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（ 朱羅 ） １ ２ ３ ４ ５
６ ７ ８ ９ １０。

１ ２ ３ ４ ５… 。
（ 吉祥寺 ）１１ 歳 男児➡

川に転落し溺水 。
現在 心肺停止です 。

（ 隼人の父 ） 隼人！ 隼人！
１ ２ ３！ おりるよ 。

（ 一同 ） １ ２ ３！

先生！ お願いします！➡

隼人を助けてください！
（ 加代子 ） お父さん！➡

これから治療しますからね 。
アンビューもんで 。

（ 保 ） はい！
（ 吉祥寺 ） お願いします 。

冷たい… 。

低体温になってる 。
どのくらい水中にいたの？

（ 吉祥寺 ） １時間近くは
沈んでいたと思われます 。

１時間も ！？
深部体温は？

（ 沙苗 ）１７．４ ℃です 。
もっと加温する 。

電気毛布 持ってきて 。
（ 沙苗 ） はい 。

換気 。
はい 。

（ 心電計の警告音 ）

駄目です！ エーシスです 。
⚟ （ 歩夢 ） 先生！

（ 歩夢 ） ＰＣＰＳ 空いてません 。
えっ… 。

体内から直接温める 。
胸腔ドレーンを左右に挿入して➡

そこから ４０ ℃の生理食塩水を
胸腔内に注入して かん流させる 。

ドレナージの準備して 。
（ 歩夢 ） 分かりました！

（ 心電計の警告音 ）

ハァ ハァ ハァ… 。

（ 沙苗 ） 先生 かん流開始から
６０ 分たちました 。

深部体温は？
（ 沙苗 ）３０．４ ℃ですが 。

生食投与 続ける 。
追加で温めといて 。

（ 沙苗 ） はい 。

（ 心電計の警告音 ）

再開して 。

（ 心電計の警告音 ）

（ 歩夢 ） 薬師寺先生？
何やってるの 早く再開して 。

（ 荒い息遣い ）

どいて！
（ 心電計の警告音 ）

だって…
もう１時間以上 続けてるのに➡

心拍が戻らないんですよ… 。

先生！ もう無理です！
諦めましょう… 。

まだ生きなきゃ 。 頑張れ！

（ 心電計の警告音 ）

頑張れ！
（ 心電計の警告音 ）

（ 沙苗 ） ２分経過です 。

（ 心電計の音 ）

よし まだ可能性はある 。
ＤＣ 準備して！

（ 歩夢 ） はい！

（ 心電計の音 ）

（ 不動 ） 理事長
杏野先生を外科に配属するとは➡

いったいどういうことでし ょ うか？
（ 金剛 ） あのトラブルメーカーを➡

わが外科 チーム に所属させるなんて
言語道断です！

ちょっと落ち着いて 。
（ 金剛 ） すいません 。

まだ
正式に決めたわけじゃないから 。

どういうことですか？
（ 多聞 ） 救急科を閉鎖した場合➡

杏野ほど腕のある医師を
みすみす他の病院に渡すのは➡

もったいないでしょう 。
（ 金剛 ） 確かに 。

外科に異動させて手術をさせれば
立派な稼ぎ頭になる 。 ➡

多聞先生のナイスアイデアよ 。

（ 金剛 ） 先ほど
「 救急科を閉鎖した場合 」 と➡

おっしゃいましたが
閉鎖も未定ということですか？

新病院を実現させるためには
閉鎖するしかないと思ってます 。

まあ 救急科の存在は
われわれにとって➡

足手まといでしか
ありませんからね 。

だけど まさか たもーん先生が…
違う違う 。

多聞先生が救急科を
フイッ 切り捨てるとは驚きです 。

海外に行って ずいぶんと
チェンジオブマインド 違う違う 。

心変わりをされたようで 。

この地域には 救急患者を
受け入れる病院は他にもある 。

病院間で連携が取れていれば➡

患者の命は
今までどおり救われます 。

（ 歩夢 ） 隼人君のお父さん
大丈夫でしたか？

（ 加代子 ） 落ち着いたみたい 。
（ 歩夢 ） よかった 。

かなり動転してたから
心配だったんです 。

実は 私も昔➡

息子が交通事故で
救急搬送されてきたことがあって 。

足がすくんで
動けなくなっちゃったの 。

看護師なのにね 。

目の前で 自分の子供が
傷ついてたら そうなりますよね 。

いくら医療従事者っていっても
やっぱり親ですから 。

（ 歩夢 ） でも隼人君
心拍再開するとは➡

思いませんでした 。
（ 沙苗 ） やっぱり アシュラ 先生すごいね 。

⚟ （ 自動ドアの開く音 ）

杏野先生 。
何？

すいませんでした！

勝手に 心臓マッサージ
止めてしまって… 。

この時季の川の水は
まだ冷たいでしょ 。

冷水下では
１時間を越えて水没しても➡

生存できることがある 。

だから諦めずに蘇生を続けた 。

知りませんでした… 。

あの場に
ボウズしかいなかったら➡

あの子は今頃 死んでた 。

修羅場で迷いは命取りになる 。

研修医だろうが➡

目の前の患者の命に
責任を持ちなさい 。

はい 。

♬～

どうか お願いします！

杏野先生が 次にルールを破ったら
大黒先生は指導力不足で降格 。

そう お伝えしましたよね？
（ 大黒 ） そんな… 。

（ 不動 ） 大黒先生には本日をもって
救急科科長から➡

降りていただきます 。
（ 大黒 ） お願いします 。

もう一度…
もう一度 チャンスを下さい！

お願いします！

そこまでおっしゃるなら
まあ いいでしょう 。

（ 大黒 ） ありがとうございます！
（ 不動 ） ただし➡

２度目は絶対にありません 。

これが正真正銘
最後のチャンスです 。

ハァ… 。
どうしたんですか？

（ 加代子 ） 院長から
救急科の残業代が高過ぎるって➡

怒られちゃって 。
（ 歩夢 ） 文句があるなら➡

スタッフ増やしてもらいましょう 。
（ 加代子 ） うちは年中 赤字だし➡

まったく聞いてもらえないのよね 。
だけど 毎日 いっぱい➡

患者さんが来て忙しいですよね？
何で赤字なんですか？

挿管 １回 ５，０００ 円 。
えっ？

心臓マッサージ ３０ 分 ２，５００ 円
胸腔ドレナージ ２，７５０ 円➡

カウンターショック ３万 ５，０００ 円 。

高いと思う？
え… どうなんですか？

ちなみに心臓外科の弁置換術は
１００ 万円 。

高っ！
（ 加代子 ） 病院に入る報酬は➡

桁違いに安いのに
夜間も休日もスタッフを➡

多く配置しなきゃいけない分
人件費がかさむ 。

赤字になって当然でしょ？
（ 歩夢 ） 救急科の患者さんは➡

時間に関係なく来ますからね 。
（ 加代子 ） 病院にとっては➡

救急より
外科の方がお金になるのよ 。

（ 多聞 ）
《もうけにならない救急科は➡

近いうちに閉鎖する》

（ 加代子 ） 薬師寺先生は？
将来 救命医になるつもりあるの？

いやいやいや 絶対に嫌です！

僕は研修医 終わったら
実家の皮膚科を継ぐので 。

（ 自動ドアの開く音 ）
ＩＣＵの肺炎の人だけど➡

血圧 ９０ 以下でコールして 。
分かりました 。

（ 多聞 ）
《俺は 救命をつぶすつもりだ》

（ 加代子 ） 《アシュラ先生も
ほっとしてんのかもね》➡

《多聞先生がいない間
ずっと一人で頑張ってきたから》

（ 大黒 ） ハァー… 。

（携帯電話） （ バイブレーターの音 ）

あぁ… 。 ハァー… 。

（携帯電話） （ 香織 ） はい 。
（ 大黒 ） 離婚の件➡

考え直してほしい 。
（携帯電話）言ったでしょ 。

私 もう限界なの 。
（ 大黒 ） だけど➡

あともう一歩で 診療部長に
なれるかもしれないんだ 。

そしたら家族の時間も… 。
（携帯電話）もういい 。 ➡

あなた 何も分かってない 。
（携帯電話） （ 通話の切れる音 ）

いや あっ あ… 。
（携帯電話） （ 不通音 ）

ハァー… 。

（ 金剛 ） 大黒先生に
最後のチャンスですか？

杏野先生を首にできなかった以上
彼女の見張り役が必要ですから 。

確かに！ さすが院長！

素晴らしい洞察力＆
素晴らしいサムシング 。

いや 感服です 。

救急科がなくなれば
彼も首ですけどね 。

確かに 。 感服です 。

理事長！
どちらにいらっしゃるんですか？

（ 阿含 ） ああ… 民自党の中園先生に
会いにいってくるわ 。

中園幹事長と ！？
では私も お供いたします 。

結構よ 。 今日は多聞先生が
セッティングしてくれたから 。

（ 不動 ） えっ… 。
（ 阿含 ） じゃあ 不動院長➡

あとよろしくね 。

（ 阿含 ） 救急科の閉鎖を
検討してる件は➡

杏野に伝えたの？
（ 多聞 ） はい 。

彼女 何て言ってた？
（ 多聞 ） 杏野の意見は➡

関係ありません 。
（ 阿含 ） そうかもね 。

でも多聞先生 救急科の閉鎖は➡

ホントに あなたの本心なの？

それが
最善の選択だと思っています 。

（ 金剛 ） 多聞は
やけに理事長に取り入ってますね 。

このままでは新病院の院長の座を
奪われかねません 。

一刻も早く何とかしなくては 。

院長 。 私に 一つ考えがあります 。

全て この金剛 又吉めに
お任せあれ！

さすがは金剛先生 楽しみです 。

たの… たたた… 。

（ 笑い声 ）

（ 笑い声 ）

（ 大黒 ） はい 終わりました 。 ➡

気を付けて帰ってくださいね 。
（ 女性 ） ありがとうございました 。

（ 大黒 ） お大事に 。

九曜さん！
（ 沙苗 ） はい 。

今夜 杏野が
重症患者を取ろうとしたら➡

絶対に止めてくれ 。
（ 沙苗 ） え？

そんなの私には無理ですよ 。
杏野先生に 直接言ってください 。

あ… じゃあ 電話 。
連絡してくれ 。

え～ 。
（ 大黒 ） 頼んだぞ 。

くれぐれもよろしくな！
（ 沙苗 ） えっ… 。

（ 香織 ） これ 書いといてくれる？

ちょちょっ 待ってくれよ 。
ちゃんと話し合おう 。

（ 香織 ） 翔太も分かってくれた 。 ➡

あなたとは もう
これ以上やってけない 。

え っ！？ 大黒先生 そんなお願いして
帰ったんですか？

でも無理でしょ
アシュラ先生いるし 。

⚟ （ ドアの開く音 ）

来る 。
（インターホン）

（ サイレン ）

ボウズ急いで！
ああ… 。

服 触りますね 。
（ 歩夢 ） 着きましたよ 。

分かりますか？
（ 歩夢 ） 聞こえますか？

お名前 言えますか？

バイタルは？
血圧 １００ レート １３０ ➡

サチュレーション ９８
意識レベル２桁です 。

血算 生化 準備して 。
ライン２本とって 。

（ 歩夢 ・ 保 ） はい 。
大量の左後腹膜血腫あり 。

背中側から
出血してるってことですか？

早く止血しないと
出血性ショックになる 。

えっ ！？
（ 歩夢 ） レントゲン来ました！

胸と骨盤 急いで 。

左肺の血胸がある 。
肺からも出血してるんですか？

このままじゃ
肺の呼吸不全を起こす 。

（ 歩夢 ） 先生！
頭部の出血 止まりません！

圧迫止血 続けて 。
今すぐ オペの用意 。

僕らだけじゃ無理です 。
外科に応援 呼びましょう！

（ 沙苗 ） 先生 ＩＣＵの患者さんが
自己抜去して呼吸困難です 。

今 そっちに行くのは無理です 。
（ 沙苗 ） 何言ってるんですか？➡

患者さん 死んじゃいますよ 。
こっちの患者さんも➡

死にそうなんです！
（ 沙苗 ） じゃあ➡

どうしたらいいですか？

（ 沙苗 ）
杏野先生 指示お願いします 。

バイタルは？
（ 歩夢 ） 血圧 １２５ 脈拍 １０９ ➡

サチュレーション ９９ です 。

３分は持つ 。
えっ？

戻ったら すぐ処置する 。
外科 呼んどいて 。

待ってください！

（ 歩夢 ） 先生 応援呼びましょう！
あっ そうだ… 。

（携帯電話）

（ 金剛 ） はい 。
（携帯電話）すいません 救急科です！

（ 金剛 ） どうしました？
（携帯電話） ヘルプ をお願いしたいんですが➡

７０ 代 多発外傷の患者さんです 。
（ 金剛 ） あっ それは大変だ 。 ➡

すぐに手伝いに行くよ 。
（携帯電話）ホントですか？➡

ありがとうございます 。
（ 金剛 ） ただ 今は忙しくて➡

手が離せなくてね 。

私が行くまでに
ＣＴを撮っといてください 。

あの 今すぐ来てくれるんじゃ… 。

（携帯電話） （ 通話を切る音 ）
（携帯電話） （ 不通音 ）

マカロン カヌレ マカロン
からの ボ… 。

と見せかけての ショートケーキ 。

いいじゃん いいじゃん
いいじゃん 。

おいしい～ 。
（ 笑い声 ）

（ 歩夢 ） 先生 どうしますか？

ＣＴ！ 杏野先生に確認しなきゃ 。

（ 心電計の警告音 ）

（ 沙苗 ） サチュレーション ７０ です 。
再挿管する 喉頭鏡 。

（ 沙苗 ） はい 。
（携帯電話）

（ 心電計の警告音 ）
（携帯電話）

出ない！
《修羅場で迷いは命取りになる》

《研修医だろうが➡

目の前の患者の命に
責任を持ちなさい》

頻脈だけど
サチュレーションは安定してる 。

今すぐＣＴ室に運びます 。

（ 歩夢 ） 杏野先生に
確認しなくていいんですか？

データは先生も必要です 。
急いでください！

（ 沙苗 ） どうしたんですか？
喉頭浮腫 。

狭窄して再挿管できない 。
輪状甲状間膜切開の用意 。

（ 沙苗 ） はい 。

（ 心電計の警告音 ）

止めてください！

（携帯電話）
取って 。

（ 沙苗 ） はい 。
（携帯電話）

（携帯電話） （ 操作音 ）
何？

（携帯電話）先生
ショック状態になっち ゃ いました！

ＣＴ室です！ すぐ来てください！

無理 。 外科的気道確保中 。

だいたい
何でＣＴなんか撮ってんの 。

だって金剛先生が
撮っておけって… 。

先ほど救急隊員に確認したところ
患者は 身寄りのない老人で➡

死んでも
訴えられる心配はありません 。

患者もみないで検査…
なるほどね 。

もともと
みるつもりなかったってことか 。

これで救急科が
患者を死なせたとあれば➡

診療部長のたもーんに
責任を全部押し付けて➡

あいつを
追い出すことができますよ 。

院長 。 全て この金剛 又吉めに
お任せあれ！

修羅場 上等じゃない 。

私が行くまで
絶対に持たせなさい！

えっ ！？ でも どうすれば… 。
（ 心電計の警告音 ）

胸腔内に血がたまって
呼吸循環不全になってる 。

今すぐ挿管して 。
挿管なんて僕には無理です！

先生 助けてください！

患者を助けられるのは
あんたしかいない 。

腹くくりなさい！

（携帯電話） （ 通話の切れる音 ）
先生？

先生！
（ 心電計の警告音 ）

（ 歩夢 ） サチュレーション
どんどん下がってます！

（ 心電計の警告音 ）
頼む… 上がってくれ 。

（ 心電計の警告音 ）

挿管します！

（ 歩夢 ） 保 やったことあんの？

学生の頃！ 人形で… 。

でも やるしかない 。

喉頭鏡 下さい！

♬～

入らない… 。

何で入んないんだよ… 。

早くしないと死んじゃう… 。

（ 心電計の警告音 ）

（ 歩夢 ） 先生 サチュレーション７０ です！
分かってるよ！

入れ！ 入れ 入れ 入れ… 。

入ってくれ！
（ 歩夢 ） サチュレーション ６０ です！

入れ！ 入ってくれ… 。

（ 歩夢 ） どうしたの？

無理だ… 。
（ 歩夢 ） えっ？

やっぱり僕には無理だ… 。

（ 歩夢 ） 無理って…
ここには保しかいないんだよ！

だけど無理なんだって！

杏野先生… 助けてください… 。

あと お願い 。
（ 沙苗 ） はい 。

くそっ！

♬～

♬～

ハァ ハァ ハァ… 。

さて そろそろ行くとするか 。

アシュラの苦痛にゆがむ顔を
拝みにね 。

ここで 一句 。

修羅場にて 苦痛にゆがむ
アシュラかな 。

元気ですか！

アシュラバが修羅場で
シュラシュシュシュ 。

（ 笑い声 ）

おっと 笑ってちゃまずいかな 。

ゴー！

いやあ 遅くなってすまない 。
患者の状態… 。

えっ ！？

たもーん ！？ う… 嘘だろ… 。 ➡

まさか ここでオペしてるのか？

（ 多聞 ） 肺門背側に凝血塊がある 。
出血源 探します 。

（ 歩夢 ） 先生 出血が… 。

止血する 。 長鑷子と長クーパー 。
（ 歩夢 ） はい！

♬～

（ 歩夢 ） 止まった… 。

エンドＧＩＡ キャメル 。
（ 歩夢 ） はい 。

（ 多聞 ） いったん戻して
サテンスキーかけ直すぞ 。

はい 。

止めて 。
（ 多聞 ） 今だ 。

（ 歩夢 ） 《すごい… 。
この２人 完璧に息が合ってる》

終了 。

院長にも伝えといて 。

おかげさまで
修羅場を楽しませてもらったって 。

あ… いや… 。

ひっ！ た… 多聞… 。

（ 多聞 ） ひとまず
呼吸循環動態は安定しました 。

それはよかった 。
（ 多聞 ） あとは頼みますよ➡

金剛先生 。
（ 金剛 ） もっ もちろん➡

この金剛 又吉めにお任せあれ… 。

何で助けたの？

救急科をつぶすって言ってたのに 。

（ 多聞 ） 俺は別に
救急科に運ばれてくる➡

患者の命を
見捨てたいわけじゃない 。

じゃあ どうして閉鎖なんて… 。

約束は？

約束は もう忘れたの？

（ 多聞 ）
《帰ってきたら ２人で一緒に➡

日本の救命を変えよう》

うっ… 。

ハァ… 。

（ 多聞 ）
《俺は 救命をつぶすつもりだ》

あ… あの！

何？
多聞先生と何かあったんですか？

何もないけど 。

もしかして
また何か言われたのかなあって… 。

また？ どういう意味？

あっ！ この間➡

救急科が閉鎖するって
言われてるのを聞いちゃって… 。

大丈夫ですか？

ボウズが
心配するようなことじゃない 。

でも… 多聞先生は➡

救急科を
裏切ったってことですよね？

多聞先生がいない間➡

杏野先生は
ず っ と一人で頑張ってきたのに…！

一人で治療も満足にできない
ボウズが➡

私の心配するなんて １００ 年早い！

あしたまでに
挿管できるようにしてきなさい 。

ハァ… 。 ➡

うおっ 。
（ 沙苗 ） 大黒先生 。

（ 大黒 ） 患者は ！？
（ 沙苗 ） 金剛先生が来てくれて➡

さっき 外科に入院になりました 。

（ 金剛 ） ご期待に応えられず
大変申し訳ございませんでした！

まさか多聞が助けに来るなんて…
くそ～！

くそ～！ アシュラも相変わらず
好き勝手にやってるようです 。

本来なら今頃
彼女を首にできていたというのに 。

ていていっ ていっ！
ていていっ！

大変…
申し訳ございませんでした！

まったく どうなってんだ！➡

いいかげん
あの女を何とかしなさい！

ご迷惑をお掛けしました 。
（ 不動 ） 大黒先生➡

あなたには失望しました 。

杏野には厳重に注意しておきます 。

だから 降格だけは… 。

お願いします！

（ 不動 ） 何度も言いますが
うちは重症患者を➡

受け入れない方針です 。

組織のルールは絶対です 。
分かってますよね？

♬～

杏野！
お前 何てことしてくれたんだ 。

文句 言われるようなことは
何もやってない 。

外科から
救急科に無理やり呼び出されて➡

業務に支障があったと
クレームがあった 。

無理やり？ そんなの嘘です！
むしろ全然来なくて➡

患者さん 死んじ ゃ うところでした 。
（ 大黒 ） そもそも 重症患者は➡

受け入れるなと言ってるはずだ！
（ 沙苗 ） だけど あの患者さんは➡

４軒も搬送を断られてたんです 。
うちまで断ったら➡

絶対に亡くなってました 。
（ 大黒 ） そんなこと➡

どうでもいいんだよ！

（ 大黒 ） まさか 君たちまで
杏野の影響➡

受けてるわけじゃないだろうな 。
ここは病院だ 。 組織だ！

上からの命令は絶対なんだよ 。

（ 歩夢 ）
いいかげんにしてください！

どうして
患者さんが助かったことを➡

素直に喜べないんですか？

先生 待ってください 。

（ タイピング音 ）

ボウズ ＩＣＵ行くよ 。

来る 。

ハァ… ハァ… ハァ… 。 ➡

ああ～っ！

（インターホン）
あっ… 。

（インターホン） （ 吉祥寺 ） 自動車暴走による
交通事故で➡

小児１名 受け入れお願いします 。
現在 血圧 測定不能➡

意識レベル３桁です 。
連れてきて 。

（ 大黒 ） やめろ 。 うちで
診られる状態の患者じゃない 。

あんたは
どんな患者でも診ないでしょ 。

それに子供だぞ？
安易に受け入れて➡

何かあったらどうするつもりだ 。
訴訟になりかねない！

早く断れ 。 んっ 。
（インターホン） （ 操作音 ）

何度言ったら分かるんだ 。

うちは
重症患者は受け入れない方針だ！

病院のルールは絶対なんだよ 。

（インターホン） （ 香織 ）
あなた 助けて… 翔太が！

（インターホン） （ 吉祥寺 ）
お母さん 落ち着いてください！

（インターホン） （ 操作音 ）
（ 大黒 ） 香織か？

（インターホン） （ 香織 ） あなた…
どこも受け入れてくれないの 。 ➡

翔太が死んじゃう！
（ 大黒 ） 翔太が ！？

（インターホン）ねぇ お願い 。 助けて！

（インターホン） （ 吉祥寺 ）
受け入れ可能でしょうか ！？

うちに 小児外傷を診られる
医者はいません 。

東王大の…
東王大の救命センターに➡

運んでもらえませんか？
（インターホン）東王大は ベッド満床で➡

断られました 。
（ 大黒 ） えっ… 。

（インターホン）近隣の病院は
全て受け入れ不可です 。 ➡

搬送先が見つかりません！
（ 大黒 ） そんな… 。

うちが受け入れる 。
すぐに連れてきて 。

やめろ ここじゃ助けられない… 。

あんたの息子でしょ 。

私が修羅場から必ず救ってみせる 。

♬～

すぐに用意して 。
（ 保たち ） はい！

（ 吉祥寺 ） ３でいきます 。
（ 一同 ） １ ２ ３ 。

ライン２本とって 。
輸液全開で投与して 。

はい！
（ 歩夢 ） 服 切ります 。

バイタルは？
血圧 ７０ 脈拍 １５０　サチュレーション は➡

マスク４リットルで ８８ ％です 。
顔面蒼白に頻拍 血圧も低い 。

ショック状態 。
ショックの原因は… 。

鈍的損傷 。

内臓が
やられてるってことですか ！？

（ 心電計の警告音 ）

（ 歩夢 ）
先生 血圧が ６０ に下がりました 。

今すぐオペする 。
大至急 麻酔科医 呼んで 。

（ 歩夢 ） はい 。
輸血 準備 。

はい！
（ 心電計の警告音 ）

（ 心電計の警告音 ）

メス 。
（ 沙苗 ） はい 。

開創器 。
（ 沙苗 ） はい 。

吸引して 。
はい！

もっと深く！
分かりました！

脾臓が損傷してる 。
えっ ！？

縫合する 。 ３－０のバイクリル 。
（ 沙苗 ） はい 。

おかしい 。 出血が止まらない 。

長鑷子とガーゼ 。
脾臓以外にも➡

出血点があるってことですか？

（ 大黒 ） ハァ ハァ ハァ… 。

ここ 吸って 。
はい！

違う ここ！
えっ… 。

早く！
あっ 。

すいません！ 着替えてきます！

どこ？
（ 心電計の警告音 ）

（ 歩夢 ） 先生
血圧 どんどん下がってます！

どこなの… どこ ！？
出血で見えない！

どこにある ！？

（ 心電計の警告音 ）

どこ… 。
（ 心電計の警告音 ）

大黒先生… 。

（ 大黒 ） 俺にも 手伝わせてくれ 。

自分の子供を手術できるの？

（ 大黒 ） 俺は医者だ 。
息子を助けたい 。

術野展開して 。 出血点 探す 。
（ 大黒 ） 了解 。

ガーゼ 。
（ 沙苗 ） はい 。

（ 大黒 ） 肝臓は問題ないな 。
胃の裏側か… 。

ケリー 。
（ 沙苗 ） はい 。

どうしたんですか？

（ 大黒 ） 門脈上で
膵臓が完全断裂してる 。

えっ ！？
（ 大黒 ） すでにかなりの出血量だ 。 ➡

これ以上 時間はかけられない 。
止血のために➡

膵臓の体尾部を
全て切除するしかない 。

切除… いいんですか？

まだ １２ 歳なんですよ！
（ 大黒 ） 仕方がない！➡

インスリン注射が
生涯必要になるが➡

命には代えられない！
何言ってんの 。

切除はしない 。
えっ？

（ 大黒 ） だが この状況で
切除以外に助ける方法はない！

Ｌｅｔｔｏｎ－Ｗｉｌｓｏｎ 手術をする 。

膵臓の頭側断端を閉鎖し
挫滅部をデブリして➡

膵体部の断裂部と
空腸を吻合すれば➡

膵臓の機能を全部残せる 。
（ 大黒 ） 無理だ！➡

そんな難しいオペができる医者は
うちにはいない 。

私ならできる 。
（ 大黒 ） いや しかし…！

修羅場で迷いは命取りになる 。

迷ってる暇はない 。 手伝って！

（ 大黒 ） 分かった 。

三爪鑷子と小児用ケリー 。
（ 沙苗 ） はい 。

絶対に助けるから 。

♬～

♬～

♬～

ありがとう 。
翔太のこと助けてくれて 。

違うんだ 。

本当は 翔太を受け入れることを
迷ってしまった 。

翔太を助けられるか
自信がなくて 。

（ 大黒 ） 俺は 医者としても
父親としても失格だ 。

（ 香織 ） でも翔太の命を
救ってくれたでしょ 。

（ 香織 ） 気付いたの 。 ➡

あなたは今まで こうやって➡

いろんな人の命を
救ってきたんだって 。

この間 翔太が言ってたの 。

将来は お父さんみたいな
救命医になるって 。

えっ…？

翔太は ちゃーんと
あなたの背中 見てたんだね 。

♬～

これからは 翔太にとって➡

恥ずかしくない…➡

恥ずかしくない医者に
ならないとな 。

うん 。

翔太君のオペ
うまくいってよかったですね 。

（ 加代子 ） まさか救命で
Ｌｅｔｔｏｎ－Ｗｉｌｓｏｎ 手術やるとはねぇ 。

（ 沙苗 ） あんなの
絶対 杏野先生だけだからね 。

僕 救命医ってすごいなって
思いました 。

だって 自分の家族の命を
救ってあげられるんですよ 。

（ 加代子 ） ん？ 薬師寺先生も
救命医 目指すつもりになった？

いえ それは絶対無理です！

だって また何もできなかったし
僕なんかじゃ救命は無理です 。

杏野先生は
何で 救命 選んだんですか？

私は ただ 患者を救いたいだけ 。

杏野先生 やっぱりすごいな 。

カッコイイっすね！

（ 少女 ） お父さん… お母さん… 。

お父さん… 。

（ 泣き声 ）

お母さん… 。

（ 泣き声 ）

⚟ （ ノック ）
（ 阿含 ） どうぞ 。

（ ドアの閉まる音 ）

どうかした？

国際帝釈病院の件で
一つ ご提案があるのですが 。

（ 阿含 ） 何か いいアイデアでも
浮かんだの？

ええ 。
（ 阿含 ） ぜひ聞かせてちょうだい 。

（ 不動 ） まさか 先生のお力を
お借りできるとは 。 ➡

大変心強いです 。

私が東王大におりました頃から➡

先生のご活躍は
耳にしておりました 。

先生のご協力があれば➡

全て われわれの
思いどおりになるでしょう 。

もちろんです 。
私の成功率は…➡

９９ ％ですから 。

♬～

⚟ヤバい！ ヤバい！ ヤバい！
（ 人々の悲鳴 ）

（ 人々の悲鳴 ）

♬～

（ 人々の悲鳴 ）
（ 救急車のサイレン ）

♬～