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（ 保 ）「 外科医は 冷静な判断と
迅速な止血を行う必要がある 」

「 ちなみに 筆者が初めて
それを経験したのは➡

研修医２年目の春 」

「 これは 後に
帝釈の奇跡と呼ばれる… 」

って
全然 本題に入らないじゃん！

⚟ （ 大黒 ） おはよう 。
あっ おはようございます 。

（ 梵天 ） おはようございます 。
（ 大黒 ） 朝から勉強か 。 偉いな 。

あしたから 外科で研修なんで➡

金剛先生に読んどけって
買わされたんです 。

（ 梵天 ） 救急科の研修は
もう終わりなんですね 。

はい 。
（ 大黒 ） おう 。

（ 保 ・ 梵天 ） おはようございます 。
（ 大黒 ） 杏野➡

薬師寺とも お別れだぞ 。
（ 朱羅 ） ふーん 。

全然
さみしがってくれてないじゃん 。

（ 大黒 ） あっ 杏野
俺がスーパーで買ったプリン！

返せよ！

自分で… 。

何だ？ あれ 。

えっ ！？

来る 。

（ 吉祥寺 ） ３でいきます 。
（ 一同 ） １ ２ ３！

ここ どこだ ！？ ➡

お前ら 誰だ ！？

不穏状態です！

（ 大黒 ） 落ち着いてください！
ここは病院です！

（ 大木 ） 触るな！
（ 沙苗 ） 点滴とりますからね 。

（ 大木 ） 帰らせろ！
（ 沙苗の悲鳴 ）

（ 大木の叫び声 ）

（ 沙苗 ） 大丈夫ですか？

（ 大木の叫び声 ）
（ 沙苗の悲鳴 ）

（ 大黒 ） 杏野！
（ 沙苗 ） 杏野先生 大丈夫ですか？

早くラインとって
鎮静剤 投与して 。

先生 でも 血が… 。

今は この人の治療が先 。 急いで 。
はい！

（ 大黒 ） 薬師寺 ライン準備 。
はい！

（ 大黒 ） 鎮静剤 取ってきます 。
（ 梵天 ） はい 。

まっ 打撲による腫脹はあるが
他に目立った所見はない 。

だから 大したことないって
言ったでしょ 。

とはいえ 安静にしてろ 。

人が足りないのに
これぐらいのケガで休んでたら➡

現場が回らない 。
確かに 。 助かるよ 。

ってか せめて 食べきってくれ 。

（ 歩夢 ） 今日で
救急科の当直も終わりだね 。

うん 救急科には阿修羅がすむ
って聞いてたけど➡

まさか あんなにヤバい人だとは
思わなかったんだよな 。

杏野先生！

来る 。

始めるよ 。 メス 。
（ 歩夢 ） はい 。

♬～

杏野先生！

位置が ずれてます 。

どうしたんですか？

ちょっと手元が狂っただけ 。

♬～

開創器 。
（ 歩夢 ） はい 。

出血がすごい 。 動脈出血です 。

吸引して 。
はい 。

タオル 。
（ 歩夢 ） はい 。

出血点が見つかりません 。

動脈の走行に沿って
出血点を探す 。

あった 。
Ｚ縫合で結紮止血する 。

３ － ０ブラックシルク 。
（ 歩夢 ） はい 。

♬～

３カ月間
大変 お世話になりました 。

（ 加代子 ） 救急科に戻ってくるの
待ってるわよ 。

でも 僕 皮膚科になって
親の後を継がなきゃいけないので 。

（ 歩夢 ） 大変です！
ＩＣＵの患者さんが急変しました 。

（ 心電計の警告音 ）

（ 沙苗 ）
突然 血圧が ７０ 台に下がりました 。

ドレーンから大量に出血してます 。
（ 大黒 ） 術後再出血の可能性が高い 。

（ 大黒 ） 杏野 すぐにオペするぞ 。

（ 大黒 ） 杏野 どうした？

私にはオペできない 。
（ 大黒 ） えっ？

目が… よく見えない 。

（ 心電計の警告音 ）
（ 沙苗 ） 血圧 ５０ 台です 。

（ 大黒 ） 時間がない 。 俺が執刀する 。
すぐに準備してくれ 。

（ 保たち ） はい 。

どこから 出血してたの？

昨日の夜 杏野が
結紮縫合した箇所から➡

出血していた 。

術後出血は たとえ
術中の操作に問題がなくとも➡

合併症として起きる可能性はある 。

必ずしも
杏野の過失とは言えない 。

でも 今までの私じゃ
こんなことなかった 。

申し訳ありません 。

目の方は？

昨日の診察じゃ
問題なかったのにな 。

とにかく もう一度 検査しよう 。

（ 大黒 ）
右目の眼窩底と視神経管にも➡

骨折がありそうだな 。 ➡

そのせいで 下を向いたときに
二重に見える複視と➡

視神経の圧迫で
視力も落ちている 。

最初のＣＴでは 腫脹に隠れて➡

骨折線が
はっきりしなかったんですね 。

（ 大黒 ） この症状は
形成外科の領域だと思いますが➡

六道先生の見立ては
どうでしょう？

このまま 視神経が さらに腫れて
圧迫が進めば➡

視力低下は どんどん進行してく 。

治すには
視神経管開放術をするしかない 。

ただ この手術は➡

できるだけ早く
数日以内に行わないと➡

手術をしても 回復する見込みは
かなり低くなる 。

（ 梵天 ） ナオミ先生 一刻も早く
手術の準備をしましょう 。

このオペは
難易度が高い上に 症例も少ない 。

術式の詳細も分からなくて… 。

私には執刀できない 。
（ 梵天 ） えっ… 。

（ ナオミ ）
執刀できる医者は限られてる 。

すぐに見つかるかどうか
正直 分からないわ 。

♬～

（ 金剛 ） アシュラ先生
お変わりないですか？

何度目だ 無視するアシュラ
構わずＧＯ！

いや～ まさか アシュラ 先生が うちに
患者として入院されるなんて➡

驚きましたよ 。

今 理事長と たもーん院長が➡

執刀を引き受けてくれる医者を
探してます 。

私は診療部長になりましたが➡

外科科長も
兼務したままですので➡

その間の治療は
この 金剛 又吉に お任せあれ 。

（ 金剛 ） それから
アシュラ先生の担当は➡

薬師寺先生に
お願いすることにしました 。

薬師寺先生
よろしくお願いします 。

よろしくお願いします 。

じゃあ まず 採血しますね 。

（ 金剛 ）
アシュラがいない救急科が➡

いったい どうなるのか
見ものですねぇ 。

だからといって
ミスを犯されたら➡

診療部長の私の責任に
なってしまう 。

そんなの たまったもんじゃねえ！
たまったもんじゃねえ！

注意しておかなければ… 。

今 私 独り言 言ってました？

疲れてるな 。

（ 阿含 ） 今日一日 多聞院長と
手分けして探したんだけど➡

手術してくれる先生は
見つからなかったわ 。

まだ時間はある 。
何としても探すわ 。

大丈夫 。 必ず間に合わせるから 。

私がいなきゃ 現場は回らない 。

助けられていたはずの命が
こぼれてしまうかもしれない 。

あなた一人で
そんなに背負う必要ないわ 。

救急科には 他にも
優秀な先生たちがいる 。

少しぐらい休んだって
大丈夫よ 。

（インターホン）

（インターホン） （ 吉祥寺 ）２０ 代男性
交通外傷にて腹部外傷あり 。

受け入れ可能です 。
搬送をお願いします 。

緊急オペになりそうね 。
オペ室 空いてる？

いや～ 今日も 外科のおかげで
オペ室はフル稼働 。 ➡

空きがありませんね 。

やはり 帝釈を支えているのは
われわれ外科ですよ 。

薬師寺先生も よかったら
外科に来ま… 。

入れませんね 。

薬師寺先生は ご実家の皮膚科を
お継ぎになるんですもんね 。

まさか 救急科に行きたいなんて
言いませんよね？

救命医なんて
目指す価値ないですよ 。

来る 。

☎
ホントに来た！ うわっ！

☎
はい どうしました？

（ ナオミ ） メス 。
（ 歩夢 ） はい 。

（ ナオミ ） 出血がひどい 。 吸引して 。
（ 梵天 ） はい 。

（ ナオミ ） これね 大ガーゼ 。
（ 歩夢 ） はい 。

（ ナオミ ） 出血部 圧迫するわ 。

（ 梵天 ） おかしいです 。
黒みが混ざってます 。

（ ナオミ ）
まずい 。 これ 出血じゃないわ 。

（ 梵天 ） えっ ！？

（ ナオミ ） 腸管が破裂して
内容物が漏れてる 。

（ 梵天 ） まさか 腸管穿孔ですか？

（ 心電計の警告音 ）

（ 歩夢 ） 血圧 ５０ 台です 。
（ナオミ） 敗血症性 ショック を起こしてる 。

（ 梵天 ） 挫滅がひどくて
縫合できません 。

（ ナオミ ）
このままじゃ 心停止するわ 。

（ 梵天 ） われわれじゃ
手に負えません 。 ➡

外科に任せましょう 。
（ 沙苗 ） 外科の先生は オペ中で➡

すぐには来られません 。

（ 心電計の警告音 ）

⚟ （ 金剛 ） 皆さーん 。

救急科から連絡があったと
部下に聞いて➡

嫌な予感がして 見に来てみたら
案の定… 。

まったく ぶざまですね 。

そこのナース！
この 金剛 又吉に➡

グローブとガウンを
持ってきたまえ！

（ 沙苗 ） はい 。

先生のおかげで 患者さんを
助けることができました 。

ありがとうございました 。
助かりました 。

とんでもない 。 楽勝でした 。
うすうす分かってましたが➡

やはり アシュラがいないと
救急科は駄目ってことですね 。

まあ もともとは ただの寄せ集め
みたいなもんですから 。 ➡

せめて
外科の足は引っ張らないように➡

お願いしますよ 。

梵天先生
お子さん お幾つになられました？

（ 梵天 ） えっ まだ ０歳です 。

あっ まだ ０歳… 。

（ 多聞 ） 救急科で
そんなことがあったんですか 。 ➡

でも まあ とにかく
患者が大事に至らず よか っ たです 。

（ 大黒 ） ええ 。

でも 次も 同じように
助けられるとは限りません 。

（ 大黒 ） そこで 実は
お願いがあるんですが 。

どうしたんですか？

杏野が戻ってくるまで➡

救急科では 重症患者の受け入れを
一時中止することにした 。

どうして… 。
大黒科長と話し合った結果だ 。

でも そしたら➡

助かるはずの命まで
助けられなくなる 。

しかし 今の救急科では➡

受け入れても
じゅうぶんな対応ができない 。

すいません 。

私が
こんなことにならなかったら… 。

（携帯電話） （ 呼び出し音 ）

あっ もしもし？

（ 沙苗 ） 今日 ナオミ先生
お休みなんですね 。

（ 加代子 ） 急用が入ったらしいわ 。

杏野先生もいないのに… 。
何も起きなきゃいいんですけど 。

平和であることを
祈るしかないわね 。

はい 。

先生 頼まれてた これ
休憩室から持ってきました 。

ありがと 薬師寺先生 。

マイナンバーカード
事務の人に渡しといて 。

分かりました 。

あと これ どうぞ 。

お守り代わりになるかなと思って
取ってきました 。

じゃあ 他に何かあれば
いつでも言ってくださいね 。

⚟ （ 金剛 ） 薬師寺先生 。

この書類を群馬医療センターまで
持ってってくれませんか？

はい 。
郵送だと間に合わないので 。

ああ はい 分かりました 。

病院の車を使ってください 。
はい 。

さあ 急いで 。

あっ 薬師寺先生 。

甘いお土産なんて
決して いりませんからね 。

あっ はい… 。

焼きまんじゅう！
あっ 違う違う 。

いってらっしゃーい 。

来る！

（インターホン）
（ 大黒 ） はい 。

（インターホン） （ 救急隊員 ） 高速道路での
多重事故で 負傷者６名 。 ➡

２名が赤 ３名が緑
１名は救助中です 。

６名… 。

すみません 。

うちでは 今 重症患者は
受け入れられないんです 。

（インターホン） （ 救急隊員 ）
他の患者は搬送できましたが➡

この６名が どうしても
受け入れ先が見つからず➡

お願いできないでしょうか 。

私も手伝う 。

受け入れて 。

（ 大黒 ） 分かりました 。
６名全員 搬送お願いします 。

（インターホン） （ 吉祥寺 ）
大黒先生 吉祥寺です 。 ➡

患者の一人は 薬師寺先生です 。

（ 大黒 ）
分かりました 。 お願いします 。

（ 大黒 ）
受け入れ準備 お願いします 。

（ 一同 ） はい！

無理しなくていい 。

できることをやってくれ 。
分かった 。

（ 大黒 ） 真ん中の ベッド お願いします 。
（ 救急隊員 ） ３でいきます 。

（ 一同 ） １ ２ ３！
（ 梵天 ） アンパッケージ 。

⚟聞こえますか？
（ 一同 ） １ ２ ３！

足 触りますよ 。
（ 大黒 ） アンパッケージ 。

また来ます 。
（ 大黒 ） 分かりますか？

（ 大黒 ） 杏野！
薬師寺の受け入れ 行ってくれ 。

了解 。

薬師寺先生 大丈夫？
杏野先生 すいません… 。

（ 吉祥寺 ） 意識は清明です 。
右足の骨折が疑われます 。

分かった 。
（ 救急隊員 ） ストレ ッ チ ャ ー入ります 。

アンパッケージ 。
（ 吉祥寺 ） はい 。

⚟お願いします 。

触るよ 。

（ 患者 ） うぅ…！

（ 梵天 ） 腸管破裂が疑われます 。
今すぐ試験開腹が必要です 。

（ 大黒 ） こっちも腹腔内出血だ 。
すぐに開腹して止血しないと 。

（ 沙苗 ） 先生
オペ室 ２部屋 確保しました 。

（ 大黒 ） でも この人数で
２人同時に緊急オペなんて無理だ 。

（ 大黒 ）
どちらかは待ってもらわないと 。

（ 梵天 ） しかし
２人とも 一刻を争う状況です 。

（ 加代子 ） このままじゃ
１人 手遅れになります 。

（ 大黒 ） 多聞院長 。
（ 多聞 ） 状況は？

（ 大黒 ） 緊急オペが必要な
患者さんが２名います 。 ➡

手が足りません 。

（ 心電計の警告音 ）

この患者は 俺が１人でやる 。

（ 大黒 ） １人でオペなんて無理です 。
（ 多聞 ） 何とかする 。

今すぐオペ室に運ぶぞ 。
（ 一同 ） はい！

（ 大黒 ） 杏野は 師長とここに残って
処置を続けてくれ 。

分かった 。

♬～

（ 患者 ） うぅ～…！ 早くして！

（ 加代子 ） すぐに処置しますから
もう少し お待ちくださいね 。

（ 患者 ） 痛い…！

（ 患者のうめき声 ）

（ 患者のうめき声 ）

（ 患者 ） 痛い… 。

僕も手伝います 。
（ 加代子 ） 薬師寺先生！

何 言ってんの 。
治療するから待って！

大丈夫です 。

すぐ痛み止め入れますから 。

（ 歩夢 ） 血圧 ７４ の ４０ です 。
どんどん下がってます 。

（ 歩夢 ）
多聞先生 出血 止まりません！

（ 多聞 ） あったぞ 。
肝動脈系からの出血だな 。 ➡

止血する 。 遮断鉗子 。
（ 歩夢 ） はい 。

（ 遮断する音 ）

（ 歩夢 ） 出血 止まりました 。

（ 心電計の警告音 ）

（ 歩夢 ） 先生
別の場所から出血してます 。 ➡

血圧 ４０ 台です 。
（ 多聞 ） 脾臓破裂だ 。 ➡

肝動脈を止めたことで
脾臓側の圧が上がったんだな 。

（ 歩夢 ）
肝臓だけじゃなくて 脾臓も… 。 ➡

外科に応援呼びます 。
（ 多聞 ） その必要はない 。

（ 歩夢 ） えっ？

（ 多聞 ） ２カ所 同時にオペをする 。

（ 大黒 ） 腸管が挫滅していて
このままじゃ 縫合できない 。 ➡

壊死部分を切除して
吻合する必要があります 。

（ 大黒 ） 梵天先生？

（ 梵天 ） この前の患者と
まったく同じ状態です 。

（ 梵天 ） 《挫滅がひどくて
縫合できません》

（ 梵天 ） 《われわれじゃ
手に負えません》➡

《外科に任せましょう》

（ 心電計の警告音 ）
（ 沙苗 ） 血圧 ６０ の ３２ です 。

（ 大黒 ）
敗血症性シ ョッ クになっています 。 ➡

このままじゃ 心停止します 。 ➡

梵天先生 われわれに今
このオペは無理です 。 ➡

ひとまず洗浄だけして
仮閉腹しましょう 。

（ 大黒 ） 梵天先生！

（ 心電計の警告音 ）

患者さんたちは 全員
外科に引き継ぎました 。

よかったです 。

ホントに 先生のおかげです 。
いえ… 。

次は 薬師寺先生を治療する 。
はい… 。

（ 倒れる音 ）

（ 加代子 ） 先生？ 薬師寺先生！

あお向けにして 。
（ 加代子 ） はい 。

分かる？ バイタル測って 。
はい 。

聞こえる？ 薬師寺先生！

薬師寺先生 薬師寺先生！

（ 金剛 ） 銀座でしか買えない
限定プリンさん 初めまして 。

やっと会えましたね 。

１時間半 並んだかいが
ありました 。

感動です 。 いただきます 。

☎
チッ 。

☎

はい 。 群馬医療センター？

あっ いつも
大変 お世話になっております 。

ええ 。

薬師寺が まだ到着していない？

えっ？ もうとっくに
着いてる頃なんですが 。

大変 申し訳ございません 。
すぐに確認いたしますので 。

失礼いたします 。

（ 受話器を置く音 ）

薬師寺先生
いったい どこで道草… 。

まさか… 。

甘いお土産 買ってる？

取りあえず プリンをいただこう 。

（ 部下 ） 金剛診療部長！
（ 金剛 ） 今度は何だ ！？

何をやってんだ 。

ドクター大黒と
ノーマルハンドに➡

緊急オペなんて
できるわけないだろ！

（ 金剛 ） くそっ！

（ 金剛 ） 勝手なことを
しないでいただきたい 。 ➡

もし お二方がミスを起こしたら➡

責任を取るのは
診療部長の このわた… 。

（ 電子音 ）
（ 金剛 ） えっ ！？

（ 梵天 ）
壊死部分の切除 完了しました 。

（ 大黒 ） 吻合の準備できています 。

（ 梵天 ） 鑷子 。
（ 沙苗 ） はい 。

（ 梵天 ） ３ － ０ブラックシルク 。
（ 沙苗 ） はい 。

（ 金剛 ） どうして
梵天先生が このオペを？

（ 大黒 ） この前のオペの後
六道先生と２人で➡

シミュレーションを
重ねたそうです 。

（ 金剛 ） えっ… 。

（ 金剛 ） すごい 。 ゴッドハンド 。

（ 梵天 ） 金剛先生
エンドＧＩＡ グリーン 用意して 。

（ 金剛 ） はい 分かりました！

（ 金剛 ） いつでも大丈夫です 。

腹腔内に大量出血がある 。

損傷部から徐々に出血が進んで
出血性ショックを起こした 。

今すぐ開腹して止血しないと
命が危ない 。

（ 加代子 ） ですが 先生方
まだ戻ってこられません！

私がやる 。

（ 加代子 ） でも… 。

開腹して 血管をクランプすれば
３０ 分は持つ 。

その間に 他の先生が戻ってくれば
助けられる 。

急いで準備して 。

（ 加代子 ） 分かりました 。

♬～

♬～

♬～

（ 心電計の警告音 ）

（ 加代子 ）
血圧 どんどん下がってい っ てます 。

（ 心電計の警告音 ）

♬～

あった 。

（ 遮断する音 ）

（ 加代子 ） よかった… 。 ➡

出血 止まりました 。

（ 心電計の警告音 ）

（ 加代子 ） エーシスです 。
アドレナリン準備して！

（ 加代子 ） はい！
（ 心電計の警告音 ）

（ 多聞 ） 脾臓の剥離を行う 。 ケリー 。
（ 歩夢 ） はい 。

（ 遮断する音 ）

（ 多聞 ） クーパー 。
（ 歩夢 ） はい 。

（ 出血する音 ）
（ 歩夢 ） 先生 また出血が！

（ 多聞 ） 肝表面からの出血だな 。 ➡

持針器 。
（ 歩夢 ） はい 。

（ 歩夢 ） すみません 。
すぐに新しいの用意します 。

（ 多聞 ） 糸針 。
（ 歩夢 ） えっ？ 糸針ですか？

（ 歩夢 ） 手で縫うんですか ！？

（ 多聞 ）
表面上なら 手縫いの方が早い 。

（ 多聞 ） クーパー 。
（ 歩夢 ） はい 。

（ 多聞 ） よし 脾臓に戻るぞ 。
（ 歩夢 ） はい 。

（ 歩夢 ） 《すごい》➡

《たった一人で
脾臓と肝臓を同時に…》

薬師寺先生 頑張れ 。

死んじゃ駄目！

まだ生きなきゃ！

（ 加代子 ） 先生… 。 ➡

もう ２０ 分以上たってます 。

（ 加代子の すすり泣き ）

（ 加代子 ） 先生… 。

あんた医者でしょ！

これから
たくさんの人の命を救うんでし ょ ！

こんなところで
死んでる場合じゃない 。

戻ってこい！ ボウズ！

（ 心電計の音 ）

戻った… 。

（ 加代子 ） 心拍再開です！

遮断から ２５ 分たってる 。

（ 加代子 ） あと５分しかない… 。

♬～

♬～

（ 加代子 ） 杏野先生… 。

もう時間がない 。
私がやるしかない 。

♬～

♬～

⚟ （ ナオミ ） 待って！

（ 加代子 ） ナオミ先生… 。

（ ナオミ ） アシュラ先生
ここまで持たせてくれたのね 。 ➡

あとは 私に任せて 。

お願い 。

（ ナオミ ） 状態は？

あと５分で遮断解除しないと
助けられない 。

（ ナオミ ） 了解 。
すぐに出血部を縫合するわ 。

♬～

♬～

♬～

杏野 ありがとな 。

（ 大黒 ） あのとき 杏野が
受け入れようと言 っ てくれたから➡

全員を助けることができた 。

違う 。

みんながいたから 助けられた 。

もし このまま
視力が戻らなくても➡

メスを持てなくても… 。

私は ここで
自分にできることをやりたい 。

ここで みんなと命を救いたい 。

♬～

⚟ （ 阿含 ） 杏野先生 。

（ 阿含 ） 待たせたわね 。 ➡

あなたのオペは
ナオミに任せるわ 。

（ 阿含 ）
視神経管開放術の経験が豊富な➡

名古屋医科大の笹尾先生と
連絡が取れた 。

執刀は オペの予定があって
できないけど➡

ナオミに
手術内容の詳細を伝授してくれた 。

（ ナオミ ） 成功させられるかどうか
確証はないし… 。 ➡

正直 怖い 。

（ ナオミ ） でも 全力を尽くすわ 。

先生を助けたいから 。

♬～

お願い 。

みんなにも
力を貸してもらうわよ 。

（ 大黒たち ） はい！

（ ナオミ ） 脳外科的手法だと
傷痕が目立ちやすい 。

だから 今回は
経鼻内視鏡を使って… 。

（ 大黒 ） 他の脳神経も近いので
傷つけないよう… 。

（ 梵天 ）
杏野先生の蝶形骨洞は 幅が… 。

（ ナオミ ） 出血で 視野が
とれなくなるから 洗浄液… 。

（ 梵天 ） 眼窩ルートではなく
鼻腔ルートなのは なぜでし ょ うか 。

（ナオミ） この方法だと低侵襲になる 。
蝶形骨洞を経由して… 。

（ 大黒 ） 私が内視鏡を担当します 。

⚟ （ ナオミ ） 緊張してる？

そっちこそ 。

じゃあ オペ室に行きましょうか 。

♬～

♬～

♬～

（ ナオミ ） これより
杏野 朱羅先生に対する➡

右視神経管開放術を行う 。
（ 一同 ） はい！

♬～

（インターホン）

はい 帝釈救急外来です 。

（インターホン） （ 吉祥寺 ）
３０ 代女性 ショック状態です！

受け入れ可能です 。
搬送をお願いします 。

（ 歩夢 ） ストレッチャー入ります 。

（ 大黒 ） 離れて 。

（ 除細動器の音 ）

⚟失礼します 。

（ 心電計の音 ）
（ 大黒 ） よし 心拍再開したぞ 。 ➡

輸血 つないでくれ 。
（ 沙苗 ） はい 。

ノルアド開始します 。
（ 梵天 ） 挿管します 。 ➡

喉頭鏡 下さい 。
（ 歩夢 ） はい 。

（ ナオミ ） 傷が深い 。
洗浄して縫合するわ 。

腹腔内出血あり 。
開腹して止血する 。

（ 加代子 ）
先生 オペ室 空いてません 。

患者が修羅場をさまよってる 。

ここでオペするよ 。
今すぐ準備して 。

（ 一同 ） はい！

♬～