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(小春) まずは知人からです。
(桐矢) えっ 知人なんだよな?
(黒崎) 会話から始めましょうって 言ってくださって…。
(桐矢) いいか? その女性と どうにかなる可能性はゼロだ。
(黒崎) これは 世界一おいしいクッキーです。
(小春) 今は… 友人になれたらって。
(黒崎) 友人…?
(受付) ご来場ありがとうございます。
(黒崎の声) やはり 授賞式には出られません。
僕 抜きでやってください。
(ノック)
はぁ… 黒崎!
そろそろ出ないと 準備 間に合わないぞ!
(黒崎) \出ません/
(桐矢) \前の授賞式のこと 気にしてるのか?/
トイレに駆け込んだなんて 誰も気付いてないし→
また挨拶の途中で 腹が痛くなったら→
一言で帰ってもいいんだから。
\な?/
♪~
(黒崎) \頑張ろうとしたんですが…/
\やはり 僕には無理です/
無理って お前…。
(黒崎) \無理です/
(桐矢) \分かった/
ちょっと出てくるから ここで待ってろ。
♪~
(桐矢) 白瀬さん。
お待ちしておりました。 (小春) えっ き… 桐矢さん?
早速ですが黒崎のご友人として→
あなたに力を貸していただきたい。
すみません 時間がないので 詳しいことは車の中で。
(小春) いや ちょ… どこ行くんですか? 私 お店へ出ないと…。
お父さまに 既に外出許可は頂いています。
それに お店にお礼も。
どうぞ。 (小春) 《な… 何これ?》
(桐矢) シートベルトを。
(秋平) 小春~! (小春) お父さ~ん!
《何これ~!?》 (秋平) 小春 いってらっしゃい!
(小春) お父さ~ん!
白瀬さんに お願いしたいのは→
黒崎を励まして 授賞式に出席させること。
(小春) あの…。
どうしても出席しなきゃ ダメなんですよね?
はい。
私が謝って済むなら いくらでも頭を下げますが→
さすがに 当日キャンセルとなると→
黒崎の評価に関わりますので。
(小春) 分かりました。
(鍵を開ける音)
(ノック)
(小春) 黒崎さん?
大丈夫ですか?
(黒崎) どうして…?
(小春) 桐矢さんから 授賞式のこと聞いて。
私が何か力になれたらと思って。
(黒崎) 僕は… 塵芥です…。
(小春) ジンカイ?
(黒崎) 塵と芥。
ゴミのように価値がないもの ということです。
僕のせいで桐矢さんにも 小春さんにも ご迷惑を。
(小春) 全然 迷惑じゃないですよ。
この前 お店で 助けてもらいましたし。
友人なら こういう時は助け合いです。
(黒崎) 小春さん…。
(小春) あっ それに→
桐矢さんから おにぎりの 大量注文を頂いたので→
むしろ助かってます。
(黒崎) そうでしたか…。
こんな面倒を 引き受けてくださるなんて→
小春さんはホントにお優しい。
お店のことも お客さんのことも 大切にしていて。
それに比べて僕は…。
(小春) 私は…→
ただ お母さんの夢を 守りたいだけで。
(小春の声) 小さい頃 お母さんに 教えてもらったんです。
誰かを元気にするって すごくステキなことだって。
(黒崎) お母さまが…?
(小声で) 白瀬さん。
(小春) あ… あっ 私のことはいいんですよ!
それより黒崎さんです。
私も一緒に行くので 授賞式 出られませんか?
(黒崎) すみません。
小春さんには申し訳ないですが…。
怖いんです。
(小春) 怖い?
(黒崎) 僕が情けない挨拶をして→
僕の小説を 評価してくれている方々に→
作者本人は こんなダメな人間なのかと→
失望させてしまうのが怖いんです。
(小春) 私は… もし黒崎さんが 失敗しちゃったとしても→
がっかりなんてしませんよ?
(黒崎) え?
(小春) だって 大事なのは→
黒崎さんが伝えたいって 思ったことですよね?
黒崎さん 頑張ったんだな ステキだなって思います。
(黒崎) ステキ…?
小春さんが…?
(小春) まぁ でも どうしても出たくないなら→
無理しなくてもいいとは…。 (鍵が開く音)
(黒崎) 僕は逃げずに… 壇上から感謝を伝えたいです。
(小春) はい!
じゃあ…。
こうやって 今日は前髪上げてみませんか?
(小春) 《ま… まぶしい!》
(黒崎) 小春さん?
(小春) あ…。
こっちの方が 印象いいと思いますよ。
服も整えて…。
これで ニコっとすれば バッチリです!
(黒崎) ニコっ?
(小春) あ… 「ニコっ」はなくても…。
(黒崎) あ… はい。
さぁ 急いで準備するぞ!
白瀬さんは お着替えを。 (小春) え?
授賞式に制服のままではと思い→
白瀬さん用の ドレスを用意してあります。
(小春) ドレス!? (黒崎) ドレス!?
あ… すいません。
挨拶に集中いたします…。
(小春) ドレス…。 (黒崎) ドレス?
(人々の話し声)
(男) それではCURO先生 お願いします。
(拍手)
(小春) 《頑張れ 黒崎さん》
(拍手)
(黒崎) え~っと…。
このたびは… 素晴らしい賞を頂戴し→
誠にありがとうございま…。
(ぶつかる音) (黒崎) 痛っ…。
(小春) あ…。 (黒崎) 痛っ。
(黒崎) ご覧のように 僕は不出来な人間で→
この世界で生きることは ひどく難しいことばかりでした。
小説を書くことは僕にとって 救いであり逃避でした。
(カメラのシャッター音)
(黒崎) 僕を見いだし 導いてくださった 編集の桐矢さんには→
感謝の念に堪えません。
(黒崎) そして もう一人 感謝を伝えたい人がいます。
今回 賞を頂いた作品は→
初めて挑戦した 恋愛物でしたが→
僕は 今までずっと 恋を知らずに生きてきました。
(小春) 《え…?》
(黒崎) そんな僕に 恋の喜びを教えてくれた人。
(小春) 《まさか…》
(黒崎) 極寒の僕の世界を照らしてくれた 春の光のような人。
(黒崎) ありがとう 大好きです。
\告白?/ \彼女…?/
\えっ 彼女…?/
(小春) 《感謝って 読者へ感謝じゃないの!?》
(黒崎) 僕の創作活動の支え→
おにぎり屋「しらせ」にも感謝を!
いつも おいしいおにぎりを ありがとうございます。
あのバカ…。
(黒崎) 以上です ご清聴ありがとうございました。
(小春) 《こ… これは 大変なことになっちゃった》
白瀬さん 騒ぎになる前に外へ。
(小春) あっ はい。
(扉を開ける音)
あ… ハハ…。 (拍手)
(桐矢) ブラボー!
(小春) はぁ… はぁ… ここまで来れば大丈夫かな…。
(足音)
(黒崎) 小春さん!
(小春) 黒崎さん どうして?
(黒崎) 小春さんが出ていくのが見えて。
僕のせいで 騒ぎになって すみません。
(小春) ホントですよ もうびっくりして。
(黒崎) 小春さんに お礼を言いたかったのと→
お店の宣伝がしたくて…。
(小春) びっくりしましたけど→
頑張った黒崎さんは かっこよかったです。
(小春) あっ そうだ。
私からも何か お祝いさせてください。
(黒崎) お祝い?
(小春) お店の宣伝もしてもらったんだし お礼も兼ねてです。
黒崎さん 何か欲しいものありますか?
(黒崎) 欲しいもの…。
(小春) あっ すぐには思い付かないですよね。
次 会う時までに 考えておいてくださいね。
(小春) そろそろ 大丈夫そうですかね?
♪~
(黒崎) 少しだけ…→
小春さんに触れてもいいですか?
(小春) え… いや それは…。
(黒崎) それ以外に 欲しいものが浮かびません。
(小春) 《ど… どうしよう》
《触れるって 手握るとか…?》
(黒崎) ダメでしょうか?
(小春) 《言い出したのは私だし でも…》
(黒崎) すみません…。
今のは忘れて…。 (小春) す… 少しだけなら。
(黒崎) いいんですか?
♪~
(小春) 《だ… 大丈夫 大きい弟だと思えば…》
♪~
(小春) え?
(黒崎) 小春さん ありがとうございます。
僕は幸せ者です。
(黒崎) それに このドレス…。
(小春) 変ですかね? ドレスなんて着るの初めてで…。
(黒崎) とても お似合いです。
夢でも見ているのかと思いました。
(小春) 褒め過ぎです!
♪~
(カメラのシャッター音)
\すみません…!/ \CUROさんって…/
CUROのサイン…。
(小春) え… 何これ?
(騒ぎ声)
(黒崎) 今日は大繁盛ですね。
(小春) あ…。
(黒崎) 梅おにぎり頂けますか?
(小春) あ… お客さま こちらへ 奥へ 奥へ はい…。
(騒ぎ声)
(小春) もう ちょっと ちょっと!
黒崎さんは 何で ここにいるんですか!?
バレたら大騒ぎになっちゃいます。
(黒崎) あ… 小春さんに 会いに来たのですが 軽率でした。
本当にな。
(小春) えっ!? 桐矢さん…。 (黒崎) えっ。
すみません 急ぎ 報告したい件があって→
弟さんに入れてもらいました。
(小春) え… 報告?
ある記者が白瀬さんとCUROの ツーショットを→
週刊誌に掲載すると 言ってきたんです。
(小春:黒崎) え?
(小春) 《それって黒崎さんも 大変なことになっちゃうんじゃ》
記事は必ず差し止めます。
黒崎は事態が収束するまで 白瀬さんとは会うな。
いいな?
(黒崎) 分かりました。
よし。
では 私はこれで失礼します。 (小春) え? あ…。
(早川) あのニュース見た? すごかったね。
本人に聞いてみたいよね あっ 来たよ。
(生徒) 聞いてみて。 俺が聞く? OK。
(早川) ねぇ 白瀬ってさ CUROと知り合いなの?
(小春) えっ え… なな… 何でそんなこと?
何か みんな 朝から その話ばっかりだよね?
(小春) え? (生徒) うん。
知り合い?
(小春) は… 早川君 ごめん! ちょっと用事思い出した!
(早川) OK。
(小春) あっ 美香ちゃん 莉々ちゃん!
ちょっと 相談したいことがあるんだけど!
(莉々) CUROの公開告白の相手が小春?
しかもプロポーズまで!?
(小春) ごめんね 今までずっと黙ってて。
いや にしてもCUROって何なの?
公開告白なんてしたら→
こうなることぐらい 想像つくでしょ?
(美香) あれ? 莉々 CUROのファンじゃなかった?
それと これとは別。
小春に こんな大変な思いさせるなんて。
小春も もう関わるの やめといたら?
(小春) う~ん…。
確かに大変なこともあるけど→
関わるのやめたいとは 思わないんだ。
黒崎さんは黒崎さんのやり方で いつも私を守ってくれるから。
(チャイム) (小春) って 私の話ばっかり!
ごめんね そろそろ教室 戻らないとだよね。
2人とも 話聞いてくれてありがとう。
(小春) 《週刊誌の記事 大丈夫かな?》
(望月) 白瀬小春さん。
(小春) え?
(望月) 君とCUROのこと 話 聞かせてくれる?
せっかく つかんだ スクープだったのに→
急に編集長が 掲載しないとか言い出してさ。
だから 君… この写真 買い取ってくんない?
流出したらマズいでしょ? いろいろ言われちゃうよ?
人気作家のCUROが→
未成年に手出してる 変態作家とかさ。
(小春) 黒崎さんは そんな人じゃありません。
え? じゃあ どういう人なの? CUROは… 教えてよ。
(小春) 《何? この人 怖い…》
いいね~。 (小春) 《やだ 怖い…》
(カメラのシャッター音) (小春) 《誰か助けて!》
あっ おい ちょっと待て!
♪~
(小春) 黒崎さん…。
(黒崎) 小春さん 大丈夫ですか?
(小春) 写真を撮られて…。
(望月) CURO!
あ… あの私 記者でして ぜひ お話 聞かせて…。
(カメラを奪い取る音) な 何する…。
おい やめろ! (小春) く… 黒崎さん ダメです。
返せよ!
今のも記事に書いてやるからな。
(黒崎) 許さない…。
僕の全てで お前をつぶしてやる!
ふん たかが一作家に 何ができるっつうんだよ!
やれるもんなら やってみろよ。
(小春) 黒崎さん…。
(黒崎) 僕のせいで怖い思いを させてしまって すみません。
もう大丈夫ですので 小春さんは何も心配しないで。
📱(呼び出し音)
(黒崎) CUROです。
あなたのところの記者に 追い回されていて→
非常に迷惑しています。
ご対処 願えますか?
そんなことしたってな→
うちの編集長なら 俺と長い付き合い…。
📱(着信音)
あ? 誰だよ…。
はい え?
社長? あっ はい…!
連載打ち切り!?
え… あの ク… クビは困ります! あの…!
📱(通話が切れた音)
(黒崎) お望み通り やってみましたが→
満足いただけましたか?
クソ!
(黒崎) 小春さん!
♪~
(黒崎) 大丈夫ですか? おけがは?
(小春) あ…。
私は大丈夫です。 (黒崎) よかった…。
助けに来るのが遅くなって すみません。
(小春) いえ 黒崎さん 手…。
あっ 腫れてませんか!?
(黒崎) ホントだ…。
(小春) ごめんなさい きゅ… 救急車!
(黒崎) そんな これぐらい大丈夫です 自分で病院に。
(小春) え… あ…。
タ… タクシー タクシー!
(小春) タクシー! タクシー!
あぁ~!
(モニタ) 1本目はこちら。
(モニタ) 毎年 恒例の ポラリス大賞が決定。
(モニタ) 話題作 「初雷の恋」が 大賞を受賞しました。
(モニタ) 極寒の僕の世界を (黒崎) 照らしてくれた→
春の光のような人。
(モニタ) ありがとう 大好きです。 (ドアが開く音)
(唯央) 何 幸せそうな顔してんだよ…。
(黒崎) ただ今 帰りました。
(唯央) おかえり。
(黒崎) 見ててくださったんですね。
(唯央) うん まぁね。
(唯央) 手…。
(黒崎) あ… いえ… ちょっと。
(唯央) 気を付けなよ 兄さん。
お大事に。
(黒崎) あ… ありがとうございます。
♪~
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