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《燃やせ 燃やせ 燃やせ燃やせ!
燃やせ 燃やせ 燃やせ! 燃やすんだ 民生!》
<「絶メシ」。
それは…>
<失ってしまうには あまりにも惜しい
歴史が積み重ねた その味と 味わい。
これは 平日に くたびれたサラリーマンが
そんな 絶メシに出会う
週末1泊2日の物語。
それでは 案内を開始します>
ただいま! おかえり。
何? それ。
取引先の部長さんから バウムクーヘン いただきました。
やった~ 食べる?
食べようかな。 うん。
そういえば 健康診断の結果 届いてたわよ。
そこ。 あっ ホントだ。
はい どうぞ。 あっ ありがとう。
《まぁ 今年も そこまで 異常なさそうかな…。
A A A A…。
B F… F!》
どうしたの?
F…。 F?
脂質の判定が F。
要精密検査だって。
ホントだ。 内臓脂肪 多いんだね。
運動とかしてないんでしょ?
うん 太らないから油断してた。
毎週 旅先で 結構 脂っぽいもん 食べてるから
それで Fになったんじゃない?
脂っぽいもの?
《食べてる… 食べてる…。
食べてる 食べてる 食べてる 食べてる!》
このままだと 行けなくなっちゃうね。
<目的地まで 42キロ 1時間5分くらい かかります>
《嫌だ… 嫌だ 嫌だ 嫌だ 嫌だ!
この旅に 行けないなんて!
これから ちょっとずつ 改善していけばいいんだ。
とりあえず その第一歩として…》
効いてくれ~!
♪~
《森の香りが濃い…。
ここが 東京だなんて…》
《私は今 自然の真っただ中にいる。
聞こえてくるのは 鳥のさえずり。
川のせせらぎ》
[モニタ]腹筋を 割っていっちゃいましょう!
[モニタ]きついですが 一緒に乗り越えましょう!
《インストラクターの雄たけび》
[モニタ]昨日の自分を 今日は 超えていっちゃいましょう!
[モニタ]両手でしっかり 床を押します。
[モニタ]次は プランクひねりです。
[モニタ]バランスをとるのが難しいですが
お尻の位置は なるべく 変わらないようにしましょう。
[モニタ]うちらなら できます!
《民生なら できる。
一つだけ わかったことがある。
車中泊と エクササイズの相性は悪い》
おなかが はちきれそうでしたね。 お疲れさまでした~。
ハイタッチ! よく頑張りました。
自分もナデナデ みんなも ナデナデ。 お疲れさまでした。
♪~
《早くも筋肉痛が…。
慣れない エクササイズのせいか…》
《きれいな川だ。
よし》
♪~
《燃やせ 燃やせ 燃やすんだ 民生!》
♪~
《燃やせ 燃やせ 燃やせ燃やせ!
燃やせ 燃やせ 燃やせ 燃やすんだ 民生!》
はい。
うおっ。 ファイト!
♪~
あ~っ はぁ~!
さて いただきに行きますか。
なっ…。
♪~
《今回は 揚げ物とか こってり系は 避けようかな…》
あっ!
《見つけてしまった。
今の私にとっては キラーフレーズ。
それにしても なかなか 年季が入った建物。
森に飲み込まれそうだ。
店の名前は…。
奥多摩釜めしでいいのかな?》
《大きい釜もあるし。
釜めしなら ヘルシーな感じもあるし 店の気配もいい。
丹田に力を入れて… 突入だ!》
よし。
《おぉ 早速 いろいろ売ってる》
《安い。
こういうの 旅先の気分で
ついつい 買っちゃいそうに なるんだよな》
《清潔感もあって 広々とした店内。
畳敷きなのもいいぞ。
しかも 待てよ》
おわ~。
《リバービュー 森に囲まれた 癒やしのリバービュー》
あっ あぁ… ごめんなさいね 何名様ですか?
あっ 1人なんですけど。 よかったら 川 見える席 どうぞ。
えっ いいんですか? あぁ どうぞ どうぞ!
まぁ 座っちゃうと 川 見えなくなっちゃうんですけど。
どうぞ。 今 お水 お持ちしますね。
《こんな いい席 いいんだ》
《あの店員さん てきぱきしてるし
気配りも ありがたい》
《いいところだ。
あれは 秋川かな?》
多摩川ですよ。 あっ 多摩川ですか。
《今 心を読まれた?》
あの いいお店ですね。 どれくらい やられてるんですか?
あ~ もう 50年近くなりますかね。
もうすぐ 畳んじゃうんですけど。
えっ? すみませ~ん お会計で。
あっ は~い。
《今 さらっと すごいこと言ってたぞ。
え? ここ なくなっちゃうの?
店員さんも若いし お店も繁盛してるし
寂れた雰囲気もないのに… 聞き間違えかな?》
あの~ おいしかったけど。 あっ ありがとうございます。
なんか もう もうすぐ やめちゃうの?
表に書いてたけど。 そうなんですよ。
やめちゃうんですよ もうちょっとで。
《聞き間違えじゃなかった。 となると
この注文が 最初で最後。
ヤバい 緊張してきた。 何 頼もう?》
《脂質判定は Fだが 最後だし
頼んでいいだろう 看板メニュー》
お決まりですか? はい。
奥多摩釜めしセットで お願いします。
はい。
《待てよ そもそも セットって 何がつくんだ?
揚げ物とか ついてこないよな?》
あっ セットは 釜めしと水炊きに
漬物と お味噌汁。 あと つき出しが ついてきますから。
あっ はい。
《また 心を読まれた。 あのお姉さん できる。
ならば 心で聞いてみよう》
《なんでやめちゃうんですか~? このお店…》
どうかされました? あっ いえ…。
《さすがに 届かないか…》
これ お先にどうぞ。
《おっ シンプルなじゃがいもと 温玉…。
おっ 入り口で売ってた 竹の箸置き。
料理と並ぶと 雰囲気 出るな~》
では いただきます。
《まずは こちらの じゃがいも》
《うん うまい。
いい土で育った芋。
早速 体によさそう。
そして この景色… 目にもよさそう。
次は 温玉》
《黄身自体の味が濃くて 力が湧いてくる》
ありがとうございました。
ごちそうさまでした。 ありがとうございます。
お待たせしました。
奥多摩釜めしセットです。
ありがとうございます。 どうぞ。
《ん? このレモンは…》
あっ このレモンは 水炊きに入れてください。
あっ はい。
《このあたりは 簡単に読まれるな》
いただきます。
《まず 味噌汁》
《あ~ 落ち着く。
脂質Fの体にしみ渡る。
ああ 体によさそう。
そして 目にもよさそう。
では 続いて 水炊きかな。
見るからに優しい》
《あ~ 案の定 優しい。
薄味といえば 薄味だけど
それゆえに 豆腐の味が よくわかる。
では レモンも入れて》
《うん レモンの酸味が 素材と合い そして 引き立てる。
うまい 優しい。
あったまったところで いざ 釜めし!》
《まずは ごぼうゾーンから 攻略していくか》
《おっ 素材が前面に出てくる。 うまい!
次は にんじんに攻め込む》
《あま~い!
かぼちゃも やっぱり…》
《あま~い! 体によさそう。
ああ そして 目によさそう》
《すべての味の主役は 素材。
このよさが わかる自分。
少し大人になった気分。 でも
なんで なくなっちゃうんだ? このお店》
味 薄くないですか? あっ いえ 絶妙です。
ホント 体によさそうですね。
もともとは おじいちゃんが…。
あっ ここの創業者なんですけど 体が弱くて…。
で 自分に合った食事を作りたくて できたんです その釜めし。
へぇ~。
4年前に 亡くなっちゃいましたけど。
でも 94歳まで生きましたからね。
94歳。 はい。
ホントに健康になったんですね。
私も おじいちゃんの 釜めしが好きで…。
で 小さい頃から よく食べてたんです。
小さい頃から? はい。
私 赤ちゃんの頃から ここに出入りしてたんですよ。
あっ 母親の背中に おんぶされながら。
小学校の頃には
よく お店の お手伝いもしていて…。
((お待たせしました 釜めしです。
ありがとう 晴菜ちゃん いつも偉いね。
ありがとうございます。
片づけてきたよ。 ああ ありがとう。
うん。 晴菜 釜めし食べるか?
うん 食べる! おお そうか。
はい できたよ。
いただきます! はい 召し上がれ。
う~ん おいしい!
よかった ハハッ…。 うん))
♪~
あれから ずっと
今でも大好きなんですよ。
元気が しみ渡る感じがして。
《そっか お姉さんの 素早い身のこなしも
テレパシー並みの気配りも
この釜めしによって 培われたものなんだな。
でも もうすぐ やめちゃうんだよな》
あっ あの…。
はい。
なんで やめちゃうんですか? お店。
あぁ… おじいちゃんが亡くなったあと
おじが この店 継いだんですけど ちょっと前に骨折しちゃって…。
えっ? 今は 私の母と親戚のおばさんで
回してるんですけど… まぁそれもね なかなか大変で…。
そうなんですね。
この釜めしと お店は
私が 小さい頃から 当たり前のようにあって
たくさんの お客さんと出会えたり
たくさんの思い出が 詰まった場所なので…。
まぁ さみしいは さみしいんですけど…。
(引き戸が開く音)
あっ いらっしゃいませ!
ああ お久しぶりです。
《本当に あとちょっとしか 食べられないんだよな…。
よし これが 最終決戦。
いざ 釜めし!》
♪~
はぁ~ ごちそうさまでした!
《しみ渡った~》
しみ渡りました?
は… はい。
長い間の営業 たいへん お疲れさまでした。
ありがとうございます。 でも
いつかは 再開したいと思ってるんです。
えっ? すごく 悩んだんです。
本当に なくしちゃって いいのかな~って。
小さな頃から大切な場所ですし
ずっと通ってくださる 常連さんもいますから。
だから いったんは閉めますけど
何らかの形で おじいちゃんの釜めしを
受け継いでいきたいって 思ってるんです。
そしたら また 食べに来ますね。
あっ はい ぜひ お待ちしてます。
《癒やしの リバービューとともにいただく
体においしい絶品釜めし 愉宇。
ここも また 絶えてしまうかもしれない
絶品メシ。 そして
再び よみがえる未来を感じる 絶品メシでもあった》
♪~
いらっしゃいませ~。
おぉ~。
いただきます。
♪~
《またいつか 会える日を願って》
うまっ!
《絶メシ フォーエバー!》
えっ?
佳苗 いる? 誰か来てるの?
佳苗? 佳苗?
佳苗?
おかえり。 あっ いたんだ。
あっ ねぇ 誰か来てるの? なんで?
玄関に 男物のスニーカー あったから。
あ~ あれ…。
あなたのために買ってきたのよ。
俺に? 教室の月謝が入ったから。
ほら 健康診断の結果 気にしてたでしょ?
たまには 一緒に歩こうかなと思って。
そうだったんだ。
長生きしてもらわないと 困るからね。
佳苗 ありがとう。
あっ そうだ! あの これ
お礼と言っちゃなんだけど…。
箸置き。 おそろい。
ありがとう。 ハハッ…。
そういえばさ さっき一瞬 私のこと 疑ったでしょ?
えっ あっ それは…。
ごめんなさい。
いいよ。 フフッ…。
靴って 夜 おろしていいんだっけ?
え? そういうの 気にすんだっけ?
もう 早く行こう。 あっ もう ちょっと トイレ。
え~ もう 暗くなっちゃうよ。 早く 早く早く。
えっ えぇ~ ちょっ…。
<今週も お疲れさまでした。 また お会いしましょう>
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