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♬~
(血の滴る音)
♬~
《グレイ:私は…》
《グレイ:王となった》
うおぉ~っ!
ハァッ! ウッ! ウッ! ウッ! グッ…!
ウゥ… ウゥ…。
(爆撃機の飛行音)
(爆発音)
(悲鳴)
《グレイ:最も強き王…》
《グレイ:それが… 私の…。
そうだ… 王… だったのだ…》
(シルヴィ)どうか…。
(羽ばたく音)
(シルヴィ)新たな人生に 光を…。
オギャァ オギャァ オギャァ オギャァ…。
《グレイ:んっ…》 (アリス)見て レイ。
(レイノルズ)あぁ 君と同じ髪の色だ。 目元はあなたにそっくり。
《グレイ:誰だ? どこだ?》
(レイノルズ)はじめまして チビのアーサー。 (アーサー)あう。
僕はレイノル! パパだよ? パパって言える?
(アーサー)あう。 《グレイ:知らぬ》
(アリス)フフッ もう まだ無理よ。
《グレイ:知らぬ。 こヤツらは いったい…》
パパだよ アーサー。
ママよ アーサー。
《グレイ:この者たちは 私の父と母だという…。
だとすると…。
私は…。
私は…。
産み落とされたのか》
《グレイ:かつて➡
数え切れない勝利を 手にした私が➡
ただの無力な 赤ん坊になるとはな…》
さぁ ゲッてしましょうね~。
(アーサー)うぅ… ゲップ。
よくできました!
《グレイ:アリスもレイノルズも よく世話をしている。
私を子だと思い込んでいるのだ。
これが当然なのだろう。
だが。
不満 あるいは恐怖は ついて回る》
(レイノルズ)アーサー? あう。
見てよ アリス! アーサーはやっぱり 僕を大好きなんだ!
《グレイ:反射的な行動にすぎない》
ん… ん… んん~…。 (お漏らしの音)
あ… う…。 (お漏らしの音)
《グレイ:制御不能の生理現象》
いっぱい出たわね~ エライ エライ。
《グレイ:何一つ 思いどおりにならない…。
この肉体は まるで牢獄だ。
何度も目覚めたいと願ったが➡
この奇妙な夢が 終わることはなかった。
そして… 私は更に 奇妙なものを見ることになる…》
ハ~ッ アァ~ッ!
あ~…。
ニッ! あたっ!
もう… ほら 見せて。
《グレイ:この世界には 私の知らない力が存在している。
実に興味深い》
(交戦の音)
フッ ハアッ!
(アリス)あっ パパ 帰ってきたわよ。
《グレイ:知識は武器である。
私は周囲を観察し続けた》
ただいま アーサー! アリス!
あぁ… おっと。
これじゃ おかえりのハグは おあずけだな。
《グレイ:個人が武器を 所持できる社会。
それだけ危険だと言える。
早急に力を手にする必要がある》
大丈夫? 久しぶりだったでしょ?
問題ないよ。 小さな仕事だったしね。
よかった。 さぁ パパの顔も見たし もう寝ましょうね。
ふぁ…。
《グレイ:不自由にまみれた 日々だが➡
この時間だけは悪くない…》
《グレイ:自由に眠れる時間など 望めなかったからだ…》
♬~
(アーサー)んっ んっ…。
レイ 頭をぶつけないよう見てて。 もちろんだ。
んっ んっ…。
(レイノルズ)あぁ見て チビのアーサーが 鏡に映った自分を見てる!
かわいすぎるわ!
《グレイ:「チビのアーサー」。 数か月たった今でも➡
この名には慣れないでいた》
《だが ささいな問題だ》
(キスの音)
いい夢を見てね アーサー。
フン!
《グレイ:私はようやく 自らの手足を➡
操ることが できるようになったのだ。
あと少し 気付かれないよう➡
全速力で進むのだ》
あうっ!
《グレイ:成功だ。
知識は武器である。
私は ようやく 欲しいものを手に入れた。
すなわち この世界の情報である。
私が生まれ落ちた大陸 「ディカゼン」には➡
3つの王国があった。
ダルブ王国。 地下に広がるドワーフの国。
エレノア王国。 森の奥深くにある エルフたちの国。
そして 私がいる サピン王国。
最も多くの住人を誇る 人間たちの国。
私の国と同じく 君主制をしいている。
一つ違うのは ここでは王の座は 受け継がれるものであり➡
奪うものではないということだ》
んっ んっ ん… んっ。
《グレイ:前世に比べ この世界は発展途上と言える。
技術が進歩していない 理由の一つは➡
この本に書かれていた。 魔術だ。
この世界には 「マナ」と呼ばれる力がある。
マナを操る力は 遺伝によるものが多く➡
100人に1人の確率で 備わって生まれてくる。
かゆい》 んん…!
《マナの使い方には 大きく分けて2とおりある。
「オーグメンター」と 「コンジュラー」だ。
オーグメンターはマナにより身体を強化し➡
巨大な力と 守り 機敏さを備える。
コンジュラーはマナを外へ放ち 思いのままに操ることができる》
ん~…。
《何事にも例外はある か。
まぁいい。
マナの操作の要となるのが マナコアである。
魔術師として目覚めるのは 思春期の初期から10代後半。
自身の体内に眠るマナのかけらを 一か所に集めて➡
マナコアを生成することで 魔術師となれるのだ》
あう…。
《私はそれに似たものを 知っている。
気。 自らが内包する力を認識し 支配し 解放する。
そして その要となるのが 気のセンターだ》
《果たして 前世の知識は 武器となりうるのか…》
《これは…》
見~つけた! あう。
アーサー も~ ママを心配させて。 あう~…。
《グレイ:ここまでか…》 あら?
《グレイ:何か気付いたのか?》
ウンチ 出た? 《グレイ:どうやら違うようだ。
あいにくだが 私はまだ むっ!?》
やっぱりね。 《私ともあろうものが…。
集中して気付かなかったのか》
さぁ おむつを替えましょう。
《やはり この肉体は牢獄だ…。
力を手に入れなければ》
《アリス:「アーサーが生まれて2年 あっという間ね。
世界一かわいくて 好奇心が旺盛で とってもいい子。
でも 私たちは あの子の笑顔を 見たことがない」》
んっ あら?
(アーサー)んっ! んっ!
(レイノルズ)筋がいいぞ~ アーサー。
アリス~ 見てくれよ!
アーサーを。 って えぇ~っ!?
ん~…。 世界一かわいいアーサーに 何をしているの?
何って あの いや 剣を教えて…。
やっと歩けるようになった ばかりなのに➡
何考えてるのよ! ごめんなさ~い!
《グレイ:2年の歳月を経て➡
私はこの夫婦の力関係を理解した。
あるいは この世界そのものが 母系制なのかもしれない》
(アーサー)あ~ あ~ あ~あ あ~!
ここに来ると いつもご機嫌ね。
《グレイ:ここは この世界を学ぶうえで➡
重要な場所であった》
《武器の種類と品質は➡
この国の技術力を 推し量ることができる。
前世の世界では存在しなかった 物質の数々。
そして…。
じかに魔術を 見ることができたのは➡
何よりも収穫であった》
ふぁ…。 あら? おねむの時間ね。
《グレイ:この夫婦は 実にこまやかに 私を世話してくれている。
不自由だが 不満はない。
親とは こういうものなのだろうか…》
《グレイ:わからない…。
だが このぬくもりは 嫌いではない…》
おやすみなさい。
ねぇ アーサー➡
あなたがベッドから抜け出して 本を読んでいることも➡
市場でいろんなことに 目を輝かしていることも➡
お母さんはうれしいわ。
きっと レイの血を 引いているからよね。
いつか あの人みたいに➡
世界中のいろいろなものを 見たくなるかもしれない。
できることなら もっと平和な道を 選んでほしいわ…。
私のかわいいアーサー。
《グレイ:私は幸運だ。
身近に 生きた教科書がいるのだから》
んっ!
ハ~ッ!
ん~…。
パパ すごいだろ?
《手で動かしたほうが早いな…》
んっ? あっちはイマイチね。
ほら かっこいいパパが始まるわよ。
グアッ!
あっ!
《グレイ:父親は オーグメンターだった》
パパ すごいでしょ? んっ。
《グレイ:こうしてはいられない》
んっ…。 そろそろ お昼寝の時間ね。
(キスの音)
む~… あ~。
あ~あ! 本は ダ~メ!
今は おねんねの時間よ。 むぅ…。
ん~…。
うっ!? ダ… ダメよ。 今は おねんねの時間。
んん~…。 そんな目で見ても…。
んん~…。 ダメなんですから~っ!
ちょっとだけだからね? ん…。
《私の勝ちだ》
《さまざまな知識と経験を得た この2年。
最大の偉業は…。
マナコアの生成だ。
体内に眠る 無数のマナのかけら。
その一つ一つを一点に集中させる。
それは途方もない作業だった。
だが それもようやく報われる》
ふっ。
《グレイ:あと少し…。
最後のひとかけら…》
(爆発音)
(レイノルズ)あっ… ふぅ…。
大丈夫か アリス!? えぇ…。
アーサー… アーサー!
あの中に!
そんな まさか… 冗談だろ?
まだ3歳にもならないのに…。
(アリス)レイ! あの子は? アーサーは?
ハッ!
(レイノルズ)アリス… あの子はもう…。
《グレイ:学びの日々は ついに実を結んだ。
これは 大きな一歩となる》
(2人)あっ…。
(崩れる音)
(2人)アーサー!
あっ!
《グレイ:油断した… この私が こんなところで…》
ぬあぁ~っ!
アーサー!
ハァ ハァ…。
《グレイ:そうだったな。
私の安全は この2人が守ってくれる。
親とは そういう役目だった》
えっ?
アリス! アーサーは!?
大丈夫 大丈夫よ…。
あっ…。
よかった… 本当によかった…。
《グレイ:なぜ 涙を流す?》
《グレイ:役目を果たしたのだ。 誇ればいい…》
《グレイ:わからない…。
わからない…。
これは この世界の書物でも 学ぶことができなかった…。
前世でも知ることがなかった…》
うぅ… ママ… パパ~!
《グレイ:教えてくれ。
これは なんというものなのだ?》
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