All language subtitles for 2016-直美與加奈子-EP03-J

(直美)旦那が生きてるかぎり 暴力に おびえ続けるってこと？

(朱美)そんな男に 生きている 価値は ないのことですね｡

(直美)いっそ ２人で 殺そうか？ あんたの旦那｡

(加奈子)もう 暴力は…｡ やめてください｡

(達郎)もうしない｡ 約束する｡

(加奈子)やめて…｡ 開けて！ お願い｡

(朱美)決断 遅れたら 大事なもの 守れないのことよ｡

(朱美)捕まらない方法 考えなさい｡

(順子)通帳と印鑑 預けるから 振り込んでおいてくれない？

(直美)ｲﾝﾀｰﾈｯﾄ ﾊﾞﾝｷﾝｸﾞを 始められては いかがでしょうか？

(朱美)実は 一人 パスポート 持っていない 従業員が

いたのことですね｡ 林さん｡ 密入国者でした｡

(直美)私 見つけたよ｡

あんたの旦那 殺しても 捕まらない方法｡

(加奈子)直美｡ 池袋に 何があるの？

ねえ？ どこ 行くのよ？

(直美)いいから ついてきて｡

(直美)あそこ｡

(加奈子)あそこに 何があるの？

(直美)加奈子｡ 見て｡ あの人｡

♬～

(加奈子)えっ？ (直美)どう？ 似てる？

(直美)林さん｡

(林)あなたは…｡

(直美)李社長のとこで 会いましたよね？

あなたに お話があります｡ そこの喫茶店で 待ってます｡

(直美)必ず 来てください｡

(加奈子)あの人 誰なの？ あの人は 林 竜輝さん｡

私の顧客の会社で 働いてたんだけど

パスポートが ないことが バレて 首になったの｡

(加奈子)パスポート 持ってない？ だからこそ やれる計画なの｡

加奈子｡ よく 聞いて｡

まず 私たちで 達郎さんを 殺す｡

そして 誰にも 見つからない場所に

死体を 埋める｡

その後 林さんに 達郎さんの パスポートを 持たせて

服部 達郎として 中国へ 行かせる｡

(加奈子)中国？

林さんを 達郎さんの 替え玉にするの｡

加奈子が 達郎さんの ﾊﾟｽﾎﾟｰﾄが なくなってると 言えば

出国記録から 達郎さんが 中国に行ったことが 証明される｡

死体さえ 見つからなければ

単なる 失踪事件として 処理される｡

ちょっと待って｡ 達郎さんは 何のために 中国に行くの？

失踪する理由が ないよ｡

顧客の預金を 横領したから｡ どういうこと？

私が 達郎さんに紹介した 顧客の預金を

加奈子の口座に 振り込む｡

そして 達郎さんに 成り済ました 林さんに

ＡＴＭで 加奈子の口座から

振り込んだ お金を 引き出させる｡

その姿が 防犯カメラに 映れば

達郎さんが 顧客の預金を 横領して

中国へ 逃げたんだと 銀行は 判断する｡

でも お客さんの お金って…｡

そんな簡単に いくわけ ないじゃない｡

私の お客さまに 認知症の方が いるの｡

その人は 一人暮らしで 完全に 外商に 頼りきりで

私に 口座管理を 任せたいとまで 言ってくれてる｡

ネットバンキングを 使えば 私の手で

その お客さまの 口座から 加奈子の 口座に

振り込むことが できるの｡

ここで 問題になるのが 金額だね｡

額が 大き過ぎると

銀行は 警察に 届け出る可能性が 高くなる｡

でも 1,000万ぐらいだったら 銀行は 信用問題を懸念して

被害額を 補填し 警察には 届けない｡

これで 旦那を殺しても 私たちが 捕まることはない｡

水…｡

水が おいしいって思える 普通の生活を 取り戻せるの｡

♬～

≪(ドアベルの音)

♬～

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林さん｡ 私の友人の 白井 加奈子さんです｡

あのう…｡ 初めまして｡

(林)初めまして｡

私たちは あなたに 仕事を 頼みたいと 思っています｡

(林)はあ｡

それは あなたが ある日本人の パスポートを 使って

中国に 帰るという それだけの仕事です｡

ただ 中国に 帰ったら そのパスポートは 燃やして

二度と 使わないでください｡ 報酬は 200万円です｡

たくさん お金 どうして 私 くれますか？

法律に 反することを お願いするからです｡

あなたは 他人に 成り済まして

その人の パスポートを使って 日本を 出国します｡

パスポート 偽物ですか？ いいえ｡ 本物です｡

加奈子｡ 頼んでた パスポートのコピー 出して｡

うん｡

誰ですか？ それは 言えません｡

そういう秘密も 含めて 200万なんです｡

(林)この人 生きてますか？

生きてますよ｡

林さん｡ あなた 密入国者よね？

不法滞在｡ いつ 見つかるか 分からないでしょ？

中国には 病気の お母さんが いるんでしょ？

早く 手術を 受けさせたいんじゃないの？

200万 あれば 治せるじゃない｡

このまま 日本で働いて それだけの額を 稼ぐには

２～３年 かかるでしょう｡ 断る理由が ある？

ねえ｡ 直美｡

引き受けて｡

どうして こんなこと しますか？

林さんが 引き受けてくれたら 彼女が 救われるの｡

あなたが？

♬～

しばらく 時間を あげます｡

でも 周りには 相談しないで 一人で 考えて｡

♬～

≪(手塚)小田さん｡ 李社長に

美術品 買わしたって ホントっすか？

催事部が 喜んで 連絡してきましたよ｡

あの ケチな 女社長に よく 買わせましたよね｡

☎

はい｡ ☎(朱美)小田さん｡

(朱美)日本人の 得意先への 贈答品

選んでほしいのことですね｡ それと 日本人向けに 輸入した

中華食材の 味見 してほしいのことですね｡

今日 熱があって ちょっと しんどいんです｡

(朱美)ちょうど よかった｡ 風邪に よく 効く 漢方薬

あるのことですね｡ ☎いや｡ 風邪じゃないです｡

ちょっと 色々あって 疲れというか ストレスです｡

(朱美)なら ぜひ 来なさい｡ 私に会えば ストレス 吹っ飛ぶね｡

(朱美)はい｡ どうぞ｡ ありがとうございます｡

(朱美)小田さん｡ 林さんと どうなりましたか？

連絡して 会ったでしょ？ もう 告ったのことですか？

ちょっと 仕事で 頼みたいことが あっただけです｡

(朱美)林さん｡ あなたと 結婚したら ラッキーね｡

パスポートも 持てるね｡ 私 仲人しますね｡

だから そんなんじゃ ないですって｡

そもそも 私は 一生 結婚なんて できないと思います｡

あっ｡ 付き合っても

一緒に 暮らしたりするのは どうしても 怖いんです｡

(朱美)怖い？

前に 話したみたいに うちの父親 ＤＶの人だったんで｡

(朱美)怖がって 経験しないの よくないね｡

社長は 何かに 迷ったり

ちゅうちょしたり すること ありますか？

(朱美)当然｡ 生きるのは 選択の 繰り返しね｡

迷うこと いっぱい あるね｡ そういうとき

どう 決断するんですか？

(朱美)自分の得 なるか どうかです｡

自分の得 なるなら やる｡ 損 なるなら やらない｡

社長らしいですね｡ (朱美)フフフ｡

☎ すいません｡

☎

☎ 会社からです｡ すいません｡

はい｡ 小田です｡

☎(林)私｡ 林です｡ 分かってます｡

この前のこと…｡

(従業員)800円になります｡

☎

はい｡ ☎例の件

林さんから 連絡あった｡

引き受けてくれるって｡

☎加奈子？ うん？

☎どうかした？

けさ 達郎さんに お味噌汁 掛けられた｡

☎味が薄いって 急に 怒りだして｡

加奈子は 大丈夫？ やけど しなかった？

今 薬局で 薬 買ったところ｡

やっぱり やるしかないね｡

☎でも 今のままだと 林さんを

身代わりには できないよ｡ えっ？

この前 会ったとき 気が付いたんだけど｡

林さんは 左利き｡ 達郎さんは 右利きなの｡

☎もし ＡＴＭや 空港の 防犯カメラにでも 映ったら

すぐに 偽者だって バレちゃう｡

☎それに パスポートの サインだって

まねして 書かなきゃ いけないでしょ？

よく 見てたね｡ じゃあ 加奈子が 林さんに 練習させて｡

☎私から 林さんには 連絡しておく｡

☎(通話の切れる音)

♬～

(達郎)小田さん｡

すみません｡ わざわざ 来ていただいて｡

(達郎)いえ｡ とんでもないです｡ また 外商の お客さんを

紹介してもらえるなんて うれしいかぎりです｡

斎藤さまですが 今後は ネットで お買い物 されたりするので

新規口座 開設後に

ネットバンキングの 手続きも お願いします｡

(達郎)はい｡ あっ｡ ちなみに 斎藤さま｡

ご主人に 頼りっきりの 生活だったせいか

ちょっと 浮世離れしたとこが ありますけど

気になさらないでください｡ (達郎)はい｡

(順子)何だか うれしいわ｡

こうやって 若い人が うちに 来てくれると｡

(達郎)斎藤さま｡ ことぶき銀行に 口座を 開設いただきましたら

今後は いかなる ご用件も 私が 対応させていただきます｡

(順子)小田さんが 薦める人なら 安心ね｡

あっ｡ そうそう｡ 小田さんに 頼みたいことが あったの｡

(順子)近所の お米屋さんが コンビニになって

もう 配達してもらえないって いうのよ｡

もう ホントに 困っちゃって｡ 大丈夫ですよ｡

この前 お話ししたとおり インターネットを 始めれば

ご自宅に いながらも お米の 購入を することが できます｡

それに ﾈｯﾄﾊﾞﾝｷﾝｸﾞを 開設すれば 振り込みも できますから｡

(順子)分からないのよ｡ 機械のことは｡

では 私が 全て セッティングいたします｡

(順子)じゃあ 手続きは 全部 小田さん お願いね｡

分かりました｡

(達郎)今日中に 口座 開設の 手続きを 済ませますので

その後 １週間で 暗証カードが できます｡

それ以降は ネット振り込みも 可能ですので｡

(順子)はいはい｡ 分かりました｡

やだ｡ 忘れるとこだったわ｡

小田さんに 頼みたいことが あったの｡

はい｡

(順子)近所の お米屋さんが コンビニになって

もう 配達してもらえないって いうのよ｡

小田さん｡ どうしたら いいの？

大丈夫ですよ｡ 私が 全て 手配いたします｡

振り込みのときも 私が 操作します｡

まずは ことぶき銀行に 口座 開設を しましょう｡

印鑑を ご用意いただけますか？

(順子)今 取ってくるわ｡

斎藤さま｡ ずいぶん お米のことが 心配だったみたいですね｡

斎藤さまって お幾つですか？ 76歳だと 聞いてますが｡

何か？ ああ｡ いえ｡

80歳を過ぎると 投信を 買ってもらったり するときに

家族の同意書が 必要になってくるんです｡

でも よかった｡

もし 買ってもらえるなら 手間が 省けます｡

斎藤さん｡ 小田さんの 言うことなら

聞いてくれそうだし 一度 頼んでくれませんか？

じゃあ 折を見て｡ (達郎)お願いします｡

☎(ｱﾅｳﾝｽ)目的地に 到着しました｡

(林)白井さん｡

(林)どうぞ｡ お邪魔します｡

ああ｡ サイン 練習するですね｡ はい｡

服部 達郎という名前です｡

この人 日本にいる｡ あなた 困る｡

えっ？ 小田さん｡ 言ってました｡

私 やる｡ あなた 救われる｡

私 練習します｡

♬～

大丈夫｡ 練習する｡

林さん｡ どうだった？

全然 駄目だったの｡ 右手で ペンを持つのも 大変｡

あしたから 練習に 付き合おうと 思って｡

あっ｡ じゃあ ついでに 旦那の服 着せてみてよ｡

この計画は 林さんが 偽者だって バレた瞬間に 終わり｡

うまく エリート銀行マンに 仕立て上げて｡

次は 死体を どこに 埋めるかか｡

旦那｡ 車 持ってたよね？ うん｡

加奈子｡ 運転すんの？ ううん｡

ぶつけでもしたら 大変だし｡

じゃあ 私と 一緒｡ ペーパードライバーか｡

でも 死体を埋めるって なったら 近場じゃ 駄目だよね｡

あっ｡ 埋める場所って 丹沢とか どうかな？

土地勘が ないと いい場所

なかなか 簡単に 見つけられないだろうから｡

丹沢だったら ほら｡ 学生時代に サークルで よく 行ったでしょ｡

加奈子｡ 金曜の予定は？ 何にも ないけど｡

じゃあ 私 有休 取るから 丹沢 行こう｡

運転の練習も しなきゃ｡ それに

穴も 事前に 掘っといた方が いいと思うんだよね｡

林さんの帰国のことも あるから その日に掘るのは 無理でしょ｡

でも 達郎さんの車は 使えない｡ 細かい人だから

シートを 少し 動かしただけでも すぐに バレちゃう｡

レンタカーは 足がつくかもね｡ 車は 私が 何とかする｡

穴を掘るとかなら 軍手とか スコップも いるのかな？

汗も かくだろうから 着替えも｡

加奈子｡ 必要なもの 用意しといて｡

ねえ？ 達郎さんを ホントに 殺すなんて できるのかな？

ホントは 殺したいわけじゃない｡

でも 旦那が 生きてるかぎり

加奈子は 一生 おびえ続けることになる｡

一番 いいのは 本人が 病死か 自殺でも してくれること｡

でも それが かなわないから 仕方なく やる｡

私 まだ 覚悟 決めたわけじゃない｡

ずっと 迷ってる｡ 私だって

毎日 頭の中 ぐるぐる 考えが 変わってるよ｡ でも…｡

加奈子の身に もし 何か あったら

私 一生 後悔する｡

だから 私は やるよ｡

♬～

(朱美)うちの車？ ええ｡ 金曜日

もし 使わないようでしたら 貸していただきたいんです｡

(中国語の会話)

(朱美)金曜日 使わない｡ いいよ｡

ありがとうございます｡ あっ｡ もし ぶつけたら

ちゃんと 修理して 戻しますから｡ (朱美)いいのことよ｡

どうせ ぼろだから｡ もう あちこち へこんでる｡

日本人｡ 車に 神経質過ぎる｡ みんなして ぴかぴかに磨いて｡

車 磨く前に 自分 磨くべきね｡

林さんと ドライブね？ いや｡ 違います｡

(朱美)いいとこ 教える｡ とても ラブホに見えない ラブホ

あるのことですね｡ 回数券 使えて お得ね｡

だから 違いますって｡ 友人と ドライブです｡

(朱美)友人とは ＤＶの人？ はい｡

(朱美)さっさと 殺してしまいなさい｡

いやいや｡ そんなの やっぱり 無理ですよ｡

今は 違う解決策を 取ろうと 思ってます｡

とにかく その友人の 気晴らしのために ドライブをって｡

じゃあ また お借りするときに 伺います｡

≪(手塚)丹沢 行くんすか？

私じゃないよ｡ お客さまに

｢どっか いい観光先が ないか？｣って 聞かれて｡

(手塚)へえー｡ ≪(ドアの開く音)

(手塚)あっ｡ いらっしゃいましたよ｡

(陽子)先日 提案させていただいた マンションの設計図と

共有スペースの ギャラリー展開案 および 調度品のリストに関して

ご意見を頂ければと 思います｡

(浅井)超 高級マンションとはいえ 投資額が 高額ではありませんか？

(陽子)最初が 勝負なんです｡

利便性 サービスだけでなく デザインにも こだわり

富裕層が 憧れる 唯一無二の マンションを つくりあげます｡

(陽子)そのために 御社の顧客で 画家の 黛さまに

マンション開発の 監修を

引き受けてもらえないかと 考えています｡

黛さまは 建築にも 造詣が深い｡

口説き落としてみる 価値は あると思います｡

(一同)黛さまか｡ ブランド価値が 上がりますね｡

(陽子)小田さん｡ 何か ありますか？

あっ｡ このマンションの デザインだと

ロビーに 自然光を 取り入れるんですよね？

それで あれば 調度品は 陶器ではなくて

ガラスの方が いいんでは ないでしょうか？

夜は 暖かい色の照明を 当てれば

ガラスの 光と影を 楽しんでもらえると 思います｡

繊細なカットが 有名で 宝石を 思わせる輝きを…｡

☎(メールの着信音)

｢車は 調達できたよ｡ 丹沢の候補地は

丹南林道｡ 谷峨渓谷｡ 神尾田峠｣

(林)白井さん？

ごめんなさい｡ どうですか？

いっぱい 練習したんですね？ はい｡

これなら 何とか なります｡

それと…｡

今日は 洋服を持ってきたので 着てもらえませんか？

(内藤)小田君｡ 君には 服部さんと 中心になって

プロジェクトを 進めてもらうから｡

つい最近 担当になってもらった 代々木の 斎藤さま｡

次から 再び 私が担当する｡

(順子)《手続きは 全部 小田さん｡ お願いね》

いえ｡ 大丈夫です｡

(内藤)いや｡ 外商の仕事を やりながらだ｡

今の担当の数だと 無理だろ｡ (陽子)小田さんに

やってもらいたいことが たくさん あるの｡

もし きつくなったら お願いします｡

少なくとも 斎藤さまとは

親しくさせていただくように なったばかりですから｡

♬～

♬～

ここ 寒いです｡ それ 着てください｡

ありがとうございます｡ 暖かいです｡

ごめんください｡ えっ？

白井さん｡ ｢ありがとう｣ だから 私 ｢ごめんください｣

あっ｡ そういうときは ｢どういたしまして｣です｡

あっ｡ どういたしまして｡ はい｡

どういたしまして｡ はい｡

丈が 少し 長いですね｡

次 髪ですか？ あっ｡ はい｡

私が 整えますね｡ あっ｡

すいません｡

あっ｡ あれは？

あれは やりたいことです｡

中国 帰ると やりたいこと いっぱい あります｡

あの 丸が ついてるのは？ (中国語)

〈紹興酒は中国の古代酒、黄酒のこと、あの三国志の関羽が華雄を討ち取ったときに温めて飲んだのはこのお酒なんです。焼酒と違って甘くて強いがその特徴。機会があったら、ぜひ試してみてくださいね、マジうまいから。〉

紹興酒 飲みたい｡ 紹興酒？

日本 来るの前 紹興酒 造るの 仕事してました｡

私の村 造るの とても おいしい｡

中国 帰って お母さん 病気 治ったら

また 紹興酒 造ります｡

それ 飲みながら おいしいの 料理 食べる｡

私 一番 やりたいことです｡

そういうの とても いいと思います｡

私も 普通の生活が したいから｡

普通は 特別｡ えっ？

普通 手に入れる｡ 難しいですね｡

ホント｡

白井さん？ 服部 達郎 いるから 普通の生活 できないですか？

私 ちゃんと やります｡ だから あなたも 普通 手に入る｡

お待たせ｡

びっくりした｡ 普通の車だと 思ってたから｡

ぜいたく 言わないの｡ 他に 借りる当て ないんだから｡

乗ってて｡ うん｡ ありがとう｡

へえー｡ 加奈子｡ 機械 使えるじゃん｡

学生時代は テレビの配線も 分かんなくて

男子に 任せてたのに｡

それって 大学んときの話でしょ｡ あれから 何年 たってんのよ？

それより 運転 大丈夫？ 平気 平気｡

ここまで 来れたんだから 丹沢までも 行ける｡ よし｡

うわ｡ 嘘ー｡

直美｡ うん？

これって 高速道路だよね？ えっ？

ちょっと｡ ねえ？ 話し掛けないで｡ おお!?

♬～

ああー｡ 風が 気持ちいい｡

私 落ち着いたら 車 買おうかな？

どこでも 好きな場所に 行けるって

お金で買える 自由だよね｡

私も 運転 練習するから 一緒に 旅行したいな｡

あっ｡ 道の駅 あるよ｡

(女性)けさ 取れたてで 新鮮だよ｡ 食べてみて｡

はい どうぞ｡ ありがとうございます｡

(女性)どうよ？ うん｡ おいしい｡

(女性)はい｡ いや｡

私 この びろびろ 苦手なんです｡

(女性)何 言ってんの｡ びろびろが いいんじゃない｡

美肌効果が あんのよ｡ ほいほい｡

(女性)どうよ？

駄目？ (女性)奇麗になった 奇麗になった｡

(女性)ありがとね｡ (２人)ありがとうございます｡

あっ｡ 日帰り温泉 美肌の湯だって｡

入ってみたいな｡ っていうか

私たち 何しに来たんだっけ？ ホントだね｡

東京から ２時間か｡ 普通に 運転 うまい人だったら

１時間半ぐらいで 余裕で 来られてたんだろうね｡

ねえ？ お弁当 作ってきたの｡

嘘｡ すごい｡ ピクニックみたい｡

いただきます｡

んっ｡ おいしい｡ よかった｡

さすが 料理学校 通ってるだけ あるね｡

でも 丹沢なんて 久しぶりだね｡ うん｡

《私は 絶対 キュレーターになる》

《直美なら なれる》

《加奈子の夢は？》 《やだよ｡ 笑うから》

《笑わないよ》 《私は 普通でいい》

《うちの両親みたいに 普通の家族 つくって

それを守っていく｡ そういうのが 夢なの》

《加奈子っぽい》 《ちょっと 何か 笑ってない？》

《あれ？ 何の音？》

《うん？》

《ちょっと 行ってみる？》 《うん》

《聞こえない？》 《えっ？ どこ？ そっち？》

《大丈夫？》 《うん》

≪(水音)

♬～

《おいしい》 《おいしい｡ 冷たいね》

あのときの私たちが 今の私たち 見たら

どう 思うだろうね？

せっかくだから

あのときの水 捜しに行こうか？ うん｡

私たちも ここで やった｡ やったね｡

どっちだっけ？ えーとね｡ こっちじゃない？

あっちか｡ うん｡

こんな きつかったっけ？ だって 若かったもん｡

あっ｡ あそこだ｡ ほら｡ ここ ここ｡

あのときのまんまだ｡

♬～

どう？ 加奈子｡

やっぱり 苦く 感じる｡

探そう｡ 旦那を埋める場所｡

♬～

平らな場所がないと きついよね？ 車 入れないし｡

それに 土が硬かったら 私たちの力だけで

穴を掘るのは 難しいと思う｡

あっ｡ あそこ｡

行ってみる？ うん｡

あっ｡ うん？

ここも 駄目だね｡ うん｡

平たんな場所で 車が入れて 穴が掘れそうで

人けのない場所って なかなか ないね｡

考えが 甘かったかもしれない｡ 現実は 厳しいね｡

丹沢は 駄目だ｡ 場所 変えよう｡

富士の樹海の方が いいかもしれない｡

ねえ？ 東京に いったん 戻って 出直す？

これから 行こう｡

直美に ずっと 運転させてて 悪いから｡

もう 限界でしょ？ 大丈夫｡ 行こう｡

♬～

[ｽﾋﾟｰｶ]山梨県に 入りました｡

♬～

あれ？ うん？

ねえ？ この辺 どうかな？

わりと 平たんだよ｡ うん｡

はい｡ あっ｡ 加奈子｡ 服 取ってきて｡

あっ｡ ありがと｡ はい｡

あっ｡ さくさく 掘れる｡

これ いけるかも？

林さん｡ 言ってた｡

中国に戻れるって 思ったら

やりたいことが いっぱい 出てきたって｡

私もね もし 達郎さんが いなくなったらって 考え始めたら

何か やりたいことが あふれてきたの｡

達郎さん 許してくれなかったけど また 働いてみたいんだ｡

髪形も 洋服も 達郎さんに 決められてたけど

ホントは 自分の 好きな格好が してみたい｡

達郎さんが決めた ルールじゃなくて…｡

(達郎)《何だよ これ！ 食えよ！》

(達郎)《お前は 分からないのか》 《達郎さん！》

(達郎)《連日 残業して…》 《開けて！》

(達郎)《早く 飯 作って》

♬～

自分らしく 生きたい｡

ホントは もっと ぐっすり 眠りたい｡

苦くない水 飲みたいよ｡

もう 殴られたくない｡ 直美！

普通の生活 取り戻したい！

♬～

加奈子｡

取り戻すよ 必ず｡

♬～

掘れた 掘れた｡ これ すごくない？

ホントに すごい｡

この場所 偶然 見つけたことが すごいよ｡

♬～

うわー｡

何 これ？ こんなの 初めて｡

私も｡ こんなに近くで 全体 見たの 初めて｡

ホント 奇麗｡ 一生 忘れない｡ この景色｡

私たち 何かに 導かれてるね｡

直美｡ うん？

私 やるよ｡

うん｡

♬～

あなたたち 何ですか？

(刑事)従業員 全員 パスポートの提示 お願いします｡

(朱美)うちには 不法滞在者 いないのことですね｡

(刑事)この辺り 一帯を 調べておりますので

ご協力 お願いします｡

♬～