All language subtitles for 光る君へ - E34 目覚め - [1440-FHD@AFS.NV7-h264_qvbr230_u p7][字]
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1
00:00:02,202 --> 00:00:05,138
(錫杖の音)
2
00:00:05,138 --> 00:00:08,942
(定澄)興福寺別当の定澄にございます。➡
3
00:00:08,942 --> 00:00:14,281
我らの訴えを
直ちに 陣定におかけくださいませ。
4
00:00:14,281 --> 00:00:23,490
それがならねば この屋敷を取り囲み
焼き払い奉ります。
5
00:00:24,992 --> 00:00:27,494
(藤原道長)やってみよ。
6
00:00:30,297 --> 00:00:39,306
興福寺が乱暴の限りを尽くしておることは
大和守の訴状で承知しておったが➡
7
00:00:39,306 --> 00:00:44,177
これほどの暴挙は許し難い。
8
00:00:44,177 --> 00:00:48,649
乱暴を働いておるのは 興福寺ではなく➡
9
00:00:48,649 --> 00:00:51,451
大和守 源 頼親と➡
10
00:00:51,451 --> 00:00:55,155
右馬允 当麻為頼でありまする。➡
11
00:00:55,155 --> 00:01:00,928
彼らを訴える解文を
朝廷に奉っておりますのに➡
12
00:01:00,928 --> 00:01:06,600
何故 ご審議くださいませぬので
ございましょうか。
13
00:01:06,600 --> 00:01:08,936
審議はする。
14
00:01:08,936 --> 00:01:18,111
明日 ご審議くださいませ。
さもなくば…。
15
00:01:18,111 --> 00:01:21,315
私を脅しても無駄である。
16
00:01:27,287 --> 00:01:33,160
本来 藤原氏と その氏寺が争うことなぞ
あってはならぬ。
17
00:01:33,160 --> 00:01:40,634
御仏に仕える者として
その方は それでよいと思うのか。
18
00:01:40,634 --> 00:01:49,142
僧どもを動かせば
その方が 別当で居続けることはかなわぬ。
19
00:01:49,142 --> 00:01:55,649
興福寺そのものとて ただでは済まぬぞ。
20
00:01:59,786 --> 00:04:44,284
♬~
21
00:04:45,952 --> 00:04:51,291
日頃から 大和守 源 頼親と
興福寺は 争っておったが➡
22
00:04:51,291 --> 00:04:55,162
そのさなか 興福寺の僧 1人が死んだ。
23
00:04:55,162 --> 00:05:01,101
怒った寺側は
大和守の家来である 当麻為頼の屋敷と➡
24
00:05:01,101 --> 00:05:03,870
田畑を焼き払う挙に出た。
25
00:05:03,870 --> 00:05:10,577
これについては
大和守 興福寺双方から訴えが出ておる。
26
00:05:10,577 --> 00:05:12,512
そして 審議の上 朝廷は➡
27
00:05:12,512 --> 00:05:18,919
興福寺の筆頭たる僧 蓮聖の
公の法会参列を禁じる裁きを下した。
28
00:05:18,919 --> 00:05:20,954
(足音)
29
00:05:20,954 --> 00:05:26,593
(恒方)大極殿前の朝堂院に
興福寺の僧たちが 押し寄せております!
30
00:05:26,593 --> 00:05:28,528
な…。
31
00:05:28,528 --> 00:05:30,530
チッ…。
32
00:05:32,465 --> 00:05:44,945
(祈とうと錫杖の音)
33
00:05:44,945 --> 00:05:47,781
(一条天皇)
何故 それを朕に告げなかったのだ。
34
00:05:47,781 --> 00:05:50,417
ただいま その策を
陣定に諮っておりました。
35
00:05:50,417 --> 00:05:53,620
お知らせが遅れましたこと
お許しくださいませ。
36
00:05:53,620 --> 00:05:56,289
私の判断の誤りでございました。
37
00:05:56,289 --> 00:06:02,562
無念ではありますが 検非違使を遣わし
僧どもを追い払うしかないと存じます。
38
00:06:02,562 --> 00:06:05,065
そなたらしからぬ考えであるな。
39
00:06:05,065 --> 00:06:10,570
大内裏の門を押し通られては
朝廷が 興福寺に屈したも同然。
40
00:06:10,570 --> 00:06:15,442
致し方ございませぬ。
検非違使を遣わす宣旨を。
41
00:06:15,442 --> 00:06:20,247
分かった。 検非違使に追い払わせよ。
42
00:06:20,247 --> 00:06:26,253
はっ! 直ちに僧どもを追い払いまする。
43
00:06:32,826 --> 00:06:35,595
(敦康親王)もう 5つ食べました。
44
00:06:35,595 --> 00:06:38,265
(藤原彰子)私は まだ2つでございます。
45
00:06:38,265 --> 00:06:41,601
中宮様の分も食べて差し上げます。
46
00:06:41,601 --> 00:06:45,939
親王様は これから
もっともっと大きくなられますから➡
47
00:06:45,939 --> 00:06:49,242
たんと召し上がってくださいませ。
48
00:06:58,518 --> 00:07:01,888
(藤原斉信)中宮様を 奥の間に
お隠しまいらせよ。
49
00:07:01,888 --> 00:07:03,823
(宮の宣旨)何事でございますか?
50
00:07:03,823 --> 00:07:07,227
興福寺の僧どもが
大極殿の前まで押し寄せておる。
51
00:07:07,227 --> 00:07:11,231
内裏に入ってくることはないと思うが
万が一に備えよ。
52
00:07:11,231 --> 00:07:15,902
そなたらも
命を懸けて 中宮様をお守りせよ。
53
00:07:15,902 --> 00:07:18,238
(大納言の君)お守りせよとは➡
54
00:07:18,238 --> 00:07:21,141
どのようにしたら
よろしいのでしょうか?
55
00:07:21,141 --> 00:07:24,110
(まひろ)清涼殿にお連れ申したら
いかがでしょうか。
56
00:07:24,110 --> 00:07:27,580
万が一 僧たちが
内裏に攻め込んできたとしても➡
57
00:07:27,580 --> 00:07:32,085
まさか 帝の御身にまでは
危害は及ぼしますまい。
58
00:07:32,085 --> 00:07:35,588
帝と共におられることが 最も安心かと。
59
00:07:35,588 --> 00:07:39,392
よし そのようにいたそう。
60
00:07:39,392 --> 00:07:42,595
支度を整えよ。
はっ。
61
00:07:51,137 --> 00:07:55,608
(一条天皇)中宮大夫は 大げさすぎる。➡
62
00:07:55,608 --> 00:07:59,279
そのように案じることはない。
63
00:07:59,279 --> 00:08:05,285
今 左大臣が陣頭に立っておるゆえ
間もなく 事は収まるであろう。
64
00:08:07,087 --> 00:08:14,227
彰子。 そなたも おのが父を信じよ。➡
65
00:08:14,227 --> 00:08:17,230
顔を上げよ。
66
00:08:19,099 --> 00:08:23,236
そなたは 朕の中宮である。
67
00:08:23,236 --> 00:08:28,942
こういう時こそ
胸を張っておらねばならぬ。
68
00:08:41,588 --> 00:08:45,925
(藤原顕光)朝堂院から 僧どもを
追い払ってやりました。
69
00:08:45,925 --> 00:08:48,261
ご苦労。
(顕光)はっ。
70
00:08:48,261 --> 00:08:57,604
ただ… 興福寺別当 定澄が
左大臣殿と会いたいと申しております。
71
00:08:57,604 --> 00:09:00,206
この上 何を…。
72
00:09:00,206 --> 00:09:04,077
(顕光)内裏に上げますか?
それはならぬ!
73
00:09:04,077 --> 00:09:07,714
後日 土御門殿に参れと伝えよ。
74
00:09:07,714 --> 00:09:09,649
はっ。
75
00:09:09,649 --> 00:09:14,454
はあ… しつこいのう…。
76
00:10:02,869 --> 00:10:05,271
この上 何だ。
77
00:10:05,271 --> 00:10:10,143
では 申し上げます。
78
00:10:10,143 --> 00:10:17,851
南都に引き揚げるには
次のことをお約束くださいませ。
79
00:10:17,851 --> 00:10:28,294
1つ 大和守が申した
寺の僧が 当麻為頼邸を焼き払ったこと➡
80
00:10:28,294 --> 00:10:35,969
および 田畑を踏みにじったことを
お調べいただきたい。
81
00:10:35,969 --> 00:10:45,311
2つ 大和守 源 頼親を
解任していただきたい。
82
00:10:45,311 --> 00:10:55,955
3つ 右馬允 当麻為頼を
解任していただきたい。
83
00:10:55,955 --> 00:11:09,269
4つ 我らの蓮聖が 公の法会への参列を
止められておるのを 免じていただきたい。
84
00:11:13,940 --> 00:11:17,944
(ため息)
85
00:11:20,813 --> 00:11:23,950
いかなる理由があろうとも➡
86
00:11:23,950 --> 00:11:29,822
屋敷を焼かれ 田畑を荒らされた方を
罰するは 理にかなわぬ。
87
00:11:29,822 --> 00:11:34,961
よって 1 2 3の申し入れは受け付けぬ。
88
00:11:34,961 --> 00:11:42,669
蓮聖のことを頼みたいなら
いま一度 そのことだけの申文を出せ。
89
00:11:45,305 --> 00:11:47,640
以上である。
90
00:11:47,640 --> 00:11:54,514
速やかに南都へ戻り
御仏の道に生きるがよい。
91
00:11:54,514 --> 00:12:07,527
♬~
92
00:12:15,802 --> 00:12:18,504
はあ…。
93
00:12:36,623 --> 00:12:39,292
よかった。
94
00:12:39,292 --> 00:12:45,632
一つでも こちらの望みが通ったならば
上出来だ。
95
00:12:45,632 --> 00:12:47,934
(慶理)はっ…。
96
00:13:10,256 --> 00:13:12,925
お疲れでいらっしゃいますね。
97
00:13:12,925 --> 00:13:18,231
大したことはない。
ご無礼いたしました。
98
00:13:22,602 --> 00:13:26,472
帝と中宮様は いかにおわす。
99
00:13:26,472 --> 00:13:28,941
お渡りはございます。
100
00:13:28,941 --> 00:13:31,778
親王様にお会いになるだけか…。
101
00:13:31,778 --> 00:13:34,280
物語のお話もなさいます。
102
00:13:34,280 --> 00:13:37,950
いまだ中宮様に お手は触れられぬか。
103
00:13:37,950 --> 00:13:40,853
は…。
104
00:13:40,853 --> 00:13:47,160
お前… なんとかならぬか?
105
00:13:49,562 --> 00:13:53,266
このままでは ふびんすぎる。
106
00:13:56,302 --> 00:14:04,577
恐れながら 中宮様のお心が
帝にお開きにならないと➡
107
00:14:04,577 --> 00:14:07,246
前には進まぬと存じます。
108
00:14:07,246 --> 00:14:09,549
それには…。
109
00:14:14,587 --> 00:14:16,923
どうすればよいのだ。
110
00:14:16,923 --> 00:14:20,760
どうか お焦りになりませぬように。
111
00:14:20,760 --> 00:14:24,964
皇后 定子様が身まかられて
もう6年だぞ。
112
00:14:28,501 --> 00:14:34,507
焦らずにはおれぬ。
力は尽くしておりますゆえ。
113
00:14:41,614 --> 00:14:44,517
お前が頼みだ。
114
00:14:44,517 --> 00:14:49,522
どうか… 頼む。
115
00:14:54,794 --> 00:14:59,999
あっ… 邪魔をした。
116
00:15:07,240 --> 00:15:10,910
弟がおったな。
は…。
117
00:15:10,910 --> 00:15:13,813
何をしておる?
118
00:15:13,813 --> 00:15:17,250
任官するまで 大層 時がかかりまして➡
119
00:15:17,250 --> 00:15:21,921
今は ようやく 中務省で
内記として働いております。
120
00:15:21,921 --> 00:15:27,260
左大臣様にお目にかかったことがあると
申しておりました。
121
00:15:27,260 --> 00:15:30,263
そうか。
122
00:15:34,600 --> 00:15:39,772
左大臣様と藤式部…。
足をもむ仲とも思えませんけども。
123
00:15:39,772 --> 00:15:42,608
お親しそう~。
124
00:15:42,608 --> 00:15:44,644
ひたひたしてる。
125
00:15:44,644 --> 00:15:47,113
ひそひそでしょ。
126
00:15:47,113 --> 00:15:49,048
ひたひたよ~。
127
00:15:49,048 --> 00:15:50,983
(笑い声)
128
00:15:50,983 --> 00:15:54,787
年が明けると
倫子は➡
129
00:15:54,787 --> 00:15:58,291
四女 嬉子を産んだ。
130
00:15:58,291 --> 00:16:04,897
6度目の出産は重く
倫子は しばらく寝込んだ。
131
00:16:04,897 --> 00:16:11,070
同じ日 中納言 藤原斉信の屋敷が焼けた。
132
00:16:11,070 --> 00:16:13,573
(藤原公任)家の者は無事だそうだ。
133
00:16:15,241 --> 00:16:21,547
(藤原道綱)運が悪かったね。
風が強いし 今日…。
134
00:16:23,583 --> 00:16:25,518
よかったら うちに来てもいいよ。
135
00:16:25,518 --> 00:16:27,753
(公任)別邸はありますので…。
136
00:16:27,753 --> 00:16:31,591
ああ… そうか そうか。
そっとしておいてやってください。
137
00:16:31,591 --> 00:16:35,461
そうだよね。
138
00:16:35,461 --> 00:16:41,934
左大臣様から 中納言様のお着替えとして
直衣一式が届いております。
139
00:16:41,934 --> 00:16:44,770
道長は気が利くな 素早いし。
140
00:16:44,770 --> 00:16:47,273
(せきばらい)
141
00:16:47,273 --> 00:16:49,775
すまん… また言ってしまった。
142
00:16:49,775 --> 00:16:54,614
ただいま 蔵人は 3名欠けております。
143
00:16:54,614 --> 00:16:58,484
朕は 伊周の嫡男
従五位下の道雅を入れたいと思う。
144
00:16:58,484 --> 00:17:00,419
は…。
145
00:17:00,419 --> 00:17:03,422
亡き関白の孫ゆえ 誰も異は唱えまい。
146
00:17:03,422 --> 00:17:06,225
道雅は まだ16歳でございますゆえ➡
147
00:17:06,225 --> 00:17:13,099
六位の蔵人に 年長の者を 1人入れるのが
よろしかろうと存じます。
148
00:17:13,099 --> 00:17:15,234
好きにいたせ。
149
00:17:15,234 --> 00:17:22,375
ただいま 中務省で内記を務めております
藤原惟規は いかがでございましょうか。
150
00:17:22,375 --> 00:17:27,179
それでよい。
はっ。
151
00:17:30,116 --> 00:17:33,586
(藤原伊周)よかった…。
152
00:17:33,586 --> 00:17:39,458
帝は 我が家を
引き立てようとしてくださっておる。
153
00:17:39,458 --> 00:17:43,262
道雅 心して務めよ。
154
00:17:43,262 --> 00:17:48,935
(藤原道雅)別に うれしくもないですけど
やることは ちゃんとやりますよ。
155
00:17:48,935 --> 00:17:54,607
この機を生かすのだ。
156
00:17:54,607 --> 00:17:56,943
この機を生かすって 何ですか?
157
00:17:56,943 --> 00:17:59,779
父上の復しゅうの道具には
なりませんから。
158
00:17:59,779 --> 00:18:01,981
(源 幾子)道雅。
159
00:18:13,225 --> 00:18:16,562
(藤原惟規)姉上!➡
160
00:18:16,562 --> 00:18:21,233
これ 父上のお下がり。
161
00:18:21,233 --> 00:18:24,904
よく似合うわ。
ちょっと カビ臭いけどね。
162
00:18:24,904 --> 00:18:28,608
いとが大切に取っておいてくれたのよ。
163
00:18:31,243 --> 00:18:36,248
案外 狭いところだな。
シッ!
164
00:18:38,117 --> 00:18:41,587
蔵人になれたのは 左大臣様のおかげよ。
165
00:18:41,587 --> 00:18:45,925
お顔を潰さないでね。
分かってるって。
166
00:18:45,925 --> 00:18:49,595
さっきの女房 悪くないな。
167
00:18:49,595 --> 00:18:52,932
大納言 道綱様の姫様よ。
168
00:18:52,932 --> 00:18:55,968
六位の蔵人じゃ 相手にされないか。
169
00:18:55,968 --> 00:18:58,270
まあ そうね。
170
00:18:58,270 --> 00:19:00,706
でも 分からないわよ。
171
00:19:00,706 --> 00:19:04,043
惟規には 身分の壁を超えてほしいの。
172
00:19:04,043 --> 00:19:06,712
何? それ。
私の夢よ。
173
00:19:06,712 --> 00:19:11,217
すごい夢 託されちゃったな~。
174
00:19:11,217 --> 00:19:13,152
実はさ…。
175
00:19:13,152 --> 00:19:16,555
えっ 誰かいるの?
176
00:19:16,555 --> 00:19:20,860
神の斎垣を越えるかも 俺。
177
00:19:23,429 --> 00:19:27,900
中宮様のお越しにございます。
178
00:19:27,900 --> 00:19:30,936
えっ。
中宮様 こんなとこ いらっしゃるの?
179
00:19:30,936 --> 00:19:33,072
俺 じゃあ。
180
00:19:33,072 --> 00:19:37,910
お呼びくだされば 参りましたのに。
181
00:19:37,910 --> 00:19:42,782
(左衛門の内侍)
藤式部のつぼねが見たいと仰せになって。
182
00:19:42,782 --> 00:19:45,785
そなたはよい。
183
00:19:49,922 --> 00:19:54,927
えっ?
下がれ。
184
00:20:22,288 --> 00:20:27,126
そなたの物語だが…➡
185
00:20:27,126 --> 00:20:31,297
面白さが分からぬ。
186
00:20:31,297 --> 00:20:33,966
さようでございますか…。
187
00:20:33,966 --> 00:20:38,304
男たちの言っていることも分からぬし➡
188
00:20:38,304 --> 00:20:42,975
光る君が 何をしたいのかも分からぬ。
189
00:20:42,975 --> 00:20:44,910
はあ…。
190
00:20:44,910 --> 00:20:53,319
帝は そなたの物語の
どこに 引かれておいでなのであろう。
191
00:20:53,319 --> 00:20:59,992
さあ… 帝のお心は計り知れませぬ。
192
00:20:59,992 --> 00:21:07,733
されど 私の願い 思い 来し方を
膨らませて書いた物語が➡
193
00:21:07,733 --> 00:21:17,109
帝のお考えになることと
どこか重なったのやもしれませぬ。
194
00:21:17,109 --> 00:21:19,912
ふ~ん…。
195
00:21:21,614 --> 00:21:25,484
(足音)
(敦康親王)中宮様!
196
00:21:25,484 --> 00:21:31,290
今日は すごろくをいたしましょう。
私では 敦康様のお相手になりませぬ。
197
00:21:31,290 --> 00:21:34,293
今日は 中宮様が勝てるようにします。
まあ…。
198
00:21:34,293 --> 00:21:37,096
早く参りましょう。
199
00:21:41,634 --> 00:21:46,305
また来てよいか?
200
00:21:46,305 --> 00:21:49,308
もちろんにございます。
201
00:21:59,652 --> 00:22:04,390
「眠りこけている様などが
みぐるしいほど変わっていて➡
202
00:22:04,390 --> 00:22:10,763
だんだん正体が分かるにつれ
情けなく心やましくなりましたが➡
203
00:22:10,763 --> 00:22:14,266
『人違いと分かってしまうのも
みっともないし➡
204
00:22:14,266 --> 00:22:16,602
女も変に思うだろう。➡
205
00:22:16,602 --> 00:22:19,271
意中の人を尋ね寄ろうにも➡
206
00:22:19,271 --> 00:22:22,775
これほど
逃がれようとする心があるならば➡
207
00:22:22,775 --> 00:22:24,710
甲斐がない➡
208
00:22:24,710 --> 00:22:31,951
さぞ愚かしいと思われるだろう』と
お思いになります」。
209
00:22:31,951 --> 00:22:37,289
ハハ… とんでもないな この男。
210
00:22:37,289 --> 00:22:41,160
(敏子)あなたにも似たようなこと…➡
211
00:22:41,160 --> 00:22:47,299
おありなのではございません?
ハハハハ… 何を申すか。
212
00:22:47,299 --> 00:22:51,303
俺は このような まぬけなことはせぬ。
213
00:22:52,972 --> 00:22:55,808
(藤原行成)「女は ようやく目覚めると➡
214
00:22:55,808 --> 00:23:01,914
思いもかけない あまりの出来事に
途方にくれた様子になるだけで➡
215
00:23:01,914 --> 00:23:10,256
思慮が浅く
可哀想なほど何の心構えもありません。➡
216
00:23:10,256 --> 00:23:12,191
男をまだ知らぬにしては…」。
217
00:23:12,191 --> 00:23:20,499
「大人びていて
弱弱しく思い乱れることもありません」。
218
00:23:23,802 --> 00:23:30,576
「私だとは知らせまいと
お思いになるけれど➡
219
00:23:30,576 --> 00:23:34,480
どうして このようなことにと…」。
220
00:23:34,480 --> 00:23:39,285
(筑前の命婦)
「女が後に思いめぐらしたりしたら➡
221
00:23:39,285 --> 00:23:42,955
私にとっては 何でもないことでも➡
222
00:23:42,955 --> 00:23:48,427
あのつれない人が
ひたむきに名を隠そうとするのは➡
223
00:23:48,427 --> 00:23:54,633
さすがに気の毒なので
たびたびの方違えに かこつけて➡
224
00:23:54,633 --> 00:24:01,240
こちらに来ていたのだと
うまく言いつくろいなさります」。
225
00:24:01,240 --> 00:24:05,110
(笑い声)
226
00:24:05,110 --> 00:24:14,753
♬~
227
00:24:14,753 --> 00:24:18,257
(宮の宣旨)帝がおいでになりました。
228
00:24:29,268 --> 00:24:32,972
よい。
はっ。
229
00:24:34,606 --> 00:24:37,943
(一条天皇)
是非 聞いてみたいことがあって参った。
230
00:24:37,943 --> 00:24:39,945
はっ。
231
00:24:47,286 --> 00:24:52,291
なぜ そなたは
この物語を書こうと思い立ったのだ。
232
00:24:54,960 --> 00:25:04,370
お上に献上する物語を書けと
左大臣様が仰せになったのでございます。
233
00:25:04,370 --> 00:25:07,906
左大臣が?
234
00:25:07,906 --> 00:25:12,778
私は 物語を書くのが
好きでございましたので➡
235
00:25:12,778 --> 00:25:18,083
光栄なことだと存じ
お引き受けいたしました。
236
00:25:18,083 --> 00:25:23,889
されど 何が帝のお心を打つか
思いつかず➡
237
00:25:23,889 --> 00:25:28,260
左大臣様に お上のことを
あれこれと 伺いました。
238
00:25:28,260 --> 00:25:32,264
そこから考えた物語にございます。
239
00:25:34,133 --> 00:25:44,276
書いているうちに 私は 帝のお悲しみを
肌で感じるようになりました。
240
00:25:44,276 --> 00:25:54,286
♬~
241
00:25:54,286 --> 00:25:57,956
この先は どうなるのだ?
242
00:25:57,956 --> 00:26:01,827
ひと言では申し上げられませぬ。
243
00:26:01,827 --> 00:26:04,129
そうか…。
244
00:26:06,765 --> 00:26:12,771
朕に物おじせず
ありのままを語る者は めったにおらぬ。
245
00:26:15,441 --> 00:26:23,115
されど そなたの物語は
朕に まっすぐ語りかけてくる。
246
00:26:23,115 --> 00:26:26,118
恐れ多いことにございます。
247
00:26:30,856 --> 00:26:33,158
また来る。
248
00:26:40,532 --> 00:26:46,538
心の声 私ではなくて 中宮様に
会いにいらしてください。
249
00:27:00,352 --> 00:27:05,190
〽
250
00:27:05,190 --> 00:27:10,095
3月3日 上巳の祓の日➡
251
00:27:10,095 --> 00:27:14,867
土御門殿で 曲水の宴が行われた。
252
00:27:14,867 --> 00:27:20,572
曲水の宴とは
曲がりくねった水の流れに沿って座り➡
253
00:27:20,572 --> 00:27:25,577
和歌や漢詩を詠んで 競い合う催しである。
254
00:27:29,248 --> 00:27:34,119
水の神によって
穢れをはらおうとするものであり➡
255
00:27:34,119 --> 00:27:43,262
道長は 中宮 彰子の懐妊を切に願って
このうたげを催した。
256
00:27:43,262 --> 00:27:52,271
〽
257
00:27:52,271 --> 00:27:56,575
はあ… 皆 よく来てくれた。
258
00:28:01,079 --> 00:28:04,850
母上もおいでになれれば よかったのに。
259
00:28:04,850 --> 00:28:10,155
(赤染衛門)
いまだ ご本復となりませぬゆえ。
260
00:28:28,574 --> 00:28:35,914
〽
261
00:28:35,914 --> 00:28:38,250
(菅原輔正)本日のお題は➡
262
00:28:38,250 --> 00:28:43,121
「流れに因って酒をうかぶ」でございます。
263
00:28:43,121 --> 00:28:57,269
〽
264
00:28:57,269 --> 00:29:12,217
〽(雨音)
265
00:29:12,217 --> 00:29:16,221
雨があがるまで しばし中断いたします。
266
00:29:16,221 --> 00:29:20,092
母屋の方で おくつろぎくださいませ。
267
00:29:20,092 --> 00:29:32,904
(雨音)
268
00:29:32,904 --> 00:29:35,574
皆 屋根の下へ。 早う。
269
00:29:35,574 --> 00:29:41,913
(雨音)
270
00:29:41,913 --> 00:29:46,251
ああ…。
ああ…。
271
00:29:46,251 --> 00:29:49,755
ぬれてしまったな。
ええ。
272
00:29:49,755 --> 00:29:51,957
どうぞ。
273
00:30:06,204 --> 00:30:10,142
(雷雨の音)
274
00:30:10,142 --> 00:30:16,848
(雨音)
275
00:30:16,848 --> 00:30:21,286
このような空もようとなってしまい
すまぬ。
276
00:30:21,286 --> 00:30:26,158
(源 俊賢)いやいや
左大臣様のせいではございませぬ。➡
277
00:30:26,158 --> 00:30:32,631
昔は 雨にぬれることなぞ 平気であったが
すっかり弱ったな。
278
00:30:32,631 --> 00:30:36,501
ああ 年を取った。
279
00:30:36,501 --> 00:30:44,242
(斉信)しかし 道長は 昔も今も
いい体をしておる。
280
00:30:44,242 --> 00:30:46,645
えっ 俺?
(斉信)うん。
281
00:30:46,645 --> 00:30:50,449
(俊賢)上に立つ者は
きりりとしておらねばならぬゆえ。
282
00:30:50,449 --> 00:30:53,652
は?
(斉信)そうだ。きりり…。
283
00:30:53,652 --> 00:30:58,824
ハハハ… そのようなこと
考えたこともなかったわ。
284
00:30:58,824 --> 00:31:02,027
(笑い声)
285
00:31:04,930 --> 00:31:10,268
(俊賢)そなたは
今はやりの物語を書いている女房か?
286
00:31:10,268 --> 00:31:13,605
はっ。
287
00:31:13,605 --> 00:31:18,276
なぜ 光る君を源氏にしたのだ?
288
00:31:18,276 --> 00:31:25,150
親王様では
好き勝手なことをさせられませぬゆえ。
289
00:31:25,150 --> 00:31:31,623
臣下の籍に下ろされた亡き父
高明を思い出した。
290
00:31:31,623 --> 00:31:34,960
父は すばらしき人であった。
291
00:31:34,960 --> 00:31:37,796
どなたのお顔を思い浮かべられても➡
292
00:31:37,796 --> 00:31:41,299
それは
お読みになる方次第でございます。
293
00:31:41,299 --> 00:31:47,005
光る君は 俺のことかと思っていたぞ。
フフ…。
294
00:31:48,640 --> 00:31:51,543
あれ?
295
00:31:51,543 --> 00:31:53,979
(笑い声)
(斉信)どうした?
296
00:31:53,979 --> 00:31:57,015
(行成)
少なくとも 道長様ではありませんね。
297
00:31:57,015 --> 00:32:00,786
ん?(行成)道長様は
笛もお吹きになれないし…。
298
00:32:00,786 --> 00:32:04,589
いや… 俺だって 少しは吹けるぞ。
(笑い声)
299
00:32:04,589 --> 00:32:07,092
では 笛を持ってこよう。
(笑い声)
300
00:32:07,092 --> 00:32:09,027
少し。
301
00:32:09,027 --> 00:32:11,830
(笑い声)
302
00:32:16,768 --> 00:32:26,945
〽
303
00:32:26,945 --> 00:32:31,817
「時人 処を得て 青苔に坐し➡
304
00:32:31,817 --> 00:32:37,589
酒を清流に汎かべて 取次に廻る➡
305
00:32:37,589 --> 00:32:43,495
水は瀉ぐ 右軍 三日の会➡
306
00:32:43,495 --> 00:32:49,968
花は薫る 東閣 万年の杯➡
307
00:32:49,968 --> 00:32:54,840
波月を巡行するは 明府に応じ➡
308
00:32:54,840 --> 00:33:02,080
沙風に斟酌するは 是れ後来なればなり」。
309
00:33:02,080 --> 00:33:09,254
さっき
父上が 心からお笑いになるのを見て➡
310
00:33:09,254 --> 00:33:12,924
びっくりした。
311
00:33:12,924 --> 00:33:18,630
殿御は 皆 かわいいものでございます。
312
00:33:22,267 --> 00:33:24,970
帝も?
313
00:33:27,138 --> 00:33:31,142
帝も殿御におわします。
314
00:33:35,814 --> 00:33:39,818
先ほど ご覧になった公卿たちと➡
315
00:33:39,818 --> 00:33:44,523
そんなに お変わりないように
存じますが。
316
00:33:47,959 --> 00:33:51,630
帝のお顔を しっかりご覧になって➡
317
00:33:51,630 --> 00:33:56,301
お話し申し上げなされたら
よろしいと存じます。
318
00:33:56,301 --> 00:35:13,244
♬~
319
00:35:13,244 --> 00:35:16,081
いかがした?
320
00:35:16,081 --> 00:35:20,919
心の声 小鳥を追っていった先で
出会ったあの人…。➡
321
00:35:20,919 --> 00:35:26,257
あの幼い日から 恋しいあの人のそばで➡
322
00:35:26,257 --> 00:35:30,762
ずっとずっと一緒に生きていられたら…➡
323
00:35:30,762 --> 00:35:35,266
一体 どんな人生だっただろう。
324
00:35:35,266 --> 00:35:37,936
(スズメの鳴き声)
325
00:35:37,936 --> 00:35:52,250
♬~
326
00:36:09,567 --> 00:36:26,117
♬~
327
00:36:26,117 --> 00:36:30,855
心の声
「『雀の子を犬君が逃がしてしまったの。➡
328
00:36:30,855 --> 00:36:38,930
籠をふせて 閉じ込めておいたのに』と
大層 悔しそうにしています」。
329
00:36:38,930 --> 00:36:44,436
♬~
330
00:36:48,273 --> 00:36:54,145
興福寺の僧どもを追い払ってから
何か おかしくないか?
331
00:36:54,145 --> 00:36:57,615
斉信の家が焼けて➡
332
00:36:57,615 --> 00:37:00,885
俺の家まで焼けたんだよ。
333
00:37:00,885 --> 00:37:05,223
お察しいたします。
大変でございましたね。
334
00:37:05,223 --> 00:37:11,029
道長が いろ~んな見舞いをくれたよ…。
335
00:37:11,029 --> 00:37:13,832
よい弟だ。
336
00:37:27,245 --> 00:37:29,180
(せきこみ)
敦康様…。
337
00:37:29,180 --> 00:37:35,487
道綱の屋敷が焼けた直後
敦康親王は 病に伏せった。
338
00:37:53,471 --> 00:37:58,176
親王様。
伯父上がお見舞いに参られました。
339
00:38:07,552 --> 00:38:13,224
思ったよりお元気そうで
安堵いたしました。
340
00:38:13,224 --> 00:38:19,564
これは 源 為憲の著した
「口遊」にございます。➡
341
00:38:19,564 --> 00:38:22,901
もう少しご回復が進みましたら
是非 お読みください…。
342
00:38:22,901 --> 00:38:24,903
要らぬ。
343
00:38:35,246 --> 00:38:39,250
(宮の宣旨)
左大臣様のお越しにございます。
344
00:38:44,923 --> 00:38:57,502
♬~
345
00:38:57,502 --> 00:39:00,405
いかがされました?
346
00:39:00,405 --> 00:39:03,208
(せきこみ)
あっ…。
347
00:39:03,208 --> 00:39:11,216
(せきこみ)
348
00:39:14,819 --> 00:39:18,223
さあ お口を。
349
00:39:18,223 --> 00:39:29,834
♬~
350
00:39:29,834 --> 00:39:32,237
(藤原頼通)父上。
351
00:39:32,237 --> 00:39:39,911
このところ 不吉なことが続き
中宮様のご懐妊もないゆえ➡
352
00:39:39,911 --> 00:39:42,814
吉野の金峯山に参ろうと思う。
353
00:39:42,814 --> 00:39:49,520
恐らくは 我が生涯 最初で最後の
御嶽詣である。
354
00:39:51,256 --> 00:39:56,261
それ 私もご一緒いたしとう存じます。
355
00:39:58,930 --> 00:40:03,401
8月の出立まで
100日にわたって精進潔斎し➡
356
00:40:03,401 --> 00:40:08,606
酒 肉 欲 色を断たねばならぬ。
357
00:40:08,606 --> 00:40:13,311
頼通 お前にできるか?
358
00:40:14,946 --> 00:40:17,615
ん~…。
359
00:40:17,615 --> 00:40:24,289
道中も険しいゆえ
おぼつかなければ やめておけ。
360
00:40:24,289 --> 00:40:28,960
いえ お供いたしたく存じます。
361
00:40:28,960 --> 00:40:34,632
中宮様の御ためにも 参ります。
362
00:40:34,632 --> 00:40:37,335
そうか。
363
00:40:40,305 --> 00:40:46,611
ならば 共に参ろう。
364
00:40:48,980 --> 00:40:52,684
ありがたき幸せに存じます。
365
00:41:01,392 --> 00:41:04,929
明日 都をたちます。
366
00:41:04,929 --> 00:41:06,864
お気を付けて。
367
00:41:06,864 --> 00:41:12,170
中宮様も
お健やかにお過ごしくださいませ。
368
00:41:19,477 --> 00:41:30,154
♬~
369
00:41:30,154 --> 00:41:32,990
一行は間もなく出立。
370
00:41:32,990 --> 00:41:34,992
いかがいたしましょう。
371
00:41:34,992 --> 00:41:37,829
またとない機会となりましょう。
372
00:41:37,829 --> 00:41:54,278
♬~
373
00:41:54,278 --> 00:41:58,816
道長は 嫡男 頼通➡
374
00:41:58,816 --> 00:42:05,590
中宮権大夫の源 俊賢を伴って
京をたった。
375
00:42:05,590 --> 00:42:30,281
♬~
376
00:42:30,281 --> 00:42:33,284
もう触れられないなんて…。
377
00:42:33,284 --> 00:42:35,787
中将の君!
惟規様!
378
00:42:37,622 --> 00:42:42,794
いざとなれば
父上は 私が背負って山を登ります。
379
00:42:42,794 --> 00:42:45,830
ハハハハハハ…。
どうぞご無事で!
380
00:42:45,830 --> 00:42:50,134
いつの間にか 大人になっておったのだな。
お慕いしております!
381
00:42:50,134 --> 00:42:55,339
物語になってしまえば
我が身に起きたことなぞ 霧のかなた…。
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