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♪~
お久しぶりで~す!
<「絶メシ」。
それは…>
<失ってしまうには あまりにも惜しい
歴史が積み重ねた その味と 味わい。
これは 平日に くたびれたサラリーマンが
そんな 絶メシに出会う
週末1泊2日の物語。
それでは 案内を開始します>
行きたいな~ あれ…。
《娘の紬が 自立してから
しばらく行っていない… あれ…》
ただいま~。 おかえり~。
あっ それさ そっち 持ってってもらっていい?
うん あっ うん…。
なに してんの これ? 模様替え?
う~ん 明日さ
プリザーブドフラワーの 生徒さんたち来るから。
えっ? レンタルスペースが 高くってさ
うちで やることになったの 毎週 土曜日。
毎週!? 前 言ったよ。
(2人)せ~の…。
う~ん…! おっ…。
大丈夫? ちょっ ちょっ…。 そこに置いて…。
この上?
(2人)よっ!
何人くらい来るの?
明日は 10人かな。
10人…。
だから あれ 行ってきていいよ。
えっ?
あれって…。 車に乗って 野宿してくるやつ…。
野宿じゃなくて 車中泊ね。
いいの?
ず~っと 我慢してたんでしょ?
紬と私が ライブで 家 空けることも なくなったからさ。
いいんだ ホントに? 最初っから 止めてないし。
お互い楽しみましょう 週末!
フフッ… うん!
♪~
<目的地まで 121キロ。
2時間16分くらい かかります>
<週末 私は ちょっとした旅に出る。
1人だけの時間を 満喫できる
私の 小さな大冒険。
ルールは 3つ。 その1。
期間は 金曜日の帰宅後から
妻の教室が終わる 土曜日の夕方までの 1泊2日。
その2。
誰も 誘わない。
誰も 巻き込まない。
その3。
高速代 ガソリン代 食費
いろいろ含め 小遣いの範囲内に収める。
そのために 必要不可欠なのは…>
車中泊。
おっ!
ランタン よし!
あったかいコーヒー よし!
ポータブルバッテリー 忘れた…。
< でも この解放感…。
久々の旅 海スタートで よかった>
う~ん… くぅ~!
《佳苗の教室 大きくなってるんだな…。
この旅も ちょっと バージョンアップさせようかな》
《魚釣りとか?
糸 絡まると 大変なんだよな…。
山登り?
疲れちゃいそうだな…。
俳句なら 手軽にできるかも》
車内にて…。
車内にて…。
いや 車内にて…。
(いびき)
あっ…。
♪~
おぉ~!
《水平線が くっきり。
地球が 丸いってことが わかる》
お久しぶりで~す!
旅先で サーフィンっていうのも 無理だよな~。
あ 朝の海…。
朝の海
青空 きれいで
泳ぎたい。
民生。
朝の… 朝の海…。
♪~
とりゃ!
《おなかも いい感じに すいてきたぞ。
旅のシメは やっぱり… 絶メシだ!》
おっ!
くぅ~ うぅ…。
さて… いただきにいきますか!
♪~
(鼻歌)
《いつも どうやって お店 決めてたっけ?
ブランクで 感覚が鈍ってる…》
おっ!
《海近くの高台という 絶好のロケーションにひかれて
つい 車を止めてしまったけど…。
ここで よかったのかな?
真珠の庭?
看板からは 漂っている。
あのころ感じた あの気配が…。
金目鯛の煮付け…。
やっぱり 魚が おいしいのかな?
んっ?
民宿も兼ねてる。
業態が いくつもあるんだよな こういうお店は…》
《今日は ここで…。
いや 久しぶりなんだぞ。
安易に決めていいのか? 民生。
バージョンアップできてるのか? 民生》
♪~
《あっ!
お店の人と 目が合った…》
どうぞ!
あっ じゃあ… おじゃまします。
どうぞ!
《入店不可避》
はぁ~。
《すごい!
窓の向こう 全部 海だ。
他に お客さんもいないし
オーシャンビュー 独り占め!》
《んっ?
フリードリンクならぬ フリーネクタイ?》
アハッ これね~。
これ おじいちゃんの。
亡くなった おじいちゃんのね ネクタイなの。 あっ…。
いっぱいあるから 持ってって!
《知らない人の形見か…》
あっ いや… 大丈夫です。
フフッ… 遠慮しなくていいのよ。
高級品ばっかりだからね~。
ほら これ…。 あっ…。 これなんか どうかな?
あっ じゃあ 帰りに…。
はい! はい…。
じゃあ 帰りにね。 はい…。 フフッ…。
あっ どこでも好きなとこ 座ってください! はい。
《ガードを突き破って 懐に飛び込んでくる接客
久しぶりだ…。
1人で 4人席は 気が引けるけど…。
お言葉に甘えて いちばん オーシャンを 堪能できる席に…》
《しかし… 海が きれいだ…》
《手前には 線路か…。
風情もある 最高のビュー》
はい。
ありがとうございます。 どこから?
あっ 東京から…。 日帰り?
あっ 泊まりで…。 ああ ホテル?
あっ いや あの… 車で寝て…。
あっ やだ~ そう言ってくれたら 2階 空いてたのに うちの。
あっ あぁ…。
《昔 よくあった タイプのメニュー。
ずっしりと重い…。
魚中心のラインアップかと思いきや
結構 洋食寄り…》
すみません オススメって…?
へっ? オススメ? はい。
そうね~ エビフライ おいしいわよ。
それからね ハンバーグも おいしいし それから ステーキも おいしい。
ブリカマとか 金目鯛 これも人気!
《ほぼ 全部じゃないですか お母さん…》
あっ この 真珠の庭風 っていうのは?
あっ オリジナルなんだけど これも 大人気よ~!
《あ~ だめだ。 全然 決められない…。
これが ブランクってやつなのか?》
お父さ~ん。 うちのオススメって なんだろうね?
《お母さん ありがたい!》
全部 オススメだけど。 ですよね…。
でも 今日は チャンポンかな?
《チャンポン!?
も あったんだ。
選択肢 増えた~。
でもな やっぱり オーシャンを見ながら食べるなら…》
すみません! はい。
金目鯛の定食 200gのほうで! はい。
あっ じゃあ 車海老のカツレツ う~ん… つけてみる?
えっ? あっ いや~。
1本にして 半額にしてあげるよ!
あっ それなら…。 うん フフフッ…。
は~い。 あっ でも!
金目鯛の定食 150gにしてください。
は~い!
これが アデニウム。
そっちが 胡蝶蘭。
これ 全部 お母さんが?
フフッ… お店が暇なときにね 手入れしてるの。
そして これが… はい サービス!
ありがとうございます。 フフッ どうぞ。
《これは うれしいサービスだぞ》
《おっ! リンゴ入ってる。
好きなやつだ。
シャキシャキした 歯応えがあって
フレッシュ感 強めのポテサラだ。
冷たいのもいい。
そして… 海が きれいだ…》
はい 金目鯛の定食ね。
おいしいよ!
《おぉ~!
見るからに 煮汁がしみて 食欲をそそる色艶。
すぐに 挑みたい。
が ウオーミングアップ!》
いただきます!
(味噌汁をすする音)
《んっ? わかめと大根という
オーソドックスな具によって カムフラージュされてるけど これ…》
それね 海老の頭とか 魚のアラで おだし取ってんの。
《アラ汁だ。
うれしい誤算。
うまい!》
《そして… 海が きれいだ…。
よし では 本題に入ろう》
♪~
《あぁ~ うまっ!
煮汁 しっかり染みてる!
金目自体の うまみもあって ショウガも ちょうどいい!》
《このバランス 完璧といって いいんではないでしょうか?
早く この口に ごはんを…》
《あぁ~ 正しい…。
次は 煮汁を びったびたに つけて…》
《はぁ~ うまい!》
はぁ…。
《そして… 海が きれいだ…》
はい。 これ 車海老のカツレツね。
ありがとうございます。
《おっ! ここにきての車海老。
幸せすぎて 罪悪感すら わいてくる。
初めて会う 車海老のカツレツ。
衣が 独特だな…》
《まずは 何もつけずに…》
《あっつ! うまい!》
《あっ 中に グラタン?
クリームコロッケの中身に 近い感じも…。
その奥に 身が しっかりした海老。
そうか あえて言うなら
カニクリームコロッケじゃなくて 海老クリームコロッケだ!
これ いい! うまい!》
《そして… 海が きれいだ…》
≪うまいだろう?
はぁ…。
それ 作るだけで 4日 かかってるから。 4日!?
ブイヨン作るのに 1日 ベシャメルソースに1日
コロッケ仕込むのに 1日 ほんでもって 仕上げに1日だよ。
手が込んでますね。
うちは ぜ~んぶ こだわって 手作りしてっからさ。
ちゅう房は お一人で?
忙しかった時代は 大勢 雇ってたけど
ほら コンビニだとかファミレスだとか できてさ。
ここ10年は ほぼ アイツと 2人でやってるよ。
ご夫婦で。
そう 子どもたちもね 手伝ってはくれるけどね
全然 継ぐ気はないみたいよ。
まあ そろそろだよ ここも…。
毎日毎日 仕込みも大変でね。
前に リゾートマンション建てるから
土地 譲ってくれないか みたいな話が あってさ…。
あんとき 売っても よかったかもな~。
はぁ~。
《ずっと 食べられるわけじゃないんだな
これも…》
♪~
はぁ~。
ごちそうさまでした!
全部 おいしかったです。
喜んでもらって よかったわ~!
だって この人は そのために 毎朝 早く起きて… フフッ
ちゃんと 仕込みをするんですもの。
どんな注文がきても
手早く いちばん おいしい状態に もってきて
それを 提供する。
ねぇ 知ってた? この店 休みが ないのよ。
それでね 40年間。 よく できますね。
売ってもいい なんて言ってたけど そんなことないのよ。
だって この景色 いちばん 大切に思ってんのは
この人だもの…。
《海が きれいだ…》
♪~
あっ! また 来ますね。
次 来たら マンションになってるかもな。
いやいや… なってないですよ! ハッハッハッ…!
《オーシャンビューを おかずに いただく
こだわりのオーシャンフード 真珠の庭。
この店も また
絶えてしまうかもしれない 絶品メシ。
絶メシ フォーエバー!》
ごちそうさまでした!
ねぇねぇ! ネクタイ 忘れてるわよ ほら!
ほら 帰りに選ぶって。 あ~ そうでしたね…。
え~ あぁ…。 これとか じゃあ…。 あっ…。
はい! これで じゃあ…。 フフッ… 元気で。
フフッ…。 ありがとうございました!
《あっ そうだ! バージョンアップ
は 別にいいか…。
このまま 普通を続けていけば…》
<今週も お疲れさまでした>
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