All language subtitles for 光る君へ - E33 式部誕生 - [1440-FHD@KTGMC-slw.NV7-h264_qvbr 280_u p7][字]

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35 00:06:21,081 --> 00:06:24,918 ここの女房たちは 高貴な姫ばかりなのだが➡ 36 00:06:24,918 --> 00:06:29,089 頼りにならぬ。 頼りにならぬとは…。 37 00:06:29,089 --> 00:06:32,592 中宮様と同じような育ちの姫ばかりゆえ➡ 38 00:06:32,592 --> 00:06:36,096 中宮様の御ために働くという気持ちが 薄い。 39 00:06:36,096 --> 00:06:39,966 中宮様にお伝え申せと言うても伝わらぬし 言ったことはやらぬ。 40 00:06:39,966 --> 00:06:42,602 (公任)要するに世間知らずなのだな。 41 00:06:42,602 --> 00:06:45,405 (斉信)世間知らずというか 鈍いのだ。 42 00:06:45,405 --> 00:06:49,276 見栄えはしても 鈍いのは困るな。 (斉信)全くだ。 43 00:06:49,276 --> 00:06:52,612 (笑い声) 44 00:06:52,612 --> 00:06:56,483 私のような地味でつまらぬ女は➡ 45 00:06:56,483 --> 00:07:01,221 己の才を頼みとするしかございませぬ。 46 00:07:01,221 --> 00:07:08,028 左大臣様のお心にかなうよう 精いっぱい励みます。 フフフ。 47 00:07:11,231 --> 00:07:15,735 地味でつまらぬ女って お前 前に言ってなかったか? 48 00:07:15,735 --> 00:07:18,738 そうか? うん…。 49 00:08:01,548 --> 00:08:06,886 (斉信)室礼 座次 その他 一切 抜かりなきように支度せよ。➡ 50 00:08:06,886 --> 00:08:11,558 整い次第 また確かめに参る。➡ 51 00:08:11,558 --> 00:08:14,861 何か聞きたいことはないか? 52 00:08:17,897 --> 00:08:22,769 あるのかないのか 返事をせよ。 ございませぬ。 53 00:08:22,769 --> 00:08:24,771 (ため息) 54 00:08:24,771 --> 00:08:30,477 年明け早々の中宮大饗 抜かりなきように。 55 00:08:37,250 --> 00:08:41,921 聞きたいことなど ありませんわよね。 56 00:08:41,921 --> 00:08:45,592 もう 毎年 同じようにやっておりますのに。 57 00:08:45,592 --> 00:08:49,929 (馬中将の君)中宮大夫様は 何につけ偉そうになさりたいだけよ。 58 00:08:49,929 --> 00:08:52,399 フフフ…。 59 00:08:52,399 --> 00:08:57,237 それより 藤式部の父上は 従五位下ですわよね。 60 00:08:57,237 --> 00:09:00,540 それなのに中納言様方とお親しいの? 61 00:09:00,540 --> 00:09:04,344 (大納言の君)四条宮で 歌を教えておられたそうですわ。 62 00:09:04,344 --> 00:09:07,213 (小少将の君)まあ 学がおありなのね。 63 00:09:07,213 --> 00:09:11,084 (宰相の君)衛門様は 藤式部を昔からご存じなのでしょ? 64 00:09:11,084 --> 00:09:15,722 (赤染衛門) ええ。 中宮様の御母君がお若い頃➡ 65 00:09:15,722 --> 00:09:20,560 お屋敷での学びの会に 藤式部も参っておりました。 66 00:09:20,560 --> 00:09:23,863 (一同)へえ~…。 67 00:09:59,933 --> 00:10:11,945 ⚟(いびき) 68 00:10:11,945 --> 00:10:14,614 ⚟(物音) 69 00:10:14,614 --> 00:10:44,611 ♬~ 70 00:10:44,611 --> 00:10:49,315 (小少将の君・寝言で) 豆 食べたでしょう…。➡ 71 00:10:49,315 --> 00:10:52,318 泥棒! 72 00:10:58,992 --> 00:11:01,594 お目覚めあれ! 73 00:11:01,594 --> 00:11:04,097 ⚟お目覚めあれ! 74 00:11:04,097 --> 00:11:06,933 ⚟お目覚めあれ! 75 00:11:06,933 --> 00:11:23,950 ♬~ 76 00:11:23,950 --> 00:11:26,286 藤式部。➡ 77 00:11:26,286 --> 00:11:29,188 藤式部! 78 00:11:29,188 --> 00:11:32,091 えっ。 お支度を。 79 00:11:32,091 --> 00:11:36,429 急ぎなされ。 誰か! ⚟はい ただいま! 80 00:11:36,429 --> 00:11:42,635 藤式部の務めは 物語 私の務めは 学び事の指南。 81 00:11:42,635 --> 00:11:48,508 役目は 皆 違えども 朝は ちゃんと起きなければなりませんよ。 82 00:11:48,508 --> 00:11:50,510 はい…。 83 00:11:50,510 --> 00:11:52,645 あれ? 84 00:11:52,645 --> 00:11:55,148 (宮の宣旨)今日は 一層せわしなくなる。➡ 85 00:11:55,148 --> 00:11:59,319 何か分からぬこと 気がかりなことはないな。 86 00:11:59,319 --> 00:12:01,254 申し訳ございませぬ。 87 00:12:01,254 --> 00:12:05,592 藤式部ったら 昨夜は 遅くまで何をしていらしたの? 88 00:12:05,592 --> 00:12:08,928 誰ぞのおみ足でも おもみにいらしたのではないの? 89 00:12:08,928 --> 00:12:11,831 フフフ。 (宮の宣旨)静かに。 90 00:12:11,831 --> 00:12:16,269 今日の大饗は 皆々 心して務めよ。 91 00:12:16,269 --> 00:12:19,272 (一同)ははっ。 はっ…。 92 00:12:22,942 --> 00:12:25,612 あの…。 93 00:12:25,612 --> 00:12:30,783 誰ぞの足をもみに行くとは 何のことでございますか? 94 00:12:30,783 --> 00:12:34,988 やだ… おとぼけになって。 95 00:12:36,956 --> 00:12:40,293 足をもみに行くとは…➡ 96 00:12:40,293 --> 00:12:44,597 夜とぎに召されるということですの。 97 00:12:52,305 --> 00:13:00,113 中宮大饗では 公卿らが中宮に拝礼し うたげが行われる。 98 00:13:00,113 --> 00:13:02,115 中納言様です。 99 00:13:02,115 --> 00:13:09,589 下賜する禄の用意や うたげの準備で 女房たちは大忙しである。 100 00:13:09,589 --> 00:13:46,292 ♬~ 101 00:14:10,917 --> 00:14:16,622 過分に賜り 恐悦至極に存じます。 102 00:14:23,930 --> 00:14:26,632 (宮の宣旨)藤式部。 103 00:14:39,479 --> 00:14:42,181 はあ…。 104 00:14:59,298 --> 00:15:04,137 (左衛門の内侍) 誰が このような あさぎ色のものを。 105 00:15:04,137 --> 00:15:07,907 中宮様は 薄紅色がお好きだと申したであろう。 106 00:15:07,907 --> 00:15:11,210 ただいま持ってまいらせます。 107 00:15:19,519 --> 00:15:23,456 ハハハ… お上手。 108 00:15:23,456 --> 00:15:26,459 お次は 中宮様。 109 00:15:33,599 --> 00:15:36,302 (藤原彰子)親王様。 110 00:15:38,471 --> 00:15:41,274 ないしょ。 111 00:15:41,274 --> 00:15:51,484 ♬~ 112 00:15:54,620 --> 00:15:59,325 (藤原行成) 敦康親王様にかかる費えにございます。 113 00:16:02,228 --> 00:16:07,099 (行成)室礼と装束のかかりは おおよそ これほどかと存じます。 114 00:16:07,099 --> 00:16:11,571 (藤原道長)親王家別当の行成が これで よしと思うなら これでよい。 115 00:16:11,571 --> 00:16:13,906 はっ。 116 00:16:13,906 --> 00:16:18,778 中宮様と親王様は 仲むつまじくおわすのか? 117 00:16:18,778 --> 00:16:22,248 はい。 そのようにお見受けいたします。 118 00:16:22,248 --> 00:16:28,554 親王様は 中宮様を いたくお慕いでございます。うむ。 119 00:16:31,591 --> 00:16:36,462 藤壺に 伊周が訪ねてくることはないのか? 120 00:16:36,462 --> 00:16:41,601 伊周殿は 目立った動きは 控えておられるやに思えます。 121 00:16:41,601 --> 00:16:45,271 藤壺に出入りなされば ほかの者の目にも留まりますゆえ。 122 00:16:45,271 --> 00:16:47,607 そうか…。 123 00:16:47,607 --> 00:16:50,409 されど 伊周の位を元に戻したのは➡ 124 00:16:50,409 --> 00:16:55,948 敦康親王様の後見を 見据えてのことであろう。 125 00:16:55,948 --> 00:17:05,758 このまま中宮様にお子ができねば 伊周の力は 大きくなるやもしれぬ。 126 00:17:05,758 --> 00:17:08,895 気は抜けぬな。 127 00:17:08,895 --> 00:17:13,766 親王様を 伊周殿の手に 渡すようなことはいたしませぬ。 128 00:17:13,766 --> 00:17:17,904 この身を賭して お守りいたします。 129 00:17:17,904 --> 00:17:20,206 頼んだぞ。 130 00:17:25,578 --> 00:17:33,586 え? アハハハ! 131 00:17:47,833 --> 00:17:50,636 無理…。 132 00:17:53,606 --> 00:18:00,212 ここでは 落ち着いて物語を書くことができませぬ。 133 00:18:00,212 --> 00:18:05,051 里に戻って書きとうございます。 どうかお許しくださいませ。 134 00:18:05,051 --> 00:18:09,555 つぼねまで与えたのに なぜ書けぬのだ。 135 00:18:09,555 --> 00:18:13,225 皆様 忙しく立ち働いておられますのに➡ 136 00:18:13,225 --> 00:18:18,064 私だけ のんびりと 筆を弄んでいるのが何だか…。 137 00:18:18,064 --> 00:18:20,900 書くことが己の使命であると 申したではないか。 138 00:18:20,900 --> 00:18:22,835 そうなのでございますが…。 139 00:18:22,835 --> 00:18:27,773 内裏で さまざまなことを見聞きし 物語の糧にするとも申しておった。 140 00:18:27,773 --> 00:18:34,380 そうなのでございますが ここは 気が散りますし 夜も眠れませぬ。 141 00:18:34,380 --> 00:18:36,882 なぜ眠れぬ。 142 00:18:40,186 --> 00:18:43,589 ならば 別に寝所を用意してやろう。 143 00:18:43,589 --> 00:18:47,927 それは 皆様のお気持ちもありますので お許しくださいませ。 144 00:18:47,927 --> 00:18:51,230 どうか里に。 ならぬ! 145 00:18:59,939 --> 00:19:06,746 帝は 続きが出来たら お前に会いたいと仰せだ。 146 00:19:06,746 --> 00:19:11,350 お前の才で 帝を藤壺に…。 147 00:19:11,350 --> 00:19:13,552 頼む。 148 00:19:20,893 --> 00:19:24,563 これは 帝にお渡ししたものを手直しし➡ 149 00:19:24,563 --> 00:19:28,434 続きを書き足したものにございます。 150 00:19:28,434 --> 00:19:32,238 この巻は これで終わりでございます。 151 00:19:32,238 --> 00:19:37,376 この先の巻は 里に帰って 書きたく思います。 152 00:19:37,376 --> 00:19:39,745 もう頭の中では 出来ておりますので。 153 00:19:39,745 --> 00:19:43,249 帰ることは許さぬ。 154 00:19:43,249 --> 00:19:50,923 お前は 我が最後の一手なのだ。 155 00:19:50,923 --> 00:19:55,594 物語は書きたい気持ちの時に書かねば 勢いを失います。 156 00:19:55,594 --> 00:19:57,530 私は 今すぐ書きたいのでございます。 157 00:19:57,530 --> 00:19:59,832 藤壺で書け! 158 00:20:03,269 --> 00:20:06,272 書いてくれ。 159 00:20:08,941 --> 00:20:11,644 このとおりだ。 160 00:20:13,612 --> 00:20:17,316 道長様…。 161 00:20:21,487 --> 00:20:31,197 私が書くものに まことに そのような力が あるのでございましょうか? 162 00:20:33,632 --> 00:20:39,505 これが まことに 帝のお心をお引き付けできると➡ 163 00:20:39,505 --> 00:20:43,976 道長様は お思いですの? 164 00:20:43,976 --> 00:20:45,911 分からぬ。 165 00:20:45,911 --> 00:20:54,620 されど… 俺には これしかないのだ。 166 00:20:58,991 --> 00:21:01,694 賭けなのだ。 167 00:21:04,797 --> 00:21:09,101 賭けに負けたら どうなさいますの? 168 00:21:11,937 --> 00:21:15,608 私は どうなりますの? 169 00:21:15,608 --> 00:21:22,948 お役御免 無用の身となりましょうか。 そのようなことはない。 170 00:21:22,948 --> 00:21:27,653 まことでございますか。 ああ。 171 00:21:35,961 --> 00:21:40,833 物語を書きたいという気持ちに 偽りはございませぬ。 172 00:21:40,833 --> 00:21:43,435 里で続きは書きます。 173 00:21:43,435 --> 00:21:48,240 そして 必ずお持ちいたします。 174 00:22:19,939 --> 00:22:23,609 中宮様。 175 00:22:23,609 --> 00:22:27,313 藤式部にございます。 176 00:22:36,622 --> 00:22:40,626 お寒くはございませぬか? 177 00:22:45,965 --> 00:22:49,635 炭を持ってこさせましょう。 178 00:22:49,635 --> 00:22:54,340 (彰子)私は 冬が好き。 179 00:22:55,975 --> 00:23:00,246 空の色も好き。 180 00:23:00,246 --> 00:23:04,116 中宮様は お召しになっておられる➡ 181 00:23:04,116 --> 00:23:09,922 薄紅色がお好きなのかと 思っておりました。 182 00:23:09,922 --> 00:23:13,792 私が好きなのは 青。 183 00:23:13,792 --> 00:23:16,795 空のような。 184 00:23:20,566 --> 00:23:26,105 (左衛門の内侍)中宮様 このような所で お風邪を召したら どうなさいます。 185 00:23:26,105 --> 00:23:29,141 御簾を下ろせ。 186 00:23:29,141 --> 00:23:31,610 中宮様 こちらへ。 187 00:23:31,610 --> 00:23:34,914 そこは 寒うございますゆえ。 188 00:23:38,284 --> 00:23:41,987 藤式部は 何をしているの? 189 00:23:44,156 --> 00:23:47,293 里に下がるご挨拶を。 190 00:23:47,293 --> 00:23:51,797 えっ… この間 藤壺に上がったばかりではないの。 191 00:23:51,797 --> 00:23:57,303 里に下がり お役目を果たそうと存じます。 192 00:23:57,303 --> 00:24:22,261 ♬~ 193 00:24:22,261 --> 00:24:27,132 (いと)冷たっ! (福丸)ほら 俺がやるから いいよ。 194 00:24:27,132 --> 00:24:31,970 (きぬ)あんたは 気にしなくていいよ。 私は 冬の海にも潜るんだから。 195 00:24:31,970 --> 00:24:34,406 (乙丸)ハハハ…。 196 00:24:34,406 --> 00:24:36,342 ん~!? 197 00:24:36,342 --> 00:24:40,946 (藤原惟規)姉上! どうしたの? 198 00:24:40,946 --> 00:24:43,782 帰りたくなってしまったの。 199 00:24:43,782 --> 00:24:47,119 はっ! 追い出されたのでございますね! 200 00:24:47,119 --> 00:24:50,789 家で書いた方が はかどるからよ。 201 00:24:50,789 --> 00:24:52,725 ああ… 賢子と父上は? 202 00:24:52,725 --> 00:24:55,294 お二人でお出かけにございます。 203 00:24:55,294 --> 00:24:58,630 涙で別れて まだ8日目だよ。 204 00:24:58,630 --> 00:25:03,369 8日もご苦労なさったのですね。 おいたわしい…。 205 00:25:03,369 --> 00:25:05,304 ああ… 心配しないで。 206 00:25:05,304 --> 00:25:10,109 帰ってきたら 晴れ晴れしたわ。 大根おいしそう。 207 00:25:36,268 --> 00:25:38,570 (惟規)姉上。 208 00:25:40,139 --> 00:25:42,941 いじめられたの? 209 00:25:42,941 --> 00:25:46,412 高貴な姫様ばかりで そんな意地悪な人いないわよ。 210 00:25:46,412 --> 00:25:48,347 でも 帰ってきたんでしょ。 211 00:25:48,347 --> 00:25:50,616 また戻るかも。 えっ? 212 00:25:50,616 --> 00:25:52,551 まだ分からないけど…。 213 00:25:52,551 --> 00:25:56,288 はあ… 分かりにくい女だね。 214 00:25:56,288 --> 00:25:58,223 まあ いいけど。 215 00:25:58,223 --> 00:26:00,559 俺は 姉上みたいな女子には ほれないから。 216 00:26:00,559 --> 00:26:04,063 私も 惟規みたいな殿御には ほれないです。 217 00:26:04,063 --> 00:26:07,900 ハハハ… だよね~。 218 00:26:07,900 --> 00:26:42,901 ♬~ 219 00:26:47,406 --> 00:26:53,779 伊勢守に 平 維衡を任じるなど もっての外に存ずる。 220 00:26:53,779 --> 00:26:58,951 維衡は かの国の支配を巡り 一族の平 致頼と➡ 221 00:26:58,951 --> 00:27:02,221 幾度も合戦を起こした者。 222 00:27:02,221 --> 00:27:09,561 武力による力争いを許しては 瞬く間に戦乱の世となってしまう。 223 00:27:09,561 --> 00:27:16,568 (藤原顕光) されど 帝が そうお望みなのですぞ。 224 00:27:22,140 --> 00:27:25,577 そういう者を国守とすれば➡ 225 00:27:25,577 --> 00:27:33,452 どの国の国守も やがては 武力に ものを言わせようといたします。 226 00:27:33,452 --> 00:27:39,591 右大臣殿は それで よいとお考えなのだな。 227 00:27:39,591 --> 00:27:43,262 フッ… 維衡一人ぐらいで そのような。 228 00:27:43,262 --> 00:27:50,602 全ては ささいなことから始まるのだ。 229 00:27:50,602 --> 00:27:54,273 (藤原公季)まあまあまあ…。 230 00:27:54,273 --> 00:28:01,880 除目の大間書には 伊勢守の名を入れずにおく。 231 00:28:01,880 --> 00:28:05,884 本日の除目の儀は これまで。 232 00:28:25,571 --> 00:28:28,574 お先に。 233 00:28:37,182 --> 00:28:42,588 (藤原道綱)左大臣殿の言うことは なるほどと思ったが。 ねっ。 234 00:28:42,588 --> 00:28:46,458 されど 左大臣様らしからぬ怒り方であったな。 235 00:28:46,458 --> 00:28:50,262 平 維衡殿は もともと右大臣様の家人。 236 00:28:50,262 --> 00:28:54,132 なので 右大臣様が推挙されたのかと。 237 00:28:54,132 --> 00:29:00,072 そこまで知っておって なぜ そなたは 帝の仰せのままにと言ったのだ。 238 00:29:00,072 --> 00:29:04,209 帝が仰せなら 致し方ございますまい。 239 00:29:04,209 --> 00:29:07,112 (藤原実資)わしも そう思った。➡ 240 00:29:07,112 --> 00:29:11,550 されど 左大臣様は流されなかった。 さすがである。 241 00:29:11,550 --> 00:29:14,886 わしは 今 激しく己を恥じておる。 242 00:29:14,886 --> 00:29:21,660 (藤原隆家)恐れながら 帝には 朝廷も武力を持つべきというお考えは➡ 243 00:29:21,660 --> 00:29:25,530 おありにならないのでございましょうか。 (藤原伊周)やめておけ。 244 00:29:25,530 --> 00:29:29,234 (隆家)ご無礼いたしました。 されど これから先は➡ 245 00:29:29,234 --> 00:29:34,906 そういう道を選ぶことが あるいは 肝要となるやもしれませぬ。 246 00:29:34,906 --> 00:29:38,210 よくよく考えるべきと存じます。 247 00:29:41,580 --> 00:29:44,916 空欄にしたはずの伊勢守の欄に➡ 248 00:29:44,916 --> 00:29:52,257 いつの間にか 何者かによって 平 維衡の名が書き加えられていた。 249 00:29:52,257 --> 00:29:55,927 帝の裁可を得たということになるため➡ 250 00:29:55,927 --> 00:30:00,799 道長は それ以上 手出しできなかった。 251 00:30:00,799 --> 00:30:05,270 「心は 他の女の方にあったとしても➡ 252 00:30:05,270 --> 00:30:10,409 見初めたころのままに いとおしく思われているのであれば➡ 253 00:30:10,409 --> 00:30:13,612 それを よすがに思っていればいいものを➡ 254 00:30:13,612 --> 00:30:20,619 そうはならずに たじろぐから 縁は絶えてしまうものなのです」。 255 00:30:26,625 --> 00:30:30,295 面白いよ それ。 256 00:30:30,295 --> 00:30:35,167 大勢の男と むつんだわけでもないくせに よく書けるね そんなの。 257 00:30:35,167 --> 00:30:38,970 むつまなくても書けるのよ。 258 00:30:38,970 --> 00:30:41,306 (いと)あの…。 ん? 259 00:30:41,306 --> 00:30:48,980 そのような下品な殿御たちのお話 帝が お喜びになりますでしょうか。 260 00:30:48,980 --> 00:30:54,853 中宮様って うつけなの? は? 261 00:30:54,853 --> 00:30:56,855 みんな言ってるよ。 262 00:30:56,855 --> 00:31:03,495 亡き皇后 定子様は 聡明だったけれど 中宮 彰子様は うつけだって。 263 00:31:03,495 --> 00:31:08,266 うつけでは ありません。 奥ゆかしいだけ。 264 00:31:08,266 --> 00:31:13,271 ご意志は しっかり おありになるわ。 (惟規)そんな怒るなよ。 265 00:31:16,942 --> 00:31:22,614 除目での伊勢守の件 叡意により➡ 266 00:31:22,614 --> 00:31:26,952 平 維衡を これに任じることといたします。 267 00:31:26,952 --> 00:31:33,658 されど 速やかに交代させたく存じます。 268 00:31:35,293 --> 00:31:42,167 恐れながら お身内にも 厳しく接してこられた お上とも思えぬ➡ 269 00:31:42,167 --> 00:31:45,637 こたびのご判断。 270 00:31:45,637 --> 00:31:50,342 政に傷がつかぬうちに 取り消さねばなりませぬ。 271 00:31:52,511 --> 00:31:57,816 (一条天皇)さほどの ゆゆしき過ちを 犯したとは思えぬが…。 272 00:31:59,651 --> 00:32:05,257 お上に 初めて申し上げます。 273 00:32:05,257 --> 00:32:09,261 今は 寺や神社すらも武具を蓄え➡ 274 00:32:09,261 --> 00:32:12,597 武力で土地を取り合う世と なりつつあるのでございます。 275 00:32:12,597 --> 00:32:16,401 加えて この先 国司となるような者たちが➡ 276 00:32:16,401 --> 00:32:22,774 弓矢を専らとするようになれば いかが相成りましょうか。 277 00:32:22,774 --> 00:32:30,282 やがては 朝廷をないがしろにする者が 出てまいらぬとも限りませぬ。 278 00:32:30,282 --> 00:32:35,120 そうなれば 血で血を洗う世となりましょう。 279 00:32:35,120 --> 00:32:42,627 そうならぬように世を導くのが 正しき政。 280 00:32:42,627 --> 00:32:54,639 お上の御ため この国のためを思えばこそ あえて申し上げております。 281 00:33:01,580 --> 00:33:05,250 分かった…。 282 00:33:05,250 --> 00:33:07,919 伊勢守は 交代させよ。 283 00:33:07,919 --> 00:33:13,225 ありがたき えい慮 恐れ入り奉りましてございます。 284 00:33:23,468 --> 00:33:27,606 やめたんじゃないの? 遊びに来ただけじゃない? 285 00:33:27,606 --> 00:33:29,608 え~? 286 00:33:34,279 --> 00:33:39,150 帝にお見せする物語が 少し進みましたので➡ 287 00:33:39,150 --> 00:33:43,455 左大臣様にお渡しに参りました。 288 00:33:46,291 --> 00:33:52,964 帝がお読みになるもの 私も読みたい。 えっ。 289 00:33:52,964 --> 00:33:57,269 帝が お気に召された物語を知りたい。 290 00:33:59,304 --> 00:34:05,911 これは 続きでございますので…➡ 291 00:34:05,911 --> 00:34:10,916 では これまでのところを 手短にお話しいたします。 292 00:34:12,584 --> 00:34:19,925 帝は 忘れ形見の皇子を 宮中に呼び寄せて かわいがられますが➡ 293 00:34:19,925 --> 00:34:25,797 この皇子が 物語の主となります。 294 00:34:25,797 --> 00:34:36,942 皇子は それは美しく 賢く 笛も ご堪能でした。 295 00:34:36,942 --> 00:34:42,280 帝みたい。 まことに。 296 00:34:42,280 --> 00:34:45,183 その皇子の名は? 297 00:34:45,183 --> 00:34:50,956 あまりにも美しかったので 光る君と呼ばれました。 298 00:34:50,956 --> 00:34:53,858 光る君…。 299 00:34:53,858 --> 00:34:56,861 その皇子は 何をするの? 300 00:34:58,630 --> 00:35:04,936 何をさせてあげましょう。 ん~…。 301 00:35:07,072 --> 00:35:10,575 続きにございます。 302 00:35:10,575 --> 00:35:13,578 大儀であった。 303 00:35:19,250 --> 00:35:24,956 これで終わりか? いえ まだまだ続きます。 304 00:35:27,125 --> 00:35:30,395 これまで わがままを申しましたが➡ 305 00:35:30,395 --> 00:35:34,599 お許しいただけるなら 改めて 藤壺で➡ 306 00:35:34,599 --> 00:35:38,470 中宮様の御ために 力を尽くしたいと存じます。 307 00:35:38,470 --> 00:35:40,939 まことか! 308 00:35:40,939 --> 00:35:49,648 ありがたいことだが… どうしたのだ? よく気の変わる女子だな。 309 00:35:54,486 --> 00:36:01,893 中宮様のお好きな色は 空の青らしゅうございます。 310 00:36:01,893 --> 00:36:04,896 青? はい。 311 00:36:06,564 --> 00:36:10,435 中宮様のお心の中には➡ 312 00:36:10,435 --> 00:36:17,575 表に出てこないお言葉が たくさん潜んでおるのやもしれませぬ。 313 00:36:17,575 --> 00:36:23,281 中宮様と もっとお話ししたいと存じました。 314 00:36:25,450 --> 00:36:29,921 お上のお渡りにございます。 315 00:36:29,921 --> 00:36:33,792 帝が 藤式部に会いにいらっしゃるの? 316 00:36:33,792 --> 00:36:37,796 中宮様には ご興味ないもの。 317 00:37:04,556 --> 00:37:09,260 彰子 変わりはないか? 318 00:37:16,901 --> 00:37:24,209 藤原為時の娘 まひろであったか? 久しいのう。 319 00:37:26,578 --> 00:37:39,591 「高者 未だ必ずしも賢ならず 下者 未だ必ずしも愚ならず」。 320 00:37:39,591 --> 00:37:44,462 朕の政に 堂々と考えを述べたてる女子は➡ 321 00:37:44,462 --> 00:37:48,933 亡き女院様以外には おらなんだゆえ よく覚えておる。 322 00:37:48,933 --> 00:37:51,603 恐れ多いことにございます。 323 00:37:51,603 --> 00:37:57,942 光る君とは 敦康か? 324 00:37:57,942 --> 00:38:01,212 ないしょにございます。 325 00:38:01,212 --> 00:38:06,918 あの書きぶりは 朕を難じておると思い 腹が立った。 326 00:38:12,557 --> 00:38:20,899 されど次第に そなたの物語が 朕の心に しみいってきた。 327 00:38:20,899 --> 00:38:27,205 まことに不思議なことであった。 は…。 328 00:38:29,240 --> 00:38:32,577 朕のみが読むには惜しい。 329 00:38:32,577 --> 00:38:35,246 皆に読ませたい。 330 00:38:35,246 --> 00:38:41,252 はい。 物語は 女子供だけのものではございませぬ。 331 00:38:47,592 --> 00:38:55,466 中宮様にも お読みいただければ この上なき誉れに存じます。 332 00:38:55,466 --> 00:39:11,783 ♬~ 333 00:39:11,783 --> 00:39:14,752 褒美である。 334 00:39:14,752 --> 00:39:17,755 は…。 フッ…。 335 00:39:19,524 --> 00:39:25,897 これからも よろしく頼む。 336 00:39:25,897 --> 00:40:18,116 ♬~ 337 00:40:18,116 --> 00:40:22,620 鳥が逃げてしまったの 大切に飼っていた鳥が。 338 00:40:22,620 --> 00:40:25,423 鳥を鳥籠で飼うのが間違いだ。 339 00:40:25,423 --> 00:40:28,293 自在に空を飛んでこそ鳥だ。 340 00:40:28,293 --> 00:41:01,759 ♬~ 341 00:41:01,759 --> 00:41:03,695 (錫杖の音) 342 00:41:03,695 --> 00:41:08,533 (祈とう) 343 00:41:08,533 --> 00:41:14,939 大和から 京の都を揺るがす一団が 向かっていた。 344 00:41:14,939 --> 00:41:18,810 (祈とう) 345 00:41:18,810 --> 00:41:25,516 (錫杖の音) 346 00:41:36,227 --> 00:41:42,533 左大臣 藤原道長である。 何事だ。 347 00:41:44,302 --> 00:41:49,307 (定澄)興福寺別当の定澄にございます。 348 00:41:52,443 --> 00:41:54,979 (慶理)興福寺の僧ら 3,000は➡ 349 00:41:54,979 --> 00:41:57,815 既に木幡山に集まっております。 350 00:41:57,815 --> 00:42:00,251 (錫杖の音) 351 00:42:00,251 --> 00:42:03,154 (祈とう) 352 00:42:03,154 --> 00:42:07,992 (定澄)我らの訴えを 直ちに 陣定におかけくださいませ。 353 00:42:07,992 --> 00:42:17,802 それがならねば この屋敷を取り囲み 焼き払い奉ります。 354 00:42:22,273 --> 00:42:25,276 やってみよ。 355 00:42:30,148 --> 00:42:33,885 大極殿前の朝堂院に 興福寺の僧たちが 押し寄せております! 356 00:42:33,885 --> 00:42:36,120 中宮様を 奥の間に お隠しまいらせよ。 357 00:42:36,120 --> 00:42:38,790 帝の御身にまでは 危害は及ぼしますまい。 358 00:42:38,790 --> 00:42:40,725 お供いたしたく存じます。 359 00:42:40,725 --> 00:42:44,429 えっ。 今はやりの物語を書いている女房か? 360 00:42:44,429 --> 00:42:48,299 我が生涯 最初で最後の 御嶽詣である。 361 00:42:48,299 --> 00:42:51,803 光る君が 何をしたいのかも分からぬ。 362 00:42:51,803 --> 00:42:55,306 殿御は 皆 かわいいものでございます。 32745

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