All language subtitles for 光る君へ - E31 月の下で - [1440-FHD@KTGMC-slw.NV7-h264_qvbr 280_u p7][字]
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1
00:00:02,202 --> 00:00:05,405
(藤原道長)為時殿と娘御は?
2
00:00:05,405 --> 00:00:08,609
(まひろ)今日は 外に出ております。
3
00:00:10,944 --> 00:00:15,816
土御門殿で
父が いつもお世話になっております。
4
00:00:15,816 --> 00:00:18,285
いや…。
5
00:00:18,285 --> 00:00:24,591
ご聡明な頼通様のこと
いつも父が感心しております。
6
00:00:26,627 --> 00:00:30,964
四条宮で 和歌を教えているそうだな。
7
00:00:30,964 --> 00:00:33,800
はい。 なぜ それを…。
8
00:00:33,800 --> 00:00:37,638
公任に聞いた。
ああ…。
9
00:00:37,638 --> 00:00:43,510
学びの会のあと お前が語る
「カササギ語り」という話が大層な評判で➡
10
00:00:43,510 --> 00:00:49,650
公任の北の方も 女房たちも
夢中になっておるというではないか。
11
00:00:49,650 --> 00:00:55,322
その物語を 俺にも読ませてくれぬか?
12
00:00:55,322 --> 00:00:58,992
そのために わざわざ
ここへ いらしたのでございますか?
13
00:00:58,992 --> 00:01:00,928
そうだ。
14
00:01:00,928 --> 00:01:05,232
そのようなお姿で…。
ん? ああ…。
15
00:01:06,800 --> 00:01:10,103
「枕草子」より ずっと面白いと聞いたゆえ。
16
00:01:10,103 --> 00:01:12,039
どうでしょう…。
17
00:01:12,039 --> 00:01:15,275
もし面白ければ写させて➡
18
00:01:15,275 --> 00:01:18,579
中宮様に献上したいと思っておる。
19
00:01:21,615 --> 00:01:23,650
申し訳なきことながら➡
20
00:01:23,650 --> 00:01:28,121
「カササギ語り」は燃えてしまって
もうないのでございます。
21
00:01:28,121 --> 00:01:30,157
燃えた?
22
00:01:30,157 --> 00:01:34,461
燭を倒してしまい 残らず…。
23
00:01:36,797 --> 00:01:38,732
その話は偽りであろう?
24
00:01:38,732 --> 00:01:45,973
偽りではありませぬ。
床に炎の跡もありますゆえ。
25
00:01:45,973 --> 00:01:53,280
ああ… すまぬ。 疑ったことは許せ。
26
00:01:54,982 --> 00:01:58,018
無念で ゆうべは眠れませんでした。
27
00:01:58,018 --> 00:02:00,153
それは 気の毒であった。
28
00:02:00,153 --> 00:02:05,926
それを もう一度 思い出して
書くことはできぬのか?
29
00:02:05,926 --> 00:02:09,763
そういう気持ちにはなれませぬ。
30
00:02:09,763 --> 00:02:15,569
燃えたということは 残すほどのものでは
なかったと思いますので。
31
00:02:17,270 --> 00:02:19,573
ならば…。
32
00:02:22,609 --> 00:02:28,915
中宮様のために
新しい物語を書いてくれぬか?
33
00:02:34,955 --> 00:02:40,961
帝のお渡りも お召しもなく…。
34
00:02:42,829 --> 00:02:50,537
寂しく暮らしておられる中宮様を
お慰めしたいのだ。
35
00:02:53,306 --> 00:03:01,615
政のために入内させた娘とはいえ
親として捨て置けぬ。
36
00:03:06,586 --> 00:03:11,925
道長様のお役に立ちたいとは存じます。
37
00:03:11,925 --> 00:03:14,828
されど…。
38
00:03:14,828 --> 00:03:19,266
「されど」… 何だ?
39
00:03:19,266 --> 00:03:23,603
そうやすやすと 新しいものは書けませぬ。
40
00:03:23,603 --> 00:03:26,273
お前には 才がある。
41
00:03:26,273 --> 00:03:28,208
やろうと思えば できるはずだ。
42
00:03:28,208 --> 00:03:30,610
買いかぶりにございます。
43
00:03:30,610 --> 00:03:33,947
俺に力を貸してくれ。
44
00:03:33,947 --> 00:03:43,957
♬~
45
00:03:43,957 --> 00:03:49,262
また参る。 どうか考えてみてくれ。
46
00:03:54,968 --> 00:03:57,871
邪魔をいたした。
47
00:03:57,871 --> 00:07:02,856
♬~
48
00:07:06,559 --> 00:07:12,432
この年の秋 斉信が従二位に叙された。
49
00:07:12,432 --> 00:07:18,138
1歳年上の公任を
追い抜いての出世であった。
50
00:07:38,258 --> 00:07:40,927
(敏子)殿。
(藤原公任)ん?
51
00:07:40,927 --> 00:07:46,399
斉信様がお見えでございますけれど
いかがいたしましょう。
52
00:07:46,399 --> 00:07:49,602
通せ。
はっ。
53
00:07:49,602 --> 00:07:54,274
(藤原斉信)若き日より
この屋敷には よく来ていたゆえ➡
54
00:07:54,274 --> 00:07:59,412
案内なぞ要らぬのだ。
ご無礼いたしました。
55
00:07:59,412 --> 00:08:02,215
忙しいのではないのか。
56
00:08:03,883 --> 00:08:06,786
いつまで すねておるのだ。
57
00:08:06,786 --> 00:08:09,756
和歌や漢詩を学び直しておった。
58
00:08:09,756 --> 00:08:13,893
本来の道に戻ろうと思うておるだけだ。
59
00:08:13,893 --> 00:08:20,567
政で 一番になれぬなら
こちらで 一番になろうと思うてな。
60
00:08:20,567 --> 00:08:24,437
道長は 中宮大夫を務めて従二位となった。
61
00:08:24,437 --> 00:08:30,744
俺も たまたま中宮大夫であったゆえ
位を上げてもらえただけだ。
62
00:08:30,744 --> 00:08:34,581
お前を中宮大夫にしたのは 道長であろう。
63
00:08:34,581 --> 00:08:40,253
娘のことを お前に託したということだ。
64
00:08:40,253 --> 00:08:44,924
まあまあ まあまあ まあまあ…。
何が「まあまあ」だ。
65
00:08:44,924 --> 00:08:48,762
内裏にお前がおらぬと 調子が出ぬ。
66
00:08:48,762 --> 00:08:51,798
出仕してくれ。
67
00:08:51,798 --> 00:08:54,567
誰かに頼まれたのか?
68
00:08:54,567 --> 00:08:56,636
俺の気持ちだ。
69
00:08:56,636 --> 00:09:00,140
(敏子)大納言様がお見えにございます。
70
00:09:03,410 --> 00:09:08,114
(藤原実資)
これは 不思議な眺めにございますな。
71
00:09:08,114 --> 00:09:14,220
私どもは もとより仲間でございますゆえ。
72
00:09:14,220 --> 00:09:19,225
実資殿 何かお急ぎの御用でも…。
73
00:09:23,897 --> 00:09:30,069
左大臣様は 長く中宮大夫を
務められた末に 従二位になられた。
74
00:09:30,069 --> 00:09:36,276
こたびも 中宮大夫であられた斉信殿が
従二位になられただけ。
75
00:09:38,578 --> 00:09:44,250
今 それ 私が申したところでございます。
76
00:09:44,250 --> 00:09:49,923
内裏に 公任殿がおられぬと調子が出ぬ。
77
00:09:49,923 --> 00:09:54,761
あっ それも 今 私が…。
ああ そう…。
78
00:09:54,761 --> 00:09:58,398
誰かに お頼まれになったのですか?
79
00:09:58,398 --> 00:10:03,603
いや 私の気持ちである。
80
00:10:08,942 --> 00:10:11,277
ああ…。
81
00:10:11,277 --> 00:10:14,180
会いに行くなら 今ですぞ。
82
00:10:14,180 --> 00:10:18,618
間もなく 学びの会が始まりますゆえ。
83
00:10:18,618 --> 00:10:22,922
では これにて。
84
00:10:28,628 --> 00:10:30,663
今のは何だ?
85
00:10:30,663 --> 00:10:34,501
実資殿も 隅に置けぬのだよ。
86
00:10:34,501 --> 00:10:38,304
えっ そうなのか。
87
00:10:38,304 --> 00:10:53,319
♬~
88
00:10:53,319 --> 00:10:57,023
今日は 忙しいゆえ。
89
00:11:09,802 --> 00:11:16,276
「枕草子」をどのようにお読みになったのか
いま一度 お聞かせくださいませんか?
90
00:11:16,276 --> 00:11:21,614
(あかね)何か言ったかしら? 私。
覚えてないわ。
91
00:11:21,614 --> 00:11:25,952
覚えてないけど あまり引かれなかった。
92
00:11:25,952 --> 00:11:30,623
それは 何故でございますか?
93
00:11:30,623 --> 00:11:34,327
なまめかしさがないもの。
94
00:11:39,632 --> 00:11:45,305
「枕草子」は 気が利いてはいるけれど➡
95
00:11:45,305 --> 00:11:48,975
人肌のぬくもりがないでしょ。
96
00:11:48,975 --> 00:11:50,910
はあ…。
97
00:11:50,910 --> 00:11:53,846
だから 胸に食い込んでこないのよ。
98
00:11:53,846 --> 00:11:57,317
巧みだな~と思うだけで。
99
00:11:57,317 --> 00:12:09,395
「黒髪の 乱れも知らず うち伏せば➡
100
00:12:09,395 --> 00:12:16,903
まづ掻きやりし 人ぞ恋しき」。
101
00:12:18,605 --> 00:12:21,274
フフフ。
102
00:12:21,274 --> 00:12:28,615
あかね様。 あかね様がお持ちの「枕草子」➡
103
00:12:28,615 --> 00:12:31,951
お借りできないでしょうか。
104
00:12:31,951 --> 00:12:43,429
♬~
105
00:12:43,429 --> 00:12:47,300
私は 皇后様の影の部分も
知りたいと思います。➡
106
00:12:47,300 --> 00:12:50,136
そういう皇后様のお人となりを
お書きに…。
107
00:12:50,136 --> 00:12:53,039
(ききょう)
皇后様に影などはございません。
108
00:12:53,039 --> 00:13:01,781
♬~
109
00:13:01,781 --> 00:13:07,553
回想 (ききょう)華やかなお姿だけを
人々の心に残したいのです。
110
00:13:07,553 --> 00:13:30,243
♬~
111
00:13:46,959 --> 00:13:49,629
はあ…。
112
00:13:49,629 --> 00:13:52,965
中宮様。
113
00:13:52,965 --> 00:13:55,668
(藤原彰子)父上…。
114
00:13:57,837 --> 00:14:04,577
だいぶん寒くなりましたな。
はい。
115
00:14:04,577 --> 00:14:06,913
敦康親王様は?
116
00:14:06,913 --> 00:14:11,617
笛のお稽古にいらしております。
うむ。
117
00:14:13,586 --> 00:14:19,292
ご不便はございませぬか?
はい。
118
00:14:27,934 --> 00:14:31,237
父上。
はっ。
119
00:14:32,805 --> 00:14:39,946
父上と母上は
どうかなさったのでございますか?
120
00:14:39,946 --> 00:14:42,849
は?
121
00:14:42,849 --> 00:14:44,817
ああ…。
122
00:14:44,817 --> 00:14:48,287
ご心配いただくようなことは
ございませぬ。
123
00:14:48,287 --> 00:14:51,290
ご安心くださいませ。
124
00:14:58,931 --> 00:15:10,910
♬~
125
00:15:10,910 --> 00:15:14,580
(源 倫子)お帰りなさいませ。
うん。
126
00:15:14,580 --> 00:15:32,131
♬~
127
00:15:32,131 --> 00:15:36,836
(源 明子)殿…。
ん?
128
00:15:36,836 --> 00:15:40,273
土御門殿の頼通様は➡
129
00:15:40,273 --> 00:15:46,145
元服の折に 正五位下に
おなりあそばしたのでございますよね。
130
00:15:46,145 --> 00:15:48,614
うん。
131
00:15:48,614 --> 00:15:54,487
我が家の巌と苔も
間もなく元服でございます。
132
00:15:54,487 --> 00:16:00,560
ああ… 月日のたつのは早いものだな。
133
00:16:00,560 --> 00:16:08,568
我が子にも 頼通様に負けない地位を
お与えくださいませ。
134
00:16:10,570 --> 00:16:14,373
私は 醍醐天皇の孫。
135
00:16:14,373 --> 00:16:18,578
北の方様は 宇多天皇の御ひ孫。
136
00:16:18,578 --> 00:16:25,284
北の方様と私は
ただの嫡妻と妾とは違うこと…。
137
00:16:26,919 --> 00:16:32,225
殿とて お分かりでございましょう。
138
00:16:34,260 --> 00:16:37,597
倫子の家には世話になった。
139
00:16:37,597 --> 00:16:41,267
土御門殿には 財もある。
140
00:16:41,267 --> 00:16:45,972
それが どれほど私を後押ししてくれたか
分からぬ。
141
00:16:50,610 --> 00:16:55,915
私には 血筋以外に何もないと
仰せなのでございますか?
142
00:16:58,284 --> 00:17:02,154
そうではない。
143
00:17:02,154 --> 00:17:06,459
それが 全てではないと言うたのだ。
144
00:17:08,895 --> 00:17:14,767
内裏で 子供同士が競い合うようなことも
ないようにせねばならぬ。
145
00:17:14,767 --> 00:17:22,441
明子が争う姿を見せれば 息子たちも
そういう気持ちになってしまう。
146
00:17:22,441 --> 00:17:25,144
気を付けよ。
147
00:17:40,593 --> 00:17:42,929
お許しくださいませ。
148
00:17:42,929 --> 00:17:45,932
お帰りにならないで。
149
00:17:48,601 --> 00:17:51,504
放せ。
150
00:17:51,504 --> 00:17:54,206
また参るゆえ。
151
00:17:57,276 --> 00:17:59,278
殿…。
152
00:18:01,714 --> 00:18:08,220
以来 道長は
土御門殿にも高松殿にも帰らず➡
153
00:18:08,220 --> 00:18:12,525
内裏に泊まる日が多くなった。
154
00:18:14,093 --> 00:18:22,368
惟規。 惟規の自分らしさって何だと思う?
155
00:18:22,368 --> 00:18:28,574
(藤原惟規)はあ?
答えてよ。
156
00:18:28,574 --> 00:18:33,746
やなことがあっても
すぐに忘れて生きてるところかな。
157
00:18:33,746 --> 00:18:36,582
そうね。
どうしたの。
158
00:18:36,582 --> 00:18:40,252
じゃあ 私らしさって何?
159
00:18:40,252 --> 00:18:43,155
え~… 難しいな。
160
00:18:43,155 --> 00:18:47,026
うん 私って難しいと思う 私も。
いや そういう意味じゃなくて。
161
00:18:47,026 --> 00:18:53,532
もっと言って。 人と話していると
分かることもあるから。 いろいろ言って。
162
00:18:55,267 --> 00:19:00,539
そういうことをグダグダ考えるところが
姉上らしいよ。
163
00:19:00,539 --> 00:19:02,475
そういう ややこしいところ。
164
00:19:02,475 --> 00:19:05,478
根が暗くて うっとうしいところ。
165
00:19:07,213 --> 00:19:11,550
根が暗くて うっとうしい…。
166
00:19:11,550 --> 00:19:14,053
怒るなよ 自分で聞いたんだから。
167
00:19:14,053 --> 00:19:16,555
いろいろ言ってって言ったんだから。
168
00:19:19,225 --> 00:19:22,528
怒るなって言ったでしょ!
169
00:19:49,922 --> 00:19:56,095
「中宮様をお慰めするための物語
書いてみようと存じます。➡
170
00:19:56,095 --> 00:20:02,601
ついては ふさわしい紙を賜りたく
お願い申し上げます」。
171
00:20:02,601 --> 00:20:45,978
♬~
172
00:20:45,978 --> 00:20:50,983
お前が好んだ越前の紙だ。
173
00:20:54,320 --> 00:20:57,223
「越前には美しい紙がある。➡
174
00:20:57,223 --> 00:21:00,593
私も いつか あんな美しい紙に➡
175
00:21:00,593 --> 00:21:04,764
歌や物語を書いてみたい」と
申したであろう。
176
00:21:04,764 --> 00:21:07,600
宋の言葉で。
177
00:21:07,600 --> 00:21:10,302
ああ…。
178
00:21:13,272 --> 00:21:20,946
まことに よい紙を…
ありがとうございます。
179
00:21:20,946 --> 00:21:27,620
中宮様をお慰めできるよう 精いっぱい
面白いものを書きたいと存じます。
180
00:21:27,620 --> 00:21:29,622
うん。
181
00:21:34,960 --> 00:21:40,833
俺の願いを初めて聞いてくれたな。
182
00:21:40,833 --> 00:21:45,137
まだ書き始めてもおりませぬ。
183
00:21:48,974 --> 00:21:52,812
(福丸)さっきのが 左大臣様?
(いと)そうよ。
184
00:21:52,812 --> 00:21:57,983
左大臣様が こんなとこ来るんだ…。
来るのよ。
185
00:21:57,983 --> 00:22:03,789
すごいな この家…。
すごいのよ。
186
00:22:03,789 --> 00:22:56,775
♬~
187
00:23:24,136 --> 00:23:27,406
ハハ。
188
00:23:27,406 --> 00:23:30,276
ハハハ。
189
00:23:30,276 --> 00:23:33,279
ハハハハ…。
190
00:23:39,952 --> 00:23:42,655
ほう…。
191
00:23:49,628 --> 00:23:53,966
よいではないか。
どこが よいのでございますか?
192
00:23:53,966 --> 00:24:00,739
え? ああ… 飽きずに楽しく読めた。
193
00:24:00,739 --> 00:24:04,576
楽しいだけでございますよね。
ん?
194
00:24:04,576 --> 00:24:08,380
まことに これで 中宮様を
お慰めできますでしょうか。
195
00:24:08,380 --> 00:24:11,083
書き上がったから
俺を呼んだのではないのか?
196
00:24:11,083 --> 00:24:16,388
そうなのでございますが
お笑いくださる道長様を拝見していて➡
197
00:24:16,388 --> 00:24:18,324
何か違う気がいたしました。
198
00:24:18,324 --> 00:24:21,093
何を言っておるのか分からぬ。
199
00:24:21,093 --> 00:24:23,762
これで 十分 面白い。
200
00:24:23,762 --> 00:24:26,598
明るくて よい。
201
00:24:26,598 --> 00:24:31,470
中宮様も そうお思いになるでしょうか…。
202
00:24:31,470 --> 00:24:37,176
中宮様が お読みになるのですよね?
うん…。
203
00:24:39,178 --> 00:24:45,617
もしや 道長様
偽りを仰せでございますか?
204
00:24:45,617 --> 00:24:47,553
え?
205
00:24:47,553 --> 00:24:53,559
中宮様と申し上げると
お目が うつろになります。
206
00:24:57,229 --> 00:24:59,631
正直なお方。
207
00:24:59,631 --> 00:25:05,371
お前には かなわぬな。
やはり…。
208
00:25:05,371 --> 00:25:07,873
実は…。
209
00:25:09,908 --> 00:25:13,612
これは 帝に献上したいと思うておった。
210
00:25:15,247 --> 00:25:23,389
「枕草子」に とらわれるあまり
亡き皇后様から解き放たれぬ帝に➡
211
00:25:23,389 --> 00:25:31,130
「枕草子」を超える書物を献上し こちらに
お目を向けていただきたかったのだ。
212
00:25:31,130 --> 00:25:35,601
されど それを申せば お前は➡
213
00:25:35,601 --> 00:25:40,105
「私を政の道具にするのか」と
怒ったであろう?
214
00:25:40,105 --> 00:25:44,977
それは… 怒ったやもしれませぬ。
215
00:25:44,977 --> 00:25:48,480
ゆえに 偽りを申したのだ。
216
00:25:51,283 --> 00:25:53,986
すまなかった。
217
00:25:59,992 --> 00:26:03,929
帝が お読みになるものを
書いてみとうございます。
218
00:26:03,929 --> 00:26:06,732
えっ… これを 帝にお渡ししてよいのか?
219
00:26:06,732 --> 00:26:10,235
いえ… これとは違うものを書きまする。
220
00:26:10,235 --> 00:26:13,238
帝のことを お教えくださいませ。
221
00:26:13,238 --> 00:26:19,378
道長様が 間近に ご覧になった帝のお姿を
何でもよろしゅうございます。
222
00:26:19,378 --> 00:26:21,313
お話しくださいませ。
223
00:26:21,313 --> 00:26:30,022
帝のお人柄 若き日のこと 女院様とのこと
皇后様とのことなど➡
224
00:26:30,022 --> 00:26:34,860
お聞きしとうございます。
ああ。 話してもよいが➡
225
00:26:34,860 --> 00:26:38,263
ああ… どこから話せばよいか…。
226
00:26:38,263 --> 00:26:40,599
どこからでも よろしゅうございます。
227
00:26:40,599 --> 00:26:47,773
思いつくままに 帝の生身のお姿を。
生身のお姿か…。
228
00:26:47,773 --> 00:26:52,411
家の者たちは 私の邪魔をせぬようにと
宇治に出かけております。
229
00:26:52,411 --> 00:26:55,214
時は いくらでもありますゆえ。
230
00:26:57,116 --> 00:26:59,318
分かった。
231
00:27:02,888 --> 00:27:09,761
帝がご誕生された時
それは それは 美しい男子におわした。
232
00:27:09,761 --> 00:27:15,601
帝は
亡き皇后 定子様に夢中であらせられた。
233
00:27:15,601 --> 00:27:20,072
入内された時
帝は まだ幼くおわしたゆえ…。
234
00:27:20,072 --> 00:27:23,108
帝の よき遊び相手で…。
235
00:27:23,108 --> 00:27:28,247
帝は 本当に大事に…。
今は亡き女院様も➡
236
00:27:28,247 --> 00:27:35,120
涙を流して喜んでおられたな。
定子様をお慕いする帝のお心は➡
237
00:27:35,120 --> 00:27:40,259
我らが思うよりも
はるかに お強いものだった。
238
00:27:40,259 --> 00:27:51,970
♬~
239
00:27:53,605 --> 00:28:06,318
俺も… どうしたらよいか
分からなかったのだ。
240
00:28:10,889 --> 00:28:20,232
帝も また 人でおわすということですね。
ん?
241
00:28:20,232 --> 00:28:27,372
かつて 父とのことも 道長様とのことも➡
242
00:28:27,372 --> 00:28:29,308
あれも これも➡
243
00:28:29,308 --> 00:28:33,912
思っていることと やっていることが
相反しており 悩んでいた時➡
244
00:28:33,912 --> 00:28:39,217
それは 人だからじゃと
亡き夫に言われたことがございます。
245
00:28:41,787 --> 00:28:48,927
帝のご乱心も
人でおわすからでございましょう。
246
00:28:48,927 --> 00:28:57,236
道長様が ご存じないところで
帝も お苦しみだったと思います。
247
00:29:01,206 --> 00:29:09,214
それを表に出されないのも 人ゆえか。
248
00:29:11,216 --> 00:29:14,553
女も人ですのよ。
249
00:29:14,553 --> 00:29:21,560
フッ… そのようなことは 分かっておる。
250
00:29:23,228 --> 00:29:30,535
人とは 何なのでございましょうか…。
251
00:29:58,130 --> 00:30:04,770
う~ん… 帝の御事を語るつもりが
我が家の恥をさらしてしまった。
252
00:30:04,770 --> 00:30:11,943
ハハ… 我が家は 下の下だな。
あきれたであろう。
253
00:30:11,943 --> 00:30:18,617
帝も道長様も 皆 お苦しいのですね。
254
00:30:18,617 --> 00:30:23,322
これまでの話 役に立てばよいが…。
255
00:30:36,168 --> 00:30:39,171
きれいな月…。
256
00:30:41,840 --> 00:30:52,150
人は なぜ 月を見上げるのでしょう。
なぜであろうな…。
257
00:30:54,519 --> 00:31:01,927
かぐや姫は 月に帰っていきましたけど➡
258
00:31:01,927 --> 00:31:08,600
もしかしたら 月にも人がいて
こちらを見ているのやもしれませぬ。
259
00:31:08,600 --> 00:31:15,474
それゆえ こちらも見上げたくなるのやも。
260
00:31:15,474 --> 00:31:21,780
相変わらず お前は おかしなことを申す。
261
00:31:24,616 --> 00:31:30,622
おかしきことこそ
めでたけれにございます。
262
00:31:32,958 --> 00:31:36,962
直秀が言っておりました。
263
00:31:49,307 --> 00:31:56,314
直秀も 月におるやもしれぬな。
264
00:32:03,588 --> 00:32:06,892
誰かが…。
265
00:32:08,927 --> 00:32:20,272
誰かが 今… 俺が見ている月を
一緒に見ていると願いながら➡
266
00:32:20,272 --> 00:32:23,275
俺は 月を見上げてきた。
267
00:32:26,611 --> 00:32:34,486
皆 そういう思いで
月を見上げているのやもしれぬな。
268
00:32:34,486 --> 00:33:31,476
♬~
269
00:33:31,476 --> 00:33:34,479
もう帰らねば…。
270
00:33:34,479 --> 00:34:02,474
♬~
271
00:34:57,295 --> 00:35:02,133
お方様は
どうにかなってしまわれたのでしょうか。
272
00:35:02,133 --> 00:35:07,906
(藤原為時)左大臣様の頼みに
応えようとしておるのだろう。
273
00:35:07,906 --> 00:35:12,577
放っておいてやろう。
はい…。
274
00:35:12,577 --> 00:35:14,579
(賢子)取れた!
275
00:35:38,269 --> 00:36:57,949
♬~
276
00:36:57,949 --> 00:37:01,653
これは…。
277
00:37:09,561 --> 00:37:21,172
かえって
帝のご機嫌を損ねるのではなかろうか。
278
00:37:21,172 --> 00:37:24,909
これが 私の精いっぱいにございます。
279
00:37:24,909 --> 00:37:32,584
これで駄目なら この仕事は
ここまででございます。
280
00:37:32,584 --> 00:37:37,589
どうか 帝に奉ってくださいませ。
281
00:37:47,599 --> 00:37:51,903
賢子… いらっしゃい。
282
00:37:58,610 --> 00:38:03,314
左大臣様よ ご挨拶して。
283
00:38:07,418 --> 00:38:11,055
賢子にございます。
284
00:38:11,055 --> 00:38:14,893
うん… そなたは いくつだ?
285
00:38:14,893 --> 00:38:19,197
6つ。
6つか。
286
00:38:21,566 --> 00:38:23,868
おいで。
287
00:38:37,582 --> 00:38:48,226
ほう…
母親に似て 賢そうな顔をしておる。
288
00:38:48,226 --> 00:39:11,449
♬~
289
00:39:11,449 --> 00:39:16,888
面白い物語を書く者がおりまして
お上のお慰みになればと➡
290
00:39:16,888 --> 00:39:19,190
お持ちいたしました。
291
00:39:22,227 --> 00:39:27,098
(一条天皇)物語か…。
さようにございます。
292
00:39:27,098 --> 00:39:29,968
後で目を通しておく。
293
00:39:29,968 --> 00:39:32,870
それだけか?
はっ。
294
00:39:32,870 --> 00:39:37,709
このようなことなら
蔵人に渡しておけばよいものを…。
295
00:39:37,709 --> 00:39:41,913
お許しくださいませ。
まあよい。 下がれ。
296
00:39:41,913 --> 00:39:43,848
はっ。
297
00:39:43,848 --> 00:40:14,279
♬~
298
00:40:14,279 --> 00:40:17,181
何でございましょう。
299
00:40:17,181 --> 00:40:22,420
ああ いや… それは もう
左大臣様にお出ししたのであろう?
300
00:40:22,420 --> 00:40:27,292
はい。 こうした方がよいと思うところが
あちこちにあって➡
301
00:40:27,292 --> 00:40:30,295
直していると止まりませぬ。
302
00:40:30,295 --> 00:40:35,300
お出ししてしまったのに まだ直すのか。
303
00:40:35,300 --> 00:40:41,639
はい。 物語は 生きておりますゆえ。
304
00:40:41,639 --> 00:41:24,649
♬~
305
00:41:43,568 --> 00:41:52,810
「いづれの御時にか 女御 更衣が
あまたお仕えしている中に➡
306
00:41:52,810 --> 00:41:56,147
それほど高い身分ではありませんが➡
307
00:41:56,147 --> 00:42:03,388
格別に 帝のご寵愛を受けて
栄える方がおりました。➡
308
00:42:03,388 --> 00:42:08,760
宮仕えの初めから
我こそはと 思い上がっていた方々は➡
309
00:42:08,760 --> 00:42:15,967
その方を目障りなものとして
蔑み 憎んでいたのです」。
310
00:42:30,148 --> 00:42:33,418
殿が なぜ まひろさんを
ご存じなのですか?
311
00:42:33,418 --> 00:42:35,353
おとりでございますか。
そうだ。
312
00:42:35,353 --> 00:42:40,291
心の内とは裏腹であろう。
帝の御代は 長くは続くまい。
313
00:42:40,291 --> 00:42:43,628
譲られよ。
(祈とう)
314
00:42:43,628 --> 00:42:47,498
死にまする。
従二位 正二位…。
315
00:42:47,498 --> 00:42:50,301
たまには帰ってくるから泣かないで。
姫様…。
316
00:42:50,301 --> 00:42:55,306
大げさだな…。
では 行ってまいります。
28186