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(カーラジオ)昨夜遅く
東京都新宿区歌舞伎町にある ホストクラブから店の売上金が盗まれ
犯人の男女二人組は シルバーの車で逃走しました
警察によりますと クラブ店長が閉店後 売上金を入金に向かっていたところ
拳銃を持った男女に襲撃され 現金7,500万円の入った鞄かばんが奪われました
犯人は現在も逃走中で 警察は行方を追っています
〔女性の息切れ〕
(綾子あやこ)ちょっと待ってよー!
(修司しゅうじ)急げよ!
ねえ まだ?
もう少しだから頑張れ
(修司)よいしょ
− ちょっと… − はいはい
ほらよ
いくぞ
よいしょ
(修司)よいしょ
よいしょ
よいしょ
よいしょ!
〔二人の息切れ〕
せっかく大金手に入れたのに
急に生活くらし派手になったら 疑われんだろ
100万くらい いいじゃん
ダメだよ お前
調子乗って お前 すぐ人に奢おごんだろ
ああ…
埋めとけよ
ケチ
ねえ このお金で何する? 旅行? 買い物?
えっ?
あたし顔変えたいんだよね〜 小顔にして 目もパッチリさせてさ
あ 胸も大きくしちゃおっかな〜
ん?
修司?
修司!
もう 修司どこ? 返事してよ
〔奇妙な呼吸音〕
〔おびえた息づかい〕
〔ぶつかる音〕 キャーッ!
イヤアア!
ハッ!
〔奇妙な呼吸音〕
イヤア—!!
よくここまで成長してくれたなぁ お父さん うれしいぞ
おい 淳一じゅんいち
どうしました?
これ見ろ
ん?
(淳一)まさか これ?
(長尾ながお)かいよう病だ
去年 青木あおきさんちの農園も これでやられた
どっかから 細菌が入り込んだんだ
農薬散布も ちゃんとやってるのに…
農薬に対して 耐性ができたんだろう
この枝は切り落として 焼却処分だな
はい
こっちの作業は俺がやる お前 収穫を急げ
手の空いてる人に 手伝いに来てもらうから
すいません 助かります
(淳一)はあ〜
3年かかって やっとここまで来たんだ
ダメにしてたまるか
(男性A)よっ じゃ次いくよ
(男性B)はい
(男性A)二段にして (男性B)はい
(淳一)念のため もう一度 農薬散布しておきます
ああ 一応周りの農家にも 病気が出たと伝えた方がいいな
俺から連絡しとくよ
ありがとうございます
一也かずや…
まさか お前の息子?
はい…
ああ…
これで お願いします
一也! お前 おっきくなったなあ
当たり前だろ 3年も会ってないんだから
ああ でも どうしたんだ急に?
− 家出してきた − え!?
もう うちには帰りたくない お父さんと暮らす
いやいや 急にそんなこと言われても あ 東京で何かあったのか?
うち ここだよね?
おお…
あ ちょちょちょ… ちょっと
− お客さん! − あー! すいません
ありがとうございました すいません
ちょっと 話まだ終わってないだろ!
(一也)広い家だね 僕の部屋2階でいい?
(淳一)ちょっと待っ ちょ…
〔ため息〕
久しぶり
一也は?
もう寝てる
はあ…
とりあえず入って
うん
〔寝息〕
ニュース見たよ
青果の直売通販 絶好調みたいだな
私はただ あなたが考えてた 事業プランを実践しただけ
父も今になって認めてくれたわ
お義父とうさん 後遺症の具合は?
家の周り 散歩できるようになった
そう
よかった
あなたを追い出したりするから 罰当たったのよ
(爽子さわこ)待ってお父さん
なんだ?
どうして淳一が 会社を出て行かなきゃいけないの!?
潰れかけてた会社を 建て直したの彼じゃない
うるさい!
私の言うことが聞けないなら 家族共々うちから出てけ!
ごめん… 一緒にいけなくて
しょうがないよ 爽子は一人娘なんだし
お父さん うち出てくの?
お父さんの幼なじみが 故郷ふるさとの福島でオレンジを作ってるんだ
それで 一緒にやらないかって 誘われてな
そんなの近所で作れるじゃん
もう ここには お父さんの居場所がないんだ
だったら おじいちゃんと 仲直りしてよ
ちゃんと話し合ってよ!
一也…
ずるいよ!
僕とお母さんだけ置いて 逃げるなんて!
会いたくなったら いつでも遊びに来い な!
フンッ!
一也…
それより 一也 何があった?
今 中学受験の勉強やってるんだけど 思うように成績が伸びなくて
〔ため息〕
サッカーやめさせて 塾の時間増やして
それでも成績伸び悩んで
つい当たっちゃったの
そしたら…
全然進んでないじゃない
そんなだから サッカーやらせられないのよ
うわあ! うわああ!
− 一也 やめなさい! − もう勉強なんてヤダ!
〔割れる音〕 一也 落ち着きなさい!
イタイッ!
それからあの子 部屋に こもっちゃって
病院に相談に行ったの
そしたら…
あなたが病気だって言われた
私からもお願い しばらくあの子を預かって
でも こっちにも いろいろ都合が…
私もう どうしていいか分からないの あなたしか頼れる人いないのよ
あんまり口に合わないか?
いつもは何食べてる?
パンとか シリアルとか
ああ…
分かった 今日買っとくよ
〔玄関チャイム〕 ごめんくださーい
誰だ?
はい
おはようございます! 今日から一也くんの担任を務めます
北見きたみ絵里えりです
ああ どうも
一也くん 今日が初日なので 一緒に登校できればと思いまして
わざわざ 迎えに来てくれたんですか?
その方が いろいろと 話もできますから
ああ… ありがとうございます
一也
担任の北見絵里です ヨロシクね!
ヨロシク
〔始業チャイム〕
赤井一也あかいかずやです よろしくお願いします
(児童たち) よろしくお願いします
一也くんは東京から来ました みんな仲良くしてね
(児童たち)はーい
じゃ 一也くん あそこの空いてる席に座ろっか
はい
(恭子きょうこ)ウソ 東京? (理子りこ)ねー イケメンじゃん
何 理子タイプ?
− え タイプ? − 違うから!
東京だって
どうせヘタレじゃね?
(絵里)はーい じゃあ出席とりまーす
(児童たち)はーい
− 五十嵐いがらし美羽みうさん − はい
(絵里)はい
− 大竹おおたけ 晶あきらくん − はい!
(絵里)はい
小野山おのやま 歩あゆむくん
あー ここもやられてる
なあ 一也くん ずっとこっちにいるのか?
まだ分かりません
爽子さんも勝手だよな
お前を追い出しといて 今度は 子供の面倒 丸投げにするなんてさ
俺を追い出したのは お義父さんですよ
爽子は ずっと板挟みで 苦しんでました
いや だからってさ
俺…
昔 一也に言われたことが ずっと引っかかってて
何?
お父さんはずるい 逃げてるって
フッ… だから いいとこ見せたいのか?
いや そういうワケじゃ ないですけど
背を向けるわけには いかないでしょ
あいつ学校なじめるかなぁ
あ 東京で サッカーやってたんだっけ?
一応 強豪チームで レギュラー張ってました
だったら大丈夫だよ
ん?
(田沼たぬま)1 2 3 4
(児童たち)5 6 7 8
(田沼)はい 2 2 3 4
(児童たち)5 6 7 8
(田沼)はい よーし
みんなー! 試合始めるよ 集まってー!
(児童たち)はーい!
(田沼)よし
一也くん 一緒のチームだね
頑張ろうね
うん
女にチヤホヤされて いい気になってんじゃねえぞ
べつに… ベタベタされるの嫌いだし
〔ホイッスル〕
(絵里)はい いけるいける!
〔メンバーたちの応援〕
うっ!
〔ホイッスル〕
こら 翔太しょうた イエローだよ
(絵里)大丈夫?
あー 痛い?
立てる?
どんくせーやつ
翔太 今のわざとでしょ
うるせえ
〔ホイッスル〕
(絵里)走ってー!
はい みんなボール追って!
(翔太)浩二こうじ!
(絵里) はい いけるよ! 狙って!
〔蹴る音〕
うっ!
上がれ 一也!
(男子児童)あ! くそ!
ハッ!
(一也)フンッ!
− フンッ! − うあぁー!
〔ホイッスル〕
(絵里)ゴール!
(恭子たち)やったー!
(理子)一也くん すごい!
(絵里)すごいね 一也くん
(女子児童)公園行こう
先生に一也のこと聞いたんだ 東京でサッカーやってたって
うん
ここじゃ サッカーうまいやつが 最強だから
翔太たちも すぐに一也のこと認めるよ
そう?
ついてきて いいもの見せてやるよ
よいしょ
早く来いよ
うん
〔カラスの鳴き声〕
(一也)どれくらい行くの?
(祐志ゆうじ)いいから来いよ
ねえねえ ここクマが出るから 入っちゃダメだって
まだ冬眠中
もしかして ビビってる?
ビビってねーし
ハハッ…
(祐志)こっからがきついんだぁ よいしょ
〔二人の息切れ〕
(一也)よいしょ
あと もうちょっとだぞ
ほら コレ 見ろよ
何これ!?
俺の秘密基地 誰にも言うなよ
(一也)え〜!
すげえ!
だろ?
うわあ! ここ トラップあるから
見てろよ
よーし いけるぞー
ウオ〜
ハアッ!
〔落下音〕
失敗した〜
大丈夫!?
これなら クマが来ても平気だろ?
〔笑い声〕
− ほら − ありがと
(祐志)よいしょ
頑張れ!
頑張れ!
(祐志)うおぉ! (一也)うわっ!
− あ ごめんごめん − 平気平気!
〔笑い声〕
へえー これ 一人で作ったの?
ああ 親とケンカしたときとか よくここに来るんだ
へぇ〜
はい
何これ
俺の宝物
わあ!
すげえ
− ほれ − わ!
ハハハハハッ
よいしょ
すげえ
はい
ありがと
一也も もう友達だし ここ使っていいよ
うん!
ん〜!
家 帰るときは こっちが近道なんだ
(祐志)何これ!? でけぇ!
(一也)うん
もしかして 自衛隊の秘密兵器だとか
え! 爆弾!?
フフッ
ちょっと待ってよ
〔たたく音〕
あぶないよ!
爆発したら どうすんだよ!
ハハハッ そんなビビんなよ
あ 記念写真撮ろうぜ 一也 スマホ持ってたろ?
うん
充電切れてる
えー? マジかよ?
〔カラスの鳴き声〕
早く帰ろ
うん
(一也)早く (祐志)ああ
(祐志)こっち
今日 学校どうだった?
まだ通い始めたばっかだし
だよな…
そうだ これ食べたら お母さんに電話してみようか?
きっと心配してるだろうし 一也の声…
ヤだ 絶対ヤだ!
お母さんの 何が そんなに気に入らないんだ?
お母さんにサッカーやめさせられて 友達なくした
そんなのは 受験の邪魔になるだけだって
お母さんが大切なのは テストの結果だけなんだよ!
でもお母さんは 一也の将来のことをちゃんと考えて…
お父さんは お母さんの味方なの?
一也…
(児童たち) おはようございまーす
(恭子・理子)えー?
天源森てんげんもりで?
(祐志)ウソじゃないから ホントだから
(女子児童たち) 絶対ウソでしょ
ホントだよ
ホントに こーんなでっかい 銀色の鉄の塊があったんだよ!
なあ 一也
うん 僕も見た
(恭子)ホントに?
(亜美あみ)何それ…
そんなモンが 森の中にあるわけねーじゃん
お前らマジで信じてんの?
ウソじゃねーよ ほんとに見たんだ
だったら証明してみろよ!
証明したら言うこと聞くか?
ああ なんだって聞いてやるよ
じゃあ 一也のこと 仲間って認めろ
いいよ… 認めてやるよ
あんな約束 しなくてもいいのに
翔太だって一也とほんとは 仲良くしたいんだよ
おぉ大丈夫? よいしょ
母ちゃんが使ってたスマホ 持ってきたから
サクッと写真撮ろうぜ
うん
おかしいなぁ 確か この辺のはずだったんだけど…
ねえ もう暗くなってきたし 帰ろうよ
じゃあ あともう少しだけ
ねえ なんかヤバくない?
だな やっぱ帰るか
〔奇妙な呼吸音〕
(一也)えっ!?
はっ!
〔カメラの連写音〕
一也 逃げろ!
ああ! うわあ!
あああ! うわあああ!
祐志くん!
祐志くん!
祐志くん!
祐志くんっ!
うわっ!
〔呼び出し音〕
一也なんで電話出ないんだよ
田中たなかさん 今 祐志くんの お母さんと連絡取れました
祐志くんも まだ 帰宅していないそうです
あぁ… なんか すいません
二人 一緒にいるって ことですよね…
クラスの子に話を聞いたら
一也くんと祐志くん 天源森で 大きな鉄の塊を見たそうなんです
鉄の塊?
でも男子たちに どうせウソだろって 突っ込まれたみたいで
まさか それを 証明するために天源森に?
恐らく…
ああ…
〔スマホの着信音〕
すいません
もしもし 爽子?
(爽子) 一也は? ねえ一也は?
そんな怒鳴るなよ とにかく 位置情報アプリの暗証番号教えてくれ
(爽子) アプリの… ちょっと待って
kazu2210
kazu2210
ありがと また連絡する
〔アプリの起動音〕
あ… 先生
天源森…
〔フクロウの鳴き声〕
(絵里) 一也くん! 祐志くん!
(淳一)位置的には この辺りなんですけどね
(絵里) 一也くんどこ? 一也くん!
一也 返事しろ!
祐志くん!
一也!?
(絵里)え?
おい一也
一也くん!?
しっかりしろ! 一也!
おい
あ… 一也…
一也…
(爽子)一也は? 無事なの? ケガとかは?
大丈夫 ケガはかすり傷だ
脳波にも異常はない
(爽子)あとで声聞かせて
分かった
一也が目ぇ覚ましたら また連絡する
(爽子)うん
う〜ん…
一也 大丈夫か?
お父さん…
今 家だ
お前 天源森で 気を失ってたんだ
なあ一也
お前 丸橋祐志まるはしゆうじくんって子と 一緒じゃなかったのか?
丸橋… 祐志…
うわあああ!
うわああー!
どうした 一也!?
おいおい 一也? 大丈夫 大丈夫
大丈夫 落ち着け! 落ち着け 一也
一也
〔おびえた息づかい〕
落ち着け 落ち着け… 大丈夫 大丈夫
(中村なかむら)皆さん 大声で祐志くんの名前を 呼びかけながら捜してください
よろしくお願いします
(一同)よろしくお願いします
(猟友会A)じゃあ 行きましょう
(猟友会B)じゃあ 足元に気をつけて よろしくお願いします
(猟友会A)祐志くーん!
(猟友会B) おーい 祐志くーん!
(絵里)祐志くーん!
(淳一)祐志くーん!
(捜索隊)祐志くーん!
(猟友会B) いたら返事しろー!
祐志くーん!
(淳一)祐志くーん!
(絵里)祐志くーん!
(淳一)祐志くん!
祐志くーん!
〔荒い息づかい〕
どうぞ
あ… すいません
祐志くん!
大丈夫ですか?
私のせいです
森へは行っちゃダメって もっと厳しく指導してれば…
後悔するのは やるべきことを やってからにしましょう
はい
(淳一)祐志くーん!
(絵里)祐志くーん!
祐志くーん!
(淳一)祐志くーん!
(絵里)祐志くーん!
祐志くーん!
(絵里)祐志くーん!
なんでしょう これ?
〔ジッパーの音〕
おぉ!
なんでこんなものが…?
〔カラスの鳴き声〕
〔カラスの鳴き声〕
− おお! − キャア!
〔荒い息づかい〕
先生…
何だあれ…?
え?
何だこれ…
(綾波あやなみ)この近くで もう一人 女性の遺体が発見されました
(淳一)え…?
二人の指紋を照合した結果
一週間前に東京で発生した
ホストクラブ襲撃事件の 犯人の指紋と一致しました
でも 誰が二人を…
恐らく…
この辺りに生息している 野生の熊でしょう
だったら 遺体はもっと ひどい状態になってるんじゃ?
ま 解剖の結果を見て 判断しますよ
あ あの… そこの丸い焦げ跡は?
あー タチの悪い誰かの いたずらでしょう
ほら 迷惑系ユーチューバーとか
(塩谷)岩瀬さん これ見てください ガラスです
(岩瀬)岩石の中の成分が 高温で溶けて固まったのか?
いやでも なんでこんな山奥で?
最新のガスバーナーなら 可能ですよ
いやしかし こんなふうなガラス化は
火山噴火か 隕石との衝突しか 考えられないだろ
子供の靴がありました!
(岩瀬・塩谷)え?
田中さん 行きましょう!
はい
〔足音〕
(淳一)一也 ただいま ちょっといいか?
今日 森で 祐志くんの靴が見つかった
ただ 本人の行方は まだ分からない
なあ…
森で何があった?
なんでお前 一人だけあそこに?
何も覚えてない
どんな ささいなことでも いいから!
何も覚えてないって 言ってるだろ!
君が転入してきた時 私は はっきり言ったはずだ
子供だけで 天源森へ行っちゃダメだと
君たちの軽率な行動で 私たちがどれだけ迷惑してるか
考えたことあるのか? ん?
教頭 その件に関しては 私にも責任があります
確かに
君がもっと厳しく子供に接していれば こんな事にはならなかったかもね
申し訳ありません
丸橋くんに もしものことがあったら そのときは責任を取ってもらうよ
以上
行こう
祐志くん 大丈夫かな
一週間ぐらいもつだろ あいつなら
やっぱり 銀色の物体 また見に行ったのかな
あんなの ウソに決まってんだろ
〔静寂〕
なあ 祐志 クマに襲われたんだろ?
お前 祐志見捨てて 逃げたんだろ?
だから恥ずかしくて
何も覚えてねーとか すっとぼけてんだろ?
正直に言えよ!
(浩二)ちょっと! 翔太!
言えよ!
言えよ!
翔太!
アレはクマなんかじゃない!
じゃあ 何に襲われたんだよ!
(浩二)翔太よせって!
(恭子)やめなって!
適当なこと 言ってんじゃねーよ!
(浩二)翔太! (翔太)言えよ!
(翔太・浩二)さよならー!
(田沼)はい さよならー 気をつけろよー
(恭子たち)さよならー
(田沼)さよならー
麻友まゆちゃん 今日もお母さん遅いの?
うん 7時までお仕事
あ じゃあ それまでうち来る?
麻友 もう一人で お留守番できるもん
偉いね 麻友ちゃん
(亜美)すごいね! (麻友)うん!
実は 一也くん
祐志くんのことで お友達と もめちゃって
え!?
祐志くんのこと 本当に何も 覚えてないんでしょうか?
すいません
それが 僕にも よく分からなくて…
森から戻って以来 様子が変なんですが
何も話してくれないんです
そうですか
やっぱり 親として 信頼されてないからですかね
3年の空白は 思ったより大きいです
(絵里)田中さん…
〔ビニールの揺れる音〕
まさか泥棒!?
おい! 誰かいんのか!
ハッ!
ただの閉め忘れかよ…
〔物音〕 ハッ!
はあ…
ハッ!
わあーっ!?
どこいった
麻友 遅くなってごめんね もうご飯できるからね
はーい
〔物音〕
ハッ!
キャ!
(中村)娘さんのね 麻友ちゃんの 今日の服装って覚えてます?
えっと…
思い出せる範囲でいいんで
今日は… 赤いボーダーのTシャツと
えっと確か グレーの カーディガンを着てたと思います
(中村) グレーのカーディガン…
麻友ちゃんがいなくなったのに 気づく前って お母さん何されてました?
隣で夕食を作ってましたけど な 何も…
その… 大きな音とかは?
いいえ
宿題をやってたはずです
〔母親の泣き声〕
− 冨樫とがしさん − あ? おお
何があったんですか?
いや 娘さんがな 家うちからいなくなったらしい
− 麻友ちゃんが − ああ
〔シャッター音〕
あ あそこの窓の下に
獣のような足跡があったようだ
え?
まさか 熊に!?
それ以外に 考えらんねぇだろ?
ああ
(記者A)町長 (町長)ん ん?
先日の強盗犯に続き 今度は町民が 熊の被害にあったと言われておりますが?
(記者B)今後どのような 対策を講じるおつもりですか?
んー それにつきましては
あー 消防及び警察 町議会の皆さんと協議をしました
熊が町まで下りてきて 町民を襲ったとなれば
これは見過ごすわけには いきません
んー 本日午前9時より えー 天源森の一斉捜査を行い
熊を駆除するつもりです はい はい
熊の居場所に関しては めどは立ってるんでしょうか
おい!
〔銃声〕
私たちは0.2リットルを 0.1リットルに分けて考えました
1人に0.1リットルが 2個ずつ分けられるので
6人で12個 なので 全部で1.2リットルになりました
はい わかりました ありがとう じゃあ戻っていいよ
(絵里)じゃあ これ以外に 考えがあるよーって人はいますか?
消防団から連絡があった
天源森で熊を捕殺したそうだ
みんな もう安心していいぞ
〔安堵あんどする声〕
やっぱクマじゃねえか なあ?
これで ちょっと安心かな?
うん… 祐志くんと麻友ちゃん 大丈夫かな
早く見つかるといいね
うん
あの… 祐志くんと麻友ちゃんの消息は?
それはまだ…
これから 熊の腹を割いて 胃の中を調べてみるそうだ
(記者A)町長 捕殺した熊の 解剖は終わったんでしょうか?
(記者B)子供の遺体は 出てきたんですか?
それが… 熊の胃袋からは…
木の実しか 発見されなかったそうです
(記者A)人間を襲った形跡は 全くなかったということでしょうか?
はい ええ…
麻友は 誰かに 連れ去られたんじゃないんですか?
県警本部への増援の要請は されたんでしょうか?
(記者たち)町長!
そうしたことは 明日 警察と改めて協議しますので
娘を見つけてください! お願いします!
うん うん うん
お願いします!
ただいま 一也
夕飯 何がいい?
一也
いるのか?
天源森てんげんもり…!?
ここ どこだよ…
〔物音〕
〔おびえた息づかい〕
あ! はあっ…
ハッ!
バカ! なんで一人で森に入った! もしものことがあったら どうすんだよ!
お父さーん!
〔一也の泣き声〕
ちゃんと あったまったか?
うん
ありがと
一也
そろそろ話してくれないか? 森で何があった?
怖い思いまでして 一人で行ったってことは
それだけ責任を感じてるって ことだろ?
お父さんにも その責任 背負わせてくれないか?
でも きっと信じてもらえない
どうして そう決めつける?
お父さんは どんなときでも 一也の味方だ
僕たち 銀色の大きな 鉄みたいな物体を見つけたんだ
お父さんたちが森の中を調べた時は そんなのはなかったぞ
でも本当にあったんだ!
次の日には消えてたけど
その時 薄気味悪い生き物に襲われて 祐志くんが連れ去られたんだ
それ どんな姿だった?
分かんない 暗くてよく見えなかったから
うわあ! あああ…
うわああ!
やっぱり信じられない?
いや
確かに最近 説明のつかないことが 起こり過ぎてる
けど 一也たちを襲った生き物が何なのか まるで見当がつかない
うん
それに 今の話じゃ 警察も動いてくれないだろう
もしかしたら 写ってるかも
祐志くんのスマホ 襲われたときに 森の中に落としたんだ
まさか それを 捜しに行ったのか?
うん でも その場所が分からなくて
だったら お父さんが捜してくるよ
え ダメだよ! もし またあいつに襲われたら
心配すんな
お父さんが必ず 一也の話を証明してみせる
なっ
〔カラスの鳴き声〕
〔荒い息づかい〕
この辺りの はずなんだけどな
あった!
何だこれ…!?
〔カラスの鳴き声〕
ねえ なんでバレエ 休まなきゃいけないの?
最近物騒な事件が 続いているから
犯人が捕まったら またすぐ通えるわよ
犯人って… クマじゃなかったの?
それが そうでもない みたいなのよ
ハッ! 〔急ブレーキ音〕
今の何…
お父さん おかえり!
見つけたぞ 祐志くんのスマホ
すごい お父さん!
〔不気味な呼吸音〕
一也?
あいつだ!
家ん中入ってろ
うん
ハッ!
〔不気味な吠ほえ声〕
はぁっ…
あああ!
〔不気味な唸うなり声〕
〔吠え狂う声〕
助かった…
(係員) こちらの方にお願いいたします
(受付)どうぞこちらに 名前の記入お願いします
(捜査員A)なかなか 情報は出てきませんね
(捜査員B)近隣住民への 聞き込みの進捗しんちょくは?
(淳一)見てください! こいつです!
こいつが祐志くんと 麻友ちゃんを襲ったんです
死体で発見された強盗犯も きっと こいつにやられたに違いありません!
そんな荒唐無稽な話を されてもね
それに この写真だって ただの かぶり物かもしれない
でも 僕は 実際この目で見たんです!
この化け物に 殺されそうになったんです!
だったら こいつが 犯人かもしれませんね
この町のどこかに潜んで
奇妙な格好をして 犯行を 繰り返してるのかもしれない
県警に鑑識を要請するので
まあ余裕があれば 現場を調べさせますよ
これは人間なんかじゃない 未知の生物です!
田中さん
これ以上 捜査を かき回さないでください
おい
さあ 淳一さん
ちょ… まだ話 終わってないですよ!
ね ほら一回さ…
淳一さん あとはもう警察に任せて
− なあ − え?
最近 天源森で銀色の物体を 見たって通報なかったか?
二人が襲われた場所の近くに あったそうなんだ
そんな通報 届いてません
じゃあ 過去に そういう話を聞いたことは?
だから ありませんって!
〔上空をいく ヘリコプターの音〕
誰も つぶやいてない…
(淳一)1962年8月…
60年前…
(淳一の声) 16日 福島県岩代郡奥宮町いわしろぐんおくみやちょうの
宮湧みやわき神社で行われた 盆踊りに参加していた
奥宮第二小学校四年の星岡浩ほしおかひろしくんと 稲葉信子いなばのぶこちゃんの二人が
深夜になっても帰らず 姿を消した
同級生の児玉勉こだまつとむくんの話だと
二人は近くの天源森へ向かったまま 行方不明になっている
警察では 二人が道に迷ったか
あるいは誘拐された疑いも あるとして捜査している
祐志くんと麻友ちゃんが!?
恐らく僕と一也を襲った生き物が 連れ去ったんだと思います
警察には お話ししたんですか?
はい でも 取り合ってもらえませんでした
ですよね…
でも 僕たちは 本当に見たんです
今まで見たこともない 奇妙な生き物を
このままほっといたら きっとまた犠牲者が出ます
その前に 手がかりをつかみたいんです!
でも 私に そんなこと言われても
今から60年前 やはり天源森で 二人の子供が失踪したそうです
そして その時 一緒に 天源森へ出向いた友人がいたんです
児玉勉さん?
もし可能なら その児玉さんに 当時の話を聞けないかと思いまして
私は何をすれば?
この学校の卒業生に
児玉勉さんという方がいないか 調べてもらえませんか?
ここが児玉さんの家です
卒業アルバムに載っていた実家に 今は一人で暮らしているそうです
(淳一)児玉さん この事件のこと 覚えてらっしゃいますか?
実は今 この町で同じような 不可解な事件が起こってるんです
もし 何か 参考になるようなことがあれば
ちょっと来なさい
どうぞ
すいません
これは?
60年前の事件の記録だ
もう二度と見ることはないと 思ってたんだけどね
これ 私たちが 森で見たものと一緒だ!
(児玉)それは UFOが着陸した痕跡だ
(絵里・淳一)え!?
あの日 私は
天源森で 二人と はぐれてしまってね
森の中を一人で さまよってたとき…
とんでもないものを 見てしまったんだ
浩くん?
信子ちゃん?
どこー?
〔悲鳴〕 ハッ!
〔おびえた息づかい〕
(浩)わあー!
(信子)助けてー!
それから その物体は 空に舞い上がっていった
じゃあ 一也くんたちが見た
銀色の物体って…
UFO!?
でも 当時の記事に そんなことは ひと言も
そんな ばかげた話 誰が信じると思う?
警察からは ふざけるなって怒られたよ
親からも そんな話 二度と口にするなと釘を刺された
頭がおかしくなったと 思われるのがオチだと言われてね
(淳一)これ… 僕が見た化け物と似てる
(児玉)間違いない
あいつらだ
あいつらが またやってきたんだ!
さっきの話を聞いてて 思ったんですけど
なぜやつらは 子供たちだけを 連れ去ったんでしょう?
え?
だって大人たちは 死体で見つかってるじゃないですか?
子供たちだけ連れ去って どうするつもりなのかなって
それは…
〔スマホの着信音〕
はい もしもし?
中村です 今度の犠牲者は キャンプ中の四人家族みたいです
(淳一)え!?
父親と母親は心臓を 何かで刺されて亡くなっています
子供たちは?
(中村)小学生の兄弟が二人 行方がわからないそうです
なあ 一也
事態が落ち着くまで 東京戻らないか?
え!?
ここにいたら またいつ襲われるかわからないし
一也に もしものことがあったら
お父さん後悔しても 後悔しきれないよ
だから この際…
ごまかすの やめてよ!
警察 お父さんの話 信じてくれなかったんでしょ?
ああ まるで 相手にされなかった
だったら信じてもらえる方法 考えようよ!
言いたいことは分かるけど
そんなに 簡単な話じゃないんだよ
そうやって また逃げるの?
僕に友達を見捨てて 逃げろって言うの?
あ いや…
いつだってそうだ
お父さんは僕の気持ちなんて 本気で考えちゃくれない!
あなたに言われて この町で起きてる事件 ネットで見た
宇宙人の仕業だなんて あなた気は確か?
まさか… これ…
この間の夜 ビニールハウスで襲われた
ただ その写真より ずっと大きかった
二体もいて…
(爽子)どういうこと?
一也は?
学校
あの子 東京に戻ることに 納得したの?
〔爽子のため息〕
昨日あいつに言われたよ
僕の気持ちなんか 本気で考えてくれないって
あいつ 友達を奪われたことが 悔しかったんだ
俺 そのことに 気づいていながら
逃げようとしてた
〔子供たちの声〕
(一也)先生
どうしたの?
(一也)昨日 お父さんに 話 聞いたんでしょ?
ちょっと…
その話 教頭先生たちにも してみてよ
そしたら 動いてもらえるかもしれない
でも 証拠もないのに そんな話しても…
モタモタしてたら また誰かやられるよ
ここは 警察に任せましょう きっと何とかしてくれるわよ
祐志くんと麻友ちゃん まだ見つからないのかな
早く犯人 捕まってほしいね
うん
なあ 俺らで 誘拐犯 捕まえに行かね?
(翔太)え どうやって?
この町で隠れられる所って 天源森だけだろ?
犯人は きっとあそこにいる
みんなで武器を持って 乗り込もうぜ
いいな それやってやるか!
祐志と麻友ちゃん 救いだそうぜ!
(児童たち)おー!
やめろよ!
僕もうやだ! これ以上 誰か死ぬのやだ!
お前 何ブチ切れてんの?
祐志くんたちをさらったのは 人間じゃない!
これ なんだよ…
(男子児童)え…
あった!
(爽子)化け物の粘液なんて集めて どうするつもり?
大学の生物学の先生に 分析してもらって
これが地球上のものでないってことが 科学的に証明できれば
警察だって 信じてくれるはずだ
〔スマホの着信音〕
はい もしもし
児玉です 君の話を聞いて 気になることがあってね
なんでしょう?
(児玉)君は大きさの違う宇宙人が 二体 襲ってきたって言ってたね?
はい
(児玉)これは あくまで私の仮説だが
もしかして やつらは
子供たちを捕食することで成長し 仲間を増やしてるんじゃないか?
調べてみたが 子供の身体からだには
骨を伸ばす働きがある 成長板というものがあるそうだ
大人だけが殺され 子供の姿が消えてるというのは
そういうことなんじゃ?
つまり やつらの狙いは 子供たちってことですか!?
(児玉)ああ
この靴が天源森に?
キノコ狩りに出向いた 地元の住人が発見したそうです
その住人は誰か怪しい人物を 見たりしていないか?
それが 少し離れた場所から 様子を窺うかがうような人影があったそうです
もしかしたら 犯人が潜伏してるんじゃ?
よし 森の中を 徹底的に調べるぞ!
はい!
それと 子供たちの安全を 守るために
容疑者を確保するまでは 学校で待機してもらう
駐在の諸君は 学校への通達と警護を頼む
(中村・小川おがわ)はい!
よし 行こう!
(捜査員たち)はい!
今の話 ホントか?
こいつが祐志と麻友を?
うん 〔扉が開く音〕
みんな何してるの?
席に着いて
(浩二)先生 祐志と麻友ちゃんを 連れ去ったやつがわかった!
(亜美) 早く警察に知らせて!
ちょっと待って! 何言ってんの みんな
一也が化け物を見たんだよ 証拠の写真だってあるんだ!
− だから それは… − 先生!
もう ごまかすのやめてよ!
みんなを守ってよ!
お願いです!
この写真を 警察の偉い方に 分析するよう頼んでください!
子供たちを襲っているのは 人間じゃない可能性があるんです!
子供たちの言うことを 真に受けてどうするんだね
でも 教頭!
それより さっき警察から通達があった
犯人が逮捕されるまで 子供たちは学校で待機するようにと
(雄一郎ゆういちろう)爽子 そっちは大丈夫なのか
うん ちょっと いろいろあって
とにかく 2、3日こっちにいるから
大丈夫 うちのスタッフは みんな優秀だから
信じて お父さん
〔起動音〕
〔衝撃音〕
〔送電線がショートする音〕
〔放電・爆発する音〕
(中村)なんだ? (小川)いえ…
〔苦しげな息づかい〕
ウッ ハアッ ハア…
ハアッ ハアッ ハア…
〔絶命する息〕
ねえ 電気が切れた 電話もつながらない…
ああ…
一也は?
まだ学校だと思う 帰宅許可出てないし
(爽子)どうするの?
一也たちが危ない!
あいつらが成長して とんでもない化け物になってるかも!
− 俺が助けに行ってくる! − うん
(絵里)持ってきました!
(重田しげた) ありがとうございます
(教頭)どうも
停電は いつ復旧するんだ
(田沼)いやーそれが 電話も全然つながらなくて
はあ?
〔電話機のフックを押す音〕
ったく どうなってんだよ
だいたい警察は何やってんだ
− あー 田沼先生 − はーい
表の警官に ちょっと 状況 聞いてきてもらえます? 直接
あー そうですね 分かりました
(絵里)田沼先生 (田沼)ありがとうございます
わああああ!
〔突き刺す音〕
〔吠え声〕
え?
何… 何! 何! 何! 何!
怖い! 怖い!
大変だ 大変だー!!
− 教頭! た 大変です! − なんだなんだ
見てください! 校庭!
(田沼)ほら! (教頭)うわっ!
化け物…!?
子供たちが危険です 早く避難させてください!
先生方 急いで子供たちを 安全な場所へ!
(重田)はい!
警察 警察…
なんで…!?
(女子児童)先生遅いね
(浩二)何してんだろ
(男子児童)すぐ来るよ
みんな! 急いで逃げるわよ!
(翔太)先生 どうしたの?
やつらが来たの 一也くんの言ってた化け物が!
(一同)ええ!
(絵里)みんな上着 取って!
(重田) 柳田やなぎだ先生! 避難して!
急いで 急いで!
〔児童たちの悲鳴〕
(絵里) こっちよ! 気をつけて!
〔児童たちの焦る声〕
(絵里)こっちよ!
みんな離れないで!
急いで!
浩二くん!
いいから先に行け!
でも…
こっちだ バーカ!
一也くん!
一也くん! 早く!
(教頭)早く早く! みんな急いで!
急げ! 中入って! ほら入って!
急いで!
先生も早く! 早く!
ここの鍵を閉めて! 私は あっちを見てくる
え?
〔刺さる音〕 あっ!
教頭先生!
(絵里) 早く地下に! 急いで!
早く!
(重田)みんな ほら こっち! こっち!
早く! みんな早く! 急いで! 早く!
(田沼)いけいけいけ! 奥 奥 奥!
奥まで行って!
− おい 重しげ! − あ はい!
全員いるわね?
先生! 浩二くんが外に…
えっ!?
浩二くん…
浩二くん!
− 浩二くん! − おい よせ!
君がいなくなったら 誰がこの子たち守るんだよ!
(田沼) 押さえろ! 押さえろ!
〔衝撃音〕
〔悲鳴〕
一也くん!?
待ちなさい! どこ行くの!
一也くん!
一也くん!
浩二くんどこ?
返事して浩二くん!
浩二くん!
うわああ!
浩二くん!
〔足音〕
〔児童の泣き声〕
〔足音〕
(重田)大丈夫
(絵里)大丈夫 大丈夫
〔たたく音〕
〔悲鳴と泣き声〕
シー! シー!
静かに 静かに!
〔衝撃音〕
〔衝撃音と悲鳴〕
(一也)浩二くん!
浩二くん!
浩二くーん!
浩二くん!
浩二くん!
浩二くん!
(淳一)一也!
一也!
一也!
一也!
一也!
一也!
浩二くん!
うっ! うっ!
〔殴りつづける音〕
− 一也! − お父さん!
うっ…
おりゃー!
〔倒れる音〕
うっ!
それっ!
〔倒れる音〕
一也 逃げるぞ!
浩二くん…
− 早く! 早く! − でも!
(一也)離してよ!
(淳一)いいから来い!
お父さん!
キャー!
絵里先生 大丈夫ですか!
あああ…
〔児童たちの悲鳴〕
子供たちに手を出すな!
うりゃ!
− 浩二くんを助けないと! − もう無理だ!
どうして諦めるの!
無理だって言ったら 無理なんだ!
お父さんは どうして 僕の気持ち分かってくれないの!
一也 自分だけ助かったのが つらかったんだろ?
もうこれ以上 友達を 失いたくなかったんだろ?
わかるよ
でもな お父さんは もう二度と お前を失いたくないんだ
〔不気味な呼吸音〕
まだ生きてる!?
いくぞ
お父さんこっち!
(絵里)うううっ… うっ!
〔突き破る音〕 キャーッ!
(一也)ストップ!
お父さん ジャンプ!
は?
早く!
〔落下音〕
〔吠え声〕
やった!
うわっ! うわあああ!
一也っ!
(二人)わああああ!
〔吠え狂う声〕
〔倒れる音〕
〔切り裂く音〕
一也?
しっかりしろ! 一也! 一也!
お父さん…
僕… 助かったの?
助かったよ
〔淳一の泣き声〕
〔警告音〕
〔苦しげな声〕
え…
どうして?
お父さん これ どうやって?
オレンジが感染した 細菌が入ってる
つまり やつらの狙いは 子供たちってことですか?
ああ それと もう一つ
やつらは なぜ 途中で逃げ去ったんだ?
木の枝をかき分けてたら 急に悲鳴のようなものをあげて…
〔吠え狂う声〕
あ!
もしかしてコレなのかも
(淳一の声) 60年前 恐らく こいつらは
地球環境に適合する抗体を作るために 人間を拉致して調べた
でも まだ植物の細菌までは 克服できていなかったんだろう
〔離陸する音〕
お父さん あいつら逃げたの?
だといいけどな…
先生
ん?
これ 祐志くんの お父さんとお母さんに渡して
わかった
先生が責任を持って 渡しておく
うん
一也 東京に 帰っちゃうのか?
一也は ずっとここにいるよ
お父さん いいの?
うん
よし! 一也 行こうぜ!
うん!
爽子 仕事辞めて こっちに来ないか?
(爽子)え?
俺やっぱり 家族三人で暮らしたい
〔吹き出す〕
ん 何?
私も同じこと言おうと思った
仕事は信頼できる部下たちに 任せようと思ってる
ホントに!?
畑のこと いろいろ覚えなきゃ
デスクワークとは わけが違うぞ
分かってる
(田沼)試合を開始しまーす
〔ホイッスル〕
一也いけ!
うおおおおおーっ!
いけいけいけ! おお いいぞ いいぞ いいぞ!
いけいけいけ! おー!
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