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(ポウ) この中にいるんだな 4人を殺した犯人が
(ポウ) ヤツが俺たちを 殺す動機なんて ないだろう!
(エラリイ) 中村千織だよ
(ポウのうめき声)
(ヴァン) おい ポウ!
(中村紅次郎) あれは兄が企てた無理心中だった
(ヴァン) 中村青司は生きている
(ヴァン・エラリイ) わあ!
(島田 修) 県警捜査一課の島田です
(江南孝明) お兄さんですか!
あの みんなに何があったのか 教えてもらえませんか?
(修) 1人を除いては 他殺の疑いがあります
今のところ その男が他の全員を殺して――
自らは焼身自殺をしたという 見解になるでしょうな
その男って?
松浦… 松浦純也
松浦? エラリイが!?
(島田 潔) 彼らは海外の有名作家の名前を ニックネームにして呼び合ってんだ
(修) ということは 守須君は…
モーリス・ルブランあたりかな
(守須恭一) いえ 僕は…
(守須) ヴァン・ダインです
(リポーター) 3月31日未明――
ここ大分県S町の 沖合にある角島で――
十角館と呼ばれる 建物から火災が発生
現場からは そこに滞在していた――
6名の大学生の遺体が 発見されました
さらに――
さらに全焼した十角館の地下室から――
昨年9月の青屋敷事件以来 行方不明だった――
造園業者 吉川誠一さんと 思われる――
遺体も発見されました
警察は――
今回の事件との関連性を 調べるとともに――
再び大量殺人事件が 起きた可能性も視野に入れて――
捜査を進める方針だと…
(修) 本日 皆さんに 集まってもらったのは他でもない
先日あった角島の事件について 皆さんのお話を伺うためです
(捜査員) 改めて事件の概要を 説明しますと――
亡くなった6人のうち 5人は火災当時 すでに死亡していたものと思われます
(捜査員)大野由美は絞殺
東 一は撲殺
山崎喜史 鈴木哲郎 岩崎杳子に関しては――
毒殺の疑いが強い
(修) そしてこの松浦純也が 部屋に灯油を撒いて――
焼身自殺を図った模様なんですなあ
(部員) じゃあ やっぱり松浦先輩が 他の5人を殺したってことですか?
まあ そういうことになりますかな
外部の人間の仕業とは 考えられないんでしょうか?
それはちょっと 考えられませんねえ
まず何と言っても 松浦純也は自殺らしいということ
3人に用いられた毒物の購入ルートも――
松浦の親戚が O市内で薬局をやっていて――
そのあたりから説明がつきそうでね
何者かがこっそりと船で乗り込んで――
3日以上もかけて 大量殺人を行ったとは――
常識的には考えられんでしょう
確かにそうですね
(江南) あの… ちょっとよろしいですか
(修) 何だね
青屋敷事件の時は――
よく似た状況で焼死した中村青司にも 他殺の判定が下されましたよね
それなら今回だって その可能性も視野に入れるべきでは?
(修) フフフ…
参りましたな
当時 中村青司が他殺だと 断定された最大の理由は――
行方不明になった 庭師の存在が大きかった
だが その庭師の遺体が 今回の事件で見つかった以上――
青屋敷事件も 大きく見直されることになる
あれは中村青司がやった 無理心中事件だった
そのことを裏付ける新情報も ある筋から出てきていてね
(守須)
中村紅次郎さんですか
これ以上は申し上げられませんな
話を今回の事件に戻しましょう
状況からは 松浦純也が犯人と見て ほぼ間違いないわけだが――
どうしても分からんのです
彼の動機が
(守須)
(物音)
(物音)
(守須) じゃあ お先に
(江南) 何だよ もう帰るの?
(守須) バイトだよ じゃあな
(守須) 誰にも言わないと決めた>
(中村千織) 私も祖父に用を 頼まれてるんで 今日はこれで
(オルツィ) また明日ね (千織) うん
お先に失礼します
(バスのブザー)
(守須) 壊されてしまうような気がして>
(守須) このトリックは 少し物足りなかったかな
(千織) え? 私 全然 気づかなかった
(守須) いいよなあ 千織は 僕よりミステリを楽しめて
(守須) 誰にも奪われたくなかった>
(扉の開閉音)
え?
あっ…
(守須) 僕だけのものにしておきたかった>
(守須)
(ポウ) もともと心臓に 持病があったらしい
医者からも アルコールは 気をつけるように言われていたそうだ
(ルルウ) 分かっていたら 飲ませたりしませんでしたよね
(カー) おい 誰も飲ませたりなんか してねえだろうが
(アガサ) あの子が 自分から飲んだんじゃない
(エラリイ) あれは不幸な事故だよ
誰も悪くない
(守須) 千織の最期はこうだ>
(ポウ) あれだよ ああ 出てこい あれ あれ…
(ルルウ) どんなやつですか?
(エラリイ) ねえ 君 一番好きなミステリは何だい?
(ポウ) そう それ!
(ルルウ) 気になる 気になる
やっぱり子どもの頃から読んでいた シャーロック・ホームズシリーズとか
(一同) おお (アガサ) ちょうどいいじゃない
江南くんが辞めたら ドイルは 千織ちゃんに引き継いでもらいましょ
(カー) いいねえ
(カー) ほら (千織) あっ…
(カー) じゃあ 襲名の杯だ
(オルツィ) ダメですよ 先輩 千織も私と同じ未成年なんですよ
(カー) なに… 冗談だよ 冗談
(オルツィ) えっ… ちょっと千織!
大丈夫 私 もう未成年じゃないから
え?
(千織) 今日ね 誕生日なんだ
そうなの!?
おめでとう だったら乾杯しましょうよ
おう
(エラリイ) では 次のミス コナン・ドイルに乾杯
(一同) かんぱーい!
(守須) よく分かっていた>
無理やり飲ませたとしか思えない>
(雷鳴)
(ポウ) おい! しっかりしろ!
(アガサ) ウソでしょ… 何で!?
待って
もし毒が入っていたとしたら
(カー) 俺が酒に毒入れたって 言いたいのか!?
(ルルウ) やめてください 今 そんな場合じゃ…
(オルツィ) 救急車を呼んできます!
(守須) 助けも呼ばなかった>
それは都合のいい言い訳だ>
ひそかに期待したんだろう>
事件の幕開けなんじゃないか”と>
千織の救命を遅らせたんだ>
(修) それじゃあ また何か思い出したら 連絡してもらって構わんからね
(江南) あの…
例の中村青司からの手紙については どうお考えですか
6人が島に行ったのとは入れ違いで――
彼らは誰もあの手紙について 認識していなかったわけだ
はい
今回の松浦純也の犯行とは 関係のない――
全く別のイタズラと見るのが筋だろうね
あまり気を落とさんようにね
(守須) 納得いっていないのかい?
(江南) いや 俺は…
もう何も考えないことにした
何もかも遅すぎた
そうだな
今日は島田さんは?
他に行くところがあるって言ってた
何か事件に関わることかい?
さあね
(守須) あの人もどうせ 何も気づいてはいない>
(島田) やあ
兄貴にいじめられなかったかい?
(江南) はい
警察はエラリイの犯行だと 断定したいようでしたけど――
その動機が分からないみたいです
(島田) ふーん 君はどう思うんだい?
分かりません
もう何も考えたくないんで
そ… そんなにショックなのかい
当たり前じゃないですか 友人が6人も死んだんですよ
ああ そっちか
ああ いや 僕はてっきり――
謎を解く前に 事件が 幕を閉じてしまったから――
その敗北を悔やんでいるのかと
あれ?
もう興味なくなってしまった?
あなたと一緒にしないでください
すみません
どうせ俺はワトスンなんで
あとはホームズにお任せします
(下駄の足音)
(江南) 島田さん もうこれ以上は…
(松本邦子) 江南さん あなた 大丈夫なの?
ご心配をおかけしてすみません
でも全然 平気なんで 俺のことは放っておいてください
そういうわけにはいかないわよ
そんな思い詰めた顔してるのに
ヤケになっちゃダメよ
自分の責任から逃げたら あなたの負け
何があろうと やるべきことはやらなきゃ
あとで――
もっと苦しむことになる
お家賃…
ハア…
お家賃 もう2か月も 溜まってんだわ
(笑い声)
(江南) お家賃…
え… 何がおかしいのよ
ああ いえ
ありがとうございます
(守須)
ゆっくりと思い知らせてやる>
人は神にはなれない>
人ならぬものに託そう>
(守須) 罪を思い知らせてやる>
消えることはなかった>
(エラリイ) 僕たちはあの島に 呼ばれてるんだよ
(ポウ) 面白そうだな 行ってみるか
(ルルウ) うん
(守須) 自分も死のうと考えた>
同列の存在として埋没してしまう>
殺されたのだという事実を――>
訴えておきたかった>
魅力的な餌によって――>
6人分の荷物を積み込み――>
千織の墓に立ち寄った>
断ち切るために>
J崎に向かった>
ゴムボート一式を拝借して――>
もう一度 島へと向かった>
天候の良い日程を選んだとはいえ――>
かなり体力を消耗させた>
水断ちをしていたせいもある>
すべて整った>
(ポウ) オホホホ…
ヴァン先輩?
(守須) ごめん 出迎えられなくて
(守須) 知っているのはこの6人だけ>
僕は島へ行っていないと信じ込ませる>
どうした? ヴァン
(守須) あっ… すまない
どうも調子が悪いみたいだ
(ポウ) 少し熱があるな 今日はもう休め
(守須) そのためだ>
引き起こすことを知っていたから>
(守須)
かかる道のりも――>
1時間かからずに移動できる>
完全に消す必要があった>
与えてはならない>
(守須)
(電話の着信音)
(守須) はい 守須…
やあ 江南
おっ 悪いな 遅くに
(守須) いや 僕も さっき帰って シャワーを浴びたところさ
(守須) 江南は必ず連絡してくる>
その証人になってもらうために彼を利用した>
守須君 ぜひ 君の意見も聞かせてほしいね
(守須) 証人は複数いるに越したことはない>
庭師だった吉川さんには 奥さんがいたはずだ
(守須) なるべく現在の島ではなく――>
吉川政子の話を振った>
だから 悪いけど今回は 安楽椅子探偵を気取らせてもらうよ
(守須) 存在感を示しつつ――>
また翌日 会う約束をする>
夜明け前には再び島に戻った>
やらなければならないことがあった>
最初の夜にコーヒーを飲んだ時だ>
もうろうとしていたせいもあって――>
見落としてしまった>
思いのほか遅れてしまった>
立場を知らしめ――>
あの殺人予告のプレートは お前の仕業じゃないのか
あんた このプレートに書かれたことが 本当に起こると思ってんの?
(守須)
滑稽だったよ 千織>
ネヴィンズ・ジュニアが言うところの…
(守須・江南) バールストンギャンビット
(守須) 早めに部屋に入り――>
これで最後にするつもりだった>
回復する必要があった>
(守須)
マスターキーを預かっていた>
せめてもの情だ>
その後の混乱と恐怖を知らずに済む>
積極的には関わっていない>
彼女だけを許すわけにはいかない>
(守須のいきみ) (オルツィ) ううっ…
(オルツィのうめき声)
(守須) 選んだ理由はもう1つある>
僕が千織にプレゼントしたものだ>
もらったらしいが――>
僕らのイニシャルが刻まれている>
気づいていたかもしれない>
僕を疑う可能性も大いにあり得た>
その意味を推測されて――>
手首を切り取ることにした>
外部犯への誘導にもなる>
オルツィの部屋の窓の鍵は開けたままにした>
(守須) 仕込んでおいたカップの毒で――>
ようやく解散となった>
カーの手首を切り取った>
一貫性を持たせるためだ>
もう1組のプレートから――>
地下室へ行って――>
(守須) 明晰な頭脳の持ち主だが――>
不用心で間の抜けた一面がある>
死体が稼げるとは思ってなかった>
より強めることが目的だった>
誰かがいたんだよ フッ ここに
(守須)
私が犯人だ 私が2人を殺したの! 今に みんなも殺してやるんだから!
(守須) アガサのヒステリーのおかげで――>
早く部屋に入ることになった>
(江南) 守須…
(守須)
行くことを決断した>
行くべきじゃなかったのかもしれない>
2人とも 少し踏み込みすぎじゃないですか
何だよ 急に
島田さん
ご友人とはいえ そこまで立ち入ったことを 詮索していいんでしょうか?
(守須) 知っていくことが――>
2人と決裂してしまった>
島田さん 勝手ですみませんが 僕は ここで降りようと思います
だけど僕は暇だから もう少し続けてみるよ
どうぞご自由に
(守須)
十分 役割を果たしてもらった>
うわあああ
(ルルウ) 誰か!
誰か!
誰か!
ああっ
(ルルウのもがく声)
(ルルウ)あっ
(殴る音)
(守須)
という衝動のほうが勝っていた>
そこから十角館に戻った>
まだ誰も起きている気配はなかった>
(ドアが閉まる音)
(守須)
手に残っていた>
想定外だった>
(守須) う… ううっ…
(守須の荒い息)
(守須)
ルルウー!
ルルウ!
(守須)
(エラリイ) その線で考えると ポウ 君が一番怪しい
(ポウ) は? バカな
(エラリイ) 君たちは幼なじみだ
(守須) ここまで来て…>
(ポウ) また雨か
(雷鳴)
(エラリイ) さっきの!
(守須)
これはルルウの足跡だと思うんだ でも こっちは…
つまり階段から来た 誰かがルルウを殺し…
(守須)
生きた心地がしなかった>
(エラリイ) やはりこれは 外部犯の仕業だよ
悪いね
僕もいい?
ああ
(エラリイ) さて 仕切り直して ルルウの件に戻ろう
(守須) タバコをもらうフリをして――>
用意していた毒入りの1本を入れる>
吸うのは時間の問題だった>
(うめき声)
(ポウのうめき声)
(守須) ポウ!
(守須)
(エラリイ) また時限装置ってわけだ
(守須) エラリイは僕のことを警戒すると思った>
(エラリイ) 中村青司はこの館の主だ
建物の構造や島の地理を 熟知している上に――
全部の部屋の鍵を持ってる
(守須) だから毒を仕込むのも 寝込みを襲うのも たやすかった
そう 僕たちは 十角館という罠に飛び込んだ――
哀れな獲物だったってわけさ
(守須)
ただの道化師だった>
(エラリイ) 君は言ったよね
“どうして1個だけ こんなカップが?”って
(守須) 気づいた推理の冴えにだけは――>
(守須・エラリイ) わあ!
(守須) 庭師の吉川誠一だということは――>
力尽きたのか――>
ここに連れ込んで殺したのか>
中村青司の遺体が 実は――>
(エラリイ) なるほどな ということは つまり――
青屋敷事件の時は もう1体 別の死体を用意していたんだ
(守須) 譲るつもりはないのか>
(エラリイ) 奥まで続いてる 行ってみよう
(守須) 僕のことを疑っているのか>
わざと中村青司の名前を…>
(エラリイ) 岩伝いに 石段のほうまで行けそうだ
中村青司は ここから侵入していたんだ
(守須) 睡眠薬を――>
2人でいれば心配することはないさ
ああ…
少し眠くなってきたな
ヴァン 君は大丈夫かい?
ああ 遠慮せずに――
ゆっくり眠るといい
(エラリイ) じゃあ お言葉に甘えて 少しだけうたた寝するよ
何かあったら起こしてくれ
(守須)
指輪を抜き取って――>
保管しておいたものだ>
(ライターの着火音)
(燃える音)
(リポーター) 十角館と呼ばれる 建物から火災が発生
現場からは そこに滞在していた――
6名の大学生の遺体が 発見されました
さらに全焼した 十角館の地下室から…
(守須)
(江南) 守須
どうしてここが?
お前の部屋に 行くところだったんだよ
そうしたら そこにバイクが止まってたから
僕に何の用だい?
例の中村青司からの手紙だけど――
あれはただのイタズラなんかじゃなく――
今回の事件に関係していると思うんだ
どういうこと?
あの手紙の送り主は――
エラリイかもしれない
え?
なぜ彼が?
エラリイと中村千織は つきあっていたのかも
あの三次会で――
お酒を飲む彼女を止められず 助けられなかった
そんな自責の念からエラリイは みんなを巻き込んで――
無理心中したんじゃないかな
エラリイの動機は 中村千織のための復讐だった
あり得ない
根拠はあるのか?
それが…
あるんだよ!
(江南) ステキな指輪だね
ごめん 驚かせちゃって
(千織) いえ 大丈夫です
つけないの?
(バスの走行音)
私 ミス研に入ってホント良かった
皆さんと出会えて とっても楽しくて
変わった連中ばっかりだけどね
私のことも もっともっと知ってほしいです
そんなの これからいくらでも 話せるじゃない
いつかこの指輪 みんなの前でつけられるといいな
じゃあ お先に失礼します
(江南) うん
(江南) 今思うと あのバス停は 彼女の家とは全く別のところだった
あれはエラリイのところに 行こうとしているんじゃ…
(守須)
きっと彼女は――
エラリイとつきあっていることを みんなに言いたかったんじゃないのかな
ずっと父親から疎まれて 家を追い出されて――
おじいちゃんはいたけど 寂しくないわけないよね
だから彼氏ができて すごく幸せだったと思う
でもそのことを 隠さなきゃならなかったのは――
きっと つらかったんじゃないかな
どうしてエラリイは 秘密にしようとしたんだろう
(守須)
さらされてしまうのが嫌だったから>
汚されたくなかったから…>
やっぱり僕は帰るよ
(江南) え ここまで来たのに?
あの…
たまには もう少し いいじゃないですか
守須先輩の話 もっと聞きたいですし
(アガサ) なになに 千織ちゃんは こういうのがタイプ?
(一同) うぇ~い
そんなわけないだろ
守須が帰るなら俺も帰ろうかな
もう眠くて
(カー) 帰んの?
君も 無理しないほうが いいんじゃない?
今日はみんなと一緒にいたいから
そう じゃあ また明日
(江南) じゃあ お疲れ~
(部員たち) お疲れ~
(守須)
(島田) お待たせ
お待たせ
どうだい コナンくんの推理は
なかなか面白いだろ
けど 僕はね――
もう1つ別の可能性が あると思ってるんだ
ええっ?
そうだったんですか? それならもっと早く教えてくださいよ
何の証拠もないただの妄想さ
ぜひ 君の感想を聞かせてほしくてね
もうやめましょう
すべて終わったことです
すべて
(瓶がぶつかる音)
(守須)
♪~
~♪
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