All language subtitles for 光る君へ - E20 望みの先に - [1440-FHD@KTGMC-slw.NV7-h264_qvbr 280_u p7][字] (1)

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(藤原隆家)院…? 5 00:00:25,526 --> 00:00:29,963 院が射られあそばされた。 くせ者を逃してはならぬ! 6 00:00:29,963 --> 00:00:33,800 や… やめろ! 静かにいたせ。 朕は大事ない。 7 00:00:33,800 --> 00:00:36,303 引け! ⚟待て! 8 00:00:36,303 --> 00:00:42,976 ♬~ 9 00:00:42,976 --> 00:00:46,647 ああ…。 お体に大事はございますまいか。 10 00:00:46,647 --> 00:00:50,951 早く行け。 私は ここに来ておらぬぞ。 11 00:00:55,322 --> 00:00:57,324 ああ…。 12 00:00:59,159 --> 00:01:03,030 (高階貴子)まだ誰が射たか 分かっていないのでしょう? 13 00:01:03,030 --> 00:01:06,600 院の従者もおりましたゆえ 顔は見られています。 14 00:01:06,600 --> 00:01:09,937 (貴子)だとしても 牛車に当たっただけならば➡ 15 00:01:09,937 --> 00:01:12,406 大したおとがめには ならないわ。 16 00:01:12,406 --> 00:01:15,776 行かねばよかった…。 今更 言うな。 17 00:01:15,776 --> 00:01:19,279 今度こそ 中宮様を頼りましょう。 18 00:01:19,279 --> 00:01:23,617 中宮様は 頼りになりませぬ! 私を関白にすることさえ できなかった! 19 00:01:23,617 --> 00:01:27,120 あの時は 女院様がいらしたからですよ。➡ 20 00:01:27,120 --> 00:01:31,291 帝とて 中宮様の身内を裁いたりはなさるまい。 21 00:01:31,291 --> 00:01:37,597 さあ 安心して 今日は休みなさい。 22 00:01:43,870 --> 00:01:46,306 (藤原道長)いかがいたした。 23 00:01:46,306 --> 00:01:51,645 先ほど 一条第で 院が何者かに射かけられた。 24 00:01:51,645 --> 00:01:58,518 い… 院が射られたのか? そうだ。 25 00:01:58,518 --> 00:02:00,454 なぜ そこに院がおられたのだ。 26 00:02:00,454 --> 00:02:04,591 院は我が妹 儼子のもとにお通いだった。 27 00:02:04,591 --> 00:02:06,526 そのお帰りの時に。 28 00:02:06,526 --> 00:02:10,263 お命は? ご無事だ。 おけがもない。 29 00:02:10,263 --> 00:02:15,602 ただ 院の従者が 乱闘で 2人死んだ。 30 00:02:15,602 --> 00:02:20,273 死人まで出たのか! 捕らえた者は 二条第の武者であった。 31 00:02:20,273 --> 00:02:23,777 武者たちを置いて 馬で走り去った者は 2人。 32 00:02:23,777 --> 00:02:31,284 一人は 伊周 もう一人は 隆家やも。 33 00:02:31,284 --> 00:02:34,621 その2人が 院のお命を狙ったのか? 34 00:02:34,621 --> 00:02:41,962 だとしたら 伊周と隆家は終わりだな。 35 00:02:41,962 --> 00:02:45,966 うれしそうに申すな。 フフフフフフ…。 36 00:02:47,634 --> 00:04:49,556 ♬~ 37 00:04:49,556 --> 00:04:52,425 ♬~ 38 00:04:52,425 --> 00:05:31,231 ♬~ 39 00:05:32,933 --> 00:05:35,268 (藤原実資)死人も出ておりますので➡ 40 00:05:35,268 --> 00:05:40,106 まことならば 疑わしき者は ただちに捕縛し➡ 41 00:05:40,106 --> 00:05:43,009 取り調べるが常道にございますが➡ 42 00:05:43,009 --> 00:05:50,817 何分にも 中宮様のお身内ゆえ 帝のご裁可を仰ぎ奉りたく➡ 43 00:05:50,817 --> 00:05:53,620 奏上いたした次第にございます。 44 00:05:53,620 --> 00:06:00,427 (一条天皇)官人の綱紀粛正 高貴な者の従者たちの乱暴を禁ずる旨➡ 45 00:06:00,427 --> 00:06:02,896 厳命したばかりだというのに➡ 46 00:06:02,896 --> 00:06:08,902 こともあろうに 院に矢を放ち 死者まで出すとは許し難し。 47 00:06:12,572 --> 00:06:16,443 何故 そのようなことが起きたのだ? 48 00:06:16,443 --> 00:06:23,250 (実資)内大臣 藤原伊周殿は 一条第の光子姫のもとに通っており➡ 49 00:06:23,250 --> 00:06:29,389 院も その姫に懸想されたと 勘違いしたと思われます。 50 00:06:29,389 --> 00:06:31,324 勘違いとは? 51 00:06:31,324 --> 00:06:38,098 院は 光子姫ではなく 儼子姫のもとにお通いでしたので。 52 00:06:38,098 --> 00:06:46,306 そのようなことで 院のお命を危うくし 更に 2人の命が失われたのか。 53 00:06:49,276 --> 00:06:54,614 右大臣 伊周と隆家の参内まかりならず。 54 00:06:54,614 --> 00:06:56,950 当面 謹慎させよ。 はっ。 55 00:06:56,950 --> 00:07:01,788 (一条天皇) これより除目ゆえ 後ほど沙汰する。 56 00:07:01,788 --> 00:07:07,894 検非違使別当は 詳しい調べがつけば 逐一 朕に注進せよ。 57 00:07:07,894 --> 00:07:10,797 はっ。 58 00:07:10,797 --> 00:07:17,904 中宮は 身内の者に 一切 会うべからず。 59 00:07:17,904 --> 00:07:31,618 ♬~ 60 00:07:36,923 --> 00:07:46,633 この度の騒動に関わり 畏れ多くも 帝を悩ませ奉ったことは 不届きの極み。 61 00:07:46,633 --> 00:07:55,141 よって 2人には 謹慎を申しつける。 62 00:08:03,350 --> 00:08:06,720 (実資)「心からお願い申し上げます。➡ 63 00:08:06,720 --> 00:08:11,558 茂国 恐れかしこまって 謹んで申し上げます」。 64 00:08:11,558 --> 00:08:13,560 うむ。 65 00:08:16,896 --> 00:08:27,907 「正六位上 散位 藤原朝臣為時 恐れかしこまり 謹んで申し上げます。➡ 66 00:08:27,907 --> 00:08:36,916 特に天皇のご恩を被って 先例に準じて 淡路守に任じられることを請います」。 67 00:08:36,916 --> 00:08:39,586 うむ。 68 00:08:39,586 --> 00:08:48,294 (藤原行成) 淡路国 守 従五位下 藤原朝臣為時。 69 00:08:53,133 --> 00:08:59,606 (藤原惟規)国司にご任官されましたこと まことに おめでとう存じます。 70 00:08:59,606 --> 00:09:01,908 (まひろ)おめでとうございます。 71 00:09:03,476 --> 00:09:07,414 (藤原為時)国司の任期は4年。 72 00:09:07,414 --> 00:09:11,551 無事に勤め上げたいものだ。 73 00:09:11,551 --> 00:09:13,486 姉上も行くんでしょ? 74 00:09:13,486 --> 00:09:17,057 もちろんよ。 知らない国を見てみたいもの。 75 00:09:17,057 --> 00:09:21,227 淡路は 下国だけど 魚はおいしいし 冬は暖かそうだし➡ 76 00:09:21,227 --> 00:09:26,099 俺も行きたいくらいだよ。 お前は都で 式部省試に受かるのが先だ。 77 00:09:26,099 --> 00:09:28,401 分かってますよ。 78 00:09:30,370 --> 00:09:39,913 10年こらえて これが最後と思って 申文を出したが➡ 79 00:09:39,913 --> 00:09:47,253 神仏のご加護に相違ない。 80 00:09:47,253 --> 00:10:09,242 ♬~ 81 00:10:11,277 --> 00:10:17,150 (源 国盛) この源 国盛 この度は 大望かない➡ 82 00:10:17,150 --> 00:10:21,788 大国 越前守に任じられることが できました。 83 00:10:21,788 --> 00:10:28,294 これも お引き立てのたまもの。 深く御礼申し上げます。 84 00:10:28,294 --> 00:10:32,165 (藤原詮子)除目の前に この人を入れてねと お前に言ったら➡ 85 00:10:32,165 --> 00:10:36,636 駄目だと言ったの 覚えている? それで 帝にお願いしたの。 86 00:10:36,636 --> 00:10:39,973 さようでございますか。 87 00:10:39,973 --> 00:10:45,645 国盛 その方の申文 帝が感心しておられたぞ。 88 00:10:45,645 --> 00:10:51,451 あ… あれは 文章博士に代筆してもらった 申文にございまして➡ 89 00:10:51,451 --> 00:10:56,823 実は 私は 漢文が苦手にございます。 漢文が苦手…。 90 00:10:56,823 --> 00:10:59,325 (国盛)いや なんとも面目ないことで…。 91 00:10:59,325 --> 00:11:06,132 今 越前は 交易を望む宋人が大勢来て やっかいなことになっておる。 92 00:11:06,132 --> 00:11:11,137 漢語が得意な者をということで 帝は そなたを選ばれたはずだが。 93 00:11:13,273 --> 00:11:16,176 そのような不心得では務まらぬぞ。 94 00:11:16,176 --> 00:11:19,946 いや~ まことに困りましたな…。 95 00:11:19,946 --> 00:11:23,616 誰か いい通事はいませんかね 右大臣様。 96 00:11:23,616 --> 00:11:30,490 ハハハハハ…。 97 00:11:30,490 --> 00:11:33,293 あんなに うつけと思わなかったのよ。 98 00:11:33,293 --> 00:11:36,196 あの人の母親は 聡明な人なんだけど。 99 00:11:36,196 --> 00:11:39,966 あれでは 越前守は務まりませんな。 100 00:11:39,966 --> 00:11:45,638 宋人の扱いを間違えれば 国同士のいさかいとなりかねない。 101 00:11:45,638 --> 00:11:49,509 そうねえ…。 「そうね」…。 102 00:11:49,509 --> 00:11:54,314 怒ってる? あっ 怒ってる! 103 00:11:54,314 --> 00:11:57,216 許して。 104 00:11:57,216 --> 00:11:59,652 なんとかいたします。 105 00:11:59,652 --> 00:12:04,257 ねえ 伊周たちの処分は まだ決まらないの? 106 00:12:04,257 --> 00:12:10,129 除目のあとで処分を決めると 帝は仰せになりましたが➡ 107 00:12:10,129 --> 00:12:14,601 伊周は 大した罪にはならないと思います。 なぜ!? 108 00:12:14,601 --> 00:12:20,473 帝は 中宮様のお身内に 厳しいことはできないかと。 109 00:12:20,473 --> 00:12:25,612 まあ 情けない! お前は それでよいと思うの? 110 00:12:25,612 --> 00:12:28,514 ただただ厳しく罰すればよいとは 思いませぬ。 111 00:12:28,514 --> 00:12:32,952 え? お情けをもって事に当たられる帝こそ➡ 112 00:12:32,952 --> 00:12:37,624 私は尊いと感じます。 分からないわ。 113 00:12:37,624 --> 00:12:40,960 だって 伊周や中宮は お前の敵でしょう。 114 00:12:40,960 --> 00:12:48,668 敵であろうとも… です。 失礼いたします。 115 00:12:56,309 --> 00:13:00,179 (藤原宣孝)ホッとしたのであろうな。 116 00:13:00,179 --> 00:13:04,183 お前が父上に優しくなってよかった。 117 00:13:05,918 --> 00:13:09,756 学問一筋のいちずな男だ。 118 00:13:09,756 --> 00:13:15,928 官職を取り上げた兼家様のことも恨まず 淡々と生きてきた。 119 00:13:15,928 --> 00:13:19,632 淡路国が 肌に合うとよいがな。 120 00:13:21,601 --> 00:13:28,274 父は真面目な人ですから きっと立派に務めましょう。 121 00:13:28,274 --> 00:13:36,015 フフ… 真面目なだけでもないぞ。 え? 122 00:13:36,015 --> 00:13:43,623 遠い昔 大学に通っておった頃 為時殿は ひとつきほど行方知れずになった。 123 00:13:43,623 --> 00:13:49,295 大騒ぎとなったが 行く先は ようとして知れなかった。 124 00:13:49,295 --> 00:13:51,631 一体 どこに…。 125 00:13:51,631 --> 00:13:55,301 ある日 ボロボロになって戻ってまいった。 126 00:13:55,301 --> 00:13:59,806 本人いわく 宋の国に行こうと 船に潜り込んだが➡ 127 00:13:59,806 --> 00:14:03,776 船頭に身ぐるみ剥がされ 海に捨てられたのだそうだ。 128 00:14:03,776 --> 00:14:06,579 えっ! 129 00:14:06,579 --> 00:14:12,919 運よく 別の船が拾ってくれて 戻ってきたのだと。 130 00:14:12,919 --> 00:14:16,789 そのような話 初めて聞きました。 131 00:14:16,789 --> 00:14:20,093 人には 意外な面があるものだ。 132 00:14:20,093 --> 00:14:24,764 そういう型破りなところは お前が引き継いでおるではないか。 133 00:14:24,764 --> 00:14:29,268 型破り…。 船に乗って 宋にでも渡りそうな危うさがある。 134 00:14:29,268 --> 00:14:31,771 宋の国には行ってみとうございます。 135 00:14:31,771 --> 00:14:33,706 …であろう? いや 危ない 危ない。 136 00:14:33,706 --> 00:14:41,781 (笑い声) 137 00:14:41,781 --> 00:14:47,587 越前守は どなたになったのでございますか? 138 00:14:47,587 --> 00:14:54,293 源 国盛殿だったと思うが まだ若く心もとない。 139 00:14:55,962 --> 00:15:04,771 身分が低くて 望むべくもありませんが もし父が越前守であったなら➡ 140 00:15:04,771 --> 00:15:10,476 宋の言葉も解しますし お役に立つはずですのに…。 141 00:15:10,476 --> 00:15:12,445 そうだな…。 142 00:15:12,445 --> 00:15:17,750 帝が 為時殿の学識の高さを ご存じであれば よかったのだが…。 143 00:15:19,585 --> 00:15:27,293 次の除目のために 父のことをなんとか お伝え申し上げたいものです。 144 00:15:34,133 --> 00:15:39,906 まだ機会はあるやもしれぬ。 145 00:15:39,906 --> 00:15:44,811 除目のあとに 任地が変更されることも たまにはある。 146 00:15:44,811 --> 00:15:56,122 ♬~ 147 00:16:29,255 --> 00:16:32,258 (行成)申文にございます。 148 00:16:36,929 --> 00:16:39,232 多いな…。 149 00:16:40,800 --> 00:16:46,272 お許しいただければ 私が読んで 重要なものだけお伝えいたしますが。 150 00:16:46,272 --> 00:16:50,610 いや いい。 151 00:16:50,610 --> 00:16:53,613 ご無礼つかまつりました。 うん。 152 00:17:12,565 --> 00:17:15,868 う~ん…。 153 00:17:21,574 --> 00:17:23,576 うん。 154 00:17:29,248 --> 00:17:31,951 はあ…。 155 00:17:39,592 --> 00:17:41,527 ん? 156 00:17:41,527 --> 00:17:55,841 「苦学の寒夜 紅涙 袖を霑し 除目の春朝 蒼天 眼に在り」。 157 00:18:44,457 --> 00:19:05,711 ♬~ 158 00:19:05,711 --> 00:19:09,548 (源 倫子)殿。 159 00:19:09,548 --> 00:19:11,484 何だ。 160 00:19:11,484 --> 00:19:18,224 女院様が 昼ごろから 気分が悪いと 仰せになって ふせっておられます。 161 00:19:18,224 --> 00:19:21,527 なんと…。 162 00:19:29,835 --> 00:19:31,771 いかがされました? 163 00:19:31,771 --> 00:19:35,374 道長には伝えるなと言うたではないか。 164 00:19:35,374 --> 00:19:37,309 お許しくださいませ。 165 00:19:37,309 --> 00:19:40,913 女院様が心配で つい…。 166 00:19:40,913 --> 00:19:45,785 もう ようなった。 167 00:19:45,785 --> 00:19:49,588 (ため息) つまらぬのう…。 168 00:19:49,588 --> 00:19:54,260 やっと我が世の春が来たと思うたら 体が利かぬ。 169 00:19:54,260 --> 00:19:56,195 何を弱気な。 170 00:19:56,195 --> 00:20:01,767 姉上は まだお若く お美しくあられます。 171 00:20:01,767 --> 00:20:05,604 心配かけてすまなんだ。 172 00:20:05,604 --> 00:20:11,944 倫子は よくできた妻だが いささか口が軽いのう。 173 00:20:11,944 --> 00:20:18,651 申し訳もございませぬ。 お許しくださいませ。 174 00:20:23,956 --> 00:20:31,831 (一条天皇)「学問に励んだ寒い夜は 血の涙が袖を濡らした。➡ 175 00:20:31,831 --> 00:20:39,438 除目の翌朝 無念さに天を仰ぐ私の眼には➡ 176 00:20:39,438 --> 00:20:46,212 ただ蒼い空が映っているだけ」。 177 00:20:46,212 --> 00:20:51,217 蒼天は 天子を指す言葉でもある。 178 00:20:53,319 --> 00:20:56,322 朕のことか。 179 00:21:00,593 --> 00:21:04,263 右大臣 なぜ これを。 180 00:21:04,263 --> 00:21:09,602 恐れながら 為時は 漢籍にも詳しく 宋の言葉を解するようです。 181 00:21:09,602 --> 00:21:17,910 正直 源 国盛に越前を任せるのは いささか心もとなく…。 182 00:21:25,618 --> 00:21:35,294 いまだ この身が信じられませぬが 越前守を謹んでお受けつかまつり➡ 183 00:21:35,294 --> 00:21:40,299 一心に務めに励む所存にございます。 184 00:21:42,635 --> 00:21:55,648 ♬~ 185 00:21:55,648 --> 00:22:01,921 おめでとうございます。 惟規にも使いを出します。 186 00:22:01,921 --> 00:22:05,925 まひろ そこに座れ。 187 00:22:12,565 --> 00:22:15,568 何でございましょう。 188 00:22:17,269 --> 00:22:21,106 淡路守でも もったいないお沙汰であったのに➡ 189 00:22:21,106 --> 00:22:26,779 何もしないうちに なぜか突然 越前守に国替えされた。 190 00:22:26,779 --> 00:22:32,284 これは どういうことじゃ。 191 00:22:32,284 --> 00:22:37,623 博学である父上のことが 帝のお耳に入ったのだと思います。 192 00:22:37,623 --> 00:22:41,327 誰が帝に伝えてくださったのだ。 193 00:22:43,295 --> 00:22:49,001 右大臣 道長様であろう。 194 00:22:50,636 --> 00:22:54,139 従五位下の叙爵も 淡路守の任官も➡ 195 00:22:54,139 --> 00:22:58,310 越前守への国替えも 全て 道長様のお計らいだ。 196 00:22:58,310 --> 00:23:06,318 そして それは 道長様のお前への思いとしか考えられぬ。 197 00:23:10,589 --> 00:23:18,097 父は もう お前の生き方を とやかくは申さぬ。 198 00:23:18,097 --> 00:23:24,270 道長様とお前のことは わしのような 堅物には 計り知れぬことなのであろう。 199 00:23:24,270 --> 00:23:26,272 そこに踏み込むこともせぬ。 200 00:23:26,272 --> 00:23:29,141 ただ…➡ 201 00:23:29,141 --> 00:23:36,148 何も知らずに 越前に赴くことはできぬ。 202 00:23:38,284 --> 00:23:44,590 まことのことを聞かせてくれぬか。 203 00:23:57,970 --> 00:24:01,573 道長様は…➡ 204 00:24:01,573 --> 00:24:07,279 私が かつて 恋い焦がれた殿御にございました。 205 00:24:09,248 --> 00:24:12,584 都にいては 身分を超えられない。 206 00:24:12,584 --> 00:24:21,260 2人で遠くの国に逃げていこうと 語り合ったこともございました。 207 00:24:21,260 --> 00:24:27,599 されど 全て遠い昔に終わったことにございます。 208 00:24:27,599 --> 00:24:32,271 越前は 父上のお力を生かす最高の国。 209 00:24:32,271 --> 00:24:35,607 胸を張って 赴かれませ。 210 00:24:35,607 --> 00:24:38,310 私もお供いたします。 211 00:24:47,286 --> 00:24:49,488 女院様。 212 00:25:09,475 --> 00:25:14,480 あしき気が漂っておる 調べよ。 213 00:25:37,936 --> 00:25:43,108 女院様 少々お部屋を拝見しても よろしゅうございますか? 214 00:25:43,108 --> 00:25:45,611 ん? 215 00:25:51,283 --> 00:25:53,619 はっ! 216 00:25:53,619 --> 00:25:56,622 何をしておる。 217 00:25:58,290 --> 00:26:04,997 恐れながら これは呪詛にございます。 218 00:26:07,566 --> 00:26:09,501 はっ! 219 00:26:09,501 --> 00:26:11,904 女房ども 入れ。 220 00:26:11,904 --> 00:26:14,206 ⚟(女房たち)御免を被ります。 221 00:26:23,916 --> 00:26:27,252 (倫子)いつの間に このような…。 222 00:26:27,252 --> 00:26:30,155 中宮は私を嫌っておる。 223 00:26:30,155 --> 00:26:32,925 伊周は 道長を恨んでおる。 224 00:26:32,925 --> 00:26:41,633 あやつらが 私と道長を呪っておるのだ。 恐ろしや 恐ろしや。 225 00:26:41,633 --> 00:26:44,136 許すまじ! 226 00:26:46,271 --> 00:26:48,207 まさか この屋敷に➡ 227 00:26:48,207 --> 00:26:51,143 伊周の息のかかった者が おるということか? 228 00:26:51,143 --> 00:26:58,617 殿 このことは 私にお任せいただけませんでしょうか。 229 00:26:58,617 --> 00:27:00,586 ん? 230 00:27:00,586 --> 00:27:05,891 屋敷内で起きたことは 私が責めを負うべきにございます。 231 00:27:05,891 --> 00:27:10,362 こたびのことも 私が収めとうございます。 232 00:27:10,362 --> 00:27:15,567 殿はどうぞ 内裏でのお役目に ご専念くださいませ。 233 00:27:15,567 --> 00:27:20,439 されど 女院を呪詛するは 帝を呪詛するに等しいのだぞ。 234 00:27:20,439 --> 00:27:26,578 それゆえに間違いがあってはなりませぬ。 235 00:27:26,578 --> 00:27:30,883 私にお預けくださいませ。 ん? 236 00:27:35,254 --> 00:27:37,556 あ…。 237 00:27:39,591 --> 00:27:42,494 (ため息) 238 00:27:42,494 --> 00:27:45,197 そうか…。 239 00:27:47,266 --> 00:27:49,935 では そなたに任せよう。 240 00:27:49,935 --> 00:27:53,805 このことは 帝にも申さぬ。 それでよいな。 241 00:27:53,805 --> 00:27:59,111 はい ありがとうございます。 うん。 242 00:28:03,048 --> 00:28:06,552 伊周と隆家は 何故 出頭せぬのだ。 243 00:28:06,552 --> 00:28:09,454 調べの途中で 分かったことにございますが➡ 244 00:28:09,454 --> 00:28:17,563 伊周殿は 祖父である高階成忠に命じて 右大臣様と女院様を呪詛。➡ 245 00:28:17,563 --> 00:28:22,234 更に 3月21日 法琳寺において➡ 246 00:28:22,234 --> 00:28:26,572 臣下の修してはならぬ大元帥法を修して➡ 247 00:28:26,572 --> 00:28:30,909 右大臣様を呪詛したことが 明らかになっております。 248 00:28:30,909 --> 00:28:35,214 証言は得ておりますので 間違いはございません。 249 00:28:36,782 --> 00:28:42,521 女院と右大臣を呪詛するは 朕を呪詛すると同じ。 250 00:28:42,521 --> 00:28:46,758 身内とて 罪は罪。 251 00:28:46,758 --> 00:28:48,794 厳罰に処せ。 お待ちください! 252 00:28:48,794 --> 00:28:50,929 実資 速やかに執り行え! 253 00:28:50,929 --> 00:28:52,931 ははっ。 254 00:28:59,605 --> 00:29:05,877 兄弟の不祥事により 定子は 内裏を出ることを命じられ➡ 255 00:29:05,877 --> 00:29:10,182 実家である二条北宮に移った。 256 00:29:17,222 --> 00:29:24,096 (貴子)息子たちが どうか重い罪になりませぬよう➡ 257 00:29:24,096 --> 00:29:30,235 蔵人頭の斉信様から 帝にお口添えいただきたく➡ 258 00:29:30,235 --> 00:29:33,138 お願い申し上げます。 259 00:29:33,138 --> 00:29:42,447 残念ながら ここに至っては もはや 私が あずかれることではありませぬ。 260 00:29:45,250 --> 00:29:51,923 今は どうなっているのでございますか? 261 00:29:51,923 --> 00:29:54,593 お教えくださいませ。 262 00:29:54,593 --> 00:30:03,935 女院様と右大臣様を呪詛したとして 帝は 大層 お怒りである。➡ 263 00:30:03,935 --> 00:30:10,275 そうでなければ 中宮様を こちらへ お帰しにはなりますまい。 264 00:30:10,275 --> 00:30:12,277 (伊周)呪詛…。 265 00:30:13,945 --> 00:30:16,948 呪詛などしておらぬ! 266 00:30:22,621 --> 00:30:25,957 中宮は見限れ。 267 00:30:25,957 --> 00:30:29,661 伊周らが逃げたら すぐ知らせよ。 268 00:30:33,832 --> 00:30:41,139 (女房たち) 清少納言は 裏切り者 裏切り者 裏切り者。 269 00:30:47,245 --> 00:30:50,549 謹慎中のはずだが…。 270 00:30:54,319 --> 00:31:00,125 (伊周)謹慎中の身に お目通りをお許しくださり➡ 271 00:31:00,125 --> 00:31:03,128 ありがとうございます。 272 00:31:18,510 --> 00:31:27,219 院を脅し奉るために矢を放ったのは 弟にございます。 273 00:31:27,219 --> 00:31:34,960 その責めは 私が負いまする。 274 00:31:34,960 --> 00:31:41,967 されど 呪詛はしておりませぬ。 275 00:31:43,635 --> 00:31:55,947 どうか… そのことを どうか 帝にお伝えくださいませ。 276 00:31:58,984 --> 00:32:07,793 なんとか内裏に戻れますよう 右大臣様の格別のお力を賜りたく➡ 277 00:32:07,793 --> 00:32:18,503 切に… 切に お願い申し上げるばかりにございます。 278 00:32:21,940 --> 00:32:32,584 私も 苛酷なことは望んでおらぬ。 279 00:32:32,584 --> 00:32:41,293 されど… お決めになるのは帝ゆえ。 280 00:32:41,293 --> 00:32:56,608 帝に 私をお信じくださりますよう 何とぞ… 何とぞ…。 281 00:33:00,779 --> 00:33:14,793 何とぞ… 何とぞ お願い申し上げまする。 282 00:33:28,807 --> 00:33:31,509 (藤原定子)お上。 283 00:33:40,619 --> 00:33:46,625 (定子)お上が恋しくて 来てしまいました。 284 00:34:00,572 --> 00:34:03,875 なぜ内裏に上がれたのだ。 285 00:34:06,444 --> 00:34:11,149 右大臣が手引きしてくれました。 286 00:34:13,919 --> 00:34:20,692 どうか 兄と弟の罰を 軽くしてくださいませ。 287 00:34:20,692 --> 00:34:23,495 お情けを…。 288 00:35:00,432 --> 00:35:03,435 下がります。 289 00:35:05,737 --> 00:35:08,540 お健やかに…。 290 00:35:32,831 --> 00:35:34,833 待て。 291 00:35:36,601 --> 00:35:57,288 ♬~ 292 00:35:57,288 --> 00:36:01,893 (行成)「謀反の罪は 死罪であるが➡ 293 00:36:01,893 --> 00:36:08,666 罪一等を減じ 遠流に処す。➡ 294 00:36:08,666 --> 00:36:13,238 藤原伊周を大宰権帥➡ 295 00:36:13,238 --> 00:36:19,377 藤原隆家を出雲権守に任じ 配流いたす。➡ 296 00:36:19,377 --> 00:36:22,580 伊周 隆家に代わり➡ 297 00:36:22,580 --> 00:36:32,290 藤原道綱を中納言に 藤原斉信を参議といたす」。 298 00:36:35,593 --> 00:36:40,398 帝のご判断は これで よいのであろうか。 299 00:36:40,398 --> 00:36:43,601 伊周 隆家は 私の甥でもある。 300 00:36:43,601 --> 00:36:47,272 子供の頃は 屋敷の庭で よく遊んでやった。 301 00:36:47,272 --> 00:36:53,144 彼らが まこと 女院様と私を呪詛したのであろうか。 302 00:36:53,144 --> 00:36:57,916 (安倍晴明)そのようなこと もう どうでもよいと存じます。 303 00:36:57,916 --> 00:37:01,553 ん? 大事なのは➡ 304 00:37:01,553 --> 00:37:06,424 いよいよ あなた様の世になる ということにございます。 305 00:37:06,424 --> 00:37:09,427 あなた様には 誰もかないませぬ。 306 00:37:09,427 --> 00:37:12,197 フッ…。 307 00:37:12,197 --> 00:37:16,568 年若き帝の激情さえ 抑えられぬというのに。 308 00:37:16,568 --> 00:37:19,471 そのうち お分かりになりましょう。 309 00:37:19,471 --> 00:37:24,742 伊周と隆家は この先 どうなると思うか? 310 00:37:24,742 --> 00:37:32,083 隆家様は いずれ あなた様の強いお力となりまする。 311 00:37:32,083 --> 00:37:34,986 伊周は? 312 00:37:34,986 --> 00:37:38,790 あなた様次第にございます。 313 00:37:46,097 --> 00:37:49,300 (定子)しばらく里に下がるがよい。 314 00:37:50,935 --> 00:37:54,806 (ききょう)私は 中宮様のおそばに いとうございます。 315 00:37:54,806 --> 00:37:59,277 嫌がらせが高じて そなたの身が危うくなってはならぬ。 316 00:37:59,277 --> 00:38:01,212 里に 一度 下がった方がよい。 317 00:38:01,212 --> 00:38:04,549 必ずまた 呼び戻すゆえ。 318 00:38:04,549 --> 00:38:09,220 私の身なぞ どうなってもよろしいのでございます。 319 00:38:09,220 --> 00:38:11,890 (伊周)俺は どこにも行かぬ! (隆家)兄上! 320 00:38:11,890 --> 00:38:14,793 大宰府など 死んでも行くものか! (隆家)行くしかありませんよ 兄上! 321 00:38:14,793 --> 00:38:17,095 黙れ! 322 00:38:25,436 --> 00:38:28,907 二条第から下がられたのですか? 323 00:38:28,907 --> 00:38:33,244 でも 心配で心配でなりませんの。 324 00:38:33,244 --> 00:38:37,749 伊周様と隆家様が 処分をお受け入れにならないので➡ 325 00:38:37,749 --> 00:38:41,386 検非違使が お屋敷の周りを 囲んでいるそうにございます。 326 00:38:41,386 --> 00:38:43,321 えっ! 327 00:38:43,321 --> 00:38:49,594 捕らえられて お屋敷を出る 伊周様と隆家様を見ようと➡ 328 00:38:49,594 --> 00:38:54,899 物見高い下々の者たちまでが 大勢加わっているそうで…。 329 00:38:57,936 --> 00:39:00,838 中宮様が心配ですね。 330 00:39:00,838 --> 00:39:03,741 そうなんです。 331 00:39:03,741 --> 00:39:11,583 まひろ様 一緒に行ってくださらない? は? 332 00:39:11,583 --> 00:39:14,219 下がれ 下がれ。 333 00:39:14,219 --> 00:39:16,521 下がれ。 見せもんじゃない。 334 00:39:18,089 --> 00:39:21,893 下がれ。 下がれ。 335 00:39:21,893 --> 00:39:26,197 おい 集まれ。 はっ。 336 00:39:51,256 --> 00:39:54,926 ⚟(実資)伊周と隆家を捕らえる。 ⚟(一同)はっ! 337 00:39:54,926 --> 00:39:57,829 ⚟(実資)帝のお許しは出た。 門を突き破れ!➡ 338 00:39:57,829 --> 00:40:02,533 伊周 隆家を捕らえよ! ⚟(一同)お~っ! 339 00:40:04,602 --> 00:40:07,305 兄上 もう諦めましょう。 340 00:40:08,940 --> 00:40:10,875 私は 出雲に参ります。 341 00:40:10,875 --> 00:40:15,580 どこにも行かぬ… どこにも! 342 00:40:18,950 --> 00:40:24,822 母上 姉上 お別れにございます。 343 00:40:24,822 --> 00:40:29,127 ⚟(門を壊す音) 隆家…。 344 00:40:31,529 --> 00:40:34,299 お健やかに。 345 00:40:34,299 --> 00:40:40,171 (貴子の泣き声) 346 00:40:40,171 --> 00:40:45,910 兄上 もう逃げられませぬ。 帝の命にお従いくださいませ。 347 00:40:45,910 --> 00:40:48,846 どこにも行かぬ…。➡ 348 00:40:48,846 --> 00:40:51,849 どこにも! 349 00:40:51,849 --> 00:41:16,274 ♬~ 350 00:41:16,274 --> 00:41:20,144 検非違使別当 藤原実資にございます。 351 00:41:20,144 --> 00:41:23,948 伊周殿をお迎えに上がりました。 352 00:41:23,948 --> 00:41:38,296 ♬~ 353 00:41:38,296 --> 00:41:42,967 中宮様を牛車にお移しまいらせ 屋敷内を くまなく あらためよ。 354 00:41:42,967 --> 00:41:46,671 (一同)はっ! こちらへ。 355 00:41:52,310 --> 00:41:54,979 中宮様! 356 00:41:54,979 --> 00:41:56,914 中宮様 何をなさいますか! 357 00:41:56,914 --> 00:41:58,916 寄るな! 358 00:42:10,094 --> 00:42:12,296 (髪を切る音) 359 00:42:30,481 --> 00:42:34,118 越前の地で生まれ変わりたいと 願っておりまする。 360 00:42:34,118 --> 00:42:36,053 私は ここで死ぬ。 (泣き声) 361 00:42:36,053 --> 00:42:37,989 母の同行は まかりならぬ…。 362 00:42:37,989 --> 00:42:40,625 右大臣様。 右大臣殿! 363 00:42:40,625 --> 00:42:43,294 中宮様は お生きにならねばなりませぬ。 364 00:42:43,294 --> 00:42:45,630 「春はあけぼの」。 365 00:42:45,630 --> 00:42:48,433 いつの日も…。 いつの日も…。 366 00:42:51,302 --> 00:42:53,604 (宋語) 33425

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