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(小笠原来美)あなたは 10年後の未来に何をしていますか?
(間宮 響)んー… 何だろう
まあ…
今の修理工場から独立して――
自分だけの店を持つとか?
ちょっと小さいか 夢が
(来美)小さくないよ 素敵だよ
あっ そう?
それで…
その時には…
その時には?
(響)だー! ちょっと無理! (来美)えっ?
無理だ! ちょっと1回やめて やめて!
(来美)なん… なんでよ! (響)ね 来美は?
(来美)えっ? (響)10年後 何してると思う?
(来美)私? (響)うん
えー…
分からない
なんで?
たまに不安になるんだよね
何をしてて――
どう生きてるだろうって
(響)それは 心配しなくても大丈夫だよ
え?
(響)来美は 立派な医者になってるよ
フッ そうかな?
(響)そうだよ
それで――
その時には…
家族ができてたりして
(来美)家族?
(響)そう 家族 たとえばね!
たとえ話だよ たとえさして ちょっと
ちょっと待ってて ちょっと待ってて
ちょっと ま 待って 待って 待って…
来美
流れで言うわけじゃないけど…
(来美) ねえ あれ どうしたんだろ?
(車を叩く音)
(男性)おい! (女性)えっ 故障?
(男性)おい!
助けてあげたら? 未来の社長さん
来美 聞いて
困ってるよ?
(男性)おい!
ほら 行こうよ
(柴崎大和)よいしょ!
(羽鳥 葵)ねえ もういいからタクシー呼ぼうよ
(大和)え?
レストラン 閉まっちゃうよ?
(大和)大丈夫だよ! 任せろって!
あ?
ちょ…
(響)危ないよ (大和)おっ!
適当に触ったら ショートしちゃうから
(大和)何だよ どけよ 急いでんだよ
故障ですか?
(葵)あ はい (来美)ああ…
(響)違う違う
(大和)どけよ! (響)いいから
(大和)おま…!
テメエ…
おい おい! 勝手に触んじゃねえよ テメエ
車泥棒か? おい!
車泥棒?
ああ 何だよ!
バカか お前
離せよ!
だから…
(響)バッテリーが 上がってるんだよ!
勝手に触んなつってんだろ! あ?
(大和)うるせーな! うるせーよ! (響)話聞け! 話聞けよ!
(来美)ダメ 響! (葵)ストップ 大和!
(舌打ち)
(葵)ハァ…
話を聞けよ
(葵)本当にすいません うちのバカが
(来美)ああ いえ こちらこそ (葵)いえいえ
(来美)デート中なのに 失礼して…
いえいえ デートっていうか ただの幼なじみなんで
ああ…
直せんのか 1人で?
ほんっとに どうしようもないな あいつ
フッ… 彼女も大変だよな
フッ… 分かってないなあ 響
何が?
さっき 未来がどうなるか 分からないって言ったけど
分からないから 楽しみなのかも
フッ
これから先 どんな未来が待っているのか
フッ
勝負は明日にするか
(来美)ん?
(来美)あー
よしっ
(葵)おーい 大和!
フフッ
(葵)ねえねえ いいの? 勝手に入って
(大和)おう ちょっとぐらいなら
(葵)ふーん
(大和)ほら
わあ!
素敵! フフ
大和 いつも こんな所で働いてるんだね フフ
(大和)おう
あっ つうか…
これ
(葵)ん?
葵 今日 誕生日だろ?
へえー 覚えてたんだ
おう 開けて
うん
(大和)なんか 限定品らしくて
いい匂いだったから 葵に合うかなって…
あのさ 私 看護師だよ?
こういうのつけるの マズいんだよね
え?
(葵)フフフフ (大和)ああ…
でも ありがと
幼なじみからの プレゼントってことで
いや…
そうじゃなくて
俺 葵のこと…
うっ くっ… ぐっ!
ああっ
(大和のため息)
ねえ あれって…
何してんだ…
は?
(人々の騒ぎ声)
マジかよ…
(男)うっ
(うめき声)
おっ おい
(男の うめき声)
(うなり声)
(人々の悲鳴)
(人々の悲鳴)
行くぞ!
(人々の悲鳴)
(男性)ああっ! あーっ
あーっ!
行くぞ!
早く! こっち!
(子供)痛いよー…
あっ
(葵)どうしたの 大丈夫?
(うなり声)
うっ うわっ!
ううっ!
(大和)うっ (葵)大和!
早く逃げろ!
(男の うなり声)
(サイレン音)
大和!
(うなり声)
(女の うなり声)
(アナウンサー)三浦市全域に 避難指示が出ました
現在 暴徒化した集団による 暴行傷害事件が…
各地で暴徒化した住民たちによる 暴行傷害事件が…
市街地で大規模な火災が 発生しており
現地では混乱が続いています
各自治体が定める 所定の避難所へ待避してください
お伝えします 襲われた被害者はいずれも――
同様の暴徒化が確認されており…
(アナウンス)現在 すべての 電話回線が停止しております
(ナレーション) 1人の科学者が開発した――
遺伝子治療用ウイルスが 形を変え――
ゴーレムという 不老不死の化け物を生み出した
ゴーレムは人を襲い 襲われた人間はゴーレムとなって――
また別の人を襲う
響!
(ナレーション)文明は崩壊し
もはや この世界に 安住の地はない
人々は憎しみ合い 殺し合い
多くの命が奪われた
おい!
(ナレーション)そして時に
愛する者さえ失った
(銃声)
(老人)ううっ! ああっ
ああ…
ううーっ!
(老人)ああー…
ああーっ ああ…
ううーっ…
(女性)どうぞ
(老人)うっ
ううっ あっ
あーっ!
(女性)おじいさん この辺りのこと詳しいですか?
(老人)ああ 少しはな
(女性)私たち ある場所を目指してるんです
よければ案内を
(老人)どこへ行くつもりだ?
(女性)人類最後の――
希望の塔
(ヘリコプターの飛行音)
(大和の荒い息)
(荒い息)
何だ あれ?
(老人) 2つのタワーが見えるだろ
1つには 元政治家やら――
資産家などの権力者が住んでいて
もう1つには――
科学者たちが集まって ある研究を行っている
そして地下では…
(走る足音)
(ジン)お兄さん お兄さん
武器に食料 電池もあるよ ちょっと見てかない?
なあ ここは一体… なんでこんなに人がいるんだ?
あんた ひょっとして何も知らずに ユートピアにたどり着いたの?
ユートピア?
フッ かなり運がいいな
元々ここは リニアの駅になる予定で
今はゴーレムからの 避難場所になってんだ
浄水や発電のシステムも 備わっていて
最低限の暮らしは保証されてる
あっ そうだ
この子 見なかったか?
羽鳥葵 前は看護師をしてた
あちこち捜し回ったけど 見つかんなくて
あとはもう ここしかねえんだよ
だったら研究タワーにいるかもな
研究タワー?
(ジン)科学者やら 医者が集まってんだよ
物資を調達するヘリまで飛んでる
看護師なら そこにいる可能性が高い
そのタワー どうやって行くんだ?
来いよ 見せてやる
(人々の騒ぎ声)
あそこが タワーの地下の入り口なんだが…
(アナウンス) ゲートから離れてください
ゲートから離れてください
(藤丸礼司)お願いします!
ワクチンを下さい!
ワクチン?
噂じゃ あのタワーの中で
ゴーレムウイルスに対抗する ワクチンが作られてるらしい
(ブザー音)
(アナウンス) 強制排除を実行します
(藤丸)お願いします お願いします
ワクチンを下さい!
うっ う!
(藤丸)あっ (大和)おい!
大丈夫かよ
あっ… すみません
(大和)なんで 入れてくんねえんだよ?
(ジン)ワクチンができても 限りがあるだろ
俺たち地下の人間は無視して
タワーの連中だけ 助かろうとしてんのさ
ひでえな
けど 俺はワクチンなんて どうでもいい
(ジン)は?
このタワーに 葵がいるかもしれねえんだろ?
(ジン)おっ… おい! 何してんだよ!
(藤丸)何する気ですか?
外から登ってやる
(ジン)外ってお前 タワーの外から?
(藤丸)無理ですよ!
(大和)やるっつってんだよ!
とび職ナメんな!
分かったから お前 落ち着けって!
(大和)危ねえだろ 離せ!
だったら タワーに入る 裏ルートを教えてやる!
裏ルート?
加地 ちょっといいか?
こいつら 研究タワーに入りたいらしい
(加地裕也)名前は?
藤丸といいます 家族のために――
食料を探しに 外の世界に出たいんです
そのためにワクチンが欲しくて
そっちは?
柴崎大和 人捜してる
頼む 教えてくれ どうやってあのタワーに入んだ?
その前に――
持ってる物 全部よこせ
は?
(加地)水 食い物 乾電池 タバコ
使える物は全部な
(藤丸)え?
バカだな お前ら 裏ルートなんて 本当にあると思うか?
だましやがったな
(松山寿人)加地!
もう1人 捕まえたぜ
こいつもタワーに行きたいらしい
今日は大漁だな フフッ
(ジン)それじゃ 全員 持ち物よこしな
おい!
(大和)うっ う… 放せ!
じゃあ――
葵がタワーにいるってのは?
さあね とっくに ゴーレムに食われたんじゃないの?
(大和)うっ (男1)おい!
ふざけんな!
葵は生きてる
生きてるに決まってんだろ!
(男2)うりゃーっ!
(男3)おい! (大和)うーっ!
(芹沢龍平)首藤チーフ
タワー内はすべて捜しましたが
いまだ何も見つかりません
やはり外部の犯行だと思われます
(首藤シンジ)地下のゴキブリか
(芹沢)恐らく
さっさと見つけ出して駆除しろ
(芹沢)はい
(葵)おはようございます 首藤チーフ
待て
(においを嗅ぐ音)
(においを嗅ぐ音)
何か におうな
あっ ちょっと!
(シンジ)香水か
業務中は つけていません これは――
私にとって お守りみたいなものなんです
(シンジ)必要ない
それより 気を引き締めてほしいな
実は昨夜 地下街にある倉庫で保管していた――
爆薬が何者かに盗まれまして
(葵)爆薬?
(シンジ)このタワーに 持ち込まれては大変だ 特に――
この特別室に 何かあってはいけない
ここにあるのは 人類最後の希望だ
俺は必ず葵に会う
あいつを 守らなきゃいけねえんだよ
分かったらどけ!
いいか 兄さん
守らなきゃいけねえもんなら 俺たちにだってある
分かったらタワーのことも諦めろ 入るのは無理だ
この地下施設は 完成してるわけじゃない
あ?
(響)建設作業中の箇所も いくつかある
あのタワーも
配管部分で 塞がってない場所があるはずだ
そうなんだろ?
マジで?
仮にだ
仮にあんたの言うとおりだとしても 結局 警備が厳しくて
タワーには 近づくことすらできない
(響)要するに――
その警備を 追い払えばいいんだろ?
(ジン)あのね それができれば 苦労しないんだよ
(松山)うわー!
(藤丸)爆薬!
(松山)何だよ これ!
なんで そんなもん?
そういえば昨日 離れの倉庫で
盗難騒ぎがあったらしいけど
まさか…
そろそろだ
(タイマー音)
(エンジンの稼働音)
(爆発音)
(警報音)
(警備兵) あ? 何だこれ
行くぞ
(松山)まさか タワーを爆破したのかよ?
(警報音)
(松山)この野郎!
待て!
コラ
今の爆破で地下の警備は 手薄になるかもしれない
(松山)そんなもん 分かんねえだろ!
確かに タワーに入るには 今しかねえ
(ゴーレムたちの うなり声)
おい
(響)うっ…
一緒に行かせてもらうぞ
ただし――
こいつは預からせてもらう
ジン 松山 来い
(男4)おい 加地 ほんとに行くのかよ?
待ってろ
必ずワクチンを持って帰る
ああ コラ! おい
おい 待て
おい!
どけ コラ!
(職員たちの話し声)
(西条 玄)落ち着きなさい!
ゴーレムの侵入は防いだ
破損した箇所もまもなく復旧する
安心して研究を続けたまえ
はい
(松山)マジで見張りいねえよ チャンスだ
うっ
(藤丸)こんな所に!
この先 警備兵に見つかれば 命の保証はねえ
引き返すなら今だぞ
行くに決まってんだろ
あーっ!
待ってろ 葵!
どうも 西条長官
で ワクチンの開発の方は?
(シンジ)順調に進んでいます (西条)うん
(シンジ)現在 治験者たちに 最新のワクチンを投与して
経過を観察している段階です
その結果も もうすぐ出る
完成は目前です
さすがは首藤博士の息子さんだ
息子…
結局 父はワクチンを 作り出すことはできなかった
僕から言わせれば ただの負け犬ですよ
でも 僕ならそれができる
このゴーレムに侵された世界を 救い出せるたった一つの手立ては
僕が作り出すワクチンなんです
僕は もうすぐ この世界の救世主になる
期待しているよ
首藤シンジ博士
(ゴーレムたちの うなり声)
(ゴーレムたちの うめき声)
(アナウンス)地下住民に告ぐ
我々はタワーへのテロ行為を 行った人間を捜索中である
抵抗する者は テロリストの協力者とみなす
(住民の うめき声)
(松山)裏のツテで 手に入れたタワーの設計図だ
この奥の階段を上がれば 一気に30階まで行ける
そういや兄さん 名前は?
間宮
間宮…
オッケー
(藤丸)あの
このタワーに本当に ワクチンはあるんですか?
(ジン)俺の兄貴は研究員でね
このタワーにいんだよ
(大和)え?
もう何年も会えずにいるけど 前に一度だけ連絡が取れて
その時に聞いたんだ
このタワーには “奇跡の子”ってのがいるらしい
奇跡の子?
(ドアが開く音)
体調は?
(葵)特に異常はありません
覚醒時脳波のアルファ律動が 消えてるじゃないか
少しでも変化があったら 報告しろと言っただろ!
この子は人類を救う子なんだ
くれぐれも 慎重にケアしろ
はい
あの
首藤チーフ
いつまでこの研究を?
ワクチンのためとは 分かってますけど
こんなに幼い子が何年も こんな目に遭ってるなんて
つらすぎます
この子のご両親だって どう思ってるか…
(シンジ)それなら心配いらない
この子の親は もういないよ
母親も
父親もね
(女性)おじいさんは このタワーの中に入ったことは?
(老人)前に 少しな
(女性)よかった
それじゃ 中も案内していただけますか?
お礼は はずみますから
(老人)ところで
あんたらは 何のために ここに来たんだ?
(女性)行きましょうか
(ゴーレムの うなり声) (女性の悲鳴)
(女性)ああーっ!
(男性の悲鳴)
(うなり声)
(松山)ワクチンがあんのは 恐らく最上階の研究フロアだ
(藤丸)エレベーターとかは?
(松山)バーカ 見張りがいて使えるわけねえだろ
待ってろ 葵!
(警備兵)侵入者だ!
うおっ!
(加地)散らばれ!
(芹沢)地下のクズどもが
追うぞ
(警備兵たち)は!
クッソ…
ヤーッ!
うっ!
うーっ!
(警備兵)あーっ!
うっ… ぐあっ!
(大和)うわっ!
テメエ
この香水 なんでお前が!
(芹沢)放せ! (大和)ああっ
おい こっちだ!
うっ!
(ジン)大丈夫か?
いるんだな
ここに
あっ 起きた?
具合はどう? ミライちゃん
(ミライ)あおいせんせい
もうすぐサンプルを採る時間よ
またやるの? 痛いやつ
(大和)葵はいる
このタワーに 葵はいるんだ
(足音)
(ゴーレムたちの うなり声)
(藤丸)ゴーレム! なんで?
立て!
(松山)どうなってんだよ?
(ジン)ダメだ キリがねえ!
(加地)とにかく逃げろ!
(大和)行け!
(加地)クソ!
(ゴーレムたちの うなり声)
(ジン)はさまれた
加地 どうする? 加地!
(芹沢)殺して構わん
害虫はすべて駆除しろ
窓から――
離れろ
は?
(ガラスの割れる音)
つかまれ!
(突風の音)
ううっ!
(松山)ああっ
うわっ
うっ!
うあーっ!
ああーっ!
死にたくねえよ!
あーっ!
松山!
(松山の悲鳴)
(芹沢)うっ! うっ!
(警備兵)うわーっ!
(響)うっ
ぐっ…
(ジン)うっ
逃げるぞ!
うっ
(芹沢)うっ
ああっ
ゴミどもが!
(藤丸)助かった
(加地)だが 松山が…
お前 何考えてんだ?
いい加減にしろよ テメエ
ふざけんな! とんでもねえことしやがって
(加地)おい
テメエは…
テメエは命を何だと思ってんだ!
(弓を倒す音)
お前はどうなんだ
(大和)は? (響)おい
(大和)何だよ!
お前は命を何だと思ってんだよ?
ごまかしてんじゃねえよ!
(大和)クソ! (加地)やめろ!
こいつが ああしなきゃ 俺たちは全滅してた
やり方は気に入らねえが
助かったよ
にしても あんた
なんで そこまでする?
そんなにワクチンが欲しいのかよ
(老人)誰の仕業か知らんが
随分 派手にやったもんだな
これ以上 行くのは 危険じゃないか?
(女性)それでも やるべきことがあるんです
ある男を捜してるんですよ
間宮響といいます
間宮響…
私は
その男を殺すために ここに来たんです
(ジン)おい 静かにしろ
(足音)
隠れるぞ!
(加地)こっちだ!
何だ この部屋?
あれは…
え?
(天城レン)触らない方がいい
誰だ?
兄貴?
ジン
(加地)ジンの兄貴?
研究員じゃなかったのかよ?
ていうか その顔…
どうしたんだよ 兄貴 なんでこんなとこに?
我々は皆
ワクチンの治験者なんだよ
(藤丸)うわあー!
(大和)何だよ これ?
みんな バケモンみたいに なってんじゃねえかよ
(天城)薬と毒は紙一重
ワクチンは微量のウイルスを 体内に入れて
抗体を作る仕組みに なっているんだ
だがその調節が うまくいかないと――
ワクチンは猛毒となり
人の体を むしばむことになる
我々は皆
研究の実験材料にされ
不完全な試薬品によって こんな体になってしまった
そこにあるのが その試薬品だ
そんな…
(加地)誰がこんな ひでえことを
ここにシンジという男はいるか?
(大和)シンジ?
首藤シンジは
研究チームのリーダーだよ
私もそのチームにいたが
実験には反対した その結果――
治験者にされてしまった というわけだ
そいつが兄貴を…
待ってろ すぐに ここから出してやる!
(加地)何がワクチンだよ
タワーの連中 研究のために こんなことしてやがったのか!
ワクチンの数ですか? まだ それほどは
下で面倒なことが起きている
万が一に備えて ワクチンを 大量に用意する必要がある
(シンジ)でしたら
あの子の血液を 大量に用意する必要がありますね
(西条)命を落とす危険も あると思うが?
いえ
この世界を救うためですから
(西条)ああ よく言ってくれた
頼んだぞ 首藤博士
(解錠音)
行こう 兄貴
いや もういいんだ ジン
それより頼みがある
私を殺してくれないか
何言ってんだよ 兄貴
私の体は 日に日に むしばまれている
地獄のような苦しみなのに 死ぬことも許されない
もう耐えられないんだ
せめて人間として死にたい
バカなこと言ってんじゃねえよ
本気だ
やってくれないのなら…
(藤丸)うっ うっ! う…
噛みついてやろうか
あーっ! あっ あっ あ…
(藤丸)あ… (ジン)おい!
(天城)ううー…
それじゃダメだよ
この体はすでに ゴーレム化しているんだ
心臓を刺しても死なない 殺すには――
脳を破壊するしかない
うう…
うーっ
ああ…
あーっ!
だから ジン
頼む
苦しいんだ
殺してくれ
無理だ 俺には無理だ!
ああ…
あっ…
殺せ
殺せ!
殺せー!
うっ
(荒い息)
ありがとう
ううー…
(天城の うめき声)
うっ!
兄貴…
どうしてこんな世界に なっちまったんだろうな
昔は兄貴と一緒に酒飲んで
バカな話ばっかりして
そんな普通の日々が 一生続くと思ってた
俺はこれから どうすればいいんだ…
生きろ
どんな未来が待っていようと
生きろ
(足音)
見張りが去った 行こう
あんた 何もんなんだ?
さっきのシンジってのは誰だ?
なんで そんな奴のこと 知ってんだよ?
あんたが ここに来た理由は?
ミライのためだ
は?
俺はミライを取り戻す
あおいせんせい?
(女性)ここは?
(老人)研究室の1つだな
(女性)おじいさんは――
前はこのタワーで 何をしていたんですか?
ワクチンの研究に 少しばかり関わっていた
その研究の後押しをしていたのが
西条という男だ
元々は起業家で
いくつもの研究機関を 支援していたそうだ
ゴーレム惨禍になって 彼は 生き残った優秀な研究者たちを
このタワーに集め ワクチンの開発を行わせた
人類を救うためにね
(女性)噂では その研究のために
非人道的な実験を 行っていたとも聞きましたが…
(老人)すべてはワクチンのため 人類のためだ
多少の犠牲は必要だと――
私は思うがね
(女性)じゃあ――
この犠牲も 仕方がないということですか?
(老人)もういいだろう それより――
さっきの話の続きを 聞かせてくれないか?
(女性)さっきの話?
(老人)間宮響を殺すために ここに来たと言ったな
どういうことだ?
その男に何か恨みでもあるのか?
(女性)彼を殺す前に
1つだけ 知りたいことがあるんです
おじいさんは――
全人類の命と
たった一人の命
どちらかしか選べないとしたら どっちを選びますか?
聞くまでもないことでしょうね
でも――
私はいまだに分からないんです
どちらが本当に正しいのか
間宮響は――
どうして あんな答えを選んだのか?
(ゴーレムたちの うなり声)
(藤丸)こんな所にまで ゴーレムが…
現在 ゴーレムの群れは 30階近くまで来ています
じゃあ その先の 防火シャッターを下ろせ
つまり下の階の人間は…
切り捨てる
では
各階の職員たちは 至急 研究フロアまで上がれ
(響)久しぶりだな シンジ
もしかして… 間宮さん?
ミライを奪ったのはお前だな?
(シンジ)僕は悪いことを したとは思ってませんよ
(響)治験者たちを見た
もうあれは人間じゃない
そうやって俺の娘も…
ミライも殺す気か?
ミライは必ず取り戻す
残念ながら そうはいかない あなたはそこで死ぬんです!
(トランシーバーが砕ける音)
各階の警備兵 並びに職員たち このタワーに――
間宮響という男が侵入している
その男は――
人類の希望を奪おうとしている!
間宮響を捕まえろ
殺しても構わない
その者には 優先的に 完成したワクチンを与える
間宮… 響…
(シンジ)間宮響を殺せ!
人類の敵を殺せ!
(笑い)
(大和)おい
加地 仲間を売る気か?
仲間だ?
俺たちの目的は ワクチンを手に入れることだ
(シャッターが下りる音)
(ゴーレムたちの うなり声)
何だよ 急に… どうなってんだ?
いいから急げ!
(加地)うっ
うっ…
おい!
悪く思うな
クソ… うっ
あ… ジン
(ジン)あっ!
(大和)おい!
大丈夫か? おい!
おい!
うっ…
お前らは…
うっ… お前らは生きてくれ!
生きて
大切な人に…
会って…
兄貴
あっ…
(響)うっ…
ああ…
うっ
う…
うっ
あおいせんせい?
ミライちゃん かくれんぼしよっか?
かくれんぼ?
そう 先生と一緒にね
(大和)おい おい どこ行くんだよ?
(響)1つ下に コントロール室がある
そこでシャッターを上げる
(大和)何言ってんだよ 下には ゴーレムがウヨウヨいんだぞ!
(響)どけ
だから その体じゃ無理だ!
どけー!
思い出した
あんた あん時の…
ほら! そうだ!
俺のこと 覚えてるか?
いいからどけよ エンスト野郎
バカ 分かった
1回 座れ!
うっ
傷見せろ
うっ
うっ
ううーっ
(大和)ひでえな
うっ
(大和)ちょっと待っとけ
ううーっ!
ぐうーっ…
ぐうー!
うっ
その指輪は?
そうだ
あん時の彼女は?
元気でいんのか?
さっき言ってたミライってのは
もしかして あんたらの子か?
そういうことか
うしっ!
そんで 彼女は?
どうしたんだ?
来美の体は――
ゴーレムウイルスに侵されてた
は?
ミライは無事に生まれた
でもその後 来美はゴーレムに
俺は…
俺は この手で来美を…
俺は半日だけの父親だった
え? 半日…
俺と来美とミライ
家族3人で一緒に過ごした時間
たったの半日
ほんの数時間だった
その数時間の間に ミライは奪われた
俺はまだ父親として――
ミライに何一つやれてない
それからずっと考えてた
もしミライに会えたら
何をしてやれるだろうって
名前も呼んでやりたい
来美がつけたミライって名前を
来美の分まで 抱きしめてやりたい
頭をなでてやりたい
もし笑ってくれたら
その笑顔をずっと守ってやりたい
来美の分まで
だから邪魔すんな
バカ 待て!
うっ
俺が行く
とび職ナメんな
(研究職員1) どうするつもりですか?
ゴーレムウイルスを あれの体内に打ち込むんだ
(研究職員1)しかし…
うるさい!
抗体反応を直接 高めて ワクチン生成を急ぐしかない
ワクチン生成… チーフ!
チーフ!
クソが…
(ガラスの割れる音)
(大和が息を吐く音)
♪ The darkness shows me light
♪ 守り続けよう
♪ どんな明日が 待っていようとも
(銃声)
(ゴーレムたちの うめき声)
どうして?
♪ 手応えのない
(ゴーレムの うなり声)
♪ 朝が来ては
♪ 小さな未来
♪ 蝕まれた
♪ 汚れてしまった
(大和)うっ!
♪ この手のひら
(ゴーレムたちの うなり声)
♪ 夜がくれば
♪ 包んでくれる
どれだよ!
♪ 正しい事だけ選んでは
(ゴーレムたちの うなり声)
♪ いられなくてだって
あーっ! クソ
♪ この世界を全て
あっ
♪ 裏切ったとしても
開け!
(シャッターが上がる音)
♪ The darkness shows me light
♪ 守り続けよう
逃げて
♪ どんな明日が 待っていようとも
(研究職員2) 防火シャッターが開放されました!
♪ I feel you deep inside
(研究職員3)状況確認 急げ!
♪ 全て捧げよう
♪ その涙が乾くのなら
♪ 過去、今、未来へと
♪ 最後に誓うよ
おい! こっちだ!
♪ Don't be afraid, believe in ray of light
(ゴーレムたちの うなり声)
(うなり声)
(大和)ぐっ うっ!
(響)くっ うっ…
ううーっ!
♪ The darkness shows me light
♪ 守り続けよう
ううっ
♪ このキズが 増えてしまっても
ううーっ…
♪ I feel you deep inside
♪ 全て捧げよう
(響)ううっ!
♪ あなたの代わりは いないから
うわあーっ…
♪ 過去、今、未来へと
♪ 最後に誓うよ
♪ Don't be afraid, believe in ray of hope
ねえ ここに隠れてて いい?
せんせい…
せんせい!
うっ!
♪ The darkness shows me light
♪ 守り続けよう
♪ どんな明日が 待っていようとも
(泣き声)
♪ I feel you deep inside
(ゴーレムの うなり声)
♪ 全て捧げよう
♪ その涙が乾くのなら
♪ 過去、今、未来へと
♪ 最後に誓うよ
(ゴーレムの うなり声)
♪ Don't be afraid, believe in ray of light
葵
大和
やっと…
やっと会えた
大和…
本当に大和なの?
ああ
(ドアが開く音)
あおいせんせい
ミライ…
うっ
うう…
(ナイフが落ちる音)
この人 誰?
痛いこと するの?
(藤丸)よかった!
2人とも無事だったんですね
(大和)ああ
加地は?
(藤丸)1人で ワクチンを探しに行きました
警備兵が追ってきてます 早く逃げましょう
ミライを連れて このタワーを出る
行こう
分かった
行こう
うん
おい その子って もしかして…
(大和)ああ 間宮の娘さん
奇跡の子ってやつだ
俺が引きつける ここで待ってろ
(大和)待て 俺も行く
大和
葵
これ 持っててくれ
奴らをまいたらすぐ戻る
頼む
(藤丸)あの
僕が代わりますよ
あっ けど…
(藤丸)いいから
よこせよ
あなた 何を…
フフッ 決まってるでしょ
この子をタワーの人たちに 返すんですよ
は?
(藤丸)代わりに 完成したワクチンを頂く
あの人たちは そんなに甘くないわよ!
いざという時は こいつで脅してやる
タワーごと爆破して…
ふざけないで!
うおー
すげえ
初めて撃った
へへっ
おい 女
来い
え?
よし 行こう
(銃声)
ううっ!
(加地)まだ生きてやがったのか
(芹沢)間宮響! 柴崎大和!
(大和)葵!
ミライは?
あの人が 研究室に
(葵)うっ (大和)おい!
(響の荒い息)
(芹沢)柴崎大和 お前も追え
(大和)は?
(芹沢)奴を殺せ
できなければ…
(響)うっ
うっ! う…
(加地)クソ!
(響)あっ! ううっ!
(加地)ううっ うっ!
うーっ! うーっ!
うーっ!
(加地)うっ!
ううっ!
うー… うっ!
(銃声) (響)うっ
(ゴーレムたちの うなり声)
(響)ううーっ!
うっ ううっ!
俺には夢があるんだ
(ゴーレムたちの うなり声)
ううっ
(ゴーレムたちの うなり声)
ぐっ!
俺は 葵と一緒に生きる!
(響と大和の うめき声)
(大和)ううっ!
あっ ああっ!
あんたに恨みはない
ううーっ!
だけど
死んでくれ!
ううっ! う…
(大和)葵は…
葵は俺のすべてなんだよ!
(響)うう… うっ
許してくれ!
許してくれ 間宮!
(響)ああ…
(大和)間宮!
ああ…
ああーっ!
ぐあっ!
(響の咳)
(芹沢)まだ てこずってるのか
葵!
うっ あっ
うう…
あっ
(葵)大和!
ううっ
俺にも夢があったよ
(大和)うっ
いつか自分の店を 持ちたいと思ってた
車の修理屋だ
そこには――
来美もミライもいて
え?
ミライに道具の扱いを 教えてやるんだよ
(芹沢)早く殺せ!
大和!
揮発性の高い液体は――
少しの火花で――
引火する恐れがあるんだよ
(芹沢)何をウダウダ しゃべってる
さっさと殺せ!
(瓶が割れる音)
(芹沢)うわっ!
(芹沢の悲鳴)
ああーっ! うわーっ! ああっ
ううっ
うーっ!
(芹沢)ああっ うっ!
うわっ!
あーっ!
(加地)間宮!
フッ
バカだな お前
そんな女 助けるなんて
死ね
(銃声)
うっ…
大和!
(大和)うっ しっかりしろ!
(葵)早くしないと タワーが爆発する
その前に ミライちゃんを助けないと!
ミライ…
う… うっ
今度は 俺があんたを助ける
大和…
葵は先に逃げろ
(葵)けど…
頼むから…
頼むから生きてくれ!
幼なじみだから 言ってんじゃねえぞ
愛してる
葵
俺は必ず生きて帰る
約束だ
うん
うん!
(大和)間宮 行くぞ
うっ
うっ… うう
西条長官…
(研究職員1)ああっ!
まさか人類の希望をも 奪われるとはな
ワクチンなら 一定量 確保できています
(警備兵)西条長官!
この男が
奇跡の子
取り返してあげたよ
どうも 感謝しますよ
(警備兵)おい!
タダで あげるわけないだろ
ワクチンだよ ワクチン
僕ね ほんとは 家族なんていないんですよ
父さんも母さんも妹も 食料がないまま餓死したんだ
タワーの人間はワクチン開発に 夢中で何もしちゃくれなかった
俺はあんたらを許さない
お前らのワクチン 俺が全部奪ってやる!
これだけの人数を相手に どうするつもりだ?
このタワーに
いくつか爆弾を仕掛けた
(タイマー音)
ふざけるな どこに仕掛けた?
誰が言うかよ
バーカ!
(西条)いいだろう
(シンジ)西条長官
やむをえん
奇跡の子の確保が最優先だ
ううー…
よし
網膜に異常なし
答えろ 爆弾をどこに仕掛けた?
(藤丸)待てよ
まだ分かんねえだろ?
そんな簡単に…
うっ! う…
くー…
うっ う…
うっ
ううっ
何だよ これ!
(研究職員1)おい 警備兵 (警備兵)下がってろ!
何とかしろ
何なんだよ これ!
(銃声)
実験は失敗のようだな
首藤博士
お願いします その子を僕に もう一度チャンスを!
(響)おい シンジ 聞こえるか
間宮!
(響)そこに ミライはいるんだな
(シンジ)あなたの子供なら まだ生きてますよ
男の方は死にましたけどね
その男はタワーのどこかに 爆弾を仕掛けた
俺たちは その起爆装置を持ってる
ミライと交換だ
じゃなきゃタワーを 爆破することになる
間宮君と言ったかな 分かった
最上階の研究フロアまで来い
至急 警備兵を集めろ
うっ
(大和)待て
起爆装置なんか 本当に持ってんのか?
奴らが簡単に 人質交換するわけねえだろ
ワナがあるに決まってんだよ!
俺は あんたには 死んでほしくねえんだよ!
あの子にしてやりたいことが たくさんあんだろ?
だったらしてやれよ!
そのために生きろ
あの子のために! 生きてやれよ
きっと手はある
そうだろ?
そうだな…
手はある
(西条)この子の母親にも 特別な抗体があったそうだな
小笠原来美といいます
父は彼女を使ってワクチンを 生成しようとしていました
君の父親を殺したのは?
間宮響です
(警備兵)来たぞ!
(足音)
(シンジ)久しぶりですね 間宮さん
よく生きてたもんだ
ミライは返してもらう
起爆装置が先です
(笑い)
押せるわけないですよね?
押したら あんたの可愛い子供も 一緒に吹き飛ぶんだから
そこが あんたの甘いとこだよ
結局は――
僕が勝つんだ!
死ね 間宮!
(銃声とガラスの割れる音)
全員 動くな!
(西条)君は 自分のやっていることが
本当に正しいと思ってるか
この子は世界を救うことができる 奇跡の子だ
この子が持っている抗体によって
いずれ何百万 何千万という 人間の命が救われるだろう
全人類の命と一人の命
どちらが大切か君にも もう分かってるはずだ
俺には分からない
君一人のものじゃないんだ
この子は人類の希望なんだ
だったらミライはどうなる
ミライの幸せは?
大いなる犠牲だよ!
尊いことじゃないか!
確かに君にとっては かけがえのない大切な存在だろう
だが 命に優劣はない!
だとすれば 大勢の人間が 生き残るべきなんじゃないか?
人類はこれまでも これからも――
そうやって文明を 守っていくしかないんだよ!
おい ふざけるなよ
俺の娘の命を 何だと思ってんだ
(西条)それはエゴだ!
(響)お前らにミライの人生を 奪う権利はどこにあるんだ!
お前一人のエゴで――
全世界が 滅んでもいいというのか!
俺は!
ミライの父親だ!
うっ!
どのみち こいつに ワクチンは開発できなかった
君には失望したよ!
父親以下の三流科学者が
違う…
僕の研究は完璧だった その子に…
その子に 抗体がなかっただけだ!
どこにでもいる 普通の子だったということか?
分かった
じゃあ この子は返してやろう
(銃声)
(銃声)
あっ
やはり起爆装置はフェイクか
まあいい
もうこのタワーに用はない 離脱するぞ
(警備兵たち)は!
うっ う…!
ぐっ うっ うっ…
(シンジの怯える声)
(大和)うっ! (引き金を引く音)
(引き金を引く音)
(笑い)
(シンジ)うっ!
あー!
あー! あー!
あっ…
(ミライ)起きて
起きて…
どうして寝てるの? 起きて
起きて
どうして寝てるの?
起きて 起きてよ
起きて
起きて 起きてよ!
(泣き声)
すべて
こいつのせいだ!
(泣き声)
うわあーっ!
やめろ!
(ガラスが刺さる音)
(響)ううっ…
ヤダ…
うう
ヤダ ヤダ ヤダ!
ヤダ ヤダ 放し…
ヤダ 放せ
ああ… ヤダ あっ
うっ
やめろ やめろ! やめろ!
(シンジの怯える声)
ヤダ! イヤ あー…
ああーっ!
間宮…
(シンジ)あっ! ああ…
(シンジの荒い息)
ま… まさか
うっ
(響)ゴーレムは 心停止しても活動をやめない
殺すには――
脳を破壊するしかない
おい!
間宮…
これしかない
くっ!
うっ…
自分の体に――
ゴーレムウイルスを
ミライの――
ためだ
(シンジの笑い)
フフフフフ…
僕の…
負けか
(大和)間宮
間宮 逃げるぞ
もう時間がない! 早く
爆発する!
行くぞ! おい
(響)俺はここにいる
何言ってんだよ! おい
俺はもうダメだ
ミライを連れていってくれ
お前には――
待ってる人がいるだろ
大和
生きろよ
どんな未来が待ってても
生きろ
うっ
ぐうっ
うっ
う…
うっ
う…
クソ
うう…
ミライ
幸せにな
うっ
(大和)うっ くっ…
間宮
間宮!
(響)大和…
(大和)ううっ…
(響の嗚咽)
あっ! うっ
(タイマー音)
(荒い息)
(スイッチを入れる音)
せんせい 本読んで
(葵)うん シンデレラ読む?
ある日 お城から 舞踏会を開くという――
お知らせが届きました
ううっ
うっ
(大和)あっ!
(タイマー音)
(タイマー音)
(爆発音)
(葵)大和
(爆発音)
大和!
間一髪だな
(タイマー音)
(タイマー音)
あの…
(爆発音)
(爆発音)
(老人)ひどいな…
(女性)かなり大きな 爆破があったようですよ
当時は
(老人)“当時”か
(マスク1)ええ
今から20年ほど前になりますかね
懐かしいですか?
(老人)君は…
お互い ギリギリ 生き延びたってわけですか
(女性)このタワーが破壊されて
ワクチンの研究機関は 台無しになり
あなたはすべての責任を 背負わされて
ユートピアを追い出された
(西条)まさか お前は…
(女性)思い出してくれましたか
私のこと
それに 父のことを
私を殺すのか
(ミライ)人類のためとはいえ
たくさんの人が 犠牲になってしまった
私の父も…
その過ちだけは自覚してほしい
ずっと――
罪の意識に さいなまれてきた
すべては私の責任だ
本当に…
本当にすまなかった!
許してくれ
なんて謝るとでも思ったか?
この死にぞこないが!
(引き金を引く音)
(引き金を引く音)
(西条)あーっ! あーっ! あーっ!
(銃声)
何年たっても こいつの 腐った性根は変わらなかったな
行きましょう
(葵)どう? 覚えてる ミライ?
(ミライ)うーん…
うっすらと
ねえ これって…
ミライの記録用に 撮ってたものよ
まだ使えるかな
大和 バッテリーあったっけ?
ここにあった気がする
(ミライ)ついた
(ミライ)せんせい 本読んで
ある日 お城から 舞踏会を開く――
というお知らせが届きました
(泣き声)
(葵)間宮さん
あいつ
まさか あん時…
ミライ…
こんなもの残したって
お前に見てもらえるとは 思ってない
ミライ
意識がなくなる前に
伝えておきたいことがある
もしかしたら お前は
自分を責めてるのかもしれない
自分のせいで 俺が――
こんな姿になって しまったんじゃないかって…
そんなことはない
俺は全然後悔してない
だってミライは――
俺と
ミライのお母さん
来美の間に生まれた 大切な子だから
命を懸けても惜しくない
かけがえのない存在なんだ
ミライが生きてくれることが
俺たちの幸せなんだよ
うっ…
ううーっ…
でも
少し残念なのは
うっ
ミライの大きくなった姿を
見れないことかな
うっ
だけど
大和と
葵さんが
ミライのことを 大切に育ててくれる
だから 大丈夫だ
ううっ!
ううっ! うっ
(響の うめき声)
ぐっ うっ
くっ
うっ
ミライ…
どうか 忘れないでほしい
俺と 来美は
いつもミライのそばにいる
うっ
お父さんとお母さんは
ミライをずっと愛してる
ミライ
ありがとう
生まれてきてくれて
ありがとう
あれから20年
あんたが ミライにしてあげたかったこと
全部したつもりだ
だから今度は
ミライが
間宮に…
(足音)
(ゴーレムの息)
(槍が落ちる音)
お父さん
ずっと会いたかった
ごめんなさい
(銃を握る音)
ありがとう
(慟哭)
生きるよ
お父さん
私は生きる
どんな未来が待ってても
(大和)行こう
♪ いつかは霞むその瞳に
♪ いつまでも 一度でも
♪ 見えない光りには 何度でも
♪ 灯りに変わりゆくまで
♪ 優しい声でただ
♪ 「おかえりなさい」の
♪ 一言で良かった
♪ ほんとなら
♪ 祈るようなことは
♪ たった一つもなくて
♪ いつもの通りに 「ただいま」
♪ 陽だまり
♪ 空もなんだか 嬉しそうなのに
♪ もう涙こぼれないで
♪ 世界に何を願う
♪ もう戻らない日々の中
♪ 変わらない あなたの叫び声
♪ 愛を謳っていて
♪ 再会、別れ、 旅立つのは
♪ 何気ない日々だけど
♪ あなたは 一人ではないから
♪ わたしに微笑みかけて
♪ 明るい声でただ
♪ 「見ていてね、 ほら」と
♪ 雲をつかんでる 小さな手
♪ 触れられないものは
♪ たった一つもなくて
♪ ふざけ合った 「おやすみ」
♪ 静まる夜が谺しそう
♪ 永遠にまで
♪ 今約束していいかい
♪ 世界に何を願う
♪ もう聴こえない 日々の中
♪ 最期が 変わりはしないけど
♪ 愛を信じていて
♪ いつかは届く
♪ この声が響くまで
♪ 生きる誓いのしるしに
♪ 消えない涙のあと
♪ そのぎこちない 笑顔なら
♪ 小さな夢の続きを
♪ 今騒がしく放て
♪ 世界が終わる その日から
♪ 光りだす魂で
♪ 繋いだ命への証明さ
♪ 未来に変わりゆくまで
(響)お前たちは もう1つのタワーに行け
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