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♬~
♬~
♬~
(藤原道長) 大水と地震で 屋敷がやられたであろう。
(まひろ)はい…。
あの辺りは 痛手が大きかったゆえ 案じておった。
もったいないことでございます。
おかげさまで 家の者も 皆 無事でございました。うん。
お痩せになりましたわね。
やらねばならぬことが 山積みゆえ。 それでお参りに?
手に余ることばかり 次々と起こって➡
その度に まひろに試されているのやも… と思う。
私は 道長様を試したことなど ございませぬ。
ほう~ すぐ怒るのは相変わらずだな。
お許しくださいませ。
謝るな。 それしきのことで腹は立てぬ。
そういえば 三郎の頃も 俺は怒るのが嫌いだと仰せでした。
ああ…。
一度だけ お前に腹を立てたことがあったな。
今 そのことを考えたであろう?
偉くおなりになって 人の心が読めるようになられたのですね。
偉くなったからではない。
越前は よき所であったか?
寒うございました。
ああ。 越前守には 苦労をかけておる。
国守でさえ大変ですのに➡
朝廷の政の頂に立つ道長様は どれほど大変か…。
そのことが 越前に行って よく分かりました。
あっ 海を見たか?
はい。 海を渡ってきた宋人から 宋の言葉を習いました。えっ…。
ニーハオ ヘンガオシン ジィェン ダオニー。
ん? 宋の挨拶でございます。
ああ…。
はあ~…。
昔から賢いと思っておったが 宋の言葉まで覚えたか。
挨拶なら 誰でも覚えられます。 うん…。
もっと話してみよ。 えっ…。
え~…。
(宋語)
うむ。 何と言ったのだ?
越前には 美しい紙があります。
私も いつか あんな美しい紙に 歌や物語を書いてみたいですと。
巧みに宋の言葉を操って…。
そのまま越前におったら 宋の国に行ってしまったやもしれぬな。
されど 都に戻ってまいりました。
戻ってきて よかった。
♬~
供の者たちと参りましたので もう戻らねばなりませぬ。うむ。
引き止めて すまなかった。 いいえ…。
お目にかかれて うれしゅうございました。 うん。
お健やかに。
お前もな。
♬~
いま一度 俺のそばで生きることを考えぬか?
お気持ち うれしゅうございます。
でも…。
俺は また振られたのか。
♬~
(鳥の鳴き声)
お上のお渡りでございます。
(一条天皇)定子!
(一条天皇) なぜ 懐妊のこと 朕に告げなかったのだ。
(藤原定子)申し訳ございませぬ。
今度こそ 皇子が生まれる。
朕には見えるぞ。
定子に似た 目の美しい聡明な皇子の姿が。
そのように お喜びくださるとは 思えませんでした。
何を申すか。
子を産むことなぞ許されぬ身で…。
全てうまくいく。
朕を信じて 安心して よい子を産め。
お上…。
(一条天皇)少納言。 (ききょう)はっ。
中宮を頼んだぞ。
承知つかまつりましてございます。
心の声 晴明の予言は正しかった。
心の声 ならば 生まれるのは皇子か…。
(鳴き声)
(赤染衛門)姫様には 書も和歌も➡
一とおりのことは お教えいたしました。
これ以上 お教えすることはございませぬ。
(源 倫子)勉学は要らないわ。
何か こう 華やかな艶が欲しいの。
みんなが振り返るような明るさが。
艶と明るさ…。 それは難しゅうございますね。
だから 衛門に頼んでるのではないの。
入内して目立たなければ 死んだも同然。
みんなの注目を集める后でなければ ならないのよ。
はあ…。
衛門 我が家の命運が懸かっているの。
力を貸しておくれ。
はっ。
あの子が興味を持つようなことは 何かないかしら?
帝をお見上げ申し上げる時は まなざしを… 下から上へ。
では どうぞ。
下から上へ…。
よろしいですわ 姫様。
わあ~ きれい。
(倫子)彰子も 「わあ~ きれい」と 声を出して言ってちょうだいよ。
(藤原彰子)わあ~ きれい…。
♬~
どう? 衛門の方は。
閨房の心得は 一とおり お伝えいたしました。
何度も うなずいて 聞いておられました。
おとなしい姫様ですが 意外に ご興味がおありだと お察しいたしました。
閨房?
艶をと仰せでしたので。
艶もだけれど まずは 声を出して 笑うようにしてほしいのよ。
声を出す。 声を。
閨房の心得としてのお声については…。
そうではなくて ふだんの声!
閨房は その先のことでしょう。
あっ… お許しくださいませ。
このお役目は 私の任ではございませぬ。
ん~… もう!
物慣れているはずの衛門なのに 閨房以外に 知恵はないの?ああ…。
(いと)まっ 殿様! (藤原宣孝)ああ。 いと 久しぶりじゃのう。
まひろのご機嫌はどうじゃ?
おさみしそうにされておりましたよ。
そうか そうか。
痛っ。 ああ…。
お帰りなさいませ。
喜べ! 11月に行われる賀茂の臨時祭にて➡
神楽の人長を務めることとなった。 おめでとうございます。
その後 宇佐八幡宮への奉幣使として 豊前にも参る。
11月はお忙しくなりますね。
重いお役目を 2つも。
それもこれも左大臣様のお計らいだ。
まひろのおかげで 俺も大事にされておるのだよ。
ハハハハハハハ!
人生 何が幸いするか分からぬところが 面白いのう。 オホホホホホ!
おお そうじゃ。
よし。 今日の土産は 大和の墨と…。 まあ…。
伊勢の紅である。
そのように あれこれと…。
どこへ行っても お前のことを思うておったゆえ➡
あっちでも こっちでも 土産を買うてしまったのじゃ。
もったいないことでございます。
おっ たまには 殊勝なことを申すのだな。
ええ 心を入れ替えましたの。
憎まれ口を たたかぬ まひろは 何やら 恐ろしいのう…。 オホホホホホ!
また そのような…。
久しぶりに殿の笑い声を聞けて うれしゅうございます。
あまり人並みになるなよ。 では 時々 人並みになります。
憎まれ口も 時々はよい。 ハハハハハハハ!
心得ました。
♬~
心の声 「殿の癖…」。
心の声 「いつも顎を上げて話す。➡
お酒を飲んで寝ると 時々 息が止まる」。
(いびき)
(いびき)
♬~
いと…。 お呼びになりました?
気分が悪いの…。 まあ…。
吐き気がするし… 来るものも来ないし 病かも。
お方様…。
失礼いたします。
それは 病ではございませんよ。
ああ… でも…。
ご懐妊でございます。
障りは 何度 来ておりませんの?
ということは お生まれは 師走の頃でございますね。
懐妊なの? これ…。
お方様のおっしゃることが正しければ…➡
授かったのは 2月でございますね。
2月…。
殿様のお足が遠のいた頃の ご懐妊ということでございますか…。
このことは 殿様には黙っておきましょう。
黙ったまま いけるところまで いくのでございますよ。
その先は その時その時で考えましょう。
せっかく 殿様と仲直りができたのですもの。
口に合わぬか?
まひろのために求めてきた アユであるぞ。
いかがいたした?
実は 子ができました。
なんと…。
おお この年で また子ができるとは…。➡
いつ生まれるのじゃ?
恐らく 今年の暮れに…。
暮れか!
今年は 忙しい年になるな。
ああ 暮れは まだ奉幣使として 豊前におるゆえ そばにいてやれぬが➡
よい子を産めよ。 ハハハハ。
♬~
心の声 よく気の回る この人が 気付いていないはずはない…。
♬~
心の声 気付いていて あえて黙っている夫に➡
この子は あなたの子ではないと言うのは 無礼すぎる。➡
さりとて このまま黙っているのも 更に 罪深い…。
♬~
はっ! いかがいたした? また気分でも悪いのか?
いえ… 大事ございませぬ。
ああ…。 ああ よかった よかった。
眠ってる間は 気分の悪さも忘れるゆえ 早く寝よ。
はい…。
わしが 背中をさすってやるゆえ。
もったいないことにございます。
もったいないことは なかろう。
俺たちは 夫婦だぞ。
殿…。 ん?
お別れしとうございます。
このような夜更けに そのような話はよせ。
この子は 私 一人で育てます。 何を申すか。
そなたの産む子は 誰の子でも わしの子だ。
一緒に育てよう。
それで よいではないか。
わしと育てるのは 嫌なのか?
いいえ そのような…。
わしのお前への思いは そのようなことで揺るぎはせぬ。
何が起きようとも お前を失うよりはよい。
その子を 慈しんで育てれば➡
左大臣様は ますます わしを大事にしてくださろう。
この子は わしに福を呼ぶ子やもしれぬ。
持ちつ持たれつじゃ。
一緒になる時 お前は言った。
私は 不実な女であると。
お互いさまゆえ それでよいと わしは答えた。
それは こういうことでもあったのだ。
殿…。
別れるなぞと 二度と申すな。
(倫子)なんて見事な 入内のお道具でございましょう。
彰子の入内は どうしても盛り上げねばならぬ。
まことに。 うむ。
あっ ここに 公卿たちの歌を貼ったら どうであろう?え?
公卿たちが名入りで 歌を献じたことを示せば➡
帝も 彰子に一目置かれるであろう。 それは ようございますね。うむ。
ああ 清書は… 行成に頼もう。
さぞや 見事な屏風になりましょう。 うむ。
(藤原斉信)できたぞ。 おっ。
(斉信)これは いい出来だぞ。➡
「笛竹の よふかき声そ 聞こゆなる➡
きしの松風 吹きやそふらん」。
(藤原行成)待たされましたぞ。 肝を冷やしました。
(藤原公任)下手な歌を詠んでは 名折れだからな。➡
「むらさきの 雲とそ見ゆる 藤の花➡
いかなる宿の しるしなるらん」。
(藤原実資)歌は詠まぬ。
(源 俊賢)そこを なんとか…。
学才並ぶ者なき 中納言様のお歌を 左大臣様は 切にお望みでございます。
公卿が 屏風歌を詠むなぞ ありえぬ。 先例もない。
(オウム)センレイ…。
左大臣家の姫は まだ入内前。
女御にもなっておらぬ者のために 何故 公卿が歌を詠まねばならぬのか。
それは…。 左大臣様は 公と私を混同されておる。
(ため息)
実資殿らしいな。
力及ばず 申し訳ございませぬ。
(行成)御免被ります。 何事だ。
花山院から お歌が送られてまいりました。
そもそも 奇矯なお振る舞いの多い 院ではあられますが…。
左大臣様への おもねりでありましょう。
思惑は どうあれ ありがたく頂戴いたそう。
♬~
慎重にな。 (一同)はっ。
道長の思惑どおり この屏風は➡
公卿の多くが支持していることの 証しとなり➡
道長の政にも 大きな意味を持つこととなった。
(実資)ほう~。
中納言殿 いかがされましたか?
いやいや 次の陣定にて諮る➡
新嘗祭のことで…。 ん?
(実資) お忙しそうなので 出直してまいります。
中納言殿。
こちらが 彰子様にお持ちいただく屏風です。
(実資)いやいや… 出来上がったのでございますか。
中納言殿に お歌を頂けなかったのは 残念でありましたが➡
なんとか仕上がりました。
公任殿の歌は さすがでございますな。
花山院のお歌も こちらに。
ほほう… お~…。
大納言をはじめ 大勢にお歌を頂戴いたしました。
中納言殿が 歌は書かぬと仰せられた時の 自らの信念を曲げず➡
筋を通されるお姿 感じ入りました。
これからも忌憚なく この道長に ご意見を賜りたく お願いいたす。
いやいや…。
ハハ… 院までもか。
ああ これは これは。
11月1日 彰子が入内した。
(読経)
まだ足りませぬ。
(読経)
⚟(産声)
(藤原隆家)ああ… ハハハハ…。➡
はあ… うん。
(荒い息遣い)
彰子の入内から6日後 定子は 皇子を産んだ。
♬~
中宮は 無事か!
(行成)中宮様も 皇子様も お健やかとのことにございます。
ああ… よかった。
おめでとうございます。
定子… よくやった。
(居貞親王)皇子か…。
祝いの品を手配いたします。
叔父上も痛手でありましょうな。 そのようなことはございませぬ。
叔父上の姫が入内したそうだが これでは意味もない。
意味はございます。
皇子のご誕生で ますます中宮様に傾かれる➡
帝のお心を おとどめ申すには 私の娘が欠かせませぬ。
そんなに よい女子なのか 彰子とは。
おかげさまで。
(藤原伊周)これで 左大臣も 俺たちを むげにはできまい。➡
皇子様が 東宮になられれば 再び我らの世となる。
あんまりお急ぎにならないで 兄上。
生まれた皇子様が 東宮になられるということは➡
帝が ご退位されるということですよ。
帝が退位あそばせば 姉上の力も弱まる。
焦ると よい目は出ないと思うがな~。
何だと?
(定子)けんかしないで。
(藤原詮子)皇子様のご誕生 まことに おめでとうございます。
ありがとうございます。
(詮子) 皇子様は いずれ 東宮となられる身。
お上のように 優れた男子に 育っていただかねばなりませぬ。
朕は 皇子が 私のようになることを望みませぬ。
え?
朕は 己を優れた帝だとも 思ってはおりませぬ。
なんと…。
私が手塩にかけて お育て申し上げたお上です。
優れた帝でないはずはございませぬ。
朕は 中宮一人 幸せにはできぬのですよ。
それは… そもそも あちらの家が…。
朕は 母上の仰せのまま 生きてまいりました。
そして 今 公卿たちに 後ろ指をさされる帝になっております。
ですから それは 伊周らが悪いのです。
中宮も お上のご寵愛をかさに着て いい気になり過ぎたのですよ。
決して お上のせいではございませぬ。
こたびも 母上の仰せのまま 左大臣の娘を女御といたしました。
されど 朕が 女御を いとおしむことはありますまい。
いいかげんに 中宮に 気をお遣いになるのは およしなさいませ。
そういう母上から逃れたくて➡
朕は 中宮に救いを求め のめり込んでいったのです。
全ては あなたのせいなのですよ!
お待ちください!
お上は そのように この母を見ておられたのですか。
はい。
私が どれだけ…➡
どれだけ つらい思いで生きてきたか… 私が…。
もうお帰りくださいませ。
私は 父の操り人形で 政の道具で それゆえ 私は…。
♬~
朕も…➡
母上の操り人形でした。
父上から めでられなかった母上の 慰みものでございました。
そのような… 私は…。
女御の顔を見てまいります。
母上のお顔を立てねばなりませぬゆえ。
♬~
くしくも その日 入内から間もない彰子は 早くも女御となり➡
その披露目が 盛大に行われた。
女御の宣旨を賜り ありがたき幸せにございます。
幾久しくよしなに お願い申し上げます。
面を上げよ。
そなたのような幼き姫に このような年寄りですまぬな。
楽しく暮らしてくれれば 朕も うれしい。
はい。
よりにもよって 女御宣下の日に 皇子が生まれるとは。
我が運も傾きかけておる。
(安倍晴明)傾いてはおりません。
何の障りもございませぬ。
このごろ 体調もよくないのだ。
ならば 女御様を中宮になさいませ。 え?
♬~
太皇太后 昌子様が 先頃 お隠れになりましたゆえ➡
皇后の遵子様を 皇太后に祭り上げれば 皇后の座は空きます。
そこに 中宮 定子様を入れ奉り➡
そして 彰子様が 中宮になられれば 皆も ひれ伏しましょう。
一人の帝に 二人の后なぞありえぬ!
やってしまえば よいのです。 なんということを…。
国家安寧のために あなたは 彰子様を差し出された。
一帝二后は 彰子様のお力をより強めましょう。
左大臣様のお体も回復されます。
一帝二后…。
(読経)
⚟(産声)
お方様…。
♬~
「裴楷清通…」。
カタコじゃ。 「賢い子」と書く。 殿!
人の思いと行いは 裏腹にございます。
お覚悟をお決めくださいませ。 だよね。
うちで お倒れになれば よいのに…。
(2人)いつも いつも。 (笑い声)
あ~っ!
まひろ…。 逝かないで…。
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