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長徳4年10月 日食と地震が 同日に都を襲った。
(いと)こちらへ。
(いと)お方様…。 (まひろ)あっ…。
二階棚は そちらに。 はっ。
鏡台は その横です。 はっ。
(いと) 宣孝様が こんなにも裕福なお方とは➡
存じませんでした。 そうね…。
不吉な大水も 日食も 地震も 吹き飛ばす頼もしさですわ。
福丸は ぐらりと揺れた途端に➡
私を ほっぽり出して 逃げてゆきましたけど➡
宣孝様は お方様をかばわれて➡
覆いかぶさっておられて 胸打たれました。 そうね…。
(きぬ)福丸さんが来られましたよ。 (福丸)どうも。
もう! どこ行ってたのよ! まあ まあ まあ…。
(藤原宣孝)おお だいぶ進んでおるな。
おう 頼んだぞ。 へい。
お帰りなさいませ。
まひろ。 今日は 取って置きの贈り物を 持ってまいった。
毎度の贈り物は もう…。 わしがしたいのだ。 断るな。
(笑い声)
このような よく映る鏡で 自分の顔を まじまじと見たことはありませぬ。
うれしゅうございます。
我ながら かわいいであろう。 まあ 思ったとおりでございます。
おっ 自信はあったのだな。 また そのようなお戯れを。
ならば もっと戯れよう。
まひろ…。
あっ! アハハ!
♬~
♬~
♬~
(藤原行成)安倍晴明らによる➡
日食と地震についての 「天文密奏」にございます。
「天文密奏」とは 異常な天文現象が起きた時➡
その占いの結果を 内密に天皇に知らせることを言う。
天皇以外の者が読むことは 許されなかった。
(一条天皇)朕のせいなのか…。
(恒方) 水にのまれ また建物の下敷きとなり➡
命を落とした者の数は 100を超えております。
(藤原道長)人夫を増やして まずは 堤を急ぎ築き直せと➡
山城守と検非違使に伝えよ。 はっ!
(雷雨の音)
(安倍晴明)お出まし恐縮にございます。
この天変地異は いつまで続くのだ。
お前の見立てを聞かせてくれ。
(晴明)帝のお心の乱れがおさまれば 天変地異はおさまります。
中宮様のもとに 昼間からお渡りになり 政をおろそかになさっていることは➡
先日 おいさめいたした。
天地の気の流れを変え➡
帝のお心を 正しきところに お戻しするしかございませぬな。
いかがすればよい。
左大臣様が よきものをお持ちと申しました。
よきものとは➡
左大臣様の一の姫 彰子様にございます。
出家とは 片足を あの世に踏み入れること。
もはや 后たりえぬ中宮様によって 帝は 乱心あそばされたのです。
今こそ 穢れなき姫君を!
義子様も 元子様も おられるではないか。
お二人の女御様と そのお父上には 何のお力もございませぬ。
左大臣様の姫君であらねば。
(雷雨の音)
できぬ。
私には見えます。
彰子様は 朝廷の この先を背負って立つお方。
そのような娘ではない!
引っ込み思案で 口数も少なく…。
何より まだ子供だ。
恐れながら 入内は 彰子様が背負われた宿命にございます。
(雷雨の音)
(藤原詮子)お前も そろそろ そのくらいのことをしたら?
女院様まで なんということを!
身を切れということよ。
お前は いつも きれいなところにいるもの。
今の地位とて あくせくと策を弄して 手に入れたものではない。
運がよかったのでしょ。
何もかも うまくいき過ぎていたのよ。
身を切る覚悟は 常にございます。
されど 彰子は まだ子供。
子供であろうとも それが使命であれば やり抜くでしょう。
むごいことを仰せられますな。
それそれ。 そういう 娘をかばう よき父親の顔をして➡
お前は 苦手な宮中の力争いから 逃げている。
私は 父に裏切られ 帝の寵愛を失い 息子を中宮に奪われ➡
兄上に内裏を追われ 失い尽くしながら生きてきた。
それを思えば 道長も ついに 血を流す時が来たということよ。
朝廷の混乱と天変地異がおさまるなら 彰子をお出しなさい。
姉上が そのように私を見ておられたとは 知りませんでした。
大好きな弟ゆえ よく見ておっただけよ。
(田鶴)父上!
(源 倫子)申し訳ございませぬ。 田鶴が聞かなくて。
父上 今日 迦陵頻の舞を習いました。
ほう そうか。
ご覧ください。
いんじゃ…。
〽 ち~ち~ら~ろ~ろ~
ハハ… 今度 ゆっくり見るゆえ。
田鶴。 父上はお疲れです。 またにしなさい。
彰子 そなたは 何をしておったのか?
姉上は 何にもしてません。 これ!
父上のお邪魔をしてはいけませんよ。
あちらに参りましょう。
ご無礼をいたしました。
♬~
お痩せになられましたね。
大水 日食 地震以来 お仕事が 忙しすぎるのでございましょう。
心配でございます。
肩を おもみいたします。 よい。
それより 相談がある。
相談? いつも お胸の内を お明かしくださらぬ殿が➡
私に相談とは うれしゅうございます。
うれしい話ではない。 え?
彰子を入内させようと思うのだ。
続く天変地異を鎮め 世の安寧を保つためには➡
彰子の入内しかない。
お気は確かでございますか?
入内して幸せな姫なぞおらぬと いつも仰せでしたのに。
今も そう思っておる。 されど…。
嫌でございます。 あの子には 優しい婿をもらい➡
穏やかに この屋敷で暮らしてもらいたい と思っております。
俺も同じ思いであった。
されど 今は 入内もやむなしと思っておる。
よくお考えください。
中宮様は 出家してもなお➡
帝を思いのままに操られる したたかなお方。
そんな負けの見えている勝負などに…。
勝負ではない!
これは いけにえだ。
手塩にかけた尊い娘ならばこそ 値打ちがある。
これ以上 帝のわがままを許すわけにはいかぬ。
何もしなければ 朝廷は力を失っていく。
朝廷がどうなろうと あの子に関わりはありませぬ。
そうはゆかぬ。 私は左大臣で 彰子は左大臣の娘なのだ。
不承知にございます。
そなたが不承知でも やらねばならぬ。
相談ではございませんでしたの?
許せ。
殿 どうしても彰子を いけにえになさるのなら➡
私を殺してからにしてくださいませ。
私が生きている限り 彰子を政の道具になどさせませぬ!
(藤原穆子)そういえば あなたも さきの帝に入内する話があったわね。
入内せず 殿の妻になれて 心からよかったと 私は思っております。
それゆえ彰子にも そのような幸せを与えてやりたいのです。
(穆子)そうね…。
そうだけど 入内したら 不幸せになると 決まったものでもないわよ。
帝は 政も おろそかになられるほど➡
中宮様の色香に 骨抜きにされてるのでおられますよ。
ひょっこり 中宮様が亡くなったりしたら?
母上!
何がどうなるかは やってみなければ分からないわよ。
それに 中宮様は 帝より 4つもお年が上でしょ。
今は 首ったけでも そのうち お飽きになるんじゃない?
年が明けたら 改元いたそうと思うのだが。
(藤原実資) 長保がよろしかろうと存じます。
うむ 長保か…。
(実資) 左大臣様の世は 長く保たれましょう。
帝の御代であろう。
帝は 傾国の中宮に お心を たぶらかされておられますゆえ➡
このままでは…。
そうなのであるが…。
もし 左大臣様の姫君が入内されれば 後宮の内もまとまり➡
帝のご運も上向いて 御代も 長く保たれるのではございませぬか。
中納言殿は まことに そう思われるのか?
もちろんにございまする!
入内…。
ないな…。
ないない。
(オウム)ナイナイ…。
ないない…。
(田鶴)妍子! いきますよ…。
それ! (藤原妍子)いくぞ…。
(田鶴)あっ!
はい。
母上。 姉上は ぼんやり者ゆえ 婿も来ないのですね。
田鶴! 姉上を そのように言うてはなりませぬ。
琴だって 少しも覚えてなくて…。
お師匠さんが怒ってました。
田鶴は この家を継ぎ 父上の跡を継ぐ大切な嫡男。
姉上は 帝のお后となるような 尊い姫なのですよ!
あら…。 あら…。
これ! これ!
母上は 父上とけんかしているのですか? していませんよ。
いつもプンプンしてるから。 していません!
(田鶴)していません!
父は そなたを帝の后にしたいと考えておる。
驚かぬのか?
(藤原彰子)仰せのままに。
母上は かたく不承知なのだが お前は まことによいのか?
仰せのままに。
内裏に上がれば 母上や田鶴らとも 気軽に会うことはできなくなる。
されど この国の 全ての女子の上に 立つことは 晴れがましきことでもある。
父の言っていることが分かるか?
仰せのままに。 分かるかと聞いておるのだ。
ああ 今日は もうよい。 また話そう。
心の声 あのように何も分からぬ娘を 入内させられるのか…。
♬~
(くしゃみ)
ああ すまぬ。
気持ちよく寝てしまった。
お風邪を召されますよ。
ああ…。
こうしておれば 風邪など ひかぬ。
フフ…。
静か…。
朕が 政をおろそかにしたせいで 多くの民が命を失った。
このままでよいとは思えぬ。
責めを負って譲位し 中宮と静かに暮らしたい。
(行成) 恐れながら たとえ ご譲位なさろうとも➡
今のまま 中宮様をご寵愛あそばせば➡
中宮様のお立場も 脩子内親王様のお立場も危うくなります。
なんと…。
ご譲位ではなく ご在位のまま 政に専念なさるお姿を➡
皆にお見せくださいませ。
更に お上に皇子なくば➡
東宮様の皇子 敦明様が 次の東宮となられましょう。
さすれば お上の御父上であらせられる 円融院の御筋は途絶えます。➡
女院様とて それはお望みになりますまい。
その方の考えは分かった。
譲位はせぬ。
されど… 我が皇子は 中宮が産むことを 朕は望む。
お言いつけどおり➡
円融院の御筋は絶えてはならぬ ということを お伝えいたしました。
その点は お心に届いたと存じますが 中宮様へのご執着は なかなか…。
いや 一歩 進んだ。
行成のおかげだ。
公卿たちは 左大臣様の姫様が入内と聞けば➡
皆 喜びましょう。
公になされば 内裏の気配も変わります。
まだ公にするには早い。
この件 これからも 行成の力添えが欠かせぬのだ。
頼んだぞ。 はっ。
年が明け 元号は 長保となった。
一条天皇は この正月 事もあろうに 中宮を秘密裏に 内裏に呼び寄せた。
(晴明)中宮様は この正月に➡
ご懐妊あそばされたようにございます。 なんと…。
(晴明)内裏での逢瀬のせいでございます。
今年の11月ごろ 皇子が生まれましょう。 皇子なのか…。
(晴明)呪詛いたしますか?
父上のようなことはしたくない。
よう申されました。 今 私を試したのか。
呪詛せよとお命じあれば いたしました。
彰子は入内して 幸せになれるであろうか。
私の使命は 一国の命運を見定めること。
人一人の幸せなぞは あずかり知らぬことでございます。
分かった。 中宮様が 子をお産みになる月に➡
彰子の入内をぶつけよう。
よい日取りを出してくれ。 はは。
11月1日を 彰子の入内の日と決めた。
中宮様のお加減がお悪いとの うわさでございますが➡
まさか ご懐妊ではありません…。 ご懐妊であろうとも➡
入内は決行する。
ご懐妊ならば そのお子を呪詛し奉ってくださいませ。
呪詛は 殿のご一家の 得手でございましょう?
そのようなことはせずとも 彰子が 内裏も 帝も お清めいたす。
いけにえとして。 そうだ。
殿の栄華のためではなく➡
帝と内裏を 清めるためなのでございますね。
そうだ。
分かりました。
私も 肝を据えます。
中宮様の邪気を払いのけ➡
内裏に 彰子のあでやかな後宮を 作りましょう。
気弱なあの子が 力強き后となれるよう 私も命を懸けまする。
道長は ついに 彰子の入内を 正式に 一条天皇に申し入れた。
♬~
鴨川の堤の決壊に始まる天災の数々は 我が政の未熟さゆえであった。
左大臣には 大層 苦労をかけた。 とんでもないことにございます。
左大臣の務めを 果たしただけにございます。
そなたの働きに報いて➡
娘の入内を許す。
ははっ。
我が舅として 末永くよろしく頼む。
もったいなきお言葉 痛み入りまする。
♬~
道長は 裳着の儀を盛大に執り行うことで 彰子の入内を公のものとした。
♬~
(一同)おめでとうございます。
裳着の儀も滞りなく済んだ。
これも神仏の守護 そして 皆のおかげだ。
厚く礼を申す。
(源 俊賢) いや~ 見事な裳着の儀でありました。
(藤原斉信)しかし 一番 ボ~ッとしていた道長が左大臣で➡
俺たちは いまだ参議。 分からぬものだな。
(藤原公任)人の世とは そういうものだ。
そのうちに 帝の父になられるやもしれませぬし。
うん それを口にするな。
中宮側に 邪魔立てされるやもしれぬ。
んん…。 (笑い声)
左大臣は 己のために生きておらぬ。
そこが 俺たちとは違うところだ。 ハハ…。
道長には かなわぬ。
まことに そう思います。 そう思います。
(あくび)
(藤原伊周) 左大臣の娘が 裳着を行ったようだ。
まだ子供ゆえ 入内してきても 恐れることはないと思うが。
(藤原定子)恐れてなどおりませぬ。
帝の御心は 揺るがぬと 信じておりますゆえ。
裳着に参列した者の話では➡
左大臣の娘は ろくに 挨拶もできぬ うつけだそうだ。
兄上 そのようなことを 仰せになってはなりませぬ。
入内を受け入れられるのは➡
内裏の安寧をはかろうとなさる 帝のご覚悟の表れなのだと思います。
ほう~…。 随分と中宮様らしくなられましたな。
なあ 少納言。
(ききょう)唐の国では 皇帝は太陽 皇后は月といわれておりますが➡
私にとって 中宮様は 太陽でございます。
軽々しくお近づきになりますと やけどされますわよ。
(笑い声)
(いと)どうぞ。 はい どうぞ。
腹減った~。 腹減ったよな。
ありがとうございます! ありがとう!
血が出ているではないの。
洗ってあげる。 おいで。 いい!
駄目。
傷に泥が入ったら 大変なのだから。
何事だ?
こら! お礼くらい言わぬか!
大水と地震から生き残った子供たちに 食べ物を与えておりました。
汚らわしい。
ああ… あの子らには 親がおりませぬ。
誰かが食べさせてやらねば 間違いなく飢えて死にます。
それも致し方ない。 子供の命とは そういうものだ。
ああ 今日の土産は 丹波のくりだ。 うまいぞ!
ありがとうございます。 皆 喜びます。
皆は よい。 お前に持ってきたのだ。
おお そうであった。
この前 そなたの文を ある所で見せたら➡
その女が見事な歌だと ひどく感じ入っておった。
ある所で 誰にお見せになったのですか?
ある女だ。 ある女…。
よいではないか。 男か女かと聞かれれば➡
女だというだけの女だ。 さあ 食え。 うまいぞ!
2人だけの秘密を 見知らぬお方に見られてしまったのは➡
とんでもない恥辱でございます。
見せられたお方とて いい気分は しなかったに 違いございません。
そういうことを 殿は お考えにならないのでしょうか?
お考えにはならないよ。 よいではないか。 褒めておったのだから。
よくはございませぬ。 お考えが 浅すぎます。
わしは お前のような 学に優れた女を 妻にしたことを 皆に自慢したいのだ。
ゆえに お前の文を持ち歩いて あちこちで見せておる。
それほど自慢されて 本望であろう!
殿に送った文 全てお返しくださいませ。 え?
そうでなければ お別れいたします。
何を言っておるのか分からぬ。 今日は もうお帰りくださいませ。
まあまあ まあまあ… 怒った顔もかわいいぞ。
おやめください!
難しい女だ。 せっかく褒めておるのに。
またな。
「また」と言う時は➡
これまでに送った文を 全てお持ちくださいませ。
そうでなければ お目にはかかりませぬ。
お方様 私がいたします。
いいのよ。 きぬは 厨の方を頼むわ。 はい。
(藤原惟規)どう?
「どう?」って 惟規の方こそ どうなの?
まだまだ官職は得られそうもないよ。 思っていたとおり。
父上が 戻られる前には 頼むわよ。 うん。
そういうとこ素直なのに やることをやらないのだから 惟規は。
あのさ 男のそういう痛いとこ つかない方がいいよ。
宣孝様は いつもプンッとしてる私がよい と仰せだけれど。
自信満々だな。
そうでもないわ。 このところ 放っておかれているの。
それ 新しい女が出来たからだよ。 え?
清水の市で見たんだ。
姉上より ずっとず~っと若い女に 絹の反物 買ってやってた。
にやけた顔して。
あ… 私だって 宣孝様より ずっとず~っと若いのに➡
私よりも ずっとず~っと若い女なの? うん。
お盛んねえ~…。 怒らないんだ。
怒っているわよ。
でも 惟規に聞いたとは言えないから 今回は 黙っておくわ。
あ~ 家はいいなあ…。
帰るよ。 今来たばかりじゃないの。
姉上がつつがないなら いいんだよ。
宣孝様のこと 一度 ひっぱたいてやりなよ。
それでも あのお方は 姉上のこと手放さないから。
それから 許す 許さない 別れる 別れないと➡
文のやり取りが繰り返され…。
(宣孝)これを見た途端 まひろに似合うと思うてな。
清水の市で見つけたのだ。 清水の市…。
あの市には よい反物が出るのだ。
若い女子に反物を買われたついでに 私にも。
ありがとうございます。
多淫は 体によろしくないそうですよ。
かわいくないのう… 誰に聞いたのだ。
誰でも よろしいでしょう。
あの宋の薬師に聞いたのか。 ええ。
あの男とも 怪しげであったのう。
嫌らしい勘ぐりを なさらないでください。
まあまあ… そう絡むな。
わしが悪かった。
うん せっかく久しぶりに来たのだ。
ああ… もっと甘えてこぬか。
私は 殿に甘えたことはございません。
お前の そういう かわいげのないところに➡
左大臣様も 嫌気がさしたのではないか?
分かるな~。
これ以後 宣孝の足は遠のいた。
(いと)お方様 ちょっと よろしゅうございますか?
ん?
殿様に おわびの文をお出しになったら いかがでございましょう。
悪いのは あちらだけど。
ご自分をお通しになるのも ご立派ですけれど➡
殿様のお気持ちも 少しは思いやってさしあげないと。
どう思いやれっていうの?
お方様は 賢くていらっしゃいますので おっしゃることは正しいのですけれど➡
殿様にも 逃げ場をつくってさしあげないと。
なぜ?
夫婦とは そういうものだからでございますよ。
思いを頂くばかり 己を貫くばかりでは 誰とも寄り添えませぬ。
己を曲げて 誰かと寄り添う…。
それが いとおしいということでございましょう。
♬~
(宣孝)「大したこともできない 人数にも入らない私が➡
あなたに腹を立てたところで かいがありませんね」。
(いと 乙丸 きぬ 福丸)石山寺!?
みんなで行きましょう。
殿様がお見えになったら どういたしますの?
お見えになったら その時は その時のことです。
あらま…。
石山寺 行ってみとうございます。 (乙丸)おお…。
行こうよ いと。
行って 殿が また来てくださるよう お願いするから。
(誦経)
(物音)
♬~
よい子を産めよ。 痛っ。
この子は 私 一人で育てます。 今度こそ 皇子が生まれる。
子を産むことなぞ許されぬ身…。 皇子か…。
これで 左大臣も 俺たちを むげにはできまい。
いやいや…。 海を見たか?
宋の言葉を習いました。
もう! (鳴き声)
下から上へ。
俺のそばで生きることを考えぬか?
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