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・~
(ナレーター)
ぶんみょう
いまだ分明ならざるころ・
とうしょうしんしゅう
かかざん
東勝神洲は花果山の山頂
奇怪な石猿が誕生いたしました>
・『モンキー・マジック』
・~
・~
・~
・~
今日もまた暮れて・
は
日は早や 西のかなたへと
沈みかけております>
てんじく
だいらいおんじ
正に 日輪 没する所
はるか はるか かなた>
さんぞう
ごくう
はじめとする悟空ら一行の旅は・
巡り来り 巡り去る日輪を追っての
果てしない旅でありました>
一行が さしかかった ある村外れ>
(悟空)お師匠さん
今 何か聞こえませんでした?
さんぞうほうし
(三蔵法師)
私には何も聞こえませんが
そうかなぁ?
じゃ おいらの空耳だな こりゃ
はっかい
(八戒)女の声だ!
ごじょう
(悟浄)女?
ああ あれは まさしく女の声だよ
女が すすり泣いてる声だ
美しい女が 身も世もなく
身もだえして泣いてるんだ
あほか! お前と来たら まあ
風の音でも 谷川のせせらぎでも・
何でも かんでも
女の声に聞こえんねやろう?
嫌だね こいつは もうさ…
聞くもの見るもの全部
もん
女と食べ物なんだから もう
お師匠さん
気にしないで行きましょうや
悟浄 ちょっと待ってくれよ おい
(悟浄)えっ?
ほら 聞こえてくるだろう ほら!
(悟浄)何が?
間違いないよ あれは!
あれは 女が泣いてる声だ
あれ? 風向きが変わってきたな
ほら!
風に乗って聞こえてくるだろう?
しゅんか
けいえい
・(春花)アアッ… 桂栄
許しておくれ 桂栄…
こりゃ
色っぽい話じゃなさそうだな
(春花)母さんを許しておくれ 桂栄
・(春花)
アアッ… 桂栄 母さんを許して…
悟空!
はい
止めなさい
あの女の人は死ぬつもりです
あいよ!
おうおう 兄貴 兄貴 兄貴 兄貴…
女のことだったら
俺に任せといてくれ なっ?
(春花)許しておくれ 桂栄
母さんを許して…
アアッ…
こら 命を粗末にするんじゃない!
離してください!
(八戒)離せ これを!
離してください 死なせてください
お願いします!
お願いします 離してください!
(八戒)何をす… あいたた…
アアッ… 桂栄!
やめろ ほら!
(殴る音)
アアッ!
兄貴 なにも殴ることは…
うるせえ この野郎!
逆上してる女には
これが いちばん いいんだい!
おい 訳を話してみろよ
「なるほど 死にたいのも
もっともだ」と思えば・
この悟空さまが 首きゅっと
ひねって あの世へ送ってやらぁ
「けいえい けいえい」とか
言ってたけど
会社の経営が不振だったとか
何か… なに? 「けいえい」って
私の… 3歳の娘でございます
そなたの子が
亡くなったのですか?
どういうわけです?
私が殺しました…
(悟空たち)ええっ?
この手で…
(悟浄)なんやと?
(泣き声)
話をしてごらんなさい
母というのは
この身に代えても 子を守るという
ここにいる私の弟子たちも・
母の恩が あったればこそ
今こうしているのです
この私とても 同じことです
母ほど
ありがたいものは ありません
その母である そなたが・
なぜ我が子を
手にかけるようなことに?
(泣き声)
お師匠さん こら あきませんで
(泣き声)
(女性)恐れながら申し上げます
これ 春花さんを隣へ
失礼をいたしました
とても春花さんには
聞かせられぬ・
むごい話でござりまする
そう… あれは
4日前のことでございました
(雷鳴)
(天馬のいななき)
きしぼ
数百年も生きているのに・
20代の若さと美貌を
保っているのです>
ひけつ
人間の子供を食べることであり・
そのために 村人たちからは 鬼と
呼ばれて恐れられていたのです>
(母親)[外:]早く 早く…[外:]
(母親)[外:]早くおいで 早く![外:]
・~
(いななき)
・~
(鬼子母)[外:]ンンッ…
子供は おらぬか・ 子供は[外:]
[外:]肌の柔らかそうな子供は
おらぬか・[外:]
(男性)[外:]帰れ帰れ![外:]
(男性)[外:]絶対 通さねえぞ![外:]
(男性)[外:]俺たちの子供たちには
指1本 触れさせねえ![外:]
(むちの音)
[外:]アアッ![外:]
(むちの音)
(突き飛ばす音)
(男性たち)[外:]アアッ![外:]
(むちの音)
[外:]アアッ…[外:]
(男性)[外:]ウワッ![外:]
(母親)[外:]来る! 鬼子母が来る
足音が近づいてくる[外:]
・(鬼子母)
[外:]子供は おらんのか・ 子供![外:]
(桂栄)[外:]お母ちゃん 怖いよ![外:]
(母親たち)[外:]しーっ![外:]
(春花)[外:]桂栄 静かにしておくれ[外:]
(桂栄)[外:]お母ちゃん 怖いよ…[外:]
(母親)[外:]泣かせないでおくれよ
鬼子母に知れたら どうするのさ[外:]
(母親)[外:]静かにさせておくれよ[外:]
[外:]桂栄 静かにおし![外:]
(桂栄)[外:]怖いよ[外:]
[外:]黙らせとくれよ![外:]
(春花)[外:]静かにおし…[外:]
(母親)[外:]鬼子母が
こっちへ来るじゃないか[外:]
[外:]ごめんなさい[外:]
(桂栄の泣き声)
[外:]子供は おらんのか 子供は…[外:]
・(鬼子母)
[外:]子供は おらんのか・ 子供![外:]
[外:]子供は おらぬか 子供は![外:]
[外:]子供は おらぬのか・[外:]
[外:]行ってしまったよ[外:]
(母親)[外:]助かった…[外:]
(母親たち)[外:]良かった良かった!
もう大丈夫だよ[外:]
[外:]桂栄![外:]
[外:]桂栄…[外:]
[外:]桂栄! 桂栄![外:]
[外:]アアッ![外:]
[外:]桂栄! 桂栄…[外:]
(女性)思わず きつく押さえ過ぎて
我が子を 窒息させてしまったので
ございます
[外:]桂栄![外:]
それ以来 春花さんは 毎日・
娘さんのことを思い出しながら
泣き暮らしているのでございます
なにもん
しかし 何者だい?
その鬼子母って女はよ
はい ここから
およそ600里の所にあります・
おうがどう
黄餓洞に住む鬼女でござります
鬼女?
年は定かではありませぬが
数百年は
生きているであろうと思われ
それが あろうことか・
人間の子供を捕らえては
それを食べるのでございます
人間の子供を?
なんという むごいことを…
これまでに 近郷近在は もちろん
はるかな土地まで出向いては・
子供を捕らえ
その肉を食らい 血をすすり
骨まで しゃぶるのでござりまする
もう何千人という子供が・
鬼子母のために 命を
落としているのでございまする
ところで おばさんよ
どうして その鬼女ってのは
ガキの肉ばっかり食らうんだい?
なんでも
若さと美貌を保つためには・
子供の肉が
いちばん効き目があるとか…
(2人)へえ…
こえ
女ってのは怖えもんだなぁ
嫌だねえ…
(2人)えっ?
お坊さまに
見せたいものが ござりまするが
(八戒)
なんでえ こりゃ井戸じゃねえか
(女性)
これは かれ井戸でございます
かれ井戸?
(悟浄)そんな あほな
こんな きれいな水がやね
さんさんと湧いとんのに
ばか
そんな馬鹿なこと ないで
よし ちょっと1回くんでみよか
・(水の音)
(悟浄)
いくら何でも 八戒の馬鹿頭でも・
これぐらいの理屈は
分かるというもんですよっと
なに? おい
(悟浄)まあまあ…
この水は 真水ではござりませぬ
ええっ? どれ…
あら… しょっぱいよ これ
(悟浄)しょっぱい?
こりゃ おばさん これ 塩水かい?
珍しいね 塩水の井戸ってのは
いいえ この井戸は10年前までは
その名のとおり 1滴の水もない
かれ井戸でございました
(女性)ところが ある日 鬼子母に
子供を食われた若い母親が・
悲しみのあまり この井戸に
身を投げたのでござりまする
ところが その日から
この井戸は 絶えることなく・
水が さんさんとあふれ出るように
なったのでござります
この水は…
その若い母親の涙でござりまする
(泣き声)
哀れな母親…
どんなに悲しかったことでしょう
そうや 母親というものは
そういうもんかもしれんな
なあ 八戒
(八戒)うん?
わし 子供のころな
どじなことに 滝から川に落ちてな
かっぱ
あわや 「河童 川流れ」に
なりかけたんや
そのとき わし もう…
岩で頭打つやら 何やかんやでな
血みどろになってんねん
そのときや わしんとこの母親がな
「ぱ~っ」走ってきてね
川に飛び込んでな
わしのこと助けてくれよったんや
…で 一生懸命やな
家まで連れて帰って
わしのことを ひと晩 抱きながら
介抱してくれよったんや
まあ 立派な母親やったで
わしんとこのは
俺のおふくろだって そうだよ
俺 子供のころな 食い過ぎて
死に損なったことがあんだよ
熱が出て
本当に死ぬとこだったんだ
そしたら
俺のおふくろな 体に針を刺して・
俺の苦しみが
少しでも軽くなるようにって・
自分の体を痛めて
血を流してくれたんだよ
もし あんとき 俺が死んでたら…
おふくろも
この井戸に身を投げた女のように
涙で川を作ったかもしれねえな
フン! けったくそ悪いやい
悟浄 八戒! 2人して
おふくろの自慢話かい? フン!
俺は どうせよ
石から生まれた母なし猿だよ
天下に身寄りのねえ
独りぼっちの猿だよ
めえ
お前 なにも ひがむことは
ねえじゃねえか
うるせえやい!
俺にはよ 泣いてくれるおふくろも
いやしねえんだ
だがな
親はなくとも子は育つっつうんだ
ざまあみやがれ! ちきしょうめ
・ 悟空!
悟空
なんですか 子供みたいに
いいじゃないですか
悟空…
お師匠さん あいつらね
おいらが
おっ母さん いねえの知ってて
わざと ああいうこと言うんだ
悟空… 形の母が いなくとも
悲しむことも
寂しがることもありません
お前は
確かに 石から生まれた石猿です
そんなこと お師匠さんに
念を押されなくたって・
分かってますよ
いいではありませんか
お前の母は この大地です
万物を育む この大地の・
その石の中から
お前は生まれてきたんです
そう思えば 行くさきざきに
お前の母が いるではありませんか
お前は 決して 「無」から
生まれてきたのではないのですよ
さあ 人を羨むのは もうやめて
早くお休み
あしたは
黄餓洞へ行ってみましょう
鬼子母が どんな鬼女なのか…
また 悟空の力を
借りることになりそうです
おやすみ
おやすみなさい
・~
そうか…
いいこと言うねえ お師匠さんは
ハハッ…
「お前の母は この大地です」か…
ごめんね
こんな踏みつけちゃってさ
そうか おいら 年がら年中 この…
おっ母さんに
おんぶしてるみてえなもんなんだ
「この大地の 石の中から
お前は生まれたんです」か…
ヘヘッ… ヘヘヘッ…
・~
おっ母さん…
この大地が母であると知った悟空>
抱かれた悟空の姿でありました>
・~
ええか? その鬼子母というのが
どんな女か知らんけども
たとえ
どれほど恐ろしい女であっても
それは たかが女やないか
我々 男たちが力を合わせれば
必ず勝てる
大切なことは
必ず勝つという信念を持つこと
それやな
(男性)分かりました
何だ? このへっぴり腰は
しゃんとしろ しゃんと!
何だ? その反抗的な目は
(殴る音)
ハァ… ええい!
こう もたもた歩いてたんじゃ
日が暮れちまうわ
よし!
(口笛)
・~
鬼子母が馬車で来るなら 柵を作る
そして 飛び道具や
みんな これから
山に行って毒草を取ってこい
その毒草の汁を搾り 矢じりに塗り
それを鬼子母に打ち込む!
おい 落とし穴は 深~く掘れよ
(男性たち)はい!
底に竹を植えるのを忘れるな
(男性たち)はい!
いったん落ちたらな
焼き鳥みたいに・
串刺しになるようにな
(男性たち)はい!
おい! それから 竹の先はな
十分に とんがらせとけよ
(男性たち)はい!
・~
ここか 鬼子母が住んでるのは
よ~し
ンッ!
(男の子)いくぞ ハハッ…
(男の子)それ!
(男の子)エイッ!
ほら!
・~
《何だい? こりゃ》
(男の子)エイッ!
《この子供たち…》
《まさか さらってきた
子供たちじゃねえだろうな》
あいど
愛奴!
(愛奴)は~い 母さま
愛奴 愛奴は 母さまが好きかい?
(愛奴)うん
ウフフッ… いい子だ いい子だ
誰だ・
あぶ
(娘)母さま 虻だよ
(鬼子母)なんだ 虻だったのか
よいしょ…
私は 誰かが忍び込んだ気配が
したもんだから…
汚いからね 捨てておしまい!
(娘)は~い
(払う音)
ウウッ…
ああ 危ねえ… もうちょっとで
つぶされるとこだったよ
子供の骨か かわいそうに…
黄餓洞には
子供たちがいるというのですか?
そうなんですよ
最初はね 捕まえてきた子供かと
思ったんですが
その子供たちが あの女を見てね
「母さま」って呼ぶんですよ
子供がいるんですか? 鬼子母には
はい 私どもは
まだ見たことはございませぬが
うわさ
噂では
1000人の子供がいるとも
1000人も・
はい そのように聞いております
あの女 本当に許せねえな
さらってきた子供は食い殺し
てめえでは 1000人の子供を産む…
俺は怒った
もう許せねえ 怒ったぞ!
どこへ行くんです?
決まってるでしょう!
あの鬼子母を捕らえて…
にょいぼう
いや この如意棒でね
あの世へ送ってやりますよ
どけどけ!
何してやがんだ・ この野郎
(いななき)
ヤッ!
(むちの音)
・~
お前たち 馬鹿じゃねえか?
これじゃ すぐ落とし穴って
分かっちゃうだろう
もっと埋めろよ 分かんないように
(男性たち)はい
そうそう そうそう そう
ほらほら 気をつけろ ほれ
よしよし 頑張れよ
・ どいた どいた どいた!
どけどけ!
兄貴! そこに落とし穴が…
アアーッ!
(落ちる音)
ウッ… あたたた… アアッ…
おい 兄貴! 悟浄!
(八戒)何もたもたしてんだ
早く助けてくれよ!
あほんだら! 自分で掘った穴に
落ちやがってからに お前は
自分で掘った穴に落ちたのか
この馬鹿!
お前みてえなのは
串刺しになっちまえ この野郎!
おい 悟浄
あいつ 串刺しになったらよ
豚の丸焼きで 1杯 これ いくか
ええなぁ 考えるだけで
よだれが出てきたわ ハハッ…
あれ? あの野郎
本当に よだれ垂らしやがって…
馬鹿! 早く助けろ!
おい 悟空
しゃあないから 助けたろうか?
本当に てめえは
世話のかかる豚だ この野郎!
・(男性)来たー!
悟空さま! 鬼子母が来ました
来たか! よ~し…
おいおいおい!
お~い 誰か助けろ!
助けろ助けろ! お~い!
・~
(男性たち)ウワッ!
(むちの音)
よく来たな 鬼子母!
子供を食おうったって
今度ばかりは そうは いかねえぞ
やつ
奇妙な奴… 何者だ? お前
なんだと?
俺を知らねえってのか・ おい
この衣装 見てみろよ ええ・
如意棒 この輪っか
もみあげ スカーフ!
分かんない? ああ そう
悲しいね おい
あいつは
俺たちのこと知らねえらしいよ
(鬼子母)確か そっちの河童は
さ
沙悟浄とかいったな
あっ!
あいや わしの名前 知ってる!
あいや うれしい!
この野郎
戦うんだよ これから
本当に知らねえのか?
(鬼子母)知らないねえ
じゃ 自己紹介させていただきます
あっし 花果山で生まれました・
せいてんたいせい
そん
斉天大聖 孫悟空!
オリャー!
・~
よっ!
ンンッ!
(男性)大丈夫ですか? 八戒さま
(八戒)大丈夫だよ…
俺は お前 不死身の八戒さまだよ
おい
あの連中 まだ やってんのか?
(男性)はい
(八戒)ああ… 情けないなぁ
俺だったら
瞬きしてる間に やっつけてやらぁ
得物を貸せ
(男性)はい!
よし!
すけ
と
兄貴 助っ人だ!
・~
ンンッ!
野郎!
馬鹿野郎! どけ この野郎!
(殴る音)
お前たちと遊んでる暇は ないわ!
ンッ! ンンッ!
(天馬のいななき)
・~
(口笛)
待てー!
ンンッ!
(鬼子母)子供は おらぬか 子供は
(母親)子供は いません!
いません…
(鬼子母)ンンッ!
アアッ! やめて!
しゅんえい
俊英だけは…
お願いです 連れてかないで!
アアッ! 俊英だけは!
子供を放せよ!
どけ!
(母親)俊英! 俊英!
待ちやがれ!
・(天馬のいななき)
(母親)俊英!
アアッ…
悟空 鬼子母 どうした・
ほら!
(八戒)なんで逃がしたんだよ?
馬鹿野郎
子供取られて 手ぇ出せるか!
くそ… あっ いけねえ
おい ちょっと 手ぇ貸せ
坊や! 俊英は どこ・
悟空たちが
連れ戻しに黄餓洞へ行っています
望みを捨てずに待ってください
では… 俊英は いないのですか・
アハハッ…
(笑い声)
俊英…
おいで… ハハハハッ…
俊英…
待ちなさい!
気を落ち着けるのです
俊英…
・~
どこへ行くの ホホホホッ…
坊や! どこへ行くの
(笑い声)
いい子ね アハハッ…
おい 悟浄!
えっ? おう!
よう どうだい?
あかん よその村からも
ぎょうさん 子供さろうてきとんな
そりゃまずいな
下手に攻め込んでも
子供の命が危ないし
…といって 放っときゃ お前
子供たちは 1日1人ずつ
鬼子母に食われちまう
豚は?
ああ その豚に変身して
中に潜り込んどる
ほう… 八戒の野郎
へま こかなきゃいいけどな
(息子たち)シッシッ! シッシッ!
(豚の鳴き声)
シッシッ シッシッ…
(鳴き声)
(鳴き声)
(息子)お母さ~ん!
豚 捕まえたよ!
良かったねえ
あとで おやつに焼いてあげようね
(子供たちの泣き声)
(鼻を鳴らす音)
(泣き声)
(鬼)こら うるさい!
(鬼)静かにしろ!
・(泣き声)
(鬼)あっ… これは 鬼子母さま
しっかりと見張ってんだよ
(鬼)はい
悟空とやらいう おかしな連中が
うろついてるらしいからな
(鬼)はい
あとで 肉づきの柔らかそうな子
1人連れておいで
かしこまりました
ウ~ン…
どれもこれも うまそうな子供たち
(泣き声)
(鼻を鳴らす音)
(鬼)あっ こら!
(鬼)よいよい
豚など かまうことはない
なんとかならないのですか? 悟空
それが… 子供たちを
人質に取られてますからね
何百年もの間 子供を
食ってきよった奴ですからね
私らが攻め込んだら
いっぺんに殺しますよ
・(八戒)お~い! おい!
おい! いや 危ないところだった
もうちょっとで 鬼子母の子供の
おやつになるとこだったよ
お前なんか
当てには してねえけどよ
このどじ まぬけ!
何か手がかり あったのかよ?
つかんできましたよ
お師匠さま あの黄餓洞にはね
さらってきた子供が
ざっと100人は いましたよ
それを
毎日ね 1人ずつ食ってるんです
もう 一刻の猶予もなりません
分かりました
お前たち 少し下がっていておくれ
はい ほいじゃ みんな 下がろうか
豚も来い
(鼻を鳴らす音)
(読経)
しゃかにょらい
・(釈迦如来)何事ですか? 三蔵
・~
お釈迦さま
どうか 力をお貸しください
黄餓洞に住む鬼子母のもとから・
さらわれた子供たちを
救い出したいのです
お釈迦さま…
(釈迦)鬼子母ですか?
分かりました 私に考えがあります
(愛奴たち)じゃんけんぽい!
あいこで しょ!
(息子)あっ お前 鬼だ 逃げろ!
(鬼子母の子供たち)逃げろ!
もういいかい?
・(子供たち)ま~だだよ!
もういいかい?
・ もういいよ!
・(釈迦)愛奴
愛奴 おいで
・~
ねえ お師匠さま お釈迦さまに
あんなこと頼んで 大丈夫ですか?
失礼なこと言うんじゃねえよ 八戒
えっ?
お釈迦さまは
うそ
嘘つくような方じゃねえや
俺とは 古~い友達なんだから
あっ 何だ? あのガキは
(釈迦)三蔵
しばらく その子を預かるのです
その子は愛奴といいます
鬼子母の子供1000人のうちの
いちばん末の子で
鬼子母が
いちばん愛している子供です
いいですね 三蔵
どのようなことがあっても・
その子を
鬼子母に渡してはなりません
・~
はい 分かりました
へえ あれが鬼子母の子供かねえ
(八戒)はぁ…
愛奴!
愛奴!
・(鬼子母)
愛奴! どこにいるの? 愛奴
愛奴…
・ 愛奴!
愛奴… 愛奴!
いたか?
(鬼)いません
どうした? 見つかったか?
いいえ それが
黄餓洞の中には どこにもいません
そんな馬鹿な! 私の子供たちは
この黄餓洞から 1歩も外へ…
あいつらだ
あいつらが
愛奴をさらっていったんだ
あいつらと申しますと?
(鬼子母)悟空とかいう奴らだよ
おのれ… 私の愛奴をよくも!
愛奴 今迎えに行くからね
どけ!
・~
愛奴! 無事でいてくれ
愛奴!
柵を早くどけ!
(男性)早く来い!
悟空さま!
鬼子母が! 鬼子母が来ました!
悟空さま 悟浄さま!
鬼子母が… 鬼子母が来ました
ついに来たか!
悟空さま 悟浄さま
安心しろ
今度こそ たたきのめしてやっから
(悟浄)おい 八戒 行こう!
行こう
どうしたんだ? 八戒
頼まれた奴が 行きゃいいだろう
悟空さまに悟浄さま!
言ってやれよ ほら
もちろん 八戒さまも
(八戒)俺は付け足しか・ 馬鹿野郎
付け足しじゃねえよ
お前 付録だから
ええっ?
愛奴! 愛奴! 愛奴!
待ってたぞ 鬼子母!
おのれ…
私の愛奴をどこにやった・
知らねえや そんなもの!
おのれ!
・~
愛奴!
ヤーッ!
・~
・(鬼子母)愛奴! 愛奴!
愛奴!
貴様 どけ!
ンンッ!
待ちやがれ!
お前ら ぐるか・
・(釈迦)待ちなさい 鬼子母
・~
(釈迦)
三蔵 その剣で 愛奴を刺すのです
お釈迦さま…
いいから 愛奴の命を奪うのです
やめろ やめてくれ!
(釈迦)何をしているのです? 三蔵
早く刺すのです
(鬼子母)やめてくれ! お願いだ
お願いだから やめてくれ!
お願いします! やめてくれ
殺すのです!
・~
頼む… 助けてくれ…
できません 私には
では 悟空
はい?
そなたが殺すのです
(袖を振る音)
如意棒を捨てなさい
・~
(釈迦)悟空 さあ 剣を取って
・~
悟空!
(釈迦)その子を刺すのです
ンンッ!
(刺す音)
アアッ!
あい… 愛奴!
愛奴! 愛奴!
愛奴… 愛奴…
(泣き声)
愛奴ーっ!
愛奴…
愛奴…
ハァ…
アアッ!
(泣き声)
(釈迦)鬼子母 悲しいか?
鬼子母よ
愛奴の命を よみがえらせたいか?
・~
それには ただひとつ
そなたの命と引き換えに…
そなたが死んで
その命を愛奴に与えるならば
愛奴は よみがえるであろう
私が死ねば
愛奴を助けてくださいますか?
・~
(刺す音)
・~
むごいよ!
むごいじゃねえかよ お釈迦さま!
・~
愛奴!
(愛奴)お母さま!
愛奴!
(釈迦)聞くがよい 鬼子母よ
そなたは
1000人の子供を持っている
その1人を失っても
そのように悲しいのです
我が子を失った母親の悲しさが
どのようなものであるか
そなた 分かったであろう?
よいか
子を失った母の心が分かったら・
これよりは
人の子を取って 食べるでない
もし 食べとうなったら
そのときは これを口に運ぶがよい
(釈迦)ざくろの実です
それを口にすれば
もはや 人の子を食べとうなくなる
お釈迦さま…
・~
お釈迦さま
・~
(はしゃぎ声)
(子供)待てー!
子供たちが遊んでますな
(悟浄)ああ
それをお母ちゃんが見ている…
何とも言えん ええ光景やね
おふくろってのは いいなぁ
(悟浄)うん
八戒
(八戒)うん?
八戒…
あれ お前の おふくろちゃうか?
うん… おふく…
ちょっと待てよ おい 悟浄
俺のおふくろ あんな顔してるか?
いや 鼻の辺りが そっくりやで
お前 俺のおふくろ
見たことあんのかよ?
今見てるやないか
(八戒)ああ 駄目だ これ… 駄目だ
(男性)やあ
(男性)ああ どうも
(ため息)
ちくしょう… なんてこったい
悟空さまとあろう者が
ため息なんか ついちゃってよ
でも…
お母ちゃんのおっぱいの味…
ハハッ… どんな味なんだろうな
・♪(子守歌)
子守歌か…
・♪~
・~
(母親)良かったねえ
・~
ちきしょう…
羨ましいなぁ
母ちゃんの懐に抱かれちゃってよ
子守歌なんか
歌ってもらっちゃって…
ハァ… まあ いいんだ いいんだ
俺は どうせ石猿だ
悟空!
はっ…
出発しますよ
はい
八戒と悟浄を呼んできなさい
はい!
お坊さま ありがとうございました
おかげさまで これからは安心して
暮らしていくことができます
良かったですね
みんなで 仲良く
助け合って生きていくことが・
お釈迦さまの教えなんです
ええ ありがとうございました
(男の子)お母さ~ん!
(男性)おうおう 転ぶぞ 転ぶぞ
海山よりも高く深く・
人の子を食うてきた鬼子母は
釈迦の教えによって慈愛に目覚め
その後 永く
あまたの子供の守り神として・
きしもじん
世に鬼子母神として伝えられ
あがめられたという>
母を持たない石猿1匹・
三蔵の供として 今日も西へ西への
旅を続けるのであります>
いかばかりでありましょうや>
まだまだ あまたの危難が
待ち構えているのでありますが・
それは 次回の講釈で>
・ おれは自由に生きる
ソンゴクウだよ 気楽なもんだよ
・ 世の中いろいろあるけれど
おれは関係ないね
・ もっと大きく心を広げて
この世は結構楽しい
・ ゼイ・コール・ミー
マジック・モンキー
・ ゼイ・コール・ミー
マジック・モンキー
・ 愉快なことさがしながら
生きてるおれだよ
・ マジック・モンキー
・『ホーリー&ブライト』
・ 遠い昔の話で 新しいこの星が
・ いま生まれてぼくらの胸
・ 清く照らしているよ
・ それはぼくらの心に
・ 新しい地平線を
・ サァめざせと教えながら
・ 強く輝いてるよ
・ 闇を照らしているよ
・ Shining holy and bright
・ けがれない光が
・ Oh so holy and bright
・ 君だって見えるよ
・ きらめくその星が
・ Holy, holy and bright
・ A star is shining
・ so holy and bright
・ Holy, holy and bright
・ Never let it go
・ out of your sight
・ Holy, holy and bright
・ A star is shining
・ so holy and bright
一行の前に現れた じゃじゃ馬娘>
たとえ 火の中 水の中>
つゆ知らず・
道案内を頼んだのが 運の尽き
着いた所は なんと妖怪のねぐら>
格好よく 妖怪に立ち向かったのは
よいのですが…>
てんば
ご期待ください>
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