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ただいま~。 疲れた~。 OK!
♬~
(こころ)プハ~ッ ありがとう。
(大松)よし OK! (アオナ)サンキュー。
(サラ)樽交換 お願いしま~す。 おっ 2人とも10分ペース いいね!
(こひなた) 今日は あったかいから。
(中泉)よし ルリコ いいわよ。 (ルリコ)フゥ… じゃあ ちょっくら➡
行ってきますか。
稼いでらっしゃい! よし!
<村田:社会人になって数年。
社畜の道まっしぐらの俺 村田は➡
逃げ込むように訪れる 場所がある>
(歓声)
<球場だ>
🔊1番 ショート 獅子尾。
(歓声)
<球場はいい。 同じ試合を観るにも➡
いろんな楽しみ方がある。
応援団に交じって にぎやかに。
ひいきの選手を じっくりと> ビールいかがですか?
< そして俺は すいている自由席で➡
まったりと観るのが好きだ> ビールいかがですか!
フゥ…。
ちょっと お兄さん! は はい!
さっきから ビールいかがですか? って 言ってんじゃん!
あ… はい。 じゃ じゃあ お願いします。
やった!
はい 700円。 って 泡だらけですけど。
え~ ダメ? 泡のほうが アルコール濃度高いから➡
実質 得だって。 えっ… あっ そうですか?
《まさか そんな理屈で ゴリ押しされるなんて…》
プッ うそだよ!
ってか お兄さん 冗談通じね~! モテないっしょ。
《「冗談通じない」は 100万回言われてきましたから》
よし! はい 新しいの。 ど どうも。
ありがとうございました!
🔊3番 レフト 鋸山。
《おっ 鋸山。 頼むぞ 仕事のストレスを発散させてくれ》
え?
あ あの なんですか?
は? 休憩。 ダメ? いや ダメ… かはわからないですね。
売り子ってさ 装備がマジ ヤバいんだよね。
マジで ゲームの勇者かよってレベルの フル装備。
これで いくつも作業しながら 階段移動もあんじゃん?
それでも すごい先輩なんか 1日に300杯以上売るんだから➡
エグいよね~。 はぁ…。
《ずいぶん おしゃべりな 売り子さんだけど➡
こんな子 この球場にいたかな…》
私なら 秒で売れっ子になれると 思ったんだけど➡
甘くなくてさ~。
《ずいぶん自分に 自信があるんだな》
かわいいだけじゃダメなんて 奥が深いんですね。
えっ?
ん~? 私 自分をかわいいなんて ひと言も言ってませんけど?
「私の根性なら」って 意味だったんだけどさ…。
そっかそっか お兄さん的には 私 タイプなんだ?
い いや 話の流れ的に そうだと思うじゃないですか。
かわいい~!
あっ! (歓声)
セーフ!
(鋸山)しゃ~! (歓声)
わぁ…。
お兄さんはさ 応援団と一緒に 応援しないの?
あ… プロの選手たちに 自分みたいな底辺サラリーマンが➡
頑張れとか 何様って感じだし➡
他人である俺の応援なんて 必要ないかなって。
ひねくれすぎでしょ!
じゃあさ ちょっと試してみるか。 ん?
頑張れ。
いつもお仕事お疲れさま。
今日もよく頑張ったね。
い け い け ファイト~! 《うぅ~!》
(歓声)
私とお兄さんは他人だけど 嫌だった?
あ… えっと 嫌じゃなかった… です。
ほ~ら言ったじゃん! アハハハ! 《嫌じゃないけど…》
んしょっと。 お兄さんの応援も ちゃんと選手に届いてると思うよ。
じゃ そろそろ仕事戻るわ。
ビールいかがっすか~。
君。 あ… ん?
ビ ビール もう1つ。
まだあるけど いいの?
応援の形は 人それぞれってことで…。
え~っ! それって 私に 頑張れって言ってくれてんの?
もしかして 私のこと 好きになっちゃった?
っていうか 君って呼び方ウケるわ!
《余計なこと するんじゃなかった…》
はい。 これ見て。
ルリコね 私。
はい。
ありがとう 頑張るわ。
スー… ああ… プハッ!
ハァ ハァ ハァ…。
《あ~っ 男の人と話すの めっちゃ緊張した!
先輩には お客さんと積極的に 交流しろって言われたけど➡
声震えたりしてなかったかな》
《俺も あの人みたいに 堂々とポジティブでいられたらな…》
(歓声)
《とにかく お客さんと話せた!
まさに大きな一歩を 踏み出した!
今夜は祝杯を挙げたいわ!
キンッキンのビールで祝杯を!
あっ! 今すぐ挙げられんじゃん!
いやいや 商品はダメだろう》 (キサ)お姉さん ビール1つ。
《待てよ こっそり あの ロッカールームに戻って…》 お姉さん?
《あ~ もう ダメに 決まってんだろ!》 お姉さんビール。
<サードプレイスなんて 気取った言葉を使う人は➡
好きではないが 球場は 俺にとって そんな場所だ。
そして ナイトゲームの楽しみといえば➡
800円のメガ盛りウルトラ弁当。
今日は これのために 夕食を抜いて➡
昼めしは チョコだけでしのいだ>
いただきま~す。 ちょっと お兄さん。
は はい!
《あっ この前の 売り子のルリコさん》
ビールなしに弁当食うなんて 頭ホームランかよ。
《ホーム… ラン?》
えっと ど どうも… こんばんはっす。
5日ぶりだね お兄さん。 ん?
ほれ ビール! 700円出して。
《押し売りの技術が 向上している》
あっ なんか この前よりうまい。 おっ おっ!
《なるほど やっぱり 弁当とビールの➡
組み合わせは 最高なんだなぁ》
ビールって 注ぎ方で すっごい味変わるじゃん。
めっちゃ練習したんだよね。
泡とビールが3対7になるように 注いで➡
ボコボコのカニ泡にならないように。
やっぱ違い出てるか~。 《それは全然わからなかった》
わかったの お兄さんだけだよ。
そんなに私のこと好きなわけ? 怖っ。
《なんか うれしそうだから 黙っておこう》
んしょっと。 ほんじゃ また買ってね~。
あっ ど どうも。
《今日は休憩していかないのか。
って 何考えてんだ! 当たり前だろ!
何期待してんだ!》
🔊7番 ライト コジロー。
(拍手と歓声)
よ~し きた~! 通算200本塁打超えの大ベテラン➡
現在 wRC+ 120。
自由契約からうちに来て 丸2年。
まだまだやれる! ん?
ここからってときに ビール切れかよ。
《ルリコさんは… って➡
やたらと捜してたら またからかわれるな》
((私のこと好きなの~?))
いかがですか~。
《別に 他の売り子さんでも…》
お兄さ~ん。 ん? あっ!
あらあらあら~ 私は ここにいますよ~。
私のこと めっちゃ 捜してたっしょ?
いや その まあ はい…。
毎度ありがとうございま~す。
《結局 からかわれるとは…》 し か も➡
最後諦めて 他の子から 買おうとしてたし。
《あっ! ああ~ 全部見られてた~!》
浮気は困るね~ 売り子ってさ➡
常連さんが大事なんだよ? そ そんなこと言われても…。
常連ってほど 君から 買ってないし➡
誰から買おうと 僕の勝手でしょ!
《なんて反撃できたら➡
もっと仕事ができる 男だったかもしれない》
すみませんでした。 エヘヘヘ!
(歓声)
よっしゃ!
プハー。
う~ん…。
いつもありがとうございま~す。 ⚟すみませ~ん こっちも!
あっ は~い!
お兄さん ああいう ほんわか系の子が好きなの?
いや そういうわけでは。
う~ん… あっ!
これか! ポニーテールがいいんだな?
いや… あ…。 おっ 図星か?
ほれ直しちゃった? えっ!? なんで一度➡
ほれたことになってんすか!? てれんな てれんな。
ほれほれ~ エヘヘ~…。 もう わかりましたから。
どうよどうよ! 次もまた ルリコさんから➡
買うようにするんで。 あっ… もう常連気取りかよ。
えぇっ!? しようがないなぁ。
また来てあげっか。
まったね~! 常連さ~ん!
《まったく… あれ!?
弁当がなくてもうまいぞ!》
((ビールって 注ぎ方で すっごい味変わるじゃん))
《ビールの注ぎ方の成果が 本当に出てたのか》
は~っ!
《初めて常連さんできた~!》
フフッ いいじゃん。
<千葉モーターサンズスタジアムには いつも変わらない光景がある。
暑い日も 風の日も モーターサンズの 試合がある日は どんなときも➡
変わらない光景だ>
(コジロー) 五十嵐さん お疲れさまです。
(ブライアン)ラシサン ゲンキ?
《五十嵐:コジロー選手 ブライアン選手 今日も頑張れよ》
(獅子尾)五十嵐さん 今日もお疲れさまです。
(一宮)お疲れさまです。 《五十嵐:獅子尾選手➡
一宮選手 同期で高め合い チームを盛り上げてくれ》
イガさん こんちは~ 今日暑いっすね~。
《五十嵐:新人売り子 今日はビール売れそうだな》
(鳴き声)
お~い イガさん 交代だ 休憩行っておいでよ。
ほら 新人くんも行ってこい。
困ったら なんでもイガさんに 聞くんだぞ。
(滝本)あ~ だるっ。 野球観戦好きだから➡
このバイト応募してさ モーターサンズの選手のサインでも➡
もらえるかと思ったのによ。
ただ突っ立って 同じことの繰り返しだろ?
こんな仕事 長く続ける人の 気が知れんわ。
おい 声大きいよ。
ん? フンッ。
お~い そろそろ次の配置 確認しとけな。
《ゲッ あのおっさんと一緒かよ》
あ~ん。
滝本 お前 アメ好きだよな。
まあな 糖分補給には ちょうどいいんだよ ほれ。
おい 食いながら 仕事すんじゃないぞ。
はいはい すぐなくなりますって。
糖分入れないと ボ~ッとしてくるんで。
ハイパードライ いかがっすか~!
あっ… ん?
おっ どした?
(ミク)あのね お姉ちゃん あのね…。 ん?
ミクちゃんです 4歳です。
えっ? うぇ~ん! ママ~ どこ~!
パパも~! 大丈夫 大丈夫!
うぇ~ん!
《迷子か…》 うぇ~ん!
しようがねえなぁ。 私 歩合制なんだぞ!
あっ イガさ~ん! ん?
手伝ってくれ~! ハハハ 迷子か よしよし➡
もう大丈夫だ。 こちら 203通路 五十嵐。
迷子を確保。 名前は ミク 4歳の女の子。 《めんどくせぇ》
ったく こんだけ人がいるとこに こんな小さいガキ連れてくりゃ➡
迷子になるに決まってんじゃん。 親がどうかしてるわ。
おい。 この子の前で 今そういうこと➡
言う必要ねえだろ。
この子が球場嫌いになったら どうすんだ!
四つ子の魂百までって 知らねえのか!
み 三つ子だろ。 たかが警備員なのに➡
責任重すぎんだろ。
うわぁ~ん! お姉ちゃんが怒ったった~!
あ~ あ~ あ~ ごめんごめん おっきい声出しちゃった。
怒ってない 怒ってない。 ってか 今のは➡
あんたのためを思ってだな…。
🔊ご来場中のお客様に 迷子のお知らせをいたします。
あ~ ほらもう アナウンスされたぞ。 ねっ!
滝本 これを渡してやりなさい。 ん? アメ?
いや 自分で渡せば いいじゃないっすか。
いいから お前が渡すんだ。
《こんなんじゃ 泣きやまないだろう…》
(ミク)ヒック ヒック…。 よ~し よしよし…。
ほれ チビちゃん これ食いな。
はむ…。
ウフフ ありがとう お兄ちゃん。
あ… おう。
《あれ? そういえば昔…》
よかったな ミクちゃん。 もうすぐ ママ パパ 来るからな。
ホント? ああ もしまた迷子になっても➡
球場には このアメのお兄ちゃんが いるからな。 (ミク)うん!
あっ!
((父ちゃん 母ちゃん。
お~ ボク 大丈夫だからな。
名前と年 言えるか?
滝本玲次 5歳。
よし ちょっと待ってな。
こちら203通路 五十嵐 迷子を確保。
名前は滝本玲次 5歳の男の子。
滝本玲次 5歳の男の子 よろしくお願いします。
(五十嵐)アメ 食べるか?
ありがとう おじちゃん。
フフフッ。 🔊ご来場中のお客様に➡
迷子のお知らせをいたします。
🔊5歳の男の子 滝本玲次くん…。 よかったな ボク。
もうすぐ 父ちゃん 母ちゃん 来るぞ。 ホント?
ああ もし また迷子になっても 球場には➡
このアメのおじちゃんがいるからな。 (滝本)うん!))
ん? あ いや…。
ミク~! ごめんね!
ママ! パパもいるよ~!
ミク…。
フゥ~。 本当にありがとうございました!
ありがとうございました。 また遊ぼうね~。
遊んでたと思ってくれたなら まあ いいか。
アハハハ。
あの… 五十嵐さん。 ん?
そ その…。
すんませんでした。 警備の仕事 バカにして。
俺も 小さい頃 ここで 五十嵐さんにアメもらいました。
迷子になって すげぇ怖くて 騒いで。
でも俺 今でも 野球観戦 好きなんす。
そうか…。
あのときの子が 球場で仕事をしているのか。
よかったよ お前さんが 球場を嫌いになっていなくて。
あ…。
はい。
人知れず ドラマがあるもんだ。 滝本もかわいいとこあんだな。
うんうん。 うぅ…。
売り子ちゃん これ使いな。
いえ ここで部外者が泣くのは 場違いなんで。
涙くらい 自分で 引っこめますわ。
そっか そっか。 でも とりあえず持っときなって。
いえ! 場違いなんで! ヒック ヒック! ああ… 大丈夫?
だ 大丈夫っす~!
< ここにはいつも 変わらない光景がある>
(歓声)
<暑い日も 風の日も➡
どれだけ時が たっても…>
<変わらない光景が>
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