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また あの 人 だ。

毎 朝、 この 時間、 この 車 両 の、 この 席 で 本 を 読 んで る。

いつ 見て も 綺 麗 だ な って 思 う。

声 を か ける なん て でき ない し、 話 す 理 由 も ない。

なんか、 見て る だけ で 落 ち 着 く っていう か。

会 いた い とか そう いう ん じゃ なく て

別 に 深 い 意 味 は ない 落 と し 物 を 届 け に 来 た だけ
それ だけ

のは ず だ った んだ けど

す い ません。

これ、 朝 電 車 で 落 と さ れた と思 って。 あ、
ありがとうございます。

あれ?

も しか して、 いつ も 同 じ ベ ー ス 乗 って ら っ しゃ います?

え? あ、 はい。 た ぶ ん。

なん と なく 見 覚 え が あ って。

わ ざ わ ざ 図 書 館 まで 届 け に 来 て く だ さ って
ありがとうございます いや その

落 と し 物 だ った んで 初 めて 声 を 聞 いた

落 ち 着 いて て なんか 綺 麗 だ った 目 を

合 わ せ る だけ で ド キ ド キ して う ま く 息 が でき な
かった 名 前 も 知 って

声 も 聞 いて

余 計 に 気 にな る よう にな って しま った

見 た?

うわ、 なんだ よ これ。

なんか、 顔、 暑 い。

ご 利 用 ですか 本

棚

よ かった ら ご 案 内 し ましょう か ジャ ン ル お 好 き な の
あります?

いや 特 に ない です

これは 20 世 紀 初 頭 の 英 文 学 で、 文 章 は 淡 々 と して
いる んです けど、 すご く 心

に 響 く フ レ ー ズ が いく つ も ある んです。

こちら は 19 世 紀 の フ ラ ン ス 文 学 です。

この 本 は 私 が 一 番 好 き な 本 です。

一 度 も 全部 お す す め です。

き っと 本 が 好 き にな る と思います よ。

正 直、 本 なん て どう でも よ かった。

ただ、 また 会 いた かった。

それ だけ だ った んだ。 多 分。

お は よう ございます。

昨 日 の 本 は どう でした?

見て いただ け ました ら、 似 た よう な 本 を いく つ か ご 紹
介 で きます よ。

あ、

はい。 た、 た ぶ ん、 また 行 きます。

や ばい。

こんな 近 く で。

触 れた ら。 気 づ か れた ら。

って。

いや、 もう 触 れて る。

何 度 も 来 て る の に、 い まだ にな れない。

毎 回 顔 を 見 る た び に。 胸 が ざ わ ざ わ する

気 の せ い か もし れない けど 彼 女 の 方 から ちょっと ず つ
近 づ いて き て る

そんな 気 が して た

声 の 小 さ な 初 期 感 が、 未 亡 人 の 資 産 家 に 雇 わ
れ、 や が て 彼 女 の 生活

の 一 部 と して 変 わ れて いく お 話 です。

命 令 も さ れ ず、 苦 絶 も さ れ ず、 気 づ いた 時 には 全
て を 差 し 出 して いた。

そう いう 理 屈 じゃない 従 属 が 描 か れて いて、 興 味 深 い
んです。

誰 か の もの にな る って 大 声 で はい って いうこと じゃない
んです よ 気 づ いた ら

そう な ってる それ が 一 番 怖 い 気

づ いた ら そう

な ってる それ が 一 番 怖 い

この 本 を 買 って はい

ありがとうございます

この 時間、 静 か に 本 を 読 め る 部 屋 が ある んです。

ご 案 内 し ましょう か?

え、 でも、 もう 閉 館 … 大丈夫。

鍵 を 閉 め る のは まだ 先 です し、 少 し だけ どう ですか?

この 本 の 続 き、 ゆ っ く り 読 め る と思います よ。

じゃあ … ちょっと だけ

手 震 えて ます?

いや、 髪 も ない 謝 る こと じゃ あり ません よ

心 の 音 が バ レ て しま う

ん

た た た め。

うん

ありがとうございました。

ああ ああ ああ ああ ああ

上 々 する の が ダ メ な の?

お や す み

ありがとうございました。

ご 視 聴 ありがとうございました

お 疲 れ

様

でした

ああ ああ ああ あ ああ ああ あ

お や

す み

ありがとうございました。

気 持 ち いい?

お や す み

パ パ の 顔

を 見て く れて ありがとう

ああ ああ ああ

ど こ に 当 た ってる の?

見

えて る?

ご 清 聴 ありがとうございました

や ばい、 行 き そう

けど、 この 人 の 目 を 見 た ら 何 も 逆 ら え な かった。

ありがとうございました。

ダ メ だ こんな ところ で 声 出 せ ない の に 頭

が 真 っ 白 にな って いく

か す が る 男 の 子

お や

す

み な さい

ありがとうございました。

もう 逃 げ ら れない 気 が した

や ばい って 思 ってる の に、 出 て しま う。

本 なん て どう でも いい。

あの 人 が いる か どう か だけ。

目 が あ った ら き っと また 何 か さ れる。

それ でも。

って いうこと は ま だ 2 人 の 一 冊 に 出 会 えて ない ん
ですね

ただ

見て た だけ

はい。

入 れ たい な

ありがとうございました

潜 んで ちゃ いました ね

もう 逆 ら え ない き っと また 同 じ こと を さ れて も 抗 え
ない

そして 僕 は 彼 女 に 会 う た び 無 意 識 に さ れる 場 所

を 探 す よう にな って いた 声 も 出 せ ず に 支 配 さ れる 快
感

だけ が 確 か に 僕 を 形 作 って い った

でも ある 日、 彼 女 は 声 を 出 して も いい 場 所 を 選 んだ。

それ が 何 を 意 味 する か なん て 考 える 前 に 僕 は もう 従
って い った。

自 分 では 抗 ってる つ も り だ った んで しょう けど 私 には
全部 わか って ました 最

初 から 従 う 気 で いた って こと だから 今日は

言 い 訳 の き か ない 場 所 に しました ここ なら もう 誰 の せ
い に も

でき ません よ ほ ら また そう やって 黙 る

でも 従 ってる こと は ちゃん と 見 せて

これ、 これ 我 慢 でき ない。 我 慢 し なく て いい んだ よ。

ん ん

お 疲 れ 様

でした

気 持 ち いい 気 持 ち いい

ポ イ、 ポ イ って 何?

ポ イ

って

何?

捕 ま って き ちゃ った も っと 近 く 来 て

あぁ …

ああ ああ ああ ああ ああ ああ ああ ああ ああ ああ ああ ああ ああ
ああ ああ ああ ああ

ああ ああ ああ ああ ああ

あ、 気 持 ち いい

すごい です ここ も 気 持 ち いい な

気 持 ち いい 気

持

ち いい

気 持 ち いい の?

も っと 気 持 ち いい と 言 って

ス パ ン ス

パ

ン

ああ ああ ああ

ああ ああ ああ ああ ああ ああ ああ ああ ああ

お や

す

み

お 疲

れ

様 でした

い っぱ い 腸 を 作 って しま う。

お や す み

ああ ああ ああ

お や す み な さい

ちょっと 調 子 を 変 え ろ

よ い しょ

も ち ん ぽ だ よ

ああ、 腹 が 痛 い。

足? 足?

ここ に 入 れ たい の?

入 れ たい。 入 れ たい です。 も っと 気 持 ち よ く な り
たい?

気 持 ち よ く な り たい。 早 く 入

れて

ください。 お願いします。

お願いします。

入 れて ください。

気 持 ち いい です

すごい 気 持 ち いい じゃあ も

っと 一 緒 に 気 持 ち よ く な ろう

リ ア さん、 気 持 ち よ く さ せ たい

気 持 ち いい 気

持 ち いい 気 持 ち

いい

すごい ですね

ちょっと 見て、 見 える?

す っ か り 手 を 離 して あー

や ばい、 や ばい、

や ばい 痛 い 痛 い 痛 い 痛 い 痛 い 痛 い 痛 い 痛 い 痛 い
痛

い

ご 視 聴 ありがとうございました

前 動 いて

ありがとうございました。

まだ 立 ってる って こと は もう 一 回 でき る よね

ご 視 聴 ありがとうございました

ア ーメ ン

本当 に そうだ った 声 が 出 せて も 逃 げ 道 が あ って も 僕

は 何 人 と 拒 め な かった 彼 女 の 前 じゃ 僕 は もう

選 ぶ 側 じゃない さ れる こと だけ が 僕 の 役 割 だ

き っと また 呼 ば れる 今 度 は 何 の 前 触 れ も なく でも

それで いい 僕 は 彼 女 の もの だから