All language subtitles for Dr.Asura.EP10.1080p.AMZN.WEB-DL.DDP2.0.H.264-MagicStar

（ 選手たちの掛け声 ）

よう アシュラ先生 。

おっ いつものアイス 。
サンキュー 。

けどよ ちょっと昨日の晩から
腹が痛くてよ 。

あ～ 痛い 痛い 痛い 。
何か変なもん食べた？

たぶんパンだな 。
ちょっと かびてたんだけどよ 。

口 開けて 。
えっ？

あー 。

痛いっ！ 何すんだよ 。
ツルゴールが出てる 。

何 ツル？
皮膚をつまんでもすぐに戻らない 。

口腔内も乾燥していて
脱水症状 起こしてる 。

すぐに病院 行くよ 。
いや そんな大げさな 。

いいから行くよ 。
薬をくれるだけで➡

いいんじゃねえかい？
なあ えっ？

先生…
大げさなんだよな ホントいつも 。

患者 連れてきた 。

タツさん 。
（ 小西 ） お～ 。

みんな 元気そうじゃねえか 。
（ 大黒 ） タツさん お久しぶりです 。

大黒先生
離婚の危機は乗り越えたのか？

ああ… まあ 何とか 。

（ 小西 ） ああ そう 。 ハハハ… 。
（ 歩夢 ） 今日はどうしたんですか？

今日は… 食あたりだ 。

取りあえずバイタル測って 。
（ 沙苗 ） タツさん こちら どうぞ 。

バイタル？

（ 歩夢 ） 座ってください 。
（ 小西 ） 座るの？

（ 保 ） 服もらいますね 。
（ 小西 ） おう 。

大事にしてくれよ 。

（ 沙苗 ） 杏野先生
血圧 ９８ の ６０ 脈拍 ８０ 台➡

サチュレーション 問題ありません 。
バイタル落ち着いてるし➡

取りあえず洗ってあげて 。
その後 補液 入れる 。

（ 沙苗 ） 分かりました 。
（ 歩夢 ） じゃあ タツさん➡

シャワー 行きましょっか 。
（ 小西 ） えっ 風呂？

（ 歩夢 ） はい 。
（ 小西 ） 洗ってくれんの？

（ 歩夢 ） 自分で洗ってください 。
（ 小西 ） 何だよ 。

小西さん さっぱりしましたね 。
さっきとは別人です 。

よく見りゃ男前だろ？

（ 歩夢 ） 杏野先生
採血結果 出ました 。

ＢＵＮとクレアチニンが
上がってる 。

先生 俺 大丈夫なのか？
入院して経過観察する 。

入院 ！？ ハァ マジかよ… 。

僕 ホームレスの患者さん
初めて見ました 。

タツさんね 近所の公園に住んでて
よく来んのよ 。

この前は 冬にインフルエンザで
入院してましたね 。

うちの常連だな 。
いい人そうですけど➡

どう見ても
治療費 払えなさそうですよね 。

まあな 。 でも治療が必要なら
見捨てるわけにはいかない 。

確かに お金を理由に
治療を断っちゃいけないって➡

医師法でも決まってますもんね 。

おう 。
杏野先生➡

タツさんと仲良さそうでしたね 。

来る 。

（ 救急隊員 ） 佐藤 健太さん ２８ 歳
自宅で倒れているのを➡

婚約者の方が発見し
救急要請されました 。

（ 一同 ） １ ２ ３ 。

佐藤さん 聞こえますか？

分かりますか？
意識レベル かなり鈍いです 。

（ 加代子 ）サチュレーション　９３ ％です 。
（ 大黒 ） 心電図は問題ないな 。 ➡

他に意識障害の原因になるのは…
脳か？

感染症の可能性もありますよね 。

眼球黄染がある 。
黄疸？

じゃあ 肝臓ですか？
今すぐ採血で➡

肝機能チェックして 。
（ 加代子 ） はい 。

あ～… やっぱり布団は最高だな 。

（ 沙苗 ） ゆっくり休んで
しっかり治してくださいね 。

ずっと ここがいいわ 。

あっ 九曜さん お願い 。
（ 沙苗 ） あっ はい 。

失礼します 。

（ 大黒たち ） はい １ ２ ３ 。

（ 大黒 ） 佐藤さん 。 佐藤 健太さん 。
分かりますか？

はい… 。
俺 どうなってるんですか？

肝臓の機能が低下して
意識障害を起こしていました 。

今 原因を調べていますので
結果が出たら お伝えします 。

分かりました 。

よろしくお願いします 。

千尋 。 心配掛けてごめんな 。

ううん 今はとにかく休んで 。

（ 大黒 ）
３０１ 号室の佐藤 健太さん ２８ 歳 。

肝機能の低下による意識障害で
入院しました 。

ＡＳＴとＡＬＴが どっちも４桁 。
アンモニアも高いし結構重症ね 。

今のところ
肝庇護薬で持ち直してるけど➡

注意しといて 。
分かりました 。

（ 大黒 ） お願いします 。
（ ナオミ ） はい 。

ハァ… 。

⚟ （ 小西 ） おい ちょっといいか？

はい どうぞ 。

隣のベッドの小西って者だ 。

佐藤です よろしくお願いします 。

若えのに入院なんて大変だな 。

ホントびっくりですよ 。
最近まで何ともなかったのに 。

俺にできることがあったら
遠慮なく言えよ 。

いや 申し訳ないです 。
小西さんだって入院中なのに 。

いや 俺は もう元気だから
気にしなくていいよ 。

こうしてさ 隣同士になったのも
何かの縁だろ 。

ありがとうございます 。
（ 小西 ） 頑張れよ 。

笑って過ごした方が
免疫力が上がるらしいぞ 。

はい 。
（ 小西 ） うん 。 なっ 。

これ 焼酎 。
（ 健太 ） フフッ 。

お前 それだけか？

はい 。
何か タンパク質が駄目らしくて 。

それだけじゃ足んねえだろ 。
まだ口つけてねえからよ 。

えっ でも小西さんの分は？
（ 小西 ） ああ いいの いいの 。

俺は いつも
いいもん食ってっから 。

ありがとうございます 。
（ 小西 ） おう 。 よいしょ 。

おはようございまーす！
朝ご飯中にすいません 。

ボウズ 朝から元気がいいな 。

タツさんも元気になりましたね 。
まあな 。

佐藤さん 食欲はどうですか？
（ 健太 ） あんまりなくて… 。

肝臓の働きが低下してるので
無理しなくていいですよ 。

はい 。

食わねえと治んねえぞ 。
これも食え 。

佐藤さんは
ヨーグルトも駄目なんですよ 。

あの
どっちにしろ食べられないです 。

俺 ヨーグルト苦手なんで 。

お前も？
（ 健太 ） えっ？

いや 俺も嫌いなんだよ
この酸 っ ぱいのが どうも駄目でさ 。

タツさん 自分が食べたくないから
あげようとしたんですか？

バレた？
もう… 。

（ 健太 ） 俺 あの試合
現地で見てたんですよ 。

何 ！？ 本当か お前？
うわあ ホントに？

９回 ツーアウト満塁 。
打った瞬間 鳥肌立ちましたよ 。

そりゃあそうだよ 。
俺なんかラジオ聞きながら➡

思わず泣いちまったよ 。
（ 健太 ） 分かります 。

タツさんって
ホントに野球 好きなんすね 。

まあな それぐらいしか
楽しみがねえからよ 。

俺も昔から大好きで 。
だから将来は➡

子供と一緒に キャッチボール するのが
夢なんです 。

おお そりゃいいじゃねえか 。
（ 健太 ） 憧れなんですよね 。

俺 父親いなかったから
一度もやったことなくて 。

そっか 。

そのためにも頑張って
病気 治しますよ 。

そうだな 。
（ 健太 ） はい 。 ああ あの➡

タツさんって
ご家族いないんですか？

俺はいねえよ
独身貴族ってやつだ 。

えー 寂しくないんですか？
（ 小西 ） 寂しくなんかねえよ 。

自由が一番だ 。

タツさん いい人だし
モテそうなのに 。

何言ってんだよ 。

フフフ… 何ですか これ 。

いや 前髪があるイメージ… 。

（ ２人 ） ハハハ… 。
⚟ （ 千尋 ） こんにちは 。

楽しそうだね 。
（ 健太 ） 野球の話してた 。

（ 小西 ） もしかして彼女か？
（ 健太 ） はい 婚約してるんです 。

ああ そう 。 そうか！

そしたら なおさら
早く元気にならねえとな 。

はい 。
（ 小西 ） うん 。

（ 小西 ）
あっ 美人先生のお出ましだぞ 。 ➡

よいしょ 退散 退散 。

佐藤さん 少し お話 いいかしら？

診断の結果 佐藤さんのご病気は➡

急性肝不全です 。

治る病気なんですか？

この病気は 原因が
はっきりしないことも多く➡

今の段階では 肝臓を守る薬での
治療を続けていく方針です 。

薬で治るんですね 。

回復する可能性はあります 。

ただ
状態が悪化するようであれば➡

肝臓の移植が
必要になるかもしれません 。

移植… 。

今は そうならないよう➡

薬で
しっかり治療していきましょう 。

移植っていっても
佐藤さんは ご家族いないのよね？

ご両親は
２０ 年以上前に離婚していて➡

父親とは一度も
連絡を取ってないそうです 。

お母さんも病気で亡くなっていて 。

きょうだいもいないし
親戚とも付き合いないみたいです 。

じゃあ 近親者からの
生体肝移植も無理そうですし➡

もし移植するとしても
亡くなった方からの提供による➡

移植を希望することになりますね 。

この前 外科で
肝移植やってたわよね？

帝釈は肝臓の認定施設ですので
肝移植はできます 。

（ 健太 ）
俺の病気 そんなに悪いのかな… 。

今の治療で
良くなるかもしれないし➡

頑張ろう 。

そうだよな… 。

♬～

気分転換に 散歩 行こっか 。

うん 。
（ 千尋 ） ねっ 。

（ 千尋 ） 大丈夫 ！？

昨日まで普通に歩けてたのに… 。

無理しないで 。

車椅子 借りてくるから 。 ねっ 。

うわっ 。

あっ いや これは その… 。

だって病院食じゃ足りなくてさ 。

冷たい食べ物は
胃腸に負担がかかる 。

食中毒明けの人にはよくない 。
いや… 。

元気になった証拠ってことでさ
これ ほら… 。

おう
何だよ 見逃してくれんのか？

まあ あしたには退院だから 。

ふーん 。

ああ じゃあ
あの若えのと同室なのも➡

今日で最後ってわけか 。

佐藤さん？
おお 。

あいつ 結構悪いのか？

病状のことは他人に話せない 。

だな うん 。

なあ 先生 。

ちょっと話があるんだけどよ 。

外の空気吸えてよかったね 。
（ 健太 ） うん 。

（ 医師 ） そういえば救急科が
ホームレス 入院させてるらしいぞ 。

（ 医師 ）３０１ 号室の人だろ？
迷惑な話だよな 。

（ 医師 ）ホームレス は医療費 払えないし
トラブルの種だもんな 。

盗難とか もめ事とか 。

タツさん 。
（ 小西 ） んっ？

どうしたんですか？
（ 小西 ） 何もねえよ 。

そうですか 。

あれ？ 何だよ
車椅子なんか乗って 。

そんな調子悪いのか？
治療うまくいってんのか？

まだ何とも言えなくて… 。

そっか 。 まあ 心配すんなよ 。 ➡

よく食って ちゃんと寝てりゃ
たいがいの病気なんか➡

どっか行っちまうんだからさ 。
（ 健太 ） すみません 。

ちょっと疲れたんで
休ませてもらっていいですか？

だな うん 。
（ 健太 ） 千尋 ごめん 。

カーテン閉めてくれる？
（ 千尋 ） あっ うん 。

疲れたでしょ 。 横になる？
（ 健太 ） うん 。

看護師さん 呼んでくるね 。
（ 健太 ） ありがとう 。

（ 歩夢 ） 佐藤さん
夕食ほとんど食べてませんでした 。

（ 梵天 ） 今日 車椅子になったのも
ショックだったでしょうね 。

急性肝不全って
本当に進行が速いんですね 。

急激に肝臓の機能が
失われる病気だからな 。 ➡

昨日まで元気だった人が
あっという間に重症化してしまう 。

えっ？

（ 大黒 ） 佐藤さん 回診です 。
開けますね 。

どうかされたんですか？
（ 健太 ） あっ 財布がなくなってて 。

えっ？

急に何だよ 。
（ 健太 ） タツさん 。

さっき こっち側で
何かしてましたよね 。

何にもしてねえよ 。
（ 健太 ） ホントですか？

（ 小西 ） おい… おい！

（ 健太 ） ありました 。

どういうことか
説明してもらえますか？

つい魔が差しちまっただけだ 。 ➡

やっぱりよくねえと思って
後で返そうとしてたんだ 。

金は取ってねえよ ！？

やっぱりそうか 。

他の先生たちが言ってました 。

タツさんって
ホームレスなんですよね？

部屋をかえてください 。

この人と一緒にいるなんて
無理です 。

（ 歩夢 ） タツさん
何で財布取っちゃったんですかね 。

そんなことする人じゃ
ないんだけどな 。

財布の中身には
手をつけてなかったんですよね？

はい 。
結局 何も取ってませんでした 。

痛みますか？
少し 。

夜は眠れましたか？
いや あんまり… 。

昨日は ちょっと
大変でしたもんね 。

はい 。 あの… 。

タツさんって どうしてますか？

さっき 退院されましたよ 。

そうですか 。

♬～

おう 。 ➡

おう！
（ 森 ） だ… 誰？

俺だよ バカ野郎 。
（ 森 ） ああっ タツさん ！？ ➡

退院したのかい？
（ 小西 ） そうだよ 。

生きて帰ってきたよ バカ 。
（ ユキコ ） はっ 奇麗にな っ ちゃって 。

誰だか分かんなかったよ 。
（ 小西 ） 風呂 借りたら➡

ひげまで そられちまって
こんな いい男になっちゃったよ 。

いや～ 無事で何よりだよ 。
心配したんだよ 。

（ ユキコ ）
あっ！ 退院祝いしなきゃね 。

あっ そうだな 。
（ 小西 ） お～ いいね 。

久しぶりに ぱーっとやるか！
なあ！ うん うん… 。

（ ナオミ ）
今まで投薬治療していましたが➡

じゅうぶんな回復が
見込めない状況で➡

やはり 肝移植が必要になります 。

でも 肝臓をくれる家族は
俺にはいません 。

臓器移植ネットワークに登録して
移植の機会を待ちましょう 。

えっ？ でも その間は… 。

肝臓の働きを補うために➡

この血漿交換や➡

持続血液ろ過透析という治療を
します 。

♬～

♬～

調べてみたらさ➡

亡くなった方からの移植を
待ってる人は➡

世の中に
１万 ６，０００ 人ぐらい いるけど➡

手術できるのは➡

年間 ６００ 人しかいないんだって 。

俺は もう… 。

助からないよな… 。

でも選ばれるかもしれないでしょ 。
信じよう 。

（ 健太 ） くっ… 。

うっ… 。
（ 千尋 ） 健太？ 健太 どうしたの？

あっ…！
（ 千尋 ） 健太 大丈夫？ 健太！

（ ユキコ ） 食べ頃 。
（ 小西 ） 今 野菜が高いんだぞ 。

（ ユキコ ） あれ？
タツさん お酒いいの？

うん 。 俺 もう酒やめたんだわ 。
（ ユキコ ） え～ 。

体のためにな 。
（ 森 ） この年になると➡

健康第一だからな 。
（ 小西 ） そういうことだよ 。

じゃ やめるか？
⚟ （ 男 ） ねぇねぇ 。

（ 男 ） 何やってんの？
楽しそうじゃん 。

（ 男たち ） えっ？ 鍋じゃん 。
鍋やってんじゃん 。

あ… 鍋 食べるか？
（ 男たち ） え～？ ハハハ… 。

食うわけねえだろ バーカ！

（ 男 ） これとか大事なやつじゃ… 。
（ 小西 ） 触るな！

はっ？
（ 小西 ） いや… 。

あの 勘弁してくださいよ 。

（ 男 ） おらっ！
（ 男 ） おい こら！

いいじゃん 触ったって… 。

（ 小西 ） ふざけんな お前ら！

（ 男 ） 離せ 。

（ 小西 ） がはっ！

この くそホームレスが！

あ～っ ！！
（ 男 ） あっ？

ヤベえ 死んだんじゃね？

逃げるぞ 。

ああっ！ タ… タツさん！

タツさん！ タツさん！

しっかりしろよ！
（ユキコ） 誰か… 誰か救急車呼んで！

（ 森 ） しっかりしろよ！
（ユキコ） お願い！ あ～ タツさん！

血圧は？
（ 加代子 ）８３ の ５０ です 。

（ ナオミ ） 胆のうが腫大してる 。

（ 大黒 ） 胆のう出血で
ショックを起こしてる 。

内視鏡じゃ止められない 。
開腹して止血するよ 。

（ 加代子 ） オペ室 連絡します 。
（ ナオミ ） はい 。

（ サイレン ）

（ ナオミ ） 出血が多過ぎて
視野が取れない 。 ➡

血圧も下がってるわ 。
出血点が見つからない 。

吸引 続けて 。
（ ナオミ ） はい 。

ケリー 。
（ 看護師 ） はい 。

⚟ （ 自動ドアの開く音 ）
（ 加代子 ） オペ中 失礼します 。 ➡

小西さんが
頭部外傷で運ばれてきました 。 ➡

大黒先生が対応してますが
かなり状態が悪いです 。

こっちは まだ出血が止まらない 。
続けるよ 。

♬～

ハァ ハァ ハァ… 。

（ 大黒 ） 頭を殴られて
心肺停止状態で搬送されてきた 。 ➡

搬送時には
すでに瞳孔反応がなく➡

ＣＴで脳幹部までの
広範囲な脳浮腫を認めた 。 ➡

何とか心拍は再開したが
意識は戻らないだろう 。

（ 泣き声 ）

タツさん… 。

♬～

（ ナオミ ）
オペは何とか成功しました 。 ➡

ただ 肝機能は かなり不安定です 。

（ ナオミ ） もしかしたら
覚悟が必要になるかもしれません 。

♬～

♬～

これ… タツさんが➡

ものすごーく大事そうに
持ってて… 。

病院の人に
渡した方がいいような気がしてよ 。

（ 大黒 ） 杏野？

佐藤さんを助ける方法がある 。
えっ？

それが
タツさんの最後の願いだから 。

（ 小西 ） 《なあ 先生》

《ちょっと話があるんだけどよ》

《隣の若えの あいつ…》

《俺の息子なんだ》

《どういうこと？》
《顔を見た瞬間に分かった》

《間違いねえ あいつは
俺が ２４ 年前に捨てた息子なんだ》

《俺は昔 知り合いの
借金の保証人になった》➡

《で 気付いたら
全額を背負わされて➡

そのうち借金取りが
家にまで来るようになった》

《このままじゃ
女房と子供が危ねえって》

《それで俺は 家を出た》➡

《結局 捨てたも同然だ》➡

《いまさら名乗り出たって
許されるわけじゃねえ》

《なあ 先生
あいつの病気 悪いんだろ？》

《何とかする方法はねえか？》

《あの子の肝臓は
ほとんど機能してない》

《タツさんが父親なら
肝臓を提供することができる》

《俺は あいつのためなら
何でもするよ》

《その代わり 約束してくれ》

《あいつを絶対に助けるって 。
なあ アシュラ先生》

《頼んだぞ！》

（ 大黒 ） タツさんは
佐藤さんの父親だったのか 。

生体肝移植で 自分の肝臓を
あげようとしてたんですね 。

（ 大黒 ）
臓器提供意思表示カード… 。 ➡

「 親族優先 」

親子関係が分かる戸籍謄本もある 。

本来は家族の同意が必要だけど➡

唯一の家族である佐藤さんが
昏睡状態の今は➡

移植ができる可能性がある 。

今すぐ
臓器移植 コーディネーター に連絡して 。

［亡くな っ た方からの臓器提供には
厳密な手順がある］

［臓器移植コーディネーターが
来院し➡

ドナーの状態や
意思表示の確認をした後➡

２回の脳死判定が行われる］

［脳幹反射の消失 平坦脳波
自発呼吸の停止など➡

全ての基準を満たすことで
法的に脳死と判断される］

（ ドアの開く音 ）

杏野先生 。

小西さんのオペ 用意できました 。

分かった 。

（ ナオミ ） これより
レシピエント 佐藤 健太さんの➡

肝臓移植術を行う 。
（ 一同 ） はい 。

（ ナオミ ） メス 。
（ 歩夢 ） はい 。

（ 松田 ） オペを始める前に
黙とうをお願いします 。

タツさん 。

約束 守るから 。

始めるよ 。 メス 。
（ 加代子 ） はい 。

開創器 。
（ 加代子 ） はい 。

ケリー 。
（ 加代子 ） はい 。

小児用ケリー 。
（ 加代子 ） はい 。

クロスクランプする 。
サテンスキー 。

（ 加代子 ） はい 。

♬～

（ 遮断する音 ）

（ 心電計の音 ）

人工呼吸 停止 。

♬～

♬～

クーパー 。
（ 加代子 ） はい 。

♬～

肝臓の摘出完了 。

♬～

（ ナオミ ） レシピエントの肝摘出は
完了したわ 。

これより ドナー肝移植を行う 。
（ 一同 ） はい 。

♬～

♬～

♬～

健太… 。 ➡

健太 分かる？

移植成功したんだよ 。
健太は助かったの 。

そっか… 。

ホントによかった… 。 ➡

フフ… 。

（ ナオミ ）
佐藤さん 目が覚めたのね 。

先生… 。

助けてくれて
本当にありがとうございました 。

（ ナオミ ） 亡くな っ た方から頂いた命
大事にね 。

はい 。 そのつもりです 。

♬～

♬～

あなたに渡したいものがある 。

♬～

誰からですか？

タツさん 。
えっ… タツさん？

あなたが昏睡状態の間に
亡くなった 。

えっ？

約束したから 。

あなたを絶対に助けるって 。

（ 小西 ）「 前略 佐藤 健太様 」 ➡

「 本当は手紙じゃなく
直接 顔を見て言うべきだった 」 ➡

「 でも勇気が出なかった 。
情けない人間で申し訳ない 」

（ 小西 ）「 この手紙も
書くべきかどうか悩んだ 」 ➡

「 黙って姿を消すのが➡

せめてもの
償いなんじゃないかって 」

（ 小西 ）「 入院してきた
お前の顔を見た瞬間➡

すぐに息子だと分かった 」

（ 小西 ）「 最初は
とても信じられなかった 」 ➡

「 あのとき
財布の中を見ようとしたのは➡

もし間違いだったらと思って➡

生年月日を
確認したかったからだ 」 ➡

「 勝手なことをして
本当にすまなかった 」

（ 小西 ）
「 お前が命の危機にあると知り➡

どうしても助けたいと思ったとき
アシュラ先生から➡

生体肝移植というのがあると
聞いた 」 ➡

「 親として 何も残せなかった俺に
できることがあるとしたら➡

これだけだ 」 ➡

「 お前が
これからも生きられるなら➡

俺の肝臓なんて安いもんだ 」

（ 小西 ）「 俺は家族を捨てた
最低な父親だ 」 ➡

「 父親として
お前に何もしてやれなかった 」 ➡

「 キャッチボールも
野球の試合を見に行くことも➡

何一つやってあげられなかった 」

（ 小西 ）「 もし許してもらえるなら➡

お前と一緒に
キャッチボールがしたい 」 ➡

「 うまいものを
食わせてやりたい 」 ➡

「 昔の俺ができなかったことを
今から全部してやりたい 」

（ 小西 ）「 健太 結婚おめでとう 」 ➡

「 どうか これからは 健康で
誰よりも幸せに生きてくれ 」

♬～

♬～

♬～

♬～

またね 。