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(エレベーターの音声)5階です
下に参ります
1階です
(ドアが開く音)
(鳥のさえずり)
(清掃員)おはよう いってらっしゃい
( 上田唯士 うえだ ゆいし )いってきます
( 藤井 ふじい メイ)おはよー!
( 小林颯真 こばやし そうま )遅いよ 上田唯士 (唯士)早く行こっ
(颯真)遅れて来たヤツが言うな ちょっと待って!
(唯士)いない いない…
いた~
慎重に 慎重に…
はい~ ゲット!
(颯真)ちょちょちょっ…
ダメダメ! ダンゴムシ入れないでくれる?
言ったじゃん ダンゴムシ ダメだって
(唯士)なんで? (颯真)だから…
今 探しているのはワラジムシ
カナヘビのエサを探してんの
なんでダンゴムシじゃダメなの?
(颯真)カナヘビのエサだから ワラジムシは!
(唯士)ダンゴムシじゃ ダメなんですか?
(颯真)はい (唯士)なんでですか?
ダンゴムシは殻が硬いんで!
ふーん
(男子)颯真 颯真 これってワラジムシ?
(颯真)ああ 残念! これ ダンゴムシ
今 探してるのワラジムシだから また探しに行ってね
(唯士)ダンゴムシでもいいよ
(女子)ねえ 颯真 (颯真)ん?
ワラジムシって どういうやつ?
(颯真)わからないで 知らないで 生き物係やってんの?
(メイのはしゃぎ声)
(颯真)何やってんだよ 藤井メイ! まじめにやってよ!
ここに いっぱい虫いるから
(颯真)いないよ 下 掘っても 何もいないよ
(メイ)え? (颯真)もう いいや
(メイ)いるかもしれないじゃん
(颯真)やばっ もう時間だよ みんな
行くよ! 行こう 行こう!
(女子)はーい
(颯真)唯士も! 行くよ 早く!
(唯士)ああ… はい
(メイ)颯真って うるさいね (颯真)早く! 唯士も!
(メイ)待ってー!
(唯士)颯真 今 何時?
(唯士)颯真! (颯真)何?
(旗ふり当番)おはよう (児童たち)おはようございます
(メイ)待って!
(旗ふり当番)おはよう 水筒 肩から掛けて!
(教師)おはようございます
(児童たち)おはようございまーす
(教師)おはようございます
(唯士)おはよーう! (メイ)待って!
(児童たちのにぎやかな声)
( 浅井裕介 あさい ゆうすけ )どうやったら 相手に伝わりやすいかを
考えていきたいと思います
で みんなには“私の毎日”
これで考えたこと 思ったことを 作文にしてきてくださいって言ったけど
みんな 書いてきた?
(児童たち)はーい
(浅井)はーい じゃあ トップバッター 誰にしよっか?
(児童たち)はい!
(浅井)じゃあね…
じゃあ 塩野 しおの さん
(女子)はい
“「毎日最高」 塩野 莉衣奈 りいな ”
“私は今 毎日 学校に行くのが 楽しみです”
“なぜかというと”
“今月の席がえが 好きな人の近くになって”
“前の席は幼なじみだからです” (ざわめき)
(ざわめき)
(ざわめき) “班のメンバーも…”
“なぜ朝ごはんを 毎日 食べなくてはいけないのか?”
“『朝ごはんを食べないと 元気が出ない』と”
“お母さんに言われたけど…”
“やっぱりドッジボールは みんなから絶大な人気の遊びで”
“だからドッジボールは…”
“あんなにきつい練習を 毎日のようにしているのに”
“大会では 1秒くらいしか縮みません”
“ベッドの近くに置いておくと”
“魔法の国の『エルラトン』という ネズミが持っていって”
“お金と交換してくれます”
“これはすべて ぼくの願いである”
“現実のぼくは 塾と学校の宿題に追われ…”
“10才になったら 半分 大人になる って言われました”
“お母さんによく 『しっかりしなさい』とか”
“『もっとよく考えなさい』って 言われるけど…”
先生もね 子どもの頃 そうやって思ってたはずなんだけど
いつの間にかね 大人になっちゃったから
だから なんか…
“ちょっと太めな ハラビロカマキリ”
“ナマコみたいな ナガヒラタムシ”
“おっきいね オオムツボシタマムシ”
はい ありがとう (拍手)
すごい! いろーんな虫を知ってるな…
“私はよく板挟みになって 困ることがあります”
“その時 私は 『どうしてケンカをするんだろう?』”
“『どうして悪口を 私にすべて聞かせて…』”
“家が ひまだということです”
“どういうことかというと”
“パパとママが仕事でいなくて 楽しくないから…”
“学校にクシを 持っていけないのが”
“本当に悲しいです”
“崩れたら 手で直すしかありません”
“この宿題をやらずに 遊びたいのですが”
“やらないと 大変なことになるので”
“文章を書きました” 以上です!
(浅井)それを作文にしたのは おもしろいと思います
“ら り る れ ろ” (ざわめき)
(浅井)最後まで静かにして
“わ を ん”
(浅井)それ 毎日のことかな?
(メイ)はい 毎日 話してる言葉のもとです
うーん そういうことか
うん じゃあ 次からは 文章にしてみようか
(メイ)はーい (浅井)はーい
オッケー 書けた
(上田 恵子 けいこ )書けた? (唯士)書けた
(恵子)読んで (唯士)えっ?
(恵子)読んでよ~
(唯士)わかったよ
“「ぼくの毎日で気づいたこと」”
“上田唯士”
“朝は おはようと言う”
“おなかがすいたら ごはんを食べる”
“ドアを開けると 中に入れる”
“赤信号は渡らない”
“息を吸ったり 吐いたりする”
(恵子)すっごい いいじゃん!
いや まだ途中だから
(恵子)当たり前のことを 改めて見るって
すっごい いいじゃん
いや まあ そうだけど…
(大きく息を吸う音)
“うんちをしたら流す”
“紙で拭くのも忘れずに!”
(笑い声)
(浅井)はい みんな 静かにして~
静かにして
ふざけるのと自由は違うかな
(唯士)え…
(浅井)はい 次の人
(児童たち)はい!
(浅井)はーい じゃあ まだ読んでない… 三宅 みやけ さん
(三宅 心愛 ここあ )“「私は 大人の言うことを聞きたくない」”
“三宅心愛”
“地球が温暖化して そのせいで災害が起きていると”
“ニュースで見ました”
“二酸化炭素の 排出 はいしゅつ が 主な原因だと言っていました”
“排出された二酸化炭素は 空に たまったままで”
“地上の熱を閉じ込めるんです”
“それは誰が出したものですか?”
“私たち子どもが生まれる前から 二酸化炭素を出し続けているのは”
“大人たちです”
“それなのに大人たちは 今日も車で走り回るし”
“夜遅くまで遊んでいて 街は明るいし”
“誰も悪いと思っていません”
“私たちは 家でも学校でも怒られて”
“いろいろなルールを守るように 言われているのに”
“大人は地球を めちゃくちゃにしたくせに”
“反省もしていない”
“もう やめて! 二酸化炭素を出さないで!”
“空にたまった二酸化炭素を なくして!”
(浅井)なんか…
先生まで 怒られちゃいそうだなあ
(笑い声)
(心愛)なんで笑うんですか?
大人が私たちの未来を めちゃくちゃにしてるのに!
(浅井)いや 先生は
三宅さんの未来を めちゃくちゃには してないけど
そうやって考えることは すっごく いいことだと思うよ
IPCCは“人間活動が 温暖化を加速させたことは”
“疑う余地がない”って 言っているんですよ
環境 かんきょう 問題の話は
SDGs エス・ディー・ジーズ の授業の時に またやるね
世界中の数千人の科学者の意見を 集めた報告書に
“疑う余地がない”って 結論を出したんですよ!
でも大人が悪いとか 誰が悪いとか 言わないほうが…
(心愛)じゃあ 子どもが 悪いんですか?
極端 きょくたん だなあ いや…
( 橋本陽斗 はしもと はると )極端だなあ
空にたまった二酸化炭素は 誰が ためたんですか?
大人じゃないんですか?
(陽斗)極端だなあ
(児童たち)極端だなあ
(卓上ベルの音) (浅井)はい みんな 静かにして
三宅さんも座っていいよ
極端だなあ
(浅井)橋本さん (陽斗)すいませーん
(浅井)はーい (陽斗)はーい
(浅井)はい じゃあ まだ読んでない人?
(児童たち)はーい!
(浅井)はーい じゃあ 本間 ほんま さん (本間)はい
(唯士)はい ただいま~
(恵子)あっ おかえり~
(鼻歌)
(恵子)おかえり おかえり
(唯士)ただいま ただいま
(恵子)作文どうだった? ほめられた?
(唯士)ああ… まあ 何にも言われなかったよ
(恵子)えっ そうなの? 良かったのに?
(唯士)うん… まあ 確かに
(唯士)ママ (恵子)ん?
(唯士)あのさ… 地球温暖化に詳しかったりする?
えっ なんで?
すごいじゃん! 興味あんの?
(唯士)うーん 学校で言ってる子がいた
(恵子)へえ~ その子もすごいね
そうだよね 最近 暑いからね
(唯士)調べよ
(恵子)何 調べんの?
(唯士)地球温暖化 (恵子)あっ 地球温暖化?
(恵子)あっ これ いいんじゃない?
(唯士)何 これ… これ?
(唯士)“こども”
(恵子)“環境総合”
(唯士)“局”
(恵子)下 見てったら?
(2人)“温室効果ガス”
(唯士)何 それ?
(恵子)習ったよ なんか
(唯士)習った? (恵子)うん
(唯士)ちょっと1本 食べさせて
三宅さん あの…
牛から出るメタンガスっていうのが なんか問題らしいよね
そうだよ
牛肉1キロのために出る 温室効果ガスは23キロ
お店に並ぶまでに さらに3キロも出してるから
私は野菜と魚しか食べない
そうだよね まあ うん
お魚も おいしいよね
何 言ってんの?
(唯士)うーん…
このまま いくとさ 地球は どうなっちゃうんだろう?
(陽斗)どーん!
(抗議する声)
陽斗って ほんとに 面倒くさいヤツだよね
何?
何でもない
うーん…
(恵子)何してんの?
(唯士)あのさ 図書館カードってないの?
あっ 図書館 行く? じゃあ ママも…
(唯士)あー いい 1人で行く いい いい 1人で行くから
(恵子)あっ そうなの?
(唯士)どこ? (恵子)そこら辺ない?
(唯士)あった あった… 行ってくる
(恵子)あー 水筒! 水筒!
(唯士)水筒?
あー はいはい
(唯士)じゃあ いってきまーす (恵子)はーい
(恵子)あっ 携帯! (唯士)もーう!
(セミの鳴き声)
(唯士)いない
うーん…
うーん
いないな
いない
うーん
うーん いないなあ
いない
いない
うーん
いた!
(せきばらい)
(ため息)
(心愛)座ったら?
(唯士)あっ えっ あ… 三宅さん
あー いたんだ?
ふーん じゃあ 座らしてもらおうかなあ
難しい問題だよね
静かにして
(唯士の音読する声)
へえ~ いい本 借りてきたね
どんなこと書いてあんの?
まあ なんか… うん
(恵子)よいしょ
(唯士) チェックさせていただきますよ
(恵子)え? (唯士)チェックさせていただきます
(唯士)あれ? ゴミ 分別しようとしてる?
(恵子)えっ してるよ
(唯士)可燃と
(恵子)してる してる
早速 見つけてしまいました
(恵子)え? (唯士)これ
(恵子)可燃でしょ? (唯士)違うんだよ 上!
(恵子)えっ 可燃じゃないの? それ
あっ ほんとだ
(唯士)だから これはこう ちゃんと分別しなきゃ…
(恵子)ありがと ありがと やっといて
そうなんだ
(唯士)これもじゃん! (恵子)え?
(唯士)ストロー ストロー (恵子)あー ごめん ごめん ごめん
(唯士)こんなの 目に見えてるでしょ
(恵子)あとで まとめてやる
(唯士)ハァ…
プラスチックとか…
(恵子)えー もう置いといてよ
(テレビの音声) 急激な地球温暖化により…
(恵子)全部だよ
ゴミ 全部チェックされたんだから
(上田 篤士 あつし )へえ~
(恵子)あっ これもさ 唯士が 自分で図書館で借りてきたんだよ
(篤士)へえ~
(篤士)また何かに上げるの? (シャッター音)
(恵子)颯真ママにシェアするだけ
また何か言いたいんでしょ?
(篤士)んなことないよ
(恵子)だって 今 見たじゃん しかも…
ねえ 携帯 見ながら…
(唯士)今 ちょっと 集中してるから!
(篤士)おおっ!
(恵子)よいしょ
(篤士のゲップ)
(篤士)失礼
うん お肉 おいしい
(恵子)おいしい? (篤士)うん
(篤士)あれだね これ…
(恵子)ん?
ハチミツ入ってるよね?
(恵子)正解! (篤士)やった~ ほら
(唯士)ハチミツ入ってるの? (恵子)そうだよ
(英語の音声)
(拍手)
(英語のスピーチ)
HOW ハウ DARE デア YOU ユー !
(女子)おはよー!
♪ どっこらせ
♪ どっこら どっこら どっこらせ
これが わかりやすいんじゃない?
ありがと
(恵子)えー かわいい!
これ?
かわいいけど これ ネットだ かわいそう
うん これプラスチック 汚染 おせん
へえ~
わかってきた?
うーん 何となく
あれ 何だった?
何だっけ? “温室効果ガス”だっけ?
あー そう 温室効果ガス
あれ わかった?
うーん 何となくわかったよ
(唯士)三宅さん これ ありがと
おもしろかった
もう読んだの?
(唯士)うん
いいよね カーボンニュートラル
ほんとに読んだ?
読んだよ!
温室効果ガス ゼロにしたいよね
もっと読みたい?
(唯士)うん また いい本あったら教えてよ
(心愛)また持ってくるよ (唯士)ほんと!?
ありがと! よしっ!
(陽斗)どーん!
(唯士)はあ? (陽斗)うい~
(唯士)はあ? (陽斗)はい オレの優勝!
(唯士)は?
(陽斗)どーん! (抗議の声)
(唯士)おい 拾えよ!
(陽斗)やだね
(唯士)拾えよ!
(陽斗) 痛 いて っ…
ズルいぞ 逃げんじゃねえよ!
(浅井)何 何 何 何?
ちょっ… ちょっと! ちょっと!
わかった わかった わかった…
はいはい はいはい…
はい ちょっと! はいはい やめて やめて!
離れて! 何があったの?
離れて! 何があったの? (説明する声)
(説明する声)
(説明する声) わかった わかった わかった…
やめな! はい!
(男子)唯士 じゃあね! (唯士)じゃあね
(男子)じゃあね!
(女子)バーイ! (唯士)バーイ
(颯真)唯士 噴水公園に エサとりに行こう
うん いいよ
(颯真)エサとれるかな?
いっぱいとれたらいいな
葉っぱも ほしいな
(はしゃぎ声)
(唯士)ヘイ パス!
パス!
(メイ)おーい 唯士!
唯士!
(唯士)ん?
ん? どした?
(メイ)颯真って まだ来ないの?
(唯士)えっとね 宿題やってから来るって
(メイ)へえ~
図工のお店 何にした?
えっとね せんべい屋さん
(メイ)せんべい好きなの?
いや 全然
ほら 簡単じゃん
茶色い折り紙とかさ 段ボール使っても 簡単にできるから
じゃあ メイは何にしたの?
♪ 鷹匠 たかしょう カフェ
(唯士)タカ…
(メイ)ショー (唯士)ショー
(2人)タカ ショー カ フェ
♪ 鷹匠カフェ
(メイ)そう!
で? それ 何?
(メイ)お店の中に鷹がいるんだよ
(唯士)ん? 鷹 売ってんのか?
ううん コーヒーとか飲むとこ
えっ? えっ でも 鷹がお店の中にいるんだよね?
ん?
ん?
(児童たち)おい!
(陽斗)うぇ~い!
うぇ~い!
唯士!
唯士! 唯士! 唯士!
お前さ 何やってんの?
唯士!
ん? 何?
お前と三宅って 何か やってんの?
“何か”って?
なんかさ… めちゃくちゃに なってるんだろ? 大人のせいでさ
(唯士)うん まあね
(陽斗)じゃあ 何かやれよ
(唯士)“何か”って?
(陽斗)いや わかんねえけど…
(唯士)わかんないんだ
(陽斗)は? お前は?
わかんねえの?
え… えっと…
まず 誰もいない部屋の 電気を消して
ムダな電力を 使わないようにしたりさ
(陽斗)もう1回 言って!
(唯士)“カーボンニュートラル” っていうのは
二酸化炭素の排出量を ゼロにするってこと
(陽斗)そんなの無理だろ
息 吐いたらさ 二酸化炭素 出るじゃん
(唯士)そういうのは 植物が吸ってくれるから
(陽斗)いや だけどさ
今 オレらが話してる会話でも 二酸化炭素 出てるよ!
(唯士)はあ? てか…
待って!
(陽斗)無理!
(唯士)もーう… よいしょ
(唯士)もーう 手伝ってって言ったじゃん! ねえ!
(陽斗)えっ ちょっ 唯士 唯士
(窓をたたく音) (陽斗)三宅! 三宅!
(唯士)えっ ちょっ… うるさい
えっ みんな 見てるし
何やってんの?
みんな 見てる
(陽斗)あっ 来た 来た
来たから 来たからね
何?
(陽斗)これから どうすんの?
なんか二酸化炭素で ヤベえんだろ?
(唯士)いや でも 心愛が言ってたのは…
(心愛)は? “心愛”?
(小声で)ごめん 違う
あの だから… 三宅さんが言ってたのは
まず 誰もいない部屋の 電気を消して
ムダな電力を使わない…
だから そんな細かいことやって…
(唯士)意味あるよ!
(心愛)私もそう思うことある
(唯士)そうだよね! やっぱ そうだよね!
(唯士)三宅さんは そういう… (心愛)そうじゃなくて
そんなことやって 意味あんのかなって
いや でも ほら 三宅さんが意味あるって…
(心愛)まあ みんなが 本当にちゃんとやってくれたら
意味はあると思う
(唯士)そうだよね! オレ まちがってないよね?
(心愛)でも そのためには もっと強く言わないと
誰も変わらないっていうか…
(陽斗)なんか全然 意味わかんないんだけど 何?
結局 三宅はどうしたいの? 全部 大人が悪いんだろ?
うん そうだよ
でも 全然 しっかり考えてくれてない
先生とかに言っても
“そうだよね えらいね~”って 言うだけ
(唯士)いや でも ほら いいんじゃない? 少しずつでもさ
何だよ そんな感じ?
お前ら 何かやるつもりなのか と思って 来たのに
(心愛)えっ “何か”って?
(唯士)プッ わかんねえんだって
(心愛)わかんないの?
(陽斗)まあ わかんねえけど…
あっ…
いや ないわ! うん ない!
(心愛)何 何? え?
(唯士)どうせ 誰かのジャマするとかでしょ?
(心愛)私の本 見張っといて あそこ!
何 何? 教えて!
えっ!?
(陽斗)バイバイ (心愛)うん バイバイ
(唯士)今 どういう話してたの?
(心愛)陽斗の言うとおりかも しれないの
どういうこと?
(心愛)大人の意識を変えるには
何か行動を起こさなきゃ いけないんだよ
そう! 行動を起こさなきゃ いけないんだよ!
(唯士)そうそうそう! オレが言ったの あいつに
大人たちの意識を 変えたほうがいいって! オレがさ
ほんとだよ!
(心愛)じゃあ 話し合う? (唯士)いいね!
(心愛)3人で
ああ 3人? うんうんうん いいね
(心愛)んー 明日は? (唯士)行ける!
(心愛)あー 私が無理だった
あー オッケー オッケー
(心愛)陽斗はいつ行けるかな? あさっては…
行ける!
(男子)答え写したの バレた (女子)やっば
(男子)お前 バレてないの?
(颯真)聞いて 聞いて! (唯士)えっ 何 何?
(颯真)トカゲ 死んだんだよ (唯士)おー あと何匹?
(颯真)4匹! (唯士)うーん 4匹か…
(男子)気持ち 悪 わる っ トカゲ飼ってんの?
(颯真)うん! (男子)やっば!
(見守りGPSの着信音)
(操作音)
(見守りGPS:颯真の母) 颯真 また塾カード忘れてる!
(操作音)
はーい
(着信音)
(颯真の母)先生に ちゃんと謝んなさいよ!
はーい
ねえねえ 私 トカゲのしっぽ 切ったことある
(唯士)えっ オレもあるわ
(颯真)えっ まあ 10分は動き続けるからね
(男子)気持ち悪っ! (颯真)え?
(男子)オレさ トカゲ さわれないんだけど
(颯真・唯士)えっ!?
ダンゴムシも テントウムシも
何にも さわれない
(唯士)スイカ
(颯真)スイカ? “です”付けなくていいの?
(唯士)いい
(颯真)スイカ? カラスです
(唯士たちの笑い声)
何でもありじゃん
そうだよ
(颯真)ねえねえ しりとりやろう
(塾講師)はい 90度だね そうだね
じゃあ 次 これはわかるかな?
四角形の4つの角 全部足すと何度かな?
はい わかる人
はい じゃあ わかる人 みんな 答えてみましょう
せーの
(恵子)どした?
(唯士)うん… いやさ
ちょっと お肉 食べるの やめようかな
(恵子)おなか痛い?
(唯士)あー いやさ
牛肉ってさ カンキョーに良くないから
食べなくても生きてけるでしょ?
ああ…
でも 唯士が食べるくらい いいんじゃない?
ん?
何?
ううん いや 何でもないよ
(くしゃみ)
(寝息)
♪(スマホから流れる歌声)
(恵子)フッ…
(篤士)毎日 飲まないと ダメなのかなあ?
(恵子)唯士が 肉 食べないって言うんだよ
えっ 何? 調子悪いの?
(恵子)環境に悪いからって
(篤士)何でも ほめちゃうからじゃない?
(タップ音) (恵子)えっ…
じゃあさ
自信とか好奇心とか ない大人になっても いいってこと?
親から否定され続けて育った子ども っていうのはね
自己肯定感とか…
(篤士)もういい もういい 何回も聞いてるから
(恵子)はい 否定した
(篤士)じゃあ 肉 食わないのも肯定すれば?
(恵子)育ち盛りなのに?
(篤士)はい 否定した~
(恵子)もういいです!
ハァ…
(篤士)オレ 思うんだけどさ
自己肯定感って
あって ないようなもんだと 思うんだよね
(恵子の笑い声)
何 言ってんの?
唯士はね 今 すーっごく大事な時期なの
塾にも通い始めて
5年生にもなったら もっと頑張んなきゃいけないんだよ
私たち親が ちゃーんと今 向き合わないと
これから どんどん 大変なことになってくんだよ
(篤士)ごちそうさまでした
お肉 おいしかったです!
(心愛)うーん まずは どれからやる?
(唯士)んー やっぱ 二酸化炭素かな
うーん 陽斗は?
(陽斗)え? オレ どれでもいい
(心愛)えー 1つくらい決めてくんない?
(陽斗)いや ちょっとなあ ちょっとわかんないから
(心愛)全部 説明するよ
(唯士)ちょっと待って 隠れて 隠れて!
颯真 来たわ
颯真!
(颯真)えっ なんで いんの? (唯士)よおっ!
(唯士)ワラジムシ?
(颯真)そう ワラジムシにも エサあげようと思って
(唯士)そっか
ワラジムシのエサって何だっけ?
えっとね 落ち葉とか
(唯士)ああ そう… 落ち葉
てか お前 知らないで 生き物係やってんの?
(唯士)ああ… まあ
(颯真)てかさ ワラジムシのエサさ
軟らかくないとさ 食べれないんだよ 葉っぱ
(唯士)おー そうなんだ?
(颯真)うん 一緒に探してくんねえかな?
(唯士)うん いいよ (颯真)いいの? ありがとう
(唯士)うん
いいよ 行こう
(颯真)ないかな? ワラジムシのエサ
(学校のチャイム) (教師)はい おはよう
(唯士たちの話し声)
(陽斗)いいとこ見つけたぞ
(唯士)近い近い 近い近い近い…
ちょっと…
(唯士) えっ 勝手に入っていいの?
行くの?
ああ…
え…
(陽斗)早く
早く!
唯士!
(心愛)ここって 誰も住んでないのかな?
(陽斗)前は住んでたんじゃない?
(唯士)誰か いたりするんじゃ… (陽斗)いねえよ 絶対
(唯士)いるかもしんないじゃん
じゃあ いくよ
(陽斗)いないじゃん
何の手袋よ?
(唯士)何 何 何? え?
(陽斗)すいません
(ひもを引く音)
(陽斗)あ… つかないね
(陽斗)ここさ オレらんちにしようぜ
(心愛)でも 人いたら どうするの?
(陽斗)大丈夫だって オレ 前 来たことあるしさ
(唯士)えっ 1人で?
(陽斗)うん
(唯士)お前 なんで こんなとこ知ってんの?
(陽斗) 臭 くさ っ
(心愛)ヤッ!
(唯士)えっ “ガ”だよ? 怖いの?
(心愛)虫とか無理
(唯士)そうなんだ
(陽斗)これ 使おう
よし 行くぞ
(陽斗)よし 貼り紙 作るぞ
(心愛)えっ でもどうやって?
(陽斗)このチラシの中から 文字を探して 切って 貼る!
(心愛)貼る紙は?
(陽斗)こういう白い紙に 貼ればいいじゃん
(心愛)あっ そっか
(唯士)これさ 書いたほうが 絶対早くね?
(陽斗)そしたら 誰が書いたかバレるだろ!
(唯士)うわ~!
そっか
ハサミ 足りなくない? なんか そっちとそっち…
(陽斗)探してこいよ!
(心愛)おっきいほうがいいよね? (陽斗)うん
(陽斗)“車を使うな”
(心愛)車を…
(唯士) あった! “ル” (心愛)“クル”
(心愛・陽斗)“クル”…
(心愛)ま ま ま ま…
これ “ま”は?
(唯士)ああ いい それ! (陽斗)いい いい!
(唯士)あっ “ツ”! “ツ”あるよ
(心愛)あっ あっ! (陽斗)いい いい!
(唯士)切れた 切れた…
(陽斗)よいしょっと (心愛)私も
(唯士)“ツ”
(恵子)ただいま~
アイス 買ってきたよ~
(唯士)いってきます!
(恵子)えっ?
食べてかないの?
(唯士)うん! (恵子)え?
(心愛)ちっちゃいのしか ないな
(陽斗)いや おっきいのが いいんだよな
(マーカーを振る音)
(唯士)よし
“な”
(陽斗)何じゃ こりゃ?
(唯士)えっ いたら どうすんの?
(陽斗)せーの
ああっ ちょっ…
(陽斗)わあ すごい 跳ねる 跳ねる
(陽斗)うぇい~! (唯士)わあっ!
(心愛) あっ バッグ バッグ! 取って
(陽斗)はいはい
よいしょ
うおっ ちょちょちょっ…
(心愛の笑い声) (陽斗)すいません!
(唯士)うわあ 東京の真ん中で 歩いてるような人だ
すごっ ハハハッ
(心愛)見て (陽斗)はい 何でしょう?
(陽斗)小さくない? それ
(心愛)そっかあ じゃあ…
(陽斗)おっ すごい
なんかさ 口みたいのないの?
(唯士)な… ないな
やあ~! やあ~!
(唯士)うわ~!
(陽斗)なんか ウザい名探偵
(唯士)ウザい名探偵?
(陽斗)うん ウザい名探偵
あっ ズボン ズボン
(陽斗・心愛)せーの はい!
(陽斗)ちょっと待って (心愛)ああー ちょっと!
(唯士)うーん… もう!
(陽斗)どういう切り方したら…
(唯士)てかもう あのさ 手動かして!
(陽斗)その顔で言われるの なんか嫌なんだけど
(心愛)ねえ ここって人通り多いよね?
(陽斗)あー そうかもね
(心愛)じゃあ こっち通っちゃおっか
(陽斗)前 通ったら オレ ホームレスに怒られたよ
(心愛)あー じゃあ 怖いね やめよ
(唯士)えっ でもだったら
“カンキョーに協力してください”って 言って ほら
友達になってさ 隠れさせてもらえばいいじゃん
(陽斗)“カンキョー問題 協力してくださーい!”
(唯士)“お願いしまーす!”
そう考えると あの人たちって ほんとカンキョーに優しいと思う
(唯士)本当にそうだよね オレもそう思った
(陽斗)何 お前 調子いいな (唯士)フフフッ
(心愛)こっち通るんだよね?
(陽斗)そうそう…
(心愛)あっ そうか こっちか (陽斗)そうそう そうそう
(陽斗)お前が提案したんだよ (唯士)え?
(心愛)唯士 早くして!
(陽斗)早く! ヘルメットぐらい さっさと外せ
ほら 急げ急げ
(唯士)よいしょ… よいしょ
(陽斗)よし!
(女性)あっ 何か貼ってる!
(女性)やだ 何やってんの! (唯士)やばい やばい 逃げて!
(女性)やだー 何か貼ってるし
(唯士)逃げて 逃げて!
(女性)ええー?
(陽斗)ヘルメット持ってくよ (唯士)ありがと
(陽斗)早く早く早く!
(3人の話し声)
♪(商店街のBGM)
(唯士)ちょっと待って
(陽斗)なかったら あれでいいんだけどさ
(心愛)あるかもしれない こっちに
(陽斗)フウ~
(唯士)待って! 待って!
(心愛)これには ない?
(唯士)あった! (陽斗)あった?
(唯士)“く”はあった
(陽斗)よし
これ ここ置いとくわ
これでいいかな?
(陽斗)あっ いいんじゃない?
これ ありそうだな
(唯士)マジ? ちゃんとしたやつ ない?
(心愛)早く!
フウ~
(心愛)唯士 端 はじ っこ持ってて こうやって
(陽斗)9… 9…
(陽斗)入って はい せーの
(唯士)うわあ (心愛)ああ もう…
(心愛)何回やるの!
(陽斗) もうちょっと もうちょっと…
行け行け 行け行け
オッケー オッケー
(陽斗)よいしょ オッケー
(店員)おい! こら!
(心愛)キャー!
(店員)何だよ これ!
こら! 待てー!
おい!
(3人の笑い声)
(3人のはしゃぎ声)
(セミや鳥の鳴き声)
(ビデオの音声) SDGs ゴール13は
地球温暖化対策です
では 世界と日本から 学んでいきましょう
18世紀 イギリスから始まった産業革命
以来 人類は石炭や石油などの 化石燃料を燃やし
文明を発展させてきました
その結果 大気中に二酸化炭素などの 温室効果ガスが増えて…
(浅井)ほら 起きて
今 寝る時間じゃないよ
起・き・て! 起こすよ
(ビデオの音声)すでに この100年間で 世界の平均気温は 約1度 上昇 じょうしょう
この たった1度が 地球の自然環境に 大きな 影響 えいきょう を与えています
世界は地球温暖化を 食い止めるための国際的な約束
“パリ協定”を2015年に結びました
それでも 世界中の至る所で 異常気象が観測され
地球温暖化による気候変動…
(セミの鳴き声)
(女子たちの話し声)
(陽斗)オレもこれ見つけた
バスだってさ 排気 はいき ガス 出すよな?
(唯士)いや だから それはさ ほら みんなが車を使うより
公共の乗り物を使ったほうがいい ってことだよね?
(心愛)誰がやったんだろう?
(陽斗)あー
(唯士)うーん…
(陽斗)あっ! (唯士)えっ 何?
(陽斗)ほかの学校のヤツじゃね?
(唯士)そうそうそう!
オレもそう思ったんだよね
マネしてるよね
(心愛)こっちも負けてらんない
(陽斗)ムカつくー! (足をバタバタさせる音)
(心愛)あっ!
(陽斗)ん?
(心愛:小声で)陽斗 あれ 持ってきてくれた?
(唯士)何? ん?
(陽斗)ああー はいはい…
持ってきた 持ってきた
はい~
(唯士)何 これ?
えっ? 見ればわかるでしょ
ロケット花火
(唯士)いや…
ロケット…
二酸化炭素 出ちゃうけど いいの?
(心愛)ほかの人と 同じことやってるだけで いいの?
(陽斗)どうすんの?
やんの? やんないの?
(心愛)やるよね?
やります! やります やります
(陽斗)オッケー! で… 問題は
これをどうやって 遠くに飛ばすかなんだけど…
(心愛)でも これって こういう缶っていうか
こういうものに入れて 飛ばすものでしょ
(客と店員の話し声)
(唯士)はい 発射台
イエーイ
石 石! イエーイ
(陽斗)よし
(陽斗)いける? (唯士)いける いける
(陽斗)ちょっと待て
オッケー
(ロケット花火が飛ぶ音)
(パン パン パン)
(客)何? 何?
(3人の笑い声)
(陽斗)ちょっ 待て 逃げろ 逃げろ! 急いで!
(客)何 これ?
(店員)ちょっと 何?
(客)ほら… これ
(店員)“肉を食べルナ”
(店員)やだ… (客)やだ
(店員)やだ! (客)ああー!
(唯士)うわ~!
(陽斗)こっち
(3人の荒い息)
(陽斗)ああー! あー!
(心愛)めっちゃ あせった
(唯士)誰も来てない
(心愛)みんな すごい顔してたね
(陽斗)すげえ いいとこ 飛ばしたよな 心愛
(心愛)うん めっちゃ頑張った
(唯士)“心愛”?
(心愛)あっ 唯士 家では ちゃんとしててよ
(陽斗)お前 大丈夫か?
(唯士)大丈夫だよ… (陽斗)大丈夫か?
(唯士)何?
何かあるでしょ?
(唯士)ん?
ん? ん?
何かあるでしょ? ない?
(唯士)な… ないと思うけど…
えー?
何にも気づかないの?
(唯士)えっ…
その春巻き…
お肉 入ってますよ
(唯士)あっ…
(唯士)ん? (恵子)フフフッ
肉 食べないって 言ってたじゃない?
ちょっとぐらいは いいでしょ?
唯士はさ 虫とか 生き物 好きじゃない?
そういう好きなものを 大事にしてけば
自然に 環境問題に つながるんじゃない?
うん まあ…
だからさ 肉は食べよ
うん… そうしようかな
そうだよ!
子どもはさ 何でも食べて 身体 からだ 作んなきゃいけないんだから
いっぱい食べよ!
うん
(恵子)おいしい? (唯士)うん
ああー フウ! (シャワーの音)
失礼!
今日さ 食べたよ
(篤士)何?
(恵子)肉!
(篤士)くう~!
“おいしい おいしい”って
だろ?
そんな心配すること ないんだって
自分から食べたんじゃないよ
私が 自然に 食べさせたの
あっ キムチ!
あれ?
キムチないの?
(唯士)ママ タオル!
なんで出しといてあげないの
出したげて!
(篤士)キムチないね あれ? あれ?
(唯士)タオル!
(篤士)あれ? (恵子)もういい
(篤士)ねえ ないの? 痛 いた っ…
(子どもたちのはしゃぎ声)
えー 最近 こういう貼り紙を使ったイタズラが
あちこちで起きてるらしいのよ
(児童たちのざわめき) (浅井)で… 何日か前には
お肉屋さんにロケット花火 撃ったりしてるみたい
(児童たち)ええー!
(浅井)とにかく みんな 何か知ってたりとか
あと こういう貼り紙を 貼ってるのを見た人 いたら
先生に教えてください わかりました?
(児童たち)はい! (浅井)はい
(浅井)じゃあ 授業に入りたいと思います
みんな 教科書とノート 出してくださーい
こないだのね 詩の… ところ
先生が詩を書くから
だから みんなはそれを ノートに書き写してください
(児童たち)はい! (浅井)はーい
私たちのやってることが 広がってるんだよ
すごいと思わない?
でもさ しばらく おとなしく しといたほうが
いいんじゃない?
本気?
ほかの学校の人たちも 頑張ってるのに やめるの?
私たちが 一番最初に 始めたことなんだよ?
うん まあ…
(心愛)今 やめたら 笑われるよ?
そうだよね?
ああ… まあ…
(心愛)唯士 やる気あんの?
いや でもさ…
(心愛)本気で カンキョー問題のことについて考えてる?
(唯士)考えてるよ
じゃあ 今 自分に何ができるの?
何ができるか 考えてる?
(陽斗)なんで お前に そんなこと 言われなきゃなんねえんだよ!
(陽斗)何だよ あいつ
自分勝手すぎねえ?
(唯士)ん…
んだよ…
ハァ…
(心愛)何?
あのさ…
ガって かわいそうだよね
は?
(唯士)いやさ チョウチョは みんなから好かれてるのにさ
ガは 色が違うだけでさ みんなから嫌われてるからさ
それにさ 名前もあるよね
“ガ”ってさ ひどくない?
“ガ”が“チョウチョ”って 名前だったらさ
ガの人生も 違ってたんじゃないかなって
(近づく足音)
じゃあ 何やんの?
(心愛)唯士 なんか考えてるんだよね?
(唯士)えっ オレ? (心愛)うん
えっ あっ… うーん
ごはん食べた?
まだ! でも おにぎり持ってきた
唯士は? 食べた?
まあ ちょっとね 家で また食べるよ
ふつう どっちかじゃない?
そう?
オレ 3回!
行く前に パン
で… 塾で おにぎり
帰ってから お茶漬け
(女子)やば
全部 炭水化物じゃん
野菜 ちゃんと食べてる?
(男子)お肉も食べたほうがいいよ
(唯士)いや まだ バツ直しが終わってなくて
うん みんなも やってから帰るって
うん
(陽斗)早く!
遅いから! 走れよ!
(唯士)疲れたんだよ (陽斗)走れよ
(工具が散らばる音) (唯士)おお~
なんで しゃもじなんか あんの?
(陽斗)これ これ いけない? これ
(工具を使って作業する音)
(唯士)待って 切れない (陽斗)全然ダメ
(陽斗)なんかさ ピンセットみたいなの ないの?
(心愛)家にある
(陽斗)なんで持ってこないかな
(心愛)鍵じゃないと思ってた
(唯士)誰か ここ…
(ヘラでたたく音)
(心愛)うるさい もっと静かに
(唯士)だって できないんだもん
(陽斗)ねえねえ これさ これ いけんじゃね?
(唯士・陽斗)んっ!
(陽斗)ちょっと待って めっちゃ固い
(唯士)無理だ
(唯士・陽斗)んっ!
んっ! んっ!
(心愛)ちょっと どいて (陽斗) 痛 いた っ…
(唯士)ちょっと 無理じゃん
(陽斗)どうすんの? (心愛)端っこ持って
(陽斗)端っこ? 端っこ? 端っこって どこの端っこ?
(心愛)こっち こっち! 下のほう
(陽斗)入った 入った 入った
(トンカチでたたく音) (陽斗)わあ!
(唯士)うるさい (陽斗)お前だろ!
(陽斗の舌打ち) (心愛)いいから いいから
(唯士)だって お前が デカい声 出したんだろ
(陽斗)ビビるだろ? お前 ビビんないのかよ
(心愛)いくよ せーの
(トンカチでたたく音)
(唯士)ビビんないですけど
(唯士)んっ! (心愛)緩んでる? 緩んでる?
(唯士)緩んでない (陽斗)まだまだまだ!
(陽斗)せーの
(3人の力む声)
(陽斗)せーの んっ!
うおっ できた できた できた!
せーの
(3人)よいしょ!
(陽斗)もうちょっと もうちょっと
(3人)よいしょ!
(心愛)いけるんじゃない? (唯士)いける いける! 緩くなってきた
(心愛)いける? (唯士)あと もうちょい
(唯士・陽斗)よいしょ よいしょ
(心愛)いける? いける?
(陽斗)取れた! よっしゃ! (心愛・唯士)やったー!
(陽斗)わあ~! よっしゃ!
(牛の鳴き声) (陽斗)わあ!
(陽斗)静かにしろよ バカかよ
(唯士)お前の声 デケえだろ
(陽斗)お前のほうが デカい
(心愛)早く早く! 次 やるよ
(トンカチでたたく音)
(心愛)ちょっと動いてる ちょっと動いてる
あっ ちょっと緩んだ?
(3人)よいしょ
よいしょ よいしょ
(心愛)せーの (唯士・陽斗)よいしょ
(心愛)いけた? (陽斗)いけた
(心愛)やったー! (陽斗・唯士)わあ!
( 柵 さく が倒れる音)
(陽斗)よし はい
(心愛)うん
(唯士)出てくるかな?
(陽斗)出るだろ よし
(唯士)えっ…
帰んの?
(陽斗)うん
(唯士)は?
(工具を片づける音) (陽斗)よいしょ よいしょ
じゃあな!
(唯士)牛 逃がさなくていいの?
(陽斗)ああ… まあ 出たきゃ出るよ
(心愛)バイバイ! (陽斗)バイバイ! じゃあな
(心愛)行っちゃった 熱 あつ ~っ
(唯士)1匹も出なかったりして
(心愛)“1頭”ね
(唯士)あー ああ そうか“1頭”か
(心愛)よいしょ (ビラを貼る音)
(心愛)じゃあね
(唯士)うん… あっ え?
うん…
(遠ざかる自転車の走行音)
(牛の鳴き声)
(牛の鳴き声)
(遠くから聞こえるサイレン)
(走り去る足音)
(恵子)おかえり
ただいま
(恵子)今日は よく頑張ったね
(唯士)うん…
どうした?
なんか眠い
(恵子)そうだよね
今日はさ お風呂 入って ごはん食べて すぐ寝よ
(唯士)うん…
今日 ごはんは?
(恵子)天津飯と…
卵スープ 作っちゃったの
(唯士)卵 卵?
(恵子)そうなの ごめんね まちがえちゃった
(唯士)パパは?
(恵子)帰ってきてる 今 お風呂そうじ してくれてる
(爆竹の音) (児童たち)キャー! やばい やばい
やばっ もっかい もっかい!
(鳥のさえずり)
(恵子)唯士 ごはんだよ~
うん…
(篤士)唯士 どうした?
雨 降ってくるかなって
(篤士)めっちゃ晴れてんじゃん
持ってく 何か
(恵子)ああ… じゃあ 唯士の牛乳
よいしょ
(篤士)はい
(唯士)ありがとう
(篤士)じゃあ いただきます
(恵子)フフフッ これ 食べてくれる?
(篤士)ん? 何 何?
しょっぱいと思う すっごい
なんでよ?
有塩バターでね 炒めたのに
塩としょうゆと ベーコン入れてる
なんで? えっ だって… え?
眠かったの 朝 朝 早かったから
(篤士)うん しょっぱい (恵子)フフフフッ
だってさ ベーコン 入ってんだからさ…
そうなの そう
今ならわかるんだけど 朝は眠かったから
弁当にも入ってます ごめんね
いえいえ ありがとう
(恵子)はい 塗る?
(篤士)うん 塗る
(小声で)ちょっと食べてみろ
(恵子)あー ちょっとにしてよ!
(セミの鳴き声)
(颯真)上田唯士 何やってんの?
(旗ふり当番)早く行って 早く行ってね おはよう
(男子)おはようございます (旗ふり当番)おはよう
(女子)おはようございます (旗ふり当番)おはよう
(校内放送)みなさん こんにちは
今日の給食はビーフカレー
今日の給食はビーフカレー (男子)やっぱ 牛乳 最高だわ
今日の給食はビーフカレー
フルーツポンチ 牛乳です
給食調理員さんが 一生懸命 作ってくれた給食なので
残さず おいしく いただきましょう
(放送が続く)
(浅井)口ん中 もの入ってる時 しゃべんないよ
(女子)なんで 唯士 そんなチマチマ食べてるの?
え?
(女子)なんで そんなに チマチマ食べてるの?
(児童たち)見て! 牛がいる!
牛?
あそこ!
は? は? は?
牛?
牛 牛 牛!
(ざわめき)
(児童たち)牛さーん! 牛さーん!
(通行人たち)牛? 牛!?
牛!? なんで牛?
(女子学生たち)ヤバ~い! ヤバい ヤバい ヤバい!
(人々の悲鳴)
(テレビ:リポーター) 校庭に牛が来ています
(アナウンサー)今日 正午過ぎ 和ヶ崎 わがさき 市内の小学校に
牛が 侵入 しんにゅう したと 110番通報がありました
(恵子)えっ ウソ!
ねえ これ 唯士の学校じゃない?
(アナウンサー)逃げ出した牛は 片倉 かたくら 牧場で飼育している4頭で
昨夜 何者かによって 柵が 破壊 はかい され
昨夜 何者かによって 柵が 破壊 はかい され (恵子) 牛 来たんだってよ
(恵子) 牛 来たんだってよ
(恵子) 牛 来たんだってよ 牛が 脱走 だっそう したと思われます
牛が 脱走 だっそう したと思われます
牛が 脱走 だっそう したと思われます 唯士 見た?
唯士 見た?
唯士 見た? (牧場主) 壊 こわ されて 牛が逃げちゃったんだよ
(牧場主) 壊 こわ されて 牛が逃げちゃったんだよ
(アナウンサー)また 脱走した牛の1頭が 住宅街に迷い込み えー そうなの? こんな近くに?
よけようとした乗用車が 住宅の 外壁 がいへき に 衝突 しょうとつ
運転していた50代の男性が 重傷を負ったということです
(女子学生)牛 いて “ヤバい!”みたいになって
(会社員)今 思い出すだけでも ほんとパニックになりますよ
(主婦)ほんと 怖かったのは怖かった
(アナウンサー) 警察の調べによりますと
付近では 環境問題の運動と思われる ビラが貼られるなどの
被害が相次いでいたということです
バンバンって感じで
いきなりだったよね びっくりした
営業 妨害 ぼうがい ですね これね
見たのは3人かな
子どもたちが なんか変な格好して…
やめてほしいなあ
ちょっと親のツラ 見てみたいっすね
はやってんだね 環境問題
(アナウンサー) 柵を外された牧場にも
同様のビラが 貼られていたことから
同様のビラが 貼られていたことから (恵子) アハハハハッ!
(恵子) アハハハハッ!
(恵子) アハハハハッ! 警察は今回の事件に 関連があると見て
警察は今回の事件に 関連があると見て
警察は今回の事件に 関連があると見て “やくソくダゾ!” って書いてある
“やくソくダゾ!” って書いてある
“やくソくダゾ!” って書いてある 現在 捜査 そうさ を進めています
環境問題に 配慮 はいりょ して やってんだよなあ
牛の 糞尿 ふんにょう からメタンガスが発生するんで それを抑えるために
アマニ 油 ゆ 脂肪酸 しぼうさん カルシウム っていうのを与えながら
牛からガスが出ないようなことも 考えながらやってんすけど…
(恵子)アハハッ 牛が…
(笑い声)
(校長)笑い事じゃありません!
(児童たちが静かになる)
(校長)みんなは 道路に牛がいて
楽しい気持ちに なったかもしれないけど
事故が起きてるんです
牛を元の場所に戻すことが どれぐらい大変なことか
わかりますか?
(児童たち)はい
(校長)もし牛が みんなよりも もっと小さい子どもを踏みつけてたら
どうなってたと思いますか?
(児童たち)死ぬ
(校長)そうですね
死んでました
そんなことになったら 牛だって 殺処分 さつしょぶん です
全然 笑い事なんかじゃありません!
もし この中に 牛を逃がした人とか
そういう話をしてた人とか
何でもいいです 知ってることがあったら
担任の先生に言ってほしいです
(児童たち)はい
(児童たち)モ~ モ~ モ~
(男子)お前がやったんだろ?
(男子)お前がやったんだろ? (唯士)え? 何が?
えっ 牛 逃がしたの お前 やったでしょ?
絶対 お前 やってんでしょ
(唯士)やってない (男子)いや やってる やってる
(唯士)やってない (男子)お前 やったでしょ
(唯士)やって… (男子)いや やってるって
あのさ 明日の朝 ワラジムシとりに行く?
大丈夫
(女子A)三宅さん
ちょっと話 あるんだけど
(女子B)三宅さんってさあ
これと一緒の消しゴム 使ってるよね?
ああ…
(女子A)できれば もう使わないでもらえるかな?
なんで?
(女子B)だってー 私たち3人で 同じにするって決めてるから
使わないでほしいんだよね
(女子C)だから 家で使ってよ
だから 学校には 持ってこないでほしい
私たちのだから
ね~?
えっ 何 笑ってんの?
あなたたちと同じ消しゴムを…
私は使わない
(颯真)絶対 上田唯士たちだよ
(颯真の母)絶対? 絶対 そうなの?
確実に?
(颯真)うん だって三宅心愛たちと カンキョーの話ばっか してたし
(颯真の母)それだけの理由で?
(颯真)うん
(颯真の母)やめてよ~
ママ 唯士君ママと しょっちゅう会うんだからね
でも 校長先生が何でもいいから 自学ノートに書いてって
もし それで 唯士君が捕まったら どうすんのよ?
恨まれるよ あんた
そういうの怖くないの?
ちょっと 颯真
じゃあ ママ 薬局寄るから 先 帰っといて
はーい
学校と塾の宿題 ちゃんと済ませといてよ
はーい
(颯真の母)シュークリーム 冷蔵庫に入れてあるからね
はーい
(颯真の母)おうちの鍵 ちゃんと持ってる?
持ってる!
♪(ゲームの音楽)
(恵子)学校の宿題やった?
やったよ
(恵子)塾の宿題は?
やってない
(恵子)“やってない” じゃなくて やんなよ
(消防車のサイレン)
(恵子)えっ 何?
近いよ えっ?
何 何?
(ベランダの戸を開ける音) (恵子)うわっ!
(ベランダの戸を開ける音) (恵子)うわっ! (爆竹の音)
(爆竹の音)
(爆竹の音) 唯士 すご… うわ~
(爆竹の音)
(爆竹の音) 危ない びっくりした
あー 危ない 危ない
わー ウソでしょ?
えー 最後に 係から連絡はありますか?
(児童たち)ないです
これで 朝の会を終わります
自学ノートを書いてきた人は 先生に提出をしてください
(浅井)はーい
ありがとう 出してくださーい
上に乗っけちゃって いいよ はーい
ありがとー はーい
はいはい はい
はーい
はい 小林さんで最後かな?
はい じゃあ 授業を始めます 準備してくださーい
(児童たち)はーい
(にぎやかな声)
(小声で)いつもどおり しないの?
人のジャマとか しないの?
やったほうが…
(陽斗)おい! おい! (唯士)やめて… やめて!
おい!
(陽斗)おい! (唯士)やっ… 何?
(陽斗)これでいいんだろ?
なあ! これでいいんだろ?
なあ!
(児童たち)先生 呼ぼう 先生 呼んだほうが…
(階段を駆け上がる音)
見つけた
何やってんの?
いや 別に ただ座ってるだけだよ
明日 ワラジムシとりに行く?
なんか 颯真が大丈夫だって
えー なんで?
わかんない なんでだろうね
いつも うるさいのに~
まあ そうだよね
うん
今日も心愛たちと遊ぶ?
んー 今日…
今日は ちょっとわかんない
ふーん
今日 おこづかいの日なんだ~
「ビッグカツ」買う
唯士は? おかし 何が好き?
うーん… あっ「ヤッター! めん」
あー アタリ付き 好きだよね
そう 100円分 買ってさ 100円 当たったことある
えっ 当たったことない
お母さんと スクラッチやったことあるけど
あの駅前のやつ?
うん そう
あれかー
スクラッチやったことないから やってみたいんだよ
うん 私もまたやりたい
ハズレじゃなきゃね
(唯士)フフフッ
ずっと ハズレだから
次は 絶対 “アタリ~!”ってなりたい
(2人の笑い声)
で… おかし屋 行く?
(唯士)うーん
おかし 買いに行く?
♪ デーデーデーデー…
ど~ぞ~!
(走り去る足音)
(心愛)陽斗って ほんとダメだよね
昨日 テレビで またあの事件のこと やってたよ
すごいよね
私たちのやったことが もっと広がったら
大人も変わると思わない?
だからさ もっとちゃんと やったほうがいいと思うんだよね
文章にして どっか送るとか
(唯士)うん まあ… ちょっと声が大きいよ
(心愛)今日 いつもの家 行こうよ
次 何やるかも考えたいし
(唯士)次? (心愛)うん
私たちが始めたことだから 休んでちゃダメだよ
じゃあ またあとでね 陽斗にも言っとく
(ため息)
(唯士)これで今 100円じゃん
「ヤッター! めん」も…
(メイ)ねえ これ 全部 収まると思う?
(唯士)あとで聞こう (メイ)“あとで聞こう”かい
(唯士)5個で…
絶対 当たる
うん
(息を吸う音)
絶対 当たるから 100% 当たるから
ほんとに?
ほんとに ほんとに
ちょちょ… 発表するわ
♪ ティーン タララ
(唯士)あ… (メイ)フフフフッ
(唯士)はずれた~
(男子)唯士 今日 噴水公園 行く?
今日 塾
(男子)マジ? (唯士)うん
1個 食べる?
おっ ありがと
もう1個ちょうだい
えー! えっ じゃあ いいよ
(男子)ありがとう バイビー (唯士) 図々 ずうずう しいな
1個 食べる?
あー ありがとう
酸っぱくて おいしいよね
(唯士)うん
(唯士)1個 食べる? (メイ)えー 大丈夫
(唯士)えっ いいよ (メイ)大丈夫
(メイ)だってさ 味が混ざっちゃうでしょ
(唯士)全然 平気! 「ヤッター! めん」は味うすいから
ほんとだよ アタリ出るかもしれないし
さっき ハズレ出たでしょ
まっ そうだけど
でもでも でもでも おいしいから とりあえず
えー? 大丈夫 ハズレ出たじゃん
(近づく自転車の音)
(メイ)実はね「キャベツ太郎」は 最後まで食べなくちゃいけないし
「ヤッター! めん」を食べたりしたら 地獄に落ちるかもしれない
もう1回 食べる?
あっ ありがと
(浅井)上田さん
このあと ちょっと 先生と一緒に来てくれる?
ランドセル下ろしちゃっていいから
はい みんな!
1時間目 ちょっと自習になるわ
で 齋藤 さいとう 先生 来てくれるから
今日の日直 誰だ?
(日直)はい
(浅井)じゃあ 2人は 朝の会 始めちゃって
…で 来てない人には伝えといて
(日直)はい
(浅井)行こうか
(児童たちのはしゃぎ声)
(ノックの音)
(陽斗の泣き声)
(校長)どうぞ
はい ここに座って
(橋本 幸雄 ゆきお )こら!
(ノックの音)
(戸が開く音) (恵子)あっ すいません
(浅井)上田さん こちらに
(浅井)全員そろったら始めます
(恵子)あっ はい
(陽斗の弟)んっ んっ…
(戸が開く音) (三宅 冬 ふゆ )こんにちは~
(校長)こんにちは (浅井)こんにちは
(冬)もう皆さん おそろいですか?
(浅井)こちらへ どうぞ
(冬)ごめんなさい すいません
(小声で)結構 待った?
(浅井)じゃあ 全員そろったようなので
始めさせていただきたいと思います
お願いします
(校長)浅井先生のほうから
お電話で説明させていただいたと 思いますが
保護者の皆様に 来ていただいたのは
お子さんたちが牧場の柵を壊して 牛を逃がしてしまった件を
一緒に確認させて もらいたいからです
よろしいでしょうか?
(浅井)では 順を追って 事実を確認したいと思います
いいですか?
(心愛)はい
(浅井)じゃあ 改めて
3人がやったっていうことで いいですか?
(心愛)はい
(浅井)2人は どうですか? それでいいですか?
最初に言いだしたのは 誰なのかな?
(橋本 房子 ふさこ )陽斗は 言われてやったんだよね?
正直に言って
ねっ? 言って
(陽斗の泣き声)
(浅井)陽斗さんが そう言ったんですか?
(房子)はい
(浅井)誰に言われたの?
(恵子)ほんとなの? 唯士
なんで?
(心愛)誰が最初に言ったのかって 関係ありますか?
3人でやるって決めて やったんです
(房子)いや… 陽斗は 言われてやったって…
断れなかったんだよね?
(陽斗の泣き声) あの 先生
陽斗は 自分の言いたいことが 言えないところがありまして…
(心愛)はあ?
陽斗が断れないとか ありえません
先生 そうですよね?
ああ…
まあ…
陽斗さんは どちらかというと ふだんは元気がいいっていうか
確かに 牛を逃がそうって 言いだしたのは唯士ですけど
陽斗も“やろう やろう”って ノリノリでした
こないだも唯士のこと 殴りかかってたし…
ほんとなの? 唯士
(房子)陽斗 そうなの? 陽斗! 陽斗!
ねえ 陽斗! (陽斗の泣き声)
(心愛)大人の前だからって そういうの ズルいよ
一番最初に何かやろうって 言いだしたの 陽斗じゃん!
一番最初は陽斗が
環境問題のために何かやったほうが いいって言ってくれたんです
それで 車に貼り紙したり
排気ガスが出ないように 布を詰めたり
お肉屋さんに ロケット花火を撃ち込んだり
陽斗の考えでやったことのほうが 多いよね? 唯士
そうなの?
(陽斗の泣き声) (房子)ねえ 陽斗 本当なの?
(陽斗が 泣き続ける)
(陽斗が 泣き続ける) お母さんに話してみて ん?
いろいろ言われてること 違うなら違うって言わないと
(心愛)すぐ人のこと たたくし
ふつうに遊んでる人の ジャマばっかりするくせに
そういうのも お母さんに ちゃんと言ったら?
(房子)陽斗 違うよね?
ねえ 陽斗 違うよね?
(大声で)ねえ! お兄ちゃん!
(恵子)うちの子も やったこと認めてますし
だからね 陽斗君も 一緒になって やったんだよね?
正直に言おう やらされたわけじゃないよね?
うちの子が正直に言ったんです!
2人は黙ってましたけど
(陽斗の弟の騒ぎ声) (幸雄)すいません…
(房子)おいで ほら
(戸の開閉音)
いっつも弟の面倒 見てくれてるんだもんね
ね? ねっ お兄ちゃん そうだよね?
ちょっと もう 本題入りませんか?
3人でやったんでしょ?
それでいいじゃないですか
(浅井)じゃあ…
なんで こんなことしたのか 理由を聞かせてください
(恵子)環境問題と関係あるの?
牛が環境に悪いんだよね?
(心愛)そうです
畜産関係で排出される 温室効果ガスは
世界の温室効果ガスの14%を 占めてるんです
それに牛が出すメタンガスの温室効果 CO2の25倍なんです
(浅井)環境問題について ご家庭で よくお話しされるんですか?
(冬)えっ うちですか? (浅井)はい
あー 全然
あ… 心愛さんが すごく詳しいので…
(冬)先生 もう 先に進めません?
心愛が言い始めたんでしょ?
ん?
大人が環境を壊してるとか
毎日 そういうのばっか 見てますから
ママさ そういうの やめなって 言ってない? いつもね
(校長)お母さん お母さん
はい
(校長)もう少し 理由を聞きませんか?
あっ そうですよね
(恵子)あれですかね あの ほら…
3人は 何かいいことを やろうとして
まちがえたんじゃ ないですかね
(心愛)陽斗は イタズラしたかっただけ…
(冬)人のことは いいから!
(陽斗の泣き声)
(冬)ごめんね
ねえ 環境に悪いとかさ
子どもが何言っても 聞くわけないでしょ 大人が
そんなの 昔から 言われてるんだから
もう みんな知ってるの
ねっ あなたが言わなくても わかってんの みんな
自分だけ知ってるみたいな顔して えらそうに言ってんじゃないよ
(校長)話を進めましょうか 時間もありますから
(冬)あっ そうですよね
じゃあ 当日 何があったのか 順を…
じゃあ 当日 何があったのか 順を… (冬が心愛を 問い詰める声)
(冬が心愛を 問い詰める声)
(浅井)三宅さん 三宅さん!
はい
(浅井)話 進めてもいいですか?
あっ はい
じゃあ 当日 何があったのか 正直に…
(小声で)娘が 牛 逃がしましたって?
“ふざけんじゃねえよ”って なるよね? なんない?
(校長)お母さん (冬)はい
(校長)当日のことを 進めていいですか?
あっ はい
ごめんなさい ちょっと いいですか
ねえ!
自分がしたこと わかってんの?
ねえ!
わかってんのかって 聞いてんだけど
返事は?
返事は?
ねえ
わかってんの? わかってないの どっち?
(校長)お母さん (冬)はい 大丈夫です
ねえ!
あのさ 自分が 巻き込んだんじゃないのかって
聞いてんの 自分が
違う?
あんな 頭 腐るような動画 見んなって 言ってるよね?
言ってない?
言ってるよね?
何? その目
何なの?
謝んな
立って謝んな
謝んな 謝んな!
ねえ ねえ ねえ!
立って謝んな 謝んな 謝んな!
(校長)お母さん
進めましょうか
昔は かわいかったんですよ
ジェラート ピケとかプチバトーとか おそろいで着たりして
私が髪 巻いてたら
“心愛もママと一緒がいい”とか 言ってきて
たまーに公園 連れてったら
たくさん どんぐり集めてきて
“はい ごはんですよ~ ごはんですよ~”とかやって
1回 喜んだら何回も集めてきて 袋 パンパンで…
そういうの ありませんでした?
もう むちゃくちゃ かわいかったんだけどなあ!
こんなちっちゃい頃は
ね~!
ね~
ねっ
How ハウ dare デア you ユー !
(英語)
(冬)ねえ! やめて
(英語)
(心愛)あなたたち大人は すぐに 子どもは黙ってろと言います
でも 私たち子どもが生きる場所を 汚したのは
あなたたち大人じゃないですか!
あなたたちは 私たちや これから生まれてくる子どもたちのために
最大限の努力をすると 約束してください
そして それを示してください
そして それを示してください
示してください
示してください
そして それを示してください
示してください
示してくだ…
ごめんなさい!
ぼくは…
(息を吐く音)
うーん…
地球温暖化とか そういうのじゃないんです
ん…
んー えっと…
三宅さんが好きで
三宅さんに好かれたくて…
ごめんなさい
温室効果ガスで 地球が なんか大変なことになってるのに…
ごめんなさい
(泣き声)
(冬)えー いいよねえ
好きな女の子のためにさ 男の子が頑張ることって
すっごく いいことだと思うよ
ちょっと感動しちゃった ねえ? 先生
あ… 男の子だけじゃなくて 女の子もですけどね
事故が起きてるんですから いいわけないでしょう
まじめに考えてください
(冬)でも 男の子って そういうもんですよ
ねえ?
えっ そうですよね?
もう 黙って
(校内から聞こえる児童たちの歌声)
(陽斗の弟)はう
(冬)えー かわいい
あっ 大丈夫ですよ
大丈夫ですよ
(浅井)あの… ぼく 向こう着いて 説明 終わったら
ちょっと出ちゃいますね
(恵子)えっ 先生 すぐ帰っちゃうんですか?
(浅井)そうなんですよ 出なきゃいけなくて
(冬)授業ありますもんね
(浅井)あの… 警察のほうに 牧場の方 来てくれてるんで
(房子)あの… 牛を戻すのに かかった費用って
いくらぐらいでしょうか?
(浅井)どうなんですかね ちょっと ぼくのほうでは何とも…
(冬)事故の分も保障しなきゃ いけないんすかね?
あんなの 前方不注意なんだから 全額じゃないですよね?
(房子)事故に遭われた方って 入院されてるんですかね?
(浅井)ちょっと それも ぼくのほうでは何とも…
(陽斗の泣き声)
(房子)お兄ちゃん ねえ!
(陽斗の弟)はう であ ゆー
(房子)立って!
立って! ほら!
頑張って行こう よいしょ
(冬)先生 3時には 都内 戻んないといけなくて
(浅井)そうなんですか
(恵子)絶対に大丈夫だからね
心配しなくて いいよ
ふつうに学校にも通えるし
今までどおり やってけばいいから
絶対に大丈夫だからね
あっ… ねえ 先生
あの… 事故に遭われた方に 何かお見舞いとかって
どうすればいいですか?
(浅井)どうなんですかね
そういうの やっていいのかって ちょっとわかんなくて
(恵子)あー そうですよね
(浅井)聞いてみますね (恵子)あっ いいですか
(心愛)ダンゴムシ?
(唯士)うん ダンゴムシ
(心愛)いつも とりに行ってるやつ?
(唯士)それはワラジムシ
そっか
(唯士)さわる? (心愛)大丈夫
(唯士)さわれないの?
虫 好きなの?
うん
生き物は大体ね
魚とかさ
そうなんだ
うん
いろんなの種類があってさ おもしろいよ
そうなんだ
今度さ 本 貸してあげよっか?
うん
(恵子)唯士 何やってるの!
早く来なさい
ん?
(陽斗の弟)はう であ ゆー!
ん?
♪~
~♪
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