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♪「渡良瀬橋で見る夕日を」
♪「あなたはとても好きだったわ」
夕日が きれい。
ホントだよな~。
<「絶メシ」。
それは…>
<失ってしまうには あまりにも惜しい
歴史が積み重ねた その味と 味わい。
これは 平日に くたびれたサラリーマンが
そんな 絶メシに出会う
週末1泊2日の物語。
それでは 案内を開始します>
ただいま~。 紬 違うわよ~。
いらなくなったものじゃない。
いるかな~って思って送ったの。
フフッ… 1人暮らしってさぁ そういうの 必要でしょ?
あっ 賞味期限 切れてた?
ごめん フフフ…。
あっ うんうんうん うん じゃあ 頑張ってね~。
は~い じゃあね~。
どうしたの? なんか 言っとくことあった?
あっ いや 別に そういうわけじゃないけど…。
どう? 元気そうだった? うん。
なんか 困ってることとかあった?
特に ないんじゃない? あっ そっか。
じゃあ あれかな サークルとかも なんか 入ってるのかな?
あ~ 聞いてない。 入ってないんじゃない?
そういう話は しないの?
してないわよ。
あの子だって そういうの言うの 恥ずかしいんでしょ。
そっか…。 っていうかさぁ
そんな 聞きたいことがあるんだったら
自分で聞けば よかったんじゃない?
いや あの そんな 大した あれじゃないから。
うん うん…。 もしかして
電話 代わってほしかった? 別に そういうわけじゃ…。
そうなら そうって言ってよ。
夫婦だからって なんでも
気付いてもらえるって思ってたら 大間違いだよ!
はい…。
今週も行くんでしょ? 野宿。
車中泊ね。
さっきから ソワソワしてる。
それくらいは 気付いてんのよ。
うん…。
<目的地まで 112キロ。
1時間58分くらい かかります>
<週末 私は ちょっとした旅に出る。
1人だけの時間を 満喫できる
私の 小さな大冒険。
ルールは 3つ。 その1。
期間は 金曜日の帰宅後から
妻の教室が終わる 土曜日の夕方までの 1泊2日。
その2。
誰も 誘わない。
誰も 巻き込まない。
その3。
高速代 ガソリン代 食費
いろいろ含め 小遣いの範囲内に収める。
そのために 必要不可欠なのは
車中泊…>
((なんでも
気付いてもらえるって思ってたら 大間違いだよ!))
《大間違い… か…。
でも
気付いてほしいことも あるんだよな~》
((《紬 元気にしてるかな~》
♪~
《これで よし!》))
《気付いてるかな~。
まさか 捨ててないといいけど…》
はぁ~。
(いびき)
♪~
(一同) いち に いち に いち に…。
うっ はぁ~っ!
おはようございます!
《せっかくだから
見ておきたい 渡良瀬橋》
♪「渡良瀬橋で見る夕日を」
♪「あなたはとても好きだったわ」
《やっぱり ここは 夕日も見てみたい》
♪~
《気持ちの仕送りも 追加しよう》
(かしわ手)
紬に すてきな出会いが ありますように!
さて いただきにいきますか…。
(鼻歌)
《えぇ!
今 何か見えたような…》
やっぱり…。
《この トンネルの向こうは
不思議の町でした。
的な感じ…。
冒険心が くすぐられる》
とりあえず ギリギリ前まで…。
《これ 大丈夫だよな?
不法侵入じゃないよな?》
《開いてる。
この店 なんか 気付いてほしそうだった。
自分も 人に 気付いてもらいたいなら
まず 自分が気付く人間に ならないといけない…》
いらっしゃ~い! お一人ですか? はい。
空いてるとこ どこでもどうぞ!
《なるほど 空いてるのは
テーブル席が2つと カウンター》
《奥には 座敷もあるのか…》
じゃあ ここで…。 はい。
は~い どうぞ。 すみません。
決まったら おっしゃってくださいね。
《麦茶 地味に うれしい。
さて メニューはと…。
大衆食堂 といいつつも
このメニューの雰囲気。
いわゆる あれだ 町中華だ。
んっ?》
《いったい これは…》
《もしや 焼き肉?
しかも かなり本格的な感じ。
なんだ 大衆食堂 と思いきや 町中華
町中華と思いきや 焼き肉でもあったのか。
ついさっき 気がつく男になろうと 決めたのに
なんて バカなんだ!》
あぁ すみません! いえいえ あっついですからね~。
一応 うち 今の時間からでも 焼き肉いけますから。 あぁ…。
なんといっても うちは ホルモンだから。 へぇ~。
《そこまで言ってもらって いかないわけがない》
すみません! はい!
じゃあ カシラとライスを…。
は~い じゃあ 準備しますね。
カシラとライス! ≪(宏道)はい!
あぁ…。
《いたんだ!》
失礼しま~す。
《昼から このロースター。
後ろめたくて うれしい…》
そうだ お客さん このあと 大丈夫ですか?
このあと? 予定ね。
女の子と 会うとか…。
うちのタレ 結構 ニンニク入ってるからさ~。
大丈夫です 一切 ありませんし。 そうだよね~。
そうね…。
お待ちどおさま~。
《あっ うぉ~!
これは 確かに このあと 何も入れられないな…。
それにしても
この採算を 気にしてしまうほどの カシラの量。
なんて ぜいたくな…》
♪~
《では 早速…》
いただきます!
《うわっ うまっ!
思ったよりも あっさりしてて
ニンニクが効いたタレとの相性が 抜群だ!》
《うぅ…。
やっぱり この組み合わせは 1番だ!
でも マズい… こんなペースじゃ だめだ。
カシラは まだまだ こんなに 残っているのに…》
《そうだ!
これくらいのペースで ちょうどいい…》
《でも カシラって 改めて どこなんだ?》
頬なんですよ。 豚の ほっぺ カシラ!
えっ!? わかりますよ。
カシラ食べて そんな顔する人
だいたい 考えてること 一緒だから。
さすがです。 フフッ… だてに長く やってませんからね。
あっ お茶 ここに 置いときますから
いくらでも。 すみません!
《実は それ メチャクチャうれしい!》
《これで 準備は整った。
あとは ただ 前に進むのみだ!》
♪~
ごめんくださ~い。 はいはい。
あの 頼んでた あれ。 はいはい 豚足2人前。
うわ~! どうぞ! 今日も おいしそう! どうぞ!
いつも ありがとう! いいえ こちらこそ。
あっ 大将 どうも。 また よろしく!
は~い どうも どうも~! は~い また~。
は~い またね~! (延江)ハハハハ…!
《豚足の お持ち帰り?
なんか 予想を超えてきたな》
あぁ~ 豚足ね ハハハ…。
これも 初代から70年 ず~っと続いてる
うちのメニューなんです。
70年ですか? (宏道)そう。
おやじの代から始めて ここに移ってきてからも
ずっと 豚足は 変わらず残してて…。
今は こんなふうですけど 昔はね この店も
もっと わかりやすいとこに あったんです。 フフッ…。
なるほど…。
《長く残っているものには それなりの理由が あるはずだ》
あっ お客さんも よかったら あと1本 残ってますよ。
えっ? うちの豚足はね
いや 他と違って ラーメンのスープで 煮込んでて。
最後に チャーシューに使うタレで こう 味をつけてて…。
だから 豚足が苦手 っていう人も
うちのは 結構 いけるらしくってね
わざわざ 遠方から来てくれる人も いるんですよ ハハハハ…!
《マズい! 心が持ってかれそうな説明だ》
常連さんのなかにはね ここで 豚足 食べて
で そのタレで ごはん 食べる人なんかもいて。
悪魔のタレだ~ なんて言って フフフフ…。
米と豚足ですか…。
ったく ホントに うまいんだかね~。
えっ? お父さん 食べたことないんですか?
どんだけ うまいか知らないけど
あんなの すぐに 病気になっちまうよ。
そうよね~。 (笑い声)
《つまり それって 病気のリスクを 負ってでも
食べたくなるほどの豚足… ってことだよな…》
《いけなくもない…》
《すまない 紬》
すみません!
じゃあ… その豚足も!
はい お待たせ~。
いただきます!
♪~
《すごい!》
《下味も しっかりと ついてて 黒コショウの香りと ベストマッチ!
これなら 苦手な人でも 食べられる》
《このタレを 米にかける…。
世の中には 恐ろしい人が いるもんだ。
確かに 豚の脂との相性が抜群で
悪魔のタレ と呼ぶに ふさわしい…》
う~ん!
♪~
なるか… 悪魔に!
《しまった~! カシラに ペースを合わせすぎていた~。
やっぱり 悪魔にはなれない…。
けど おいしかった…》
ごちそうさまでした!
うわっ! (においを嗅ぐ声)
あっ! はいはいはい はい 忘れ物!
すみません ありがとうございます。
ハァ… アハハ… ハァ…。 あっ でも ホント おいしかったです。
来られて よかったです。 いえいえ こちらこそ。
でも よく うちの店に 気付きましたね~。
ホント 偶然でした。 ハハッ…。
昔はね~ ここも 建ってなかったし
もっと わかりやすかったんだけどね。
見えなくなっちゃったんですね。 そう!
でもね 実は これでも
結構 見えるようにしてもらってんのよ。
えっ?
ここ。 ここ 1階のとこ
駐車場に なってるでしょ? はい。
もともとはね 店も 完全に見えなくなる予定だったの。
でも 毎日 現場の人に 出前 運んでるうちに
オーナーさんも うちのこと 気にかけてくれるようになって
わざわざ 計画 変更してくれて こうなったの!
そんなことが あるんですか? そうよ!
だから よく 隠れてる なんか言われるけど
ホントは 違うの。 見えるようにしてもらってるのよ。
ねっ? んっ?
出前のおかげよね このお店。
ああ そうそう ハハッ…。
地道に やってれば 気付いてもらえるんですね。
そういうこと!
よかったら また来てね!
いつまで やってるか わかんないけどさ。
いやいや ご主人も まだ お元気そうですし…。
そうでもないわよ。
もう 何回も 体 悪くしちゃってるから。
近いうちに また 来ます!
は~い! フフフフ…。
ごちそうさまでした~!
《路地奥に潜む
地元に愛された 秘密のメシ処 かきた食堂。
この店も また
絶えてしまうかもしれない 絶品メシ》
《絶メシ フォーエバー!》
♪「渡良瀬橋で見る夕日を」
♪「あなたはとても好きだったわ」
夕日が きれい。
ホントだよな~。
はぁ~。
さて そろそろ行かないと…。
(鼻歌)
なかはし!?
えっ? ここ 渡良瀬橋じゃないの!?
えっ? あっち!?
気付かなかった…。
《やっぱり 気付くって 難しいんだな~》
<今週も お疲れさまでした>
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