいた。

詳細を書き記したゆえ 目通しの上 異論があれば申し出よ。

続いて 中洲の取り壊しの件に移る。 (本多忠籌)中洲を?

(定信) あれは 田沼が作り上げた俗悪の巣窟!

女 見世物 博打…。

遊ぶところがあるから 人は遊び 無駄金を使う。

ならば➡

遊ぶところを なくしてしまえばよい!

旦那 遊んでっておくれよ。 旦那。

何です? こりゃ。

(りつ)中洲が取り壊しになって 岡場所も取締りが始まっただろ。➡

そこの女たちを 吉原に放り込んできやがったのさ。

もう 店にもなってねえようですけど。

とても抱え切れる数じゃないからね。

わっちは 24文! 一切24文でいいよ。

あたいは もっと安くするよ。

倹約のご時世だぞ。 うぬらも倹約しろ 倹約。

(りつ)これが 倹約の成れの果てさ。

ここでは 一切百文以下じゃ 売っちゃなんねえってしたら どうです?

(大文字屋市兵衛)上げられないんだよ。

倹約 倹約で皆 物も買わなくなったろ。

客も 景気が悪い中 出てきてっからさ。

親父様方の 大見世の方は?

(松葉屋半左衛門)いやぁ さっぱりさ。

(丁子屋長十郎) 倹約令なんざ構うもんかって➡

気 吐いてた 札差が 頼みの綱だったわけだけどさ➡

それも 棄捐令でやられちまってよ。

実はさ 茶屋も見番もなくしちゃどうだ って言いだす女郎屋も出てきててね。

茶屋や見番もやめる?

(駿河屋)口利きの金が倹約できれば➡

女郎屋は もっと安く女郎を世話できんだろ。

けど んなことしたら 無法な輩が入って来放題で➡

女郎の身が どんどん危うくなりゃしませんか?

女芸者だって 見番があるから守られてるわけで。

これじゃあ 吉原は ただの大きな岡場所。

女郎は 一分の夢も見られない➡

めっぽう でかいだけの 地獄になっちまうよ。

♬~

(みの吉)お帰りなさいませ。 おう みの吉。

歌と政演 呼んでくれ。 はい。

倹約 吹き飛ばすぞ! はい!

お帰りなさいませ。 おう。

ってことで 吉原を救うためのもんを考えたいんだ。

歌 錦絵 頼む。 もちろん。 何 描けばいいんだい?

そりゃあ 絢爛豪華な女郎を 絢爛豪華に描いてほしいんだ。

絢爛豪華…。 ああ。

政演。 お前 吉原には さんざん世話になってる身だ。

やらねえとは言わねえよな? けど お咎め受けるようなのは…。

分かってる。

思うによ いっちゃん悪いのは 倹約なんだよ。

倹約ばかりしてちゃ 景気が悪くなり続け 皆 貧乏。

そのツケは つまるとこ 立場の弱えやつに回されんだ。

そういうことを 面白おかしく伝えてほしいんだ。

世にも ふんどしにも。

例えばよ 倹約が行き過ぎて➡

てめえそのものを 倹約するってなぁ どうだ?

それが流行って 最後には 国から人がいなくなっちまうってなぁ!

お二方とも➡

どうか書かないでくださいませ!

…え? 然様なものを出せば➡

歌さん 政演先生 蔦屋も どうなるか知れません。

どうか 書かないでください!

あのよぉ 吉原じゃ 一切24文で 身を売るようなことになってんだぞ。

大変 申し上げにくうございますが➡

旦那様は所詮 市井の一本屋に過ぎません。

立場の弱い方を救いたい 世をよくしたい そのお志は分かりますが…。

少々 己を 高く見積もり過ぎではないでしょうか!

ああ!?

眼鏡。 まぁ 強い目だねぇ。

あっ。 目 閉じた!

昔 陶朱公のように生きろって言ったのは どこの どなたでしたっけ?

韓信の股くぐりとも申します。

世をよくするような商人になれって 言いませんでしたっけ?

倒れてしまっては 志を遂げることも できませぬと申し上げております!

春町先生は 黄表紙の灯を消さねえために 腹まで切ったんだ!

それを てめえらの保身ばっかり…。

恥ずかしいと思わねえのか!?

♬~

黄表紙の灯が消えることを ご案じなら➡

このような向きは いかがでしょう?

あ… それ 大昔の青本ですよね? はい。➡

「金々先生」以前 青本は 人の道を説く 教訓を旨としたものでございました。

これなら 御公儀に 目をつけられることはないかと。

温故知新ってことですか。 今や かえって新しいかもしれませんね。

ふざけんじゃねえよ!

「金々先生」の前に戻るってなぁ➡

それじゃ 春町先生は一体 何のために 生きてたんだってなんだろうが!

てめえには 情ってもんがねえのか!

春町先生のご自害は➡

私どもに累を及ぼさないためのものでも ありましたかと!

だから…! 故に➡

お咎め覚悟で突き進むことは 望んでおられぬと存じます!

はあ…。

♬~

はあ~。

今更 通笑さんに頼む人がいるとはなぁ。

大事ねえのか? もう随分 書いてねえだろ。

そちらこそ 大事ございませんか?

初めてお書きになる黄表紙の方は。

俺ゃ 初めてじゃねえんだ。

朋誠堂喜三二の手ほどき受けてっからよ。

あら 然様で。 随分 苦戦しておいでのようでしたので➡

てっきり 初めてかと。 ああ!?

(歌麿)常の蔦重なら もっと 強かに➡

「そう きたか」ってことを考えるよな。

春町先生への思いに 囚われ過ぎてんのかねぇ。

春町先生 田沼様 源内先生➡

吉原の人たちへの思いもあんのかも。 新さんも。

荷 背負い込み過ぎじゃねえ?

けど 生き残るってなぁ そういうことかもな。

(戸が開く音)

ああ どうも どうも。

(政演)ヘヘッ!

おきよさんとは 一体 どこで知り合ったんだい?

蔦重から聞いてないかい? よく知らねえって言ってたよ。

ああ…。

雨の日に洗濯を取り込んだのが 縁で。

ああ… そうなの。

そういう身の上だよ。

親も 随分前に なくしちまったようで。

今日まで 生きてこられなかったんだよな…。

(政演)ん? 何だい?

いや 身を売るしか 生きる術のない人たちにとって➡

遊ぶなだの 倹約しろだのってのは➡

やっぱり 野たれ死ねってことになっちまう。

ほかに身を立てる道が 支度されんなら別だけど➡

そんなもなぁ めったねえわけで。

つまるところ 買いたたかれるしかねえ。

弱い者に ツケが回るってなぁ 蔦重の言うとおりなんだよな。

おっ 大事ねえよ。

♬~

どうしたもんかねぇ。

ハハハ!

これ 自分で描いちまったんかい? おう。 フフフ!

ありのままだなぁ。

ありがとうございました!

女郎買いを指南する洒落本?

黄表紙じゃなくてか。

うん。 女郎と客の小話を通して 「いい客ってな こんなだよ」➡

「よくねえ客ってな こんなだ」って 分からせて➡

いい客を増やす 育てるって考えだよ。

それ 面白くなんのか?

歌さんの絵みてえにならねえかって。

歌の絵? ええ。

歌さんの絵は ありのままだから 面白えわけじゃねえですか。

小話も そういう具合にしてえなって。

いまひとつ ピンとこねえんだけど。

ええ? 面白くなると思うんだけど。

分かんねえ?

じゃあ あの ひとまず書いてみますんで。

話は… ねっ それからってことで。 ヘヘッ。

おう。

(太鼓の音)

(大崎)大奥は 既に倹約に努めております。

これ以上 何を削れと?

鈴木越後の羊羹を 日々使いにしておろう。➡

羊羹など 御膳所で作ることとすれば 十分の一のかかりで済む。

(定信)ほかにも 反物や小間物 参詣 遊山 まだまだ削れるところはある。

どうやら そなたは 倹約は苦手そうゆえ 私の方で指図をまとめておいた。

このとおりにするがよい。

大奥から 嘆願が参ったのでございますか?

(一橋治済)大奥が あまりに質素なのは 御公儀の威光に関わるとなぁ。

大奥の中なぞ 表に見せるものでもありますまいし➡

贅沢であれば 威厳があるというのも 浅薄極まりない考えかと存じますが。

大奥の女たちには 表に出る楽しみもない。

中で楽しむほどのことと 情けをかけてやってはくれぬか?

では 中の楽しみを減じぬような 倹約の手を➡

私の方で考えましょう。

(治済)お手柔らかにな。➡

それから 例の 朝廷よりの件は いかがとなっておる?

帝が お父君に 太上天皇の尊号を お贈りしたいという一件にございますか。

あれは 認めてもよいと思うがの。

特段 こちらに かかりをという話ではなし。

かしこまりました。

では 御三家にも はかりました上 私の方で 返答いたしておきましょう。

よろしくの。

そうじゃ➡

紀伊中納言様が ご体調を崩されておるそうじゃ。

中納言様が…。

お風邪と聞いておるが➡

もう よいお年であられるしなぁ。

(せきこみ)

(徳川治貞)聞くところによると 随分と下々を締めつけておるようじゃの。

そこを締めぬことには あるべき世の形とはなりませぬので。

先年 本居宣長という和学者に 政について意見を出させたのだが➡

物事を急に変えるのは よくないと言うておった。➡

そなたが間違っているとは思わぬが➡

急ぎ過ぎると 人は その変化に ついてこられぬのではないか?

心得ましてございまする。

悪をなくせると 思わぬ方がよいとも。

…悪を なくせるものではない?

全ての出来事は 神の御業の賜。

それを 善だ悪だと 我々が勝手に名付けておるだけでな。

まぁ 己の物差しだけで測るのは 危ういということだ。

世は思うがままには動かぬもの➡

そう 諫言した者を➡

私は 腹を切らせてしまいました。

その者の死に報いるためにも 私は…➡

我が信ずるところを 成しえねばなりませぬ!

(せきこみ)

⚟いらっしゃいませ!

(足音)

みの吉 来い。

何です?

これ 読んでみろ。 へえ。

指南書って話じゃなかったか?

ああ… 初めは そのつもりだったんですけど➡

どうも 女郎と客のありのままを書くのが 楽しくなっちまって➡

しまいにゃ 指南の方が こじつけに。

これじゃあ 出しても意味ねえですかね?

みの吉。

みの吉!

へえ! どうだ?

あ… 何ていうか➡

てめえが この場にいるような気になって。

俺だけじゃねえってことか…。

あの…。

どうも おかしな具合なんだよ。

景色が目に浮かんできて 出てくる女郎や客が 動いて喋って…。

そりゃ 俺が吉原育ちだからかって 思ってたんだけど➡

そういうことじゃねえんだよな みの吉。

みの吉?

…へえ!

そこに書いてある女郎のこと どう思った?

最初の話の女郎が ちょいと妹に似てまして➡

幸せになってほしいって。

これが 才ってやつか…。

女郎を 姉妹や知り合いのように思わせる。

幸せになってほしいと願わせる。

これ以上の指南書はございません。

うちで買い取らせてください。

(政演)ヘヘッ!

お高くお願いします!

(笑い声)

♬~

おや 惚れ直しんした?

直した 直した。

この暮れで わっちの年季は明けんすよ。

どうです? いっそ ず~っと手元に置くってのは。

こ~んな甲斐性のねえやつと 一緒になって どうすんだい。

俺ゃ あちこちで 遊ばせてもらってるだけのすかんぴんよ。

そこで➡

この一冊にござりんす。

何だい? それ。

人の道を指南してくれるという 心学の本。

心学とは 当時 流行した 「倹約 正直 勤勉」などを柱とした➡

庶民向けの教えです。

人の道ねぇ…。

この間 大和田さんって本屋が来て➡

先生とお仕事がしたいと わっちに それを言づけていかれんした。

礼は とびきり弾むと。

それ 今 流行っているのでござりんすよ。

あ~…。

女将さんは 「傾城買」お気に召しませんで?

はあ…。

2番目の話の女郎さんの客に 前の夫の影がよぎりまして。

そういう向きの人も…。

故に 私は今 心の底から➡

2番目の女郎さんの幸せを 願ってやみませぬ!

そう。

はい。

それ読んで ふんどしも願ってくんねえかね➡

てめえ以外の人に 幸せんなってほしいって。

太上天皇の尊号の一件は➡

不承知と返答したそうじゃの?

御尊号は 譲位された帝にのみ贈られる尊称。

帝のお望みでも 先例を破ること よろしからずと➡

御三家 老中とも まとまりましたゆえ➡

将軍補佐として 私が➡

然様に上奏するように 決しましてございます。

⚟殿!

何じゃ?

私に遠慮するな。 申すがよい。

申せ。

大奥より使いが参り 大崎殿が 老女の役を免ぜられたと。

(定信)大崎殿は 不正な蓄えのほか➡

老女の任に ふさわしからぬ行いも 多く見受けられ➡

お役を免ずべきと決しましてございます。

お約束どおり➡

楽しみを減ずることなく 倹約も かないましたかと。

どうも 田沼も真っ青な一存ぶりじゃが。

上様の命とあらば➡

いつでも お役を辞する覚悟にございます。➡

御金蔵の立て直し 武家の暮らし向き➡

市中の風俗取締り 蝦夷 朝廷➡

懸案は 山積み!

このお役目を引き受け 事を成しえるお方が ほかにあるならば➡

私は➡

いつでも退く覚悟にございます。

明けて寛政二年 正月。

蔦屋は無事 新刊を並べることができました。

私が書いた自信作にございます。

そうそう 蔦重作の黄表紙も なんとかかんとか 形にはなりました。

…が。

う~ん…。

今日は やめとくわ。

今日は…。

ありがとうございました!

⚟ありがとうございました!

面白えけどなぁ。

客足 よくねえな。

正月の縁起物も いよいよ倹約なのかねぇ。

倹約って…。

蔦屋さん。

ああ 鶴屋さん! あけまして おめでとうございます。

本年も よろしくお願いします。

(鶴屋)お願いします。

ところで これ知ってますか?

「心学早染草」… あ?

これ 政演が? ええ。 大和田っていう本屋から。

何か聞いてましたか? いえ 何も…。

心学って何だい?

神仏の教えに儒学を織り交ぜて 分かりやすく 「道徳」を説いたものです。

それは よい魂と悪い魂➡

善魂と 悪魂が➡

一人の男の体を巡って戦う話で➡

しまいには 善魂が勝利し➡

男は 善人として生きていくという それだけの話。

ですが 今でも使われる 善玉 悪玉という言葉は ここがルーツ。

つまり 長く読み継がれていくほど 出来のよい話で。

そう これは 越中守様が推し進める➡

「倹約 正直 勤勉」といった教えを➡

見事に エンタメ化したものでした。

鶴屋さん これ借ります。

蔦屋さん。

(扇屋宇右衛門)先生。➡

今年は こいつを もらってやっちゃくれないかねぇ。

身代金は安くしとくから。

まぁ ここから先 つとめんのも きついばかりだと思うんだよ。

馴染んで もう?

3年。 月の半分は ここに戻られんす。

ああ そりゃ もう女房じゃねえか!

毎月のお小遣いも。

もう おっかさんじゃねえか!

⚟(足音)

⚟政演! どこだ! 出てこい! ⚟落ち着いてください!

こりゃ いけねえ…。

どういうこった こりゃあ!

お前 こんな ふんどし担いで 何 考えてんだよ! おい。

おい 政演! (扇屋)おい 重三!

おい!

うわっ! あっ ちょっ こっちは…!

政演 戻れ!

面白くなかったですかい?

面白かったよ。

お前 こんな面白くされちゃ 皆 真似して➡

どんどん ふんどし担いじまうじゃねえかよ!

春町先生に 草葉の陰から 雷みてえな屁 ひられっぞ!

お… 面白けりゃ いいんじゃねえですかね?

あ?

面白えことこそ 黄表紙には いっち大事なんじゃねえですかね!

ふんどし担いでるとか 担いでねえとかよりも!

面白くなきゃ どのみち 黄表紙は先細りになっちまうよ!

それこそ 春町先生に 嵐みてえな屁 ひられるってもんじゃねえですかね!

何度 言やぁ 分かんだよ!

戯け者は ふんどしに抗ってかねえと➡

一つも戯けられねえ世に なっちまうんだよ!

俺 もう書かねえっす…。

あ?

蔦重さんとこでは 一切 書かねえっす!

黄表紙 浮世絵なぞ 初めから そんなものは出さねばよいのだ。

申し訳ございません!

てめえが ふんばる番じゃねえのかよ。 しくじったのは蔦重さんじゃねえですか!

申し訳ございません。 初めまして。

お指図を。 俺たち 役に立てっかな?

異国? いかねえで おきよさん…。

やはり 吉原はよいのう。

申し訳ございませんでした!

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