All language subtitles for Sensei.no.Shiroi.Uso.2024.1080p.AMZN.WEB-DL.DDP5.1.H.264-MagicStar

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Original subtitles

(原 美鈴(はら みすず))人間を 2つに分けたとして—

必ず どちらかが 少しだけ取り分が多いと—

私は感じている

例えば—

女と男

私は いつも少し 取り分が少ないほうにいる

(渕野美奈子(みなこ))美鈴

(美鈴)ああ (店員)いらっしゃいませ

(美奈子)もう ごめん 電車1本 逃しちゃってさ

(美鈴)ううん 大丈夫 (美奈子)よいしょ

(美鈴)あっ…

(美奈子)あっ ねえ あとさ 急でごめんなんだけど—

早藤(はやふじ)くん 連れてきちゃった

(美鈴)えっ?

(早藤雅巳(まさみ))久しぶり

(美鈴)いいよ いいよ あっ 座って

(美奈子)ねえ ビールでいい? (早藤)うん

(美奈子)すいませーん

(店員)はーい

(店員)はい (美奈子)あっ ビール2つ

(店員)はい お待ちください

(美奈子)いや だから—

美鈴は損してるから

だってさ もう—

素材がいいのに もったいないよ

あと ほら ブラとか

ちゃんと フィッティングしてる?

ほんとは もっと 胸 おっきいかもしれないじゃん

今 いいよ そういう話

あー ねえ 今 美鈴の胸 見たでしょ

美奈子 飲み過ぎ 原さん 困ってるよ

いや 私はべつに

(美奈子)そんなことないよね

あとほら メーク

メークも ちゃんとしなよ

もう 肌と髪は きれいなんだからさ

ちゃんとしないと 男の人にモテないよ

(早藤)バカだなあ (美奈子)何が?

男はさ 原さんみたいに—

自分の魅力に 気付いてない女の子に—

グッときたり するもんなんだよ

意外と

ねっ

(美奈子)フフッ

そんなことより ねえ 本題なんだけど

(せきばらい)

ジャン

私たち結婚するの

ねっ

フフッ

(美鈴)あっ… そうなんだ

そう それでさ—

式 いつにしよっかって 早藤くんと話してて

美鈴の意見も 聞いときたいなと思って

だって親友だし

(美鈴)親友…

(美奈子)なんか元気なくない?

ううん そんなこと

(美奈子)なんかごめんね

美奈子

おめでとう

(美奈子)うん ありがと

すいませーん

(店員)はーい

(美奈子)えっと これのお代わりと…

(美鈴)大丈夫

こんなことは何でもない

月曜日になれば—

私は いつもどおり学校へ行く

(美鈴) おはようございます

(美鈴)おはようございます

(美鈴)私は先生

(女子生徒)起立

気をつけ 礼

(美鈴・生徒たち) おはようございます

(女子生徒)着席

(美鈴)女も男も関係ない

それでは 授業 始めます

(美鈴)“この際 何(な)んで私の批評が 必要なのかと尋ねた時—

彼は いつもに似ない 悄然(しょうぜん)とした口調で…”

(携帯電話の振動音)

(美鈴)“自分の弱い人間であるのが 実際 恥ずかしいといいました”

で ここでKが…

(板書する音)

(美鈴)恥ずかしいと 思っていることが分かります

(女子生徒)和田島(わだじま)に回して 後ろに置きっぱだった

(携帯電話が落ちる音) (美鈴)新しい語句が出てきました

(美鈴)“悄然”15行目です あとでまとめます

では 続きを読みます

(新妻(にいづま)祐希)あっ

(女子生徒)えっ 何?

(男子生徒)えっ? おいおいおい… おい ちょっと

(和田島直人) 原先生 新妻くんが—

女子のスカートの中 見ちゃって 動けなくなってます

(生徒たちの笑い声)

(男子生徒)あれ? あれ お前 勃(た)ってんじゃね? えっ?

(新妻)違います そんなんじゃないです (美鈴)やめて

(新妻)そんなんじゃ…

だって 俺 勃たないから

勃たないんです

えっ? ヤダ…

(生徒たちの笑い声)

(美鈴)静かに! 今 授業中だから

(携帯電話を置く音)

(和田島)えっ? あっ 俺のスマホ?

(美鈴)新妻くん?

すいません トイレです

(戸が開く音)

(和田島)えっ 女じゃダメってことかな?

(生徒たちの笑い声) (美鈴)和田島くん やめて

(美鈴)スマホしまう

みんなもスマホしまってね

あっ ああ…

味がしない

(女性教師)原先生

(女性教師)お電話 (美鈴)あっ はい

(女性教師)外線2番 (美鈴)はい

お電話 替わりました 原です

(早藤)俺だけど

分かるよね

(三郷佳奈(かな))もうダメ 終わり

いや いいじゃん もうちょっと

ダメ ここまで

なんで?

(佳奈)終わり

(和田島)え~ 最後までヤラせてよ

(佳奈)初めては 運命の人にあげたいから

(和田島)ドS 鬼

ヤラせてくんないのに なんで こんなことさせんの?

だって 男の人って こういうことさせると—

何でも言うこと 聞いてくれるじゃない?

ヤダった? ごめんね

(和田島)ウソウソ ウソウソ

全然イヤじゃない ミサカナちゃんと こんなの

ねっ 俺 何でもするし

じゃあ さっきのアレ 誤解 解いてあげてよ

(和田島)ん?

ん?

えっ あいつが何?

新妻くんは 普通に女の人 好きだよ

あっ そうなの?

(佳奈)私 中学 同じだったから

それに こないだ—

かなり年上っぽい人と ホテルから出てきてた

あれ たぶん人妻

マジで?

えっ じゃあ 勃たねえって—

そのへんの女じゃ 勃たねえってこと?

そういうの 誤解されたままだと かわいそうじゃない?

マジか

(生徒たちの話し声)

(美鈴の荒い息)

(早藤)声 出していいよ

(美鈴の荒い息)

(美鈴)もう ほんとに 授業 行かないとマズいから

(早藤)授業ね

こんなところで パンツ脱いじゃうような女が—

生徒 教えてていいのかな?

ねっ

(美鈴)こんなこと—

美奈子にバレたら どうすんの?

何それ

脅してるつもり?

あのさあ

バレたところで 美奈子は—

あんたが俺をたぶらかしたって 思い込むだけ

あいつが 自分の幸せのためだったら—

黒でも白にしちゃう女だって 知ってんだろ?

もう 美鈴先生 俺を脅そうとか100年早いから

罰として お宝写真の刑ね

は?

“は?”じゃない

はい 足開いて

大丈夫だよ 誰のかなんて分かんねえから

イヤです!

開けっつってんだよ

はい

はーい

フッ

アソコは ヤル気満々だよ?

はい チーズ

(シャッター音)

(生徒たちの騒ぎ声)

(和田島)完璧

よっ!

名誉挽回 しといたからな

ね~

やり方がバカ

(玄関ドアが開く音) (美奈子)よいしょと

(玄関ドアが閉まる音)

(美奈子)おかえり

(早藤)ああ…

あ~ マジで酔ったわ

(美奈子)もう 今日 こっち来るって言ってあったのに

飲むのも仕事なのは分かるけど

(早藤)ああ…

(美奈子)ごはんあるよ

(早藤)無理

もう マジで1ミリも動けねえわ

ああ…

(美奈子)ねえ

ん~ 今日もしないの?

(早藤)疲れてんだよ

(美奈子)最近 ずっとしてないよね

ねえ 疲れてる 疲れてるってさ

じゃあ 疲れてないとき いつなの?

(早藤)あのさあ

俺 そういう 女に迫られるとかされると—

よけいに引くんだよね

ごめん

じゃあ 今日は私がしてあげるね

(早藤)美奈子

いいんだよ

美奈子は そんなことしなくても

風呂 行ってくるわ

“美奈子は”?

(ドアの開閉音)

(シャワーの音)

(美鈴・女性教師2)お疲れさまです

(女性教師1)原先生

新妻くんに聞いてくださいよ 担任として

(美鈴)いや でも…

(男性教師)簡単ですよ

“何もなかった”って 言わせりゃいいんです

学校は 彼のその言葉を 信じてやればいい

ああ…

じゃあ 放課後 話します

(女性教師1)お願いしますね

(女子生徒たちの話し声)

(携帯電話の振動音)

(携帯電話の振動音)

ごめんね 結構待った?

(新妻)いえ

お茶 飲む?

(美鈴)先生はね 全然 疑ってないの

むしろ 新妻くんみたいな 真面目な子にかぎって—

ありえないって思ってる

本当の話です それ

バイト先の花屋の奥さんと ホテルに行って—

そういう関係になりました

いや ちょっと待って

ほんとじゃ困るのよ 問題になっちゃうでしょ

あっ…

いや…

だから…

本当の話 聞く気ないんだったら この時間 意味なくないですか?

(携帯電話の振動音)

(新妻)先生

電話

(美鈴)いいの

(新妻)鳴ってますけど (美鈴)いいって言ってるでしょ!

(振動音が止まる)

(短い振動音)

(早藤)電話無視すんなよ

お宝 大事にしてるよ

(新妻)先生?

あのね 私は新妻くんが—

主婦と恋愛してようがしてまいが どっちでもいいの

ただ 学校としては 生徒が不倫してるんじゃ困るのよ

ほんとかどうかなんて どうでもいいし—

あなたの本当の話なんか 実際 誰も興味ない!

ごめん

いや… 違う

先生のが しちゃってるじゃないですか

本当の話

それなら 俺もしていいですか?

(美鈴)ほんとの話?

俺—

女の人のアソコが怖いんです

(新妻)純粋に怖いんです

女の人のアソコが

それで 全然 勃たなくなっちゃって

最初は奥さん 優しくていい人だなって

でも 俺 好きとか 一回も思ったことなかった

なのに 誘われて

行ったんだ

(新妻)でも あのとき—

どこまでが 俺のそうしたかったことなのか—

分からないんです

今でも

自分の欲求を満たしておいて—

自分のせいじゃなかったって言うの?

えっ?

男のくせに

(生徒たちの笑い声)

(女子生徒1)何時に終わる? (女子生徒2)6時

(女子生徒1)終わったらカラオケ行こ (女子生徒3)いいね いいね

(男子生徒)俺も行かせてよ

(女子生徒たち)え~ ヤダ~

(新妻)先生も—

セックスは いつだって 男のせいだって思ってますか?

俺 奥さんに言ったんです

あのときホテルで

ギリギリになって やっぱ違うって思って

できませんって謝ったんです

でも遅かった

それまでと 空気が違ってたんです

俺の知ってる 優しい奥さんじゃなくなってた

(女性)一人前に 旦那のある女を ホテルに連れ込んだんだから

責任取って 最後まで抱きなさいよ

(新妻)俺 なんか その空気にのまれるって思って

のまれたら終わりって気がして

そういうの 興味ないわけじゃないんでしょ?

大丈夫 私がなんとかしてあげる

(新妻)ふたしたんです

怖いって気持ちに

そしたら 途中から俺 分かんなくなっちゃって

イヤだって思ったのに—

もしかしたら これって 自分の意思なのかなって

怖い 逃げたいって思ったのに

逃げないで そこに居続けたのは なんでって

(セミの鳴き声)

(美鈴)イヤな話

(美奈子)あー ねえ ごめん 美鈴

そのリビングのやつ こっちにもらってもいい?

(美鈴)これ? (美奈子)うん

(美鈴)分かった

(早藤)美奈子 こっち電気ついたから

(美奈子) ねえ ほんとにありがとう マジで助かる

(早藤)適当なこと言って 便利に使ってんだろ

(美奈子)いや 違う ほんとに感謝してるからって

(早藤)心がこもってないんだよ (美奈子)なんで?

ありがとうございます

(早藤)ウソくさっ (美奈子)なんで? ねえ

(業者)すいませーん (美奈子)はい

(業者)サインお願いします (美奈子)はーい

(業者)日付もお願いします (美奈子)はーい

(美奈子)はい (業者)はい ありがとうございます

(美奈子)ありがとうございまーす

(早藤)あっ タバコ切れたわ 美奈子 買ってきてくんない?

えー ここ コンビニ遠いんだよね

(早藤)タバコがないと働かない

(早藤)悪い (美奈子)うん

(早藤)あっ 鍵 持った?

(美奈子)ん~ たぶん ちょっと なかったら開けて

(早藤)うん (玄関ドアが開く音)

(早藤)いってらっしゃい (美奈子)いってきまーす

(玄関ドアが閉まる音)

(物が落ちる音) (美鈴)あっ あっ

(美鈴)ああ…

(早藤)あー 全部出た

(美鈴)あっ ごめんなさい

(早藤)原さんってさ 案外 抜けてるところあるよね

頭よさそうなのに

あっ いや…

私 汗かいちゃってて

臭うかなって

(早藤)フッ

原さんてさあ—

男 まだなの?

えっ?

(早藤)さっきから 俺らのこと ずっと見てたでしょ

じとーって

ち… 違う

(早藤)ウソつけ

こういう潔癖っぽい女にかぎって—

頭ん中 いやらしいことで いっぱいなんだって

美奈子みたいな 男にこびる女 バカにしながら—

ほんとは めちゃくちゃ 羨ましがってんだろ

私も あんなふうに男に いやらしい目で見られたいって

違う

えっ…

ご… ご… ごめんなさい

あ… あの 私…

何か あの… 悪いこと言った?

じゃ とりあえずパンツ脱ごうか

(美鈴)えっ?

いや は… 早藤くん

美奈子は?

(早藤)だからぁ

さっさとヤッてやるって 言ってんだよ

パンツ!

(美鈴の悲鳴)

(携帯電話の着信音)

あっ もしもし どうしたの? タバコあったよ

(早藤)あっ 悪(わり)い

いつものゼリー 買ってきてくんない?

俺の好きなやつ

桃の

えー あれ 駅の向こうの コンビニにしかないんだよね

(早藤)ハァ… お願い

もう しょうがないな

ねえ てかさ 美鈴一人で大丈夫そう?

(早藤)ああ…

大丈夫 大丈夫

どれくらいかかりそう?

(美奈子)うーん まあ 15分ぐらいかな

(早藤)ああ うん

じゃ お願い

(美奈子)はい じゃあね

(携帯電話を投げる音)

(早藤)何 その表情

すげえそそるんだけど

あっ うっ…

ううっ…

(早藤)ああ…

(美鈴のうめき声)

(美鈴)私が声を上げることを しなかったのは—

ある可能性に気付いたから

(早藤)うわ 感動

こんな盛大に出血した女 初めてなんだけど

はい

(美鈴)すべて私の—

女である自分のせい

(ドアの開閉音)

(美鈴)生きているだけで—

こんな目に遭う

私が女であるせいで

女が女であるせいで

男に こんなことをさせてしまう

そう思わなければ—

私は存在しないのと 同じになってしまう

だから

(新妻)先生?

認めない

だって あなたは男でしょ

本気で逃げたかったら 力で跳ね返すことだってできた

(新妻)物理的な力じゃない 暴力もあると思います

力を持っている側の人が それを言うの?

だって 先生 男も女も平等じゃないんですか?

知らないの?

女は そんな正しい世界を 正しくは生きられないの

誰かのせいで

男のせいだっていうんですか?

ほかに誰がいる?

先生も正しく生きてないんですか?

(新妻)男ってだけで 先生が怒ってるなら—

悲しいです

だって 俺—

男に生まれたくて 生まれてきたんじゃない

先生も 好きで女に 生まれたんじゃないわけで

両方選べないのが同じなら—

男とか女とかで争わない方法が あるんじゃないですか?

その方法がないとしたら—

俺も 先生も—

救われなさすぎます

(新妻)えっ?

(セミの鳴き声)

(美鈴)あなたが怖いのは 女のアソコじゃない

男に生まれてしまった自分自身よ

ホテルで あなたは—

男と女が 平等じゃないって知ったのよ

女から正しさを奪って 自由まで奪ってしまえる

そういう不条理な力を 持っていることを知ったの

そして それを 誰かに許されたいだけなのよ

でも大丈夫

そのうち慣れるよ

あなたは これから—

たくさんの女を 醜く汚(けが)して生きていくの

自分では そんな気なくても そういうふうにしか生きられないの

そんなの 誰も許してくれるわけない

少なくとも私は許さない

絶対に許したりしない

(戸が開く音)

(走り去る足音)

ハァ… ハァ…

ハァ ハァ…

(早藤)どうぞ

このあと どうする? いつものホテルでいい?

えっ 何?

こういう写真を送ってくるのは やめてください

なんで?

だって—

これって暴力ですよね

(早藤)あのさあ

違うよ?

だって今日も あんたは 自分の意思で会いに来たんじゃん

俺に

だから それは 暴力をやめてもらうため…

分かんねえ女だな

わざわざ暴力じゃないよって 言ってやってんの 俺は

もし これが暴力だって 確定しちゃったら—

一番傷つくの 誰よ?

えっ?

あんただろ

暴力でヤラれた女なんかに 成り下がりたくないだろ

私は男に求められた女なんだって 思い込めば楽になるよ

愛も暴力も思い込みしだい

どんな苦痛も 無理くり幸せにしちゃう

女って そういう えげつない生きもんだろ

(美鈴)帰ります

ねえ

俺 最近 美奈子じゃ 全然 勃たなくてさ

美鈴先生が相手だと すっごい気持ちいいんだよね

俺さあ—

おびえてる女じゃないと 欲情しないんだよ

(美鈴)アッ…

(早藤)ハハハハ…

すげえあふれ出てくんじゃん

どんだけ感じてんの?

ねえ

エッロ

アッ…

(美鈴)何度も何度も—

すり切れる

(早藤)ねえ 先生

今日 すっごい素直だから 普通のもしてあげる

(あえぎ声)

(早藤)アッ… フフッ

(美鈴)アッ…

(美鈴)けれど いつからか—

すり傷には この世で最も醜い 膿(うみ)がたまるようになった

快楽という膿が あふれてしまう

(美鈴)最近 何を食べても味がしないんです

(清田恵理)うん

うつの症状が また少し 出てきてるのかもしれませんね

(美鈴)はい

(清田)原さん

まだ話す気にはなれませんか?

無理にはいいのよ

ただ あなた 今まで—

自分の不満を 誰かにぶつけたことありますか?

いえ

私 あまり そういうことは

(清田)うん

自分の気持ちを 素直にぶつける相手がいると—

あなたのね 心の状態も きっと違ってくると思うのよ

(美鈴)ええ (清田)うん

(清田)まあ でも ゆっくり—

原さんのペースで やっていきましょう

はい

(美鈴)誰かに何もかも—

ぶつけられたら

(美鈴)新妻くん?

(新妻)雰囲気ありますね

旅館 来たみたい

一人で住んでるんですか? こんなデカい家

さみしくはないです

(新妻)それは聞いてないです

(美鈴)だって そう思ってるでしょ

祖母が残した家なの

(新妻)すごいですね

俺んちなんか普通で こんな庭なんて

(美鈴)新妻くん

先生に用事があって 来たんだよね

(新妻)用事… ですよね

先生

俺 先生に謝りに来ました

前に俺 先生のこと 泣かしたじゃないですか

まだ ちゃんと謝ってなかったから

(美鈴)いや…

傷つけたのは私のほうだよ?

(新妻)えっ?

“絶対に許さない”なんて言って あなたを傷つけたのは私だよね

なのに あなたが謝るの?

いや だって…

女は弱くて 守ってあげるものだって思ってる?

ごめんなさい

ありがとう

うん あなたの気持ちは よく分かった

だから もう遅いし これ飲んだら帰りなさい

ハァ…

ほんとに飲むの?

(新妻)いや だって…

(美鈴)ハァ…

フッ…

(新妻)先生

これ うまいです

(美鈴)うん

味がする

えっ?

(美鈴)ううん

(猫の鳴き声)

(新妻)ソテツ

(美鈴)ん?

(新妻)あれ あの庭の木

ソテツっていうんですよ

(美鈴)あ…

あっ そうなんだ

すごいですね 大きくて

ああ… 大変だよ 葉が落ちるから

今も お隣さんから 苦情が来てる

(新妻)外国なんかじゃ 今 すごい人気なんですよ

ソテツって

(美鈴)へえ~ 詳しいね

(新妻)じいちゃんが 植木屋なんです

(美鈴)ああ

だから園芸部なんだ

新妻くんも 植木屋さんになりたいの?

(新妻)なりたいです

(美鈴)ふーん

(新妻)俺 人とか苦手なんで

(美鈴)分かる 私も

ほら あれだ あの…

飲み終わったんなら もう行きなさい

(新妻)また 庭 見に来てもいいですか?

(美鈴)えっ ダメに決まってるでしょ

(新妻)どうしてですか?

(美鈴)いや だから…

私も人が苦手なんだってば

(新妻)先生 これ

男に怖い目に 遭わされそうになったら—

これで助けを呼んでください

本当は 俺が行けるのが 一番いいんですけど

新妻くん

あなた 前に年上の女性に 無理やりさせられたって言ったよね

すごく怖かったって

はい

(美鈴)もし 私があなたなら—

今日 こんなふうに 来たりしないよ

自分の体の自由を 奪われる恐怖を知ったんなら—

女の人と二人きりになんか 二度となれない

だって—

先生は 俺の先生じゃないですか

(防犯ブザーの音)

(美鈴)あっ

(新妻)ちょっ… (美鈴)あっ あっ

イヤー!

(美鈴のおびえる声)

(ブザーの音が止まる)

(荒い息)

(雨の音)

(美鈴)高木(たかぎ)くん (高木)はい

(美鈴)竹中(たけなか)さん (竹中)はーい

(美鈴)筒井(つつい)くん (筒井)はい

(美鈴)中村(なかむら)くん (中村)はい

(美鈴)新妻くん

新妻くんは 今日も来ていません

先生 何か知らないんですか?

今日は まだ学校にも連絡ないの

(美鈴)野口(のぐち)さん (野口)はい

(美鈴)あの日から4日

(携帯電話の振動音)

(新妻)もしもし

もしもし 新妻ですけど

(新妻)先生?

原ですけど

授業 出席してください

先生

なんで非通知?

公衆電話?

番号 知られたくないの?

それだけです じゃあ

(新妻)待って 先生

先生

俺 先生のこと好きです

先生のこと好きだから—

先生の嫌いなやつのことが嫌いです

先生の敵が 俺の敵です

男が先生の敵なら—

俺 自分のことも 絶対 許さないです

でも それだけじゃ…

先生のこと救えない

俺…

いなくなりたい

先生

そんな必要ないよ

私の敵は 私なの

(不通話音)

(美鈴)あと10円あったら—

たぶん 口をついて出てしまった

(新妻)会いたい

やっぱり 会いたい

会いたいわ 俺

先生に

(アナウンス)各駅停車 大宮(おおみや)行きが参ります

危ないですから 黄色い線までお下がりください

何 その顔

(早藤)発情してんの?

あっ!

怖(こえ)えな

おびえてる女じゃないと 欲情しないんでしょ

は?

つらいのは そっちも同じなんじゃないの?

帰るわ

今日 お前と ヤル気うせた

ハッ…

(美奈子)いや だから“雅巳”ね

(美奈子の母)ごめんなさい

いつも 美奈子ちゃん “早藤くん”って呼んでるから

(美奈子)うーん… いや なんかさ—

女の子の名前みたいで 嫌いなんだって

あっ でさ ねえ 結納なんだけどさ…

(足音)

あっ ねえ ママ ごめん (解錠音)

早藤くん 帰ってきたみたい

あっ おかえり 早かったね

ねえ ちょ… ちょっと

ねえ 早藤くん

ねえ ちょっと

あっ…

ねえ 待って

(食器が落ちる音)

アアッ

早藤くん

できちゃう…

気持ちいい

ねえ もっと

アッ アア…

うれしい

アアッ

アアッ

うれしい…

(美奈子のあえぎ声)

(美奈子)ねえ もっと

(美奈子のあえぎ声)

(美鈴)あなたの言葉が力を与えた

自分の体を従えて—

前に進む力

(美鈴) “余は模糊たる 功名の念と—

検束に慣れたる 勉強力とを持ちて”

“何等(なんら)の光彩ぞ 我(わが)目を射むとするは”

“何等の色沢(しょくたく)ぞ…”

(美奈子の母)雅巳さん これからは 私たちのことも—

家族だと思っていただいて いいんですからね

(早藤)さすがに—

常務を“お父さん”とは 呼びづらいですね

アハハハッ 呼んでくださいよ ねえ

(早藤)努力します

(美奈子)あの…

私から一つ お知らせしたいことがあって

私たち 赤ちゃんを 授かったみたいなんです

あっ ごめんね ないしょにしてて

でも 驚かせたかったから

(早藤)おめでとう

(美奈子)フッ…

(美奈子の父)そうなると 籍を早めに入れとかなきゃいけないな

(美奈子の母)式も 急いだほうがいいかもしれないわね

おなかも大きくなるし…

(美鈴)お茶 こちらに置いておきますので

(池松和男)先生 (美鈴)はい

(和男)こりゃ ソテツじゃねえよ シュロだ シュロ

(美鈴)えっ そうなんですか?

(和男)こんな ほったらかしにしたら—

そりゃ お隣さんから 文句も来るよ 先生

(美鈴)すみません

(新妻)ハハハ… (美鈴)何?

じいちゃんが 先生のこと“先生”って

おもしろすぎます

(美鈴)うん

(和男)何か引っ掛かってら

(和男)何だ? (新妻)じいちゃん?

(美鈴)大丈夫… (和男)ん? あっ

(美鈴)大丈夫ですか? (和男)おっ あっ!

(落ちた音)

(猫の鳴き声)

(和男の寝息)

(美鈴)新妻くん 休憩しよう

(新妻)はい

(美鈴)どうぞ

(新妻)いただきます

おじいさん 鎮痛剤のんだせいかな

寝ちゃった

でも ほんと—

軽いぎっくり腰ぐらいで済んで よかった

(新妻)先生んちで じいちゃん寝てるとか

(美鈴)おもしろすぎだよね

フフフフフッ

(新妻)でも—

じいちゃんに感謝

もう来れないと思ったから

(美鈴)植木屋なんて—

探せば ほかに いくらでもあるのにね

(新妻)先生も—

俺に会いたかった?

(美鈴)それは…

(美鈴)間違ってない

…と思う

先生

これは 暴力ですか?

俺 今—

すごく怖いです

暴力なんかじゃなかったら—

すごくいいのに

(美奈子)私たち—

赤ちゃんを 授かったみたいなんです

クソッ!

(ウインカーの作動音)

(早藤)出ろよ 先生 (カメラのシャッター音)

(早藤)出ろっつってんだよ! (車を蹴る音)

(早藤)今日 誰か女 飲みに誘えない? 若いの

なんか適当にいんだろ 客とか

(同僚)ああ… 若くなきゃいるけど

大学の同期で 代理店で出世してる子

あっ 話 すげえおもしろいよ

話? 要らねえよ

女なんか バカで口答えできないくらいが—

ギリ相手してやれんのに

よけいな知恵つけて 体は劣化してるって—

それ どこに需要あんだよ

(同僚)お前さ 取締役の娘もらうんだろ?

ほどほどにしとけ

何ですか?

(遠雷)

(携帯電話の振動音)

はい

(早藤)ねえ 先生 うちの店に制服の彼氏来たよ

16? 17?

いいねえ もう勃ちっぱなしでしょ

フッ

俺たちのこと話したら ショック受けてたよ

ハハハハッ

ああ…

終わらせてあげるよ

幸せになりたいんでしょ?

男子高校生くんと

でも その代わり究極の選択

男子高校生くんの見てる前で 俺にヤラれるか—

俺の見てる前で 男子高校生くんと 一発ヤッちゃうか

あの いつものホテルでいいからさ

今度の土曜

二人で来いよ

先生

(看護師)よかったね 一緒に頑張りましょう

(美奈子)はい

(美鈴)あっ

(美奈子)あっ (美鈴)美奈子

ありがとう

(美鈴)大丈夫? (美奈子)うん 大丈夫

(美鈴)これ お見舞い

(美奈子)よっ

ああ…

いや~ でもさ

切迫早産って聞くと ちょっと びっくりしちゃうんだけど

まあ でも なんか あることみたいよ

(美鈴)へえ~

(美奈子)ほら 週末はさ 家に帰れるし

(美鈴)じゃあ 予定日まで ずっと病院なの?

(美奈子)うん

でも 全然平気

もう私一人の体じゃないし

この子は死んでも守るって 決めてるの

フフッ

美奈子…

(美奈子)ん?

なんか—

顔 変わったね

えっ? えっ 太ったかな?

(美鈴)ううん

何となく 頼もしいみたいな

フッ… いや 当たり前じゃん

だって 私 ママになるんだよ 強くならないと

(美鈴)うん

そういう美鈴は どうなの?

ほら 体調とかさ

もし 将来 子どもつくるんだったら 体のケア ちゃんとしとかないとだよ

婦人科とか ちゃんと行ってる?

美奈子

(美奈子)ん?

私 好きな人できた

えっ?

えっ ほんとに? よかったじゃん

あっ… フフッ

えっ どうしたの?

もしかして うまくいってないの?

ううん あの…

(美奈子)ねえ どんな人?

えっ?

ああ あのね 年下の…

(美奈子)うん

後輩なんだけど

(美奈子)年下… いいじゃん 先生仲間?

ウソ

生徒なの

(美奈子)えっ?

生徒なの?

(美鈴)うん

大切なの 傷つけたくない

なのに 彼は私のせいで すごく傷ついてる

そっか

美鈴は その彼に すっごい大事にされてるんだね

(美鈴)美奈子

(美奈子)ん?

(美鈴)ごめん

(美奈子)何が?

(美鈴)私—

ずっと 美奈子のこと…

バカにしてた?

(美鈴)えっ?

人より ずっと幸せなふりして—

愚かで惨めな女だなって 思ってた?

(美鈴)思ってた

フフッ ハハハッ

(美鈴)いや でも—

今は 自分のほうが ずっと愚かだったって思う

(美奈子)やっと気付いたの?

ごめん

(美奈子)フフッ

あっ やんだね

(鳥の鳴き声)

(美鈴)美奈子

(美奈子)ん?

リップ…

いや グロスでもいい

貸してくれない?

えっ いいけど 急だね

会うの

このあと

その彼と? これから?

(美鈴)うん

あっ…

あっ ちょっと ヤダ

だから もう ダメじゃん いつも言ってるじゃん

ちゃんとメークしなよって

(ドアチャイム)

男子高校生くんは?

(美鈴)いない

私一人で来た

約束が違うね

じゃあ この写真は消せないわ

(美鈴)ばらまきなよ

ついでに 美奈子にも見せれば?

は?

ねえ 何 その唇

エロいね

(美鈴)美奈子には—

ちゃんと幸せになってほしいの

(早藤)幸せ?

ハハッ あいつが?

ハハハハ…

お前ら全員 バカなんじゃねえの?

なんで怒んないの?

人間以下の扱いされてんのに

幸せ?

何が幸せだ ああ?

頭と腹ん中 絶望と怒りで真っ暗なくせして

自分だけは 幸せなはずだって信じてる

頭ん中 どんだけお花畑よ

そうだよ!

早藤くん 前に言ったよね

暴力でも思い込みでも—

強欲に幸せになろうとする

それが女だって

でも私は違う

違ってしまった

私は私が幸せになれるなんて 思わない!

あなたのせいで!

でも—

おかげで分かった

ねえ

そんな写真だけで満足しないで—

ちゃんと向き合わない?

早藤くん

女のアソコが どうなっているのか—

あなたは よく知ってるの?

何 お前

挿(い)れてほしいの?

私ね 知らなかったの

ここが こんなに怖いものだって

自分で見たこともない 触ったこともない

気持ち悪いよね

ヘドが出るほど 憎い男に犯されても—

どんなに卑劣で 絶望的な欲望も—

ここは全部 のみ込んでしまう

そんなえたいの知れない場所を 女は持ってる

あなたは—

そういう女が怖くて—

憎んだ

女っていう生き物への 抑えようのない激しい憎しみを—

私にぶつけたのよ

でもね 早藤くん

私も あなたも 誰も—

もう怖がる必要なんてないんだよ

だって 早藤くんと美奈子は—

ここに新しい命をつくったでしょ?

ここには—

希望が宿るの

まっさらで きれいなものが宿るのよ

だから—

それを愛せるように

私は—

早藤くんを—

許す

うわー!

(美鈴)あっ…

(美鈴)うっ… (早藤)お前に…

お前に男を許すなんてできない

この先一生 相手が誰であれ

そいつが…

そいつが男であるかぎり

お前に 男を許すなんてできない

ううっ

(看護師)体重 そんなに増えてないですし—

食べても大丈夫ですよ

(美奈子)あっ はい

(早藤)あっ 悪い

いつものゼリー 買ってきてくんない?

俺の好きなやつ

ハァ… 桃の

(掃除機の音)

(玄関ドアが開く音)

(美奈子)早藤くん?

もう どこ行ってたの?

うっわ 美奈子じゃん

(美奈子)もう… ねえ ちょっと どこで飲んでたの?

全然 電話出ないから

もう… だから病院 言って 無理に外出許可 取ったんだからね

あー ほんとじゃん

(美奈子)もう… はい お水

要らないの?

なあ 美奈子

(美奈子)ん?

美奈子はさ—

毎日 腹ん中で 子どもが育ってんの感じてんでしょ

(美奈子)うん そりゃ 当たり前じゃん

(早藤)俺は全然 実感ないわ

怖い

いつの間に こんなところまで来たんだろって

そりゃ 男の人だもん しかたないよ

でも その分 女には 強力な母性があるから

母性?

ハハハハッ

女 怖え

(美鈴)どこで踏み違えたんだろう

ハッ…

(男性)メリークリスマス

(美鈴)私は この季節が 昔から好きだった

みんなは恋人と どう過ごすかで 頭がいっぱいだけど

空気が澄んで—

いろんなものが キラキラ輝いて

私は それで十分だった

そんな日常だけで よかったのに

(美鈴)うわ…

ハハハハ… ハハッ

(美鈴)どうして私—

こんなに遠くまで 来てしまったんだろう

(美鈴)誰か…

助けて

誰か

(ドアが開く音)

(従業員)ほんとに 知り合いの方ですか?

(美奈子)あっ あの はい すいません ありがとうございます

(美奈子)美鈴?

あっ あっ… 美鈴?

美鈴!

あっ あの…

ああ… ああ…

あっ…

ああ…

(美鈴)美奈子?

(美奈子)あっ…

許して! お願い

あの 何でもするから

だからお願い 許して

(美鈴)美奈子

バカだって分かってる

でも… でも—

私は 見て見ぬふり続けるの

だって… だって 早藤くんの—

あの人の抱えきれない暗闇から—

救い出せるの 私しかいないから

じゃあ…

一つだけお願い

(美奈子)うん

お水…

取って

美鈴…

(冷蔵庫のドアの開閉音)

(男性教師) “今 この処(ところ)を過ぎんとするとき—

鎖(とざ)したる寺門の扉に倚(よ)りて 声を呑(の)みつつ泣く—

ひとりの少女(おとめ)あるを見たり” と書いてあります

ここは ヒロインのエリス 初めて登場するシーンですね

あの“少女”って書いてありますね

どんな少女か

“年は十六七なるべし”

だいぶ若いですよね

(和田島)ねえ マジでさ

原先生? どうしちゃったんだろうね

(男子生徒)いや ほかの先生もだんまりだし

さすがにおかしくない?

(生徒たちのざわめき)

(佳奈)死んじゃってたりして

(生徒たちのざわめき)

(男子生徒)えっ 死んじゃってる? 死んじゃってる?

えっ 死んでるの? えっ そうなの?

(美奈子)あなたのお父さん どうしちゃったんですかねえ

(大きな物音)

早藤くん?

(玄関ドアが閉まる音)

(物にぶつかる音)

(きしむ音)

ハッ…

ああ… えっ?

(美奈子の荒い息)

ああ… ああ…

あっ あっ あっ…

んっ!

(せき込み)

早藤くん

(せき込み)

ああ… ああ…

(美奈子の荒い息)

(早藤)みな… 美奈子

殺して

俺を殺して

それで…

(美奈子の荒い息)

俺 生きる価値ない

知ってるよ

あんたが 生きてる価値ないなんて—

とっくの昔から知ってるよ

あんたは いっつも自分のことばっかりで

結婚して家族になる 人間のことすら—

一つも頭になくて

ほったらかされてきた私は—

今の今まで ずっと一人で—

新しい命と闘ってきたんだよ!

なのに あんたは 勝手に行き詰まったあげく—

そのちっさい脳みそで—

ようやく見つけた答えが 自分を殺すって

もうバカなの? ふざけんな!

勘違いしないで

あんたができるのは—

最低な男として 最悪な人生を生きることだけ

そのクソみたいな 命の残りかすを—

私と 私の子どものためだけに すりつぶして

生きるの!

(美奈子の荒い息)

(水が落ちる音)

(美奈子)あっ

あっ あっ あっ…

あっ 破水した

ねえ 私のバッグ

私のスマホ取って

ああ…

あっ もしもし

早藤美奈子です はい

あの 破水したみたいで

はい

すぐ行きます

大丈夫です はい 夫といますので

はい

ねえ タクシー呼んで

あんたはあんたの 今できる最大限のことして

(早藤)もしもし

警察ですか?

僕 人を…

女の人を犯しました

(看護師)私もね 昔 言ってたんですよ

転んだだけだって

いいのよ 同じ目に遭ってたから 分かる

でもね あるとき 思いっ切り殴り返したの

ありったけの力で

(美鈴)すごいですね

私だったら そんなふうに強くいけない

そうかしら

(美鈴)そうです

でも—

闘ってみて 分かったことがあったんです

(美鈴)私が一番恐れていたのは…

(女子生徒) えっ えっ? 見て見て

(美鈴)自分が弱くて—

無力な生き物だって 認めることでした

拒絶も反撃もできないまま—

ただ不都合が通り過ぎるのを 震えて待っているだけの生き物

ほんと 女って弱くて—

腹が立つ

長いことお休みしていて 申し訳ありませんでした

もう 大丈夫なので

(男性教師)これ

ハァ…

生徒たちのあいだで 拡散してまして

(美鈴)そうですか

(女性教師)校長には “何もなかった”って

ねっ

いえ

ありましたから

(男性教師)あっ…

だから あったとしても—

“何もなかった”って 言えばいいんですよ

ご迷惑をおかけしました

教師は 辞めます

(女性教師)えっ?

(男性教師)ちょっと…

あした 正式に ごあいさつさせていただきます

(男性教師)原先生?

(新妻)先生

先生 ごめん

どうしても言いたいことがあって

(美鈴)うん

(新妻)なんか きっと—

話す気もうせるぐらい 怖い目に遭ったんだろうなって

俺なんかじゃ 絶対 救えないようなことが—

あったんだろうなって

なんで 俺 助けてあげられないんだろうって

悔しい

でも…

この向こう側に 先生がいるってだけで—

ほんとによかった

先生 ごめん

俺 何もしてあげられなかった

俺のせいで…

違う

あなたのせいで—

闘えたの

新妻くんがいたから—

私 初めて—

女でも闘っていいって 分かった

たとえ—

勝てなくても

だから もう十分なの

君が—

私にできることは—

全部やった

(ロッカーをたたく音) (新妻)それでも俺は…

先生のことが好きです

私も

でも…

無理だった

私は—

たとえ どんな相手でも

男であるかぎり

ごめん

さようなら

(セミの鳴き声)

(美鈴)私と彼は—

自分の体を 他人に無理やり奪われました

そのことで—

自分以外の—

誰かの体を欲しがることは—

罪だと思い込んでいました

たとえ好きな人の体でも

それは 自分の快楽を優先し—

相手を傷つけ—

奪うだけの行為なんじゃないかって

でも—

友人が妊娠して 分かったんです

(赤ん坊の声) (美奈子)よちよちよち…

(美鈴)希望を生むこともあるって

(早藤)ねえ

(美奈子)ん? 何?

(早藤)いつも 気になってたんだけど それ

ああ

これ?

(早藤)何 書いてあるの?

(美奈子)フフッ

会ったら話すことを いつも書いてるの

(係官)時間です

はい

じゃあ またね

また来るね

(早藤)お願いします

(清田)それで どうですか? 今は

(美鈴)今は…

優しいものや きれいな気持ち—

手を伸ばせば 触れられたはずのものを—

一つ一つ 拾い上げて—

確かめるみたいに生きてます

(風鈴の音)

(玄関チャイム)

(美鈴)あっ

はい

はーい

(庭師)あっ どうも 緑興(りょっこう)造園センターの者です

(美鈴)お待ちしておりました

お庭 どちらですか?

(美鈴)あっ こっちです

おい こっちだぞ

(男性)はい

(車のドアが閉まる音)

(美鈴)よろしくお願いします

(庭師)お願いします

♪~

~♪

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