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( 救急車のサイレン )
( 救急隊員 ) 児童1名 多発外傷にて心肺停止です 。 ➡
すでに 5軒 断られてます 。 受け入れ お願いします 。
( 救急隊員 ) 駄目だ 。 受け入れ先が見つからない 。
( 保 ) ハァ… 。
( 歩夢 ) 救急科の当直が そんなに嫌?
だって 研修医が初日から 当直なんて あり得ないよ 。
心臓 止まってる人とか 来ないよね?
( 歩夢 ) 大丈夫 。 うちは重症患者さん取らないから 。
心肺停止とか大変そうな人は 全部 他の病院に回すの 。
ホントに そんなことしていいの? 院長の指示だから 。
重症患者 引き受けて➡
医療ミスとか起こされるの 嫌なんだよ 。
だから 軽そうな人しか 受け入れちゃいけないの 。
まあ… 僕にとっては ラッキーだけど 。
あっ でも 今日も アシュラ先生いるからね 。
アシュラ?
うん 。
♬~
[救急科には 阿修羅がすむ]
[病院内では そう噂されてるらしい]
[救命医の 杏野 朱羅先生のことだ]
めちゃくちゃ美人 。
うわっ!
( 朱羅 ) 来る 。
何が?
杏野先生!
夢でも見たんじゃないですか?
(インターホン) えっ !?
はい 。 (インターホン) ( 吉祥寺 )30 代女性 。 ➡
階段から転落し 救急要請 。 救急車内にて心肺停止です 。
私の患者… 。
すぐに連れてきて 。 えっ !?
心肺停止は受け入れないんじゃ… 。 さっさと準備して 。
え~っ !?
( サイレン )
何か変化は? ( 吉祥寺 ) 心肺停止のままです 。
代わる 。
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10。
1 2 3 4 5 6 7 8 9 20。
おりるよ 。
( 吉祥寺 ) 3でいきます 。 ( 一同 ) 1 2 3 。
( 歩夢 ) 服 切ります 。
DC準備 。 チャージ 150。 ( 歩夢 ) はい 。
あの… 僕は何をすれば?
モニターと換気 。 輸液も 。 はい!
30。
代わります! ( 吉祥寺 ) お願いします 。
はい 。 ( 歩夢 ) DC チャージできました 。
離れて 。 はい 。
( 除細動器の音 )
( 心電計の警告音 )
2分後に再評価 。 チャージ 200。 ( 歩夢 ) はい 。
動いて 。
⚟ ( 物音 )
( 男性 ) 頼む 親父を助けてくれ!
ヤクザ… 。
酸素 。 はい!
撃たれたの? お抱えの闇医者とかいるでしょ 。
何やと !?
あ~ 関西か 。 ボウズ 輸血 用意して 。
えっ 僕ですか?
止血も 。 え~っ !?
( 男性 ) おい こっちが先やろ!
( 男性 ) そんな女より 早く親父を治療せえ!
こっちは 心臓止まってんの! そっちは まだ動いてる 。
ボウズ 早く止血 。 えっ… 。
僕じゃ無理です! はぁ !?
分かりました 。
動け 。
動け!
( 歩夢 ) 2分経過しました 。 DC 。
離れて 。 ( 歩夢 ) はい 。
( 除細動器の音 )
( 心電計の音 )
心拍再開 挿管する 。 人工呼吸器 血算生化も 。
あと外科に連絡 。 ( 歩夢 ) 分かりました 。
ハァ ハァ… 。 ヤバい 全然 止まらない… 。
ハァ ハァ… 。
( 心電計の警告音 ) ( 男性 ) どないした?
血圧 60 ! お願い 止まってくれ!
何で お前が手術せんねん! だって 僕 研修医なんで 。
知るか ボケ! 杏野先生!
心拍再開したんですよね? 早く こっちに来てください 。
頭痛と嘔吐 右対光反射なし 瞳孔両側散大 。
おそらく 右急性硬膜下血腫 。
頭蓋内圧亢進による non-filling 状態か 。
えっ !? 脳に血流が行ってない ってことですか?
今すぐ減圧しなきゃ助からない 。 そんな… 。
( 歩夢 ) 先生! 脳外科 手が空かないそうです 。 ➡
オペ室も 2時間 空きません!
じゃあ ここでオペする 。
CTと穿頭ドレナージ準備 。 ( 歩夢 ) はい!
オペ? こんなとこでや っ ていいんですか?
しかも 脳ですよね !? 脳!
脳細胞は5分で死ぬ 。 脳外 待ってる時間ない 。
♬~
ペアン 。 ( 歩夢 ) はい 。
ホントに ここでやっちゃうんだ 。 開創器 。
( 心電計の警告音 )
先生 VTです! ( 心電計の警告音 )
( 男性たち ) 親父! しっかりせえ!
ボウズ 今すぐ心マして 。 えっ !?
早く! はい!
あっち 。 ( 歩夢 ) はい 。
何?
( 男性 ) 親父を先に治療せえ!➡
あぁ !?
あんた バカ? 私が死んだら親父も死ぬよ 。
( 男性 ) くそっ! ボウズ DC 。
はい!
離れて! ( 除細動器の音 )
( 心電計の警告音 ) 戻りません!
心マ再開 。 はい!
20。
30。
他の患者なんか どうでもええ 。 ➡
親父を助けろ!
私の患者に手を出すな 。
ドレーン ちょうだい 。 ( 歩夢 ) はい 。
これで いったん 脳圧 下げる 。 開腹セット用意して 。
( 歩夢 ) はい 。
メス 。 ( 歩夢 ) はい 。
開創器 。 ( 歩夢 ) はい 。
すごい出血だ 。 吸引して 。
はい 。
やっぱり 腹部大動脈が損傷してる 。
えっ !? どうするんですか? 人工血管 用意して 。
( 歩夢 ) はい 。 人工血管 まさか… 。
損傷した部分を切除して 人工血管で再建吻合する 。
こんなところで 大動脈手術なんて無理ですよ!
先生 心臓外科に連絡しましょう! ボウズ 吸引!
早く! はっ はい!
( 歩夢 ) 人工血管 持ってきました 。
♬~
《すごい… 。 脳の次は大動脈のオペまで》
《しかも 速い》
♬~
終了 。
( 心電計の音 )
波形 戻りました! ( 心電計の音 )
心拍再開 。
親父!
パックして仮閉腹する 。
オペ室 空いたら すぐ再開腹するから➡
輸血 追加して 。 ( 歩夢 ) はい 。
( 男性たち ) やった~! やったな~!
《たった一人で 2人の患者を同時に…》
《これが アシュラ》
♬~
( 歩夢 ) よかったね 2人とも助かって 。
でも 初日からヤバ過ぎだよ 。
( 歩夢 ) アシュラ先生は いつも こうよ 。
いつも !?
じゃあ 研修の3カ月間 ずっと こんな感じってこと?
何なの あの先生!
[このときの僕は まだ知らなかったんだ]
[アシュラと呼ばれる この先生が➡
救命という名の修羅場で 戦う理由を]
♬~
( 大黒 ) 大変 申し訳ございませんでした!
( 不動 ) 驚きましたよ 。
まさか 一晩に2件も 重症患者を受け入れてしまうとは 。
大変 申し訳ございませんでした!
患者を助けて 何が悪いの 。
現在の救急科は 深刻な医師不足 。
最低限の人数で 何とか回している状況です 。
あんたのせいで みんなが辞めたからでしょ 。
( 不動 ) そんな状況で 重症患者を受け入れて➡
まともな医療ができるとは 思いません 。
これは 患者を守るためのルールなんです 。
助けたんだから いいでしょ 。 ( 不動 ) 運よく助かっただけです 。
一歩 間違えば 医療ミスにつながりかねなかった 。
私がいる間に 訴訟など起こされたら➡
たまったもんじゃない 。 何だ 。 結局 保身か 。
( 大黒 ) 杏野 待て! ( 不動 ) お二人に忠告しておきます 。
杏野先生は➡
次に勝手なまねをすれば 懲戒解雇 。 ➡
大黒救急科科長は 指導力不足として ヒラに降格 。
降格 !? いや そっ それだけは… 。
チャンスは一度っきりです 。 いいですね?
話って それだけ?
じゃあ 。
( 大黒 ) もっ 申し訳ございません 。 ➡
あとで よく言い聞かせておきますので 。
( 不動 ) お願いしますよ 。 ➡
ただでさえ 救急科は赤字続きで 当院のお荷物なんです 。
もう これ以上 余計なトラブルは 起こさないでいただきたい 。
承知いたしました!
懲戒解雇 !? それって 首ってことですよね 。
ただの脅しじゃないんですか? ( 加代子 ) だといいんだけどね 。
( 沙苗 ) 院長って 何で そこまで 救急科を目の敵にするんだろう 。
( 加代子 ) そりゃ 東王大に戻るためよ 。
どういうことですか?
( 加代子 ) 去年 教授選で負けて 東王大を追い出されたの 。
また戻るためにも 余計な トラブル 起こしたくないのよ 。
重症患者 受け入れたら それだけ ミスのリスクは上がりますもんね 。
( 加代子 ) あとは うちの赤字が目障りなのよ 。
( 歩夢 ) あっ 小倉さん 外科に引き継いできますね 。
僕も行ってきます 。 ( 加代子 ) いってらっしゃい 。
外科に移って 経過を見ていきますね 。
ず… ずっと 救急にいるわけじゃないんですね 。
救急科の役目は初期対応なので➡
落ち着いたら 専門の科に移るんです 。
へぇ~ 。
杏野だ 。 杏野だ 。 杏野を何とかしなければ… 。
( 金剛 ) ヘイ! ドクター大黒 。 ( 大黒 ) ああ 金剛先生 。 ➡
お疲れさまです 。 ( 金剛 ) お疲れさまです 。
違う違う 。
あの~ 昨日 救急科に 運ばれてきた患者ですけど➡
全て外科で 引き受けることになりました 。
ありがとうございます 。 ( 金剛 ) どういたしまして 。
違う違う 。 まったく 。
こっちは 今いる患者で 手いっぱいなんですよ 。
これ以上 患者を増やさないで いただきたいものですね 。
すみません 。
うん 。 謝ってくだされば 大丈夫です 。
違う違う 。 違う 。
勝手に受け入れといて 最後まで面倒を見ずに 他に回す 。
何とも楽な仕事で うらやましいですね 。
私も 救急科に移りたい… 違う違う 。
( 金剛 ) そうじゃない 。 そうじゃない 。
外科長の金剛と申します 。
小倉さんは 外科で 責任を持って治療しますので➡
ご安心ください 。 ( 佐江 ) よろしくお願いします… 。
( 陽菜 ) ママ!
陽菜… 。 ( 陽菜 ) 会いたかった 。
佐江! よかった~!
先生 娘を助けていただき ありがとうございます 。
何と お礼を申し上げていいか 。
いえ 医者として 当然のことをしたまでですから 。
本当に ありがとうございました 。 ( 陽菜 ) 先生 ありがとう 。
どうぞ お構いなく 。 違う違う 。 どういたしまして 。
納得いかない 。
小倉さんを助けたのは 救急科なのに➡
何で 外科が感謝されるんだよ 。
まあ 救急科は いつも そうだから 。
結局 最後は 他が持ってっちゃうの 。 ➡
報われないよね~ 。
( 不動 ) 国際帝釈病院の設立に 関してですが➡
融資を受けられる見込みは 非常に厳しく➡
開院のめどが立たない状況です 。
理事長 融資がおりない原因は➡
間違いなく 救急科が生み出す 年間3億円もの赤字です 。 ➡
理事長の悲願である 新病院を実現させるためには➡
救急科を閉鎖するしかありません 。 ( 大黒 ) 閉鎖 !?
院長 待ってください! ( 金剛 ) フフフ… 。
( 不動 ) 理事長 いかがでしょうか?
実は 私の切り札を呼んであるの 。
切り札?
入ってちょうだい 。
( 不動 ) 理事長 こちらは いったい… 。
( 阿含 ) 彼は 多聞 真先生 。 元救急科科長 。 ➡
ここ数年は 海外医療事業に 従事していたけど➡
副院長 兼 診療部長として 戻ってきてもらった 。
副院長 !? ( 大黒 ) 診療部長 !?
( 阿含 ) 不動院長 多聞先生をよろしく頼むわよ 。
かしこまりました 。
院長 これから よろしくお願いします 。
よろしく 。
( 加代子 ) えっ 多聞先生が帰ってきたの !?
( 沙苗 ) しかも 副院長 。 びっくりですよね 。
( 加代子 ) よかったわね 杏野先生 。
これで 救急科も安泰間違いなし 。
そうかもね 。
そんなに すごい人なんですか? ( 加代子 ) うん 杏野先生の師匠 。 ➡
アシュラ先生も ほっとしてんのかもね 。
えっ? ( 加代子 ) 多聞先生がいない間➡
ずっと一人で頑張ってきたから 。
( 多聞 ) 《阿修羅は 戦いの神であり 守護の神》➡
《きっと 救急科を守ってくれるはずだ》
《帰ってきたら 2人で一緒に 日本の救命を変えよう》
《はい》
《じゃあ またな》
( 車のドアの閉まる音 )
♬~
最高の医者を集めて 最先端の医療を提供し➡
世界中からVIP患者を集める 。 そう簡単ではないでしょうね 。
それでも 国際帝釈病院は➡
何があっても 絶対に実現させる 。
多聞先生 よろしく頼むわ 。 ( 多聞 ) ご期待に応えてみせます 。
ただし 例の約束は… 。 ( 阿含 ) もちろん 。
( 阿含 ) 私 約束は絶対に守る主義よ 。
ありがとうございます 。
今日も杏野先生と当直か… 。
( 大黒 ) いいか? 今夜は 絶対 問題起こすなよ!
この人 ノルアド8に上げといて 。
15 分後の血圧見て また 流量決める 。
( 沙苗 ) 分かりました 。 ( 大黒 ) おい 聞け!
何? お前 事の重大さが分か っ てんのか 。
首だぞ?
お前のせいで降格になったら 俺は もう おしまいだ… 。
( 大黒 ) 聞け!
来る 。
(インターホン) ( 大黒 ) おい 待て!
はい 。 (インターホン) ( 吉祥寺 )40 代女性 。 ➡
路上で意識消失し 現在 心肺停止 。 受け入れ お願いします 。
了解 。
受け入れはできない 。 他に回してくれ 。
また患者を見捨てるわけ?
院長の指示だ 。 降格したくないだけでしょ 。
患者の安全のためだ! うちには➡
重症患者を受け入れるほどの マンパワーはない!
私一人いれば じゅうぶん 。
もしミスしたら どうするつもりだ?
救急科全体の責任になるんだぞ 。
患者が修羅場をさまよってるの 。 そんなの関係ない!
今すぐ連れてきて 。
ボウズ エコー と蘇生 セット 用意して 。 あっ… はい!
勝手にしろ!
( 大黒 ) ハァ… 。 いってぇ!
( 加代子 ) また アシュラ先生が 重症患者 受け入れたんですね 。
( 大黒 ) もう 俺の手には負えない 。
昔の大黒先生を 見てるみたいですけど 。
えっ? ( 加代子 ) お疲れさまでした 。
( 不動 ) 教授 研究費のことで お困りのようでしたら➡
いつでも おっしゃってください 。 お力になりますので 。
( 教授 ) こちらは?
ちょっとした手土産です 。 ぜひ お召し上がりください 。
ところで 例の件ですが 。
東王大に戻るために ぜひとも➡
教授のお力添えを頂ければ ありがたく 。
( 教授 ) うーん… 。 何か ふさわしい実績でもあればねぇ 。
承知しております 。
必ずや 私の力で新病院を実現させ➡
申し分のない実績を 積んでご覧に入れます 。
そうは言っても 噂では 資金集めに苦労してるとか 。
ご心配なく 。
救急科を閉鎖すれば 万事解決です 。
( 教授 ) しかし 理事長が➡
元救急科科長を 呼び戻したそうじゃないか 。 ➡
救命を閉鎖する気は ないんじゃないか?
疲れた 。
(携帯電話) もう…!
( 田中 ) 近づくな こら~!➡
俺のこと好きなんだ…!
ちょっと落ち着いてください! ( 田中 ) 放せ!
落ち着いてください! ( 田中 ) うまそうだ!
痛~っ!
( 田中のいびき )
あっ 痛っ! ( 歩夢 ) あっ ごめん 。
酔っぱらいなんて 追い返せばよかったのに 。
ここに来た以上は 一応 患者さんだから 。
( ドアの開く音 )
あ~ おなかすいた 。 何かない?
これ もらおう 。
あっ 先生 それ 昨日から置いてあって… 。
うまっ 。 野生だ 。
やっぱり 腐ってましたか?
来る 。
( 歩夢 ) ストレッチャー入ります 。
( 救急隊員 )20 代男性 。 交通外傷にて重度ショックです 。
( 一同 ) 1 2 3 。
酸素と輸液 開始して 。 アンパッケージ 。
( 歩夢 ) はい 。 服 切るよ 。
先生 出血 止まりません! 動脈止血する 。
患部洗浄 血算生化輸血 用意 。 整形外科と麻酔科に連絡 。
( 沙苗 ) はい 。
( 田中 ) あ~… 。 ( 沙苗 ) うわっ!
( 田中 ) ここ どこだ !? 帰らせろ!
( 沙苗 ) 田中さん あっちで休みましょう 。
( 田中 ) うるせえな! ( 沙苗の悲鳴 )
ハハハ…! あっ 先生!➡
おい エヘヘ… 。
あっ あら 奇麗な先生じゃない 。 チューしていい?
処置の邪魔です! 出ていってください!
今すぐ 上部の内視鏡 用意して 。 ( 歩夢 ) 内視鏡?
早く 。 ( 歩夢 ) はい 。
杏野先生 動脈止血に 内視鏡は いらないんじゃ… 。
( 田中 ) 放せ!
うっ… 。
( 田中 ) うっ… うっ… 。
吐血 !? 田中さん… 。 えっ? えっ? 何で !?
食道静脈瘤 破裂 。 えっ?
眼球黄疸 。 胸部にクモ状血管腫 手掌紅斑 。
典型的な肝硬変症状 。 門脈圧の亢進によって➡
静脈瘤があるのも 容易に想像できる 。
それが破裂することも 。
もしかして さっき 診察してたんですか?
( 歩夢 ) 先生 内視鏡 用意しました 。 そこに置いて 。
( 歩夢 ) はい 。
《まさか 吐血するのが分かってて 内視鏡を…》
《すごい 。 あの一瞬で ここまで見えてたんだ》
( 心電計の警告音 )
( 沙苗 ) 先生 呼吸停止です 。
アンビュー 。 ( 沙苗 ) はい 。
あっ どうしよう どっちもヤバい 。
ボウズ その酔っぱらい SBチューブで時間稼ぎしといて 。
僕 止血できます 。
ボウズが? ( 歩夢 ) やったことあるの?
ここに来る前 消化器で研修したんです 。
カメラ下さい!
ここと… 。
ここか 。 電メス 。 ( 沙苗 ) はい 。
( 電子音 )
よし 。 やっと役に立てる 。
[食道静脈瘤の止血法 第一選択は EVL法]
[カメラの先端に 輪ゴムを装着し➡
出血点を吸引して 輪ゴムをかぶせることで➡
止血をはかる]
落ち着け 。
どこだ? 出血点 。
あった 。
今だ!
お願いします 。 ( 歩夢 ) はい 。
よし 。
やった~! ペアン 。
( 沙苗 ) はい 。 杏野先生 止血できました!
えっ !?
何で !?
もしかして リングが取れた !? ( 歩夢 ) 血圧 下がってます!
もういい! SBで避難して 。
いや 次は ちゃんと止めます!
早く… 早く 早く!
早く 早く… 。
早く 早く…!
( 歩夢 ) 保!
あっ…! ( 心電計の警告音 )
( 歩夢 ) 血圧 40 台です! くそっ!
何で 何で 何で…!
ハァ ハァ ハァ… 。
先生 。
ボウズには これ以上 無理 。
できます! もう一度 チャンス下さい!
修羅場に もう一度なんかない 。
( 心電計の警告音 )
外れてない 。
もっと奥か 。
( 心電計の警告音 )
胃ですか?
さっきは 何もありませんでしたよ 。
見っけ 。
何で !? さっきは 出血してなかったのに!
上部を止血すれば その分 下部に圧がかかり➡
違う箇所が出血する 。
押して 。 ( 歩夢 ) はい 。
( 心電計の警告音 )
( 心電計の警告音 )
( 心電計の音 )
( 歩夢 ) 血圧 戻りました!
( 心電計の音 )
他に出血しそうな所は なし 。 これで いったん 様子見る 。
ICUに運んで 。 ( 歩夢 ) はい 。
すいませんでした 。
1カ所だけ止血して いい気になってるから➡
見えるものも見えなくなる 。
起こりうる全てのことを 想像できる者だけが➡
命を救うことができるの 。
あんたは まだ 修羅場に立つ資格はない 。
( 沙苗 ) 先生 また搬送依頼です 。 今すぐ受け入れて 。
( 沙苗 ) はい 。
( 心電計の音 )
⚟ ( ドアの開く音 )
( 歩夢 ) んっ 。 お疲れさま 。
ありがとう 。
いや~ 大変だったね~ 。
僕 全然 駄目だったな 。
みんなに迷惑かけて 。
やっと 当直 終わったんだから 早く帰って寝なよ 。
うん 。 そうする 。
ボウズ 静脈瘤の患者 採血 見て 輸血オーダーしといて 。
交通外傷の方は CTフォロー 。
何してんの? 早く 。 頑張れ 。
⚟ ( ドアの開く音 )
あっ… 。 あっ!
おはようございます 。 おはよう!
あっ 僕 コーヒー入れますね 。
ひっ…! すいません!
来る 。
( 大黒 ) おい!
( 加代子 ) 大変です!➡
第7トンネルが崩落して 多数のケガ人が出たようです!
大黒先生 どうしますか?
重傷患者は 他の病院に任せよう 。 うちは 軽傷のみ受け入れる 。
今すぐ 全員 受け入れて 。 全員? バカなこと言うな 。
患者は 治療を待ってる 。 無理だ 。
そもそも ベッドに空きがない 。
そんな理由で 患者の命を見捨てるの?
ベッド の空きなんて どうにだって… 。 責任者は俺だ 。
お前に決定権はない!
( 大黒 ) 重傷者の受け入れは 不可と伝えてくれ 。
( 救急隊員 ) 《受け入れ お願いします!》➡
《すでに 5軒 断られてます》
( 救急隊員 ) 《受け入れ先が見つからない》
⚟《受け入れできません》 ⚟《受け入れ不可です》
⚟《重症患者は うちでは診れません》
何だ?
何を言っても 答えは変わらない 。
えっ…! えっ !? えっ !? おい 杏野!
もう やめてください!
ちょ… 離してください!
何なんすか! 現場に行く 。 運転して 。
え~っ !?
( サイレン )
( サイレン )
( ざわめき )
( サイレン )
( 医師たち ) 分かりますか? どうですか?➡
聞こえますか?
行くよ 。 はい 。
胸郭の膨隆と頸静脈怒張 。
緊張性気胸を起こしてる 。
肺に穴があいてるんですか?
そこから空気が漏れて 呼吸できなくなってる 。
たまった空気を外に出すよ 。
はさみ 。 はい 。
消毒 。 はい 。
サーフロー 14 ゲージ 。 はい… 。 これか 。
はい お願いします 。
( 空気の抜ける音 )
( 呼吸音 )
やった!
病院に搬送して 。 ( 隊員 ) 了解しました 。
( 隊員 ) 軽傷者1名 救出しました 。 ( 吉祥寺 ) 救急 こちらです 。 ➡
代わります 。 大丈夫ですか? あっ!
《娘を助けていただき ありがとうございます》
あの人… 。
お願いです! 戻らせてください! ( 吉祥寺 ) 許可できません 。
そんな…!
何があったの? ( 吉祥寺 ) 杏野先生!
孫が まだ中にいるんです! えっ !?
( 洋子 ) 鉄筋が刺さって動けなくて… 。
陽菜を助けてください!
ボウズ 行くよ 。 はい 。
( 吉祥寺 ) 駄目です! 中は再崩落の リスク があり危険です 。
患者の状態は 一刻を争うかもしれない 。
( 吉祥寺 ) 本部からの指示です 。 中に入れるわけにはいきません 。
そうですよ 先生 。 消防の指示に従いましょう 。
患者が修羅場をさまよってる 。
私は 命を見捨てることなんてできない 。
どいて 。 先生!
すいません… 。
( 隊員たち ) 大丈夫ですか? 大丈夫ですか?➡
いた! 至急 頼む!
( 隊員 ) 危険です! 外に出てください!
患者は?
( 隊員 ) ちょっと!
陽菜ちゃん! 陽菜ちゃん!
分かる?
心停止してる 。 救助の状況は?
( 隊員 ) 腹部を鉄筋が貫通しており 動かせません 。 ➡
これから がれきを撤去して 鉄筋ごと外に運び出します 。
待って 。 えっ?
先に開胸して 止血と心マする 。 開胸?
早く逃げないと 危ないですよ!
鉄筋をどうにかする方法を 考えた方が… 。
1秒でも早く心拍再開させないと 助からない 。
開胸せずに このまま 心臓 マッサージ すればいいじゃないですか 。
止血しないと 心拍再開後に大量出血を起こす 。
1分で終わらせる 。 ボウズ ルート取って点滴全開 。
はい!
♬~
( がれきの落ちる音 ) うわっ!
( 隊員 ) 大丈夫ですか? 大丈夫です 。
大動脈遮断して止血する 。 換気とアドレナリン 。
はい 。
♬~
《あれっ? この状態で心マって まさか…》
手で直接 心臓マッサージ!
動いて 。
頑張れ 頑張れ 頑張れ!
頑張れ!
頑張れ!
( がれきの落ちる音 ) うわっ! 先生 早く!
よし いい子 。
( 心電計の警告音 )
( 心電計の音 )
やった! 心拍再開しました!
鉄筋抜去して! ( 一同 ) はい!
( 隊員たち ) 1 2 3 。
( 隊員 ) 脱出しましょう 。 よかった 。 間に合った 。
( 心電計の警告音 ) 心停止 !?
おろして! グローブ! はい!
( 心電計の警告音 )
何で… 。 心拍再開したはずなのに 。
( 心電計の警告音 )
ボウズ バッグ取って 。 えっ? ああ… はい!
違う あっち! えっ?
早く! はい!
代わって! えっ… はい!
グローブ着けて 。 はい 。
代わります 。
♬~
インスリン? もしかして 糖尿病?
長時間 インスリン注射ができず➡
ケトアシドーシスから 高カリウム血症を来し心停止した 。
壊れてる 。 えっ !?
そんな… 。
どうするんですか?
先生!
⚟おったぞ! あっちや!
⚟ ( 足音 )
これ使い 。 ( 男性 ) その子のお母さんからや 。
♬~
代わる 。 はい 。
♬~
♬~
( 心臓の鼓動 )
( 心電計の音 )
心拍再開 。
( 一同の歓声 )
行くよ! はい!
( 崩落する音 )
早く!
( 男性 ) はよ行け! はよ…!
( 崩落する音 )
♬~
ぎりぎり助かった! ( 男性 ) 間一髪や 。
緊急でオペが必要だから うちの病院に運んで 。
外科に連絡しとく 。 ( 吉祥寺 ) 了解です 。
( サイレン )
先生 でも 何で➡
陽菜ちゃんが ケトアシドーシス だって 分かったんですか?
におい 。
一時的に呼吸が再開したおかげで 呼気のケトン臭に気付いたの 。
あんな状況で においに気付くなんて… 。
あっ でも➡
何で お二人は インスリンを 持ってきてくれたんですか?
( 男性 ) 親父のお見舞いに行ったらな➡
あの子のお母さんに頼まれたんや 。
おばあちゃんが お母さんに電話して➡
もしものときのために これを届けてくれって 。
そうだったんだ 。
女医さん これで親父の借りは返したで 。
とんとんや 。
どうも 。
ハァ… 。
( 洋子 ) あっ 先生 陽菜は… 。
手術は 無事に成功しました 。 ( 洋子 ) よかった…!➡
先生のおかげです 。 ありがとうございました 。
( 金剛 ) 医者として 当然のことをしたまでですから 。
( 洋子 ) ありがとうございます 。 ありがとうございます 。
行かなくていいんですか? 何で?
だって 陽菜ちゃんを本当に助けたのは➡
杏野先生じゃないですか 。 それなのに… 。
感謝されるために 助けたわけじゃない 。
だけど 先生は あんなに頑張って➡
こっちまで死にそうになりながら 助けたんです!
ちょっとくらい報われたって いいじゃないですか 。
あの子の命が助かった 。
それ以外 必要ないでしょ 。
( 歩夢 ) 薬師寺先生 ちょっといいですか?
あれっ? どうしたんですか? こんな時間に 。
( 歩夢 ) 小倉さんが どうしても 話したいことがあるらしくて 。
えっ?
む… 娘を連れてきてくれた➡
救急隊の方に聞いたんです 。
先生が 娘を助けてくれたって 。
違うんです 。 えっ?
僕は 何もできなかったんです 。
陽菜ちゃんを助けたのは 杏野先生です 。
僕は ただ そこにいただけで➡
何をすればいいのかも 分からなくて➡
杏野先生の足を 引っ張ってばっかり… 。
( 佐江 ) 先生のおかげです 。
先生が 危ないトンネルの中に➡
勇気を出して 入ってくれたから➡
娘は 助かったんです 。
わ… 私の命も 娘の命も➡
先生が 救ってくれたんです 。
あ… あ… 。
ありがとうございました 。
( 歩夢 ) そろそろ 病室に戻りましょうか 。
はい 。
♬~
( すすり泣き )
♬~
♬~
こっちの生活は どう? アメリカが恋しいんじゃないの?
日本も なかなか悪くないわよ 。 結構 楽しんでるの 。
( 阿含 ) フフ… うらやましい 。
こっちは そうも言ってられないのに 。
色々と一筋縄ではいかないようね 。 ( 阿含 ) ええ 。
でも なるべく早く 片を付けなきゃならない 。
救命の件?
( 阿含 ) ところで あなた まだ 次の病院 決めてないわよね?
ええ そうだけど 。
⚟ ( ノック )
来たみたいね 。
わざわざ 現場に出向いての治療 ご苦労さまでした 。
しかし 杏野先生 あなたは 私の忠告を無視した 。
宣言どおり 首です 。
今すぐ この病院から出てってください 。
⚟ ( 足音 )
多聞先生 。
杏野 久しぶりだな 。
( 不動 ) 多聞副院長 どうなさいました?
杏野を首にする件ですが 撤回していただきたい 。
( 不動 ) 撤回?
いきなり やって来て 何をおっしゃるんですか… 。
杏野 これから お前には 外科に所属してもらう 。
外科? どういうこと?
あっ 先生 お待ちしておりました 。
このたびは お招きいただき ありがとうございます 。
( 阿含 ) この方は 梵天先生 。 ➡
日本一の心臓外科医が うちに 来てくれることになったのよ 。
帝釈に?
先生に来ていただけるなんて ホントに心強いですわ 。
全て 私にお任せください 。
ナオミ あなたも 帝釈に来てもらう 。
梵天先生と2人で 外科に入ってちょうだい 。
いったい 何をたくらんでるわけ?
私は ただ… 。
一人でも多くの患者を 救いたいだけよ 。
お前ほど腕のある医者が 救急科にいるのは もったいない 。
外科医として 患者を救うんだ 。
外科になんか興味ない 。 私には救命がある 。
俺は 新病院を実現させるために 戻ってきた 。
そのために もうけにならない救急科は➡
近いうちに閉鎖する 。
俺は 救命をつぶすつもりだ 。
♬~
♬~
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