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(乙丸)姫様!➡
お庭を眺めるまでに ご回復されて ようございました。
(まひろ)ありがとう。
姫様のお声が また聞けるなんて…。
心配かけたわね。
とんでもないことでございます。
心の声 悲田院で気を失う直前➡
道長様の姿を 見たような気がするのだけれど…。
姫様!
殿様も仰せにならないことを➡
私が お伝えするのは いけないことかもしれませぬが…。
どうしたの?
姫様がお倒れになった日➡
姫様を助けて この屋敷までお連れくださったのは➡
道長様にございます。➡
一晩 寝ずに姫様の看病をされて 翌朝 お帰りになりました。
♬~
(藤原道長)すまない。
まひろ…。
逝くな 戻ってこい!
♬~
♬~
♬~
♬~
悲田院は もう用をなしておりません。
空いておる土地に 救い小屋を建てて 病人を入れねば いずれ➡
疫病は内裏にも及びましょう。
(藤原道隆)お前と道兼は 何のために そんな所に 2人そろって参ったのだ。
都の中の様子を知らねば 疫病への策は 講じられぬと思ったからにございます。
これまで 幾度も 疫病は はやったが 内裏に及んだことはない。
放っておけば いずれ収まる。
救い小屋なぞ 設けずともよい。
そのような ゆとりは 朝廷にもない。
火事に遭った 弘徽殿の修理だけでも 大変なかかりだ。
ああ 水を持て! はっ!
放っておけば 都の民は死に絶えますし その害は 我々にも迫ります。
大げさなことを言うな。
救い小屋を作りたければ お前の財でやればよい。
朝廷は 関わらぬ。
お前と道兼は 何故 手を組んでおる?➡
不可解 極まりない。
まさか 私を 追い落とそうというのではあるまいな。
追い落としたければ➡
こんな話 いたしません!
お前になくても 道兼には あるやもしれぬ!
疫病の民を思うなぞ あいつの考えることではない!
(源 明子)では 兄上とお話がありますから あちらで。
(源 俊賢)お前も 次は 娘を産まねばのう。
なっ。
近頃は お見えにならないわ。
(明子)お見えにならなければ みごもることは できませぬ。
お忙しいのであろう。
お見えになったら せいぜい励んで 娘をみごもれ。
そして 入内させるのだ。
そういうことしか お考えにならないのね 兄上は。
ハハハ… 男の人生とは そういうものだ。
もし 次の関白が 道兼様なら 道長様は 左大臣やもしれぬ。
まあ どちらにしても 右大臣は堅い。
偉くなれば妬む人も出るゆえ 心配でございます。
すっかり心を持っていかれておるな…。
兄上が お望みになったことですわ。
(源 倫子)私の財も お使いくださいませ。
まことか!
私は 殿を信じております。
思いのままに政をなさいませ。 …すまない。
嫌ですわ。 私が 渋るとでもお思いでしたの?
いや されど… そこまで太っ腹とは思わなんだ。
オホホホホ…。
平安時代の夫婦は 別財産で➡
この夫婦の場合は 倫子の方が 多くの財を持っていた。
それより殿…。 ん?
悲田院にお出ましになった日 どちらにお泊まりでしたの?
高松殿ではありませんわよね。
うん 高松ではない。
内裏に戻って 朝まで仕事をしておった。 ハハ。
さようでしたか。
お許しを。 うん。
(荒い息遣い)
心の声 まひろは よくなったであろうか…。
♬~
(藤原為時)よいか? はい。
大納言様とお前の間は どうなっておるのだ?
どうもなっておりませぬ。
されど お前の看病をする 道長様のまなざしは➡
ただ事ではなかったが…。➡
これを ご縁に➡
お前のお世話をしていただくことは できぬであろうか…。
父上。
どうでもよい女子の看病を あのようにするとは思えぬ。
それはないと存じます。
あの時 もし 私を お気に召したのならば➡
今頃 文の一つくらい 届いておりましょう。
これから来るやもしれぬ。
お望みどおりにならず 申し訳ございません。
おお…。
(いと)あれは 偽りでございますよ。
(ため息) 聞いておったのか…。
女の私には分かります。
姫様と大納言様は 間違いなく深い仲。
私の目に狂いはございません。
明日 まひろの様子を見てきてくれ。
(百舌彦)あの… 様子など お知りにならない方が…。
頼んだぞ。
(百舌彦)え~…。
(犬の鳴きまね)
百舌彦殿! ども…。
いかがされたのですか? ん~…。
道長様の命とか…。 そうなのよ。
もう おやめくださいと そちらの殿様に申してくださいませ。
誰?
野良犬にございます。
百舌彦ではないの?
お久しゅうございま~す…。
お前も 悲田院で 私を助けてくれたの?
な… な… 何のことでございますか?
ありがとう。
ほっつき歩いておりましたら 乙丸に バッタリ会いまして➡
懐かしくて 話し込んでおりました。 ハハハハハ…。
本当に懐かしいわね。
疫病の救い小屋でございますが 人手が 到底足りませぬ。
都に働き手が足らぬなら 近国から召し出せばよいではないか。
疫病のまん延している都に 誰も参りませぬ。
されど やらねばならぬ。
高くついてもよい。 急ぎそうせよ。 は…。
心の声 なぜ あの人が 悲田院に?➡
まさか 7年前の約束を?
地位を得て まひろの望む世をつくるべく➡
精いっぱい努めようと 胸に誓っておる。
♬~
ああ… ああ 貴子。
ああ~。
(高階貴子) 子供たちの前でございますわよ。
父と母が仲がよいことは 子供の頃から知っておる。 のう。
(藤原伊周)はい。 どうぞご遠慮なく。 (道隆)ああ。
貴子を見染めたのは 内裏の内侍所であった。
そうでございましたわね。 (道隆)うん。
殿。
(藤原隆家)兄上! どちらに?
京極の女ですか? 堀川の?
あっ 西洞院。 さきの太政大臣 三の君だ。
光子様。 ハッ… それは また…。
「また」 何だ?
かりそめの女子にしては大物だなと。
家に帰ると 子が泣いてうるさいのだ。 致し方あるまい。
よし 俺も出かけよう。
あんな父上 見てらんないもんな。
(藤原斉信)なぜ返歌をくれぬのだ?
(ききょう)あら そうでしたかしら?
(斉信)とぼけるな。 俺を こけにするとは けしからん。
深い仲になったからといって 自分の女みたいに言わないで。
男が出来たのか?
前の夫と よりを戻したのか?
だったら どうなの? …そうなんだ。
そうじゃないけど➡
そういうことネチネチ聞く あなたは 本当に嫌。
そろそろお越しになるわ。
〽
(せきこみ)
〽
(藤原公任)いかがされたのであろう。
(藤原行成)さあ…。
〽
(せきこみ)
関白様! 関白様!
関白様! 薬師を…。
(安倍晴明)失礼いたしまする。
水を… 水を…。
♬~
殿。
(せきこみ)
目がかすむ… 手がしびれる… 喉が渇く…。
これは 誰ぞの呪詛に違いない。
どうじゃ。
どなたか お心当たりでもございますか?
心当たりは あり過ぎる!
道兼 詮子… 道長とて腹の中は分からぬ!
皆 わしの死を望んでおる。
それは 呪詛ではございません。
恐れながら ご寿命が尽きようとしております。
晴明! 殿!
お前の祈とうで わしの寿命を延ばせ!
難しゅうございますが やってみましょう。
(須麻流)お帰りなさいませ。
関白の病の平癒 祈っておけ。
(須麻流)私がでございますか? お前でよい。
もう関白は 何をしても助からぬ。
(須麻流)はっ。
せめて お苦しみが和らぐよう ご祈とういたします。
あ~ 疲れた…。
病の者の穢れをもらった。
いけない いけない。
(まじないをする声)
疫病で傾く 世の流れを 止めるべく➡
道隆は 改元を進言した。
新しき元号は 長徳がよろしかろうと存じます。
(藤原実資) チョートク… チョートク…。
(平 惟仲)どなたが お決めになったのでありましょうか。
(源 重信)関白に決まっておろう。
(藤原顕光)チョートク… 何が悪いのだ?
チョートク チョートク… チョードク。
(藤原道綱)チョードク!? チョードク?
チョー… 長~い毒ですよ! はあ…。
疫病は 長引くでありましょう。 あっ…。
帝も 関白様の言うことを お聞きになり過ぎだ。
まだまだお若いのに心配だ。
⚟もはや関白様は 物事の 是非のお見分けも つかぬのであろうか。
⚟(重信)御病も この改元で 悪化してしまうやも…。
⚟(実資)帝は 未熟。 はなはだ未熟であられる!
⚟(俊賢) 帝は 我々で お支えいたしましょう。
いくらお支え申しても 断を下すのは帝である。
心配であるのう…。➡
心配である。➡
長徳という世になれば 禍も多くなろう。
(藤原定子)父が病に倒れてから 一人でいると 心細うございます。
(一条天皇)会いたければ 二条第に行ってもよいぞ。
朕がよいと申せば よい。
私は お上のおそばに いとうございます。
父を見舞う間でも 離れるのは嫌にございます。
兄を呼んで 父の様子を聞いてみますので。
定子は 朕が守るゆえ 好きにいたせ。
はい お上…。
(藤原詮子)そんなに悪いの 関白は。
飲水病であろうと 薬師が申しておりました。
浮かれ過ぎたから 罰が当たったのね。
お若い頃は 優しい兄上だったのに。
次の関白は 道兼兄上であるべきよ。
(藤原道兼)なんと…。 だって それが まっとうな順番でしょう。
だから 今日 道長に 一緒にお連れしてと 言ったのです。
今宵は そういう話だったのか…。
私は 道兼兄上のことが 昔から好きではありません。
されど あの出過ぎ者の伊周に 関白になられるのは もっと嫌なの。
だから 道兼兄上を後押しするわ。
女院様にお助けいただく身になるとは 不思議な気がする。
また道長に借りを作ったな。
では 姉上 帝に お話しいただけますね。
内裏に行くのは嫌。 え?
定子に 首根っこつかまれてるような帝 見たくないもの。
え… ならば どのようにして 道兼兄上が…。
ほかの公卿を取り込んでおくわ。
そもそも 大納言も中納言も参議も 公卿は 皆 伊周が嫌いだから➡
そこは 私が 一押しすれば うまくいくはず。
お~…。
♬~
(定子) 内々に先例を調べさせておりました。
父上のお命のあるうちに 兄上は 帝から 内覧のお許しを得られませ。
内覧とは 帝に奏上する文書や 帝が宣下する文書を➡
事前に読むことができる 関白に準ずる職である。
20年ぶりでも何でも やってしまえばよいのです。
父上から 帝にお願いしていただいて。
私からも 帝に 強くお願いしておきますから。
されど 定子はすごいな。
男であったら 俺なぞ かなわぬやも。
あの女院様から我が身を守り➡
帝をお守りしているうちに 強くなりました。
内覧になってしまえば 関白になったも同じですから➡
ともに力を尽くしましょう。
(道兼) 火急の御用とは 何事でございますか。
こちらへ参れ。
♬~
もし わしが倒れても いまだ懐妊せぬ中宮様も➡
貴子も 伊周も 隆家も… 支えてやってくれ。
酷なことをしないでくれ。
どうか… どうか どうか どうか… 伊周を…。
我が家を… 頼む。
(乙丸)姫様! あの…。
(さわ)まひろ様…。
(さわ)ご無沙汰いたしました。
その節のことは お許しくださいませ。
どうぞ お上がりくださいませ。
ご息災でした?
はい。 私は 何があっても 病にはならない 頑丈な体なのですが➡
実は 兄弟を疫病で亡くしまして…。
それは お気の毒なことでございました。
あまりに はかないことで…。
人に許された年月は 実に短いのだと知りました。
本当にそうですね。
私が 文字を教えていた子も その親も つい この間 疫病で逝ってしまいました。
私もかかってしまって 危うく…。 えっ。
今 生きていることも 少し不思議な気がします。
まひろ様!
再び まひろ様にお目にかかれて 本当にうれしい。
生きていてくださって ありがとうございます。
私も お目にかかれて うれしいです。
石山寺の帰り道のことは どうかお許しくださいませ。
このとおりでございます。 そんな… 私も…。
頂いたお文を いちいちお返ししましたことも➡
申し訳ございませんでした。
実は 頂いた文は➡
全て書き写して 持っております。 えっ!
あ… まことに 私の文と同じ…。
まひろ様の文を写すことで まひろ様に 追いつきたいと思っておりました。
♬~
フフフ…。 そんなこと できっこないのに…。
まひろ様。 私の友は まひろ様だけなのでございます。
いろんなことがあって そのことが よく分かりました。
まひろ様 また 私と 仲よくしてくださいませ。
末永く 末永く 私の友でいてくださいませ。
フフフフフフ…。
(笑い声)
♬~
心の声 私の書いた文が さわさんの心を…。➡
書くことの何が…。
♬~
心の声 何を書きたいのかは分からない。➡
けれど 筆を執らずにはいられない。
♬~
病の私に代わり 全ての政務を➡
内大臣 伊周に委ねることを お命じいただきたく➡
伏してお願い申し上げまする。
何とぞ 内大臣に内覧のご宣旨を。
(一条天皇)しばし考えて 後に宣旨を下す。
今 お約束いただかねば 安んじて養生もできませぬ。
どうか 今 お心をお決めくださいませ。
今 ここで 宣旨をお下しくだされ。
下がれ。
はっ…。
蔵人頭は どう思うか。
すぐには 関白のお申し出を お受けにならぬお上は➡
まことに ご聡明だと存じました。
関白の言うことを むげに断るわけにもゆかぬ。
されど 言いなりになってもならぬとも思う。
まことに。
伊周のこと 朕は嫌っておらぬ。
しかし 何分 まだ若すぎる。
皇子を産め…。
早く皇子を産め!
いかがされました?
お前は 帝の唯一無二の后であろう。
ほかの姫の入内も阻んでおるのに 何をやっておる。
帝は まだお若くておいでですので。
とっくに元服されておるではないか!
わしが 摂政から関白になったのも 帝を 一人前と認めたからだ。
それなりに つとめております。
帝の毎夜のお召しに お応えしております。
足りない… 足りない… 足りない… 足りない… 足りない… 足りない…。
まだまだ まだまだ 足りない!➡
皇子が出来れば 帝は 我が一族の真の味方となる。➡
皇子がないゆえ 帝のお心が揺れるのだ。➡
皇子を… 皇子を産め。
皇子を… 皇子を産め。➡
皇子を… 皇子を産め。➡
皇子を… 皇子を…。
後に 一条天皇は 伊周に内覧を許すが➡
そこには 関白の病の間という条件が つけられていた。
ねえ 3月20日に 大納言 朝光殿が亡くなったんだって。
皆さん もう ご存じです。
あっ そうなの? 疫病らしいな 怖いことだ。
この前の陣定の時は まだ かかっておらなんだと思いたいな。
(藤原公季) かかれば あっという間らしいから➡
陣定の時は まだ かかっておられなかったでしょう。
我らは もう 屋敷から出ない方がよいのではないか?
屋敷に籠もっておっては 政はできませぬ。
それは そうだが…。
恐ろしいなあ…。 恐ろしくない?
(実資)疫病が 内裏に入り込んだことは 全て 関白様の横暴のせい。
長徳などという元号にし➡
息子を内覧に据えた積悪の所業 許し難し。
そんなこと… 聞こえたら大変だよ。
私は 間違ったことは申しておりませぬ!
内大臣 伊周殿に 明日はない。
(道綱)それはそうだけど… あっ 来た。
♬~
伊周を… 関白に。
お上 伊周を関白とお定めください!
(俊賢)関白様!
お上… 伊周を関白に!➡
お上! 関白様!
お上… 伊周を関白に! 関白様!
♬~
まだ死ねない…。
殿は まだ大丈夫でございますよ。
伊周は?
伊周は 内裏に上がっております。
そなたに会ったのは 内裏の内侍所であった。
スンと澄ました女子であった。
道隆様は お背が高く➡
キラッキラと輝くような 殿御でございました。
「忘れじの 行く末までは 難ければ 今日を限りの 命ともがな」。
あの歌で 貴子と決めた。
長徳元年4月10日➡
藤原道隆は 43歳で世を去った。
打てば響く よい女になったのう。
皇子を産め。 うつけ者!
母は 自分のことなぞ どうでもよいのです!
政権の頂に立った…。 (笑い声)
お別れです。 よろしくない流れであるな…。
嫌いにならないでくれ。 兄上!
あら? 道長様 ご存じ?
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