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(次郎兵衛)ご一緒に! 銀がふる!
(一同)銀がふる! 銀がふる! 銀がふる!
(蔦屋重三郎)銀がふる! 銀がふる! (一同)銀がふる! 銀がふる!➡
銀がふる! 銀がふる! 銀がふる!➡
銀がふる! 銀がふる!➡
銀がふる! 銀がふる!
では 何者かは分からず。
(三浦庄司) 長谷川殿から 事の知らせを受け➡
身元を調べさせたのだがな。
私が 生け捕りにできましたなら…。
(三浦)あの手の者は 捕まれば 自ら命を絶つのが常。
気にするな。
それより 当分の間 口にするものには気を付けた方がよいぞ。
口にするもの?
町人のそなたを さほど深追いするとも思えぬが➡
まぁ しばらくはな。
しかし とうとう巻き込んでしまったな。
いや 私は 自ら巻き込まれに 行ったようなものでございますから。
それはそれとし➡
こちら 打ちこわしの折の礼だ。
かように…。 頂き過ぎではございませぬか?
そなたの働きに 殿は満足しておられる。
遠慮するな。
では…。
ありがたく。
ところで 田沼様は いつ ご老中にお戻りになられますので?
打ちこわしを お収めなさるなど 大変なお手柄にございましょう。
いつごろかのう。
(みの吉)ああ ごめんよ!
うわっ! (みの吉)ごめんよ!
(てい)気になることでもおありで?
うん まぁ…。 ⚟(走る足音)
⚟(みの吉)ごめんよ! ごめんよ ごめんよ!
いらっしゃいませ! いらっしゃいませ!
旦那様! おう。
旦那様 女将さん これ!
おっ 新しいご老中。
あ?
何で 田沼様じゃねえんだよ!
分かりません。
打ちこわしの一月後➡
天明七年六月十九日。
松平越中守様は 老中首座に抜擢されました。
♬~
さあさあ 新しいご老中様だ!
ごぼう抜きのお取り立て! あの吉宗公のお孫様だよ!
へえ!
陸奥の白河のお殿様が まだかまだかと待ち望まれて➡
とうとう この度 新しいご老中様にお就きになった。
何が すごいってね この人➡
江戸の米不足をお嘆きになって お国の米を何百俵と…。
吉宗公のお孫様登用という出来事に 市中の期待は膨れ上がり➡
越中守様の話題で 持ちきりとなっておりました。
(ナベ)はあ~! まだ三十になったばかりだってさ!
へえ すごいね! ねえ!
(烏亭焉馬) 若えのに 政の腕がいいんだってな。
白河じゃ 飢えて死んだやつ いないらしいですよ。
んじゃ もう 江戸も➡
二度と おまんまの食い上げってことには ならねえな。
むしろ たらふくじゃねえですか? そうだよな!
(マツ)へえ! 柔術で 大きな熊を倒したんだって!
(タケ)知ってるよ! 五つの時には 「論語」をそらんじたんだろ?
(ウメ)違うね 生まれてすぐって話だよ!
ねえ!
はあ~!
(水野為長) 「まさか このお方が こうなろうとは➡
御年は若し 末頼もしく思うのは 松平越中守」。
読売に提灯持ちをさせたのは 大当たりでございましたね!
もはや 吉宗公のお孫様ではなく➡
吉宗公の生まれ変わりとまで 言われておりますよ!
越中守様が手にしたのは 世間の噂。
市中や城中で起こる出来事を➡
漏れなく把握するべく つとめていたのです。
完璧主義ですね。
(松平定信)私が 莫大な賂を贈り➡
老中になったのであろうと言っておる この者➡
素性を確かめておけ。
聞いたか。
これを 読売に。
こちらは?
私の世直しの第一歩を記したものである。
ここって田沼の手先なんだろ? ああ 今どき 流行んねえよな。
百姓の直訴 かごから降りて聞いたんだってね。
越中守様って お優しいのねぇ。
(つよ)あんたも ひとつ 錦絵でも出しちゃどうだい?
あ? 越中守様を う~んと男前に描いてさ。
黄表紙は どうです?
素性を隠した越中守様が大暴れ! あっ そりゃ売れそうだね!
うさんくせえと思わねえのかよ! あの ふんどし野郎。
ええ? ふんどし野郎?
打ちこわしを収めたのは 田沼様だ。
それを さも てめえが収めたような面して ご老中んなったんだろ。
人のふんどしで相撲取った ふんどし野郎じゃねえか。
(戸が開く音) (てい)なれど➡
打ちこわしを引き起こしたのも また 田沼様かと。
お帰り。 お帰りなさいませ。
己で引き起こしたものを 己で収めた。
それは お手柄ではなく➡
帳尻合わせをしただけと 見なされたのではないでしょうか。
…かもしんねえけどよ。
ご老中から 新たなお達しがあったようです。
(徳川家斉)では 越中守。
(定信)はっ。
賢明なる各々方には 今更 言うまでもないが➡
今 この国は 「田沼病」にかかっておる!
(松平康福)田沼病?
(定信)「田沼病」とは 「奢侈」に やたらと憧れる病である。
「奢侈」をしたいがために 武家は恥を忘れ 賂をもらうことに血道を上げた。
商人は徳を忘れ 己が儲けることばかり考え➡
百姓は分を忘れ 田畑を捨て 江戸に出てきた。
上から下まで 己の欲を満たすことばかり考え➡
わがまま放題に振る舞った。➡
その行き着いた先が 先日の打ちこわしである。➡
田沼病は 恐ろしい病だ。
人の心を蝕み やがて それは 世の成り立ちさえ脅かす。
これを治すための薬は ただ一つ。
万民が 「質素倹約」を旨とした➡
享保の世にならうことである!➡
上下打ち揃って 倹約につとめ➡
遊興に溺るることなく➡
それぞれの分を全うすべく つとめるべし。➡
武士は文武につとめ 世を守り 百姓は耕作につとめ 世を支え➡
そのほかの者は 世に尽くすべし!
(一同)はっ!
(みの吉)「さすれば 世は万民にとり 住みよいものとなろう」。
とんでもねえな ふんどしは。
倹約に励み 分をわきまえ働く。
私には 至極まっとうなことを おっしゃってるように思えますが。
そうだよねぇ。 正気で言ってんのかよ。
逆に 旦那様は どの辺りが正気でないと?
あ? そいつはな 世のため 死ぬまで働け 遊ぶな 贅沢すんなって言ってんだよ。
んなの どう とったって 正気の沙汰じゃねえだろうが。
お言葉ですが 働くな 死ぬまで遊べ 贅沢しろでは 世は成り立ちませぬかと。
じゃあ おていさんは 死ぬまで働きづめでいいんですか?
放蕩の末 身を持ち崩すよりは ましかと存じます。
じゃあさ! 派手に遊び回る方を➡
通だの 粋だのと もてはやす。
そもそも 今までの世が とち狂っていた!
…と 皆様 言っておいででした。
あ? 皆様って どこの誰様なんだよ?
世間様にございます!
何だよ 何で 眼鏡取んだよ!旦那様。
明鏡止水にございます。
何だよ それ。 新しいご老中のお考えは➡
極めて まっとうで 皆は喜んでいる。
それは本屋にとり➡
大事なことではないでしょうか!
あ~…。
♬~
♬~
(次郎兵衛) で 喧嘩になっちまったのかい?
そうなんだよ! 旦那様は 死んでも倹約なんかしないって言うし➡
女将さんは 躍起になって倹約しだして。
まだ使えますかと。
(次郎兵衛)重三は 意固地なタチじゃないんだけどねぇ。
田沼様への肩入れかね。
うちは 田沼贔屓って 見られちまってるし➡
今は余計なことしない方が いいと思うんだけどね。
あいつ 何やろうとしてんの?
⚟(笑い声)
わあ…。
いいでしょう。 見惚れるでしょう?
うん。
これを 豪華な狂歌絵本にしようと思ってんです。
いい紙 いい顔料で 金銀雲英も使って。
(一同)おお~!
彫は 藤一宗さんで!
(一同)と… 藤一宗!? ええ。
(宿屋飯盛)よく受けてもらえましたね!
まぁ こいつは 相当かかりましたけどね。
(朱楽菅江) けど 倹約しろって出たばっかりだろ。
そんな豪華な本 買ってもらえんのかい?
倹約なんて 三日で飽きまさ。
年明ける頃には 貯まっちまった 宵越しの銭を使いたくて➡
うずうずしまさ! (笑い声)
(元木網)まぁ 江戸っ子は三日法度か。 へえ。(笑い声)
(智恵内子)で お題は何にすんだい?
お題はですね…。 ⚟お連れ様にございます。
(一同)おっ。 (木網)おお! 赤良先生 遅かったねぇ。
(内子)蔦重が また ふざけたこと考えててさ。ヘヘヘ!
(大田南畝) 俺は もう 狂歌も戯作もやめる。
筆を折る。
(笑い声) またまた。
何があったんですか?
あ! みほざきに やめてとでも言われましたか?
(笑い声)
俺は罰せられるかもしれんのだ…。
どうしたんですか?
お偉い方に 折り入って話があると呼ばれてな。
(本多忠籌)面を上げよ。
(本多)大田直次郎 別名 大田… 南畝。➡
フッ あからあからと子供まで知る 四方赤良であるな。
…お恥ずかしい話にございますが➡
小禄ゆえ 文筆にて糊口をしのいでおりました。
何卒 ご寛恕いただければ…。
(本多)事情は存じておる。
そなたの作る 歌 文 詩は➡
ふざけてはおるが 深い学識に裏打ちされたものだと➡
越中守様も仰せじゃ。
過分なお言葉 ありがたく存じまする!
故に ひとつ➡
これを見てほしいのだが。
「世の中に 蚊ほどうるさきものはなし➡
ぶんぶといふて 夜も寝られず」。
ほう… おお!
なかなかに お上手にございますな。
文武と蚊の羽音をかけられたので。
(本多) これは そなたの作だと噂になっておる。
ち… 違います!
えっ?
私は てっきり 本多様のお歌かと…。
わしが かような戯歌を作ると申すのか?
いえ… その…➡
しかし この歌は まこと それがしの作ではございませぬ!
私は めでたい歌を詠むことを 信条としております!
人様を貶める歌は 決して詠みませぬ!
(松平信明) だが その歌を うまいと申した。➡
それは 越中守様を ぶんぶとうるさい蚊と 思ってはおるということであろう!➡
その心根は 由々しきものと 断ぜざるをえぬ。
そ… そ…。
そなたの処遇については 追って沙汰をする。
それ ほんとの話なんですか?
(南畝)嘘をついて 俺に何の得がある…。
だって 戯歌一つで処罰なんて 何の得が…。
見せしめ… とかですかね?
(一同)いやいや…。 (笑い声)
今までのように戯けたら お縄になるぞ とか?
(唐来三和)そんな…。
これからは 狂歌 詠んだら 咎められるかもしんないってことか?
然様なことにはなりゃしませんでしょう。
そうそう たかが虫の歌…。
蚊の歌で呼び出し…。
ハハハハ…。
ええ? まさか…。
はあ… ふんどしめ…。
一生 ふんどしが取れねえ 呪いに かかっちまえってんだ。
さあさあ 寄ってきな! 我らが越中守様が またまた やってくださったよ!
田沼の悪党どもを やっつけてくださったって話だ!
商人から 賂をもらって 私腹を肥やしていた役人どもを➡
まとめて処罰したってんだからさ こりゃ大変だ!さすがだねぇ!
何が大変って まいない田沼一派のお侍だ!
1枚 もらっていいかい? 次は拙者か 身共か それがしかってんで➡
青ざめながら登城してるって話だよ!
さあさあ 腐った役人の名を 知りたかったら 買っとくれ!
田沼派の不正役人を一斉処罰…。
こっちにもくれ!
土山様?
あっ いらっしゃいませ。 お帰りなさいませ!
(みの吉)旦那様! ああ みの吉。
俺ゃ ちと吉原行ってくる。 実は 大文字屋さんがお越しで。
(大文字屋市兵衛) 重三 ちょいちょい ちょいちょい。
カボチャさん これ 土山様が処罰って…。
そうなんだよ。
しかも 土山様 逐電しちまったんだよ。
逐電って 何で…。
分からねえけど 逐電するほどの罰が 下りそうだってことじゃねえかな。
けど… もう罰は受けてやしませんでした?
だから こりゃ もう➡
「見せしめ」だよ。
え…。
…ねえ これって まさか➡
うちにまで累が及ぶって話じゃないよね?
んなわけあるかよ。 俺ゃ 土山様と歌詠んでただけだ。
なれど 土山様の汚れたお金で 共に遊興に耽ったとも言えますよね。
あ? それを罪とし➡
「見せしめ」にということは ありえるのではないでしょうか。
何 他人事みてえに言ってんだよ。 おていさんは この店の女将だろ!
だからこそ 最も悪いことを申し上げております!
私は 一度 店を潰しております。
二度目は ごめんですから。
お気持ちは分かります。
ですが 今は 己の気持ちを押し通す手ではなく➡
店を守る手を打っていただきたく。
♬~
明鏡止水。
世のあるがまま。
皆が喜ぶのは ふんどしを上げ 田沼様を下げるもの。
でも…。
詩は李白 書は弘法に 狂歌 俺。
…なんてな! (笑い声)
「鰻に寄する恋」。
俺たちは 屁だぁ~!
♬~
はっ! はっ!
(平賀源内)自らの思いに由ってのみ➡
「我が心のまま」に生きる。
♬~
はあ…。
(虫の声)
(田沼意次)何かあったか?
まさか そなたにまで累が?
いえ 然様なことでは。
そうか。
何かあれば 遠慮のう申せ。
今となっては 力になれるかどうか 怪しいがな。
ハハハ…。
田沼様。
私は 先の上様のもと 田沼様が作り出した世が好きでした。
皆が欲まみれで いいかげんで。
でも だからこそ 分を越えて親しみ 心のままに生きられる隙間があった。
吉原の引手茶屋の拾い子が 日本橋の本屋にもなれるような。
俺も お前と同じ成り上がりであるからな。
持たざる者には よかったのかもしれぬ。
けれど 持てる側からしたら➡
憤懣やる方ない世でもあったはず。
今度は そっちの方が➡
正反対の世を目指すのは➡
まぁ 当然の流れだ。
はあ…。
田沼様➡
私は 書を以て➡
その流れに抗いたく存じます。
最後の田沼様の一派として。
田沼様の世の風を守りたいと思います。
ただ そのためには➡
田沼様の名を➡
貶めてしまうかもしれません。
いや…➡
貶めます。
そこは お許しいただけますでしょうか。
「許さぬ」などと申せるはずがなかろう。
もし そんなことをしたら 源内が あの世から 雷を落としてこよう。
ハハハハハハハハ!
好きにするがいい。
自らに由として「我が心のまま」にじゃ。
田沼様➡
ありがた山の寒がらすにございます!
こちらこそ➡
かたじけ茄子だ。
(笑い声)
♬~
あれは 何をしておられるので?
(意次)家中の役目を 皆の入れ札で決めてみようかと思うてな。
皆で入れ札にございますか。 (意次)うむ。
誰に何の役目を頼むかというのは 常に 上が決めることだが➡
別に皆の考えで決めても いいのではと思うてな。
これを 国を挙げてやったら 面白いことになると思わぬか?
世は ひっくり返るかもしれぬ。
(笑い声)
田沼様ってなぁ…。 べらぼうでござろう?
では すまぬが ここで。 へえ。
楽しみにしてるぞ ありがた山。
♬~
⚟(本多)面を上げよ 田沼主殿頭。
♬~
沙汰を申しつける。
軽輩から成り上がり➡
老中まで上り詰めた政治家 田沼意次。
進取の気性に富み➡
最後まで 新しき政の仕組みを考え続けた 人生であったと言われています。
(朋誠堂喜三二) 何だい? この辛気くさいなりは。
(笑い声)
皆様 本日は お運びいただき ありがた山にございます。
(喜三二) そうだよ。 改まって何の話だい? 蔦重。
悪いけど 金ならねえよ。
(笑い声) (北尾政演)え? 皆で吉原行くんですよね。
大文字屋 扇屋 どうしますか? (笑い声)
楽しいですよねぇ ふざけるってなぁ。
けど これから先 ふざけりゃ お縄になる世が来ると思ってます。
…またまた~。 (笑い声)
新しいご老中 私ゃ ふんどしの守って呼んでんですが。
(笑い声) その ふんどしが言うには➡
万民 倹約を心がけ 遊興に溺れず 分をわきまえ つとめろと。
そうすりゃ いい世になるって話でさ。
まぁ まっとうだ 正しい ごもっとも。
けど その正しさから はみ出るやつは許さねえ➡
戯歌一つで沙汰を待てなんてなぁ まぁ 頂けねえと思うんでさ。
そりゃ いくら何でも野暮が過ぎる。
そう思いませんか?
(勝川春章) 確かに 粋なやつのやるこっちゃねえな。
ああ。 そうだな。
まぁ 粋だの 野暮だの➡
ふんどしにとっちゃ どうでもいいんでしょ。
恐らく 世の大方にとっても。
その証しに 世の大方は ふんどしのやることなすことに大喜びだ。
ふんどしについてきゃ てめえらに いい世を作ってくれると信じてる。
けど どうも まやかしにしか思えねえんでさ。
(恋川春町)まやかし? ええ。
倹約を心がけ 遊興に溺れず 分をわきまえ つとめろってなぁ➡
裏を返しゃ 死ぬまで働け 遊ぶな 贅沢すんなってことじゃねえですか。
そんなの 誰が楽しいんです?
面白えんです?
面白えのは ただ一人で➡
世を てめえの思う形にしてえ ふんどし野郎だけじゃねえですか!
これから先➡
ふんどし以外は ちっとも面白くねえ世が 来ると思ってまさ。
遊ぶことも 戯けることも よしとされねえ➡
正しくて 厳しくて 息の詰まるような。
俺ゃ そんなの ごめんだし➡
遊ぶななんて言われちゃ うちの商いは 上がったりやの かんかん坊主!
(笑い声)
だから この流れに 書を以て 抗いてえと思います。
皆様➡
力を お貸しくだせえ。
書を以て 抗う?
(喜三二)…どうだろう まぁ。 (笑い声)
(政演)よし 吉原で仕切り直しましょ! (喜三二)ああ そうだな!
蔦重! 書を以て➡
一体 どんな書を以て 抗うのだ?
ふんどしのご政道を からかう➡
黄表紙を出してえと思ってます。
♬~
ありえぬ! 御公儀をからかうなど 首が飛ぶぞ!
そもそも お上をネタにすることすら 禁じられてなかったか?
確かに 建て前は そうなんですが だとすると➡
これが野放しにされてんのが 不思議じゃねえですか?
ここんとこ 読売は やたら➡
ふんどしや政について書くようになった。
しかも 読売とは思えねえほど ネタが確か。
こりゃ 一体…。
お上が ネタを漏らして書かせてる?
ご名答! 調べてみたら 案の定 ふんどしが やらせてましたさ。
しかし それは 頼まれておるわけで➡
ネタにするのとは 訳が違おう! 仰せのとおり。
でも その黄表紙が➡
田沼様をたたくものなら どうです?
てめえのいい噂を➡
金払って 書かせるようなやつですよ。
極悪人 田沼をたたいて➡
ふんどしの守様を持ち上げりゃ➡
これ幸いと見逃すんじゃねえですか?
(つよ)しかも売れそうだね そりゃ!
おう そこも ねらいだよ。
(北尾政美) けど ふんどしを持ち上げるって➡
からかうんじゃありませんでしたっけ?
(北尾重政) 一見 持ち上げてると見せ その実➡
からかうってことじゃねえか? さすが 重政先生。
一つは そういう向きの黄表紙を出します。
それから もう一つは…。
♬~
これです。
倹約流行りの世の中に➡
目玉が飛び出るほど豪華な 狂歌絵本を出します!
(喜多川歌麿)あ… その絵 そうなるの!? おう。
ってことで 南畝先生。
俺は やらぬぞ。
やらぬと言ったはずだ。
俺は 贅を尽くしたもんを作りてえんです。
贅沢すんなって言われても 欲しくてたまんなくなるような。
けど 四方赤良の狂歌がねえ 狂歌絵本は➡
贅を尽くしたとは言えねえ。
どうか 一首 寄せてもらえませんか?
俺ゃ 狂歌ってなぁ 素晴らしい遊びだと思ってまさ。
意味もねえ くだらねえ ただただ面白え。
これぞ無駄 これぞ遊び これぞ贅沢!
しかも 身一つでできる心の贅沢だ。
だから 上から下まで遊んだ。
分を越えて 遊べた。
これぞ 四方赤良が生み出した 天明の歌狂いです。
俺ゃ それを守りてえと思ってます。
南畝先生は どうです?
♬~
毛虫に寄せる恋。
毛虫が勢い込んで 夜這いをしたとこで 振られちまうよなってとこですか。
(笑い声)
綺麗事を引っぺがして お前の本性を暴いてやる!
…とも とれますね。
屁だ。
え?
戯歌一つ詠めぬ世など…➡
屁だ!
おお! うん!
あ それ! へ! へ!
(一同)へ! へ! へ! へ!➡
へ! へ! へ! へ!➡
へ! へ! へ! へ! へ! へ! へ! へ!➡
へ! へ! へ! へ! へ!➡
へ! へ! へ!
へ! へ! へ! へ! へ! (一同)へ! へ! へ! へ! へ!➡
へ! へ! へ! へ! へ! へ! へ!➡
へ! へ! へ! へ! へ!➡
へ! へ! へ! へ! へ!➡
へ! へ! へ!
⚟へ! へ! へ! へ! へ!
田沼は更に2万7千石の没収と 相良城も取り壊しですか。
田沼の者をたたけば たたくほど 民は喜ぶ➡
私の評判は上がるからな。
こちら 文武出精 文武に秀でた者たちの報告にございます。
お目通しを。
文武出精?
今 ふんどしは 文武に秀でた者を取り立てようと➡
人を探しておるのだ。
それで見つかっておるのか? 文武に秀でた者は。
それが…➡
文にも武にも通じぬ ぬらくら侍ばかりって話で。
皆 遊び呆けておったわけだからなぁ。 ハハハハハ!
ああ それ いいですねぇ。
(喜三二)ん? いや 文武に…。
(鳥山石燕)う~ん!
おお~!
へえ~!
ちっぽけな虫の恋を お前➡
キンキン キラキラにして!
酔狂よのう。 へえ。
先生 ひとつ お願いがございまして。
こりゃ 歌麿の門出ともなる本なんで 本に載せる祝いの言葉を頼みてえんです。
お願いできませんか?
そりゃ ちょいと➡
硯の魂に相談してみねえとなぁ。
ヘヘヘヘ!
そして 十二月。
土山宗次郎 公金横領の罪にて斬首。
妾 誰袖は 押込の刑。
うわ~!
松本秀持➡
土山の監督不行届の罪にて➡
百石没収の上 逼塞。
田沼派への粛清は 未だやまぬ中➡
迎えた 天明八年 年明け。
ご政道をからかった 3冊の黄表紙が出版されました。
朋誠堂喜三二作「文武二道万石通」。
恋川春町作「悦贔屓蝦夷押領」。
山東京伝作「時代世話二挺皷」。
そして かつてないほど豪華な狂歌絵本➡
「画本虫撰」➡
…などが 蔦屋の軒先を飾ったのでした。
(かしわ手)
ふう…。
今年 売り出された本にございます。
「文武二道万石通」。
私は これは出せば危ないと存じます。
べらぼうめ! 馬鹿にしておられるのか!?
からかいではなく…。 トンチキ。
凧を揚げたら 国が治まるなど…。
馬鹿にしておるとは言えませぬか? は?
俺 ちゃんとしてえんだ。 所帯を持とうと思って。
何者じゃ? そなたは。
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